JPH10506277A - カルシウムフリーのサブチリシン変異体 - Google Patents

カルシウムフリーのサブチリシン変異体

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JPH10506277A JP8510855A JP51085595A JPH10506277A JP H10506277 A JPH10506277 A JP H10506277A JP 8510855 A JP8510855 A JP 8510855A JP 51085595 A JP51085595 A JP 51085595A JP H10506277 A JPH10506277 A JP H10506277A
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    • C12N9/54Proteinases, e.g. Endopeptidases (3.4.21-3.4.25) derived from bacteria or Archaea bacteria being Bacillus

Abstract

(57)【要約】 新規のカルシウムフリー・サブチリシン変異体、特にアミノ酸75-83が消失するように変異されていて酵素活性及び安定性を維持しているサブチリシンを教示する。当該サブチリシン変異体を製造する組み換え法及び当該サブチリシン変異体をコードする組み換えDNAも同時に提供される。

Description

【発明の詳細な説明】 カルシウムフリーのサブチリシン変異体 連邦政府後援研究についての声明 米国政府は本発明において一括払い認可を得ており、限定された環境内で特許 所有者に国立保健協会(National Institute of Health)により与えられる譲渡 No.GM42560の条件で提供されるような合理的な条件で他者に使用許可を与える ように要求する権利を有する。 本発明の一般的目的 本発明の一般的目的はカルシウムを結合しないように変異されているサブチリ シン変異体を提供することにある。 本発明の別の目的は、カルシウムを結合しないサブチリシン変異体を発現によ って供給するDNA配列を提供することにある。 本発明の別の目的は、熱安定性を高めるような特定の変異の組み合わせを含む サブチリシン変異体を提供することにある。 本発明の別の目的は、適当な組換え宿主細胞において1個以上の置換、欠失又 は追加の変異を含むサブチリシンDNAを発現させることによりカルシウムを結合 しないサブチリシン変異体を合成するための方法を提供することにある。 本発明のより特定の目的としては、カルシウムを結合しないように変異されて いるクラスIサブチラーゼ変異体、特にBPN'変異体を提供することがある。 本発明の他の特定の目的としては、カルシウムを結合しないクラスIサブチラ ーゼ変異体、及び特にBPN'変異体を発現してもたらすDNA配列を提供することが ある。 本発明の他の特定の目的としては、適当な組換え宿主細胞において1個以上の 置換、追加又は欠失の変異を含むクラスIサブチラーゼ変異体DNA配列、より詳 しく言えばBPN’DNAコード配列を発現させることによってカルシウムを結合しな いサブチリシンI-S1又はI-S2変異体、及び特にBPN'変異体を作成するための方法 を提供することがある。 本発明のさらに別の特定の目的としては、熱安定性の向上をもたらすか又はフ ォールディング(folding:おりたたみ)反応への協同性を回復させる特定の変異 の組み合わせをさらに含みカルシウムを結合しない変異サブチリシンI-S1又はI- S2、及びより詳しく言えばBPN’変異体を提供することがある。 本発明のサブチリシン変異体はサブチリシンが現在使用されている用途に利用 することができる。これらの変異体がカルシウムを結合しないならば、それらは 野性型のカルシウム結合性サブチリシンの活性を実質的に低下させるキレート化 剤、例えば洗剤組成物が含まれるような工業的環境下における使用に特に優れて 適していると言える。 発明の背景 (1) 発明の分野 本発明はカルシウム結合が消失するように修飾されたサブチリシン蛋白に関す る。より詳しく言えば、本発明はカルシウムA-結合ループが欠失し、とりわけア ミノ酸75-83が欠失しており、それ以外に1個以上の他の変異、例えば熱安定性 の向上をもたらすサブチリシン修飾、及び/又はフォールディング反応への協同 性を回復させる変異を含んでいてもよい新規のサブチリシンI-S1及びI-S2変異体 、とりわけBPN’変異体に関する。 (2) 関連技術の説明 サブチリシンはフォールディング及びアンフォールディングに実質的な動力学 的障壁を持つ単量体蛋白の珍しい例である。その周知の例であるサブチリシンBP N’は バシラス・アミロリクェファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)に より分泌される275アミノ酸セリンプロテアーゼである。この酵素は工業的な重 要性がかなり高く、数多くの蛋白工学研究の対象となってきた(シーゼンら(Siez en et al.),Protein Engineering 4:719-737(1991); ブライアン(Bryan),Phar maceutical Biotechnology 3(B):147-181(1992); ウェルズら(Wells et al.),T rends Biochem.Sci.13:291-297(1988))。サブチリシンBPN’に対するアミノ酸 配列は当技術分野において公知であり、バサンタら(Vasantha et al.),J.Bact eriol.159:811-819(1984)に見ることができる。 そこに見られるアミノ酸配列を参考としてここに組み入れる[SEQUENCE ID NO:1 ]。本出願を通じて、出願人がサブチリシンBPN’又はその変異体のアミノ酸配 列を言及する場合は、そこに提示されているアミノ酸配列を指している。 サブチリシンはグラム陽性細菌又は真菌によって生産されるセリンプロテアー ゼである。多数のサブチリシンのアミノ酸配列が知られている(シーゼンら(Sie zen et al.),Protein Engineering 4:719-737(1991))。これにはBacillus株か らの5個のサブチリシン、例えばサブチリシンBPN’、サブチリシン・カールス バーグ(Carlsberg)、サブチリシンDY、サブチリシン・アミロサッカリチカス、 及びメセンチコペプチダーゼが含まれる(バサンタら(Vasantha et al.),「Bacil lus amyloliquefaciensのアルカリプロテアーゼ及び中性プロテアーゼに対する 遺伝子はシグナル配列及び成熟蛋白をコードする領域の間に大きな転写解読枠を 含む」,J.Bacteriol.159:811-819(1984); ジェイコブスら(Jacobs et al.), 「Bacillus Licheniformisからのサブチリシン・カールスバーグのクローニング 、配列決定及び発現」,Nucleic Acids Res.13:8913-8926(1985); ネドコブら( Nedkov et al.),「サブチリシンDYの完全アミノ酸配列及びサブチリシンBPN’ 、カールスバーグ及びアミロサッカリチカスの一次構造との比較」,Biol.Chem .Hoppe-Seyler 366:421-430(1985);クリハラら(Kurihara et al.),「サブチリ シン・アミロサッカリチカス」,J.Biol.Chem.247:5619-5631(1972);及びス ベンドセンら(Svendsen et al.),「アルカリ・メセンテリコペプチダーゼの完 全アミノ酸配列」,FEBS Lett.196:228-232(1986))。 2個の真菌プロテアーゼからのサブチリシンのアミノ酸配列も公知である:Tr itirachium albamからのプロテイネースK(ジャニーら(Jany et al.),「Tritir achium albam LimberからのプロテイネースK」,Biol.Chem.Hoppe-Seyler 36 6:485-492(1985))及び好熱性真菌Malbranchea pulchellaからのサーモマイコラ ーゼ(ガウチャーら(Gaucher et al.),「エンドペプチダーゼ:サーモマイコリ ン」,Methods Enzymol.45:415-433(1976))。 これらの酵素は、一次配列及び酵素的性質を通じてのみならず、X-線結晶解析 データの比較からもサブチリシンBPN’との関連性が示されている(マックファ ーレンら(McPhalen et al.),「サブチリシン・カールスバーグとの複合体を形 成したヒルの阻害剤エグリンの結晶及び分子構造」,FEBS Lett.188:55-58(198 5)及びパーラーら(Pahler et al.),「真菌プロテイネースKの三次元構造から 細菌性サブチリシンとの類似性が明らかにされる」,EMBO J.,3:1311-1314(198 4))。 サブチリシンBPN’はBacillus amyloliquefaciensによって分泌される特定の サブチリシン遺伝子の例である。この遺伝子はBacillus subtilisにおける天然 のプロモーター配列から高レベルでクローニング、配列決定及び発現されている 。サブチリシンBPN’構造は1.3Åの解像度まで高度に精密化されており(R=0.14 )、2個のイオン結合部位に関する詳細な構造が明らかにされている(フィンゼ ルら(Finzel et al.),J.Cell.Biochem.Suppl.10A:272(1986);パントリアー ノら(Pantoliano et al.),Biochemistry 27:8311-8317(1988); マックファーレ ンら(McPhalen et al.),Biochemistry 27:6582-6598(1988))。これらのうちの 一方(部位A)は高い親和力でCa2+を結合しN-末端近くに位置し、他方(部位B )はカルシウム及び他の陽イオンをはるかに弱く結合し、約32Å離れて位置する (図1)。2個のカルシウム結合部位についての構造的な証拠はボードら(Bode et al.,Eur.J.Biochem.166:673-692(1987))によって相同する酵素である サブチリシン・カールスバーグについて報告されている。 これに関して言えば、I-S1及びI-S2群の全てのサブチリシンおける一次カルシ ウム結合部位はヘリックスCの同一の位置にほぼ同一の9残基ループから形成さ れている。I-S1サブチリシンBPN’及びカールスバーグのX-線構造をI-S2サブチ リシン・サビナーゼと共に高解像度で測定した。