【発明の詳細な説明】発色団に直接的にまたは非直接的に連結した、ミカエル−アクセプター、
特にマレイミドまたはマレイン酸誘導体を含む化合物および
長期間継続する日焼け止め組成物におけるこれらの使用
本発明は、日焼け止め剤として有用な新規な化合物および耐水性有しかつ長期
間継続する日焼け止め組成物に関するものである。
哺乳動物の皮膚は下記の2つの主な層からなる;外側の細胞層は表皮と呼ばれ
、さらに主に非細胞性の内層は真皮として知られている。この真皮はコラーゲン
やエラスチン等の構造タンパク質を含む。表皮の外層は角質として知られている
非生存性のケラチン層であり、表皮の主な構成成分であるケラチノサイト(kerat
inocyte)由来である。表皮中の他のタイプの細胞としてはメラニンを合成するメ
ラニン細胞及び全身性の免疫系に対して抗原を生じるランゲルハンス細胞がある
。
太陽の紫外線(UVR)の波長は約290nm〜400nmの範囲である。2
80〜320nmの紫外線はUVBとして知られており、320〜400nmの
紫外線はUVAと呼ばれている。100〜280nmの波長の光はUVCとして
知られている。
太陽のUVRは皮膚に様々な光生物学的効果を有しており、これらとしては紅
斑(日焼け(sunburn))や日焼け(tanning)等の急性の効果、さらには皮膚癌や早
発老化等のより長期間の効果が挙げられる。皮膚への日光の反応の正確な機構は
十分には理解されていないが、皮膚中に存在する発色団がUVRを吸収後修飾さ
れるという光化学的な反応が初期に起こるらしいということが明確に考えられる
。皮膚において知られている発色団としては、ヒスチジンの脱アミノ化産物であ
りかつ角質中に
大量に存在するウロカニン酸、核酸、芳香族アミノ酸及びメラニン細胞によって
産生される複合顔料であるメラニンが挙げられる。
日光が皮膚を損傷する効果は既知であるため、日焼け止め剤が長年使用されて
きた。日焼け止め剤は、下記式によって定義される刺激される日射に対するその
日光保護因子によって分類される:
SRF=[2μl/cm2での日焼け止め剤によるMED24h]/[日焼け止め剤を使用しな
い際のMED24h]
近年まで、皮膚への日光及び日焼け(tanning)の悪い効果のほとんどはUVB
の作用によるものであったが、UVAが日光の老化及び発癌性作用によっては応
答性があると考えられることを示唆する証拠が増えている。特に、UVAがヒト
において悪性の黒色腫の原因であると示唆された(セトロウ(Setlow)ら、プロッ
ク ナショル アカデ サイ(Proc. Natl.Acad.Sci.)、90巻、頁6666〜
6670)。上記理由により、比較的近年まで日焼け止め剤のほとんどはUVB
のみを保護するように設計されており、UVAの保護はほとんどまたは全く提示
されていなかった。明らかに、UVBによって引き起こされる紅斑の保護は日光
により長期にさらされても大丈夫であるが、UVAに対してはこの日焼け止め剤
を塗っても保護されないため、このことは上記日焼け止め剤を塗っている人にと
って危険である。したがって、UVA及びUVBの両方を保護する日焼け止め配
合物が好ましいことは広範に受け入れられている。
日焼け止め剤の作用には2つの公知の形態がある。上記のうち第一の形態は、
UVRを散乱する顔料で皮膚を被覆することによってなされるUVRが皮膚に到
達するのを防止することである。日焼け止め剤に使用される顔料としては、二酸
化チタンや酸化亜鉛等の無機物質が挙げられ、日焼け止め剤によってはメラニン
も挙げられる。日焼け止め剤を提供する他のストラテジーとしては、適当な波長
の光を吸収する発色団を有す
る物質で皮膚を被覆することである。適当な発色団を含む物質としては、アント
ラニレート(anthranilate)、ベンゾフェノン、樟脳誘導体、シンナメート、ジベ
ンゾイルメタン、p−アミノ安息香酸(PABA)及びその誘導体およびサリチ
レートが挙げられる。UVRの広範なスペクトルの保護が、2−エチルヘキシル
−4’−メトキシシンナメート(λmax=308nm)や4−tブチル−4’−
メトキシジベンゾイルメタン(λmax=355nm)等のUVA及びUVBの吸
収物質を組み合わせることにより達成される。
しかしながら、既知の日焼け止め剤には様々な問題があり、最も重大な問題の
一つとしては、これらの物質は比較的短期間でしか皮膚上に通常残らないという
ことがある。これは、多くの使用者が日焼け止め剤は日光が非常に強い際には恐
らく30〜60分間という短い時間しか保護しないということを理解していない
ため、危険であり得る。この問題は最も有効な日焼け止め剤の多くが水に非常に
溶解性であるためスィマーやウォータースポーツをする他の人々には特に急性で
効き、さらに、水は有効にUVRを瀘別(filter out)しないため、使用者は水に
入った直後に完全に保護されていない状態になってしまう。耐水性の日焼け止め
剤は市販されているが、UV吸収成分が重合体の主鎖に結合してなる耐水性の日
焼け止め剤も報告されてはいるが、耐水性はしばしば化合物を配合する方法によ
り生じる。しかしながら、いわゆる耐水性の日焼け止め剤とはいっても、使用者
がしばしば再塗布する必要が依然としてあり、このことは多くのウォータースポ
ーツをする状況下では不便である。
長期間継続するUVRの保護を得る方法の一つとして、DNAの損傷に対して
優れたかつ永続性の光保護を提供する日焼け(tan)を誘導可能な光増感剤である
5−メトキシプソラレン(5-methoxypsoralen)(5−MOP)を低濃度含むいわ
