JPH10511025A - ブリスターパックから薬剤を投与するための吸入器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、ブリスターパック５から薬剤３８を投与するため吸入器であって、該吸入器が、一方の側にマウスピース１を、また他方の側に空気入口開口３２を有するハウジングを備え、また内部のマウスピース１と開口３２との間には、これら双方１、３２を接続する空気ダクト７を備えている形式のものに関する。少なくとも１つのブリスターパック５をハウジングに挿入し、挿入されたブリスターパック５のカバー箔３５が空気ダクト７に隣接するようにすることが可能である。ハウジングは、ブリスターパック５の個々の空洞部３１から薬剤を押し出す押出し手段を有し、該押出し手段が、凹状に湾曲したプランジャ面３７を備えた少なくとも１つのプランジャ１０を有しており、該プランジャ面が、ブリスター空洞部３１に係合するように、空洞部３１の形状に対応せしめられている。

Description

【発明の詳細な説明】 ブリスターパックから薬剤を投与するための吸入器 本発明は、ブリスターパックから薬剤を投与するための吸入器、それもブリス ター内部の空洞部が、内容物を押し出すことにより空にされる形式のものに関す る。 空気流内に微細に分散された固体形式で患者に薬剤を投与するための吸入器、 いわゆる粉末吸入器は、今日では、吸入治療に数多く、かつまた多くの実施態様 で使用されている。この形式の吸入器は、以前によく用いられていた懸濁液吸入 器に部分的に代わるものとなっている。懸濁液吸入器の場合、エアゾールが、ハ ロゲン化炭化水素を噴射剤として作られるため、環境保全のため、使用が好まし いものものではなくなった。これまで知られていた粉末吸入器の多くは、技術的 に比較的複雑な装置を使用しており、患者は、吸入可能な粉末の服用量を吸入す るさい、そのような複雑な装置で吸入していた。 薬剤を予め用量にする１つの可能性は、適宜の服用量を、いわゆる“ブリスタ ーパック”形式で包装することである。ブリスターパックは、また、例えば、衛 生的な個々の取出しが可能な錠剤の包装にも使用される。ヨーロッパ特許出願公 告第２１１５９５号、英国特許出願公開第２１２９６９１号、英国特許出願公開 第２１４２２４６号各明細書に開示されている粉末吸入器は、ブリスターパック から薬剤を放出する。このブリスターパック内には、薬剤が、固体状の微細に分 散された形式で封入されている。ディスク状のブリスターパックは、ヨーロッパ 特許出願公告第２１１５９５号明細書及び英国特許出願公開第２１２９６９１号 明細書に記載の粉末吸入器に挿入され、吸入器使用時、粉末１回服用量がプラン ジャによって放出され、ブリスターパックが、完全に空になると、新しいものに 取り替えられる。英国特許出願公開第２１４２２４６号明細書に記載の吸入器に は、単一チャンバを有するブリスターパックが挿入され、使用時には、一種のマ ンドレルを用いてブリスターパックを開く。 次いで公にされたドイツ連邦共和国特許出願公開第４４０００８４号明細書に は、扱いやすく、かつ安価な吸入器が開示されている。この吸入器は、細長の内 室が形成されたハウジングを有し、外部に対して密閉され、一方の狭幅側にはマ ウスピースを、反対側には空気入口を有し、さらにハウジングの少なくとも１つ の主表面に複数ブリスター空洞部を設けた複数区域とを有している。一実施態様 では、ハウジングが開放構造体から成っており、この開放構造体内へ、１つ以上 のストリップ状ブリスターパックを導入することができる。その場合、例えば、 旋回させて開くことのできる構造体内へ、ストリップ状ブリスターパックを押込 むか挿入するかする。以上のすべての実施態様の場合 、使用者は、ブリスターパックの個々の空洞部を、指で押して開かねばならない 。つまり、外側へ湾曲しているドーム上へ圧力を加え、これにより、薄いカバー 箔が裂開され、薬剤がハウジング内部へ落ちる。これらの吸入器の欠点は、指で ブリスター空洞部を押し開くさい、空洞内の粉末が機械荷重を受けて圧縮されて 、吸入流内に微細に分散されなくなるか、もしくは分散が不十分になる点である 。 また、前記吸入器のすべてが有している欠点は、扱いにくい点である。つまり 、装置の体積が、使用する１回服用量に比して比較的大きすぎる点である。装置 当たりの体積及び部品数に応じて、公知の粉末吸入器の携帯が、患者にとって負 担となるおそれがある。さらに、機能原理が吸入器によって異なり、しばしば複 雑でもあるため、緊急の場合（例えば急性喘息発作の場合など）や、患者の技術 的理解が乏しい場合、装置が正しく、もしくは全く扱えない危険がある。 本発明の目的は、したがって、ブリスターパックと共に使用するための、手頃 な、扱いやすい粉末吸入器、それも、押出し操作のさいに、ブリスター空洞部内 の薬剤の圧縮を防止することで、吸入流内への薬剤の微細な分散が可能な粉末吸 入器を提供することにある。 この目的は、ストリップ状のブリスターパックから薬剤を投与するための次の ような吸入器によって達成された。すなわち、一方の側にマウスピースを、反対 側に空気入口を有し、これらの間に、ダクトとブリスターパックが挿入される収 容支承部とを有するハウジングが備えられ、ブリスターパックを挿入すると、薬 剤を含む空洞部を密閉した、ブリスターパックのカバー箔が空気ダクトに隣接す るようになっている形式の吸入器において、前記ハウジングが、ブリスターパッ クの個々の空洞部から薬剤を押し出す手段を有しており、これらの押出し手段が 、凸状のブリスター空洞部形状に対応する湾曲プランジャ面を有する少なくとも １つのプランジャを有していることを特徴とする吸入器である。 各従属請求項には、本発明の有利な複数の実施例が記載されている。 本発明による吸入器は、ブリスターパックから薬剤を投与するために働く。ブ リスターパックとは、小さな、物を充填された凹部又は空洞部を有する容器フィ ルムと、凹部をシールするカバー箔とを含むパックである。その場合、“ブリス ターパック”という用語は、本発明の範囲において、容器フィルムの種類やパッ クの製造方法に関係なく、この種のパックの最広義で理解すべきである。容器フ ィルムの空洞部区域での厚さは、外側から空洞部を押して、その押し込みの結果 、カバー箔が裂開され得る程度の厚さである。外側から空洞部を押す操作と同時 に、カバー箔が裂開され、薬剤が放出される操作を、以下では“押出し”と記す 。 本発明による吸入器のハウジングは、有利には、細長の形状を有し、一方の狭 幅側にマウスピースを、反対側の狭幅側に空気入口開口を備えている。ハウジン グに挿入されるストリップ状のブリスターパックは、互いに前後に１列に配列さ れた空洞部を有している。吸入器は、吸入器が、特定数、つまり投与される薬剤 の種類や服用量に応じた数の空洞部を有するブリスターパックだけを収容するよ うに構成されている。多くの用途に適当な吸入器は、４つの空洞部を有するブリ スターパックに使用するように構成されている。 吸入器の有利な実施例では、ハウジングを有しており、このハウジングは、旋 回させて開放可能であり、継手又はヒンジを介して互いに旋回可能に結合された 少なくとも２つのハウジング部分を有している。ハウジングは、例えば底部部分 と上方部分とを有していることができ、これらの部分が互いに旋回可能に結合さ れているか、又はハウジングが、付加的な中央部分を有していることもできる。 ハウジングの底部部分及び中央部分には、ブリスターパックを収容するための切 欠きを備えた収容支承部が設けられている。