これらの構造の比較からこれら 3個が全てほぼ同一のカルシウムA部位を持つことが明らかにされる。 Thermoactinomyces vulgarisからのサーミターゼであるクラスIサブチラーゼ のX-線構造は公知である。BPN'のサーミターゼに対する全体的な相同性はBPN'の I-S1及びI-S2サブチリシンに対する相同性よりもはるかに低いが、サーミターゼ は類似のカルシウムA部位を持つことが示されている。サーミターゼの場合、上 記ループはヘリックスCの同等の部位に10残基による中断となっている。 カルシウム結合部位は細胞外微生物プロテアーゼに共通する特徴であり、おそ らくはそれらが熱力学的及び動力学的安定性に大きく貢献しているためと考えら れる(マシューズら(Matthews et al.),J.Biol.Chem.249:8030-8044(1974); ブードゥーら(Voordouw et al.),Biochemistry 15:3716-3724(1976); ベッツェ ルら(Betzel et al.),Protein Engineering 3:161-172(1990); グロスら(Gros et al.),J.Biol.Chem.266:2953-2961(1991))。サブチリシンの熱力学的及び 動力学的安定性は、サブチリシンが分泌されそれ自身の存在によってプロテアー ゼが充填されている細胞外環境の過酷さによって必要と考えられる。従って、自 然な形態を固定して一時的なアンフォールディング及び蛋白分解を防ぐためにア ンフォールディングには高い活性化障壁が不可欠と考えられる。 あいにく、サブチリシンの主な工業上の用途はサブチリシンからカルシウムを 奪い取りその安定性を損なう金属キレート化剤を高濃度に含む環境中にある。そ こで、カルシウムに依存しない高安定性サブチリシンの創製は実際的な意義が非 常に高いと考えられる。 本発明者らは単純な熱力学モデルを想定してアンフォールディング遷移に近似 させることによってサブチリシンの熱変性に対する安定性を向上させようとする 幾つかの戦略をこれまでに用いてきた(パントリアーノら(Pantoliano et al.),B iochemistry 26:2077-2082(1987); パントリアーノら(Pantoliano et al.),Bioc hemistry 27:8311-8317(1988); パントリアーノら(Pantoliano et al.),Biochem istry 28:7205-7213(1989); ローレンスら(Rollence et al.),CRCCrit.Rev.B iotechnol.8:217-224(1988))。しかしながら、工業上の環境、例えば金属キレ ート化剤を含む環境内で安定であり、カルシウムを結合しない改良されたサブチ リシン変異体は現在のところ利用できない。 発明の目的及び要約 従って、本発明の目的はカルシウム結合が消失するように修飾されている変異 又は修飾サブチリシン酵素、例えばクラスIサブチラーゼを提供することにある 。本発明で用いる「変異又は修飾サブチリシン」という用語はカルシウム結合が 消失するように修飾されているいずれかのセリンプロテアーゼ酵素を含むものを 意 味している。これには特にサブチリシンBPN’及びサブチリシンBPN’に相同のセ リンプロテアーゼ、とりわけクラスIサブチラーゼが含まれる。しかしながら、 ここで用いられる、変異又は修飾されたサブチリシン酵素の定義の下では、本発 明の突然変異を上で参照したサブチリシンBPN’、サブチリシン・カールスバー グ、サブチリシンDY、サブチリシン・アミロサッカリチカス、メセンチコペプチ ダーゼ、サーミターゼ、又はサビナーゼの配列と少なくとも50%、好ましくは80% のアミノ酸配列同一性を持ち、よって相同と見なすことができるいずれかのセリ ンプロテアーゼ中に導入することもできる。 本発明の変異サブチリシン酵素は金属キレート化剤の存在下でより安定であり 、天然又は野性型サブチリシンと比較して熱安定性が向上していることもありう る。熱安定性は蛋白の全体的な丈夫さの良い指標となる。熱安定性が高い蛋白は カオトロピック剤、洗剤の存在下、及び通常ならば蛋白を不活性化しがちな他の 条件下でもしばしば安定である。熱安定性の蛋白は従って、高温に対する抵抗性 、過酷な溶媒条件又は長い貯蔵寿命が要求される多くの工業的用途及び治療用途 に有用と考えられる。 さらに、サブチリシンにおける個々の安定化変異を組み合わせることによって 安定化の自由エネルギーにほぼ相加的な増加が得られることが見いだされている 。熱力学的安定性は高温及び高pHにおける不可逆的不活性化に対する抵抗性と関 連することも示されている。本発明の単一部位変化は単独ではフォールディング の自由エネルギーに対する寄与が1.5Kcal/molを越えることはない。しかしなが ら、ほとんどの蛋白におけるフォールディングの総自由エネルギーは5-15Kcal/m olの範囲にあるために、変異が組み合わせられた場合、安定化の自由エネルギー におけるこれらの小さな漸増性の増加が全体的な安定性を劇的に増大させること になる(クレイトン(Creighton),蛋白:構造と分子特性,W.H.Freemam and Com pany,New York(1984))。 幾つかの組み合わせ変異のX-線結晶解析から、それぞれの変異に関連する配置 変化は基幹構造にはごく僅かな歪みをもたらすだけで非常に局所集中的な傾向に あることが明らかにされる。従って、蛋白の三次構造に基本的な変化はなくアミ ノ酸配列に僅かに個々の変化があるだけで非常に大きな安定性の増大を達成する ことができる。先に示唆されているように(ホルムスら(Holmes et al.),J.Mol .Biol.160:623(1982))、フォールデッド(folded)形態における水素結合及び 疎水性相互作用の改良並びにアンフォールデッド(unfolded)酵素の鎖エントロピ ーの減少を含む種々の方法によって安定化の自由エネルギーに寄与することがで きる。このことは重要であり、なぜなら熱安定性酵素は一般により広い温度範囲 でより長い半減期を持ち、それによって生物反応体としての能力及び貯蔵寿命が 改善されるためである。 前記のように、本発明はカルシウム結合を消失させる1個以上の欠失、置換又 は追加の変異を含むサブチリシン変異体を提供するものである。好ましくは、こ れをクラスIサブチラーゼの場合にはヘリックスC中の9個のアミノ酸残基を含 むカルシウムA部位におけるアミノ酸の欠失、置換又は挿入によって行うことに なる。サブチリシンBPN’の場合は、サブチリシン変異体は75-83位のアミノ酸に 1個以上の追加、欠失又は置換変異を好ましくは含み、最も好ましくはSEQUENCE ID NO:1のアミノ酸75-83の欠失を含むことになる。アミノ酸75-83の欠失によっ て、得られたサブチリシン変異体へのカルシウム結合は効果的に消失しながらも 、酵素活性を有するサブチリシンBPN’蛋白が得られることが見いだされている 。 上記のようなSEQUENCE ID NO:1のアミノ酸75-83を欠くサブチリシン変異体は その配列中にさらに1個以上の別のアミノ酸変異、例えば蛋白分解を低下させる 変異を含んでいてもよい。フォールディング反応への協同性を回復させてそれに より蛋白分解上の安定性を高めるような変異がさらになされているカルシウム結 合活性を欠くサブチリシン変異体を製造することが本発明の別の目的である。実 質的に熱安定性を高めるような特定の変異の組み合わせを含みさらにカルシウム に結合しない熱安定性サブチリシン変異体を提供することが本発明の別の目的で ある。 特に、本発明のサブチリシン変異体としては1個以上の欠失、置換又は追加変 異を含む、サブチリシンBPN’、サブチリシン・カールスバーグ、サブチリシンD Y、サブチリシン・アミロサッカリチカス及びサブチリシン・メセンチコペプチ ダーゼのようなBacillus株からのサブチリシンが挙げられる。 本発明はさらにSEQUENCE ID NO:1のアミノ酸75-83を欠くサブチリシン変異体 であって安定性の大きな改善を導くように欠失周辺領域中に誘導設計された新し い蛋白−蛋白相互作用を持つサブチリシン変異体を提供する。より詳しく言えば 、サブチリシンBPN’及びその相同物中の10個の特定部位における変異が提供さ れ、そのうちの7個は独立して、及び組み合わせて、サブチリシン蛋白の安定性 を増大させることが見いだされている。このように、改良されたカルシウム−フ リーのサブチリシンが本発明により提供される。 図面の簡単な説明 図1.S15サブチリシンのX-線結晶構造 A.α−炭素プロットは上記のような変異の位置を示している。野性型サブチリ シンの番号付けをそのまま用いている。点による球体は弱いイオン結合部位(B 部位)におけるカルシウムの位置及び親和力の高い結合部位(A部位)である前 方の位置を示している。A部位のループ(ダッシュ線)はこの変異体には存在し ない。N-及びC-末端を示す。N-末端は不規則になっている(点線)。 B.A部位欠失の拡大図。S12サブチリシンからのループをS15の連続ヘリックス と共に点線で示す。欠失A部位ループを示す3*シグマ差異電子密度(F012-F015 ,S15からの相)を重ねてある。 図2.S12サブチリシンのカルシウムA部位領域のX-線結晶構造。カルシウムは1 /2ファン・デル・ワールス半径で点による球体で示してある。ダッシュ線は配位 結合を示し、点線は3.2Åの水素結合を表わす。 図3.示差走査熱量測定。apo-S12(Tm=63.5℃)及びS15(Tm=63.0℃)の熱量測 定走査を示す。測定は先に述べたように(パントリアーノら(Pantolianoet al.) ,Biochemistry 28:7205-7213(1989))、Hart 7707 DSC(示差走査熱量測定)熱 伝導走査ミクロ熱量測定器で行った。サンプル条件はグリシン50mM、pH9.63、走 査速度0.5℃/分で行った。過剰熱容量をμJ/°単位で測定する。熱量測定器の アンプルには1.78mgの蛋白を入れた。 図4.サブチリシンS11の滴定熱量測定。カルシウム連続添加によるカルシウム 結合熱を[Ca]/[P]比に対してプロットする。データは本文からの方程式(1)を 用いて結合定数7 x 106およびΔH=11.3kcal/molとして計算した結合曲線に最も 良く適合する。比較のために、Ka=1 x 106及び1 x 108で計算した曲線も示す。 この滴定においては、[P]=100μMで温度は25℃であった。 図5.温度関数としてのサブチリシンS11からのカルシウム解離動態。1μMサブ チリシンS11を時間=0において10μM Quin2に加えた。カルシウムはサブチリシン から解離して新たな平衡に達するまでQuin2に結合する。