ゆる「活性型日焼け止め剤(active sunscree
n)」配合があった。しかしながら、DNAに光結合し、光突然変異原(photomuta
gen)及び光発癌物質(photocarcinogen)であることが示されたため、5−MOP
の使用は論議されていた。
したがって、水中でも使用者に長期間継続する保護を与えることが可能な日焼
け止め剤に対する必要性がある。本発明は、完全に新規な日焼け止め剤の製造方
法を提供することにより上記問題を解決するものである。本発明の日焼け止め化
合物は、皮膚の上部に保護層を単に形成するのではなく、表皮と化学的に相互作
用することが可能であるので、従来技術を形成するクリームやローションに比べ
るとかなりより永続性のあるものである。角質のケラチン化細胞は剥離工程によ
り常に落とされ、角質はおおよそ4日毎にそれ自身再生するため、化学的に結合
した日焼け止め剤は上記期間中大体残っていると考えられる。
JP−A−59−204171号はSH含有化合物を測定する試薬として使用
するマレイミド誘導体を開示している。
したがって、本発明の第一の概念においては、日焼け止め剤として使用し、か
つ哺乳動物の皮膚に化学的に結合できる基に結合したUV発色団からなる化合物
を提供するものである。
本発明の目的は皮膚に化学的に結合する日焼け止め剤を設計することにあるが
、表皮の生存している細胞層と相互作用するのには十分でないくらいに吸収され
ることが重要である。上記理由により、本発明の化合物は角質の細胞を主に形成
するケラチンと反応するように設計することが非常に好ましい。また、日焼け止
め剤とケラチンとの反応は皮膚への未反応の化合物の浸透を最小限にできるよう
に比較的迅速であることも非常に好ましい。
ケラチンの成分は他のアミノ酸に対してシステインの割合が比較的高いタンパ
ク質である。表皮中に存在するケラチンは毛髪や爪のケラチン
に比べると幾分より少ない量のシステインを含んでいるが、UVR吸収物質の結
合点として使用するには十分なシステイン残基、即ちチオール基が存在する。
チオールは共役付加反応(conjugate addition reaction)においてα,β−不
飽和カルボニル化合物または同様の物質と反応することができ、皮膚への上記結
合経路は特に有用であることが分かった。
したがって、本発明の第二の概念においては、日焼け止め剤として使用し、ミ
カエルアクセプター(Michael acceptor)に直接的にまたは非直接的に結合するU
V発色団からなる化合物を提供するものである。
本発明の明細書において、「直接的にまたは非直接的に結合する」という言葉
は、UV発色団が発色団物質のある部分を経てミカエルアクセプターに直接的に
あるいは非直接的に連結することができることを意味するものである。または、
発色団がミカエルアクセプターに順次連結するアルキルまたはアルケニル鎖等の
リンカーに結合する非直接的な結合であってもよい。
本発明の明細書において、「ミカエルアクセプター(Michael acceptor)」とい
う言葉は、いわゆるミカエル付加(Michael addition)等の共役付加反応中で求核
基と反応可能であるα,β−不飽和化合物を意味するものである。厳密にいうと
、「ミカエル付加(Michael addition)」という言葉は、カルバニオンがα,β−
不飽和化合物と反応する特殊な共役付加反応を意味するのに対して、本発明は求
核基がチオール基である際の状況に主として関連するものである。しかしながら
、ミカエル反応を受ける同様の基もまたチオールと反応するため、これらを本明
細書を通じて「ミカエルアクセプター」と称した。
ミカエルアクセプターの例は既知であり、このようなタイプの化合物はいずれ
も本発明において好ましく使用できる。ミカエルアクセプター
としては、α,β−不飽和エステル類、アミド類、カルボン酸類、ニトリル類、
アルデヒド類及びケトン類が挙げられる。特殊な例としては下記キノンの誘導体
:
下記マレイン酸及びアクリル酸、およびそのエステルや他誘導体:
および下記アクリロニトリル等の他の電子欠損アルケン類(electron deficient
alkene)が挙げられる:
マレイン酸、マレインアミド酸及びマレイミドおよびこれらの誘導体が、チオ
ール基と緩やかであるが迅速に反応し、これにより皮膚に塗布された場合に不愉
快な副作用が生じないと考えられるため、ミカエルアクセプターと使用するのに
特に好ましいことが分かった。
マレイミド誘導体とシステインのエチルエステルとの反応は下記式によって表
わされる:
他のミカエルアクセプターは同様にしてシステインのチオール基と反応する。
詳細に上述したミカエルアクセプターは当業者には既知であり、市販されてい
るまたは当業者に既知の方法によって調製できる。
発色団の基をミカエルアクセプターに結合する他の利点としては、ミカエルア
クセプターがシステイン残基上の遊離チオール基のみでなく皮膚中に存在すると
考えられる他の求核基にも結合することができることがある。例えば、ミカエル
アクセプターはタンパク質及びペプチドのN末端に及びアミノ酸のリシンの側鎖
上に存在するα−アミノ基と反応して、共有結合したスクシンイミド誘導体を形
成することができる。また、ヒスチジンのイミダゾール基はマレイミドと反応す
ることが示唆された。UV発色団は多くの既知の発色団のいずれかから選択され
てもよい。勿論、λmaxが望ましい特定の型の保護に従ったUVAまたはUVB
の波長の範囲内に含まれるように選択される。