ハウジングの上方部分には、吸入器 を閉じた場合に、ブリスターパックが固定されるように、収容支承部に対しブリ スターパックを押圧する下向きのウエブを付加的に有していてよい。 本発明による吸入器の押出し手段は、ブリスター空洞部の形状に適合させられ た湾曲プランジャ面を有す る少なくとも１つのプランジャを有している。通常のブリスターパックは、外側 から見て球面状のキャップ形状に湾曲した空洞部を有しているので、これに係合 又は接触するプランジャ面の湾曲も、通常、球面状のキャップと相補的に構成さ れている。ブリスター空洞部の凸状の湾曲に合うように、空洞部に接触又は係合 するプランジャ面を凹状に湾曲させることによって、押出しのさい、薬剤が、空 洞部内で圧縮されることが防止され、空気流内で十分に分散することができる。 押出し手段は、有利にはハウジングに組み込まれている。押出し手段を介して ブリスター空洞部を開放し、空にするためには、使用者は、押出し手段の部分又 は全体を指又は手全体で押さねばならない。その場合、凸状のブリスター空洞部 に係合又は接触する表面を有する押出し手段プランジャへの力の伝達は、直接に 行われるか、又はレバー手段を介して行われる。梃子作用を利用する場合、レバ ー手段は、複数の個別レバーの形式に構成して、各個別レバーが押出しプランジ ャを有するようにするか、又は移動可能な、接触又は係合押出しプランジャを有 する単一のレバーとして構成する。 本発明の有利な一実施例によれば、押出し手段は、ハウジングの上方部分内に 組み込まれ、レバー手段なしで動作する。４つの押出しプランジャを備えた押出 し手段の構造が特に有利であり、これらのプランジャは、グリップ板を介してハ ウジング上方部分に取り付 けられており、必要時には、ブリスター空洞部を空にするために使用者により１ 個づつ順に押し下げられる。 本発明の別の有利な実施例によれば、上方部分自体が押出し手段を形成してい る。移動可能の係合押出しプランジャを備えた単一のレバーとしての、ハウジン グ上方部分の構造が特に有利である。択一的に、ハウジング上方部分を複数の単 一レバーによって構成することもでき、これらのレバーは、使用時に順次に押し 下げられる。 プランジャ面による空洞部の加圧によって、ブリスターパックの薄いカバー箔 が裂開され、薬剤は、付着力により依然として空洞部内に残るか、又は直接にハ ウジングの粉末ダクト内へ落下する。 使用者が吸入器のマウスピースから吸い込むことにより、空気ダクト内に軽度 の負圧が発生し、この負圧によって、依然として空洞部内に残っていた薬剤が、 粉末ダクト内へ搬入され、空気入口開口からは空気が空気ダクト内へ流入する。 さらに、空気ダクト内の空気流が、開放された空洞部を通過するさい、部分負圧 を発生させる（噴射効果）ため、薬剤が、十分に空洞部から吸い出され、残渣が 残ることがない。空気流により、次いでマウスピースに沿って薬剤が搬送され、 マウスピースを通過して使用者の肺内へ吸い込まれる。 空気ダクト内における所望の空気案内のためには、 ブリスターパックのカバー箔を決まった形式で裂開又は裂断すると有利である。 したがって、始めに空洞部を密閉していたカバー箔部分が、裂開後、１カ所でだ け取り付けられた一種の垂れ端としてダクト内へ突入させると有利である。これ により、垂れ端を空気流と平行に配向させようとしている。この構成は、例えば 、特殊な構成のブリスターパックの使用により達せられる。例えば、個別の空洞 部を部分的に環状ビードによって取り囲み、その結果、押出し過程中に、ビード 領域において切断されるが、ビードの設けられていない区域は、残存したカバー 箔に繋がったままとなるようにする。あるいはまた、カバー箔に所定裂開箇所を 設けておく。空洞部を非対称に、例えば一方の側に溝を設けておいても、同じよ うにカバー箔の所定の裂開が可能になる。 従来のブリスターパックを用いて、所定の裂開を生じさせるには、押出し操作 において、プランジャをブリスター空洞部に対し非対称に係合しなければならな い。このことは、例えば、押出しプランジャ自体が非対称の横断面を有するよう にすることで達せられる。すなわち、プランジャ長手方向軸線に対して９０°と は異なる角度で、ハウジングの長手方向に延びた垂直平面と交差する平面内を、 湾曲プランジャ面の縁部が延びていることにより、プランジャ押圧時、プランジ ャは最初に凸状ブリスター空洞部の一方の側に接触する。これにより、カバー箔 が、この接触区域で最初に 裂開され、これに対して空洞部の対向側では、残存したカバー箔に垂れ端が繋が ったままとなる。ブリスター空洞部へのプランジャの同様の非対称的な接触は、 対称的に構成された押出しプランジャでも達せられる。その場合には、押出しプ ランジャは、レバーアームを介してハウジング横に結合されていて、この場合、 使用者がプランジャを押し下げられたときにプランジャがハウジング部分の旋回 軸を中心としてアーチ状に運動し、ブリスター空洞部の一方の側に最初に接触す るようになっている。長手方向で非対称的な断面を有する押出しプランジャも、 レバー手段と組み合わせることができる。もちろん、上述の非対称空洞部を有す るブリスターパックも、押出し装置がブリスター空洞部に非対称的に接触する吸 入器において使用することができる。 本発明による吸入器の有利な実施例は、マウスピースを有しており、このマウ スピースの内部には、接線方向の空気入口スロットを有するサイクロンチャンバ が設けられおり、該スロット内へは、２次空気が適当な通路を介して流入する。 ブリスター空洞部の裂開後、使用者がマウスピースにおいて吸い込むと、薬剤が 、空気ダクトを介してマウスピースへ送られ、このマウスピースにおいて、サイ クロン効果により、接線方向で流入する２次空気と共に薬剤が分散することで、 より容易に吸入可能になる。粉末の分散を助成するために吸い込まれるこの２次 空気は、全空気流の約７５ ％を占めると有利である。このことは、全空気量の約２５％が、空気ダクトを介 して送られることを意味する。この空気流により、薬剤は、空洞部から空気ダク トを通り、対応した開口を通過して直角にデフレクタへ搬送され、さらに別の開 口を通って接線方向でサイクロンチャンバ内に搬送される。 ブリスター空洞部の押出し後、吸入器を縦に保持した場合に、空気入口開口か ら薬剤が脱出するのを防ぐため、該開口の直ぐ後方のスペースにウエブを設ける ことができる。該ウエブにより、空気経路が転向され、ラビリンス状に延長され る。さらに、マウスピース内へ吹き込まれる空気により薬剤が吸入器から搬出さ れるのを防止するため、空気ダクトの空気入口開口には、逆止め弁が設けられて いると有利である。該逆止め弁は、ハウジング内部の僅かな負圧を受けて開弁し 、ハウジング内部が常圧又は過圧になると、閉弁する。適当な逆止め弁は、ハウ ジング内側にダイアフラムが配置されたダイアフラム弁である。このダイアフラ ムは、空気入口開口を覆っており、ハウジング内部の過圧時には端面に当付けら れ、空気入口開口を閉じる。空気入口開口を閉じるには、ばね押しボール弁又は 他の逆止め弁を使用することもできる。 本発明による吸入器のハウジングには、１つ以上の補充ブリスターパックを収 容するための１つ以上の付加的な凹部又はチャンバを設けることもできる。 吸入器は、有利にはプラスチック製であり、適当な 材料は、例えば、ポリオキシメチレン（ポリアセタル）、ポリカーボネート、ポ リメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ア クリロニトリルブタジエンスチレン共重合体（ＡＢＳ）等の熱可塑性プラスチッ クの単一材料又は複合材料である。ブリスターパックを固定するウエブを形成す るには、ばね弾性特性を有するエラストマー重合体が適している。 