JPH10505290A - 複数の層で被覆された支持体および該支持体の製造法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、Ａ）支持体の表面に、厚さ２〜５００μｍのプラスチックフィルムを積層し、Ｂ）積層されたプラスチックフィルムの表面を、場合によっては自動車ボデーの塗装に適する充填材組成物で塗装し、Ｃ）積層されたプラスチックフィルムの表面もしくは工程Ｂの実施後に得られた充填材層を、顔料が添加された少なくとも１つのラッカー層で上塗りし、Ｄ）工程Ｃの実施後に得られたラッカー層を、場合によっては透明ラッカーで上塗りし、かつＥ）１つの積層されたプラスチックフィルムの表面上に塗布されたラッカー層もしくは複数の積層されたプラスチックフィルムの表面上に塗布されたラッカー層を硬化させることによって製造可能であることによって特徴付けられる、複数の層で被覆された支持体に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 複数の層で被覆された支持体および該支持体の製造法 本発明は、複数の層で被覆された支持体、前記支持体の製造法および自動車の 製造のための複数の層で被覆された支持体の使用に関する。 欧州特許出願公開第３７４５５１号明細書には、自動車ボデー用の構成部材の 製造のために適している被覆された支持体が開示されている。欧州特許出願公開 第３７４５５１号明細書中に記載された被覆された支持体は、少なくとも１つの ラッカー層で塗装されている金属薄板からなるかまたは表面層が塗装された金属 薄板からなる結合材料からなる。 本発明には、欧州特許出願公開第３７４５５１号明細書中で開示された被覆さ れた支持体と比べて改善された性質を示し、製造の際に僅少量の溶剤しか排出せ ず、かつ簡単な品質管理が可能であるような複数の層で被覆された支持体を提供 するという課題が課された。 前記課題は、本発明によれば、 Ａ 厚さ２〜５００ｐｍのプラスチックフィルムを支持体の表面上に積層し、 Ｂ 積層されたプラスチックフィルムの表面を、場合によっては自動車ボデーの 塗装に適する充填材組成物 で塗装し、 Ｃ 積層されたプラスチックフィルムの表面もしくは工程Ｂの実施後に得られた 充填材層を、顔料が添加された少なくとも１つのラッカー層で上塗りし、 Ｄ 工程Ｃの実施後に得られたラッカー層に、場合によっては透明なラッカーで 上塗りし、 Ｅ １つの積層されたプラスチックフィルムの表面上に塗布されたラッカー層も しくは複数の積層されたプラスチックフィルムの表面上に塗布されたラッカー層 を硬化させる ことによって製造可能であることを特徴とする、複数の層で被覆された支持体を 提供することによって解決される。 また、本発明は、 Ａ 厚さ２〜５００μｍのプラスチックフィルムを支持体の表面上に積層し、 Ｂ 積層されたプラスチックフィルムの表面を、場合によっては自動車ボデーの 塗装に適する充填材組成物で塗装し、 Ｃ 積層されたプラスチックフィルムの表面もしくは工程Ｂの実施後に得られた 充填材層を、顔料が添加された少なくとも１つのラッカー層で上塗りし、 Ｄ 工程Ｃの実施後に得られたラッカー層に、場合によっては透明なラッカーで 上塗りし、 Ｅ １つの積層されたプラスチックフィルムの表面上 に塗布されたラッカー層もしくは複数の積層されたプラスチックフィルムの表面 上に塗布されたラッカー層を硬化させ、この場合、工程Ｂで塗布された充填材層 の硬化は、顔料が添加された少なくとも１つのラッカー層の上塗りの前に実施で き、かつ工程Ｃで塗布された顔料添加された層の硬化は、透明なラッカーの上塗 りの前に実施できる ことを特徴とする、複数の層で被覆された支持体の製造法にも関する。 本発明のもう１つの対象は、車両ボデー、有利に自動車ボデーの製造並びに車 両ボデー用構成部材の製造のための本発明により被覆された支持体の使用である 。 本発明により被覆された支持体は、石の衝撃および腐食に対する極めて高い耐 性によって顕著である。