例としては、UVBの吸収剤である桂皮酸及びベンジリデンの誘導体およびU
VAの吸収剤である様々な置換されたベンゾフェノンやジベンゾイルメタン誘導
体が挙げられる。
第三の概念においては、本発明は下記一般式Iの新規な化合物に関するもので
ある:
X−R (I)
ただし、Xは、ミカエルアクセプターであり;
Rは、Z、C1−C8アルキル−YZ、C2−C8アルケニル−YZまたはC2−C8
アルキニル−YZであり;
Yは、O、NR4、S(O)n、C=OまたはCH2であり、nは0〜2の整数で
あり;
但し、R4は、H、C1−C8アルキルまたはC2−C8アルケニルであり;および
Zは、発色団の基であり;
この際、Xが下記を表わす際には、
Zは
ではない。
好ましくは、Xは、下記基のうちの一つを表わす:
ただし、R4は、H、C1−C8アルキルまたはC2−C8アルケニルであり;およ
び
Zは、好ましくは下記発色団の基である:
ただし、R1及びR2は、同一であってもまたは異なっていてもよく、下記を示す
ものであり:
−H、−OR5、−NR5R6、−SO3H、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、
C1−C8アルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、フェニル、−C1
−C8アルキルフェニル、−C2−C8アルケニルフェニル、−C2−C8アルキニ
ルフェニル、−COOR3、−COR3、−C1−C8アルキルCOR3、C2−C8
アルケニルCOR3、C2−C8アルキニルCOR3、−C1−C8アルキルCOOR3
、C2−C8アルケニルCOOR3またはC2−C8アルキニルCOOR3であり;
または、R1及びR2のいずれかまたは両方が、C1−C8アルキル−YZ、C2−
C8アルケニル−YZまたはC2−C8アルキニル−YZの基で置換されてもよく
、Y及びZは上記と同様であり;
R3は、H、C1−C8アルキル、C2−C8アルケニル、フェニル、C4−C12シ
クロアルキル、C4−C12シクロアルケニル、C4−C10シクロアルケノンまたは
C4−C12シクロアルケノンであり;
R5及びR6は、同一であってもまたは異なっていてもよく、HまたはC1−C8
アルキルを示すものである。
上記化合物はすべて発色団にまたは一対の非共役発色団に連結したミカエルア
クセプターの一般的なパターンに一致することが分かる。
本発明において、「C1−C8アルキル」という言葉は、炭素原子数1〜8の直
鎖のまたは枝分れ鎖のアルキル基を意味するものである。このような基の例とし
ては、メチル、エチル、n−ブチル、t−ブチル及びn−ヘキシルが挙げられる
。
本発明において、「C2−C8アルケニル」という言葉は、炭素原子数2〜8の
直鎖のまたは枝分れ鎖のアルケニル基を意味するものである。このような基の例
としては、エテニル、プロペニル、1−ブテニル及び2−ブテニルが挙げられる
。
本発明において、「C4−C12シクロアルキル」及び「C4−C12シクロアルケ
ニル」という言葉は、炭素原子数4〜12の置換されたまたは無置換の環状アル
キル及びアルケニル基をそれぞれ意味するものである。このような基としては、
シクロブチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル及びノルボルニルやノルボル
ニレン等のより複雑な環システムが挙げられる。
これらのミカエルアクセプターを基礎とした化合物は特に容易に合成でき、容
易であるが緩やかにチオールと反応するので、基Xはマレイミド基またはマレイ
ンアミド酸残基を表わすことが好ましい。
基Rが置換フェニル基、ベンゾフェノン若しくは置換ベンゾフェノンまたは桂
皮酸誘導体である際に良好な結果が得られることが分かった。
一般式Iの下記化合物が特に有用である:
N-(4-カルボキシフェニル)マレインアミド酸[N-(4-carboxyphenyl)maleamic acid];
N-(4-カルボキシフェニル)マレイミド[N-(4-carboxyphenyl)maleimide];
N-(4-ベンゾイルフェニル)マレインアミド酸[N-(4-benzoylphenyl)maleamic acid];
N-(4-ベンゾイルフェニル)マレイミド[N-(4-benzoylphenyl)maleimide];
N-[4-(2-カルボキシ-(E)-エテニル)フェニル]マレインアミド酸[N-[4-(2-carboxy-(E)-ethenyl)ph
enyl)maleamic acid];
N-[4-(2-カルボキシ-(E)-エテニル)フェニル]マレイミド[N-[4-(2-carboxy-(E)-ethenyl)phenyl
)maleimide];
N-[4-(2-カルボキシ-(Z)-エテニル)フェニル]マレインアミド酸[N-[4-(2-carboxy-(Z)-ethenyl)ph
enyl)maleamic acid];
N-[4-(2-カルボキシ-(Z)-エテニル)フェニル]マレイミド[N-[4-(2-carboxy-(Z)-ethenyl)phenyl
)maleimide];
N-(4-メトキシカルボニルフェニル)マレインアミド酸[N-(4-methoxycarbonylphenyl)maleamic aci
d];
N-(4-メトキシカルボニルフェニル)マレイミド[N-(4-methoxycarbonylphenyl)maleimide];
N-(4-n-ブチルオキシカルボニルフェニル)マレインアミド酸[N-(4-n-butyloxycarbonylphenyl)malea