カルシウム解離速度に 従ってQuin2がカルシウムに結合した際の蛍光の増加が見られる。 A.カルシウムに結合した蛋白パーセントの対数を時間に対してプロットする。 4種類の温度における解離動態を示す。解離は反応の最初の25%については一次 速度論に従う。平衡に達するまではこれが十分に満たされているため、カルシウ ムの再結合は無視することができる。 B.過剰のQuin2、pH7.4の存在下で25-45℃の温度範囲におけるS15サブチリシン からのカルシウム解離速度の温度依存性。遷移状態に対する平衡定数の自然対数 (アイリングの式から計算)を絶対温度の逆数に対してプロットする。ラインは T0=298Kで本文中の方程式(3)に適合する。 図6.円偏光二色性分光分析(CD)でモニターしたサブチリシン再フォールディン グの分析。 A.CDスペクトルを以下のようにS15について示す:(1)25mM H3PO4、pH1.85の中 のS15; (2)pH1.85で変性させた後、NaOHを加えてpH7.5に中和したS15; (3)pH1.8 5で変性させた後、pH7.5に中和したS15に、KClを0.6Mになるように加えた30分後 ; 及び(4)天然のS15サブチリシン。全サンプルの蛋白濃度は1μMであった。 B.S15再フォールディング動態。サンプルをpH1.85で変性させた後、pHを7.5に 調整した。時間=0に、KClを変性蛋白に加えた。0.3M及び0.6MのKCl濃度で天然構 造の回復を222nmで追跡した。再フォールディングの30分後の0.6Mサンプルを用 いて、上記Aの対応するスペクトルを記録した。 図7.イオン強度の関数としてのS15再フォールディング動態。 A.アンフォールデッド蛋白パーセントの対数を時間に対してプロットする。再 フォールディング動態を4種類のイオン強度について示す。再フォールディング の量は円偏光二色性分光分析(CD)により222nmの負楕円率の増加から測定した。1 00%フォールディングが同濃度の天然S15について222nmのシグナルから測定され 、0%フォールディングは酸変性S15についてのシグナルから測定される。再フォ ールディングは反応の最初の90%については一次速度論におおむね従う。再フォ ールディングは25℃で行った。 B.25℃でのCD又は蛍光測定によって得られた再フォールディングの一次速度定 数の対数をイオン強度の対数の関数としてプロットした。イオン強度はI=0.25か らI=1.5まで変化させた。再フォールディングの速度はlog Iに対して一次関数的 に増加した。Iの10倍増加は再フォールディング速度をおよそ90倍増加させる。 図8.0.6M KCl,23nM KPO4,pH7.3におけるS15サブチリシンの再フォールディ ング速度の温度依存性。遷移状態に対する平衡定数の自然対数(アイリングの式 から計算)を絶対温度の逆数に対してプロットする。ラインはT0=298Kで本文中 の方程式(3)に適合する。 図9.S15サブチリシンの弱いイオン結合領域のX-線結晶構造。配位結合をダッ シュ線で示す。電荷を帯びたアミノ酸が優勢であることに注意。 好ましい態様の説明 上で述べたように、カルシウム結合は細胞外微生物プロテアーゼの熱力学的及 び動力学的安定性に実質的に寄与している。さらに、サブチリシンに関して言え ば、サブチリシンが分泌され自己分解の結果としてブロテアーゼが充填されてい る環境におかれた場合に自然な配座を維持して一時的なアンフォールディング及 び蛋白分解を防ぐためにアンフォールディングには高い活性化障壁が不可欠と考 えられる。サブチリシンのアンフォールディング反応は以下のような2つの部分 に分けることができる: N(Ca)⇔ N ⇔U 式中、N(Ca)は高親和力カルシウム結合部位Aにカルシウムが結合した天然型の サブチリシンであり(フィンゼルら(Finzel et al.),J.Cell.Biochem.Suppl .10A:272(1986);パントリアーノら(Pantoliano et al.),Biochemistry 27:8311-8317(1988); マックファーレンら(McPhalen et al.),Biochemistry27: 6582-6598(1988)); Nはカルシウムが結合していないフォールデッド蛋白であり; Uはアンフォールデッド蛋白である。サブチリシンは相対的に安定な蛋白であり 、その安定性の大部分に高親和力カルシウム部位が介在している(ブードゥーら (Voordouw et al.),Biochemistry 15:3716-3724(1976); パントリアーノら(Pan toliano et al.),Biochemistry 27:8311-8317(1988))。μモル濃度のカルシウ ムの存在下におけるpH8.0でのサブチリシンの融解温度はおよそ75℃であり、過 剰のEDTAの存在下ではおよそ56℃である(タケハシら(Takehashi et al.),Bioch emistry 20:6185-6190(1981);ブライアンら(Bryan et al.),Proc.Natl.Acad .Sci.USA,83:3743-3745(1986b))。サブチリシンのカルシウム−フリー(アポ 酵素、すなわち酵素の蛋白部分)形態についての以前の熱量測定試験から、これ の限界安定性は25℃でアンフォールディングΔGが<5kcal/molであることが示さ れた(パントリアーノら(Pantoliano et al.),Biochemistry 28:7205-7213(198 9))。カルシウムはサブチリシン構造の絶対必要な部分であるために、アポ酵素 はサブチリシンのフォールディング中間体と考えられている。 フォールディング過程の2つの相を別々に調べるために、本発明者らは一連の サブチリシン変異体を作成した。第一に、アンフォールディング及び再フォール ディング反応中に自己分解が起きるのを防ぐために蛋白分解活性を全て消失させ た。これは例えば活性部位であるセリン221をシステインに転化することによっ て行ってもよい1。この変異はサブチリシンの熱変性温度に対してほとんど効果 を示さないが、サブチリシンのペプチダーゼ活性をおよそ3 x 104の率で低下さ せる(アブラームセンら(Abrahmsen et al.),Biochemistry 30:4151-4159(1991) )。従ってこの変異体ではサブチリシンのフォールディングの研究を蛋白分解に よって複雑にされることなく行うことができる。 1 このS221A変異体はこの目的に始めて作成されたものである。この変異体の成熟 形態は、しかしながら、おそらくプロ酵素の何らかの不適当なプロセッシングの ためにN-末端が不均質であった。 本明細書では、アミノ酸置換を表示するための簡略表記として置換されるアミノ 酸の一文字アミノ酸コードを使用し、その後にアミノ酸配列中の置換される位置 を示す番号が続き、さらにその位置に挿入されるアミノ酸の一文字コードが続く 。例えば、S221Cはセリン221がシステインに置換されていることを表わす。この 一個のアミノ酸置換がなされているサブチリシン変異体をサブチリシンS221Cと 表示する。その結果得られるS221Cサブチリシン変異体をS1と称する。 製造及び精製がより容易な相対的に不安定性なアポ酵素を作るために、上記サ ブチリシンにさらに別の変異を行ってもよい。3又は4個の変異を追加したS1の 別バージョン、例えばM50F、Q206I、Y217K及びN218Sも本発明の方法に使用する ことができる。このように別の変異を行うことによりアンフォールディングの自 由エネルギーが累積されて3.0kcal/mol増大し、アポ酵素の熱変性温度が11.5℃ 上昇する(パントリアーノら(Pantoliano et al.),Biochemistry28:7205-7213( 1989))。M50F、Q206I、Y217K、N218S及びS221C変異を含む変異体をS11と称し、 M50F、Y217K、N218S及びS221Cを含む変異体をS12と称する2。 カルシウム結合活性を欠くサブチリシンBPN'蛋白を製造するために、本発明者 らはカルシウムA部位の結合ループを欠失させて新規のカルシウム−フリーのサ ブチリシン蛋白を設計作成することを決めた。このループはSEQUENCE ID NO:1の アミノ酸63-85を含むサブチリシンBPN'α−ヘリックス中の中断を含む(マックフ ァーレン及びジェイムス(McPhalen and James),1988)。 2 合成基質SAAPFnaに対するS11、S12及びS15の特異活性は同等である(25℃、pH8. 0でS.A.=0.0024U/mg)。これらの測定は水銀アフィニティカラムで新たに精製し た蛋白で行った。 サブチリシンBPN'蛋白の残基75-83はアミノ酸63-85[SEQUENCE ID NO:1]を含む14 残基アルファヘリックスの最後の一巻きを中断させるループを形成している3。 アミノ酸75-83[SEQUENCE ID NO:1]を含むループによってカルシウムに対して 4個のカルボニル酸素リガンドが提供される。リガンドの幾何図形的配置は五角 形の二ピラミッド型で、軸はアミノ酸75及び79の間を通っている。ループの一方 の側には歯状突起が2つあるカルボキシレート(D41)があり、別の側には蛋白のN -末端及びQ2の側鎖がある。7個の配位結合の距離は2.3から2.6Åの範囲にあり 、最も短いのはアスパラギン酸カルボキシレートとの間である。3個の水素結合 がN-末端セグメントをループ残基78-82に平行−ベータ配置で結合させている。 高親和力カルシウム結合部位はサブチリシンに共通の特徴であり、その高い安定 性に大きく寄与している。カルシウムはサブチリシン三次構造の特定の部位に結 合することによって、その結合自由エネルギーが天然状態の安定性に寄与してい る。本発明ではSEQUENCE ID NO:1のアミノ酸75-83を欠失させるために部位指定 変異導入法を用いたが、これは中断のないヘリックスを作り部位Aにおけるカル シウム結合能を失わせる(図1A及び1B)。 本発明者らはカルシウム結合にまつわる安定化戦略から細胞外環境における生 存が可能になると考えた。サブチリシンの工業上の主な用途は高濃度の金属キレ ート化剤を含む環境中にあるために、カルシウムに依存せずそれゆえに金属キレ ート化剤の存在による影響を受けない安定なサブチリシンを製造することは本発 明者らにとって実際的に大きな意義を持つ。 3 9残基からなるこの組は得られる連続的ヘリックスにおけるGly 83よりもAla 7 4を選択して74-82(実際にループに属する残基)に対をなすものとして、欠失に 選んだ。グリシンはより広い範囲の基幹配置を取りうるために、アラニンのほう が統計的にα−ヘリックス型を取る可能性が高い。 