本発明により被覆された支持体の他の利点は、該支持体 が、僅かな空間を必要とする装置により製造可能であること、本発明により被覆 された支持体の製造の際に、工程Ａでのプラスチックフィルムの使用によって極 めて少ない量の有機溶剤を放出することおよび品質管理が、既に工程Ａで使用さ れたプラスチックフィルムの場合に調節できることにあり、これに反して、ラッ カーの使用の際には被覆の品質は、ラッカー層の硬化後になってはじめて評価す ることができ、かつ品質が劣る場合には、塗布された支持体を全体として廃棄し なければならない。 本発明により被覆された支持体の製造のための方法の工程Ａの場合には、原理 的に、車両ボデーの製造並びに車両ボデー用の構成部材の製造に適する全ての支 持体を使用することができる。例としては、場合によっては前処理された金属薄 板、例えば場合によっては前処理されたスチール薄板およびアルミニウム薄板並 びにプラスチックからなる成形部材が挙げられる。有利に、プラスチックからな る成形部材、および全く特に有利に、場合によっては前処理された金属薄板、殊 に場合によっては前処理されたスチール薄板が支持体として使用される。金属薄 板は、例えば燐酸塩処理および／またはクロム酸塩処理によって前処理すること ができる。 工程Ａの場合には、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステ ル、ポリアクリレート、ポリカーボネートまたは多種多様の高分子量材料〜の混 合物からなるフィルムを使用することができる。工程Ａで使用されたプラスチッ クフィルムは、厚さ２〜５００μｍ、有利に２０〜２５０μｍを有し、かつ染料 および／または顔料を含有していてもよい。支持体への付着は、多種多様の方法 で行うことができる。１つの方法は、例えば付着助剤群、例えばウレタン基、無 水酸基またはカルボキシル基を有するフィルムまたは付着助剤群を有するポリマ ーとの同時押出しによって 付着助剤群を添加されたフィルムが使用されることにある。また、フィルムと支 持体との間の付着は、接着剤の使用によっても達成できる。この場合、室温で固 体の接着剤並びに室温で液状の接着剤を使用することｇ亜できる。 プラスチックフィルムの積層は、一般によく知られた方法により行うことがで きる。フィルムと付着助剤群との積層の場合、一般に、支持体がフィルムで、付 着材層が支持体表面に接触するように被覆される。この後、圧力および熱の使用 によって、温度調節可能なプレス機を用いるかまたは圧延機またはカレンダーの ロール間隙中で、温度調節可能なローラーを用いてフィルムが支持体の上に積層 される。この場合、圧力および温度は、堅固な結合が支持体とフィルムの間に生 じるような程度に選択される。室温で固体の接着剤を使用する場合には、同様に 処理される。液状の接着剤が使用される場合には、一般に、液状の接着剤が支持 体の上に塗布され、かつプラスチックフィルムが、加熱され、接着剤で被覆され た支持体の上に積層されるようにして処理される。 工程Ｂの場合には、積層されたプラスチックフィルムは、自動車ボデーの塗装 に適する充填材組成物で塗装することができる。自動車ボデーの従来の塗装の場 合、電着塗装を用いて塗布された下地は、充填材組成物で上塗りされる。こうし て得られた充填材層には、 本質的に２つの課題がある：１つには、電着塗装の起伏を均さなければならない ことおよびもう１つには、全体の塗装の石の衝撃に対する耐性を改善することで ある。自動車ボデー塗装の際の充填材層の製造のための充填材組成物は、極めて 多数知られており、従って、本明細書中では、詳細には、更に記載する必要はな い。充填材組成物は、本質的に、結合剤、架橋剤、顔料および充填材並びに場合 によっては他の添加剤、例えば架橋触媒および流展助剤からなる。使用可能な充 填材組成物は、結合剤としては、例えばエポキシド樹脂、ポリエステル樹脂、ポ リウレタン樹脂、ポリアクリレート樹脂およびアルキド樹脂またはこれらの樹脂 からの組合せ物を含有していてもよい。架橋剤としては、使用可能な充填材組成 物は、アミノプラスト樹脂、例えばメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、アミン、 ポリイソシアネートおよびカルボキシル基を含有する化合物を含有していてもよ い。