mic acid];及び
N-(4-n-ブチルオキシカルボニルフェニル)マレイミド[N-(4-n-butyloxycarbonylphenyl)maleimide
] 。
本発明の化合物において使用される発色団のUV特性は、直接ミカエルアクセ
プターを結合し、その後生成物をチオールと反応させる際に幾分変化することが
分かった。通常、発色団のλmaxはミカエルレセプター(Michael receptor)と結
合する際に若干落ち、さらに生成物とシステインとの反応時により大きく落ちる
ことが分かった。これは、λmaxの変化が大きすぎると、発色団がUVAまたは
UVBの波長の範囲でもはや光を吸収しなくなるので、問題となり得る。
このような変化の例は、UVBの範囲内である318nmのλmaxを有する4
−アミノベンゾフェノンがある。アミノ基がマレインアミド酸基によって置換さ
れると、発色団のλmaxは依然としてUVBの範囲内
である306nmにシフトするが、アミノ基がマレイミド残基で置換されると、
λmaxは258nmまで落ちる。皮膚に塗布する場合と同様にマレイミドをシス
テインと反応させる際にUVB活性が回復するが、この波長はUVBの範囲外で
ある(λmax=293nm)。この変化は共役効果を基礎とすれば容易に説明さ
れるが、使用される様々な発色団にミカエルアクセプターが結合する作用は必ず
しも容易に予想できるものではない。このような問題は、単にスペーサーを用い
てミカエルアクセプターから発色団を分離することによってかなり克服できる。
したがって、特に有用な化合物としては、基RがC1−C8アルキル−YZ、C2
−C8アルケニル−YZまたはC2−C8アルキニル−YZである化合物、及び特
にYがOである化合物が挙げられる。ヘキシルオキシリンカーを用いる化合物(
即ち、Rが(CH2)6OZである)化合物が特に好ましい。
ミカエルアクセプターと発色団との間にスペーサーを有する一般式Iの化合物
の例としては下記のものが挙げられる:
N-[6-(4-ベンゾイルフェノキシ)ヘキシル]-マレインアミド酸[N-[6-(4-benzoylphenoxy)hexyl]-mal
eamic acid];
N-[6-(4-ベンゾイル-3-ヒドロキシ-フェノキシ)-ヘキシル]-マレインアミド酸[N-[6-(4-benzoyl-3-hydro
xy-phenoxy)-hexyl]-maleamic acid];
N-{6-[4-(2',4'-ジヒドロキシベンゾイル)-3-ヒドロキシ-フェノキシ]ヘキシル}-マレインアミド酸[N-{6-[4-(2
′-,4′-dihydroxybenzoyl)-3-hydroxy-phenoxy)hexyl]-maleamic acid];
N-[6-(4-ベンゾイルフェノキシ)ヘキシル]-マレイミド[N-[6-(4-benzoylphenoxy)hexyl]-maleimi
de];
N-[6-(4-ベンゾイル-3-ヒドロキシ-フェノキシ)-ヘキシル]-マレイミド[N-[6-(4-benzoyl-3-hydroxy-p
henoxy)-hexyl]-maleimide];
N-{6-[4'-(2',4'-ジヒドロキシベンゾイル)-3-ヒドロキシ-フェノキシ]-ヘキシル}-マレイミド[N-{6-[4′-(2
′,4′-dihydroxybenzoyl)-3-hydroxy-phenoxy]-hexyl}-maleimide];
N-{6-{[4'-(2"-エチルヘキシルオキシ)-カルボニル-(Z)-エテニル]-フェノキシ}-ヘキシル}-マレインアミド酸[N-{
6-{[4′-(2"-ethylhexyloxy)carbonyl-(Z)-ethenyl]-phenoxy}-hexyl}-maleamic
acid];
N-{6-{[4'-(2"-エチルヘキシルオキシ)-カルボニル-(Z)-エテニル]-フェノキシ}-ヘキシル}-マレイミド[N-{6-{[
4′-(2"-ethylhexyloxy)carbonyl-(Z)-ethenyl]-phenoxy}-hexyl}-maleimide];
N-{6-{[4'-(2"-エチルヘキシルオキシ)-カルボニル-(E)−エテニル]-フェノキシ}-ヘキシル}-マレインアミド酸[N-
{6-{[4′-(2"-ethylhexyloxy)carbonyl-(E)-ethenyl]-phenoxy}-hexyl}-maleami
c acid];
N-{6-{[4'-(2"-エチルヘキシルオキシ)-カルボニル-(E)-エテニル]-フェノキシ}-ヘキシル}-マレイミド[N-{6-{[
4′-(2"-ethylhexyloxy)carbonyl-(E)-ethenyl]-phenoxy}-hexyl}-maleimide];
N-{6-[(4'-エトキシカルボニル-(Z)-エテニル)-フェノキシ]-ヘキシル}-マレインアミド酸[N-{6-{[4′-etho
xycarbonyl-(Z)-ethenyl)-phenoxy]-hexyl}-maleamic acid];
N-{6-[(4'-エトキシカルボニル-(Z)-エテニル)-フェノキシ]-ヘキシル}-マレイミド[N-{6-{[4′-ethoxyca
rbonyl-(Z)-ethenyl)-phenoxy]-hexyl}-maleimide];
N-{6-[(4'-エトキシカルボニル-(E)-エテニル)-フェノキシ]-ヘキシル}-マレインアミド酸[N-{6-{[4′-etho
xycarbonyl-(E)-ethenyl)-phenoxy]-hexyl}-maleamic acid];