本発明者らはこれらのアミノ酸を除去することによってカルシウム結合を消失 させることを選んだが、他の変異、例えば75-83位の1個以上のアミノ酸の代わ りのアミノ酸による置換、並びに75-83位に近接するアミノ酸の挿入、置換及び /又は欠失によりカルシウム結合を消失させることも可能である。これはまた部 位特異的変異導入法によって行うこともできる。 さらに、このループはサブチリシンに共通する特徴であるために、他のサブチ リシン、特にクラスIサブチラーゼに対する、例えば部位特異的変異導入法によ る同等の変異も同様にカルシウム結合を消失させて酵素的に活性を持つ変異体を 提供することが期待されている。 特に、本発明者らは部位特異的変異導入法によって、カルシウム結合に関与す るアミノ酸75-83を消失する変異を受け、さらに別の置換変異を含む3個のサブ チリシンBPN'DNAを合成した。これらの変異サブチリシンBPN'DNAはDNA発現によ って熱安定性が増大し且つ/又は蛋白分解に抵抗性のサブチリシン蛋白を提供す る。 本発明者らによって合成されたと特定のサブチリシンBPN'変異体は本出願にお いてはS15、S39、S46、S47、S68、S73、S79、及びS86と称する。本出願で示す特 定箇所での変異はSEQUENCE ID NO:1に示したサブチリシンBPN'アミノ酸配列中の 本発明により変異を受ける特定のアミノ酸に同定される。例えば、S15変異体は アミノ酸75-83の欠失を含み、さらに以下の置換変異を含む: S221C、N218S、M50 F及びY217K。S39変異体は同様にアミノ酸75-83の欠失を含み、さらに以下の置換 変異を含む: S221C、P5A、N218S、M50F及びY217K。S46変異体はアミノ酸75-83の 欠失を含み、さらに以下の置換変異を含む: M50F、Y217K及びN218S。S47変異体 は同様にアミノ酸75-83の欠失を含み、さらに以下の置換変異を含む: P5A、N218 S、M50F及びY217K。S68変異体はアミノ酸75-83の欠失を含み、さらに以下の置換 変異を含む: P5S、N218S、M50F及びY217K。S73変異体はアミノ酸75-83の欠失と 共に以下の置換変異を含む: Q2K、M50F、A73L、Q206V、Y217K及びN218S。S79変 異体はアミノ酸75-83の欠失を含み、さらに以下の置換変異を含む: Q2K、M50F、 A73L、Q206C、Y217K及びN218S。最後に、S86変異体はアミノ酸75-83の欠失と共 に以下の置換変異を含 む: Q2K、S3C、M50F、A73L、Q206C、Y217K及びN218S。蛋白分解活性を持つS46、 S47、S68、S73、S79及びS86サブチリシンの特異活性は野生型酵素チリシンと比 べて同等又は強化されていることが見出されている。 本発明者らにより合成された種々のΔ75-83サブチリシンを以下の表1に示す 。SEQUENCE ID NO:1に示したサブチリシンBPN'アミノ酸配列中における変異の特 定箇所が同定されている。これらの変異体の合成については後に詳細に述べる。 サブチリシンの安定性に対するカルシウム結合の寄与を理解するために、高親 和力カルシウムA部位へのカルシウム結合の熱力学及び動力学をミクロ熱量測定 及び蛍光分光測定によって測定した。カルシウム結合は結合定数(Ka)=7 x 106M- 1 のエンタルピーが支配する過程である。A部位からのカルシウム除去に対する 熱力学的障壁(23kcal/mol)は結合の標準自由エネルギー(9.3kcal/mol)よりも 実質的に大きい。サブチリシンからの(例えば、過剰のEDTA存在下での)カルシ ウム解離の動態は従って非常に遅い。例えば、サブチリシンからのカルシウム解 離の半減期(t1/2)、すなわち半分のカルシウムがサブチリシンから解離する時間 は25℃で1.3時間である。 X-線結晶解析から欠失されたカルシウム結合ループの領域を除けばサブチリシ ン変異体及び野生型蛋白の構造は非常に類似していることが示される。野生型蛋 白のN-末端は部位Aループのそばにあり、1個のカルシウム配位リガンド、Q2の 側鎖酸素を供給する。Δ75-83サブチリシンでは、ループはなくなり残基1-4が不 規則に残される。これら最初の4残基はその相互作用が全てカルシウムループと のものであったためにX-線構造では不規則になっている。N-末端配列決定により 最初の4アミノ酸が存在してプロセッシングが正常な部位に起きることを確実に していることが確認された。このヘリックスは中断されていないことがわかり、 その全長にわたって正常なヘリカル幾何形態を示す。X-線結晶解析から欠失を含 む及び含まないサブチリシンの構造は261α炭素位間に0.17Åの二乗平均(r.m.s. )差で重なり合い、欠失のサイズを考えると非常に類似していることがさらに示 される。しかしながら、拡散差密度及び高温因子はこの欠失に隣接する新たに露 出した残基中における何らかの異常を示している。 カルシウム結合の消失は、それにより金属キレート化剤の存在下でもより安定 な蛋白が製造されるために有利であるが、少なくとも1つの点に関しては不利で ある。詳しく言えば、他に何らかの補正変異を持たないカルシウムループの欠失 は、部分的なフォールデッド状態に比べて天然状態の不安定化をもたらし、それ によってフォールディングの協同性を損なわせる。本発明者らはそこでフォール ディング反応への協同性を回復するためにアミノ酸75-83を欠くサブチリシンS15 BPN’蛋白を遺伝学的に設計作成しようとさらに求めた。最もうまく設計さ れた蛋白では、分子の全ての部分が互いに依存しており、アンフォールディング 反応を非常に協同的なものにしている。自然な配置の全体的な安定性は大まかに 言えば局部の相互作用全ての合計であるために、フォールディング反応の協同性 は適当な機能を有するための天然状態の十分な安定性を蛋白にもたらしている。 そこで、Δ75-83サブチリシンはカルシウム非存在下において活性を持ち安定 な作成サブチリシンであるが、本発明者らはさらに変異を加えることによってこ の蛋白の改良を求めた。特別に高い安定性を持つカルシウム−フリーのサブチリ シンの設計は反復性の作成サイクルに頼るものである。本発明者らはこのサイク ルの必須の最初のステップがサブチリシンの蛋白分解活性を非常に低下させるこ とを見いだした。カルシウムはサブチリシンの配置安定性に大きく寄与している ためにこれは必然的なものであり、カルシウム−フリー・サブチリシンの初期の ものは蛋白分解を受け易い。蛋白分解への感受性を低下させた後、上記サイクル の次のステップはカルシウム結合に不可欠の配列、すなわちA部位を消失させる ことであった。S15Δ75-83サブチリシンはカルシウム存在下では野性型サブチリ シンよりもはるかに安定性は低いが、この変異体は金属キレート化剤EDTAの存在 下では野性型サブチリシンよりも安定性が高い。 従って、第三のステップはカルシウム−フリー・サブチリシン蛋白の安定性を 改善することであった。カルシウム−フリー・サブチリシンの安定性を改善する ために、本発明者らは次に不規則なN-末端残基に居場所を作ってやろうとした。 安定性の高いカルシウム−フリー・サブチリシンを作る目的で、カルシウムAル ープの欠失によって非安定化された蛋白のN-末端部分を修飾することができる。 例えば、不規則化されているN-末端を欠失させるか又は延長させてもよい。しか しながらこれには問題があり、というのは成熟蛋白からプロペプチドをプロセッ シングする際の要件が分かっていないためである。もっとも、変異体Y1A(プロ ペプチドのC-末端)、A1C及びQ2Rの開裂部位は変わらないので、アミノ酸配列で はプロセッシング部位は決定されないことが分かっている。また、Δ75-83変異 体が正確にプロセッシングされるためにサブチリシンのN-末端の天然構造から開 裂部位は確定されないことも分かっている。プロセッシング部位を変えるにはど うすればよいかが分かっていないために、実存するN-末端との相互作用を最適 にするとよい。 S15サブチリシンの構造を調べることにより、変異酵素の安定性を改善するた めの多くの可能性が明らかになった。欠失の影響を最も強く受ける構造領域はN- 末端アミノ酸1-8、36-45ω−ループ、70-74α−ヘリックス、84-89ヘリックスタ ーン及び202-219βリボンである。先に述べたように、Δ75-83サブチリシンの最 初の4残基は、その相互作用が全てカルシウムループとのものであったためにX- 線構造では不規則になっている。もっとも、N-末端配列調査から最初の4アミノ 酸の存在はプロセッシングが正常な部位に起きていることを確証付けるものであ ることを示される。N-末端以外にも側鎖の配置が野性型とは明らかに異なる残基 が他に3つある。Y6はN-末端の非安定化による間接的な効果として表面適所から 溶媒に多くさらされる位置へ回転して出ている。元はカルシウムリガンドであっ たD41とY214は共同的再配置化を受けて、新たに水素結合を形成する。これら3 残基全てのB因子はアミノ酸75-83の欠失により有意に増加する。さらに、S87及 びA88は配置は変わらないがB因子の有意の増加を示す。P86はカルシウムループ が欠失されたα−ヘリックスの末端をなす。上記の観点から、上で述べた1個以 上の部位又はそれに近接するアミノ酸における他の変異によってより強い酵素活 性又はより大きな安定性を含むサブチリシンBPN’変異体が提供されると考えら れる。 より強い酵素活性又はより大きな安定性を含むサブチリシンBPN’変異体を製 造する目的で蛋白のこの領域を改造するには論理的には幾つかの戦略がある。N- 末端の4アミノ酸はX-線構造では不規則になっているため、1つのアプローチと して可能なのはそれらを蛋白から欠失させることであろう。しかしながら、成熟 蛋白からプロペプチドをプロセッシングする際の要件は分かっていない。従って N-末端領域にアミノ酸を挿入又は欠失させることには問題がある。この理由から 、N-末端領域での挿入及び欠失は避け、アミノ酸置換を選んだ。アミノ酸75-83 ループと相互作用するサブチリシンの上記領域中の元のアミノ酸の多くはもはや 最適ではないと仮定することができる。従って、75-83欠失によって環境が変化 した位置の少なくとも1個のアミノ酸を置換、欠失又は追加することによって分 子の安定性を増加させることが可能であった。 最初の試みは5位のプロリンをアラニンに変異させて5位の順応性を高めるも のであった。この高められた順応性によりN-末端が、カルシウムループの欠失に よって作られた蛋白の新しい表面に沿って独自の位置を見いだそうとすることが 可能になる。N-末端が独自の位置を決めさえすれば、その局所相互作用を最適化 することができる。 