使用可能な充填材組成物中に含有されていてもよい顔料の例としては、二酸 化チタン、フタロシアニン、酸化鉄およびカーボンブラックが挙げられる。充填 材としては、充填材組成物は、例えば石灰または硫酸バリウムを含有していても よい。 また、本発明により被覆された支持体は、驚異的なことに、工程Ｂで充填材組 成物が塗布されない場合にも、石の衝撃に対して良好な耐性を示している。 積層されたプラスチックフィルムの表面もしくは工程Ｂの実施後に得られた充 填材層の上には、顔料が添加された少なくとも１つの上塗りラッカー層または顔 料が添加された下塗りラッカー層および上塗りされた透明なラッカー層からなる いわゆるベースコート−クリアコート塗装が塗布される。 工程Ｃの場合には、自動車ボデーの従来の塗装に適した上塗りラッカーもしく は下塗りラッカーの全てを使用することができる。この種のラッカーは、当業者 には十分に知られており、かつ実に多数のものが市販により入手される。該ラッ カーは、本質的に、高分子量の結合剤、場合によっては架橋剤並びに顔料または 顔料からなる混合物を含有している。工程Ｃで使用された上塗りラッカーもしく は下塗りラッカーは、結合剤としては、例えばポリエステル樹脂、ポリウレタン 樹脂またはポリアクリレート樹脂またはこの種の結合剤からなる混合物を含有し ていてもよい。架橋剤としては、上塗りラッカーもしくは下塗りラッカーは、ア ミノプラスト樹脂、ポリイソシアネート樹脂、カルボキシル基を含有する架橋剤 またはこの種の架橋剤からなる混合物を含有していてもよい。工程Ｃで塗布され た顔料が添加された上塗りラッカー層もしくは下塗りラッカー層中に含有されて いてもよい顔料の例としては、二酸化チタン、フタロシアニン顔料、カーボンブ ラック、酸化鉄顔料、アルミニウム小片顔料およびパ ール光沢顔料が挙げられる。 本発明により被覆された支持体が、ベースコート−クリアコート塗装を施され なければならない場合には、工程Ｅでは、工程Ｄで塗布されたラッカー層の上に 透明なラッカー層が塗布される。この場合にも、従来の自動車塗装に使用可能な 全ての透明ラッカーを使用することができる。また、粉末クリアラッカーを使用 することもできる。また、Ｅで塗布された透明ラッカーは、結合剤、場合によっ ては架橋剤および他の常用の添加剤からなる。この種のラッカーは、多くの選択 肢の中で、市販により入手可能であり、かつ当業者にはよく知られている。従っ て、該ラッカーは、本明細書中で詳細に記載する必要はない。 Ｅの場合には、１つまたはそれ以上の積層されたプラスチックフィルムの表面 上に塗布されたラッカー層は硬化され、この場合、工程Ｂで塗布された充填材層 の硬化は、顔料が添加された少なくとも１つのラッカー層で上塗りする前に実施 でき、かつ工程Ｃで塗布された顔料が添加された下塗りラッカー層の硬化は、透 明ラッカーで上塗りする前に実施することができる。また、工程Ｂで塗布された 充填材層を、硬化していない状態で、下塗りラッカー層で上塗りし、この後、透 明ラッカー層の塗布の前に充填材層および下塗りラッカー層を一緒に硬化させる ことも可能である。ラッカー層の硬化は、常法によれば、６０〜２３０℃の温度 への加熱によって行われる。この場合、架橋剤を含有しているラッカーの場合に は、ラッカー中に含有されている結合剤と架橋剤の間で反応し、かつラッカー表 面に、機械的もしくは化学的攻撃に対する特に高い耐性を付与する立体的高分子 量網状組織が形成される。架橋剤を含有していないラッカーの場合、硬化処理が 進行するにつれて、ラッカーフィルムが物理的に乾燥する。 ラッカー層の塗布は、射出、浸漬、フローコーティング、ロール塗布またはド クター塗布によって行うことができる。複数の層で被覆された金属薄板の製造の 際には、ラッカー層は、有利に、コイル被覆法（Coil‐Coating‐Verfahren）を 用いて塗布される。 本発明により被覆された支持体は、車両ボデー用の構成部材の製造のために使 用することができる。該支持体は、このために変形させることができ、かつ場合 によっては他の材料、例えば繊維強化されたプラスチックを用いて複合有効材料 に後加工することができる。