JP2012045000A - サブチラーゼ - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、親JP170サブチラーゼ及び親BPN’サブチラーゼの変異体の生成方法、及び親JP170/BPN’サブチラーゼに比較して、変更された性質を有するJP170及びBPN’変異体に関する。
【解決手段】イオン−結合部位に対して10Å又はそれ以下の距離に位置する位置、好ましくは6Å又はそれ以下の距離に位置する位置におけるアミノ酸残基に少なくとも1つの修飾を含んで成るJP170型サブチラーゼ変異体。
【選択図】なし

Description

発明の分野:
本発明は、JP170及びBPN’様サブチラーゼ、及び変更された性質、例えば安定性(例えば、熱安定性又は貯蔵安定性)Ca2+依存性、pH依存性活性、洗浄及び清浄用途における改良された性能を有するそのような変異体の構成方法に関する。
発明の背景:
酵素は、30年以上の間、洗浄配合物の一部として洗浄産業内で使用されて来た。プロテアーゼは、商業的展望から、そのような配合物において最も適切な酵素であるが、しかし他の酵素、例えばリパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ又はそれらの酵素の混合物もまた、しばしば使用される。
プロテアーゼの費用及び/又は性能を改良するために、変更された性質、例えば低温での高められた活性、高められた熱安定性、与えられるpHでの高められた活性、変更されたCa2+依存性、他の洗剤成分(例えば、漂白剤、界面活性剤、等)の存在下での高められた安定性、等を有するプロテアーゼについての前進性研究が存在する。
変更された性質を有するプロテアーゼの研究は、天然に依存するプロテアーゼ、いわゆる野生型プロテアーゼの発見、及び前記プロテアーゼをコードする核酸配列の遺伝子操作による良く知られたプロテアーゼの変更を包含する。タンパク質の立体構造と機能との間の関係の知識が、タンパク質の特定の特徴に影響を及ぼすよう変更するためにタンパク質の領域を評価する能力を改良して来た。
しばしば洗剤において使用されるプロテアーゼの1つのファミリーは、サブチラーゼである。このファミリーは、Siezen RJ and Leunissen JAM, 1997, Protein Science, 6,501-523により、6種の異なったサブファミリーに分かれている。それらのサブファミリーの1つは、サブチラーゼを包含するスブチリシンファミリー、例えばBPN’, スブチリシン309(SAVINASEO, NO- VOZYMES A/S)、スブチリシンCarlsberg(ALCALASEO, NOVOZYMES A/S)、スブチリシンS41(好冷性 Antarctic Bacillus TA41, Davail S など. 1994, The Journal of Biological Chemistry, 2 69 (26),9 9. 1 7448-17453からのサブチラーゼ)、スブチリシンS39(好冷性 Antarctic Bacillus TA39, Narinx Eなど. 1997, Protein Engineering, 10 (11), pp. 1271-1279からのサブチラーゼ)、及びTY145(WO92/17577号に記載されるBacillus sp. TY145, NCIMB 40339からのサブチラーゼ)である。
上記に示されるグループ分けは、立体構造の少々の考慮を伴って、主要配列の一列整列に基づいて行われた。しかしながら、スブチリシンサブグループン属するサブチラーゼ間の配列相同性にかかわらず、もう1つのサブチラーゼ(例えば、Siezen and Leunissenにより使用されたスブチリシンBPN’)の立体構造に基づいての1つのサブチラーゼの立体構造のモデルは、構造的差異のために、誤った立体モデル構造をもたらす。
最近、サブチラーゼTY145の立体構造は解明されており、そしてそれと、サブチラーゼのスブチリシンサブグループに属するBPN’の立体構造との間にいくつかの差異が存在することが見出された(PCT/DK2004/000066号)。
TY145とBPN’との間の立体構造の差異は、バチルス・スファニリカス(Bacillus sphaericus)のサブチラーゼ“スフェリカーゼ”(PDB NO : 1 EA7, Protein Data Bank)の立体構造により確められる。このサブチラーゼの全体的構造及び多くの詳細は、TY145サブチラーゼ構造と非常に類似する。
サブチラーゼJP170及びJP170に類似するサブチラーゼは、当業界においてはすでに知られているが、しかしその立体構造はそのようなサブチラーゼのために開示されたことはない。
JP170サブチラーゼは、WO88/01293号(Novozymes)においてプロテアーゼAとして記載された。後に、特許出願WO98/56927号(Novozymes Biotech)は、JP170のアミノ酸(プロテアーゼYaが開示され、そしてJP7-62152号及びJP4197182号(Lion Corp.)は、JP170に対して相同であるバチルスsp. Yにより生成されるプロテアーゼYaをコードするDNA配列を開示した。さらに、アメリカ特許第6,376,227号(Kao Corp.)は、JP170に対してまた相同であるアルカリプロテアーゼKP43、KP1790及びKP9860の物理的特徴、及びDNA及びポリペプチド配合を開示する。最近、中でもKP43、KP9860, SD−521及びYaプロテアーゼの変異体がEP1209233号に開示されている。それらのプロテアーゼは高い相同性であり、そしてKP43、KP9860、SD-521、Y及びJP170は、少なくとも90%の相同性を示した。従って、JP170、Ya及びSD−521は、本明細書の図1の一列整列でのそれらのプロテアーゼを表す。
添付の簡単な説明:
添付1は、JP170の解決された結晶構造についての構造配列を示す。
配列表:
添付される配列表においては、次のアミノ酸配列が提供される:
サブチラーゼJP170(配列番号1)
サブチラーゼY(配列番号2)
サブチラーゼSD−521(配列番号3)
サブチラーゼBPN’(配列番号4)
部分配列(配列番号5)
部分配列(配列番号6)
サブチラーゼTY145(配列番号7)
図1は次の3種のJP170型プロテアーゼの一列配列を示す:(a)SD-521 (EP1209233号)、(b)プロテアーゼYa(WO99/67370号)、及び(c)JP170(WO98/56927号、添付1からの成熟配列)。 図2は、カルシウム結合部位の表示と共に、プロテアーゼJP170及びサビナーゼ(BLSAV1)の3D構造の重なりを示す。図においては、JP170は、3個のイオン−結合部位と共に薄い灰色で示され、そしてサブナーゼは2個のイオン−結合部位と共に黒色の構造体で示される。
図3は、種々のサブチラーゼサブグループに属するサブチラーゼのアミノ酸配列間の相同性のマトリックスを示す。配列は、配列データベース受託番号及びそれらの偏差により同定される。 1:aam50084;バチルスsp. 株SD−521由来のサブチラーゼ、 2: aaw89547バチルスsp. 株JP170由来のサブチラーゼ、 3: q45681; B. サブチリス(BSTA41) 由来のサブチラーゼ 、 4: p28842;南極バチルス株 (BSTA39) 由来の低温性スブチリシン、 5: abb77095;バチルス sp. (TY145) 由来のサブチラーゼ 、 6: p00783;バチルス・サブチリス var. アミロサッカリチカス (BSAMY) 由来のサブチラーゼ、 7: p29142; バチルス・ステアロサーモフィラス (BSSJ) 由来のサブチラーゼ 、 8: p35835; バチルス・サブチリスvar. ナットウ. (BSNAT) 由来のサブチラーゼ、 9:p07518 ; バチルス・プミラス (B. メセンテリカス) (BPMES) 由来のサブチラーゼ 、 10: p00782; バチルス・アミロリクエファシエンス (BPN') 由来のサブチラーゼ、 11: p00780; バチルス・リケニホルミス(BLSCAR) 由来のサブチラーゼ 、 12:p41363 ;バチルス・ハロヅランス(BHSAH) 由来のサブチラーゼ、 13: aaw62222; バチルス・レンタス(BLS147) 由来のサブチラーゼ、 14: p29600; バチルス・レンタス(BLSAVI, BLS309) 由来のサブチラーゼ 、 15: p27693; バチルス・アルカロフィラス(BAALKP) 由来のサブチラーゼ、 16: q99405; バチルスsp. 株 KSM-K16 (BSKSMK) 由来のサブチラーゼ 、 17: p29599; バチルス・レンタス(BLSUBL) 由来のサブチラーゼ。 配列1及び2はJP170型に属し、配列3〜5はTY145型に属し、配列6〜11は“真のスブチリシン”又はI−S1型に属し、そして配列12〜17は“高いアルカリ性”のスブチリシン又はI−S2型に属する。図3から、それらの型はまったく異なることが明らかである。
図4は、次のサブチラーゼの立体一列整列を示す:(1)Ty145;(2)BPN’;(3)サビナーゼ;及び(4)JP170。 3D配列とは、相同残基の位置が3D構造の重なりにより選択され、そして従って、アミノ酸配列はそれらの相同位置に基づいて一列整列される。ことを意味する。
発明の特定の記載:
現在、本発明者は、サブチラーゼJP170の立体構造を開示する。このサブチラーゼは、スブチリシンBPN’及びTY145の構造に対して大きな構造差異を有する。
それらの差異に基づいて、本発明者は、改良された性質を有する変異体を得るために、JP170型構造を有するサブチラーゼ及びBPN’型構造を有するサブチラーゼのアミノ酸配列を修飾した。それらの変異体は、変更された性質、例えば低温での高められた活性、高められた熱安定性、与えられたpHでの高められた比活性、変更されたCa2+依存性、他の洗剤成分(例えば、漂白剤、海面活性剤、等)の存在下での高められた安定性、等を有する。
従って、本発明の目的は、変更された性質を有するサブチラーゼの構成方法、特に上記のような変更された性質を有するサブチラーゼの構成方法を提供することである。
従って、本発明は、親サブチラーゼに比較して少なくとも1つの変更された性質を有する、親サブチラーゼの変異体の構成方法に関し、ここで前記方法は、
a)JP170立体構造に関しての構造の考慮の評価に基づいて、前記性質の変更のために適切なものである、サブチラーゼの少なくとも1つのアミノ酸残基又は少なくとも1つの構造領域を同定するために、親サブチラーゼの立体構造を分析し;
b)前記性質を変更するために、親サブチラーゼに比較して、a)において同定されるアミノ酸残基又は構造部分の欠失、置換又は挿入により修飾されている変異体サブチラーゼをコードするポリヌクレオチドを構成するために前記親サブチラーゼをコードするポリペプチドのDNAを修飾し;
c)適切な宿主において前記変異体サブチラーゼを発現し;そして
d)前記性質について、前記得られるサブチラーゼ変異体を試験することを含んで成る。
より特定には、本発明は、親サブチラーゼに比較して、少なくとも1つの変更された性質を有するサブチラーゼ変異体の生成方法に関し、ここで前記方法は、
a)BPN’, TY145又はJP170の立体構造に基づいて親サブチラーゼのモデル構造体を生成するか、又は親サブチラーゼの実際決定された立体構造体を生成し;
b)活性部位残基のCA, CB, C, O及びN原子の整合を通して前記構造体を重ね合わせることにより、前記JP構造体に対して親サブチラーゼのモデル又は実際の立体構造体を比較し;
c)段階b)における比較に基づいて、親サブチラーゼの少なくとも1つの構造部分を同定し、ここで前記構造体部分における変更が変更された性質をもたらすことが予測され;
d)前記構造部分に対応する位置での1又は複数のアミノ酸の少なくとも1つの欠失又は置換、又は前記構造部分に対応する位置における1又は複数のアミノ酸残基の少なくとも1つの挿入をコードする核酸配列を生成するために、親サブチラーゼをコードする核酸配列を修飾し;
e)段階c)及びd)を、N回、反復して実施し、ここでNは1又は複数の値を有する整数であり;
f)段階a)−e)に起因する変異体を調製し;
g)前記変異体の性質を試験し;
h)任意には、段階a)−g)を、繰り返して反復し;
i)親サブチラーゼに比較して、少なくとも1つの変更された性質を有するサブチラーゼ変異体を選択し;
j)変異体サブチラーゼを生成するために、宿主細胞において修飾された核酸配列を発現し;
k)前記生成されるサブチラーゼ変異体を単離し;
l)前記単離されたサブチラーゼ変異体を精製し;そして
m)前記精製されたサブチラーゼ変異体を回収することを含んで成る。
一定の領域及び/又は位置での親サブチラーゼの修飾がこのようにして生成されたサブチラーゼ変異体に特定の効果を付与することが予測されることが次に記載されているが、そのような領域のいずれかにおける親サブチラーゼの修飾がまた、上記効果以外の効果を生ぜしめることが注目されるべきである。例えば、改良された熱安定性に関して特に興味あるものとして言及されているいずれかの領域及び/又は位置がまた、低いpHでの高い活性、変更されたpH最適性、又は高められた比活性、例えば高められたペプチダーゼ活性を生ぜしめることができる。
本発明のさらなる観点は、サブチラーゼの変異体、そのような変異体をコードするDNA、及び前記変異体の調製方法に関する。本発明のさらなる観点は、種々の産業目的のためへの、特に洗剤組成物における添加剤としての前記変異体の使用に関する。本発明の他の観点は、下記の記載から明らかに成るであろう。
定義:
本発明をさらに詳細に論じる前、次の用語及び慣例がまず定義されるであろう。
アミノ酸及び核酸の命名法の詳細な記載のために、本発明者はWO00/71691号、5ページ(引用により本明細書に組込まれる)を言及する。遺伝子操作によりポリペプチドに導入される修飾の命名法の説明が、WO00/71691号、7−12ページ(引用により本明細書に組込まれる)に見出され得る。
用語“サブチラーゼ”とは、Siezen など., Protein Engng. 4 (1991) 719-737 及び Siezen など. Protein Science 6 (1997) 501-523によれば、セリンサブチラーゼのサブグループを言及する。セリンプロテアーゼ又はセリンペプチダーゼは、基質と共に供給アダクトを形成する、活性部位にセリンを有することにより特徴づけられるプロテアーゼのサブグループである。さらに、サブチラーゼ(及びセリンプロテアーゼ)は、セリンとは別の2種の活性部位アミノ酸残基、すなわちヒスチジン及びアスパラギン酸残基を有することにより特徴づけられる。
サブチラーゼは、スブチリシン−様プロテアーゼとしてこれまで言及されている、セリンプロテアーゼの170個以上のアミノ酸配列の相同性分析により定義される。サブチラーゼは、6種のサブグループ、すなわちスブチリシン(Subtilisin)ファミリー、サーミターゼ(Thermitase)ファミリー、プロテアーゼK(Proteinase K)ファミリー、ランチビオチック(Lantibiotic)ファミリー、ケキシン(Kexin)ファミリー及びピロリシン(Pyrolysin)ファミリーに分割され得る。
スブチリシンファミリー(EC3.4.21.62)はさらに、3種のサブグループ、すなわちI−S1(“真の”スブチリシン)、I−S2(高アルカリ性プロテアーゼ)及び細胞内スブチリシンに分割され得る。酵素の定義又はグループ分けは変化することができるが、しかしながら、本発明においては、再分又はサブグループへのサブチラーゼの上記分割は、Siezen など., Protein Engng. 4 (1991) 719-737 及び Siezen など. Protein Science 6 (1997) 501-523により記載されるそれらとして理解されるであろう。
用語“親”とは、本発明においては、タンパク質変異体を創造するために修飾されるタンパク質として理解されるべきである。親タンパク質は天然において存在する(野生型)ポリペプチドであり得るか、又はいずれかの適切な手段により調製されるその変異体であり得る。例えば、親タンパク質は、1又は複数のアミノ酸残基の置換、化学的修飾、欠失又は切断により、又は天然に存在するポリペプチドのアミノ酸配列への1又は複数のアミノ酸残基の付加又は挿入により修飾された天然に存在するタンパク質の変異体であり得る。従って、用語“親サブチラーゼ”とは、サブチラーゼ変異体創造するために修飾されるサブチラーゼを言及する。
用語“変異体”とは、本発明においては、親タンパク質に比較して、1又は複数のアミノ酸残基で修飾されているタンパク質として理解されるべきである。
用語“修飾”又は“修飾された”とは、本発明においては、タンパク質の化学的修飾、及びタンパク質をコードするDNAの遺伝子操作を包含するものとして理解されるべきである。修飾は、アミノ酸側鎖の置換、興味あるアミノ酸における又はアミノ酸での置換、欠失及び/又は挿入であり得る。従って、用語“修飾されたタンパク質”、例えば“修飾されたサブチラーゼ”とは、親タンパク質、例えばサブチラーゼに比較して、修飾を含むタンパク質として理解されるべきである。
“相同性”又は“〜に対して相同である”とは、本発明においては、その従来の手段において理解されるべきであり、そして2種のアミノ酸配列間の“相同性”は、アラインメントパラメーターについてのデフォールト設定、比較マトリックス、ギャップ及びギャップ拡張ペナルティーを用いて、the University of Wisconsin Genetics Computer Group (UWGCG) パッケージからのGAPプログラムにより定義される“類似性”の使用により決定されるべきである。デフォールトは、GAPペナルティー、すなわち3.0のGAP創造ペナルティー及び0.1のGAP拡張ペナルティーについて評価する(Program Manual for the Wisconsin Package, Version 8, August 1994, Genetics Computer Group, 575 Science Drive, Madison, Wisconsin, USA 53711)。
前記方法はまた、S. B.Needleman and C. D. Wunsch, Journal of Molecular Biology, 48,443-445 (1970)においても記載されている。同一性は同じ計算から導き出され得る。2種のアミノ酸配列間の相同性はまた、UWGCGパッケージバージョン9.1のGAPルーチンを用いて、“同一性”又は“類似性”により決定され、ここでアラインメントパラメーターのデフォールト設定、比較マトリックス、ギャップ及び拡張ペナルティーがまた、次のパラメーターを用いて適用される:キャップ創造ペナルティー=8及びそれらのデフォールト値で維持されるすべての他のパラメーター。ルーティンからの出力は、アミノ酸アラインメントの他に、2種の配列間の“%同一性”及び“類似性”の計算である。UWGCGパッケージバージョン9.1を用いて計算された数は、バージョン8とはわずかに異なる。
用語“位置”とは、本発明においては、ペプチド/ポリペプチドのN−末端から計算する場合、前記ペプチド又はポリペプチドにおけるアミノ酸の数として理解されるべきである。本発明に使用される位置数は、サブチラーゼが属するサブグループに依存して、異なったサブチラーゼを言及する。
上記に言及されるように、アルカリサブチラーゼKP43, KP1790, KP9860, Y, SD-521 及び E1は、配列相同性に基づいて、JP170サブグループに属する。広範囲な相同性のために、サブチラーゼYa及びSD−521のみが、図1において、JP170と共に一列整列されている。JP170サブチラーゼ、Yサブチラーゼ及びSD−521サブチラーゼは、それぞれ配列番号1,2及び3に従って番号付けられている。
しかしながら、本発明は、それらの特定のサブチラーゼの変異体にのみ制限されず、しかしJP170サブチラーゼにおける特定の同定される残基と“同等”である位置でのアミノ酸残基を含むJP170型の親サブチラーゼに拡張する。
JP170型サブチラーゼの残基(アミノ酸)位置は、それがJP170サブチラーゼに存在する特定の残基又は一部に対して相同であるか(すなわち、一次又は三次構造における位置に対応する)、又は類似する場合(すなわち、化学的に結合し、反応し、又は相互作用する同じか又は類似する機能的能力を有する)、JP170サブチラーゼの残基(位置)と同等である。
一次構造に対する相同性を確立するために、前駆体プロテアーゼのアミノ酸配列が、対照の骨格を定義するために同じグループ又は種類の酵素の適切な良く知られた(標準)酵素と、単離された又は親野生型酵素のアミノ酸配列とを一列整列することにより、JP170サブチラーゼ主要配列に直接的に比較される。このタイプの番号付けは、標準スブチリシンとしてのスブチリシンBPN’と共に、I−S1及びI−S2サブグループのスブチリシンに関する多くの特許出願において使用されて来た。
本明細書において特にことわらない限り、JP170サブチラーゼが標準として選択されて来た。