P5A変異体はN-末端の高い順応性を作り出しそれがカルシウムループの欠失に よって作られた蛋白の新しい表面に沿って独自の位置を見いだすことが可能にな るように作成された。天然の構造では、最初の5個のアミノ酸は伸長配置を取り カルシウムとのQ2側鎖相互作用を形成すると同時にカルシウムループとβ対水素 結合を形成する。相同のカルシウムA部位を持つ7種の細菌性サブチリシンの間 で保存されている5位のプロリンは上記伸長配置の安定化を助けることができる 。そこでΔ75-83サブチリシンにおけるP5A変異はアンフォールディング反応の協 同性の増加をもたらすことになる。この変異体のX-線構造は1.8Åまで測定され ている。 全体として、本発明者らは置換によってその環境が実質的に変化した10個の別 々の位置のアミノ酸を選択した。特定の部位における可能な置換を全てスクリー ニングするために突然変異生成及びスクリーニングの方法を開発した。サブチリ シン変異体を作成及びスクリーニングする技法にはクローニングしたサブチリシ ン遺伝子のin vitro突然変異生成、変異遺伝子のB.subtilisにおける発現、及 び強化された安定性のスクリーニングが含まれる。 例えば、部位指定変異導入法を1個のコドンに縮重したオリゴヌクレオチドを 用いてS46サブチリシン遺伝子上で行った。この縮重コドンは、Nが4個のヌクレ オチドのいずれかを示しBがT、C又はGを示す配列NNBのあらゆる組み合わせを含 んでいた。この集合に示される48個のコドンは20個のアミノ酸全てをコードする が、オーカー(ochre)及びアンバー(umber)終止コドンは除外する。突然変異を起 こした遺伝子をB.subtilisの形質転換に使用した。特定の変異の例を以下の表I Iに示す: 変異体集合中のトリプトファン、グルタミン、グルタミン酸又はメチオニンを 98%の可能性で見いだすには、約200個の変異体クローンをスクリーニングしなけ ればならない。それらのコドンはそれぞれ、配列NNBの集合中に含まれる48コド ンのうちのわずか1個によって表される。それ以外の全てのアミノ酸に対するコ ドンはこの集合中に少なくとも2個のコドンによって表され、変異体集合中に98 %の可能性で示されるには約100個の変異体クローンをスクリーニングする必要が あろう。 ある位置に最適なアミノ酸を同定するために、高温における酵素活性の維持に ついて変異体をスクリーニングした。ミクロ滴定ディッシュの96ウェルのそれぞ れに培地100μlを入れた。各ウェルにBacillus形質転換体をイノキュレートし、 シェイクしながら37℃でインキュベートした。18時間生育させた後、培養液20μ lを第二のミクロ滴定ディッシュ中で80μlの100mM Tris-HCl,pH8.0で希釈した。 その後このディッシュを65℃で1時間インキュベートした。高温インキュベーシ ョンの後、ディッシュを室温まで冷却させて、各ウェルに100μlの1mM SAAPF-pN Aを加えた。pNAを最も速く開裂させた(黄色に変わった)ウェルを熱抵抗性が最 も高い変異体を含むものとみなした。安定な変異体の予備同定を第二のミクロ滴 定ディッシュで行って、第一のミクロ滴定ディッシュの対応するウェル中のBaci llusクローンをその後の分析用に生育させた。 上記のスクリーニング方法により、調べた10個の位置のうちの7個における安 定化変異が同定された。先に述べたように、これらのアミノ酸位置はカルシウム ドメイン欠失によって環境が実質的に変化している蛋白の位置に選んだ。それ自 身が変異体の半減期を親サブチリシンに対して著しく延長させた4、74及び214 位には変異は同定されなかった。もっとも、214位には疎水性アミノ酸のみの効 果がスクリーニングされた。5、41及び43位には変異は見られず、安定性におい て測定は可能だがささやかな増加しかもたらさなかった。さらに、幾つかの変異 が2、3、73、及び206位に見られ、これらは変異体の半減期を親サブチリシン に対して著しく延長させた。これらの安定化変異を以下の表IIIに示す: 2(K)、73(L)及び206(V)位における安定化アミノ酸修飾を組み合わせてサブチ リシンS73を作成した。S73サブチリシンの性質をS46、S79及びS86と共に表IVに 要約する。 多くの例で、特定の位置におけるアミノ酸の選択は隣接する位置のアミノ酸の 影響を受けることになる。従って、アミノ酸を安定化させる最良の組み合わせを 見つけるために場合によっては2つ以上の位置のアミノ酸を同時に変えることが 必要となる。特にこれは側鎖が相互作用する可能性があるアミノ酸が3位と206 位にある場合に起きた。修飾の最良の組み合わせは3位及び206位ににおけるシ ステイン修飾であることが測定された。この修飾をS86と称した。これらの2つ の位置のシステインの間が近接していることと適当な幾何配置であることから、 これらの2残基の間には自然発生的にジスルフィド架橋が形成される。 S86サブチリシンの安定性をS73と比較して調べた。10mM Tris-HCl,pH8.0、50 mM NaCl及び10mM EDTA中、60℃におけるS86の半減期は80分であり、S73に比べて 3.2倍強化されていることが分かった。対照的に、カルシウムA部位を含む天然 のサブチリシンでは75-83結合ループがN-末端アミノ酸を202-219βリボンから分 離しているために3-206ジスルフィド架橋は形成することができないと考えられ る。従って、75-83結合ループを欠く当該S86変異体に見られる安定性の強化はこ れらの位置に同様のシステイン修飾を行った天然のサブチリシンには観察されな いと考えられる。 同様の安定性強化はカルシウムループが欠失されればI-S1及びI-S2グループの 他のサブチリシンにも賦与されるものと考えられる(シーゼンら(Siezenet al.) ,Protein Engineering 4,pp.719-737の図7を参照)。このことは、これらの 異なるサブチリシン中の一次カルシウム部位がヘリックスCの同等の位置に含ま れるほぼ同等の9残基ループから形成されるという事実に基づく合理的な予想で ある。 I-S1サブチリシンBPN及びカールスバーグのX-線構造をI-S2サブチリシン(サ ビナーゼ)と共に高解像度で測定した。これらの構造の比較からこれら3つが全 てほぼ同等のカルシウムA部位を有することが明らかにされる。 クラスIサブチラーゼである、Thermoactinomyces vulgarisからのサーミター ゼのX-線構造も公知である。BPN'のサーミターゼに対する全体的な相同性はBPN' のI-S1及びI-S2サブチリシンに対する相同性よりもはるかに低いが、サーミター ゼは類似のカルシウムA部位を持つことが示されている。サーミターゼの場合、 上記ループはヘリックスCの同等の部位の10残基による中断となっている。 このように、ここに例示する安定化変異は他のクラスIサブチラーゼのカルシ ウムループ欠失バージョンにおける安定性においても同様の有益な効果を分与す ることが期待される。 S46サブチリシンに対するS73、S76及びS86サブチリシンの安定性を、10mM Tri s-HCl,pH8.0、50mM NaCl及び10mM EDTA中、60℃で熱不活性化に対する抵抗性を 測定することによって比較した。間隔をあけてアリコートを取り出し各アリコー ト中に残存する活性を測定した。これらの条件下では、S46サブチリシンの半減 期は2.3分であり、S73の半減期は25分である(表IV)。 安定性が増した他の変異体を同定するには当業者に公知のいずれの変異導入法 を用いてもよい。サブチリシン変異体を作成及びスクリーニングするそのような 方法の例には3ステップが含まれる:1)クローニングしたサブチリシン遺伝子の in vitroでの変異導入;2)B.subtilisにおける変異遺伝子の発現;及び3)強化 された安定性のスクリーニング。ランダム変異導入アプローチにおいてキーとな る要素は多数の変異体のスクリーニングが可能なことである。 ランダム変異導入を用いてもよいが、上記の変異導入法は蛋白の局所領域(例 えば、N-末端領域)を指定した変異をさせるものである。先に述べたように、S4 6、S47、S68、S73、S79及びS86変異体(活性部位S221を含む)は酵素活性を持つ ことが見いだされた。同等又はさらに強い安定性及び活性をもたらす他の置換が 同定できることが期待される。 本発明のカルシウム−フリーのサブチリシン変異体例のTris-HCl,pH8.0及び2 5℃における基質sAAPF-pNAに対する活性を以下の表Vに示す: 上に示したように、サブチリシン変異体S46、S47、S68、S73、S79及び S86の触媒活性はサブチリシンBPN'と比較して強化されていた。サブチリシンの 活性部位はカルシウムA部位から空間的に離れているという事実のために欠失に よる触媒効力の変化は予想されなかった。 これらの変異サブチリシンの安定性を熱不活性化に対するそれらの抵抗性を測 定することによって天然サブチリシンBPN'と比較した。カルシウム−フリーのサ ブチリシン変異体の安定性は金属キレート化剤の影響を受けないはずなので、実 験は10mM Tris-HCl,pH8.0、50mM NaCl及び10mM EDTA中で行った(EDTAのカルシ ウムに対する結合定数は2 x 108M-1である)。蛋白をこのバッファーに溶解し、 55℃に加熱した。間隔をあけてアリコートを取り出し、各アリコート中に残存す る活性を測定した。不活性化動態を図10にプロットする。これらの条件下では、 サブチリシン変異体の半減期はサブチリシンBPN'よりもはるかに改善されていた 。これらの結果は、部位Aにおけるカルシウム結合が消失するような変異を受け たサブチリシンが完全な触媒活性を持ち、同時にサブチリシンBPN'に比べてEDTA 中における安定性が改善されていることを示している。S46ではアミノ酸75-83の 欠失により失われた相互作用を補うような変異を加えていなくても妥当なレベル の安定性が達成された。 このように、本発明者らは活性は維持しているがカルシウムには結合しないサ ブチリシン変異体を得ることができるという納得のいく証拠を提供している。従 って、これらの変異体はキレート化剤を含む工業的環境中で利用することができ る。このことはサブチリシンBPN'に特定して示されているだけではあるが、同等 の変異は他のセリンプロテアーゼ、とりわけ他のI-S1又はI-S2サブチリシンにつ いても、これらのサブチリシンが特にカルシウム結合部位において、実質的な配 列類似性を持つならば同様に機能すると考えられる。 そのような戦略としては、例えば、サブチリシンBPN'の配列を他のセリンプロ テアーゼと比較して、カルシウム結合に必要と考えられるアミノ酸を同定した後 適当な修飾を、例えば部位特異的変異導入法によって行うことを挙げることがで きる。