本発明の吸入器には、種々の材料製のブリスターパックを用いることができる 。容器フィルムの材料は、有利には、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポ リ塩化ビニル、ポリスチレン等の熱成形可能なポリマーか、又はアルミニウム等 の深絞り可能な金属であり、該金属にポリマーをラミネートしたものでもよい。 ブリスターパック用の他の通常の熱成形可能な材料も、適当である。熱成形によ り形成された凹部を有する既述の付形部品は、凹部区域又は別の区域いずれにも わたって一様な容器フィルム壁厚を有している。しかし、射出成形可能な材料、 又は他の形式で成形可能な材料、又はブロー成形可能な材料、例えばエラストマ ー材料も、例えば、容器フィルムの材料として使用でき、凹部を有する付形部品 は、対応して射出成形、その他の成形方法、ブロー成形のいずれかで製造できる 。その場合、容器フィルム壁厚は、区域によって任意に変化させることができる 。カバー箔は、有利には、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金等の金属製 であり、該金属にポリマーをラミネートしたものでもよい。ブリスターパック用 の汎用の公知の材料を含む他の材料を使用することもできる。カバー箔は、種々 の方法で、例えば、周知のように溶接又は接着により容器フィルムに接合できる 。本発明による吸入器の場合、容器フィルムで成形された環状ビードでブリスタ ー空洞部を取囲んだブリスターパックを使用することもできる。これらのブリス ターパックは、押出し時に薬剤に作用する機械的負荷を付加的に軽減するという 利点を有している。 本発明により得られる、ブリスターパックと共に使用する粉末吸入器は、操作 が容易であり、かつ十分に分散したひいては吸入可能な状態で使用者に薬剤を供 給する。 以下に本発明を、図示した別の実施例を参考にして説明する。 図１は、単一レバーとして構成された押出し手段を有する吸入器の斜視図であ る。 図２は、図１の吸入器の横断面図で、開かれたハウジングと横断面でのブリス ター空洞部とを示した図である。 図３は、図１の吸入器の横断面図で、閉じたハウジングと挿入されているブリ スターパックの空洞部とを示した図である。 図４は、図１の吸入器の横断面図で、単一レバーを押し下げた状態を示した図 である。 図５は、４個の個別の押出しレバーを有する吸入器の斜視図で、ハウジングの 上方部分と底部部分とを開いて示した図である。 図６は、図５の吸入器の横断面図で、ハウジングを閉じ、ブリスターストリッ プを挿入して示した図である。 図７は、４個の中央押出し手段を有する吸入器の斜視図で、ハウジング上方部 分を開放するように旋回させて示した図である。 図８の吸入器の縦断面図で、ハウジングを閉じ、ブリスターストリップを挿入 して示した図である。 図９は、図８の吸入器の横断面図である。 図１０は、図９の吸入器の押出しプランジャを押下げた状態を示した図である 。 図１に示した本発明の実施例の場合、押出し手段は、単一レバー２として構成 されており、該単一レバー２が、同時にハウジング上方部分を形成している。ハ ウジング上方部分２は、フィルムヒンジを介してハウジング底部部分３に連結さ れている。閉じられた状態では、ハウジング上方部分２が、ハウジング底部部分 ３から僅かに突出する状態で底部部分３に係合している。ほぼ円錐台形に付形さ れたマウスピース１が、ハウジング底部部分３の狭幅側に取り付けられている。 単一のレバー２内には、長方形の穴２７が設けられており、この穴に、押出しプ ランジャ１０のほぼ方形のグリップ板４が係合している（図１には図示せず）。 グリップ板４は、穴２７内を移動可能であり、押出し位置ａ，ｂ，ｃ，ｄの位置 において対応したノッチ２８と係合することで固定されすることができる。吸入 操作前に、移動可能の押出しプランジャ１０を、グリップ板４によって、まだ空 にされていないブリスター空洞部３１（図１には図示せず）の上方へ移動させね ばならない。つまり、押出しプランジャ１０を、係合機能により４つの押出し位 置ａ，ｂ，ｃ，ｄのうちの１つの位置に位置決めしなければならない。ハウジン グ上方部分（単一のレバー）２を押下げることによって、押出しプランジャ１０ の下方に位置したブリスター空洞部３１が押出される。この吸入器の実施例の場 合、ブリスター空洞部３１の押出しは、単一ればー２が広い作用面を有している ので、人差し指と親指でだけでなく、片手全体でも可能である。滑り止めとして 、表面には、長手方向に延びたグリップ溝３５が付加的に設けられている。ハウ ジング上方部分２のアーチ形の凹部３６と、ハウジング底部部分３のグリップ溝 ３５とにより、ハウジングは開け易くされている。ハウジング両部分のはめ合い 状態では、ハウジングは、ピン４２によって閉じ状態に維持される。ピン４２は 、マウスピース１と底部部分３とのカットアウト部４１内に係合している。ピン ４２は、ハウジング上方部分又は単一レバー２に取り付けられており、ハウジン グを閉じた場合に、カットアウト部４１内で押し下げることができる。次いで、 単一レバー２が上方旋回す ることを防止するために、回動可能なマウスピース１を約３０°にわたり回動さ せられる。マウスピース壁部がピン端部を押さえ、この場合、開操作はブロック されるが、それにもかかわらず単一レバー２はブリスター空洞部３１を押し出す ように押し下げられることができる。ハウジングを開くには、マウスピース１を 戻り回動させ、マウスピース１のカットアウト部が単一レバー２におけるピン４ ２を露出させ、単一レバー２を上方旋回させることができる。 ハウジング内部の構成は、図２〜図４の横断面図に示されている。ハウジング 底部部分３には、ブリスターパック用の収容支承部２９が設けられ、該収容支承 部が、Ｖ字形に上方を向いて長手方向に延びた２つのプレートを有している。横 断面図に見られる長手方向に延びたプレートのほかに、収容支承部２９は、ハウ ジングの短い側に横方向に延びる２つの対応プレートを有しており、これにより 、挿入されたブリスターストリップ５が、その四方を支承部２９上で支持される ことになる。支承部２９のプレートは、上部区域で僅かに拡大しており、これに より、ブリスターパック５のための十分な支持面を提供している。さらに、該プ レートは、広がった上端部に、内側を向いた僅かな深さの切欠き３０を有してい る。この切欠き３０内へブリスターパック５が挿入され、この切欠き３０は、支 承部２９の内側へのブリスターパックの滑落を防止している。ハウジングを貫通 して長手方向に延びたダク ト７は、Ｖ字形に配置された支承部２９のプレート間の下方区域に配置されてい る。ダクト７は、図１の斜視図にのみ示したマウスピース１を、この実施例には 図示していない空気入口開口に接続している。支承部２９のプレートは、ハウジ ング底部部分３の壁部と共に、２つのチャンバ３４を取り囲んでいる。該チャン バは、空気ダクト７の左右に延びており、該チャンバ内には、後で使用するブリ スターパック５（いわゆる“交換用ブリスターパック”）を保持することができ る。 図２〜図４には、グリップ板４に一体結合された、凹状に湾曲したプランジャ 面３７を備えたプランジャ１０が示されている。プランジャ１０は、グリップ板 ４を介してハウジング上方部分２に、長手方向滑動可能に結合されている。フィ ルム状ヒンジに隣接したハウジング上方部分の一部４０は、プランジャ１０のた めの内側レバー又は一体のレバーとして働く。 図２には、単一レバーを備えた吸入器が、ハウジングを開いた状態、すなわち ハウジング上方部分２が上方へ旋回せしめられた状態で示されている。