変形および事情による後加工は、工程Ｅの後並びに Ａの後に行うことができる。変形および事情による後加工は、工程Ｅの後に行わ れるのが有利である。変形および事情による後加工が、工程Ａの後に行われる場 合には、工程Ｂ〜Ｅは、変形されたかもしくは後加工された半製品において実施 される。 本発明は、以下の実施例中で詳細に説明される。パ ーセントおよび部についての全ての記載は、別記されない限り重量の記載と認め られる。 例 １ 白色顔料が添加された熱可塑性の６０μｍの厚さのポリウレタンフィルム（エ ラストグラン社（Firma Elastogran GmbH）のElastollan（登録商標）EL 1184A ）を、２２０℃の温度および５０バールの圧力でボデー薄板（Bonder 2660 0C） の上に貼り付ける。この後、積層されたプラスチックフィルムの表面を、市販の 白色顔料が添加された非水性上塗りラッカーで上塗りする（乾燥フィルム厚：４ ５〜５０μｍ）。次に、塗布されたラッカー層を１３０℃で３０分間焼き付ける 。 例 ２ 白色顔料が添加された熱可塑性の６０μｍの厚さのポリウレタンフィルム（エ ラストグラン社（Flrma Elastogran GmbH）のElastollan（登録商標）EL 1184A ）を、ブタンジオール１，４およびテレフタル酸／イソフタル酸（１：１）を基 礎とするポリエステルからなる２０μｍの厚さの付着助剤層と一緒に、１５０℃ 温度および２５バールの圧力でボデー薄板（Bonder 2660 0C）の上にプレスする 。この後、積層されたプラスチックフィルムの表面を、市販の白色顔料が添加さ れた非水性上塗りラッカーで上塗りする（乾燥フィルム厚：４５〜５０μｍ）。 次に、塗布されたラッカー 層を１３０℃で３０分間焼き付ける。 被覆された支持体の試験 例１および例２の記載により製造された被覆された支持体は、ＶＤＡ石衝撃試 験（２バールで２×５００ｇ）並びにメルセデス ベンツ落球衝撃試験（Merced es Benz‐Kugelschusstest）：腐食度（Rostgrad）は０であり、剥離度：２ｍｍ ２以下である）。ボデー耐性の試験のために、被覆された支持体に、ＤＩＮ５０ ０２１による塩水噴霧試験を施した。６週間後に、塗膜下腐食は確認できなかっ た。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．複数の層で被覆された金属薄板を製造するための方法において、 Ａ）前処理されているかまたは前処理されていない金属薄板の表面上に、厚さ２ 〜５００μｍのプラスチックフィルムを積層し、 Ｂ）積層されたプラスチックフィルムの表面を、場合によっては自動車ボデーの 塗装に適する充填材組成物で塗装し、 Ｃ）積層されたプラスチックフィルムの表面もしくは工程Ｂの実施後に得られた 充填材層を、顔料が添加された少なくとも１つのラッカー層で上塗りし、 Ｄ）工程Ｃの実施後に得られたラッカー層を、場合によっては透明ラッカーで上 塗りし、 Ｅ）１つの積層されたプラスチックフィルムの表面上に塗布されたラッカー層も しくは複数の積層されたプラスチックフィルムの表面上に塗布されたラッカー層 を硬化させ、この場合、１つのラッカー層もしくは複数のラッカー層は、コイル 被覆法を用いて塗布され、かつ工程Ｂで塗布された充填材層の硬化は、顔料が添 加された少なくとも１つのラッカー層での上塗りの前に実施でき、かつ工程Ｃで 塗布された顔料添加された層の硬化は、透明ラッカーで上塗りされる前に実施す ることができることを特徴とする、複数の層で被覆さ れた金属薄板の製造法。 ２．工程Ａで、熱可塑性ポリオレフィンフィルムまたは熱可塑性ポリウレタン フィルムを使用する、請求項１に記載の方法。 ３．複数の層で被覆された金属薄板を工程Ｅの後に変形する、請求項１または ２に記載の方法。 ４．複数の層で被覆された支持体において、該支持体が請求項１から３までの いずれか１項に記載の方法により製造されたものであることを特徴とする、複数 の層で被覆された支持体。 ５．車両ボデー、有利に自動車ボデーのための構成部材の製造のための請求項 ４に記載の被覆された支持体の使用。