JP170の三次構造(3D構造)に対する相同性を確立するために、図1における3D構造に基づく一列整列が提供されて来た。この一列整列を用いることにより、前駆体JP170型サブチラーゼのアミノ酸整列は、JP170主要配列に直接的に相互関係され得る。新規JP170型サブチラーゼに関しては、JP170における位置に対応する(3Dの基づく)位置は、
i)新規配列に対して最も相同であるJP170型サブチラーゼを図1の一列整列から同定し、
ii)図1からのJP170型サブチラーゼにおける対応する位置を見出すために、同定される配列と新規配列とを一列整列し、そして
iii) JP170におけるその対応する位置を図1から確立することにより見出される。
最も相同の配列の発見のために、下記に記載されるようなGCGパッケージからのGAPプログラムが使用される。
一列整列は、上記に示されるように、次のパラメーター:ギャップ反応ペナルティー=3及びギャップ拡張ペナルティー=0.1、及びそれらのデフォールト値で維持される他のすべてのパラメーターを用いて変異体を番号付けするために、GCGパッケージバージョン8のGAPルーチンにより得られる。
一列整列は、JP170の配列に関して、多くの欠失及び挿入を定義することができる。一列整列においては、欠失は参照される配列において星印により示され、そして参照される酵素は問題の位置でギャップを有するものとして考慮されるであろう。挿入はJP170配列において星印により示され、そして参照される酵素における位置は最後のアミノ酸残基の位置番号として与えられ、ここで対応するアミノ酸残基は、アルファベット順、例えば82a, 82b, 82c, 82dとして標準の酵素において、下付文字として存在する。
参照される酵素がJP170に比較して、N−又はC−末端を含む場合、N−末端延長は位置番号Oa, Ob, 等を付与される。N−末端の方向において、及びC−末端の延長は、アルファベット順に下付文字と共にJP170のC−末端アミノ酸残基の位置番号、又は単純に、連続した連続番号を付与される。
従って、比較のために、JP170型サブチラーゼは、図1に提供されるように、JP170サブチラーゼ(配列番号1)の位置に参照して番号付けされる。次に、位置が、“JP170に対応する”として示される。
BPN’サブグループに属するサブチラーゼは、B. アミロリケファシエンス(配列番号4)からのスブチリシンNovo(BPN’)の位置を言及する。
TY145サブグループンに属するサブチラーゼは、TY145サブチラーゼ(配列番号7)の位置を言及する。また、PCT/DK2004/000066号も参照のこと。
発明の特定の記載:
上記に記載されるサブチラーゼの高い相同性にかかわらず、本発明者は、X−線結晶学により、JP170(配列番号1)の立体構造を解明しており、そしてそれとBPN’の立体構造との間にいくつかの差異が存在することを見出した。本発明者はさらに、スブチリシンサブグループに属するサブチラーゼの配列相同性を比較した。これは、本発明の図3に示される。
この比較に基づいて、本発明者は、スブチリシンサブグループを分割することを示唆し、その結果、JP170型サブチラーゼはBPN’サブチラーゼ及びTY145サブチラーゼのサブグループの他に、別のサブグループになる;PCT/DK2004/000066を参照のこと。
JP170型サブチラーゼ
用語“JP170 サブチラーゼ”又は“JP170型サブチラーゼ”とは、本発明においては、Siezen など. Protein Science 6 (1997) 501-523によれば、スブチリシングループに属し、そしてJP170(配列番号1)に対して少なくとも58%の相同性を有するサブチラーゼとして理解されるべきである。特に、JP170型サブチラーゼは、JP170、すなわち配列番号1に対して、少なくとも60%、例えば少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の相同性を有することができる。従って、中でも、アルカリプロテアーゼKP43、KP1790, KP9860, プロテアーゼYa, プロテアーゼ E-1 及び SD-521は、サブチラーゼのJP170サブグループに属するサブチラーゼである。
本明細書に記載される目的のために適切なJP170サブチラーゼは、JP170の立体構造に対して相同のサブチラーゼであり、すなわちそれは、添付1において構造座標により定義される立体構造に対して相同である。
タンパク質又はその一部のための1組の構造座標が、形状を立体的に定義する相対的組の点であることは当業者に良く知られているので、完全に異なった組の配列が同一又は類似する形状を定義できることが可能である。さらに、個々の座標におけるわずかな変動は全体的な形状に対して、ほとんどか又はまったく影響を与えない。
座標におけるそれらの変動は、構造座標の機械的操作のために、生成され得る。例えば、JP170の構造座標(添付1)は、構造座標の結晶学的変更、構造座標の分別、構造座標組への完全な付加又はその控除、構造座標の返転又はそれらのいずれかの組合せにより操作され得る。他方では、前記変動は、主要アミノ酸配列における差異のためであり得る。
そのような変動が、添付1の構造座標に比較して、許容できる標準誤差内、例えば0.8Åである場合、前記立体構造は、添付1の構造に対して相同であるものとして理解される。標準誤差は典型的には、例えば保存される主鎖残基の平均平方根の偏差として測定され得、ここで用語“二乗平均偏差”(RMS)とは、平均から偏差の平方の相加平均の平方根を意味する。
相同構造を有するタンパク質グループ内に、構造の機能的ドメインに対して重要でないか又は少なくともわずかに重要であるが、しかし前記構造間に保存された残基主鎖原子の大きな二乗平均偏差をもたらすことができる、一定領域における立体構造、副−構造又は構造のドメイン、例えばループに変動が存在することは、当業者に良く知られている。
従って、構造座標の組が結晶化されたタンパク質に対してユニークであることは良く知られている。他の立体構造は、それが相同構造又は異なった態様で結晶化された同じタンパク質である場合、正確に同じ座標組を有さないであろう。座標においては、天然の変動が存在する。全体的構造及び原子間関係は類似することが見出され得る。その類似性は、もう1つの構造の個々の“相同”原子からの1つの構造の個々の原子の二乗平均偏差に関して論じられ得る。
しかしながら、同一のタンパク質のみが、正確に同じ数の原子を有する。従って、100%以下の類似性を有するタンパク質は通常、異なった数の原子を有し、そして従って、二乗平均偏差はすべての原子に対して計算され得ないが、但し“相同”と見なされる原子のみに対しては計算される。座標に基づく類似性の正確な記載は、説明するのに困難であり、そして相同タンパク質を測定するのに困難である。本発明に関しては、異なったサブチラーゼの3D構造の類似性は、相同構造要素の程度、及び/又はアミノ酸又はDNA配列の類似性により説明され得る。欠失又は挿入を有さない配列に関しては、CA炭素原子についてのRMSは計算され得る。
任意には、JP170型サブチラーゼはさらに、次の構造特徴:
a)7個の鎖を有するねじれたβ−シート、
b)6個のαヘリックス、
c)少なくとも3個のイオン−結合部位を含んで成り、そしてBPN’様サブチラーゼの強及び弱イオン−結合部位を包含しないものとして特徴づけられる。
さらに、本発明のJP170サブチラーゼをコードする単離された核酸配列は、配列番号1のアミノ酸配列をコードする核酸配列の相補的鎖と、好ましくは低い緊縮条件下で、少なくとも中位の緊縮条件下で、少なくとも中位/高い緊縮条件下で、少なくとも高い緊縮条件下で、少なくとも非常に高い緊縮条件下でハイブリダイズする。
ヌクレオチドプローブと相同DNA又はRNA配列との間の低い、中位又は高い緊縮条件下でのハイブリダイゼーションを決定するための適切な実験条件は、5×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム、Sambrookなど. 1989)においてハイブリダイズするためにDNAフラグメント又はRNAを含むフィルターの10分間のプレソーキング、及び5×SSC、5×Denhardt溶液(Sambrookなど. 1989)、0.5%のSDS及び100μg/mlの音波処理された変性サケ精子DNA(Sambrookなど. 1989)の溶液におけるフィルターのプレハイブリダイゼーション、10ng/mlの濃度のランダム−感作され(Feinberg, A. P. and Vogelstein, B. (1983) Anal. Bio- chem. 132: 6-13)、32P−dCTP−ラベルされた(1×109cpm/μg以上の比活性)プローブを含む同じ溶液における約45℃での12時間の続くハイブリダイゼーションを包含する。次に、フィルターを、2×SSC、0.5%SDSの溶液により、少なくとも55℃(低い緊縮性)、より好ましくは少なくとも60℃(中位の緊縮性)、さらに好ましくは少なくとも65℃(中位/高い緊縮性)、さらに好ましくは少なくとも70℃(高い緊縮性)、及びさらにより好ましくは少なくとも75℃(非常に高い緊縮性)で30分間、2度洗浄する。
BPN’サブチラーゼ
BPN’サブチラーゼ”又はBPN’型サブチラーゼとは、本発明においては、Siezen など. Protein Science 6 (1997) 501-523によれば、スブチリシングループに属し、そして配列番号4に対して少なくとも61%の相同性を有するサブチラーゼとして理解されるべきである。特に、BPN’サブチラーゼは、BPN’、すなわち配列番号4に対して、少なくとも65%、例えば少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の相同性を有することができる。
さらに、本発明のBPN’をコードする単離された核酸配列は、配列番号4のアミノ酸配列をコードする核酸配列の相補的鎖と、好ましくは低い緊縮条件下で、少なくとも中位の緊縮条件下で、少なくとも中位/高い緊縮条件下で、少なくとも高い緊縮条件下で、少なくとも非常に高い緊縮条件下でハイブリダイズする。
本発明の1つの態様においては、本明細書に記載される目的のために適切なBPN’サブチラーゼは、PDB Nos.1SBT 及び1GNS (Protein Data Bank)において与えられる構造座標により定義されるようなBPN’の立体構造、又はProtein Data Bankから入手できるBPN’のいくつかの他の構造の1つに対して相同であるサブチラーゼであり得る。相同構造間の変動は、上記に記載されるようにいくつかの理由のために存在することができる。従って、本発明の範囲内のBPN’サブチラーゼは、上記のようにBPN’サブチラーゼに適合する構造特徴を有するいずれかのサブチラーゼとして理解されるべきであり、そしてさらに、そのようなサブチラーゼは好ましくは、本明細書に記載されるようなBPN’サブチラーゼに存在しない追加の構造特徴を有さない。本発明においては、BPN’型サブチラーゼは2つのイオン結合部位を有する。BPN’様サブチラーゼは、本発明においては、スブチリシンのブランチI-S、すなわちブランチI−S1(“真”のスブチリシン)、又はI-S2(高いアルカリ性のプロテアーゼ)に属する(Siezen など., ProteinEngng. 4 (1991) 719-737)。
BPN’型サブチラーゼの例は、中でもスブチリシン309((PDB NO : 1SVN, SAVI- NASE(商標), NOVOZYMES A/S)及び スブチリシン Carlsberg(ALCALASE(商標), NOVOZYMES A/S))を包含する。
R. J. Siezen and J. A. M Leunissen (Protein science, Vol. 6 (3), pp. 501-523,1997) ページ502の図1に関して、サブチラーゼの構造が、サブチラーゼか6〜8個のヘリックスから成り、それらの11個の鎖のうち7個の鎖はねじれたβ−シートの中心であるものとして記載されている。2個のイオン結合部位、いわゆる“強”及び“弱”カルシウム−結合部位が言及されている。いくつかの構造(スブチリシンDY PDB no.1BH6, 1998)に関しては、弱カルシウム−結合部位が、結晶化媒体におけるカルシウム濃度が低い場合、Na(ナトリウム)結合部位であることが示されていることが後に発見された。従って、次に、本発明者は、カルシウム−結合部位の代わりにイオン−結合部位を言及する。
TY145サブチラーゼ
TY145サブチラーゼ”又はTY145型サブチラーゼとは、本発明においては、配列番号7に対して少なくとも63%の相同性を有するサブチラーゼとして理解されるべきである。特に、TY145サブチラーゼは、TY145、すなわち配列番号7に対して、少なくとも65%、例えば少なくとも70%、少なくとも74%、少なくとも80%、少なくとも83%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の相同性を有することができる。
本発明の1つの態様においては、本明細書に記載される目的のために適切なTY145サブチラーゼは、PCT/DK2004/000066号に与えられる構造座標により定義されるように、TY145の立体構造に対して相同的なサブチラーゼであり得る。相同構造間の変動は、上記に記載されるようにいくつかの理由のために存在することができる。従って、本発明の範囲内のTY145サブチラーゼは、上記のようにTY145サブチラーゼに適合する構造特徴を有するいずれかのサブチラーゼとして理解されるべきであり、そしてさらに、そのようなサブチラーゼは好ましくは、本明細書に記載されるようなTY145サブチラーゼに存在しない追加の構造特徴を有さない。
典型的には、TY145サブチラーゼはさらに、次の構造特徴を含んで成り:
a)7個の鎖を有するねじれたβ−シート、
b)6個のαヘリックス、
c)少なくとも3個のイオン−結合部位を含んで成り、ここでBPN’型サブチラーゼの強イオン−結合部位は存在しない。
TY145型のサブチラーゼの例は、TY145サブチラーゼ、アンタルクチック バチルスTA41に由来する好冷性スブチリシンプロテアーゼS41(本明細書においてはTA41サブチラーゼとも呼ばれる;Davail S など., 1994, J. Biol. Chem. , 269,17448-17453)、及びアンタルクチック バチルスTA39に由来する好冷性スブチリシンプロテアーゼS39(本明細書においてはTA39サブチラーゼとも呼ばれる;Narinx E など., 1997, Protein Engineering, 10 (11), 1271-1279)を包含する。
JP170サブチラーゼの立体構造:
JP170サブチラーゼが、本発明のための基礎を形成する立体構造を解明するために使用された。
JP170の構造を、X-Ray Structure Determination, Stout, G. K. and Jensen, L. H. , JohnWiley & Sons, Inc. NY, 1989に与えられるようなX−線結晶学方法についての原理に従って解決した。
JP170の解決された結晶構造についての構造座標は、添付1に示されるように、標準PDB型(Protein Data Bank, Brookhaven National Laboratory, Brookhaven, CT)で与えられる。添付1が本出願の一部を形成することは理解されるべきである。添付1においては、次の略語が使用される:CAはc−α(炭素原子)又はカルシウムイオンを言及する(しかしながら、間違った理解を回避するために、本発明者は通常、本明細書においては、完全な名称“c−α原子”及び“カルシウム”又は“イオン”を使用する)。アミノ酸残基は、それらの標準の3文字コードで与えられる。添付される構造座標は、プロテアーゼ構造、及びインヒビター構造C12並びに水分子を含む。プロテアーゼ座標は、Aと呼ばれる鎖識別を有し、そしてC12インヒビターはBと呼ばれ、カルシウムイオンはCと呼ばれ、そして水Wである。次において、言及される残基の位置は、配列番号1で開示されるように、J170の配列を言及する。
JP170構造は、2種のドメイン、すなわち触媒ドメイン及びC−末端ドメインから成る。
触媒ドメインの構造は、スブチリシンのS8ファミリーに見出されるのと同じ全体的折りたたみを示す。その構造は、次の連続的な順序S2, S3, S1, S4, S5, S6, S7で配置される7種の鎖を有するねじれたβ−シートを含んで成る。
番号H1が残基9−17を含み、H2が残基68−76を含み、H3残基110−119を含み、H4が残基139−150を含み、H5が残基253−273を含み、そしてH6が残基281−291を含む、触媒ドメイン構造に6種のαヘリックスが存在する。
c−末端ドメインは、鎖モチーフ、いわゆるシートa及びbから成る“β−サンドイッチ”を含んでなる。このドメインにおけるシートは、逆平衡態様で鎖と組合され、ところが触媒ドメインにおける鎖は平行して組み合わされる。鎖の連続した順序は次のように示され:S1a-S1b-S3a-S3b-S4b-S4a-S2b-S2a、そしてβサンドイッチは2種のシートS1a, S3a, S4a, S2a 及び S1b, S3b, S4b, S2bに関して組織化した。
JP170サブチラーゼは、BPN’サブチラーゼの良く知られた強及び弱イオン−結合部位を欠いていることが見出された。しかしながら、JP170サブチラーゼは、BPN’サブチリシン構造に存在しない3種のイオン−結合部位を有する。これは、図2に提供される構造一列整列に見出され得る。それらの3種のイオン−結合部位はこの後、触媒ドメインに配置される部位1、及び非−触媒性C−末端ドメインに配置される部位2及び3として言及される。
従って、添付1に開示される原子座標に関しては、JP170のイオン−結合部位は、下記に位置する:
部位1−A601CAと称するカルシウム原子、
部位2−A603CAと称するカルシウム原子、及び
部位3−PDB表(添付1)においてA602CAと称するカルシウム原子。
イオン−結合部位の位置は、コアー構造における4個の特定の原子への距離により定義され得る。イオン−結合部位から3種の活性部位残基のc−α原子までの距離が選択された。サブチラーゼを通して、活性部位における残基Ser, His及びAspが高く保存される。JP170においては、それらはAsp30, His68及びSer254である。選択される第4距離は、まず、配列における活性部位セリン残基の後(この後、“Serの次”と呼ばれる)のアミノ酸残基のc−α原子への距離であり;JP170の3D構造においては、それはMet255である。
本発明の好ましい態様においては、
a)イオン−結部位1と、
i)Asp c−α原子との間の距離が26.70-28.70Åであり、
ii) His c−α原子との間の距離が22.10−24.10Åであり、
iii) Ser c−α原子との間の距離が16.95−18.95Åであり、
iv) Ser c−α原子の次のアミノ酸残基との距離が15.30−17.30Åであり、
b)イオン−結部位2と、
i)Asp c−α原子との間の距離が33.50-35.50Åであり、
ii) His c−α原子との間の距離が37-39Åであり、
iii) Ser c−α原子との間の距離が29.40-31.40Åであり、
iv) Ser c−α原子の次のアミノ酸残基との距離が30.70-32.70Åであり、
c)イオン−結部位3と、
i)Asp c−α原子との間の距離が41.50-43.50Åであり、
ii) His c−α原子との間の距離が42.90-44.90Åであり、
iii) Ser c−α原子との間の距離が34.50-36.50Åであり、
iv) Ser c−α原子の次のアミノ酸残基との距離が35-37Åである。
4種の選択されたc−α原子とJP170サブチラーゼの3種のイオン結合部位との間の特定の距離;及びイオン結合部位間の距離が下記にÅで与えられる:
しかしながら、それらの距離は、1つのサブチラーゼ〜他のサブチラーゼ間で変化する。この距離は、構造体におけるカルシウムイオンにより与えられる。ナトリウムイオンが代わりに結合される場合、その距離は少し変動する。一般的に、その距離は、±0.80Å、好ましくは±0.70Å、±0.60Å、±0.50Å、±0.40Å、又は最もこのましくは±0.30Å変化する。
さらに、JP170様サブチラーゼにおいては、金属イオンから10Åの距離までイオン−結合部位1を制限するペプチド構造は、位置183−189、191−204及び224−225に配置されたアミノ酸残基から構造される。
金属イオンから10Åの距離までイオン−結合部位2を制限するペプチド構造は、残基378−393から構成される。
金属イオンから10Åの距離までイオン−結合部位3を制限するペプチド構造は、残基348, 350,352, 363-370,380-383, 391-400 及び 414- 420から構成される。
I−S1及びI−S2サブグループ(BPN’様サブチラーゼ)に対する比較:
BPN’様サブチラーゼ構造への比較においては、JP170様サブチラーゼの構造は、“コアーサブチラーゼ−様”領域、“中間”領域及び“非相同”領域に分割され得る。