多くのサブチリシンがその一次配列や酵素学的性質を通じてのみならずX- 線結晶解析データによってもサブチリシンBPN'との関連性を持つために、カルシ ウム結合を欠く他の活性サブチリシン変異体も部位特異的変異導入法によって製 造できると考えられる。例えば、相同酵素であるサブチリシン・カールスバーグ も2個のカルシウム結合部位を含むという構造的な証拠がある。同様に、サーミ ターゼのX-線構造が公知であり、このサブチリシンはサブチリシンBPN'のそれに 類似したカルシウムA結合部位を持つ。サーミターゼでは、カルシウム結合ルー プはヘリックスCの同等の部位に10残基による中断となっている。従って、これ らの酵素もここに述べるようなカルシウム結合部位を消失させて安定な活性酵素 を製造する変異を受けると考えられる。さらに、上記のようにシーゼンら(Sieze n et al.)はグループI-S1及びI-S2のサブチリシンは全て一次カルシウム結合部 位がヘリックスCの同等の位置にほぼ同等の9残基ループから形成されているこ とを証明している。このように、カルシウムA部位のほぼ同等の構造から見て、 ここに述べる方法はシーゼンら(Siezen et al.)が示したグループI-S1及びI-S2 のサブチリシンの全てではないとしてもほとんどに用いることができると考えら れる。 或いは、特定のサブチリシンについてカルシウム結合部位を含むアミノ酸が既 に公知であるならば、対応するDNAを部位特異的変異導入法によって1個以上の そのようなアミノ酸を欠失させるか、又はカルシウム結合を消失させるような置 換、欠失若しくは追加変異を行って変異させることができる。 当該変異サブチリシンは一般に組換え法、とりわけ酵素活性を持ち且つカルシ ウムを結合しないサブチリシン蛋白を発現されてもたらすように変異を受けてい るサブチリシンDNAを発現させることによって製造されることになる。 好ましくは、サブチリシンDNAは微生物宿主細胞、特にBacillus subtilis中に 発現させるが、これはこの細菌が本来サブチリシンを製造し、蛋白を効率良く分 泌し、且つこの蛋白を活性形態で製造することができるためである。しかしなが ら、本発明はBacillusにおけるサブチリシン変異体発現に限定されるものではな く、望ましいサブチリシン変異体の発現を行ういずれの宿主細胞における発現も 含んでいる。発現に適当な宿主細胞は当技術分野において周知であり、例えばEs cherichia coli、Bacillus、Salmonella、Pseudomonasのような細菌性宿主細胞 ;Saccharomyces cerevisiae、Pichia pastoris、Kluveromyces、Candida、Schi zosaccharomycesのような酵母細胞;及びCHO細胞のような哺乳 動物宿主細胞が挙げられる。もっとも、細菌性宿主細胞が発現用宿主細胞として 好ましい。 サブチリシンDNAの発現は利用可能なベクター及び調節配列を用いて行われる 。実際の選択の大部分は発現に利用される特定の宿主細胞にかかってくる。例え ば、サブチリシン変異体DNAをBacillusに発現させる場合、一般にBacillusプロ モーターをBacillus由来のベクターと共に利用することになる。本発明者らは特 にBacillus subtilisでの発現を調節するためにpUB110-ベースの発現ベクター及 びサブチリシンBPN'遺伝子からの天然プロモーターを使用した。 カルシウムを結合しない特定のサブチリシン変異体のアミノ酸配列が一旦解明 されれば、蛋白合成、例えばメリフィールド合成によってサブチリシン変異体を 作成することも可能である。しかしながら、微生物宿主細胞におけるサブチリシ ン変異体の発現がそれにより微生物宿主細胞に酵素活性に適した形態のサブチリ シン蛋白を製造させると考えられるので一般的に好ましい。もっとも、本発明者 らはin vitroでサブチリシン変異体の再フォールディングを得る方法をここにさ らに教示しているので、不適当にフォールドされたサブチリシン変異体を活性形 態に転化させることも可能と思われる。 本発明及びその長所をさらに説明するために、以下の特定の実施例を示すが、 これらは説明を目的としているだけであって、それに限定されるものでは全くな いことを理解すべきである。 実施例 実施例1 クローニング及び発現.Bacillus amyloliquefaciensからのサブチリシン遺伝 子(サブチリシンBPN')をクローニングして配列決定し、Bacillus subtilis中 でその天然のプロモーター配列から高レベルに発現させた(ウェルスら(Wells e t al.),Nucleic Acids Res.11:7911-7925(1983);バサンタら(Vasantha et al. ),J.Bacteriol.159:811-819(1984))。変異遺伝子を全てpUB110ベースの発現 プラスミド中に再クローニングし、B.subtilisの形質転換に用いた。宿主に用 いたB.subtilis株はそのサブチリシン遺伝子に染色体欠失を含んでおり、 そのためにバックグラウンドになる野性型(wt)活性は産生しない(ファーネスト ックら(Fahnestock et al.),Appl.Environ.Microbial.53:379-384(1987))。 オリゴヌクレオチド変異導入を先に記載されているように行った(ゾラーら(Zol ler et al.),Methods Enzymol.100:468-500(1983);ブライアン(Bryan et al.) ,Proc.Natl.Acad.Scl.83:3743-3745(1986b))。S221Cは1.51New Brunswick 発酵槽で正確にプロセッシングされた成熟形態で100mg/lのレベルに発現された 。従来の株を用いる場合のようなS221Cサブチリシンの成熟形態の生産を促進す るための野性型サブチリシンの添加は、本発明者らのバチラス宿主株では必要な かった(アブラームセンら(Abrahmsen et al.),Biochemistry 30:4151-4159(199 1))。 蛋白精製及び特性決定.野性型サブチリシン及び変異酵素を、本質的にはブラ イアンら(Bryan et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,83:3743-3745(1986b); パントリアーノら(Pantoliano et al.),Biochemistry 26:2077-2082(1987); 及びBiochemlstry 27:8311-8317(1988)に記載されているように精製して均質 性を証明した。場合によっては、C221変異サブチリシンをスルフヒドリル特異的 水銀アフィニティカラム(Affi-gel 501,バイオラド社)で再精製した。ペプチ ダーゼ活性のアッセイはサクシニル-(L)-Ala-(L)-Ala-(L)-Pro-(L)-Phe-p-ニト ロアニリド、以後sAAPFnaと呼ぶ、の加水分解をデルマーら(DelMar et al.),An al Biochem.99:316-320(1979)が記載しているようにモニターすることにより 行った。蛋白濃度[P]は、280nmにおいてP0・1%=1.17を用いて測定した(パントリ アーノら(Pantoliano et al.),Biochemistry 28:7205-7213(1989))。Y217K変 化を含む変異体については、280nmにおけるP0.1%はTyr残基1個の消失に基づい て1.15(又は0.96 Xwt)と計算された(パントリアーノら(Pantoliano et al.) ,Biochemistry 28:7205-7213(1989))。 N-末端分析.サブチリシンS15の最初の5アミノ酸を配列決定エドマン分解及 びHPLC分析により決定した。これにより、遺伝子のDNA配列から想定されるアミ ノ酸配列を100%の材料が持ち、プロペプチドのプロセッシングが変異体の配列中 において野性型酵素の場合と同じ位置に起きていることが明らかになった。 実施例2 S12サブチリシンのカルシウムA部位の構造.部位Aのカルシウムは5個のカ ルボニル酸素リガンド及び1個のアスパラギン酸によって配位されている。カル シウムに対するカルボニル酸素リガンドのうちの4個はアミノ酸75-83により構 成されるループによって提供される(図2)。これらのリガンドの幾何的配置は 五角形の二ピラミッド型で、軸は75及び79のカルボニル基を通っている。ループ の一方の側には歯状突起が2つあるカルボキシレート(D41)があり、別の側には 蛋白のN-末端及びQ2の側鎖がある。7個の配位結合の距離は2.3から2.6Åの範囲 にあり、最も短いのはアスパラギン酸カルボキシレートとの間である。3個の水 素結合がN-末端セグメントをループ残基78-82に平行−ベータ配置で結合させて いる。 アポ−サブチリシンの調製.S11及びS12サブチリシンは精製後、等モル量の固 く結合したカルシウムを含む。X-線結晶解析からこのカルシウムはA部位に結合 していることが示された(フィンゼルら(Finzel et al.),J.Cell.Biochem.S uppl.10A:272(1986);パントリアーノら(Pantoliano et al.),Biochemistry27: 8311-8317(1988); マックファーレンら(McPhalen et al.),Biochemistry27:658 2-6598(1988))。 サブチリシンからのカルシウムの完全な除去は非常に時間がかかり、蛋白から カルシウムを全て除去するには25℃でEDTAに対して24時間透析する必要があり、 さらに蛋白からEDTAを全て除去するには(ブラウンら(Brown et al.),Biochemi stry 16:3883-3896(1977))4℃で高塩濃度中に48時間透析する必要があった。カ ルシウム−フリー形態のサブチリシンS11及びS12を調製するために、20mgの凍結 乾燥蛋白を5mlの10mM EDTA,10mM塩酸トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン (以後Tris-HCl),pH7.5に溶解し、同バッファーに対して25℃で24時間透析した 。低イオン濃度でサブチリシンに結合するEDTAを除去するために、次いで蛋白を 2リットルの0.9M NaCl,10mM Tris-HCl,pH7.5に4℃で2回、合わせて24時間 、さらに2リットルの2.5mM Tris-HCl,pH7.5に4℃で3回、合わせて24時間、 透析した。