この状態 で、ブリスターパック５を支承部２９上に載せることができる。プランジャ１０ のほかに、単一レバー２には、穴２７（図１参照）の長手側に沿って、内側を向 いた薄い２つのウエブ６が設けられている。ハウジング上方部分２の内面とは反 対側のウエブ端部６ａは、支承部２９を取り囲んで係合するように曲げられてい る。ウエブ６の端部間には横方向のウエブが設けられている。ウエブ６と横方向 のウエブとは、ばね弾性的材料から形成されているので、ハウジング上方部分２ が押し下げられ、プランジャ１０がブリスター空洞部３１に接触するさいには、 変形（湾曲）でき、ばね力をもって、ブリスターパック５の縁部を支承部２９に 押し付ける。 図３は、ハウジングが閉じられ、ブリスターパック５が挿入された状態での、 押出し操作の第１段階を示した図である。この図から、弾性的なウエブ６が、支 承部２９の上端と、該支承部に挿入されたブリスターパック５とに接触している 様子が分かる。使用者（図示せず）によって単一レバー２には押圧力が加えられ ているので、ウエブ６には既に応力が加わっている。ウエブ６は、応力下で支承 部２９上にブリスターパックの四方全てを固く押圧するように構成されており、 これにより、ブリスターパック５を空気に対し十分に密封されるように固定する ことができる。プランジャ１０は、内側レバーアーム４０によってハウジング底 部部分３に横方向に結合されているので、プランジャ１０は、ハウジング上方部 分２が閉じられるときに、該上方部分２の旋回軸線を中心としてアーチを描き、 その結果、湾曲プランジャ面３７の縁部は、凸状のブリスター空洞部３１へ非対 称的に接触する、つまり押出し操作の第１段階では、始めに一方の側にだけ接触 する。図３に示した押出し操作段階では、ハウジング 上方部分２が、ハウジング底部部分３に僅かに係合している。 図４は、ブリスター空洞部３１に対する押出し操作の最終段階を示したもので 、空洞部３１は、既に裂開され空になっている。図３と比較すると、ウエブ６は 、さらに一層応力を受けており、ハウジング上方部分２が、さらに底部部分３に 被さって係合している。ブリスター空洞部３１は、プランジャ１０によって押出 されている。それまでブリスター空洞部３１を密閉していたカバー箔は、一方の 側だけ依然としてブリスターパックに結合されており、タグ８として空気流と平 行に配向され、空気ダクト７内に垂れ下がっている。ブリスター空洞部３１への プランジャ１０の非対称的接触によって、最初に湾曲プランジャ面３７が接触し た側が、最初にカバー箔を裂開させる。図４の場合には、薬剤は、裂開されたブ リスター空洞部３１から真っすぐに空気ダクト７内へ落ちる。この箇所から、次 いで行われる吸入動作によって使用者に到達可能である。図４の太い矢印は、押 出し操作時に使用者が力を加える箇所を明示したものである。この箇所に力を加 えると、レバー伝達手段のため、ブリスター空洞部３１の押出しに要する力は、 直接押出し操作の場合の２分の１の力で済む。ブリスターパック５の４つの空洞 部すべてが空になった場合には、ハウジングを開き、新しいブリスターパックを 挿入しなければならない。 図５及び図６には、同様に、レバー手段によって押 出し手段が動作する吸入器の一実施例が示されている。しかし、この実施例の場 合は、移動可能な押出しプランジャ１０を備えた単一レバー２ではなく、４つの 個別の押出しレバー９が用いられている。各押出しレバー９は、押出しプランジ ャ１０を有しており、これらのプランジャは、４つのブリスター空洞部３１を押 出すために順次に操作される。図５は、ハウジングを開いた状態で、４つの押出 しレバーを備えた吸入器を示したものである。ハウジング底部部分３は、中間部 分１３の長手側に取り付けられた適当なヒンジ１７を介してハウジング中間部分 １３に旋回可能に結合されている。４つの押出しレバー９も、同様に、適当なヒ ンジ１６を介してハウジングの中間部分１３に旋回可能に結合されている。ヒン ジ１６は、ハウジングの前記中間部分１３の反対側の長手側に設けられている。 ハウジング中間部分１３の上側は、ブリスターパック用の支承部として働き、ブ リスターパック５を載せるための方形の切欠き３０が中央に設けられている。凹 部３０の底部には、図５には図示しない４つの供給開口２０が形成されている。 この供給開口２０は、ハウジングが閉じられたときに空気ダクト７と連通する。 ハウジングの中間部分の一方の狭幅側には、マウスピース１用の収容板１８が取 り付けられており、反対側の狭幅側には、端片１５用の収容板１９が取り付けら れている。マウスピース１用の収容板１８には、接線方向の空気入口スロット１ ２を有するサイクロンチャ ンバ１１が形成されている。マウスピース１は、円筒形部分と円錐台状に付形さ れた部分とを有しており、収容板１８に取付けられており、円筒形部分がサイク ロンチャンバ１１を取り囲んでいる。空気入口スロット１２を介してサイクロン チャンバ１１に２次空気が流入させるために、マウスピース１は２次空気通路を 有している（図示せず）。空気入口開口（図示せず）を有する端片１５とダイア フラム弁とが、収容板１９に取付けられている。空気ダクト７は、旋回可能なハ ウジング底部部分１４の内側に延びていて、空気ダクト７に沿って長手方向に延 びた対応ビード２５によってハウジングが閉じられた場合にのみ、空気ダクト７ が側方に対して気密に密封される。ハウジング底部部分１４が旋回して開かれる と、空気ダクト７は、開かれ、掃除のために容易にアクセス可能である。ハウジ ングが閉じられると、空気ダクト７が、収容板１８、１９の対応開口を介して、 空気入口開口をマウスピース１に接続する。 図５に示したように、ブリスターパック５がハウジング中間部分１３内へ挿入 された後、ハウジングは旋回され閉じられる。詳言すると、まず、一定の形式で ハウジング上方部分を形成する４つの押出しレバー９を僅かに下方へ旋回させ、 そのさいブリスター空洞部３１には未だ圧力がかからないようにし、次いでハウ ジング底部部分１４を上方へ旋回させる。図６には、この４つの押出しレバーを 有する吸入器が、閉じられ た状態で横断面図で示されている。ヒンジ１７と反対側に位置するハウジング底 部部分１４端部は湾曲させられているので、閉鎖旋回させられている場合には、 押出しレバー９を下部で取り囲むように係合し、この係合結合により、ハウジン グが閉鎖状態に維持される。ハウジングの閉鎖されているときにプランジャがブ リスター空洞部３１に僅かな押圧力を加えるように、ハウジング底部部分１４が 曲げられており、かつ押出しレバー９が付形されている。このようにしてブリス ター空洞部３１は凹部３０内に固定されはするが、まだ空洞部３１は押し出され ていない。つまり、吸入器の閉鎖状態においてブリスターパック５が落下又は除 去されないように、ブリスターパック５は、押出しレバー９が載置されることに より固定される。ハウジング底部部分１４の湾曲は、ハウジングを閉じるために 、ひいては押出しレバー９を自動的に図６に示した位置にもたらすためにはハウ ジング底部部分１４が上方へ旋回するだけでよいことを意味している。図６から 容易に分かるように、ハウジング中間部分１３に押し付けられた、長手方向に延 びた２つのビード２５により、ダクト７が横方向に密封されている。ブリスター 空洞部３１内に包含された１回服用量の薬剤３８を使用者が吸入したいならば、 ４個の押出しレバー９の１つを、有利にはヒンジ１６とは反対側のレバー端部を 押し下げなければならず、これにより、プランジャ１０が、その湾曲プランジャ 面を介してブリスター空洞 部に圧力を加え、空洞部から薬剤を押し出す。