活性部位は、BPN’構造に構造的に密接に関連するコアーサブチラーゼ−様領域に見出され得る。コアーサブチラーゼ−様領域は、残基17−34、197−202及び216−232から構成され、そしてα−ヘリックスH3及び中央のα−ヘリックスH5を含み、ここで活性部位セリン残基はN−末端部分に位置する。コアーサブチラーゼ−様領域は、1.2よりも低いRMSを有する。
コアーサブチラーゼ−様領域の外部で、JP170様サブチラーゼの構造は、BPN’構造とは、かなりの程度異なる。
中間領域は、残基42−46、150−186、245−272及び278−296から成る。中間領域は、1.2〜1.8のRMSを有する。立体構造と官能価との間の関係は、JP170様サブチラーゼのこの領域において予測することは実質的に困難である。
非相同領域は、残基1-16,35-41, 47-149,187-196, 210-215,233-244, 273-277 及び 297-316から成る。非相同領域は、1.8よりも高いRMSを有する。立体構造と官能価との間の関係は、JP170様サブチラーゼのこの領域において予測することは非常に困難である。
JP170様サブチラーゼの3D構造における多くのループは、BPN’型構造とは、アミノ酸残基の長さ及び包含量において有意に異なる。JP170の次のループ又はタンパク質配合範囲を、サルビナーゼ(括弧内に番号付けされるBPN’)に比較する(図4参照):
G32-H43 (G34-H39)
E44-Y54 (P40-A48)
G57-G67 (V51-G63)
N79-N82(I75-V81)
I96-P107 (V95-S105)
A108-S119 (106-N117)
A131-Y137 (S128-S132)
T138-D152 (A133-G146)
E162-I169 (S156-I165)
G173-T180 (A169-A176)
E185-N199 (D181-N184)
G208-D218(G193-D197)
S232-K246(G211-T213)
D294-N303 (S256-L262)。
ループN79-N82(I75-V81)及びG208-D218 (G193-D197)は、サルビナーゼにおけるイオン−結合部位と接触しているが、しかしJP170においては、接触していない。同様に、ループE185−N199(D181−N184)はJP170におけるイオン−結合部位と接触して存在するが、しかしサルビナーゼにおいては接触していない。この知識は、JP170及びBPN’様型のサブチラーゼへのイオン−結合部位の付加又はその除去の可能性を開く。
差異の良好な例は、3個の残基のみを有する、対応するBPN’型ループG211−T213(サビナーゼにおける)に比較して、15個の残基を有するJP170におけるループS232−K246である。JP170様サブチラーゼにおいては、ループは、基質結合部位、特に基質結合部位のP’部分に折りたたむ。ループは、添付されるD構造(添付1)において結合されるC12インヒビターにより示されるように、基質に密着して配置される。
JP170のけるループS232 −K246の位置は、上記のように4個の特定の残基に関して記載され得る。ループにおける残基W240のCA原子から活性部位残基のCA原子までは距離は、次の通りである:
上記のように、それらのような距離は、±0.80Å、好ましくは±0.70Å、±0.60Å、±0.50Å、±0.40Å、又は最も好ましくは±0.30Å変動することができる。
さらに、JP170ループS232−K246の残基からC12インヒビターの原子までの距離が計算され得る。それらの距離は次の通りである:
W240のCA原子〜CI2におけるR62のCA原子:7.49Å
F239のCA原子〜CI2におけるR62のCA原子:8.39Å
S238のCA原子〜CI2におけるR62のCA原子:8.42Å
S237のCA原子〜CI2におけるR62のCA原子:9.44Å
S238のCA原子〜CI2におけるE60のCA原子:9.42Å。
添付1の3D座標において示されるように、JP170活性部位残基S254からC12インヒビターまでの距離は次の通りである:
S254のCA原子〜CI2におけるE60のCA原子:5.25Å
S254のCA原子〜CI2におけるR62のCA原子:11.55Å
S254のCA原子〜CI2におけるT58のCA原子:7.06Å
S254のCA原子〜CI2におけるM59のCA原子:4.71Å。
前記距離は、±0.80Å、好ましくは±0.70Å、±0.60Å、±0.50Å、±0.40Å、又は最も好ましくは±0.30Å変動することができる。
好ましくはJP170様サブチラーゼ変異体は、ループを部分的に、又は完全に除去するために、領域S232−K246に欠失、及び1又は複数の残基の続く挿入を有する。好ましい変異体は、L233−S245の欠失+Asnの挿入、L233−D244の欠失+Glyの挿入又はS232−D244の欠失+Glyの挿入を含んで成る。
類似する考慮が、TY145構造に対する差異に関して行われ得る。
JP170、BPN’及びTY145サブチラーゼの相同性構築:
JP170型サブチラーゼ、BPN’型サブチラーゼ又はTY145型サブチラーゼのモデル構造を、相同性プログラム又は比較プログラム、例えばModellerを用いて構築することができる(両者とも、Molecular Simulations, Inc., San Diego, CAからである)。その原理は、モデル3D構造が構成されるべきであるタンパク質のアミノ酸配列と、その3D構造が知られているタンパク質のアミノ酸配列とを一列整列することである。次に、構造的に保存された領域が、コンセンサス配列に基づいて構築され得る。相同性を欠いている領域においては、ループ構造が挿入され得るか、又は配列が、例えばプログラムHamologyを用いて必要な残基の続く結合により欠失され得る。構造の続く緩和及び最適化が、Homology、又はもう1つの分子シミュレーションプログラム、例えばMolecular SimulationsからのCHARMmのいずれかを用いて行われるべきである。
JP170, BPN’及びTY145サブチラーゼ変異体を構成するための方法:
異なったタンパク質の分子力学の比較が、ドメインが重要であるか、又は個々のタンパク質により適合される一定の性質に関連づけられるヒントを与えることができる。
従って、本発明は、親サブチラーゼに比較して少なくとも1つの変更された性質を有する、親サブチラーゼの変異体の構成方法に関し、ここで前記方法は、
a)JP170立体構造に関しての構造の考慮の評価に基づいて、前記性質の変更のために適切なものである、サブチラーゼの少なくとも1つのアミノ酸残基又は少なくとも1つの構造領域を同定するために、親サブチラーゼの立体構造を分析し;
b)前記性質を変更するために、親サブチラーゼに比較して、a)において同定されるアミノ酸残基又は構造部分の欠失、置換又は挿入により修飾されている変異体サブチラーゼをコードするポリヌクレオチドを構成するために前記親サブチラーゼをコードするポリペプチドのDNAを修飾し;
c)適切な宿主において前記変異体サブチラーゼを発現し;そして
d)前記性質について、前記得られるサブチラーゼ変異体を試験することを含んで成る。
より特定には、本発明は、親サブチラーゼに比較して、少なくとも1つの変更された性質を有するサブチラーゼ変異体の生成方法に関し、ここで前記方法は、
a)BPN’, TY145又はJP170の立体構造に基づいて親サブチラーゼのモデル構造体を生成するか、又は親サブチラーゼの実際決定された立体構造体を生成し;
b)活性部位残基のCA, CB, C, O及びN原子の整合を通して前記構造体を重ね合わせることにより、前記JP構造体に対して親サブチラーゼのモデル又は実際の立体構造体を比較し;
c)段階b)における比較に基づいて、親サブチラーゼの少なくとも1つの構造部分を同定し、ここで前記構造体部分における変更が変更された性質をもたらすことが予測され;
d)前記構造部分に対応する位置での1又は複数のアミノ酸の少なくとも1つの欠失又は置換、又は前記構造部分に対応する位置における1又は複数のアミノ酸残基の少なくとも1つの挿入をコードする核酸配列を生成するために、親サブチラーゼをコードする核酸配列を修飾し;
e)前記段階c)及びd)を、N回、反復して実施し、ここでNは1又は複数の値を有する整数であり;
f)段階a)−e)に起因する変異体を調製し;
g)前記変異体の性質を試験し;
h)任意には、段階a)−g)を、繰り返して反復し;
i)親サブチラーゼに比較して、少なくとも1つの変更された性質を有するサブチラーゼ変異体を選択し;
j)変異体サブチラーゼを生成するために、宿主細胞において修飾された核酸配列を発現し;
k)前記生成されるサブチラーゼ変異体を単離し;
l)前記単離されたサブチラーゼ変異体を精製し;そして
m)前記精製されたサブチラーゼ変異体を回収することを含んで成る。
従って、本発明は、親サブチラーゼの3−D構造を、それが属する型に構築し、そして続いて、それを、JP170 3−D構造に比較することを通して、又は親サブチラーゼの3−D構造が、JP170 3−D構想へのその比較により実際知られている場合、3種のサブチリシン型、すなわちBPN’型(I−S1及びI−S2サブグループ)、TY145型及びJP170型のいずれかのサブチラーゼにおける所望する修飾の同定のためへの本明細書に提供されるようなJP170構造の使用に関する。
この比較に基づいて、親サブチラーゼにおける少なくとも1つの残基が、親サブチラーゼとの比較において、変更された性質を有するサブチラーゼ変異体を供給するために、置換、欠失又は挿入による修飾のために選択される。
1つの態様においては、親サブチラーゼは、好ましくはABSS168, BASBPN, BSSDY, 及び BLSCARから成る群から選択されたサブグループI−S1、又はサブグループI−S1の特徴を保持するその機能的変異体に属する。
もう1つの態様においては、親サブチラーゼは、好ましくはA BLS147, BLS309, BAPB92, 及び BYSYABから成る群から選択されたサブグループI−S2、又はサブグループI−S2の特徴を保持するその機能的変異体に属する。
さらなる態様においては、親サブチラーゼは、好ましくはTY145、プロテアーゼS41(TA41プロテアーゼとも呼ばれる)、プロテアーゼS39(TA39サブチラーゼとも呼ばれる)、等から選択されたTY145型に属する。
特に、親サブチラーゼは、好ましくはJP170, KP43, KP9860, プロテアーゼ E-1, プロテアーゼ Ya, プロテアーゼ SD-521, 等から成る群から選択されたJP170型サブグループに属する。
本発明のさらなる態様は、
a)JP170の立体構造に基づいて親JP170型サブチラーゼのモデル構造体を生成するか、又は親サブチラーゼの実際決定された立体構造体を生成し;
b)活性部位残基のCA, CB, C, O及びN原子の整合を通して前記構造体を重ね合わせることにより、前記BPN’又はTY145構造体に対して親JP170型サブチラーゼのモデル又は実際の立体構造体を比較し;
c)段階b)における比較に基づいて、親JP170型サブチラーゼの少なくとも1つの構造部分を同定し、ここで前記構造体部分における変更が変更された性質をもたらすことが予測され;
d)前記構造部分に対応する位置での1又は複数のアミノ酸の少なくとも1つの欠失又は置換、又は前記構造部分に対応する位置における1又は複数のアミノ酸残基の少なくとも1つの挿入をコードする核酸配列を生成するために、親JP170型サブチラーゼをコードする核酸配列を修飾し;
e)段階c)及びd)を、N回、反復して実施し、ここでNは1又は複数の値を有する整数であり;
f)段階a)−e)に起因するJP170型サブチラーゼ変異体を調製し;
g)前記変異体の性質を試験し;
h)任意には、段階a)−g)を、繰り返して反復し;
i)親サブチラーゼに比較して、少なくとも1つの変更された性質を有するJP170型サブチラーゼ変異体を選択し;
j)変異体サブチラーゼを生成するために、宿主細胞において修飾された核酸配列を発現し;
k)前記生成されるJP170型サブチラーゼ変異体を単離し;
l)前記単離されたサブチラーゼ変異体を精製し;そして
m)前記精製されたサブチラーゼ変異体を回収することを含んで成る、親サブチラーゼに比較して、少なくとも1つの変更された性質を有する、JP170型サブチラーゼ変異体を低めるための方法に関する。
本発明はまた、上記方向により生成されるプロテアーゼ変異体を包含する。
安定性−イオン−結合部位の変更:
上記のように、添付1に提供されるようなJP170サブチラーゼの立体構造は、BPN’スブチリシン構造に存在しない3個のイオン−結合部位の存在を示し、従ってBPN’サブチラーゼの強及び弱イオン結合部位を欠いている。イオン−結合部位の安定性は、酵素の官能価のために重要である。従って、イオン−結合部位の変更は、酵素の安定性の変更をもたらす。
改良された安定性
JP170サブチラーゼの安定化はたぶん、イオン−結合部位に密接する位置における変更により得られる。従って、本発明の方法の1つの態様においては、上記段階(c)は、JP170型親のイオン−結合部位まで10Å又はそれ以下の距離に位置するアミノ酸残基位置、好ましくは6Å又はそれ以下の距離に位置する位置を同定する。
従って、本発明の好ましい変異体は、JP170(配列番号1)のイオン−結合部位まで10Åの距離に位置する1又は複数の位置に修飾を有する。それらの位置は、下記の通りである:
部位1:183-189 (すなわち、位置183,184, 185,186, 187,188,189),
191-204 (すなわち、位置191,192, 193,194, 195,196, 197,198, 199,
200,201, 202,203, 204),
224-225;
部位2:378-393 (すなわち、位置378,379, 380,381, 382,383, 384,385, 386,387,
388,389, 390,391, 392,393) ;
部位3:348, 350, 352,
363-370 (すなわち、位置363,364, 365,366, 367,368, 369,370),
380-383 (すなわち、位置380,381, 382,383),
391-400 (すなわち、位置391,392, 393,394, 395,396, 397,398, 399,400),
414-420 (すなわち、位置414,415, 416,417, 418,419, 420)。
他のJP170型サブチラーゼにおける対応する位置は、上記に開示されるようにして、又は本発明者における図1を用いることにより同定され得る。
洗剤組成物においては、カルシウムキレート化剤は、サブチラーゼからのカルシウムの除去に寄与し、そしてその結果として、酵素の続く不活性化をもたらす。例えば、カルシウムキレート化剤のカルシウム除去による不活性化を低めるために、改良されたカルシウム安定性を有する変異体が構成された。
イオン−結合部位1における安定化された好ましい変異体は、S193Q, Y; H200D, N及び H200D, N+D196Nである。
イオン−結合部位2において安定化された好ましい変異体は、N390D及びN391Dであり、そしてイオン−結合部位3において安定化された好ましい変異体は、G394N, Q, F, Y, S 及びW392S, N, Qである。
熱安定性の変更
改良された安定性(典型的には高められた熱安定性)を有する変異体は、プロリンによる置換、ジスルフィド結合の導入、水素結合接触の変更、電荷分布の変更、塩架橋の導入、より大きな側基(例えば、構造的に移動する領域における)を有する1又は複数のアミノ酸による内部構造キャビティーのフィルイン、他のアミノ酸によるヒスチジン残基の置換、脱アミド化部位の除去、又はヘリックスキャッピングにより得られる。
高められた移動度を有する領域
JP170の次の領域は、酵素の結晶構造において高められた移動度を有し、そしてそれらの領域がJP170の安定性又は活性を担当すると現在思われている。特に熱安定化はたぶん、高い移動性の領域を変更することにより得られる。酵素の改良は、下記領域及び位置における突然変異により得られる。より大きな残基、又は側鎖に多くの原子を有する残基の導入が安定性を高めることができ、又は側鎖により少ない原子を有する残基の導入は、移動度、及び従って、酵素の活性プロフィールのために重要である。
2種の方法が、3D構造から高い移動性の領域を得るために使用される。1つの方法は、MSI(Molecular Simulations Inc.)からのプログラムCHARMmを用いることにより、等方性変動の分子学的計算であり、そして他の方法は、B−因子の分子である。B−因子は、添付1に列挙されており、そして構造の種々の原子の位置の決定の不確定性に価値を与える。不確定性は、結晶格子における分子における原子の移動性に関連する。この移動性は、原子の熱運動に影響を及ぼし、そして従って、酵素の熱安定化のための可能性ある部位を示す。
従って、添付1における座標フィルから取られるB−因子を分析することにより("X-Ray Structure Determination, Stout, G. K. 及び Jensen, L. H., John Wiley & Sons, Inc. NY, 1989"を参照のこと)、JP170構造における次の移動領域が決定された:
13-18 (すなわち、位置13,14, 15,16, 17,18),
37-43 (すなわち、位置37,38, 39,40, 41,42, 43),
47-50 (すなわち、位置47,48, 49,50),
57-59 (すなわち、位置57,58, 59),
96-103 (すなわち、位置96,97, 98,99, 100,101, 102,103),
131-134 (すなわち、位置131,132, 133,134),
152-153
162-166 (すなわち、位置162,163, 164,165, 166),
188-195 (すなわち、位置188,189, 190,191, 192,193, 194,195),
210
234-246 (すなわち、位置234,235, 236,237, 238,239, 240,241, 242, 243,244, 245, 246),
372-378 (すなわち、位置372,373, 374,375, 376,377,378),
387-392 (すなわち、位置387,388, 389,390, 391,392),
406-407
419。
JP170の300K及び400Kでの分子学的シュミレーションは、次の高い移動領域を提供した:
37-42 (すなわち、位置37,38, 39,40, 41,42),
57-60 (すなわち、位置57,58, 59,60),
66-67,
98-103 (すなわち、位置98,99, 100,101, 102,103),
107-111 (すなわち、位置107,108, 109,110, 111),
188-193 (すなわち、位置188,189, 190,191, 192,193),
236-240 (すなわち、位置236,237, 238,239, 240),
326-332 (すなわち、位置326,327, 328,329, 330,331, 332),
337-342 (すなわち、位置337, 338,339, 340,341, 342),
355-360 (すなわち、位置355,356, 357,358, 359,360),
372-377 (すなわち、位置372,373, 374,375, 376,377),
384-388 (すなわち、位置384,385, 386,387, 388),
404-411 (すなわち、位置404,405,406, 407,408, 409,410, 411)。
従って、本発明の好ましいJP170サブチラーゼ変異体は、配列番号1の上記に言及される1又は複数の位置で修飾されている。さらに好ましい変異体は、領域57-60, 66-67, 107-111, 236-240, 326-332, 355-360, 372-377, 384-388, 404-411に1又は複数の変更を含んで成る。変異体W240H、Y、及び領域355−360において修飾された変異体、例えば1又は複数の修飾を含んで成る変異体:G355A, S; S356T, N; T357N, Q, D, E, P; T358S; A359S, T, N, Q 及び S360T, Nが特に好ましい。
領域355−360において修飾された変異体は、本明細書に記載されるように、DOPEプログラムの使用により、ランダム突然変異誘発のための方法に従って生成され得る。領域355−360に1〜3個の修飾を含んで成る変異体を得るために、次の頻度で置換を導入することができる:
野生型 修飾された
95% 5% G355A, S
90% 10% S356T, N
80% 20% T357N, Q, D, E, P
90% 10% T358S
80% 20% A359S, T,N,Q
80% 20% S360T, N
ジスルフィド結合
親JP170に比較して、改良された安定性、例えば熱安定性を有する本発明のJP170変異体が、新規ドメイン間、又はドメイン内結合を導入することにより、例えばドメイン間又はドメイン内ジスルフィド架橋を確立することにより得られる。
従って、本発明のさらなる観点は、新JP170の変異体の導入方法に関し、ここで段階(c)は、親JP170型サブチラーゼにおけるアミノ酸残基位置を同定し、その修飾が、少なくとも1つのCys残基の挿入又はそれによる置換により少なくとも1つのジスルフィド架橋を創造することができる。