EDTAを含まないバッ ファーには全てケレックス100(Chelex 100)を加えた。安定化アミノ酸置換を 含まないC221サブチリシン体を使用した場合には、最大50%の蛋白がこの処理の 間に沈殿した。カルシウム添加による沈殿によって生じる偽の発熱が結合熱の測 定を妨げないように滴定実験には純粋な天然アポ酵素を使用することが不可欠で ある。 アポ−サブチリシンの調製品にカルシウム又はEDTAが混入していないことを確 認するために、滴定熱量測定を行う前にQuin2の存在下でカルシウムによる滴定 を行ってサンプルをチェックした。 滴定熱量測定.熱量測定滴定をワイズマンら(Wiseman et al.,Analytical B lochemistry 179:131-137(1989))によって詳細に記載されているようにMicroca l Omega滴定熱量測定器で行った。この滴定熱量測定器は、バッファーの入った 対をなす対照セル及び蛋白溶液の入った溶液セル(1.374mL)から成る。リガン ド溶液のマイクロリットル・アリコートを、ステッピングモーターにより運転さ れるプランジャーで動く回転式攪拌シリンジを通して溶液セルに加える。所定の 温度で安定なベースラインが得られた後、自動注入を開始し、注入毎に伴う熱変 化をセル間のサーモカップル・センサーによって測定した。各注入の間に鋭い発 熱ピークが現れ、4分後になされる次の注入の前にベースラインに戻った。各ピ ーク領域が、蛋白に加えたリガンドの結合に伴う発熱の量を表している。総発熱 (Q)を非線形最小二乗最小化法(ワイズマンら(Wiseman et al.,Analytical Bio chemistry 179:131-137(1989))により、以下の式(1)に従って総リガンド濃度[C a]totalに適合させた: dQ/d[Ca]total=ΔH[1/2+(1-(1+r)/2-Xr/2)/Xr-2Xr(1-r)+1+r2)1/2] (1) 但し、式中1/r=[P]total x Ka及びXr=[Ca]total/[P]total。 S11及びS12サブチリシンへのカルシウムの結合を滴定熱量測定法により、結合 定数及び結合エンタルピーの両方が判定できるように測定した(ワイズマンら(W iseman et al.,Analytical Biochemistry 179:131-137(1989); シュワルツら(S chwarz et al.),J.Biol.Chem.266:24344-24350(1991))。 野性型アポ酵素の製造はその蛋白分解活性及び低い安定性のせいで不可能なた めに、S11及びS12サブチリシン変異体を滴定実験に使用した。S11及びS12の 滴定は蛋白濃度[P]=30μM及び100μMで行った。25℃におけるカルシウムによ るS11アポ酵素の滴定を図4に示す。データポイントはカルシウムの各滴定に伴 うカルシウム結合の負の発熱に対応する。滴定熱量測定器はKax[P]の積が1な いし1000の間にある条件下でKaの変化について感受性を示す(ワイズマンら(Wis eman et al.,Analytical Biochemistry 179:131-137(1989))。サブチリシンの Kaは約1 x 107M-1なので、これらの蛋白濃度ではKa x[P]値=300及び1000とな る。低い方の蛋白濃度では、滴定毎に発生する熱量を正確に測定することは困難 である。 S11及びS12の滴定を計算曲線に適合させた結果を表2に要約する。表中のパラ メーターには、理論比(n)、結合定数(Ka)及び結合エンタルピー(ΔH)についての 結合パラメーターが含まれる。これらのパラメーターは非線形最小二乗最小化法 (ワイズマンら(Wiseman et al.,Analytical Biochemistry 179:131-137(1989) )を用いたデコンボルーションから決定した。各実験条件での測定を2回ずつ25 ℃で行った。蛋白濃度は30から100μMの範囲で、カルシウム溶液の濃度は蛋白濃 度の約20倍であった。各結合定数及びエンタルピーは種々の濃度における数回の 滴定試験に基づいたものである。滴定試験は滴定ピークがベースラインに接近す るまで行った。 S11及びS12で得られる平均値は同等である:ΔH=〜-11kcal/mol; Ka=7 x 106M-1 及び1分子当たり1カルシウムの結合化学量。弱い結合部位Bはミリモル範囲 以下の濃度ではカルシウムを結合せず、従って結合部位Aへの結合の測定を妨げ ない。25℃における結合の標準自由エネルギーは9.3kcal/molであ る。従ってカルシウムの結合はエントロピーの正味の損失がごくわずかでエンタ ルピーににより一次的に導かれる(ΔSbindng= -6.7cal/°mol)。 実施例3 S15サブチリシンのin vitro再フォールディング.再フォールディング試験用 にサブチリシンをおよそ100μMの濃度で2.5mM Tris-HCl,pH7.5及び50mM KCl中 に原液として保存した。原液を5M塩酸グアニジン(Gu-HCl),pH7.5中、又はほと んどの場合にはpH1.8-2.0の25mM H3PO4若しくはHCl中に希釈することによって変 性させた。蛋白の最終濃度は0.1ないし5μMであった。S15はこれらの条件によっ て30秒未満で完全に変性した。S12は完全に変性するまでに約60分を要した。酸 変性蛋白をTris-塩基(HClで変性させた場合)又は5M NaOH(H3PO4で変性させた 場合)の添加によってpH7.5に中和した。KCl、NaCl又はCaCl2を必要な濃度まで 加えることによって再フォールディングは開始された。例えば、KClを4Mの原液 から0.1ないし1.5Mの最終濃度になるように激しく攪拌しながら加えた。ほとん どの場合、復元は25℃で行った。復元速度を分光光度計で、λ=286の吸光度の増 加から、内在性チロシン及びトリプトファン蛍光(励起λ=282、発光λ=347)の 増加からのμν吸収により、又はλ=222nmの負の楕円率の増加からの円偏光二色 性によって測定した。 実施例4 X-線結晶解析.大きな単結晶成長及びX-線回折データ収集は、適当な結晶を得 るためにS221C変異体をジイソプロピル・フルオロホスフェート(DFP)で不活性化 する必要がないこと以外は本質的に先に報告されているように(ブライアンら(Br yan et al.),Proteins: Struct.Funct.Genet.1:326-334(1986a); パントリ アーノら(Pantoliano et al.),Biochemistry 27:8311-8317(1988); パントリア ーノら(Pantoliano et al.),Biochemistry 28:7205-7213(1989)行った。S12の 初期モデルは超安定サブチリシン変異体8350(プロテイン・データ・バンク エ ントリー1S01.pdb)から作成した。S12構造を精密化した後、修正してS15の初期 モデルを得た。 制限最小二乗法(ヘンドリクソンら(Hendrickson et al.),「結晶解析における コンピューター処理」,ダイアモンドら(Diamond et al.)編,Bangalore:Indi an Institute of Science 13.01-13.23(1980))を用いて両モデルを精密化するた めに、8.9Åないし1.8Å解像度の約20,000反射によるデータセットを用いた。部 位A領域が完全に脱落したS12バージョンにより位相決定されたS15の初期差異マ ップは非中断ヘリックスを表わす連続密度を明確に示しており、初期S15モデル の作成及び精密化の開始を可能にした。各変異体をRおよそ0.30からRおよそ0.18 へ約80サイクルで精密化し、電子密度マップの計算及び図形モデル化ブログラム FRODO(ジョーンズ(Jones),J.Appl.Crystallogr.11:268-272(1978))を用いた マニュアル調整によって散在化させた。 欠失カルシウム結合ループ領域を除けば、S12及びS15の構造は非常に類似して おり、262α炭素間の二乗平均(r.m.s)偏差は0.18Åである。S12のN-末端は(野 性型と同様に)部位Aループのそばにあり、1個のカルシウム配位リガンド、Q2 の側鎖酸素を供給する。S15ではループはなくなり残基1-4が不規則に残されてい る。S12では(野性型と同様に)部位Aループは14残基αヘリックスの最後の旋 回中の中断として現れる;S15ではこのヘリックスは中断されておらず全長にわ たって正常な幾何的形態を示す。拡散差密度及び高温因子からこの欠失に隣接す る新たに露出した残基中における何らかの異常が示されている。 実施例5 示差走査熱量測定.S12及びS15の安定性をDSC(示差走査熱量測定)を用いて 調べた。Δ75-83変異体(S15)は融解温度についてS12のアポ酵素と非常に類似性 が高い。アポ-S12及びS15のDSCプロフィールを図3に示す。最大熱容量の温度は pH9.63でS15では63.0℃、アポ-S12では63.5℃である。DSC実験は変性処理の間に 凝集が起きるのを避けるために高いpHで行った。蛋白サンプルによって温度とし て吸収される過剰熱量は定圧下におけるフォールデッド状態からアンフォールデ ッド状態への遷移を通じて増加し、これがアンフォールディングΔHの直接の測 定値となった(プリバロブら(Privalov et al.),Methods Enzymol.131:4-51(1 986))。アポ-S12及びS15に関するアンフォールディング のΔHcalは約140kcal/molである。pH10.0以上では、S15のアンフォールディング 遷移は二段階モデルに適度に適合し、ΔHνH(ヴァントホフ・エンタルピー又は 見かけのエンタルピー)がΔHcal(熱量測定エンタルピー又は真のエンタルピー )にほぼ等しい場合のヴァントホフ式(dln K/dT=ΔHνH/(RT2))に表現される平 衡熱力学に一致する。しかしながら、pH9.63では両蛋白の融解プロフィールは非 対称であり、このことはアンフォールディングが純粋な二段階プロセスではない ことを示していた。 実施例6 カルシウム解離動態の測定.サブチリシンからのカルシウムの解離は遅いプロ セスである。この速度を測定するために蛍光カルシウムキレート化剤Quin 2を使 用した。Quin 2はpH7.5で1.8 x 108のKaでカルシウムに結合する(リンスら(Lins e et al.),Biochemlstry 26:6723-6735(1987))。495nmにおけるQuin 2の蛍光は カルシウムに結合するとおよそ6倍に増加する(ブライアント(Bryant),Biochem .J.226:613-616(1985))。単離されたサブチリシンS11又はS12は1分子当たり 1個のカルシウムイオンを含む。