JPH1053518A - 口腔用固形製剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 メントールを配合した２層以上の層を有
する口腔用固形製剤であって、口腔用でより遅く溶解す
る層のメントール配合量を当該層よりも早く溶解する層
のメントール配合量よりも高くしたメントール配合口腔
用固形製剤。 【効果】 メントールの有する異臭マスキングや清涼感
付与等の効果が最大限に引き出され、かつメントールの
有する苦味等の不快な味が軽減されたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、メントールの効果
が最大限に引き出され、かつメントールの苦味が軽減さ
れたメントール配合口腔用固形製剤に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、口腔用固形製剤は、薬効成分が
長時間にわたって作用するように、薬効成分が製剤表面
から順次溶解・崩壊するように設計されている。このよ
うな薬効成分の一つとしてメントールがあり、メントー
ルは、食物やタバコ等の臭いをマスキングする効果に優
れ、しかも口腔に清涼感を与える成分である。

【０００３】しかしながら、メントールを口腔用固形製
剤に多量に配合すると、これらの効果がより向上する反
面、メントールの苦味が助長されるため、服用が困難に
なるという問題がある。そこで、口腔用固形製剤におけ
るメントールの苦味を低減させる方法として、例えば甘
味成分の多量添加、発泡成分の添加により苦味の低減
（特開平４−３２７５２６号、特開昭６１−２８１１８
３号公報）等の方法が提案されているが、臭いのマスキ
ング効果や苦味の低減の点で十分に満足し得るものでは
ない。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、メン
トールによる臭いのマスキング効果が高く、かつメント
ールの有する苦味等の不快な味が軽減されたメントール
配合口腔用固形製剤を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明者は、口腔用固形
製剤におけるメントールの効果を高め、かつメントール
の有する苦味等の不快な味を軽減すべく鋭意検討を行っ
た結果、メントール配合量の異なる２層以上の層を有す
る製剤とし、舌に接触するメントール濃度が経時的に徐
々に高くなるようにすることにより、メントールによる
異臭マスキング効果が高まり、かつメントールの苦味等
が軽減されることを見出し、本発明を完成した。

【０００６】すなわち、本発明は、メントールを配合し
た２層以上の層を有する口腔用固形製剤であって、口腔
内でより遅く溶解する層のメントール配合量を当該層よ
りも早く溶解する層のメントール配合量よりも高くした
ことを特徴とするメントール配合口腔用固形製剤を提供
するものである。

【０００７】

【発明の実施の形態】本発明の口腔用固形製剤は、口腔
内でより遅く溶解する層のメントール配合量が当該層よ
りも早く溶解する層のメントール配合量よりも高くした
構造を有するものであればよく、その構造は特に限定さ
れるものではないが、例えば３層以上の積層構造を有す
るもの、内層の全部又は一部が外層で被覆された２層以
上の層からなるものなどが挙げられる。また、本発明の
口腔用固形製剤の形態としては錠剤、飴などが挙げら
れ、これらの最上下層又は最外層等はメントールを含有
しない層としてもよい。

【０００８】本発明の口腔用固形製剤におけるメントー
ル配合量は、苦味等の点から高メントール配合層におい
て５重量％以下とすることが好ましい。また、各層のメ
ントール配合量差は、メントールの苦味の軽減等の点か
ら０．０５重量％以上が好ましく、０．１〜３．０重量
％が特に好ましい。例えば上中下層からなる３層構造の
口腔用固形製剤、内層及び外層それぞれ１層からなる口
腔用固形製剤の場合、上下層又は外層におけるメントー
ル配合量を０．０５〜１重量％とし、中層又は内層にお
けるメントール配合量を０．１〜５重量％とすることが
できる。

【０００９】本発明の口腔用固形製剤のメントール配合
量は、炭酸塩と有機酸を配合した発泡性の層とすること
が、メントールの有する苦味等の不快な味をより軽減さ
せ得る点から好ましい。