配列番号1のアミノ酸配列において同定される下記に言及されるアミノ酸残基は、システイン置換のために適切であるものとして考慮される。システインによる1又は複数のそれらの置換により、ジスルフィド架橋がたぶん、JP170の変異体において形成することができる。置換は次の通りである:
G21C+A86C, V26C+A265C, G57C+G105C, G74C+A229C, Q111C+N143C, G160C+S170C, A286C+V349C, A27C+A122C, A45C+G78C, V72C+P258C, G78C+A229C, D98C+G104C, Q111C+Y147C, G135C+G167C, R142C+P354C, V144C+A178C, G182C+P217C, A183C+G223C, A195C+Y225C, F271C+P279C, A287C+A430C, A293C+T310C, E322C+S428C, S324C+A332C, S327C+P424C, D352C+N397C, G355C+T362C, G291C+S314C。
好ましい変異体は、1又は複数の次の置換を含んで成る:G21C+A86C, V26C+A265C, G57C+G105C, G74C+A229C, Q111C+Y143C, G160C+S170C, A286C+V349C, A4C+P222C 及びA27C+A117C。
JP170と相同のサブチラーゼにおけるシステイン置換のために適切な類似する残基は、図1の一列整列における相同位置を見出すことにより解明され得る。もう1つのJP170様配列に関しては、システイン置換のために適切な相同位置は、上記のようなGAP分析方法を用いて、図1のすべての配列と、前記JP170様配列とを一列整列することにより選択され得る。次に、適切な残基が、図1に一列整列されているサブチラーゼの配列である、配列番号1,2及び3のほとんどの相同体における相同位置に従って選択され得る。
表面電荷分布:
親サブチラーゼに比較して、改良された安定性(典型的には、改良された熱安定性)を有する変異体は、サブチラーゼの表面電荷分布を変えることにより得られる。例えば、pHが約5又はそれ以下に低められる場合、ヒスチジン残基は典型的には、正に電荷され、そして結果的に、タンパク質表面上での好ましくない静電相互作用が生じ得る。サブチラーゼの表面電荷を構築することにより、サブチラーゼのより高い安定性に導くそのような好ましい静電相互作用を回避できる。
荷電されたアミノ酸残基は、(a)正に荷電され:Lys, Arg, His (pH < 5), Tyr (pH > 9) 及び Cys(pH > 10)、そして(b)負に荷電される:Asp及びGlu。
従って、本発明のさらなる観点は、親サブチラーゼの変異体を構成するための方法に関して、ここで前記方法は、
a)親サブチラーゼ、好ましくはJP170様又はBPN’様サブチラーゼの表面上のAsp, Glu, Arg, Lys及びHisから成る群から選択された少なくとも1つのアミノ酸残基を同定し;
b)親サブチラーゼ、好ましくはJP170様又はBPN’様サブチラーゼの表面上のAsp, Glu, Arg, Lys及びHisから成る群から選択された少なくとも1つのアミノ酸残基を、荷電されていないアミノ酸残基により置換し;
c)任意には、段階a)及びb)を、繰り返して反復し;
d)任意には、b)以外の1又は複数の位置でのアミノ酸残基の挿入、欠失又は置換である変更を行い;
e)段階a)−d)に起因する変異体を調製し;
f)前記変異体の安定性を試験し;そして
g)任意には、段階a)−f)を、繰り返し反復し;そして
h)親サブチラーゼに比較して、高められた安定性を有するサブチラーゼ変異体を選択することを含んで成る。
当業者により理解されるように、いくつかの場合、電荷を担持するアミノ酸残基により荷電されていないアミノ酸残基を置換することがまた好都合であるか、又は他方では、いくつかの場合、1つの電荷を担持するアミノ酸残基を、反対の電荷を担持するアミノ酸残基により置換することが好都合である。従って、上記方法は、当業者により容易に使用され得る。電荷されていないアミノ酸残基を、電荷を担持するアミノ酸残基により置換する場合、上記方法が使用され得、唯一の差異は、次に解釈するであおる次の段階a)及びb)である:
a)親サブチラーゼの表面上の少なくとも1つの電荷されていないアミノ酸残基を同定し;
b)親サブチラーゼの表面上の少なくとも1つの電荷されていないアミノ酸残基を、Asp,Glu, Arg, Lys及びHisから成る選択された荷電されたアミノ酸残基により置換する段階。
サブチラーゼの表面上に存在するアミノ酸残基の電荷を変える場合、上記方法がまた使用され得る。再び、上記方法に比較して、唯一の差異は、この場合、解釈する次の段階a)及びb)である:
a)親サブチラーゼの表面上の、Asp, Glu, Arg, Lys及びHisから成る群から選択された少なくとも1つの荷電されたアミノ酸残基を同定し;
b)段階a)において同定された、親サブチラーゼの表面上の少なくとも1つの荷電されたアミノ酸残基を、反対の電荷を有するアミノ酸残基により置換する段階。
従って、Aspは、Arg, Lys又はHisにより置換され得;Gluは、Arg, Lys又はHisにより置換され得;Argは、Asp又はGluにより置換され得;LysはAsp又はGluにより置換され得;そしてHisはAsp又はGluにより置換され得る。
サブチラーゼの表面上に存在するアミノ酸を決定するために、表面接近可能領域がDSSP プログラム(Kabsch and Sander, Biopolymers (1983), 22,2577-2637)を用いて測定される。0 0, 0.10, 0.20, 0.30, 0.35, 0.40, 0.45, 0.50, 0.55 又は 0.60よりも高い表面接近性を有するすべての残基が、表面残基と見なされる。
中でも、上記方法を用いてJP170の表面上に見出されるアミノ酸残基は、N79, N316, L381, K246, K9, K313 及び K83である。本発明者は、塩架橋の導入による安定化のために特に興味ある置換N79D, N316D 及び L381 Dを考慮し、そして置換K246R, K9R, K313R 及び K83Rが高いpHでの安定かのために特に興味あるものである。
類似する置換が、他のJP170様サブチラーゼの同等の位置に導入され得る。
プロリン残基による置換;
表面の改良された熱安定性は、問題のサブチラーゼを二次構造についての分析にゆだね、間隔[[-90° < φ < -40° 及び-180° <Ψ< 180°]、好ましくは間隔[-90° <φ< -40° 及び120° <Ψ< 180° ] 又は[-90° <φ< -40° 及び-50° < Ψ <10° ]に制限される2面角φ及びΨを有するサブチラーゼにおける残基を同定し、そしてサブチラーゼがα−ヘリカル又はβ−シート構造を有することにより特徴づけられる領域に位置する残基を排除することにより得られる。
アミノ酸についての2面角φ及びΨが、結晶サブチラーゼにおける原子構造に基づいて計算された後、プロリン残基による置換のために好ましい2面角φ及びΨを有する位置を選択することが可能である。プロリン残基の脂肪族側鎖は、ペプチド基の窒素原子に共有する結合される。結果的に、その得られる環状の5員環は、ペプチド主鎖のN−Cα原子への水素結合の形成を同時に妨げる。それらの構造的理由のために、プロリン残基は一般的にα−ヘリカル及びβ−シートの二次コンホメーションと適合できない。
プロリン残基が同定された位置にすでに存在しない場合、天然に存在するアミノ酸残基が、プロリン残基により、好ましくは問題のサブチラーゼをコードする遺伝子上の適用される特定部位の突然変異誘発により置換される。
JP170型サブチラーゼのグループにおいては、プロリン残基は好都合には、位置22,44, 110,139, 140,166, 198,201, 203,231, 282,356, 357 及び 378で導入され得る。従って、好ましいJP170変異体は、1又は複数の次の置換を有する:Q22P, E44P, L110P, T139P, D140P, S166P I198P, V201P, Q203P, S231P, S282P, S356P, T357P 及び K378P。1又は複数のE44P、Q203P及びS356Pを含んで成る変異体が特に好ましい。
JP170サブチラーゼの改良された活性:
言及されるように、JP170サブチラーゼは、長く、明らかに非触媒性のC−末端を有することにおいてBPN’様サブチラーゼとは非常に異なる。JP170の可能な切断は、非触媒性C−末端である領域311−433の欠失又は前記領域内の欠失により得られる、2種のイオン−結合部位を包含する約115個の残基の除去である。好ましい欠失は、領域317−433又は315−433を含んで成る。好ましくは、新しいC−末端は、311−325の領域内に存在するであろう。さらに、欠失は、追加の置換、例えば1又は複数のL283N, Q; A290S, N 及び W306H, Y, Kにより最適化され得る。
好ましい切断は、次のものを含んで成る:
a)領域317−433の欠失及び置換L283N + A290S + W306H:
b)領域315−433の欠失及び置換L283N + A290S + W306H:
基質結合部位:
基質結合部位は、基質モデル、例えばCI2インヒビターと接触する残基により同定される。活性部位に結合されるCI2を有するJP170サブチラーゼの3D構造座標は、添付1に提供される。いずれの理論にも制限されないが、現在、基質と酵素との間の結合は、基質分子から領域10Å内に見出される好ましい相互作用により支持されると思われる。そのような好ましい結合の例は、水素結合、強い静電相互作用及び/又は疎水性相互作用である。
JP170サブチラーゼ(配列番号1)の次の残基は、基質結合部位に結合されるCI2インヒビターから10Åの距離内に存在する。従って、それらの基質は、前記基質との相互作用に関与すると思われる:
29-32, (すなわち、残基29, 30,31, 32)
64-72, (すなわち、残基64,65, 66,67, 68,69, 70,71, 72)
93,
96-98, (すなわち、残基96,97, 98)
100-110, (すなわち、残基100,101, 102,103, 104,105,106, 107,108,109, 110)
113-114,
127-136, (すなわち、残基127,128, 129,130, 131,132, 133,134, 135,136)
138-141, (すなわち、残基138,139, 140,141)
144,157, 174,
180-183, (すなわち、残基180,181, 182,183)
191,193-194,
202-207, (すなわち、残基202,203, 204,205, 206,207)
211,
223-226, (すなわち、残基223,224, 225,226)
234-241, (すなわち、残基234,235, 236,237, 238,239, 240,241)
249-258 (すなわち、残基249,250,251, 252,253, 254,255, 256,257, 258)。
本発明の1つの態様においては、変異体は、1又は複数の上記に言及される位置に修飾を含んで成る。好ましい変異体は、W129Lである。
特別なイオン−結合部位を有するJP170:
BPN’サブチラーゼからの強いイオン−結合部位は、N79−N82の欠失及びLNNSLGV(配列番号5)の続く挿入、続く置換A45D、N及び任意には置換E44P、T及び/又はR49QによりJP170(又はJP170サブグループにおけるサブチラーゼ)中に移植され得る。
JP170におけるイオン−結合部位の除去:
イオン−結合を除去することにより、媒体におけるカルシウムの酵素依存性を低めることが可能である。JP170又は他のJP170サブチラーゼにおけるイオン−結合部位は、他の関連するサブチラーゼ、例えばBPN’型サブチラーゼ、例えばサビナーゼ又は、BPN’、及びTY145型サブチラーゼの立体構造についての情報からのガイドにより除去され得る。
イオン−結合部位1の除去は、N186−N199の欠失及び少なくとも3個のアミノ酸残基の続く挿入により行われ得−又は位置186〜199における14個のアミノ酸残基を含んで成る領域による、3〜6個のアミノ酸を含んで成る領域の置換により異なって言及され得、好ましくは置換領域の配列はSSN(配列番号6)である。好ましくは、強制的ではないが、置換I7Q及びV3Yの1つ又は両者がさらに付加される。
イオン−結合部位1は、野生型JP170サブチラーゼ、又は上記のようにして切断されたJP170サブチラーゼから除去され得る。
イオン−結合部位を有さないサブチラーゼ:
同様に、JP170型サブチラーゼ及びTY145型サブチラーゼの立体構造についての情報は、BPN’型サブチラーゼにおける強及び弱イオン−結合部位を除去するために使用され得るか、又はTY145型サブチラーゼにおけるイオン−結合部位は、JP170及びBPN’型サブチラーゼについての構造部位に基づいて除去され得る。
例としてサビナーゼを用いる場合、除去は、a)ループにおける多くのアミノ酸残基の挿入又は欠失、又はb)完全なループ又は一部のループの欠失、及びJP170又はTY145株サブチラーゼの対応するループから多くの残基の続く挿入のいずれかにより、ループA194−L196(弱イオン−結合)及びL75−L82(強イオン−結合部位)を変更することにより行われ得る。
好ましくは、サブチラーゼのイオン−結合部位は、
i)領域A194−L196(BPN’番号)の完全な又は一部の欠失及びJP170位置P209−P217から選択された3個又はそれ以上の残基の挿入、及び
ii) 領域L75−L82(BPN’番号)の完全な又は一部の欠失及びTY145位置H83−Y92から選択された少なくとも1つの残基の挿入、又は
i)領域A194−L196(BPN’番号)の完全な又は一部の欠失及びJP170位置P209−P217から選択された3個又はそれ以上の残基の挿入、及び
ii) 領域L75−L82(BPN’番号)の完全な又は一部の欠失及びJP170位置N79−K83から選択された少なくとも1つの残基の挿入のいずれかにより除去され得る。
決定的酸化部位の除去:
JP型サブチラーゼ プロテアーゼの安定性を高めるためには、決定的酸化部位、例えばメチオニンを、酸化を受けにくい他のアミノ酸残基により置換するか、又は前記酸化部位を欠失することが好都合である。
従って、さらなる態様においては、本発明は、酸化に対して敏感な1又は複数のアミノ酸残基、特に分子の表面に露出されるメチオニン残基が欠失されているか、又は酸化に対して低い敏感性である他のアミノ酸残基により置換されているRP−IIプロテアーゼ変異体に関する。酸化に対して低い感受性のアミノ酸残基は、A, E, N, Q, I, L, S及びKから成る群から選択され得る。
そのような特定の変異体は、JP170プロテアーゼの欠失又は置換M42 {*, S, A, N, Q, K}; M85 {*, S, A, N, Q, K} ;M97 {*, S, A, N, Q,K} ;M153 {*, S, A, N, Q,K} ; M220 {*, S, A, N, Q,K} ;M250 {*, S, A, N, Q,K} ; 及びM255 {*, S, A, N, Q,K};SD−521及びYaプロテアーゼの欠失又は置換M42 {*, S, A, N, Q, K}; M85 {*, S, A, N, Q,K} ; M97 {*, S, A, N, Q, K} ; M153 {*, S, A, N, Q,K} ;M250 {*, S, A, N, Q, K} ; 及び M255{*, S, A, N, Q, K}の少なくとも1つを含んで成る。
Asn−Gly対の修飾による安定化
アルカリ性pHで、Asnの側鎖は、その主鎖がAsp側鎖を通り抜けるイソAsp残基を形成するために、隣接する連続的アミノ酸のNH基を相互作用できることは知られている。これは、主鎖をタンパク質分解を受けやすいままに残すであろう。脱アミド化は、次ぐ残基が、Glyである場合に、より頻繁に生じる。Glyの前のAsn又はGlyの変更は、ハプニングからこれを保護し、そして従って安定性、特に熱−及び貯蔵安定性に関して改良する。
従って、本発明はさらに、上記に示されている修飾において、親RP−IIプロテアーゼのアミノ酸配列に出現するいずれかのAsn−Gly配列のいずれかの又は両残基が欠失されているか、又は異なったアミノ酸の残基により置換されている、サブチラーゼに関する。
Asn及び/又はGly残基は例えば、A, Q, S, P, T及びYから成る群から選択されたアミノ酸の残基により置換され得る。
より特定には、SD−521及びYaプロテアーゼの位置66−67、134−135及び/又は375−376;及びJP170プロテアーゼの位置66−67、134−135、301−302及び/又は375−376を占めるAsn−GlyのAsn又はGly残基のいずれかが、欠失されているか、又はA, Q, S, P, T及びYから成る群から選択されたアミノ酸の残基により置換され得る(位置は、図1に示されるように、JP170プロテアーゼに関して示される)。
JP170の特定の変異体は次のものである:N66 {*, A, Q, S, P, T, Y}; G67 {*, A, Q, S, P, T,Y} ; N134 {*, A, Q, S, P, T,Y} ;G135 {*, A, Q, S, P, T,Y} ;N301 {*, A, Q, S, P, T,Y} ; G302 {*, A, Q, S, P, T,Y} ; N375 {*, A, Q, S, P, T,Y} ;及びG376 {*, A, Q, S, P, T,Y} ;;及びそれらの組合せ、例えばN66 {*, A, Q, S, P, T,Y}+N134 {*, A, Q, S, P, T,Y}, N66 {*, A, Q, S, P, T,Y} +N301 {*, A, Q, S, P, T, Y}, 及びN66 {*, A, Q, S, P, T,Y} +N375 {*, A, Q, S, P, T,Y}、等。
SD-521及びYaプロテアーゼの特定の変異体は次のものである:N66 {*, A, Q, S, P, T,Y} ; G67 {*, A, Q, S, P, T,Y} ; N134 {*, A, Q, S, P, T,Y} ; G135 {*, A, Q, S, P, T,Y} ; 及びN375 {*, A, Q, S, P, T,Y} ; G376{*,A,Q,S,P,T,Y};上記に示されるようなそれらの組合わせ。
チロシン残基の修飾:
洗浄性能に関しては、フェニルアラニンへの一定のチロシン残基の修飾が改良された洗浄性能を提供することが見出されている。いずれの特定の理論にも関連しないが、アルカリ洗浄液におけるそれらのTyr残基の滴定は、Tgy残基を他の残基、特にPhe又はTrp、特にPheにより置換することにより軽減される負の効果を有すると思われる。
JP170においては、チロシン残基は、次の位置において修飾され得る:20, 54, 118, 137, 147, 194, 225, 247, 249, 334, 379, 388, 411, 418。
SD−521及びYaプロテアーゼにおいては、チロシン残基は、次の位置において修飾され得る:17, 20, 54, 137, 147, 187, 243, 247, 249, 299, 319, 334, 361, 379, 386, 388, 411, 及び 418。
JP170に関しては、本発明は、次の変異体に関する:Y17 {F, W}, Y20 {F, W}, Y54 {F,W},Y137 {F, W}, Y147 {F,W},Y187 {F, W}, Y243 {F, W}, Y247 {F,W}, Y249 {F,W}, Y299 {F,W}, Y319 {F,W}, Y334 {F,W}, Y361 {F,W}, Y379 {F,W},Y386 {F, W}, Y388 {F, W}, Y411 {F, W}, 及び Y418 {F,W}。対応する修飾は、他のJP170型サプチラーゼにおいて容易に同定される。
トリプトファン残基の修飾:
タンパク質を安定化するためには、アメリカ特許第5,118,623号に記載されるように、タンパク質の表面でのトリプトファン残基を置換するか又は欠失することが好都合である。トリプトファン残基は好都合には、F, T, Q又はGにより置換され得る。従って、さらなる態様においては、本発明は、1又は複数の次の置換を含んで成るJP170型サブチラーゼ変異体に関する:SD-521及びYaプロテアーゼに関しては、位置118、129、240、306、350及び392;及びJP170プロテアーゼに関しては、位置129、240、306、350及び392。
従って、本発明は、1又は複数の次の置換を含んで成るJP170変異体に関する:W129 {F, T, Q,G}, W240 {F, T, Q, G}, W306 {F, T, Q, G}, W350 {F, T, Q,G}, 及び W392 {F, T, Q, G}。
