JPH10506837A - スラッジ相反応器およびその用途 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 発熱性スラッジ相反応のための反応器（１）につき開示し、この反応器は熱交換器（２）として反応器内の反応物質により下側および上側が覆われたリング室を備え、このリング室は反応物質のための円形断面を持った複数の垂直流路（２１）を備えると共に、冷却剤は反応物質のための流路の間のリング室を流過する。

Description

【発明の詳細な説明】 スラッジ相反応器およびその用途 スラッジ相反応は、少なくとも１種の微細な固相および液相が関与する反応で ある。 強発熱性のスラッジ相反応は反応熱を効果的に導出することができる。したが って、スラッジ相反応器は反応槽の内部に高価な熱交換器構造を備える［たとえ ば米国特許発明明細書第３ ２４３ ２６８号または欧州特許出願公開明細書第 ２６３ ９３５号参照］。公知のスラッジ相反応器の場合、熱交換は反応物質を 伝熱媒体と発生する水蒸気とが向流にて案内されるいわゆる「フィールド」−熱 交換チューブもしくは一方の側が閉鎖された沸騰チューブにポンプ輸送して行わ れる。その欠点は、反応室に対する種々異なる反応物質の流速およびこれに基因 する熱交換器の貧弱な効率である。反応物質における種々異なる流速は、反応に 関与する固体成分が沈降するような流動休止帯域をもたらす。 本発明によれば、熱交換器として伝熱媒体が実質的に１方向にのみ流過する槽 を設けることが提案され、この槽には反応物質のための円形断面を有する複数の 流路を装着する。したがって本発明によれば、熱交換器において従来の気化−熱 交換器と対比して反応物質が「逆方向」に案内される。 本発明の主題は： （ａ）反応槽と、 （ｂ）冷却媒体および反応物質が流過する反応槽内のリング室の形態であって、 リング室反応物質により下側および上側で覆われた熱交換器と、 （ｃ）リング室の内部に反応物質を逆流させるための中央の自由流動室と、 （ｄ）中央の自由流動室とリング室との間に反応物質を循環させる中心攪拌機と を備えてなる発熱性スラッジ相反応のためのスラッジ相反応器であり、リング室 は反応物質のための円形断面を有する複数の垂直流路を備えると共に、冷却媒体 は反応物質のための流路の間でリング室を流過することを特徴とする。 好ましくは熱交換器−リング室には反応物質と伝熱媒体とが実質的に同方向に 流過する。特に、反応物質のための流路はリング室中を垂直上方向に貫通する。 この場合、好ましくは撹拌機を中央の自由流動室の下側出口に配置すると共に、 少なくとも１種の反応成分を撹拌機の直ぐ近くに供給して、一方では反応物質に おける各反応成分の急速な分配を生ぜしめると共に他方では供給された各反応成 分を反応物質と共に極めて急速に熱交換器中へ導入する。 反応を連続的に実施するには反応槽における液面の上方にオーバーフローを設 け、そこから反応した反応物質を連続的に排出しうる。 好ましくは伝熱媒体としては反応温度にて気化する媒体を使用し、これは熱交 換器−リング室の底部に液状で供給され、熱交換器−リング室の頂部にてガス状 で排出される。特に好ましくは、伝熱媒体として水を使用すると共に、熱交換を 水蒸気を得ながら行う。冷却媒体温度は、好ましくは得られた水蒸気の圧力維持 の下で調整される。 好ましくは本発明によるスラッジ相反応器にて、反応は気相の関与の下に実施 される。この目的で、撹拌機はガス吹込攪拌機として形成され、或いは付加的な ガス吹込部材を備える。 ガス吹込攪拌機を備えた本発明によるスラッジ相反応器は特に芳香族ニトロ化 合物のスラッジ相水素化を実施するのに適し、特に対応のジアミンを得ながらジ ニトロトルエンを水素化するのに好適である。 以下、添付図面の第１図および第２図を参照して本発明を詳細に説明する。 第１図は本発明によるスラッジ相反応器の断面図であり、 第２図は第１図による反応器のＡ−Ａ線断面図である。 第１図による反応器は３つの部分で構成された反応槽１からなり、フランジ１ １および１２により合体させる。反応槽１の中央部分はリング状の熱交換器２を 内蔵し、この熱交換器は全面が閉鎖されたリング室で構成されると共に、反応物 質を矢印（図示）に沿って上昇流過させる複数の流過チューブ２１を貫通させる 。