【００１０】炭酸塩としては、炭酸水素ナトリウムが代
表的であるが、その対イオンとしてカリウム、カルシウ
ム等も使用でき、これらは単独で又は２種以上組合わせ
て用いることができる。また、有機酸としては、例えば
リンゴ酸、酒石酸、アスコルビン酸、コハク酸、クエン
酸などが挙げられ、これらは１種又は２種以上を組合わ
せて用いることができる。炭酸塩として炭酸水素ナトリ
ウムを用いる場合、各層当たり０．５〜４０重量％が好
ましく、１〜３０重量％が特に好ましい。この場合、有
機酸は各層当たり１〜４０重量％が好ましく、１〜３０
重量％が特に好ましい。

【００１１】本発明の口腔用固形製剤には、通常の製剤
化に用いられる乳糖、澱粉、デキストリン類、セルロー
ス類、ポリエチレングリコール、ステアリン酸マグネシ
ウム、マルチトール等の賦形剤；蔗糖脂肪酸エステル、
微粒二酸化ケイ素等の滑沢剤；香料、ビタミン類やカフ
ェイン等の有効成分；サッカリン、蔗糖、マンニトー
ル、ソルビトール、アスパルテーム、エリスリトール等
の甘味料などを適宜配合することができる。甘味料は１
種を単独で又は２種以上を組合わせて用いることがで
き、製剤の味覚を矯正するために配合する場合、甘味の
強さによって配合量が異なる。例えば、蔗糖、マンニト
ール、エリスリトール、ソルビトールの配合量は各層当
たり通常５〜９０重量％、好ましくは１０〜８０重量％
であり、サッカリンやアスパルテームの配合量は０．０
１〜５重量％、好ましくは０．１〜１．５重量％であ
る。

【００１２】

【発明の効果】本発明の口腔用固形製剤は、メントール
の有する異臭マスキングや清涼感付与等の効果が最大限
に引き出され、かつメントールの有する苦味等の不快な
味が軽減されたものである。

【００１３】

【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。

【００１４】実施例１及び比較例１ 表１に示す組成のメントール配合量の異なる３層錠（１
ｇ、直径１５mm、重量比：上層／中層／下層＝１／１／
１）をマシーナ（株）社製油圧式多層錠打錠機を用いて
調製した。また、比較のために均一にメントールを配合
した錠剤（１ｇ、直径１５mm）を調製した。マスキング
効果を１３名の喫煙者に喫煙してもらい、調製した錠剤
を口に含み服用後、３０分後に呼気袋に呼気を取り、こ
れを３名のパネラーにタバコの臭いの有無を評価しても
らった評価基準はタバコの臭いがしないを◎、ほとんど
しないを○、若干するを△、するを×とした。結果を表
２に示す。

【００１５】

【表１】

【００１６】

【表２】

【００１７】上記喫煙者１３名に、実施例１の３層錠と
比較例１の錠剤のメントールの苦味について次表に示す
５段階で評価してもらった。

【００１８】

【表３】

【００１９】実施例２及び比較例２ 表４に示す組成のメントール配合量の異なる３層錠（１
ｇ、直径１５mm、重量比：上層／中層／下層＝１／１／
１）及び均一にメントールを配合した錠剤（１ｇ、直径
１５mm）を実施例１及び比較例１と同様にして調製し、
同様にして評価した。結果を表５に示す。

【００２０】

【表４】

【００２１】

【表５】

【００２２】上記喫煙者１３名に、実施例２の３層錠と
比較例２の錠剤のメントールの苦味について次表に示す
５段階で評価してもらった。

【００２３】

【表６】

【００２４】実施例３及び比較例３ 表７に示す組成のメントール配合量の異なる３層錠（１
ｇ、直径１５mm、重量比：上層／中層／下層＝１／１／
１）及び均一にメントールを配合した錠剤（１ｇ、直径
１５mm）を実施例１及び比較例１と同様にして調製し、
女性パネラー１０名に、メントールの苦味について５段
階で評価してもらった。