組み合わされた修飾:
本発明はまた、そのアミノ酸配列に対してのいずれか他の修飾と組合してのいずれかの上記サブチラーゼ変異体も包含する。特に、酵素に改良された性質を提供することが当業界において知られている他の修飾との組合せが予測される。
JP170様又はBPN’様サブチラーゼ変異体の調製方法:
サブチラーゼ変異体、すなわち本発明のJP170及びBPN’変異体は、当業界において知られているいずれかの方法により生成され、そして本発明はまた、本発明のサブチラーゼ変異体をコードする核酸、前記核酸を含んで成るDNA構造体、及び前記核酸配列を含んで成る宿主細胞にも関する。
一般的に、天然に存在するタンパク質は、前記タンパク質を発現する生物を培養し、そして続いて、タンパク質を精製することにより生成されるか、又はそれは、前記タンパク質をコードする核酸、例えばゲノムDNA又はcDNAを発現ベクター中にクローニングし、前記発現ベクターを宿主細胞中に導入し、前記宿主細胞を培養し、そして発現されたタンパク質を精製することにより生成され得る。
典型的には、タンパク質変異体は、親タンパク質の特定の部位の突然変異誘発、発現ベクター中への導入、宿主細胞、等により生成され得る。親タンパク質は、ポリペプチドを生成する株、又は発現ライブラリーからクローン化され得、すなわちそれらはゲノムDNAから単離されるか、又はcDNAから調製されるか、又はそれらの組合せであり得る。
一般的に、遺伝子のクローニング、及び/又は前記遺伝子中への突然変異の導入(ランダム及び/又は特定部位)のための標準方法は、親サブチラーゼ、又は本発明のサブチラーゼ又はサブチラーゼ変異体を得るために使用され得る。適切な技法のさらなる記載に関しては、Molecular cloning : A laboratory manual (Sambrook など. (1989), Cold Spring Harborlab., Cold Spring Harbor, NY ; Ausubel, F. M. など. (eds. )) ; Current Protocols in Molecular Biology (John Wiley and Sons, 1995; Harwood, C. R. , and Cutting, S. M. (eds. )) ; Molecular Biological Methods for Bacillus (John Wiley and Sons, 1990); DNA Cloning: A Practical Approach, Volumes I and 11 (D. N. Glover ed. 1985); Oligonucleotide Synthesis (M. J. Gait ed. 1984); Nucleic Acid Hybridization (B. D. Hames & S. J. Higgins eds (1985) ) ; Transcription And Translation (B. D. Hames & S. J. Higgins, eds. (1984) ) ; Animal Cell Culture (R.I. Freshney, ed. (1986)) ; Immobilized Cells And Enzymes (IRL Press, (1986) ) ; A Practical Guide To Molecular Cloning (B.Perbal, (1984) ) 及び WO 96/34946を参照のこと。
さらに、変異体は、下記方法により構成され得る:
ランダム突然変異誘発
ランダム突然変異誘発は、問題の示されるアミノ酸配列に翻訳する遺伝子の少なくとも3つの部分において、又は完全な遺伝子内で、局在化された又は領域−特異的ランダム突然変異誘発として適切に行われる。
突然変異誘発オリゴヌクレオチドの使用により行われる場合、オリゴヌクレオチドは、変更される位置で、オリゴヌクレオチドの合成の間、3種の非親ヌクレオチドによりドーピングされるか、又はスパイキングされる。そのドーピング又はスパイキングは、所望しないアミノ酸のためのコドンが回避されるように行われ得る。そのドーピングされ又はスパイキングされたオリゴヌクレオチドは、例えばPCR、LCR又は適切であると思われるいずれかのDNAポリメラーゼ及びリガーゼを用いて、いずれかの公開された技法によりα−アミラーゼ酵素をコードするDNA中に組み込まれ得る。
好ましくは、ドーピングは、個々の位置における野生型及び突然変異の百分率があらかじめ定められている“一定のランダムドーピング”を用いて行われる。さらに、ドーピングは、一定のヌクレオチドの導入のための選択に向けられ、そしてそれにより、1又は複数の特定のアミノ酸残基の導入のための選択に向けられる。ドーピングは、例えば個々の位置における90%野生型及び10%突然変異の導入を可能にするために行われ得る。ドーピングスキームの選択におけるさらなる考慮は、遺伝子及びタンパク質−構造強制に基づかれる。ドーピングスキームは、中でも、停止コドンの導入が回避されることを確保するDOPEプログラム(“Material and Methods”セクションを参照のこと)を用いて行われ得る(L. J. Jensenなど、Nucleic Acid Research, 26, 697-702(1998))。
PCR−生成される突然変異誘発が使用される場合、親α−アミラーゼをコードする、化学的に処理されているか又は処理されていない遺伝子が、ヌクレオチドの誤った組み込みを高める条件下でPCRにゆだねられる(Deshler 1992; Leung など., Technique, Vol. 1, 1989, pp.11-15)。
突然変異誘発されるDNA配列は便利には、親α−アミラーゼを発現する生物から調製されるゲノム又はcDNAライブラリーに存在することができる。他方では、DNA配列は、突然変異誘発剤と共にインキュベートされるか又は他方では、その剤に暴露され得る適切なベクター、例えばプラスミド又はバクテリオファージ上に存在することができる。突然変異誘発されるDNAはまた、前記細胞のゲノム中に組み込まれることによって、又は細胞に含まれるベクター上に存在することによって、宿主細胞にも存在することができる。最終的に、突然変異誘発されるDNAは、単離された形で存在することができる。ランダム突然変異にゆだねられるDNA配列は好ましくは、cDNA又はゲノムDNA配列であることが理解されるであろう。
いくつかの場合、発現段階b)又はスクリーニング段階c)を行う前、突然変異誘発されたDNA配列を増幅することが便利である。そのような増幅は、当業界において知られる方法に従って行われ得、現在好まし方法は、親酵素のDNA又はアミノ酸配列に基づいて調製されたオリゴヌクレオチドプライマーを用いてのPCR−生成される増幅である。
突然変異誘発されたDNA配列はさらに、突然変異誘発されたDNA配列の発現を可能にする機能をコードするDNA配列を含んで成る。
局在化されたランダム突然変異誘発
ランダム突然変異誘発は、問題の親α−アミラーゼの部分に都合良く局在化され得る。これは、例えば、酵素の一定領域が酵素の所定の性質のために特に重要なものであることが同定されている場合、及び修飾が改良された性質を有する変異体をもたらすことが予測される場合、好都合であり得る。そのような領域は通常、親酵素の三次構造が解明され、そして酵素の機能と関連ずけられている場合に同定され得る。
局在化された又は領域特異的なランダム突然変異誘発は便利には、上記に論じられるようなPCR生成された突然変異誘発技法、又は当業界において知られている他のいずれかの適切な技法の使用により行われる。他方では、修飾されるDNA配列の一部分をコードするDNA配列が、例えば適切なベクター中への挿入により単離され、そして前記一部分は続いて、上記に論じられるいずれかの突然変異誘発方法の使用により突然変異誘発にゆだねられ得る。
ドーププログラムの使用によるランダム突然変異誘発のための一般的方法
ランダム突然変異誘発は、次の段階により行われ得る:
1.親酵素における修飾のための興味ある領域の選択;
2.選択された領域における突然変異部位及び突然変異誘発されていない部位の決定;
3.どの種類の突然変異が構成される変異体の所望する安定性及び/又は性能に関して実施されるべきであるかの決定;
4.構造的に適切な突然変異の選択;
5.段階4に関して、段階3により選択された残基の調整;
6.ヌクレオチド分布の適切なドープアルゴリズムの使用による分析;
7.必要なら、たとえば停止コドンの導入を回避するために、遺伝子コードに起因する強制を考慮して、遺伝子コードリアリズムへの所望する残基の調整;当業者は、いくつかのコドンの組み合わせが実際、使用され得、そして適合される必要があることを気づくであろう;
8.プライマーの製造;
9.プライマーの使用によるランダム突然変異誘発の実施;
10.所望する改良された性質についてスクリーニングすることによる、得られたフィターゼ変異体の選択。
段階6への使用のための適切なドープアルゴリズムは、当業界において良く知られている。1つのそのようなアルゴリズムは、Tomandl, D. など., 1997, Journal of Computer-Aided Molecular Design 11: 29-38により記載されている。もう1つのアルゴリズムは、DOPE (Jensen, LJ, Andersen, KV, Svendsen, A, and Kretzschmar, T (1998) Nucleic Acids Research 26: 697-702)である。
発現ベクター
本発明のサブチラーゼ変異体をコードする核酸配列を含んで成る組換え発現ベクターは、組換えDNA方法に便利には、ゆだねられ得、そして核酸配列の発現をもたらすことができるいずれかのベクターであり得る。
ベクターの選択はしばしば、それが導入されるべき宿主細胞に依存するであろう。適切なベクターの例は、線状又は開環状プラスミド又はウィルスを包含する。ベクターは、自立的に複製するベクター、すなわちその複製は染色体複製に無関係である染色体外実在物として存在するベクターは、例えばプラスミド、染色体外要素、ミニ染色体、又は人工染色体であり得る。ベクターは、自己複製を確保するためのいずれかの手段を含むことができる。複製の細菌起点への例は、プラスミドpBR322, pUC19, pACYC177, pACYC184, pUB110, pE194, pTA1060, 及びpAM 1の複製の起点である。酵母宿主細胞への使用のための複製の起点の例は、複製の2ミクロン起点、CEN6及びARS4の組合せ、及びCEN3及びARS1の組合せである。複製の起点は、宿主細胞において感温性としてそれを機能せしめる突然変異を有する起点である(例えば、Ehrlich, 1978, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 75: 1433を参照のこと)。
他方では、ベクターは、宿主細胞中に導入される場合、ゲノム中に組み込まれ、そしてそれが組み込まれた染色体と一緒に複製されるべきであり得る。宿主細胞のゲノム中に組み込まれるベクターは、ゲノム中への組み込みを可能にするいずれかの核酸配列を含むことができ、特にそれは、相同又は非相同組換えによりゲノム中への組み込みを促進する核酸配列を含むことができる。ベクターシステムには、単一のベクター、例えばプラスミド又はウィルス、又は複数のベクター、例えば宿主細胞のゲノム中に導入されるべき全DNAを一緒に含むプラスミド又はウィルス、又はトランスポゾンであり得る。
ベクターは特に、本発明のサブチラーゼ変異体をコードするDNA配列が、DNAの転写のために必要とされる追加のセグメント又は制御配列に操作可能的に連結されている発現ベクターであり得る。用語“操作可能的に連結される”とは、セグメントが整列され、その結果、それらがそれらの意図される目的に関して機能し、例えば転写がプロモーターにおいて開始し、そしてサブチラーゼ変異体をコードするDNA配列を通して進行することを示す。追加のセグメント又は制御配列は、プロモーター、リーダー、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、シグナル配列及び転写ターミネーターを包含する。最小で、制御配列は、プロモーター、及び転写及び翻訳停止シグナルを包含する。
プロモーターは、選択の宿主細胞における転写活性を示すいずれかのDNA配列であり得、そして宿主細胞に対して相同か又は異種であるタンパク質をコードする遺伝子から誘導され得る。
細菌宿主細胞への使用のための適切なプロモーターの例は、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)レバンスクラーゼ遺伝子(sacB)、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)マルトゲン性アミラーゼ遺伝子(amyM)、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)α−アミラーゼ遺伝子(amyL)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliguefaciens) α−アミラーゼ遺伝子(amyQ)、バチルス・サブチリスアルカリプロテアーゼ遺伝子、又はバチルス・プミラスキシロシダ−ゼ遺伝子、バチルス・アミロリクエファシエンスBANアミラーゼ遺伝子、バチルス・リケニホルミスペニシリナーゼ遺伝子(penP)、バチルス・サブチリスxylA及びzylB遺伝子、及び原生動物のβ−ラクタマーゼ遺伝子から得られるプロモーターを包含する(Villa−Kamaroffなど., 1978, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 75: 3727-3731)、及びtac プロモーター(De Boer など., 1983, Proceedings of the National Academy of Science USA 80: 21-25)。他の例は、λPR又はPLプロモーター又はE.コリlac, trp又はtacプロモーター又はストレプトミセス・コエリカラーアガラーゼ遺伝子(dagA)を包含する。さらなるプロモーターは、“Useful proteins from recombinant bacteria” in Scientific American, 1980, 242: 74-94; 及びSambrookなど., 1989, 前記に記載される。
糸状菌宿主細胞への使用のための適切なプロモーターの例は、アスペルギラス・オリザエTAKAアミラーゼ、リゾムコル・ミエヘイ アスパラギン酸プロテイナーゼ、アスペルギラス・ニガー中性α−アミラーゼ、アスペルギラス・ニガー酸安定性α−アミラーゼ、アスペルギラス・ニガー又はアスペルギラス・アワモリグルコアミラーゼ(glaA)、リゾムコル・ミエヘイリパーゼ、アスペルギラス・オリザエ アルカリプロテアーゼ、アスペルギラス・オリザエトリオースリン酸イソメラーゼ、アスペルギラス・ニジュランスアセトアミダーゼ、フサリウム・オキシスポラムトリプシン−様プロテアーゼ(アメリカ特許第4,288,627号に記載されるような)をコードする遺伝子から得られるプロモーター、そののハイブリッドである。
糸状菌宿主細胞への使用のための特に好ましいプロモーターは、TAKAアミラーゼ、NAZ-tpi(アスペルギラス・ニガー中性−アミラーゼ/及びアスペルギラス・オリザエトリオースリン酸イソメラーゼをコードする遺伝子からのプロモーターのハイブリッド)、及びglaAプロモーターである。糸状菌宿主細胞への使用のためのさらに適切なプロモーターは、ADH3プロモーター(McKnight など., The EMBO J. 4 (1985), 2093-2099)又はtpiAプロモーターである。
酵母宿主細胞への使用のための適切なプロモーターの配列は、酵母の解糖遺伝子(Hitzeman ., J. Biol. Chem. 255 (1980), 12073-12080; Alber and Kawasaki, J. Mol. Appl. Gen. 1 (1982), 419-434)、又はアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子(Young など., in Genetic Engineering of Microorganisms for Chemicals (Hollaender など, eds. ), Plenum Press, New York, 1982)からのプロモーター、TP11 (アメリカ特許第4,599, 311号)又はADH2−4c(Russell など., Nature 304 (1983), 652-654)プロモーターを包含する。
さらに有用なプロモーターは、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)エノラーゼ(ENO−1)、サッカロミセス・セレビシアエガラクトキナーゼ(GAL1)、サッカロミセス・セレビシアエアルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(ADH2/GAP)、及びサッカロミセス・セレビシアエ3−ホスホグリセレートキナーゼから得られる。酵母宿主細胞のための他の有用なプロモーターは、Romunosなど., 1992, Yeast8:423−488により記載される。酵母宿主細胞のための他の有用なプロモーターは、Romanusなど.,1992、酵母:423−488により記載される。哺乳類宿主細胞においては、有用なプロモーターは、ウィルスプロモーター、例えばシミアンウィルス40(SV40)、Rous肉腫ウィルス(RSV)、アデノウィルス、及びウシ乳頭腫ウィルス(BPV)を包含する。
哺乳類細胞への使用のための適切なプロモーターの例は、SVプロモーター(Subramani など., Mol. Cell Biol. 1 (1981), 854-864)、MT-1(メタロチオネイン遺伝子)プロモーター(Palmiter など., Science 222 (1983), 809-814)、又はアデノウィルス2主要後期プロモーターである。
昆虫細胞への使用のための適切なプロモーターの例は、ポリヘドリンプロモーター(アメリカ特許第4,745, 051号; Vasuvedan など., FEBS Lett. 311, (1992) 7-11)、P10プロモーター(J. M. Vlakなど., J. Gen. Virology 69,1988, pp. 765-776)、オートグラファー・アリフォルニア(Autographa California)ポリヘドロシスウィルス基本タンパク質プロモーター(EP397,485号)、バキュロウィルス即前記遺伝子1プロモーター(アメリカ特許第5,155,037号;第5,162,222号)、又はバキュロウィルス39K遅延された−初期遺伝子プロモーター(アメリカ特許第5,155,037号;第5,162,222号)である。
本発明のサブチラーゼ変異体をコードするDNA配列はまた、必要なら、適切なターミネーターに連結され得る。
本発明の組換えベクターはさらに、問題の宿主細胞におけるベクターの複製を可能にするDNA配列を含んで成る。
本発明のベクターはまた、選択マーカー、例えばその生成物が宿主細胞における欠陥を細くする1つの遺伝子、又は、抗生物質、例えばアンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール、エリトロマイシン、テトラサイクリン、スペクチノマイシン、ネオマイシン、ヒグロマイシン、メトトレキセートに対する耐性、又は重金属、ウィルス又は殺生物剤に対する耐性をコードする遺伝子、又は原栄養要求性又は栄養要求性を提供する遺伝子を含んで成ることができる。細菌選択マーカーの例は、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)又はバチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)からのdal遺伝子である。時折使用される哺乳類マーカーは、ジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子(DHFR)である。酵母宿主細胞のための適切なマーカーは、ADE2, HIS3, LEU2, LYS2, MET3, TRP1, 及び URA3である。
糸状菌宿主細胞への使用のための選択マーカーは、次の群から選択されるが、但しそれらだけには限定されない;amdS (アセトアミダーゼ)、argB (オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ)、bar (ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ)、hygB(ヒグロマイシンホスホトランスフェラーゼ)、niaD (硝酸レダクターゼ)、pyrG (オロチジン−5’−リン酸デカルボキシラーゼ)、sC (硫酸アデニルトランスフェラーゼ) ,trpC (アントラニル酸シンターゼ)、及びグルフォシネート耐性遺伝子、並びにそれらの同等物。特に、アスペルギラス・ニジュランス又はアスペルギラス・オリザエのamdS及びpyrGマーカー及びストレプトミセス・ヒグロスコピカスのbarマーカーが、アスペルギラス細胞への使用のために好ましい。さらに、選択は、選択マーカーが別々のベクター上に存在する、WO91/17243号に記載されるような同時形質転換により達成され得る。