リング室２における残余の中間室２２には熱交換媒体が存在する。反応物質の 逆流は、リング状熱交換器２の内部にて中央の自由流動室３によって図示の矢印 のように行われる。反応物質の循環流動は、反応器の外部で駆動される中心撹拌 軸４１と撹拌羽根４２とを備えたた攪拌機４によって行われる。その際、撹拌羽 根４２は中央流動室３からの出口の高さに下方向で配置される。図示した実施例 において撹拌軸４１は中空軸として形成され、撹拌羽根４２の下方にガス吹込装 置４３を備える。反応物質にガス吹込するためのガスは、反応槽１の上側部分に おけるガス室から吸入開口部４４により撹拌軸４１にて吸入される。ガス供給部 ４５を介し所定のガス圧力が得られる。芳香族ニトロ化合物を水素化するための 本発明による反応器の使用に際し、水素は１０〜４０バールの圧力にて使用され る。好ましくは新鮮水素供給は反応物中へ直接に行うことができる。芳香族ニト ロ化合物は供給導管５を介し撹拌羽根４２の直ぐ近くで導入される。微細な固体 相として反応物質には水素化触媒（たとえば炭素、ＳｉＯ₂、Ａｌ₂Ｏ₃などの支 持粒子における貴金属もしくはニッケル、或いはラネーニッケル触媒）を反応物 質に分散させる。生成物をオーバーフロー７で連続的に排出させて、一定の液面 を維持させる。熱交換器−リング室はさらに熱交換媒体−循環路６から供給され る。沸点より僅か低い熱交換媒体（好ましくは水）が箇所６１にて熱交換器に下 方から導入される。水蒸気は箇所６２にて熱交換器から上方へ移動して水蒸気分 離器６３に案内される。矢印６４はエネルギー回収のための水蒸気の導出を示す 。冷却水の供給弁６５は、水蒸気分離器６３における水面のためのレベル制御器 ６６によって制御される。芳香族ニトロ化合物を水素化するための本発明による 反応器の好適使用に際し、冷却媒体圧力６４は反応器内で１２０〜２５０℃の温 度を維持するよう制御される。 第２図における記号は第１図におけると同じ部材を示す。流過チューブ２１を 部分的にのみ示す。熱交換器２は、チューブの公称幅（２５〜１０ｍｍ）および 熱交換器の直径（３ｍまで）に応じ１００〜３０００本の流過チューブ２１を備 えることができる。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １． （ａ）反応槽と、 （ｂ）熱交換媒体および反応物質が流過するリング室の形態であって、反応物質 により下側および上側が覆われた熱交換器と、 （ｃ）リング室の内部に反応物質を逆流させるための中央の自由流動室と、 （ｄ）中央の自由流動室とリング室との間の反応物質を循環させる中心攪拌機と を備えてなる発熱性スラッジ相反応のためのスラッジ相反応器において、リング 室は反応物質のための円形断面を有する複数の垂直流路を備えると共に、熱交換 媒体は反応物質のための流路の間にてリング室を流過することを特徴とするスラ ッジ相反応器。 ２． 撹拌機をガス吹込撹拌機としてさらに形成したことを特徴とする請求の範 囲第１項に記載のスラッジ相反応器。 ３． 撹拌機が中央流動室における反応物質を下方向に搬送すると共に、垂直流 路における流れが上方向に生ずることを特徴とする請求の範囲第１項または第２ 項に記載のスラッジ相反応器。 ４． 撹拌機が中央の自由流動室の出口に配置されると共に壁貫通式（ｗａｎｄ ｇａｎｇｉｇ）に形成されたことを特徴とする請求の範囲第１〜３項のいずれか 一項に記載のスラッジ相反応器。 ５． 少なくとも１種の反応相手が撹拌機の直ぐ近くにて反応物質中に導入され ることを特徴とする請求の範囲第１〜４項のいずれか一項に記載のスラッジ相反 応器。 ６． スラッジ相水素化を行うための請求の範囲第１〜５項のいずれか一項に記 載の反応器の使用。 ７． 芳香族ニトロ化合物を水素化するための請求の範囲第６項に記載の使用。 ８． ジニトロトルエンを水素化するための請求の範囲第７項に記載の使用。 ９． 請求の範囲第１〜５項のいずれか一項に記載の反応器を使用してスラッジ 相水素化を行う方法において、冷却剤として水を使用するた共に、利用しうる水 蒸気を得ることを特徴とするスラッジ相水素化を行う方法。