N-{6-[(4'-エトキシカルボニル-(E)-エテニル)-フェノキシ]-ヘキシル}-マレイミド[N-{6-{[4′-ethoxyca
rbonyl-(E)-ethenyl)-phenoxy]-hexyl}-maleimide];
[4-(2',2'-ジメチルエチル)-ベンゾイル]−[4-(エテンジオイック アシッド モノアミド-N-6
-ヘキシルオキシ)-ベンゾイル]-メタン{[4-(2′,2′-dimethylethyl)-benzoyl]-[4-(ethenedioic
acid monoamide-N-6-hexyloxy)-benzoyl]-methane};
[4-(2',2'-ジメチルエチル)-ベンゾイル]-[4-(6-マレイミドヘキシルオキシ)-ベンゾイル]-メタン{[4-(2′,2′
-dimethylethyl)-benzoyl]-[4-(6-maleimidohexyloxy)-benzoyl]-methane}。
本発明による好ましい化合物は、多くの既知の日焼け止め剤とは異なり、皮膚
を刺激せず、したがって、感受性の高い皮膚を有するため多大な不快感を伴わず
には既知の日焼け止め剤を使用することができない人々の大部分に特に歓迎され
る。加えて、突然変異原性を試験したところ、驚くべきことに、多くの既知のN
−アルキルマレイミド類とは異なり、本発明の化合物は突然変異原性を有さない
と考えられ、毒性も非常に低いことが分かった。
Xがマレインアミド酸残基である下記一般式Iの化合物は:
ジクロロメタン等の不活性溶媒中でかつトリエチルアミン等の第3級アミンの存
在下でマレイン酸無水物を下記一般式IIまたはIIIの化合物と反応させるこ
とによって調製できる:
RNH2 II
RNH3 + III
ただし、Rは一般式Iにおいて定義したのと同様である。
Xがマレイミド残基である下記一般式Iの化合物は:
一般式Iの相当するマレインアミド酸化合物から酢酸ナトリウム中で酢
酸等の脱水剤と反応させることによって調製できる。
一般式II及びIIIの化合物は、両方とも、下記一般式IVの化合物から調
製できる:
ただし、Rは一般式Iにおいて定義したのと同様である。
一般式IIの化合物を得るためには、一般式IVの化合物をヒドラジンと処理
することができるが、一般式IIIの化合物が必要である際には、フタルイミド
残基を酸の存在下で切断してもよい。
一般式Iの化合物を一般式IIまたは一般式IIIの化合物を経て合成するか
は基Rの性質によって決まる。基Rが酸中では安定だがアルカリ中では不安定で
ある際には、一般式IVの化合物を酸で一般式IIIの化合物に変換するが、基
Rが酸中では不安定である際には、一般式IIの化合物を経た経路が使用される
。
一般式IVの化合物は、ジメチルホルムアミド(DMF)等の極性溶媒中で:
(フタルイミドカリウム)と反応させることにより、下記一般式Vの化合物から
調製できる:
R−Br V
ただし、Rは一般式Iにおいて定義したのと同様である。一般式Vの化合物を一
般式IIの化合物に変換するこの経路はガブリエル合成(Gabri
el synthesis)として既知であり、好ましい反応時間及び条件は当業者は熟知し
ている。ガブリエル合成(Gabriel Synthesis)は、Rがベンゾフェノンまたは同
様の誘導体である際に特に有用である。
一般式IIIの化合物の別の調製方法は、下記一般式VIの化合物の反応によ
るものである:
R−N(Me3Si)2 VI
ただし、Rは一般式Iにおいて定義したのと同様である。この反応は水性酸の存
在下で行われ、基Rがミカエルアクセプターにカップリングする部位以外の部位
で求核性の作用(nucleophilic attack)に受けやすいものである際に有用である
。
一般式VIの化合物は:
Na+N-(SiMe3)2
との反応によって一般式Vの化合物から調製できる。
一般式Vの化合物は当該分野において既知であるおよび/または当業者に既知
の方法によって調製できる。
一般式IIIの化合物の第三の調製方法は、トリフルオロ酢酸と下記一般式V
IIの化合物の反応によりt−ブチルオキシカルボニル(Boc)保護基を除去
することによるものである:
R−NHCOOtBU VII
ただし、Rは一般式Iにおいて定義したのと同様である。
一般式VIIの保護されたアミンは、一般式IIのものと同様にしてアミンか
ら製造できる。このような経路は、Rが桂皮酸誘導体等の反応性基である際に、
しばしば用いられる。例えば、アリール基を保護されたアミン中に導入して一般
式VIIの化合物を生じた後、保護基を除去して一般式IIIの化合物を生じて
もよい。
Xがマレイン酸エステル残基である下記一般式Iの化合物は:
下記一般式VIIIの化合物を酸で触媒されるエステル化反応において無水マレ
イン酸と反応させることによって調製できる:
R−OH VIII
ただし、Rは一般式Iにおいて定義したのと同様である。
一般式VIIIのアルコール誘導体は既知であるまたは、例えば、一般式Vの
臭化物から、当業者が既知の方法によって調製できる。
Xが下記キノン誘導体:
でありかつRが基Zである一般式Iの化合物は、オルグ シンテ コル(Org.Sy
nth.Coll.)、4巻、頁15(1963年)に記載された条件下で下記一般式I
Xの化合物とキノンを反応させることによって調製できる:
ArN2 + IX
XがキノンでありかつRがZ−O(CH2)n等の置換Z基である一般式Iの化合
物に関しては、好ましい合成経路は、オルグ シンテ コル(Org.Synth.Coll.