宿主細胞の分泌経路に本発明のサブチラーゼ変異体を方向づけするためには、分泌シグナル配列(また、リーダー配列、プレプロ配列又はプレ配列として知られている)が、組換えベクターに供給され得る。分泌シグナル配列は、正しい読み取り枠で酵素をコードするDNA配列に連結される。分泌シグナル配列は、通常酵素により結合される配列であり得るか、又はもう1つの分泌されたタンパク質をコードする遺伝子からであり得る。
それぞれ、本発明の酵素をコードするDNA配列、プロモーター及び任意にはターミネーター及び/又は分泌シグナル配列を連結するか、又はPCR増幅スキームによりそれらの配列をアセンブルし、そして複製又は組み込みのために必要な情報を含む適切なベクター中に挿入するために使用される方法は、当業者に良く知られている(例えば、Sambrookなど. を参照のこと)。
本発明の酵素をコードする核酸配列の1つよりも多くのコピーが、核酸配列の発現を増幅するために宿主細胞中に挿入され得る。核酸配列の安定した増幅は、当業者において良く知られている方法を用いて、宿主細胞ゲノム中に前記配列の少なくとも1つの追加のコピーを組み込み、そして形質転換体について選択することにより得られる。
本発明の核酸構造体はまた、ポリペプチドの発現において好都合である1又は複数の因子、例えば活性化因子(例えば、トランス−作用因子)、カペロン及びプロセッシングプロテアーゼをコードする1又は複数の核酸配列を含んで成る。選択の宿主細胞において機能的であるいずれかの因子が本発明において使用され得る。1又は複数のそれらの因子をコードする核酸は、ポリペプチドをコードする核酸配列とタンダムに存在する必要は必ずしもない。
宿主細胞
宿主細胞中に導入される、本発明の酵素をコードするDNA配列を有するポリヌクレオチドは、問題の宿主に対して相同であっても、又は異種であっても良い。宿主細胞に対して相同である場合、すなわち天然において宿主細胞により生成される場合、それは、典型的には、もう1つのプロモーター配列、又は適用できるなら、その天然の環境においてよりももう1つの分泌シグナル配列及び/又はターミネーター配列に操作可能的に連結されるであろう。用語“相同”とは、問題の宿主生物に対して生来の酵素をコードするDNA配列を包含することが意図される。用語“異種”とは天然において宿主細胞により発現されないDNA配列を包含することが意図される。従って、DNA配列は、もう1つの生物からであり得るか、又はそれは合成配列でもあり得る。
本発明のDNA構造体又は組換えベクターが導入される宿主細胞は、本発明の酵素を生成できるいずれかの細胞であり得、そして細胞、酵母、菌類及び高等真核細胞、例えば植物を包含する。
培養に基づいて、本発明の酵素を生成することができる菌類宿主細胞の例は、グラム陽性細菌、例えばバチルス株、例えばバチルス・サブチリス、バチルス・リケニホルミス、バチルス・レンタス、バチルス・ブレビス、バチルス・ステアロサーモフィラス、バチルス・アルカロフィラス、バチルス・アミロリケファシエンス、バチルス・コアギュランス、バチルス・サーキュランス、バチルス・ラウタス、バチルス・メガテリウス、又はバチルス・スリンジエンシス、特にバチルス・レンタスの株;又はストレプトミセス、例えばストレプトミセス・リビダンス又はストレプトミセス・ムリナスの株;又はグラム陰性細菌、例えばE.コリ又はシュードモナス sp.の株である。
細菌の形質転換は、プロトプラスト形質転換、エレクトロポレーション、接合により、又はそれ自体知られている態様でのコンピテント細胞を用いることによりもたらされ得る(Sambrookなど., 前記を参照のこと)。
細胞、例えばE.コリにおいて酵素を発現する場合、酵素は、典型的には不溶性粒質物(封入体として知られている)として細胞質に保持され得るか、又は細菌分泌配列により細胞周辺腔に向けられ得る。前者の場合、細胞は溶解され、そして粒質物が回収され、そして変性され、この後、酵素は変性剤を希釈することによって再生される。後者の場合、酵素は、細胞周辺腔の内容物を放すために、例えば音波処理又は浸透ショックにより細胞を破壊することにより、細胞周辺腔から回収され得る。
グラム−陰性細菌、例えばバチルス又はストレプトミセス株においてサプチラーゼ変異体を発現する場合、酵素は細胞質に保持されるか、又はそれは細菌分泌配列により細胞外媒体に方向づけされ得る。後者の場合、酵素は下記のようにして媒体から回収され得る。
宿主酵母細胞の例は、カンジダ(Candida)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)、サッカロミセス(Saccharomyces)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、ピチア(Picha)、ハンセヒュラ(Hansehula)又はヤロウィア(Yarrowia)の種の細胞を包含する。特定の態様においては、酵母宿主細胞は、サッカロミセス・カルスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・ジアスタチカス(Saccharomyces diastaticus)、サッカロミセス・ドウグラシ(Saccharomyces douglasii)、サッカロミセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)、サッカロミセス・ノルベンシス(Saccharomyces norbensis)又はサッカロミセス・オビホルミス(Saccharomyces oviformis)細胞である。
他の有用な酵母宿主細胞は、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、クルイベロミセス・フラギリス(Kluyveromyces fragilis)、ハンセヒュラ・ポリモルファ(Hansehula polymorpha)、ピチア・パストリス(Pichia patoris)、ヤロウィア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、ウスチルゴ・マイリス(Ustilgo maylis)、カンジダ・マルトース(Candida maltose)、ピチア・グイレルモンジ(Pichia guillermondii)及びピチア・メタノリオ(Pichia methanolio)細胞である(Gleeson など., J. Gen.Microbiol. 132, 1986, pp. 3459-3465; アメリカ特許第4,882, 279号 及び アメリカ特許第4,879, 231号)。
酵母の分類は未来において変化するので、本発明に関しては、酵母は、Biology and Activities of Yeast (Skinner, F. A. , Passmore, S. M. , and Davenport, R. R. , eds, Soc. App. Bacteriol. Symposium Series No. 9,1980)に記載のように定義されるであろう。酵母の生物学及び酵母遺伝子の操作は、当業界において良く知られている(例えば、Biochemistry and Ge- netics of Yeast, Bacil, M. ,Horecker, B. J. , and Stopani, A. O. M. , editors, 2nd edition, 1987; The Yeasts, Rose, A. H. , and Harrison, J. S. , editors, 2nd edition, 1987; 及び The Molecular Biology of the Yeast Saccharomyces, Strathern etal., editors, 1981を参照のこと)。
酵母は、Becker and Guarente, In Abelson, J. N. and Simon, M.I., editors, Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology, Methods in Enzymology, Volume 194, pp 182-187, Academic Press, Inc., New York ; Ito など., 1983, Journal of Bacteriology 153: 163; and Hinnen など., 1978, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 75: 1920により記載される方法を用いて形質転換され得る。
糸状菌細胞の例は、ユーミコタ(Eumycota)及びオーミコタ(Oomycota)の糸状形を包含し(Hawksworthなど., 1995, 前記により定義されるような)、特に、次の種の細胞である:アクレモニウム(Acremonium)、例えばA.クリソゲナム(A. chrysogenum)、アスペルギラス(Aspergillus)、例えばアスペルギラス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギラス・ホエチダス(Aspergillus foetidus)、アスペルギラス・ジャポニカス(Aspergillus japonicus)、アスペルギラス・ニガー(Aspergillus niger)、又はアスペルギラス・オリザエ(Aspergillus oryzae)、フサリウム(Fusarium)、例えばフサリウム・バクトリジオイデス(Fusarium bactridioides)、フサリウム・セレアリス(Fusarium cerealis)、フサリウム・クロックウェレンズ(Fusarium crookwellense)、フサリウム・クルモラム(Fusarium culmorum)、フサリウム・グラミネアラム(Fusarium graminearium)、フサリウム・グラミナム(Fusarium graminum)、フサリウム・ヘテロスポラム(Fusarium heterosporum)、フサリウム・ネグンジ(Fusarium negundi)、フサリウム・レチキュラタム(Fusarium reticulatum)、フサリウム・ロゼウム(Fusariumu roseum)、フサリウム・サムブシウム(Fusarium sambucinum)、フサリウム・サルコクロウム(Fusarium sarcochroum)、フサリウム・スルフレウム(Fusarium sulphureum)、フサリウム・トリコセシオイデス(Fusarium trichothecioides)又はフサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、ヒュミコラ(Humicola)、例えばヒュミコラ・インソレンス(Humicola insolens)、ヒュミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)、ムコル(Mucor)、例えばムコル・ミエヘイ(Mucor miehei)、ミセリオプラソ(Myceliophthora)、例えばミセリオプラソ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)、ネウロスポラ(Neurospora)、例えばネウロスポラ・クラサ(Neurospora crassa)、ペニシリウム(Penicillium)、例えばペニシリウム・プルプロゲナム(Penicillium purpurogenum)、チエラビア(Thielavia)例えばチエラビア・テレストリス(Thielavia terrestris)、トリポクラヂウム(Tolypocladium)、又はトリコダーマ(Trichoderma)、例えばトリコダーマ・ハルジアナル(Trichoderma harzianum)、トリコダーマ・コニンギ(Trichoderma koningii)、トリコダーマ・ロンジブラキアタム(Trichoderma longibrachiatum)、トリコダーマ・レセイ(Trichoderma reesei)又はトリコダーマ・ビリデ(Trichoderma viride)、又はそのテレオモルフ又は類似物である。タンパク質の発現のためへのアスペルギラスspp. の使用は、例えばEP272,277号、EP230,023号に記載されている。
昆虫細胞の例は、レピドプテラ(Lepidoptera)細胞系、例えばスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞又はトリコプルシア・ニ(Trichoplusia ni)細胞を包含する(アメリカ特許第5,077,214号を参照のこと)。培養条件は、適切には、WO89/01029号又はWO89/01028号に記載されている。昆虫細胞の形質転換及びそこにおける異種ポリペプチドの生成は、アメリカ特許第4,745,051号、4,775,624号;4,879,236号;5,155,037号;5,162,222号;EO397,485号に記載のようにして行われ得る。
哺乳類細胞の例は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、子供ハムスター腎臓(BHK)細胞、COS細胞、又は例えばAmerican Type Culture Collectionから入手できるいずれかの数の他の不滅化された細胞系を包含刷る。哺乳類細胞をトランスフェクトし、そして前記細胞に導入されるDNA配列を発現する方法は、例えばKaufman and Sharp, J. Mol. Biol. 159 (1982), 601-621; Southern and Berg, J. Mol. Appl. Genet. 1 (1982), 327-341; Loyter など., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79 (1982), 422- 426;Wigler など., Cell 14 (1978), 725; Corsaro and Pearson, Somatic Cell Genetics 7 (1981), 603, Ausubel など., Current Protocols in Molecular Biology, JohnWiley and Sons, Inc., N. Y. , 1987,Hawley-Nelson など., Focus 15 (1993), 73; Ciccarone etal., Focus 15 (1993), 80; Graham and van der Eb, Virology 52 (1973), 456; 及び Neumann など., EMBO J. 1 (1982), 841-845に記載されている。哺乳類細胞は、Graham and Van der Eb (1978, Virology 52: 546)のリン酸カルシウム沈殿方法を用いて、直接的な摂取によりトランスフェクトされ得る。
タンパク質の発現及び単離する方法
本発明の酵素を発現するためには、本発明の酵素をコードをする核酸配列を含んで成るベクターにより形質転換されるか又はトランスフェクトされた、上記に言及される宿主細胞が、典型的には、所望する分子の生成を可能にする条件下で適切な栄養培地において培養され、この後、それらは細胞、又は培養ブイヨンから回収される。
宿主細胞を培養するために使用される培地は、宿主細胞を増殖するために適切ないずれかの従来の培地、例えば適切なサプリメントを含む最少又は複合培地であり得る。適切な培地は、市販されているか、又は公開されたレセピー(例えば、American Type Culture Collectionのカタログ)に従って調製され得る。培地は、当業界において知られている方法(例えば、細菌及び酵母についての文献;Bennett, J. W. and LaSure,L., editors, More Gene Manipulations in Fungi, Academic Press, CA, 1991)を参照のこと)を用いて調製され得る。
本発明の酵素が栄養培地中に分泌される場合、それらは培地から直接的に回収され得る。それらが分泌されない場合、それらは細胞溶解物から回収され得る。本発明の酵素は、問題の酵素に依存して、従来の方法、例えば遠心分離又は濾過による培地からの宿主細胞の分離、上清液又は濾液のタンパク質成分の塩、例えば硫酸アンモニウムによる沈殿、種々のクロマトグラフィー方法、例えばイオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、又は同様のものによる精製により、培養培地から回収され得る。
本発明の酵素は、それらのタンパク質に対して特異的である、当業界に知られている方法を用いて検出され得る。それらの検出方法は、特異的抗体の使用、生成物の形成、又は基質の消出を包含する。例えば、酵素アッセイは、分子の活性を決定するために使用され得る。種々の種類の活性を決定するための方法は、当業界において知られている。
本発明の酵素は、当業界において知られている種々の方法、例えばクロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、疎水性、クロマトフォーカシング、及びサイズ排除)、電気泳動方法(例えば、Protein Purification, J-C Janson and Lars Ryden, editors, VCH Publishers, New York, 1989を参照のこと)により精製され得るが、但しそれらだけには制限されない。
本発明の酵素をコードするDNA配列を含んでなる発現ベクターが異種宿主細胞において形質転換されるか、又はトランスフェクトされる場合、酵素の異種組換え生成を可能にすることができる。異種宿主細胞を使用する利点は、タンパク質又はペプチドが同種宿主細胞において発現される場合、しばしば存在する同種不純物を有さないことを特徴とする、高く精製された酵素組成物を製造することが可能であることである。本明細書においては、同種不純物とは、本発明の酵素が最初に得られる同種細胞に起因するいずれかの不純物(例えば、本発明の酵素以外の他のポリペプチド)を意味する。
洗剤への適用:
本発明の酵素は、添加され得、そして従って、洗剤組成物の成分を得る。
本発明の洗剤組成物は、手動又は機械用洗濯洗剤組成部物、例えば染色された布の前処理のために適切な選択用添加剤組成物、及びすすぎに添加される布用ソフトナー組成物として配合され得るか、又は一般的な家庭用硬質表面清浄操作への使用のための洗剤組成物として配合され得るか、又は手動又は機械用皿洗い操作、特に自動皿洗い(ADW)のために配合され得る。
特定の観点においては、本発明は、本発明の酵素を含んで成る洗剤添加剤を提供する。洗剤添加剤及び洗剤組成物は、1又は複数の他の酵素、例えばプロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、アミラーゼ、カルボキシラーゼ、セルラーゼ、ぺクチナーゼ、マンナーゼ、アラビナーゼ、ガラクタナーゼ、キシラナーゼ、オキシダ−ゼ、例えばラッカーゼ及び/又はペルオキシダーゼを含んで成る。
一般的に、選択された酵素の性質は、選択された洗剤と適合すべきであり(すなわち、pH−最適性、他の酵素及び非酵素成分との適合性、等)、そして酵素は有効量で存在すべきである。
プロテアーゼ:適切なプロテアーゼは、動物、植物又は微生物起源のものを包含する。微生物起源が好ましい。化学的に修飾された、又はタンパク質構築された変異体が含まれる。プロテアーゼは、セリンプロテアーゼ又は金属プロテアーゼ、好ましくはアルカリ微生物プロテアーゼ又はトリプシン−様プロテアーゼであり得る。アルカリプロテアーゼの例は、スブチリシン、特にバチルスに由来するそれらのもの、例えばスブチリシンNovo、スブチリシンCarlsberg、スブチリシン309、スブチリシン147及びスブチリシン168(WO89/06279号に記載される)である。トリプシン−様プロテアーゼの例は、トリプシン(例えば、ブタ又はウシ起源のもの)、及びWO89/06270号及びWO94/25583号に記載されるフサリウムプロテアーゼである。
有用なプロテアーゼの例は、WO92/19729号、WO98/20115号、WO98/20116号及びWO98/34946号に記載される変異体、特に1又は複数の次の位置での置換を有する変異体である:27, 36, 57, 76, 87, 97, 101, 104, 120, 123, 167, 170,194, 206,218, 222,224, 235 及び 274。
好ましい市販のプロテアーゼ酵素は、AlcalaseTM, SavinaseTM, PrimaseTM, DuralaseTM, EsperaseTM及びKannaseTM (Novo Nordisk A/S), MaxataseTM, MaxacalTM, MaxapemTM, ProperaseTM, PurafectTM, Purafect OxPTM, FN2TM及びFN3TM (Genencor International Inc.) を包含する。