図示した太い矢印は、使用者がレ バー９に力を加える場合の有利な箇所を示したものである。図６に示したように 、この実施例の場合においても、ハウジング中間部分１３の側部に結合された内 側レバーアーム４０にプランジャ１０が配置されていることにより、ブリスター 空洞部３１に対して非対称的な接触が行われ、これにより、所望の形式でカバー 箔の１カ所が裂開される。次いで薬剤が、供給開口２０を通過してダクト７内へ 落下し、ここから吸入される。薬剤の次の服用量を押出すには、別の押出しレバ ーを押し下げねばならない。この実施例の押出しレバーは、先の実施例の単一レ バー２より、かなり小さく、かつ個別に作動させなければならないので、使用者 は、押出しレバー９を１本の指で押し下げることが望ましい。単一レバー構成の 場合同様、この実施例の場合にブリスター空洞部からの押出しに要する力は、レ バー手段ないし梃子比により、直接に押出す場合の約２分の１である。この実施 例の利点は、ハウジングを開いて清掃するさい、ダクト７及び供給開口２０にア クセスが用意であることである。 図７〜図１０には、吸入器のさらに別の実施例が示されている。この吸入器は 、直接に、つまりレバー手段ないし梃子比を利用せずに操作される押出し手段を 有している。図７及び図８に見られるように、この吸入器は、マウスピース１及 び端片１５を有するハウジ ングの細長の底部部分３と、押出しプランジャ１０が組み込まれたハウジング上 方部分とを有している。このハウジング上方部分を、ここではハウジングフラッ プ２３と呼ぶことにする。ハウジングフラップ２３が閉じられている場合には、 ハウジングはほぼ管状となる。ハウジングフラップ２３は、ヒンジ２４を介して 、ハウジング底部部分３の端片１５に結合されている。ハウジングフラップ２３ 内には、長方形の凹所２２が設けられており、この凹所内には、グリップ板４と 共に４つの押出しプランジャ１０が配置されている。ハウジング底部部分３には 同様に、ブリスターパック５の支承部として長方形の凹部が設けられている。こ の凹部３０の底部には、４つの供給開口２０が設けられており、該供給開口が粉 末用の空気ダクト７（図７には図示せず）と連通している。閉じられたハウジン グフラップ２３は、ハウジング底部部分３の凹部３０に係合し、挿入されたブリ スターパック５を固定する。端片１５内には、吸入器内へ空気を吸入させるダイ アフラム弁２１を備えた空気入口開口３２が設けられている。マウスピース１は 、円筒形断面部と円錐台形状の断面部を有している。マウスピース１の円筒形断 面部には、接線方向の空気入口スロット１２を有するサイクロンチャンバ１１が 組付けられている。使用時には、空気ダクト７から開口４３を通過し、デフレク タ４４に当たってマウスピース１から吸い込まれる空気によって薬剤が吹き飛ば される。薬剤は、より微細 な粒子に崩壊させられ、接線方向でサイクロンチャンバ１１へ流入する。入口ス ロット１２を介してサイクロンチャンバ１１内へ供給される空気は、２次空気通 路２６から流入する。この２次空気通路２６は、図８の縦断面図にだけ示されて おり、ハウジングフラップ２３内に設けられ、マウスピース１の内部と連通して いる。 図７には、直接操作式の押出し手段を有する吸入器の実施例が、ハウジングフ ラップ２３が開けられ、１つのプランジャ１０が押され、ブリスターパック５が 挿入されていない状態で示されている一方、図８の縦断面図には、ハウジング内 でのブリスターパック５の位置と、押出し手段の作用形式が明瞭に示されている 。ブリスター空洞部３１を空にするには、使用者は、押出しプランジャ１０のグ リップ板４の１つを１本の指で押す。直接の力の伝達によって、凹状に湾曲した プランジャ面３７がブリスター空洞部３１に接触し、カバー箔３９を裂開する。 これにより、薬剤３８が、供給開口２０を通過して空気ダクト７内へ落下し、こ こから吸入される。裂開されたカバー箔は、一部がカバー箔につながったまま残 り、垂れ端８の形状で供給開口内へ垂れ下がる。グリップ板４を有する個々の押 出しプランジャ１０がハウジングフラップ２３に、どのように取り付けられられ ているかは、図８には示されていない。１つの可能な取付け形式の場合、押出し プランジャ１０をハウジングフラップ２３内にルーズ に配置して、ブリスターパック５が挿入され、湾曲したプランジャ面３７がブリ スター空洞部３１上に接触すると、単に上方位置に保持されるだけにすることが 可能である。言うまでもなく、押出しプランジャ１０は、ブリスター空洞部３１ 上に載せられた場合、使用者がグリップ板４を押すことなしには空洞部が損傷さ れない程度に軽いものでなければならない。ブリスター空洞部３１に意図せずし て力が加わるのを防止するために、押出しプランジャ１０が、係合接続又は接触 接続によって上方位置に保持されるようにすることもできる。該係合接続又は接 触接続は、使用者が押すことで容易に外すことができる。別の取付け形式の場合 、押出しプランジャ１０は、ばねマウント形式にすることができる。 図９及び図１０は、ブリスター空洞部３１に対し非対称的に接触するように構 成された押出しプランジャ１０を有する、図７及び図８の吸入器の横断面図であ る。図８の縦断面図では、湾曲したプランジャ面３７の縁部が、プランジャ１０ の軸線に対し何度の角度で延びているかは分からない。その角度が９０°とは異 なる場合、縁部は、常に、ハウジング縦軸線に対し、つまり空気流に対し直角に 延びる平面と交差し、プランジャ横断面は、ハウジング縦軸線に対し横方向に非 対称の構成となる。このようしてのみ、裂開されたカバー箔、つまり垂れ端８が 、押出し操作後、空気流と平行になるように配向される。このことは、また図９ と図１０についても説明できる。図９は、ハウジングフラップ２３が閉じられ、 ブリスターパック５が挿入された状態の吸入器を示したものである。押出しプラ ンジャ１０の非対称の横断面は、湾曲プランジャ面３７の縁部が、プランジャ縦 軸線に対し９０°とは異なる角度で延びるようにすることで達せられ、縁部のこ の平面が、ハウジング縦方向と直角に延びる平面と交差する。湾曲プランジャ面 ３７は、さらにブリスター空洞部３１の対応表面の一部の周囲を、残りの部分よ り先に接触する結果、カバー箔３９が、所定箇所で先ずプランジャ１０によって 裂開される。ブリスターパック５は、ウエブ６によってハウジング底部部分３に 押し付けられるため、気密の閉鎖が可能になる。押出しプランジャ１０は、横断 面が非対称に付形されているため、押圧操作時、容器フィルム３３は、一方に側 が、より大きく伸長され、カバー箔３９は、より大きい荷を受けた容器フィルム ３３の下のこの箇所で裂開し、反対側は、残りのカバー箔３９につながったまま となる。薬剤は、供給開口２０を通過して空気ダクト７内へ落下する。カバー箔 ３９の垂れ端８は、空気流と平行に配向され、供給開口２０内へ垂れ下がり、空 気ダクト７内へ適宜に延在する。