)、6巻、頁890(1988年)に記載された条件下でキノンと下記一般式X
の化合物を反応させることである:
Z−O(CH2)nCO2H X
ただし、Zは一般式Iにおいて定義したのと同様である。
一般式IX及びXの化合物は当該分野において既知であるまたは当業者が既知
の方法によって調製される。
Xが下記アクリル酸残基:
である一般式Iの化合物は、水性酸中で下記一般式XIの化合物を加熱すること
によって調製される:
R−CH=C(CO2Et)2 XI
一般式XIの化合物は、ピリミジンの存在下でジエチルプロパンジオイックエ
ステル(diethyl propanedioic ester)[EtO2C)2CH2]と下記一般式XI
Iの化合物を反応させることによって調製される:
RCHO XII
一般式XIIの化合物は当該分野において既知であり、当業者が既知の方法に
よって調製される。
Xがアクリル酸残基である一般式Iの化合物の別の合成方法はペルキン反応(P
erkin reaction)を経るものである。上記方法では、下記一般式XIIIの化合
物:
RCHO XII
を酢酸ナトリウムの存在下で無水酢酸と反応させる。この方法は、Rがアリール
基である際に特に好ましい方法である。
再度繰り返すが、一般式XIIIのアルデヒドは当該分野において既知である
。
一般式Iの化合物の調製方法は本発明の一部をなすものであるため、本発明の
他の概念においては、下記よりなる、一般式Iの化合物の調製方法を提供するも
のである:
a. Xがマレインアミド酸残基である際には、必要であればトリエチルアミン
等のアミンの存在下で、ジクロロメタン等の不活性な溶媒中で一般式II若しく
は一般式IIIの化合物と無水マレイン酸を反応させ
る;
b. Xがマレイミド残基である際には、酢酸や酢酸ナトリウム等の脱水剤と段
階(a)で製造された一般式Iの化合物を反応させる;
c. Xがマレイン酸エステル残基である際には、無水マレイン酸と一般式VI
IIの化合物を反応させる;
d. Xがキノン残基である際には、一般式IX若しくは一般式Xの化合物とキ
ノンを反応させる;または
e. Xがアクリル酸残基である際には、水性酸条件下で一般式XIの化合物を
加熱するまたは無水酢酸と一般式XIIIのアルデヒドを反応させる;
ただし、一般式II、III、VIII、IX、X、XI及びXIIIは上記の
通りである。
本発明の化合物は、皮膚への局所投与用としてクリーム、ローションまたはオ
イルとして配合されてもよい。既知の皮膚科学的に許容される賦形剤は当業者に
は既知であり、例えば、脂肪、パラフィン、緩和薬などが挙げられる。
したがって、本発明のさらなる概念においては、本発明の化合物および皮膚科
学的に許容される賦形剤または担体からなる日焼け止め配合物を提供するもので
ある。
本発明のさらなる概念においては、上記日焼け止め化合物を皮膚に塗布するこ
とからなる、日光から皮膚をかばう方法を提供するものである。
長期間日光から皮膚をかばうことができるため、本発明の化合物は、例えば、
紅斑、早発性の老化、皮膚癌及び日光に長期間さらされることにより引き起こさ
れる他の症状などの、日光にさらされることにより生じる皮膚科学的な症状を予
防するのを補助する。
したがって、本発明のさらなる概念においては、日光にさらされることに関連
した皮膚科学的な症状の予防に使用される本発明の化合物を提供するものである
。
本発明はまた、有効量の上記化合物を患者に投与することからなる、日光にさ
らされることにより生じる皮膚科学的な症状の予防方法をも含むものである。
本発明のさらなる別の概念においては、日光にさらされることにより生じる皮
膚科学的な症状の予防を目的とした物質の調製における上記化合物の使用を提供
するものである。
本発明を下記実施例及び下記図面を参照することによってさらに詳細に説明す
る:
図1は、N−フェニルマレイミドとの反応後の毛髪のケラチンの吸収スペクト
ルの変化を示すプロットである;および
図2は、N−フェニルマレイミドとの反応後のつの−ひずめ(horn-hoof)のケ
ラチンの吸収スペクトルの変化を示すプロットである。実施例1
N−(4−カルボキシフェニル)マレインアミド酸
4−アミノ安息香酸(17.24g、0.1257モル)を、プロパノール(
300ml)における無水マレイン酸(12.33g、0.1257モル)の攪
拌溶液に添加した。室温で3時間攪拌し続けた。黄色の固体として分離された、
生成物を吸引瀘過により集め、フィルター上で乾燥した:融点 217〜219
℃。(参考:ケー シー リウ(K C