過剰のQuin 2と混合すると、495nmにおける蛍 光の増加から蛋白からのカルシウム放出の動態を追跡することができる。この反 応は経路 N(Ca)⇔N+Ca+Quin 2⇔Quin(Ca)に従うと考えられる。サブチリシンか らのカルシウムの解離はQuin 2によるカルシウム結合に比べると非常に遅いため 、Quin 2の蛍光の変化はサブチリシンからのカルシウム解離速度に等しい。図5a に示されるように、S11からのカルシウムの初期の放出は単純な一次動力学に従 う。 カルシウム解離の温度依存性.カルシウム解離における一次速度定数(K)を20 ℃から45℃で測定した。1/T°Kに対するln kのプロットはおおまかには線形であ る。カルシウム解離データをアイリングの式に従って遷移状態理論を用いて曲線 適合させた: ΔGキ = -RT ln Kキ = -RTln kh/kBT (2) 但し、式中kBはボルツマン定数、hはプランクの定数、kはフォールディングの一 次速度定数を示す。1/Tに対するln hk/kBTのグラフを図5bに示す。 データを以下の式に従って曲線に適合させた(チェンら(Chen et al.),Bioch emistry 28:691-699(1989)): ln Kキ = A+B(T0/T)+C ln(T0/T) (3) 但し、式中 A = [ΔCpキ+ΔSキ(To)]/R; B = A -ΔGキ(T0)/RT0; C = ΔCpキ/R である。得られたデータから以下の結果がもたらされる: ΔGキ = 22.7kcal/mol; ΔCp'キ = -0.2kcal/°mol; ΔS'キ = -10cal/°mol;及び ΔH'キ = 19.7kcal/mol(対照温度25℃)。 プロットがわずかに曲線になることがあるがそれは遷移状態の形成に伴う熱容量 の変化によるものと思われる(ΔCp'キ = 0.2kcal/°mol)。蛋白フォールディン グのΔCpは疎水基の水への露出の変化に密接に相関することが示されている(プ リバロフら(Privalov et al.),Adv.Protein Chem.39:191-234(1988);リビン グストンら(Livingstone et al.),Biochemistry 30:4237-4244(1991))。熱容量 に関して言えば、遷移状態は天然蛋白に類似しているように思われる。図5bから 得られるΔS'キ及びΔH'キから、エントロピーのごく僅かな変化によって遷移状態 はカルシウム結合形態よりもエンタルピー的に有利でないことが示される。 本発明の別の態様は、ここに開示した発明の明細書及び実際を考慮すれば当業 者に明らかとなるであろう。明細書及び実施例は例と考えるべきであって、本発 明の真の範囲及び意図は以下の請求項に示される。 ここに引用された全ての参考文献は、個々に参照されていても全体として組み 入れられるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG), AM,AU,BB,BG,BR,BY,CA,CN,C Z,EE,FI,GE,HU,IS,JP,KE,KG ,KP,KR,KZ,LK,LR,LT,LV,MD, MG,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,RO,R U,SD,SG,SI,SK,TJ,TM,TT,UA ,UG,UZ,VN (72)発明者 ストラースバーグ スーザン エル アメリカ合衆国、メリーランド州 20850、 ロックヴィル、フェザー ロック ドライ ブ 403

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.酵素活性を有するサブチリシン蛋白であって、高親和力カルシウム結合部位 にカルシウムを結合する当該サブチリシン蛋白の能力が消失するように変異され ており、当該変異サブチリシン蛋白が以下の領域:N-末端アミノ酸1-8、ω−ル ープ・アミノ酸36-45、α−ヘリックス・アミノ酸70-74又はヘリックスターン・ アミノ酸84-89のうちの少なくとも1ヵ所に1個以上の欠失、置換又は追加変異 を含むことを特徴とするサブチリシン蛋白。 2.請求項1に記載のサブチリシン変異体であって、75-83位のアミノ酸が欠失 されて当該変異体のカルシウムを結合する能力が消失していることを特徴とする サブチリシン変異体。 3.請求項2に記載のサブチリシン変異体であって、アミノ酸75-83を欠く当該 変異体がアミノ酸配列中に1個以上のさらに別の変異を有することを特徴とする サブチリシン変異体。 4.請求項3に記載のサブチリシン変異体であって、当該変異体がβ−リボン・ アミノ酸202-219中に1個以上のさらに別の変異を有することを特徴とするサブ チリシン変異体。 5.請求項3に記載のサブチリシン変異体であって、当該サブチリシン変異体が 少なくとも1個のN218S、M50F、Y217K、P5S、D41A、K43R、K43N、Q271E、Q2K、Q 2W、Q2L、A73L、A73Q、Q206C、Q206V、Q206I、Q206W又はS3Cの置換変異を含むこ とを特徴とするサブチリシン変異体。 6.請求項5に記載のサブチリシン変異体であって、当該サブチリシン変異体が N218S、M50F、Y217K及びP5Sの置換変異を含むことを特徴とするサブチリシン変 異体。 7.請求項5に記載のサブチリシン変異体であって、当該サブチリシン変異体が N218S、M50F、Y217K、Q271E、Q2K、A73L及びQ206Vの置換変異を含むことを特徴 とするサブチリシン変異体。 8.請求項5に記載のサブチリシン変異体であって、当該サブチリシン変異体が N218S、M50F、Y217K、Q271E、Q2K、A73L及びQ206Cの置換変異を含むことを特徴 とするサブチリシン変異体。 9.請求項5に記載のサブチリシン変異体であって、当該サブチリシン変異体が N218S、M50F、Y217K、Q271E、Q2K、A73L、Q206C及びS3Cの置換変異を含むことを 特徴とするサブチリシン変異体。 10.請求項1に記載のサブチリシン変異体であって、当該サブチリシンがバシラ ス(Bacillus)株から得られることを特徴とするサブチリシン変異体。 11.請求項10に記載のサブチリシン変異体であって、当該サブチリシン変異体が サブチリシンBPN’変異体、サブチリシン・カールスバーグ変異体、サブチリシ ンDY変異体、サブチリシン・アミロサッカリチカス変異体若しくはサブチリシン ・メセンチコペプチダーゼ変異体又はサブチリシン・サビナーゼ変異体であるこ とを特徴とするサブチリシン変異体。 12.請求項11に記載のサブチリシン変異体であって、当該サブチリシン変異体が サブチリシンBPN’変異体であることを特徴とするサブチリシン変異体。 13.酵素活性を有するサブチリシン蛋白を発現させる組み換え法であって、当該 サブチリシン蛋白が高親和力カルシウム結合部位にカルシウムを結合する当該サ ブチリシン蛋白の能力が消失するように変異されていて、当該変異サブチリシン 蛋白が以下の領域:N-末端アミノ酸1-8、ω−ループ・アミノ酸36-45、α−ヘリ ックス・アミノ酸70-74又はヘリックスターン・アミノ酸84-89のうちの少なくと も1ヵ所に1個以上の欠失、置換又は追加変異を含むことを特徴とし、以下を含 む組み換え法: (a) 発現によってカルシウム蛋白を結合しないサブチリシン発現をもたらす酵 素活性サブチリシンDNAを含む発現ベクターで組み換え宿主細胞を形質転換する こと; (b) 酵素活性を有するサブチリシン変異体を発現させる条件下で当該宿主細胞 を培養すること;及び (c) 発現された酵素活性を有する当該サブチリシン変異体を当該微生物宿主か ら回収すること。 14.請求項13に記載の組み換え法であって、当該サブチリシン変異体がカルシウ ムA結合部位を欠くことを特徴とする組み換え法。 15.請求項14に記載の組み換え法であって、当該変異体がアミノ酸75-83を欠く ことを特徴とする組み換え法。 16.請求項15に記載の組み換え法であって、当該変異体がアミノ酸配列中に1個 以上のさらに別の変異を有することを特徴とする組み換え法。 17.請求項16に記載の組み換え法であって、当該サブチリシン変異体が少なくと も1個のS221C、N218S、M50F、Y217K、P5S、D41A、K43R、K43N、Q271E、Q2K、Q2 W、Q2L、A73L、A73Q、Q206C、Q206V、Q206I、Q206W又はS3Cの置換変異を含むこ とを特徴とする組み換え法。 18.請求項13に記載の組み換え法であって、当該サブチリシン変異体がサブチリ シンBPN’変異体であることを特徴とする組み換え法。 19.請求項18に記載の組み換え法であって、当該サブチリシンBPN’DNAが熱安定 性の向上をもたらすか又は当該サブチリシン蛋白のフォールディング協同性を回 復させる1個以上の変異をさらに別に含むことを特徴とする組み換え法。 20.サブチリシン蛋白をコードする組み換えDNAであって、当該サブチリシン蛋 白が高親和力カルシウム結合部位にカルシウムを結合する当該サブチリシン蛋白 の能力が消失するように変異されており、当該変異サブチリシン蛋白が以下の領 域:N-末端アミノ酸1-8、ω−ループ・アミノ酸36-45、α−ヘリックス・アミノ 酸70-74又はヘリックスターン・アミノ酸84-89のうちの少なくとも1ヵ所に1個 以上の欠失、置換又は追加変異を含み、当該変異サブチリシン蛋白が酵素活性及 び安定性を維持していることを特徴とする組み換えDNA。 21.請求項20に記載の組み換えDNAであって、当該サブチリシンDNAがアミノ酸75 -83をコードするコドンを欠くサブチリシンBPN’コード配列であることを特徴と する組み換えDNA。 22.請求項21に記載の組み換えDNAであって、当該サブチリシンDNAがアミノ酸配 列中に1個以上のさらに別の変異をコードするコドンを含むサブチリシンBPN’ コード配列であることを特徴とする組み換えDNA。 23.請求項22に記載の組み換えDNAであって、当該サブチリシンDNAがβ−リボン ・アミノ酸202-219中に1個以上のさらに別の変異をコードするコドンを含むサ ブチリシンBPN’コード配列であることを特徴とする組み換えDNA。 24.請求項22に記載の組み換えDNAであって、少なくとも1個のS221C、N218S 、M50F、Y217K、P5S、D41A、K43R、K43N、Q271E、Q2K、A73L、A73Q、Q206C、Q20 6V、Q206I、Q206W又はS3Cの置換変異をコードするコドンをさらに含むことを特 徴とする組み換えDNA。
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