【手続補正書】特許法第１８４条の８第１項 【提出日】１９９７年４月１８日 【補正内容】 薬剤を予め用量にする１つの可能性は、適宜の服用量を、いわゆる“ブリスタ ーパック”形式で包装することである。ブリスターパックは、また、例えば、衛 生的な個々の取出しが可能な錠剤の包装にも使用される。 ヨーロッパ特許出願公開第０４６９８１４号明細書に開示されている、ストリ ップ状のブリスターパックから粉末薬剤を投与するための吸入器では、平らな表 面を有するプランジャがブリスターに対して力を加え、粉末を押し出すか、又は 択一的に、直線状もしくは湾曲状のプランジャ面を用いて、その縁部でブリスタ ーパックを加圧し裂開するが、この後者の場合は、確実にブリスターから粉末が 空にされる保証はない。 ヨーロッパ特許出願公告第２１１５９５号、イギリス特許出願公開第２１２９ ６９１号、イギリス特許出願公開第２１４２２４６号各明細書に開示されている 粉末吸入器は、ブリスターパックから薬剤を放出する。このブリスターパック内 には、薬剤が、固体状の微細に分散された形式で封入されている。ディスク状の ブリスターパックは、ヨーロッパ特許出願公告第２１１５９５号及びイギリス特 許出願公開第２１２９６９１号明細書に記載の粉末吸入器に挿入され、吸入器使 用時、粉末１回服用量がプランジャによって放出され、ブリスターパックは、完 全に空になると、新しいものに取り替えられる。イギリス特許第２１４２２４６ 号明細書は、ストリップ状ブリスターパックから粉末 薬剤を投与する吸入器に関するものであり、その場合、該ブリスターパックが、 １列の個別の凸状ブリスター空洞部を有する容器フィルムと、空洞部を密封する カバー箔とを含んでおり、該空洞部は、粉末薬剤を内包する球面状のキャップ形 状に湾曲している。また前記吸入器は、少なくとも２つのハウジング部分を有す る細長の形状のハウジングを有している。２つのハウジング部分は、継手又はヒ ンジを介して互いに旋回可能に結合されており、該ハウジング部分の１つは、ス トリップ状のブリスターパックを受容する支承部として凹部又は切欠きを有して おり、ハウジングは、一方の狭幅側にマウスピースを、反対側の狭幅側には空気 入口開口を有し、されに該マウスピースと該開口との間には空気ダクトを有して いる。空気ダクトは、支承部に挿入されたブリスターパックの空洞部から直接に 薬剤を受け取るようにされている。そのさい、挿入されたブリスターパックのカ バー箔が、空気ダクトに隣接するようにされており、ハウジングが、ブリスター パックから粉末を放出するためのスパイクを有し、このスパイクでブリスター空 洞部の中心部が押し通され、粉末が圧出される。 次いで公にされたドイツ連邦共和国特許出願公開第４４０００８４号明細書に は、扱いやすく、かつ安価な吸入器が開示されている。この吸入器は、細長の内 室が形成されたハウジングを有し、外部に対して密閉され、一方の狭幅側にはマ ウスピースを、反対側には 空気入口を有し、さらにハウジングの少なくとも１つの主表面に複数ブリスター 空洞部を設けた複数区域とを有している。一実施態様では、ハウジングが開放構 造体から成っており、この開放構造体内へ、１つ以上のストリップ状ブリスター パックを導入することができる。その場合、例えば、旋回させて開くことのでき る構造体内へ、ストリップ状ブリスターパックを押込むか挿入するかする。以上 のすべての実施態様の場合、使用者は、ブリスターパックの個々の空洞部を、指 で押して開かねばならない。つまり、外側へ湾曲しているドーム上へ圧力を加え 、これにより、薄いカバー箔が裂開され、薬剤がハウジング内部へ落ちる。これ らの吸入器の欠点は、指でブリスター空洞部を押し開くさい、空洞内の粉末が機 械荷重を受けて圧縮されて、吸入流内に微細に分散されなくなるか、もしくは分 散が不十分になる点である。 また、前記吸入器のすべてが有している欠点は、扱いにくい点である。つまり 、装置の体積が、使用する１回服用量に比して比較的大きすぎる点である。装置 当たりの体積及び部品数に応じて、公知の粉末吸入器の携帯が、患者にとって負 担となるおそれがある。さらに、機能原理が吸入器によって異なり、しばしば複 雑でもあるため、緊急の場合（例えば急性喘息発作の場合など）や、患者の技術 的理解が乏しい場合、装置が正しく、もしくは全く扱えない危険がある。 本発明の目的は、したがって、ブリスターパックと 共に使用するための、手頃な、扱いやすい粉末吸入器、それも、押出し操作のさ いに、ブリスター空洞部内の薬剤の圧縮を防止することで、吸入流内への薬剤の 微細な分散が可能な粉末吸入器を提供することにある。 この目的は、次のような吸入器によって達成された。すなわち、ストリップ状 のブリスターパックから粉末薬剤を投与する吸入器であって、該ブリスターパッ クが、１列の個別の凸状ブリスター空洞部を有する容器フィルムと、空洞部を密 封するカバー箔とを含んでおり、該空洞部が、粉末薬剤を内包する球面状のキャ ップ形状に湾曲しており、さらに前記吸入器が、少なくとも２つのハウジング部 分を有する細長形状のハウジングを有し、それら２つのハウジング部分が、継手 又はヒンジを介して互いに旋回可能に結合されており、２つのハウジング部分の １つが、ストリップ状のブリスターパックを受容する支承部として凹部又は切欠 きを有しており、前記ハウジングが、一方の狭幅側にはマウスピースを、反対側 の狭幅側には空気入口開口を有し、さらに該マウスピースと該開口との間には空 気ダクトを有しており、該空気ダクトが、支承部に挿入されたブリスターパック の空洞部から直接に薬剤を受け取るようにされており、そのさい、挿入されたブ リスターパックのカバー箔が、空気ダクトに隣接するようにされており、さらに 前記ハウジングが、ブリスターパックの個々の空洞部から粉末を押し出すための 押出し手段を有している形式のものにおいて、薬剤を個々の空洞部から押し出す 前記押出し手段が、少なくとも１つのプランジャを有し、該プランジャが、凸状 のブリスター空洞部の形状に対応する凹状に湾曲したプランジャ面を備えており 、さらに前記押出し手段は、前記少なくとも１つのプランジャの凹状に湾曲した プランジャ面の縁部が、凸状のブリスター空洞部の対応湾曲面に対して、ハウジ ング縦軸線に対し横方向に非対称的に接触するように構成されており、この結果 、裂断されたカバー箔の垂れ端が、空気ダクト内に空気流を妨害することなしに 垂れ下がることを特徴とする吸入器である。 各従属請求項には、本発明の有利な複数の実施例が記載されている。 本発明による吸入器は、ブリスターパックから薬剤を投与するために働く。ブ リスターパックとは、小さな、物を充填された凹部又は空洞部を有する容器フィ ルムと、凹部をシールするカバー箔とを含むパックである。その場合、“ブリス ターパック”という用語は、本発明の範囲において、容器フィルムの種類やパッ クの製造方法に関係なく、この種のパックの最広義で理解すべきである。容器フ ィルムの空洞部区域での厚さは、外側から空洞部を押して、その押し込みの結果 、カバー箔が裂開され得る程度の厚さである。外側から空洞部を押す操作と同時 に、カバー箔が裂開され、薬剤が放出される操作を、以下では“押出し”と記す 。 本発明による吸入器のハウジングは、有利には、細長の形状を有し、一方の狭 幅側にマウスピースを、反対側の狭幅側に空気入口開口を備えている。ハウジン グに挿入されるストリップ状のブリスターパックは、互いに前後に１列に配列さ れた空洞部を有している。吸入器は、吸入器が、特定数、つまり投与される薬剤 の種類や服用量に応じた数の空洞部を有するブリスターパックだけを収容するよ うに構成されている。多くの用途に適当な吸入器は、４つの空洞部を有するブリ スターパックに使用するように構成されている。 吸入器は、ハウジングを有しており、このハウジングは、旋回させて開放可能 であり、継手又はヒンジを介して互いに旋回可能に結合された少なくとも２つの ハウジング部分を有している。ハウジングは、例えば底部部分と上方部分とを有 していることができ、これらの部分が互いに旋回可能に結合されているか、又は ハウジングが、付加的な中央部分を有していることもできる。ハウジングの底部 部分及び中央部分には、ブリスターパックを収容するための切欠きを備えた収容 支承部が設けられている。