Liu)、ジェー キン ケム ソク(J.Chin.Chem.Soc.)、1973年、20巻
、頁163)。実施例2
N−(4−カルボキシフェニル)マレイミド
実施例1の生成物(20.00g、0.0852モル)を、無水エタン酸(2
00ml)における無水エタン酸ナトリウム(4.00g)の攪拌溶液に添加し
、混合物を完全に溶解するまで攪拌しながら90〜95℃に加熱した。この溶液
を攪拌しながら室温まで冷却し、さらに2時間後、氷冷5%炭酸水素ナトリウム
水溶液(2リットル)中にゆっくり注いだ。沈殿物をポンプで瀘過し、ジエチル
エーテルで洗浄(3×30ml)し、空気乾燥した。溶離液としてクロロホルム
を用いたフラッシュクロマトグラフィー(flash chromatography)による生成物の
精製によって、マレインアミド酸が得られた(参考:ケー シー リウ(K C Liu
)、ジェー キン ケム ソク(J.Chin.Chem.Soc.)、1973年、20巻、頁
163)。実施例3
N−(4−ベンゾイルフェニル)マレインアミド酸
4−アミノベンゾフェノン(10.00g、0.0507モル)を、
ジクロロメタン(200ml)における無水マレイン酸(4.98g、0.05
08モル)の攪拌溶液に添加した。室温で10分間攪拌した後、黄色の沈殿物が
形成された。さらに3時間攪拌し続けた後、固体を集め、ジクロロメタン(3×
30ml)及びジエチルエーテル(2×30ml)で洗浄し、最後に空気乾燥す
ることにより、マレインアミド酸が得られた。(実測:C,68.74;H,4
.57;N,4.41%。C17H13NO4は、C,69.15;H,4.44;
N,4.74%を必要とする。)HPLC(クロマジル C18(Kromazil C18)
、49.95%MeOH、49.95%H2O、0.1%CF3CO2H):99
.7%。λmax306nm;ε 20560。1H−NMR(DMSO):δ 1
0.62(1H,s,NH);7.8〜7.5(9H,m,フェニル);6.4
5(1H,d,CH=CH);6.31(1M,d,CH=CH);3.37(
1H,s,CO2H)。実施例4
N−(4−ベンゾイルフェニル)マレイミド
実施例1の生成物の代わりに無水エタン酸(150ml)中に実施例3のマレ
インアミド酸(15.0g、0.0508モル)及び無水エタン酸ナトリウム(
3.00g)を溶解したものを使用する以外は、実施例2の方法を用いた。マレ
イミドが得られた。1H−NMR(DMSO):δ 7.91(4H,m,N−
Ph);7.52(5H,m,Ph);6.89(2H,s,CH=CH);H
PLC 100%。実施例5
N−[4−(2−カルボキシ−(E)−エテニル)フェニル]マレインアミド酸
アミノ桂皮酸塩酸塩(10.0g、0.0501モル)及び無水マレイン酸(
5.00g、0.0509モル)を用いる以外は実施例1と同様の方法を用いた
。ジクロロメタン(100ml)中に溶解したトリエチルアミン(7.00ml
、0.0502モル)を添加して、遊離アミンを得た。黄色のマレインアミド酸
が得られた。HPLC 100%。1H−NMR(DMSO):δ 10.51
(1H,s,NH);7.65(4H,bs,ar H’s);7.55(1H
,d,pH−CH);6.44(2H,t,HO2C CH=CH;CO,Ph
CH=CH);6.30(1H,d,HO2C CH=CH CO)。実施例6
N−[4−(2−カルボキシ−(E)−エテニル)フェニル]マレイミド
本調製を、実施例5の生成物(10.0g、0.038モル)を用いる以外は
実施例2に記載の方法と同様にして行った。精製を、溶離液として10%メタノ
ール−90%クロロホルムを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィー(flash
column chromatography)により行った。マ
レイミドが得られた。HPLC 99.81%。1H−NMR(CDCl3):δ
7.80(2H,d,フェニルで2,6−H(2,6-H on phenyl));7.61
(1H,d,CH=CHCO2H);7.38(2H,d,フェニルで3,5−
H(3,5-H on phenyl));7.20(2H,s,CH=CH);6.57(1H
,d,CH=CHCO2H)。実施例7
N−(4−メトキシカルボニルフェニル)マレインアミド酸
メチル4−アミノ安息香酸塩酸塩(10.0g、0.053モル)を用いる以
外は実施例5に記載の方法を用いた。マレインアミド酸が得られた。(実測:C
,57.60;H,4.55;N,5.52%。C12H11NO5は、C,57.