リパーゼ:適切なリパーゼは、細菌又は菌類起源のそれらのものを包含する。化学的に修飾された又はタンパク質構築された変異体が包含される。有用なリパーゼの例は、ヒューミコラ(別名、サーモミセス)、例えばヨーロッパ特許第258068号及び第305216号に記載のようなヒューミコラ・ラウギノサ(T.ラウギノサ)、又はWO96/13580号に記載のようなヒューミコラ・インソレンス、P.アルカリゲネス又はP.プソイドアルカリゲネス(ヨーロッパ特許第218272号)、P.セパシア(ヨーロッパ特許第331376号)、P.スツゼリ(P.stutzeri)(イギリス特許第1,372,034号)、P.フルオレセンス、プソイドモナスsp. SD705株(WO75/06720号及びWO96/27002号)、P.ウイスコンシネンシス(WO96/12012号)からのリパーゼ、バチルスリーパーゼ、例えばB.スブチリス(Dartoisなど. (1993), Biochemica et Biophysica Acta, 1131, 253-360)、B. ステアロサーモフィラス(日本特許64/744992)又はB.プミラス(WO91/16422号)からのリパーゼを包含する。
他の例は、リパーゼ変異体、例えばWO92/05249号、WO94/01541号、ヨーロッパ特許第407225号、ヨーロッパ特許第206105号、WO95/35381号、WO96/00292号、WO95/30744号、WO94/25578号、WO95/14783号、WO95/22615号、WO97/04079号及びWO97/0720号に記載されるものを包含する。
好ましい市販のリパーゼ酵素は、LipolaseTM 及びLipolase UltraTM (Novo Nordisk A/S) を包含する。
アミラーゼ:適切なアミラーゼ(α−及び/又はβ)は、細菌又は菌類起源のそれらのものを包含する。化学的に修飾された又はタンパク質構築された変異体が包含される。アミラーゼは、バチルス、例えばイギリス特許第1,296,839号により詳細に記載される、B.リケニルホルミスの特許株から得られるα−アミラーゼを包含する。
有用なアミラーゼの例は、WO94/02597号、WO94/18314号、WO96/23873号及びWO/43424号に記載される変異体、特に1又は複数の次の位置での置換を有する変異体である:15, 23, 105, 106, 124, 128, 133, 154, 156, 181, 188, 190, 197, 202, 208, 209, 243, 264, 304, 305, 391, 408及び444。
市販のアミラーゼは、DuramylTM, TermamaylTM, FungamylTM 及びBAMTM (Novo Nordisk A/S), RapidaseTM 及びPurastarTM (Genencor International Inc.)である。
セルラーゼ:適切なセルラーゼは、細菌又は菌類起源のそれらのものを包含する。化学的に修飾された又はタンパク質構築された変異体が包含される。適切なセルラーゼは、バチルス、ヒューミコラ、フサリウム、チエラビア、アクレモニウム属からのセルラーゼ、例えばアメリカ特許第4,435,307号、アメリカ特許第5,648,263号、アメリカ特許第5,691,178号、アメリカ特許第5,776,757号及びWO89/09259号に開示されるヒューミコラ・インソレンス、マイセリオプソラ・サーモフィラ/オキシスポラムから生成される菌類セルラーゼを包含する。
特に適切なセルラーゼは、色彩保護有益性を有するアルカリ又は中性セルラーゼである。そのようなセルラーゼの例は、ヨーロッパ特許第0495257号、ヨーロッパ特許第0531372号、WO96/11262号、WO96/29397号、WO98/08940号に記載されるセルラーゼである。例の例は、WO94/07998号、ヨーロッパ特許第0531315号、アメリカ特許第5,457,046号、アメリカ特許第5,686,593号、アメリカ特許第5,763,254号、WO95/24471号、WO98/12307号及びPCT/DK98/00299号に記載されるそれらのものである。
市販のセルラーゼは、CelluzymeTM 及びCarezymeTM (Novo Nordisk A/S), ClazinaseTM 及びPuradex HATM (Genencor International Inc.) 及びKAC−500 (B)TM (Kao Corporation) を包含する。
ペルオキシダーゼ/オキシダーゼ:適切なペルオキシダーゼ/オキシダーゼは、植物、細菌又は菌類起源のそれらのものを包含する。化学的に修飾された又はタンパク質構築された変異体が包含される。有用なペルオキシダーゼの例は、コプリナス、例えばコプリナス・シネレウス、及びWO93/24618 号、WO95/10602号及びWO98/15257号に記載されるそれらのようなそれらの変異体からのペルオキシダーゼを包含する。
市販のペルオキシダーゼは、GuardzymeTM (Novo Nordisk A/S) を包含する。
洗剤酵素は、1又は複数の酵素を含む別々の添加剤を添加することにより、又はそれらの酵素のすべてを含んで成る組合された添加剤を添加することにより洗剤組成物に包含され得る。本発明の洗剤添加剤、すなわち別々の添加剤又は組合された添加剤が、例えば粒質物、液体、スラリー、等として配合され得る。好ましくは洗剤添加剤配合物は、粒質物、特に非−ダスチング粒質物、液体、特に安定された液体又はスラリーである。
非−ダスチング粒質物は、アメリカ特許第4,106,991号及び第4,661,452号に開示のようにして生成され得、そして任意には、当業界において知られている方法により被覆され得る。蝋被覆材料の例は、1000〜20,000の平均モル重量を有するポリ(酸化エチレン)生成物(ポリエチレングリコール、PEG);16〜50の酸化エチレン単位を有する、エトキシル化されたノニルフェノール;12〜20個の炭素原子を有するアルコールを有し、そして15〜80の酸化エチレン単位を有する、エトキシ化された脂肪アルコール;脂肪アルコール、脂肪酸;及び脂肪酸のモノ−、ジ−及びトリグリセリドである。流動層技法による適用のために適切なフィルム形成被覆材料の例は、イギリス特許第1483591号に与えられている。例えば、液体酵素調製物は、確立された方法に従って、ポリオール、例えばプロピレングリコール、糖又は糖アルコール、硫酸又は硼酸を添加することによって、安定化される。保護された酵素は、ヨーロッパ特許第238,216号に開示される方法に従って調製され得る。
本発明の洗剤組成物は、いずれかの便利な形、例えば棒状、錠剤、粉末、顆粒、ペースト又は液体の形で存在することができる。液体洗剤は、水性であり、典型的には、70%までの水及び0〜30%の有機溶媒を含み、又は非水性であり得る。
洗剤組成物は、非イオン性、例えば半−極性及び/又はアニオン性及び/又はカチオン性及び/又は両性イオンであり得る1又は複数の界面活性剤を含んで成る。界面活性剤は典型的には、0.1〜60重量%のレベルで存在する。
そこに含まれる場合、洗剤は通常、約1%〜約40%のアニオン性界面活性剤、例えば線状アルキルベンゼンスルホネート、α−オレフィンスルホネート、アルキルスルフェート(脂肪酸スルフェート)、アルコールエトキシスルフェート、第二アルカンスルホネート、α−スルホ脂肪酸メチルエステル、アルキル−又はアルケニル琥珀酸又は石鹸を含むであろう。
そこに含まれる場合、洗剤は通常、約0.2%〜約40%の非イオン性界面活性剤、例えばアルコールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、アルキルポリグリコシド、アルキルジメチルアミンオキシド、エトキシル化された脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸モノエタノールアミド、ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド、又はグルコサミンのN−アシルN−アルキル誘導体(“グルコサミド”)を含むであろう。
洗剤は、0〜65%の洗剤ビルダー又は錯生成剤、例えばゼオライト、ジホスフェート、三リン酸、ホスホネート、カーボネート、シトレート、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン六酢酸、アルキル−又はアルキニル琥珀酸、可溶性シリケート又は層化されたシリケート(例えばHoechstからのSKS−6)を含むことができる。
洗剤は、1又は複数のポリマーを含んで成る。例としては、カルボキシメチルセルロース、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピリジン−N−オキシド)、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリカルボキシレート(例えばポリアクリレート、マレイン酸/アクリル酸コポリマー及びラウリルメタクリレート/アクリル酸コポリマーを含んで成る。
洗剤は、H2O2源を含んで成る漂白システム、例えば過酸形成漂白活性化剤、例えばテトラアセチルエチレンジアミン又はノナノイルオキシベンゼンスルホネートと共に組合され得る過硼酸塩又は過炭酸塩を含むことができる。他方では、漂白システムは、例えばアミド、イミド又はスルホン型のペルオキシ酸を含むことができる。
本発明の洗剤組成物の酵素は、従来の安定剤、例えばポリオール、例えばプロピレングリコール又はグリセロール、糖又は糖アルコール、乳酸、硼酸又は硼酸誘導体、例えば芳香族硼酸エステル又はフェニル硼素酸誘導体、例えば4−ホルミルフェニル硼素酸を用いて安定化され得、そして前記組成物は、例えばWO92/19709号及びWO92/19708号に記載のようにして配合され得る。
洗剤はまた、他の従来の洗剤組成物、例えば布コンディショナー、例えばクレー、泡増強剤、石鹸泡抑制剤、抗腐蝕剤、土壌懸濁剤、抗−土壌再沈着剤、染料、殺菌剤、蛍光増白剤、ヒドロトロープ、曇りインヒビター、又は香料を含むことができる。
洗剤組成物においては、いずれかの酵素、特に本発明の酵素は、洗浄液体1L当たり0.01−100mgの酵素タンパク質、好ましくは洗浄液体1L当たり0.05−5mgの酵素タンパク質、特に洗浄液体1L当たり0.1−1mgの酵素タンパク質に対応する量で添加され得ることが、現在企画される。
本発明の酵素はさらに、引用により本明細書に組み込まれるWO97/07202号に開示される洗剤配合物に組み込まれる。
材料及び方法:
織物:
標準の織物片を、EMPA St. Gallen, Lerchfeldstrasse 5, CH-9014 St. Gallen, Switzerlandから得る。特に、タイプEMPA116(血液、ミルク及びインキにより染色された綿織物)及びEMPA117(血液、ミルク及びインキにより染色されたポリエステル/綿織物)を得た。他の標準織物片を、wfk-Cleaning Technology Research Institute, Chris- tenfeld 10, D-41379Bruggen-Bracht, Germanyから得る。特に、タイプwfk10N(卵/色素により染色された綿織物)、wfk10eggEG(卵黄により染色された綿織物)を得る。Wfk10Nの変性は、オートクレープにおいて生じる。
サブチラーゼ変異体の生成方法:
本発明は、本発明の単離された酵素の生成方法を提供し、ここで前記酵素をコードするDNA配列により形質転換された適切な宿主細胞が前記酵素の生成を可能にする条件下で培養され、そして得られる酵素が培養物から、回収される。
酵素をコードするDNA配列を含んで成る発現ベクターが異種宿主細胞を形質転換する場合、本発明の酵素の異種組換え生成を可能にする。それにより、相同不純物を有さないことを特徴とする、高く精製されたサブチラーゼ組成物を製造することが可能である。
形質転換された宿主細胞を培養するために使用される培地は、問題の宿主細胞を増殖するために適切ないずれかの従来の培地であり得る。発現されたサブチラーゼは便利には、培養培地中に分泌され得、そして良く知られている方法、例えば遠心分離又は濾過により培地から細胞を分離し、培地のタンパク質成分を、塩、例えば硫酸アンモニウムにより沈殿せしめ、続いてクロマトグラフィー方法、例えばイオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、等の方法により、前記分泌された培養物から回収され得る。
例1:BPN’様サブチラーゼからのイオン−結合部位の除去
JP170及びTY145における下記に言及される領域を、JP170及びTY145からサビナーゼにトランスファーするために選択した。本明細書に記載されるようなサブチラーゼ変異性の調製のための分子方法の使用により、サブナーゼ領域(BPN’番号付け)を除去し、そしてJP170及びTY145領域の代わりに挿入した。サブナーゼ領域はイオン−結合部位と接触して存在するので、修飾目的は、サビナーゼからイオン−結合部位を除去することである。
サビナーゼ 領域A194−L196
JP170領域P209−P217、及び
サビナーゼ 領域L75−L82
TY145領域H83-Y92
他方では、修飾は下記の通りであり得る:
サビナーゼ 領域A194−L196
JP170領域P209−P217、及び
サビナーゼ 領域L75−L82
JP170領域N79−K83。
酵素変異体の構造及び発現
特定部位の突然変異誘発
特定の挿入及び特定の置換を含んで成る本発明のサブチラーゼJP170特定部位変異体を、所望する挿入を含むオリゴを用いて、PCRにより生成されたDNAフラグメント(Bambrookなど., molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor, 1989)の従来のクローニングにより製造した(下記参照のこと)。
鋳型プラスミドDNAはpSX222、又はスブチリシンJP170の変異体を含むこの類似体である。突然変異は、変異体の構成に対して、オリゴ指図された突然変異誘発により導入された。
スブチリシンJP170変異体を用いて、E.コリを形質転換した。それらの形質転換体の一晩の培養物から精製されたDNAを用いて、制限エンドヌクレアーゼ消化、DNAフラグメントの精製、連結、B.サブチリスの形質転換により、B.サブチリスを形質転換した。B.サブチリスの形質転換は、Dubnauなど., 1971, J. Mol. Biol. 56, pp. 209-221による記載のようにして行われた。
特定領域に突然変異を導入するための特定部位の突然変異誘発
特定部位の突然変異誘発を行うために使用される全体の方法は次の通りである:
突然変異誘発プライマー(オリゴヌクレオチド)を、挿入/欠失/置換を定義するDNA塩基対により分離される、突然変異の部位を有するDNA配列に対応して合成する。
結果的に、得られる突然変異誘発プライマーを、修飾されたプラスミドpSX222とのPCR反応に使用する。得られるPCRフラグメントを精製し、そして第2PCR−反応において拡張し、得られるPCR生成物を精製し、そして第3PCR−反応−において拡張し、その後、エンドヌクレアーゼにより消化し、そしてE.コリ−B. サブチリスシャトルベクターpSX222中にクローン化する。PCR反応を、通常の条件下で行う。プラスミドDNAを用いて、良く知られている技法によりE.コリを形質転換し、そして1つのE. コリコロニーを配列決定し、企画される突然変異を確保する。
本発明のサブチラーゼ変異体を精製するために、本発明の変異体を含んで成るpSX222発現プラスミドを用いて、コンピテントB. サブチリス株を形質転換し、そして上記のようにして発酵する。
例2:酵素濃度の精製及び評価
発酵の後、スブチリシン変異体の精製を、Hydro- phobic Charge Induction Chromatography(HCIC)及び続く真空濾過を用いて行う。酵素を捕獲するために、HCICは、4−メルカプト−エチル−ピリジン(4−MEP)が結合するセルロースマトリックスを使用する。
80−100μmのセルロースマトリックスのビーズを、酵母、及びスブチリシン変異体を分泌できる形質転換されたB. サブチリスを含む培地と共に混合し、そしてUnifilter(商標)マイクロプレートにおいてpH9.5でインキュベートする。
4−MEPは、pH>7で疎水性であり、そしてスブチリス変異体はpH9.5で疎水性であるので、分泌される酵素とビーズ上の4−MEPとの間に疎水性結合が製造される。インキュベーションの後、培地及び細胞残骸を、真空濾過により除去し、ところがビーズ及び酵素はフィルター上に維持される。
ビーズから酵素を溶離するために、溶出緩衝液(pH5)によるフィルターの洗浄により、pHを低める。それにより、酵素は、ビーズから分離し、そして緩衝液から回収され得る。
精製されたスブチリス酵素変異体の濃度を、活性部位滴定(AST)により評価する。
精製された酵素を、種々の量の活性部位を阻害するために、異なった濃度で、高い親和性のインヒビターCI−2Aと共にインキュベートする。プロテアーゼ及びインヒビターは、1:1の比でお互い結合し、そして従って、酵素濃度はインヒビターの濃度に直接的に関連し、この点ですべてのプロテアーゼは不活性である。残留プロテアーゼ活性を測定するために、基質(トリス/HCl緩衝液中、0.6mMのSuc-Ala-Ala-Pro-Phe-pNA)を、インヒビターとのインキュベーションの後に参加し、そして次の4分間、変性生成物pNA(パラニトロフェノール)の進行を、Elisa Reader上で405nmで定期的に測定する。
下記に列挙される個々の変異体を、上記のようにして構成した:
H243K; S238K; L233T; L233S; L233D; Y247R; H200D ; H200A ;H200G ; E185D; S193Q; S193Y; N390D; G394N; G394F; W240H; G355A; G355S; N316D; N79D; K246R; K83R; H200D+D196N ; H243E。
例3:自動機械反応力アッセイ(AMSA)
AMSA−試験方法の記載
洗浄実験を、洗剤組成物における選択されたJP170サブチラーゼ変異体の洗浄性能を評価するために行う。本出願のサブチラーゼを、自動機械応力アッセイ(AMSA)を用いて試験した。AMSAにより、多量の少体積の酵素−洗剤溶液の洗浄機能を試験することができる。AMSAプレートは、試験溶液のための多くのスロット、及びすべてのスロット開口に対して、洗浄されるべき織物見本を強く圧縮する蓋を有する。洗浄時間の間の、プレート、試験溶液、織物及び蓋を激しく振盪し、試験溶液を織物とを接触せしめ、そして機械的対応を、規則的で定期的振盪の態様で適用する。さらなる記載に関しては、WO02/42740号、特に23−24ページの“Special method embodimments”を参照のこと。
実験を、下記に特定される実験条件化で行った:
水の硬度を、試験システムへのCaCl2、MgCl2及びNaHCO3(Ca2+:Mg2+=4:1)の添加により、9°dHに調節した。洗浄の後、織物片を、水道水によりフラッシングし、そして乾燥した。
酵素変異体の性能を、特定のプロテアーゼにより洗浄された織物サンプルの色の明るさとして測定する。明るさはまた、白色光により照射される場合、織物サンプルから反射される光の強度として表され得る。織物が染色される場合、反射される光の強度は、きれいな織物のその強度よりも低い。従って、反射される光の強度は、混合されたプロテアーゼの洗浄性能を測定するために使用され得る。
色の測定を、洗浄された織物サンプルの映像を得るために使用される専門的な平層スキャナー(PFU DL2400pro: J. M. Thomsen, Dorfgade 2, Dorf,Dronninglund, DK-9330から得られる)により行った。スキャンを、200dpiの解像度及び24ビットの出力色彩部により行う。正確な結果を得るために、スキャナーは、時折り、Kadak reflective IT8 targetにより検量する。
スキャンされた像から光の強度についての値を得るために、特別に企画されたソフトウェア適用が使用される(Novozymes Color Vector Analyzer)。このプログラムは、像から24ビット画素値を検索し、そしてそれらを赤、緑及び青(RGB)についての値に転換する。強度値(1nt)は、RGB値をベクターとして一緒に加算し、そして次に、得られるベクターの長さの平方根を取ることにより計算される:
洗剤
本発明のサブチラーゼの洗浄性能試験のための洗剤を、市販の十分に配合された洗剤を購入することにより入手し、そして続いて、熱処理(水溶液について95℃で5分間)により酵素成分を不活性化する。さらに、酵素を有さない市販の洗剤基剤を、その製造業者から直接的に購入する。さらに、適切なモデル洗剤を購入し、そして洗剤性能試験のために使用することができる。
プロテアーゼをまた、下記成分を含んで成るモデル洗剤組成物において試験する:
トリポリリン酸ナトリウム 23.0%
クエン酸ナトリウム・ニ水和物 22.3%
過硼酸ナトリウム・一水和物 6.0%
テトラアセチルエチレンジアミン 2.0%