【００２５】

【表７】

【００２６】

【表８】

【００２７】実施例４及び比較例４ 表９に示す組成のメントール配合量の異なる３層錠（１
ｇ、直径１５mm、重量比：上層／中層／下層＝１／２／
１）及び均一にメントールを配合した錠剤（１ｇ、直径
１５mm）を実施例１及び比較例１と同様にして調製し、
女性パネラー１０名に、メントールの苦味について５段
階で評価してもらった。

【００２８】

【表９】

【００２９】

【表１０】

【００３０】実施例５及び比較例５ 表１１に示す組成のメントール配合量の異なる３層錠
（１ｇ、直径１５mm、重量比：上層／中層／下層＝１／
２／１）及び均一にメントールを配合した錠剤（１ｇ、
直径１５mm）を実施例１及び比較例１と同様にして調製
し、女性パネラー１０名に、メントールの苦味について
５段階で評価してもらった。

【００３１】

【表１１】

【００３２】

【表１２】

【００３３】実施例６及び比較例６ まず、油圧式加圧打錠機を用いて直径１０mm、厚さ３mm
の錠剤を調製し、これを核層とし、表１３に示す組成の
メントール配合量の異なる有核錠（直径１５mm、厚さ５
mm）をマシーナ（株）社製有核回転式錠剤機を用いて調
製した。また、比較のために均一にメントールを配合し
た錠剤（直径１５mm、厚さ５mm）を調製し、女性パネラ
ー１０名に、メントールの苦味について５段階で評価し
てもらった。

【００３４】

【表１３】

【００３５】

【表１４】

【００３６】実施例７及び比較例７ 表１５に示す組成のメントール配合量の異なる有核錠
（直径１５mm、厚さ５mm）及び均一にメントールを配合
した錠剤（直径１５mm、厚さ５mm）を実施例６及び比較
例６と同様にして調製し、女性パネラー１０名に、メン
トールの苦味について表１６に示す５段階で評価しても
らった。

【００３７】

【表１５】

【００３８】

【表１６】

【手続補正書】

【提出日】平成８年１２月２７日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】０００９

【補正方法】変更

【補正内容】

【０００９】本発明の口腔用固形製剤のメントールを配
合した層は、炭酸塩と有機酸を配合した発泡性の層とす
ることが、メントールの有する苦味等の不快な味をより
軽減させ得る点から好ましい。

【手続補正２】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００３３

【補正方法】変更

【補正内容】

【００３３】実施例６及び比較例６ まず、マシーナ（株）社製油圧式加圧打錠機を用いて直
径１０ｍｍ、厚さ３ｍｍの錠剤を調製し、これを核層と
し、表１３に示す組成のメントール配合量の異なる有核
錠（直径１５ｍｍ、厚さ５ｍｍ）を（株）菊水製作所社
製有核回転式打錠機を用いて調製した。また、比較のた
めに均一にメントールを配合した錠剤（直径１５ｍｍ、
厚さ５ｍｍ）を調製し、女性パネラー１０名に、メント
ールの苦味について５段階で評価してもらった。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 舛木 恵子 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内 (72)発明者 藤中 英剛 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内 (72)発明者 江口 泰輝 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 メントールを配合した２層以上の層を有
   する口腔用固形製剤であって、口腔内でより遅く溶解す
   る層のメントール配合量を当該層よりも早く溶解する層
   のメントール配合量よりも高くしたことを特徴とするメ
   ントール配合口腔用固形製剤。
2. 【請求項２】 ２層以上の層を有する口腔用固形製剤
   が、３層以上の積層構造を有するか又は内層と外層で形
   成された２層以上の層を有する口腔用固形製剤である請
   求項１記載の口腔用固形製剤。
3. 【請求項３】 メントールを配合した層が、発泡性を有
   する層である請求項１又は２記載の口腔用固形製剤。
4. 【請求項４】 メントールを配合した層が、炭酸塩と有
   機酸を含む発泡性を有する層である請求項１〜３のいず
   れか１項記載の口腔用固形製剤。