ハウジングの上方部分には、吸入器を閉じた場合に、 ブリスターパックが固定されるように、収容支承部に対しブリスターパックを押 圧する下向きのウエブを付加的に有していてよい。 本発明による吸入器の押出し手段は、ブリスター空洞部の形状に適合させられ た湾曲プランジャ面を有す る少なくとも１つのプランジャを有している。通常のブリスターパックは、外側 から見て球面状のキャップ形状に湾曲した空洞部を有しているので、これに係合 又は接触するプランジャ面の湾曲も、通常、球面状のキャップと相補的に構成さ れている。ブリスター空洞部の凸状の湾曲に合うように、空洞部に接触又は係合 するプランジャ面を凹状に湾曲させることによって、押出しのさい、薬剤が、空 洞部内で圧縮されることが防止され、空気流内で十分に分散することができる。 押出し手段は、有利にはハウジングに組み込まれている。押出し手段を介して ブリスター空洞部を開放し、空にするためには、使用者は、押出し手段の部分又 は全体を指又は手全体で押さねばならない。その場合、凸状のブリスター空洞部 に係合又は接触する表面を有する押出し手段プランジャへの力の伝達は、直接に 行われるか、又はレバー手段を介して行われる。梃子作用を利用する場合、レバ ー手段は、複数の個別レバーの形式に構成して、各個別レバーが押出しプランジ ャを有するようにするか、又は移動可能な、接触又は係合押出しプランジャを有 する単一のレバーとして構成する。 本発明の有利な一実施例によれば、押出し手段は、ハウジングの上方部分内に 組み込まれ、レバー手段なしで動作する。４つの押出しプランジャを備えた押出 し手段の構造が特に有利であり、これらのプランジャは、グリップ板を介してハ ウジング上方部分に取り付 けられており、必要時には、ブリスター空洞部を空にするために使用者により１ 個づつ順に押し下げられる。 本発明の別の有利な実施例によれば、上方部分自体が押出し手段を形成してい る。移動可能の係合押出しプランジャを備えた単一のレバーとしての、ハウジン グ上方部分の構造が特に有利である。択一的に、ハウジング上方部分を複数の単 一レバーによって構成することもでき、これらのレバーは、使用時に順次に押し 下げられる。 プランジャ面による空洞部の加圧によって、ブリスターパックの薄いカバー箔 が裂開され、薬剤は、付着力により依然として空洞部内に残るか、又は直接にハ ウジングの粉末ダクト内へ落下する。 使用者が吸入器のマウスピースから吸い込むことにより、空気ダクト内に軽度 の負圧が発生し、この負圧によって、依然として空洞部内に残っていた薬剤が、 粉末ダクト内へ搬入され、空気入口開口からは空気が空気ダクト内へ流入する。 さらに、空気ダクト内の空気流が、開放された空洞部を通過するさい、部分負圧 を発生させる（噴射効果）ため、薬剤が、十分に空洞部から吸い出され、残渣が 残ることがない。空気流により、次いでマウスピースに沿って薬剤が搬送され、 マウスピースを通過して使用者の肺内へ吸い込まれる。 空気ダクト内における所望の空気案内のためには、 ブリスターパックのカバー箔を決まった形式で裂開又は裂断される。したがって 、始めに空洞部を密閉していたカバー箔部分が、裂開後、１カ所でだけ取り付け られた一種の垂れ端としてダクト内へ突入する。これにより、垂れ端を空気流と 平行に配向させようとしている。この構成は、例えば、特殊な構成のブリスター パックの使用により助成される。例えば、個別の空洞部を部分的に環状ビードに よって取り囲み、その結果、押出し過程中に、ビード領域において切断されるが 、ビードの設けられていない区域は、残存したカバー箔に繋がったままとなるよ うにする。あるいはまた、カバー箔に所定裂開箇所を設けておく。空洞部を非対 称に、例えば一方の側に溝を設けておいても、同じようにカバー箔の所定の裂開 が可能になる。 従来のブリスターパックを用いて、所定の裂開を生じさせるには、押出し操作 において、プランジャをブリスター空洞部に対し非対称に係合している。このこ とは、例えば、押出しプランジャ自体が非対称の横断面を有するようにすること で達せられる。すなわち、プランジャ長手方向軸線に対して９０°とは異なる角 度で、ハウジングの長手方向に延びた垂直平面と交差する平面内を、湾曲プラン ジャ面の縁部が延びていることにより、プランジャ押圧時、プランジャは最初に 凸状ブリスター空洞部の一方の側に接触する。これにより、カバー箔が、この接 触区域で最初に裂開され、これに対して空洞部の対向側では、残存したカバー箔 に垂れ端が繋がったままとなる。ブリスター空洞部へのプランジャの同様の非対 称的な接触は、対称的に構成された押出しプランジャでも達せられる。その場合 には、押出しプランジャは、レバーアームを介してハウジング横に結合されてい て、この場合、使用者がプランジャを押し下げられたときにプランジャがハウジ ング部分の旋回軸を中心としてアーチ状に運動し、ブリスター空洞部の一方の側 に最初に接触するようになっている。長手方向で非対称的な断面を有する押出し プランジャも、レバー手段と組み合わせることができる。もちろん、上述の非対 称空洞部を有するブリスターパックも、押出し装置がブリスター空洞部に非対称 的に接触する吸入器において使用することができる。 請求の範囲 １． ストリップ状のブリスターパック（５）から粉末薬剤を投与するための 吸入器であって、該ブリスターパック（５）が、１列の個別の凸状ブリスター空 洞部（３１）を有する容器フィルム（３３）と、空洞部を密閉するカバー箔（２ ９）とを含んでおり、前記空洞部が、粉末薬剤を内包する球面状のキャップの形 状に湾曲しており、また前記吸入器が、少なくとも２つのハウジング部分（２、 ３、９、１３、１４、２３）を有する細長形状のハウジングを有し、該ハウジン グ部分が、継手又はヒンジ（１６、１７、２４）を介して互いに旋回可能に結合 され、該ハウジング部分の１つが、ストリップ状のブリスターパック（５）を受 容する支承部（２９）として凹部又は切欠き（３０）を有しており、また前記ハ ウジングが、一方の狭幅側にはマウスピース（１）を、反対側の狭幅側には空気 入口開口（３２）を、さらに該マウスピースと該開口との間には空気ダクト（７ ）を有しており、該空気ダクトが、支承部（２９）に挿入されたブリスターパッ ク（５）の空洞部（３１）から直接に薬剤（３８）を受け取るようにされており 、そのさい、挿入されたブリスターパック（５）のカバー箔（２９）が、空気ダ クト（７）に隣接するようにされており、さらに前記ハウジングが、ブリスター パック（５）の個々の空洞部（３１）から粉末を押し出すための押出し手段を有 している形式のものにおいて、 薬剤を個々の空洞部（３１）から押し出す前記押出し手段が、少なくとも１つ のプランジャ（１０）を有し、該プランジャが、凸状のブリスター空洞部（３１ ）の形状に対応する凹状に湾曲したプランジャ面（３７）を備えており、さらに 前記押出し手段は、前記少なくとも１つのプランジャの凹状に湾曲したプランジ ャ面（３７）の縁部が、凸状のブリスター空洞部（３１）の対応湾曲面に対して 、ハウジング縦軸線に対し横方向に非対称的に接触するように構成されており、 この結果、裂断されたカバー箔（３９）の垂れ端（８）が、空気ダクト（７）内 に空気流を妨害することなしに垂れ下がることを特徴とする吸入器 ２． 前記ハウジングが、マウスピース（１）及び端片（１５）を備えた細長 の底部部分（３）と、フラップ状の上方部分（２３）とを有しており、該上方部 分が、ヒンジ（２４）を介して底部部分（３）の端片（１５）に結合されており 、さらに前記押出し手段が、少なくとも１つの押出しプランジャ（１０）を有し 、該押出しプランジャが、凹状に湾曲したプランジャ面（３７）と、該プランジ ャ面と反対側のプランジャ端部のグリップ板（４）とを有しており、さらに前記 押出し手段が、ハウジングのフラップ状上方部分（２３）内に組付けられており 、押出し操作時に押出しプランジャ（１０）へ力を伝達できるレバー手段が備え られていない、請求項１記載の吸入器。 ３． 前記押出し手段が、４つの押出しプランジャ（１０）を有し、該プラン ジャが、グリップ板（４）を介してハウジング上方部分（２３）内に取り付けら れており、ハウジングが閉じられ、ブリスターパック（５）が挿入された状態で 、前記押出しプランジャ（１０）を、ストリップ状ブリスターパック（５）の、 外方へ湾曲した空洞部（３１）上へ、個々に押し下げ可能である、請求項１記載 の吸入器。 ４． 前記ハウジングが、少なくとも１つのハウジング上方部分（２、９）と 、ハウジング底部部分（３）とを有しており、該ハウジング上方部分（２、９） が、押出し操作時に、レバー手段を介して押出しプランジャ（１０）へ力を伝達 可能である押出し手段として構成されている、請求項１記載の吸入器。 ５． 前記押出し手段が、変位可能の、接触又は係合押出しプランジャ（１０ ）を備えた単一レバー（２）として構成されている、請求項４記載の吸入器。 ６． 前記押出し手段が、複数レバー（９）として構成され、該レバーのそれ ぞれが押出しプランジャ（１０）を備えている、請求項４記載の吸入器。 ７． 複数のウエブ（６）が備えられ、該ウエブが、ばね弾性を有する材料製 であり、かつハウジング上方部分（２、２３）に、内方を向いて取り付けられ、 受容支承部（２９）に対してブリスターパック（５）を押し付けるようにされて おり、これにより、吸入器が閉じられた場合に凹部又は切欠き（３９）内にブリ スターパックが固定される、請求項１記載の吸入器。 ８． 押出しプランジャ（１０）が、凹状に湾曲したプランジャ面（３７）を 有し、該プランジャ面の縁部の平面が、前記押出しプランジャ（１０）の縦軸線 に対して９０°とは異なる角度で延びており、縁部の前記平面が、ハウジング縦 方向と直角に延びる平面と交差するようにされ、それによってプランジャ（１０ ）がブリスター空洞部（３１）に非対称に接触する、請求項１記載の吸入器。 ９． 押出しプランジャ（１０）が凹状に湾曲したプランジャ面（３７）を有 し、該プランジャ面の縁部の平面が、前記押出しプランジャ（１０）の縦軸線に 対し９０°の角度で延びており、かつまた前記プランジャ（１０）が、レバーア ーム（４０）を介してハウジング側部に結合され、これにより、使用者がプラン ジャを押し下げた場合、プランジャ（１０）が、レバーアーム（４０）の旋回軸 を中心としてアーチ形の運動を行い、それによって、プランジャ面（３７）の縁 部の、ブリスター空洞部（３１）への接触が、最初に一方の側に対して行われる 、請求項１記載の吸入器。 １０． 前記マウスピース（１）が、円筒形部分と円錐台形部分とを有し、円 筒形部分の内部にサイクロンチャンバ（１１）が設けられ、該サイクロンチャン バが、接線方向の空気スロット（１２）と２次空気ダクト（２６）とを有してい る、請求項１記載の吸入器。 １１． 前記空気入口開口（３２）が逆止め弁（２１）を備えている、請求項 １記載の吸入器。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １． ストリップ状のブリスターパック（５）から薬剤（３８）を投与するた め吸入器であって、該吸入器がハウジングを有し、該ハウジングが、一方の側に はマウスピース（１）を、他方の側には空気入口開口（３２）を有し、またマウ スピース（１）と開口（３２）との間には、空気ダクト７とブリスターパック（ ５）を挿入する収容支承部（２９）とを有しており、そのさい、ブリスターパッ ク（５）の挿入時に、薬剤を内包するブリスター空洞部３１を密閉しているカバ ー箔が空気ダクト（７）に隣接するようにされている形式のものにおいて、前記 ハウジングが、ブリスターパック（５）の個々の空洞部（３１）から薬剤を押出 すための押出し手段を有しており、該押出し手段が、凹状に湾曲したプランジャ 面（３７）を備えた少なくとも１つのプランジャ（１０）を有し、該プランジャ 面が、凸状のブリスター空洞部（３１）の形状に対応していることを特徴とする 、ストリップ状のブリスターパックから薬剤を投与するための吸入器。 ２． 前記ハウジングが、少なくとも２つのハウジング部分（２、３、１３、 １４、２３）を有し、該部分ハウジングが、継手又はヒンジを介して互いに旋回 可能に結合されており、ハウジング部分の１つ（３、１３）が、ブリスターパッ ク（５）を収容するための支承部として切欠き又は凹部（３０）を有している、 請求項１記載の吸入器。 ３． 前記押出し手段（４、１０）が、ハウジング上方部分（２３）内に組付 けられており、押出し操作時に押出しプランジャ（１０）へ力を伝達できるレバ ー手段が用いられていない、請求項１又は２記載の吸入器。 ４． 前記押出し手段が、４つの押出しプランジャ（１０）を有し、これらの プランジャが、グリップ板（４）を介してハウジング上方部分（２３）内に取り 付けられており、ハウジングが閉じられ、ブリスターパック（５）が挿入された 状態で、前記押出しプランジャ（１０）が、ブリスターパック（５）の、外方へ 湾曲した空洞部（３１）上へ、個々に押し下げ可能である、請求項３記載の吸入 器。 ５． 前記押出し手段がレバー手段を有しており、押出し操作時、力が、該レ バー手段を介して押出しプランジャ（１０）へ伝達可能である、請求項１記載の 吸入器。 ６． ハウジングの上方部分（２、９）が押出し手段として構成されている、 請求項５記載の吸入器。 ７． 前記押出し手段が、変位可能の、接触又は係合押出しプランジャ（１０ ）を備えた単一レバー（２）として構成されている、請求項６記載の吸入器。 ８． 前記押出し手段が、複数レバー（９）を有し、該レバーのそれぞれが押 出しプランジャ（１０）を備えている、請求項６記載の吸入器。 ９． ハウジング上方部分（２、２３）に、収容支承部（２９）に対してブリ スターパック（５）を押し付けるための内方を向いたウエブ（６）が備えられ、 これにより、閉じた吸入器内で凹部又は切欠き（３０）内にブリスターパックが 固定される、請求項１から８までのいずれか１項に記載の吸入器。 １０． プランジャ（１０）の凹状に湾曲したプランジャ面（３７）の縁部が 、ブリスター空洞部（３１）の対応湾曲面に非対称に接触するように、前記押出 し手段が構成されている、請求項１から９までのいずれか１項記載の吸入器。 １１． 押出しプランジャ（１０）の湾曲プランジャ面（３７）の縁部が、プ ランジャ（１０）の縦軸線に対して９０°とは異なる角度で延び、プランジャ（ １０）がブリスター空洞部（３１）に非対称に接触するように、前記縁部の平面 が、ハウジング縦方向と直角に延びる平面と交差する、請求項１０記載の吸入器 。 １２． 押出しプランジャ（１０）の湾曲プランジャ面（３７）の縁部が、プ ランジャ（１０）の縦軸線に対し９０°の角度で延び、該プランジャ（１０）が 、レバーアームを介してハウジング側部に結合され、使用者がプランジャを押し 下げた場合、プランジャ（１０）が、レバーの旋回軸を中心としてアーチ形の運 動を行うことによって、プランジャ面（３７）の縁部の、ブリスター空洞部（３ １）への接触が、最初に一 方の側に対して行われる、請求項１１記載の吸入器。 １３． 前記マウスピース（１）が、その内部にサイクロンチャンバ（１１） を有し、該サイクロンチャンバが接線方向のスロット（１２）を有している、請 求項１記載の吸入器。 １４． 前記空気入口開口（３２）が逆止め弁（２１）を備えている、請求項 １記載の吸入器。