ニ珪酸ナトリウム(非結晶) 5.0%
線状脂肪アルコールエトキシレート 2.0%
(非イオン性界面活性剤、低発泡性)
マレイン酸/アクリル酸コポリマー 4.0%
(ナトリウム塩、炭酸ナトリウムに対して50%活性)
無水炭酸ナトリウム 100%まで
市販の洗剤と組合して上記試験方法を用いて、下記に示される結果を得た。明らかなように、本発明のサブチラーゼは、配列番号1を有する野生型JP170-サブチラーゼに比較して、卵のしみに対して改良された線状性質性能を示す。

Claims (39)

  1. 親サブチラーゼに比較して少なくとも1つの変更された性質を有する、親サブチラーゼの変異体の構成方法であって、
    a)JP170立体構造に関しての構造の考慮の評価に基づいて、前記性質の変更のために適切なものである、サブチラーゼの少なくとも1つのアミノ酸残基又は少なくとも1つの構造領域を同定するために、親サブチラーゼの立体構造を分析し;
    b)前記性質を変更するために、親サブチラーゼに比較して、a)において同定されるアミノ酸残基又は構造部分の欠失、置換又は挿入により修飾されている変異体サブチラーゼをコードするポリヌクレオチドを構成するために前記親サブチラーゼをコードするポリペプチドのDNAを修飾し;
    c)適切な宿主において前記変異体サブチラーゼを発現し;そして
    d)前記性質について、前記得られるサブチラーゼ変異体を試験することを含んで成る方法。
  2. 親サブチラーゼに比較して、少なくとも1つの変更された性質を有するサブチラーゼ変異体の生成方法であって、
    a)BPN’, TY145又はJP170の立体構造に基づいて親サブチラーゼのモデル構造体を生成するか、又は親サブチラーゼの実際決定された立体構造体を生成し;
    b)活性部位残基のCA, CB, C, O及びN原子の整合を通して前記構造体を重ね合わせることにより、前記JP170構造体に対して親サブチラーゼのモデル又は実際の立体構造体を比較し;
    c)段階b)における比較に基づいて、親サブチラーゼの少なくとも1つの構造部分を同定し、ここで前記構造体部分における変更が変更された性質をもたらすことが予測され;
    d)前記構造部分に対応する位置での1又は複数のアミノ酸の少なくとも1つの欠失又は置換、又は前記構造部分に対応する位置における1又は複数のアミノ酸残基の少なくとも1つの挿入をコードする核酸配列を生成するために、親サブチラーゼをコードする核酸配列を修飾し;
    e)段階c)及びd)を、N回、反復して実施し、ここでNは1又は複数の値を有する整数であり;
    f)段階a)−e)に起因する変異体を調製し;
    g)前記変異体の性質を試験し;
    h)任意には、段階a)−g)を、繰り返して反復し;
    i)親サブチラーゼに比較して、少なくとも1つの変更された性質を有するサブチラーゼ変異体を選択し;
    j)変異体サブチラーゼを生成するために、宿主細胞において修飾された核酸配列を発現し;
    k)前記生成されるサブチラーゼ変異体を単離し;
    l)前記単離されたサブチラーゼ変異体を精製し;そして
    m)前記精製されたサブチラーゼ変異体を回収することを含んで成る方法。
  3. 親サブチラーゼが、好ましくはABSS168, BASBPN, BSSDY, 及び BLSCARから成る群から選択されたサブグループI−S1、又はサブグループI−S1の特徴を保持しているその機能的変異体に属する請求項1又は2記載の方法。
  4. 親サブチラーゼが、好ましくはBLS147, BLS309, BAPB92, 及び BYSYABから成る群から選択されたサブグループI−S2、又はサブグループI−S2の特徴を保持しているその機能的変異体に属する請求項1又は2記載の方法。
  5. 前記親サブチラーゼが、好ましくはTY145, S39及びS41から成る群から選択されたTY145型サブグループに属する請求項1又は2記載の方法。
  6. 前記親サブチラーゼが、好ましくはJP170, プロテアーゼKP43, KP1790, KP9860, プロテアーゼYa, プロテアーゼE-1 及び SD-521から成る群から選択されたJP170型サブグループに属する請求項1又は2記載の方法。
  7. モデル化される親JP170型サブチラーゼは、配列番号1に対して少なくとも58%相同であり、好ましくは少なくとも60%相同であり、より好ましくは配列番号1の配列に対して、少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、又はさらにより好ましくは少なくとも99%相同である請求項6記載の方法。
  8. 前記親JP170サブチラーゼが、全体的なスブチリシン折りたたみ、及び次の構造特徴:
    a)7個の鎖を有するねじれたβ−シート、
    b)6個のαヘリックス、
    c)少なくとも3個のイオン−結合部位を含んで成り、そしてBPN’様サブチラーゼの強及び弱イオン−結合部位を包含しない、配列番号1の配列に対して少なくとも58%相同であるJP170様サブチラーゼであり、ここで前記サブチラーゼの立体構造における前記3個のイオン−結合部位の位置が、サブチラーゼの3個の活性部位アミノ酸残基、すなわちSer, His及びAspのc−α原子、及び活性部位Ser残基の次のアミノ酸残基(Serの次の)のc−α原子への距離により定義され、ここで
    I)イオン−結部位1と、
    i)Asp c−α原子との間の距離が26.70-28.70Åであり、
    ii) His c−α原子との間の距離が22.10−24.10Åであり、
    iii) Ser c−α原子との間の距離が16.95−18.95Åであり、
    iv) Ser c−α原子の次のアミノ酸残基との距離が15.30−17.30Åであり、
    II)イオン−結部位2と、
    i)Asp c−α原子との間の距離が33.50-35.50Åであり、
    ii) His c−α原子との間の距離が37-39Åであり、
    iii) Ser c−α原子との間の距離が29.40-31.40Åであり、
    iv) Ser c−α原子の次のアミノ酸残基との距離が30.70-32.70Åであり、
    III )イオン−結部位3と、
    i)Asp c−α原子との間の距離が41.50-43.50Åであり、
    ii) His c−α原子との間の距離が42.90-44.90Åであり、
    iii) Ser c−α原子との間の距離が34.50-36.50Åであり、
    iv) Ser c−α原子の次のアミノ酸残基との距離が35-37Åである請求項6又は7記載の方法。
  9. a)JP170の立体構造に基づいて親JP170型サブチラーゼのモデル構造体を生成するか、又は親サブチラーゼの実際決定された立体構造体を生成し;
    b)活性部位残基のCA, CB, C, O及びN原子の整合を通して前記構造体を重ね合わせることにより、前記BPN’又はTY145構造体に対して親JP170型サブチラーゼのモデル又は実際の立体構造体を比較し;
    c)段階b)における比較に基づいて、親JP170型サブチラーゼの少なくとも1つの構造部分を同定し、ここで前記構造体部分における変更が変更された性質をもたらすことが予測され;
    d)前記構造部分に対応する位置での1又は複数のアミノ酸の少なくとも1つの欠失又は置換、又は前記構造部分に対応する位置における1又は複数のアミノ酸残基の少なくとも1つの挿入をコードする核酸配列を生成するために、親JP170型サブチラーゼをコードする核酸配列を修飾し;
    e)段階c)及びd)を、N回、反復して実施し、ここでNは1又は複数の値を有する整数であり;
    f)段階a)−e)に起因するJP170型サブチラーゼ変異体を調製し;
    g)前記変異体の性質を試験し;
    h)任意には、段階a)−g)を、繰り返して反復し;
    i)親サブチラーゼに比較して、少なくとも1つの変更された性質を有するJP170型サブチラーゼ変異体を選択し;
    j)変異体サブチラーゼを生成するために、宿主細胞において修飾された核酸配列を発現し;
    k)前記生成されるJP170型サブチラーゼ変異体を単離し;
    l)前記単離されたサブチラーゼ変異体を精製し;そして
    m)前記精製されたサブチラーゼ変異体を回収することを含んで成る、親サブチラーゼに比較して、少なくとも1つの変更された性質を有する、JP170型サブチラーゼ変異体を低めるための請求項1又は2記載の方法。
  10. 段階(c)が、JP170型親のイオン−結合部位まで10Å又はそれ以下に位置するアミノ酸残基位置、好ましくは6Å又はそれ以下の距離に位置する位置を同定する請求項9記載の方法。
  11. 段階(c)が、JP170型親におけるアミノ酸残基位置を同定し、この修飾が同定される少なくとも1つの位置の修飾によるイオン結合部位の除去を提供する請求項9記載の方法。
  12. 段階(c)が、JP170型親の高い移動性領域におけるアミノ酸位置を同定する請求項9記載の方法。
  13. 段階(c)が、JP170型親の移動性領域におけるアミノ酸位置を同定する請求項9記載の方法。
  14. 段階(c)が、親JP170型におけるアミノ酸残基位置を同定し、その修飾が少なくとも1つのCys残基の挿入又はその残基による置換により、少なくとも1つのジスルフィド架橋を創造できる請求項9記載の方法。
  15. 段階(c)及び(d)が、
    c’) 親JP170型の表面上の少なくとも1つの荷電されたアミノ酸残基を同定し;
    d’) 荷電されていないアミノ酸残基の欠失又はそれによる置換を通して、段階(a)において同定される荷電された残基を修飾することにより、修飾された表面荷電分布を有する親JP170型の変異体の構成を提供する請求項9記載の方法。
  16. c’’) 親JP170型の表面上の荷電されていないアミノ酸残基により支配される少なくとも1つの位置を同定し;
    d’’)荷電されたアミノ酸残基により荷電されていないアミノ酸残基を置換することにより、又は前記位置で荷電されたアミノ酸残基を挿入することにより、その位置における荷電を修飾することにより、修飾された表面電荷分布を有する親JP170型の変異体の構成を提供する請求項9記載の方法。
  17. 段階(c)及び(d)が、
    c’’’) 親JP170型の表面上の少なくとも1つの荷電されたアミノ酸残基を同定し;
    d’’’) 反対の電荷を有するアミノ酸残基により、段階(a)において同定される荷電された残基を置換することにより、修飾された表面荷電分布を有する親JP170型の変異体の構成を提供する請求項9記載の方法。
  18. 段階(c)が、親JP170型におけるアミノ酸残基位置を同定し、Proに対するこの修飾が改良された安定性を示すJP170型変異体を創造できる請求項9記載の方法。
  19. 段階(c)が、活性部位残基から10Å以下の距離で親JP170型におけるアミノ酸残基位置を同定する請求項9記載の方法。
  20. 段階(a)におけるNが、1〜50,45, 40,35, 30,25, 20,15, 14,13, 12,11, 10,9, 8,7,6, 5,4, 3,又は2の整数である請求項9〜19のいずれか1項記載の方法。
  21. イオン−結合部位に対して10Å又はそれ以下の距離に位置する位置、好ましくは6Å又はそれ以下の距離に位置する位置におけるアミノ酸残基に少なくとも1つの修飾を含んで成るJP170型サブチラーゼ変異体。
  22. 修飾が、次の位置:
    a)イオン−結合部位1:183,184, 185,186, 187,188, 189,191, 193,195, 196,197, 198, 199,200, 201,202, 203,224 及び 225、
    b)イオン−結合部位2:378,379, 380,381, 382,383, 384,385, 386,387, 388,389, 390, 391,392 及び 393、
    c)イオン−結合部位3:348,350, 352,363, 364,365, 366,367, 369,370, 380,381, 382, 383,391, 392,393, 394,395,396, 397,398, 399,400, 414,415, 416,417, 418,419, 420の少なくとも1つで行われ、好ましくは前記修飾は、S193Q, Y;H200D, N;H200D,N+D196N ; N390D;N391 D ; G394N, Q, F, Y, S 及び W392S, N, Qである請求項21記載の変異体。
  23. BPN’様ファミリーのサブチラーゼの強いイオン−結合部位に対応するイオン−結合部位の導入を包含するJP170型サブチラーゼ変異体であって、前記変異体が配列番号1の領域N79−N82の部分的又は完全な欠失、及び1又は複数のアミノ酸残基の挿入、好ましくは配列LNNSIQV(配列番号5)の挿入、続く置換A45D、N及び任意には、置換E44、T及び/又はR47Qを有することを特徴とする変異体。
  24. 1又は複数のイオン−結合部位が除去されているJP170型サブチラーゼ変異体であって、前記変異体が配列番号1の領域N186−N199の部分的又は完全な欠失、及び1又は複数のアミノ酸残基の続く挿入、好ましくは配列SSN(配列番号6)の挿入を包含し、そして好ましくは、置換17Q及びV3Yの1つ又は両者をさらに含んで成ることを特徴とする変異体。
  25. イオン−結合部位が除去されているBPN’型サブチラーゼ変異体であって、前記変異体が、
    a)領域A194−L196(BPN’番号付けにおけるサビナーゼ)又はもう1つのBPN’様サブチラーゼにおける対応する領域の部分的又は完全な欠失、及び3又はそれ以上のアミノ酸残基の挿入、好ましくはJP170からのP209−P217又はもう1つのJP170様サブチラーゼにおける対応する領域の挿入、及び
    領域L75−L82(BPN’番号付けにおけるサビナーゼ)又は前記他のBPN’様サブチラーゼにおける対応する領域の部分的又は完全な欠失、及び1又は複数のアミノ酸残基の挿入、好ましくはTY145からのH83−’122’又はもう1つのTY145様サブチラーゼにおける対応する領域の挿入、又は
    b)領域A194−L196(BPN’番号付けにおけるサビナーゼ)又はもう1つのBPN’様サブチラーゼにおける対応する領域の部分的又は完全な欠失、及び3又はそれ以上のアミノ酸残基の挿入、好ましくはJP170からのP209−P217又はもう1つのJP170様サブチラーゼにおける対応する領域の挿入、及び
    領域L75−L82(BPN’番号付けにおけるサビナーゼ)又は前記他のBPN’様サブチラーゼにおける対応する領域の部分的又は完全な欠失、及び1又は複数のアミノ酸残基の挿入、好ましくはJP170からのN79-K83又はもう1つのJP170様サブチラーゼにおける対応する領域の挿入を含んで成ることを特徴とする変異体。
  26. 下記位置:
    13,14, 15,16, 17,18, 37,38, 39,40, 41,42, 43,47, 48,49, 50,58, 59,60, 67,96, 97,98, 99,107, 108,109, 110,111, 131,132, 133,134, 152,153, 163,164, 165,166, 188,189, 190,191, 193,195, 210,234, 235,236, 237,238, 239,240, 241,242, 243,244, 245,326, 327,328, 329,330, 331,332, 337,338, 339,340, 342,355, 356,357, 359,360, 372,373, 374,375, 376,377, 378, 384, 385,387, 388,389, 390,391, 392,404, 405,406, 407,408, 409,410, 411 及び 419を包含する群から選択された位置に少なくとも1つの修飾を含んで成るJP170型サブチラーゼ変異体。
  27. 1又は複数の次の修飾:W240H, Y; G355A, S; S356T, N; T357N, Q, D, E, P;A359S, T, N, Q 又は S360T, Nを含んで成る請求項26記載のサブチラーゼ変異体。
  28. JP170の活性部位に結合されるC12インヒビターから10Åの距離以内に存在する1又は複数の位置に変更を含んでなる変異体サブチラーゼであって、配列番号1において特定されるように、前記位置は、
    29,30,31, 32,64, 67,68, 69,70, 71,72,93, 96,97, 98,107,108,109, 110,113, 114, 127,128, 129,130, 131,132, 133,134, 136,138, 139,140, 141,144, 157,174, 180,181, 182,183, 191,193, 202,203, 205,206, 207,211, 223,224, 225,226, 234,235, 236,237, 238,239, 240,241,249, 250,251, 252,253, 254,257, 258であり、好ましくは置換W129Lを含んでなる変異体。
  29. 1又は複数の次の修飾:
    G21C+A86C, V26C+A265C, G57C+G105C, G74C+A229C, Q111C+N143C, G160C+S170C, A286C+V349C, A27C+A122C, A45C+G78C, V72C+P258C, G78C+A229C, D98C+G104C, Q111C+Y147C, G135C+G167C, R142C+P354C, V144C+A178C, G182C+P217C, A183C+G223C, A195C+Y225C, F271 C+P279C, A287C+A430C, A293C+T310C, E322C+S428C, S324C+A332C, S327C+P424C, D352C+N397C, G355C+T362C, G291C+S314C;
    好ましくは1又は複数の置換:
    G21C+A86C, V26C+A265C, G57C+G105C, G74C+A229C, Q111C+Y143C, G160C+S170C, A286C+V349C, A4C+P222C及びA27C+A117C(ここで位置は、配列番号1における位置に対応する)に導入される1又は複数のジスルフィド架橋を含んで成るJP170様サブチラーゼ。
  30. 1又は複数の位置N79, N316, L381, K9及びK313に変更を含んで成り、好ましくは配列番号1の1又は複数の置換を含んで成るJP170型サブチラーゼ変異体。
  31. 1又は複数の位置22,44, 110,139, 140,166, 198,201, 203,231, 282,356, 357 及び 378に変更を含んで成り、好ましくは1又は複数の置換:Q22P, E44P,L110P, T139P, D140P,S166P 1198P, V201P, Q203P,S231 P, S282P, S356P, T357P 及び K378Pを含んで成るJP170型サブチラーゼ変異体。
  32. 領域311−433の欠失、好ましくは位置317−433又は315−433の欠失を含んで成り、さらに1又は複数の置換L283N, Q; A290S, N 及びW306H,Y, Kを含んで成るJP170様サブチラーゼ変異体。
  33. 請求項21〜32のいずれか1項において定義されるか又は生成されるサブチラーゼ変異体をコードする核酸配列を含んで成る単離された核酸配列。
  34. 前記核酸配列が、
    a)配列番号1に示されるアミノ酸配列と少なくとも58%の相同性を有する酵素をコードする核酸配列、及び
    b)配列番号1に示されるアミノ酸配列と少なくとも58%の相同性を有する酵素をコードする核酸配列の相補的鎖と、低い緊縮条件下で、好ましくは中くらいのの緊縮条件下で、特に高い緊縮条件下でハイブリダイズする核酸配列、又は
    c)少なくとも100個のヌクレオチドのa)又はb)のいずれかの副配列から成る群から選択される請求項33記載の単離された核酸配列。
  35. 適切な発現宿主においてポリペプチドの発現を指図することができる1又は複数の制御配列に操作可能に連結された、請求項33又は34記載の核酸配列を含んで成る単離された核酸構造体。
  36. 請求項35記載の核酸構造体を含んで成る組換え宿主細胞。
  37. 請求項21〜32のいずれか1項記載の変異体の生成方法であって、
    a)請求項36記載の組換え宿主細胞を、サブチラーゼ変異体の生成の助けとなる条件下で培養し;そして
    b)前記変異体を回収することを含んで成る方法。
  38. 請求項21〜32のいずれか1項記載のJP170型サブチラーゼ変異体又はBPN’型サブチラーゼ変異体を含んで成る洗剤組成物。
  39. 清浄又は清浄用途への請求項21〜32のいずれか1項記載のJP170型サブチラーゼ変異体又はBPN’型サブチラーゼ変異体の使用。
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