83;H,4.45;N,5.62%を必要とする。):1H−NMR(DMS
O):δ 10.65(1H,s,NH);7.91(2H,d,フェニルの2
,6−H(2,6-H of phenyl));7.75(2H,d,フェニルの3,5−H(3,
5-H of phenyl));6.51(1H,d,CH=CH);6.32(1H,d,
CH=CH);3.82(3H,s,CH3)。HPLC 99.31%。λmax
294nm;ε 16013。実施例8
N−(4−メトキシカルボニルフェニル)マレイミド
実施例7の生成物(10.0g、0.04モル)を用いる以外は実施例2に記
載の方法を用いた。マレイミドが鮮黄色の固体として得られた。(実測:C,6
1.77;H,4.06;N,5.89%。C12H9NO4・0.1H2Oは、C
,61.86;H,3.98;N,6.01%を必要とする。):HPLC 9
9.73%。1H−NMR(CDCl3):8.06(2H,d,フェニルで2,
6−H(2,6-H on phenyl));7.42(2H,d,フェニルで3,5−H(3,5-
H on phenyl));6.81(2H,s,CH=CH);3.85(3H,s,C
H3)。λmax245nm;ε 15844。実施例9
N−(4−n−ブチルオキシカルボニルフェニル)マレインアミド酸
ブチルエステル(12.20g、0.053モル)をメチルエステルの代わり
に用いる以外は実施例7に記載された方法を用いてマレインアミド酸を調製した
。生成物は灰色がかった白色の固体として得られた。(実測:C,61.71;
H,5.74;N,4.67%。C15H17NO5は、C,61.85;H,5.
88;N,4.81%を必要とする。):HPLC 99.90%。1H−NM
R(DMSO):δ 10.61(1H,s,NH);7.85(2H,d,フ
ェニルの2,6−H(2,6-H of phenyl));7.73(2H,d,フェニルの3
,5−H(3,5-H of phenyl));6.45(1H,d,CH=CH);6.32
(1H,d,CH=CH);4.21(2H,m,CH2);1.62(2H,
m,CH2)。λmax294nm;ε 15806。実施例10
N−(4−n−ブチルオキシカルボニルフェニル)マレイミド
メチルエステルの代わりに実施例8の生成物(10.0g、0.034モル)
を用いる以外は実施例8と同様にしてマレイミドを調製した。生成物は灰色がか
った白色の固体として得られた。(実測:C,65.70;H,5.69;N,
5.05%。C15H15NO4は、C,65.93;H,5.53;N,5.13
%を必要とする。):HPLC 99.89%。1H−NMR(CDCl3):8
.11(2H,d,フェニルの2,6H(2,6H of phenyl));7.46(2H,
d,フェニルの3,5H(3,5H of phenyl));6.83(2H,s,CH=CH
);4.29(2H,t,CH2CH2O);1.71(2H,m,CH2CH2O
);1.44(3H,m,CH3,CH2);0.94(3H,t,CH3)。λm
ax245nm;ε 15563。実施例11
N−[6−(4−ベンゾイルフェノキシ)−ヘキシル)]−マレインアミド酸
上記化合物の調製段階は下記の通りである。
A. 4−(6−ブロモヘキシルオキシ)−ベンゾフェノンの調製
脱水エタノール(absolute ethanol)(150ml)にナトリウム(1.30g
、0.055モル)を溶解することによって調製された、ナトリウムエトキシド
の溶液に、1−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−ベンゼン(10g、0.05モル
)をゆっくり添加した。このようにして得られた溶液を還流させながら加熱した
エタノールに溶かした1,6−ジブロモヘキサン(36.6g、0.15モル)
の攪拌溶液中に滴下した。8時間攪拌及び加熱し続けたところ、臭化ナトリウム
が結晶性沈殿物として形成した。瀘過により臭化ナトリウムを除去しさらに真空
中で瀘液を蒸発させることにより、白色固体が得られ、この固体をエタノール(
30ml)で洗浄した、エタノール洗浄液を10mlまで濃縮し、生成物を溶離
液としてクロロホルムを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーによって単
離して、白色結晶としてブロモヘキシル誘導体が得られた。(実測:C,63.
12;H,6.18%。C19H21BrO2は、C,63.17;H,5.86%
を必要とする。):FAB ms 362及び360(MH+)。1H−NMR(
DMSO):δ 7.8〜6.9(9H,m,芳香族性(aromatic));4.02
(2H,t,CH2);3.41(2H,m,CH2);1.99〜1.80(2
×CH2);1.50(2×CH2)。
B. N−[6−(4−ベンゾイルフェノキシ)−ヘキシル]−フタルイミドの
調製
フタルイミドカリウム(5.75g、0.031モル)をジメチルホルムアミ
ド(250ml)におけるAの生成物(10.2g、0.028モル)の溶液に
添加した。この反応混合物を60℃で16時間加熱した。クロロホルム(300
ml)を添加し、混合物を蒸留水(1.4リットル)中に注いだ。クロロホルム
層を分離し、水相をクロロホルムで抽出した(2×75ml)。合わせたクロロ
ホルム層を0.2M水酸化
ナトリウム(150ml)及び水(150ml)で順次洗浄し、無水硫酸マグネ
シウムで乾燥し、蒸発させたところ、ガムが得られ、これをジエチルエーテルで
粉砕すると目的とするフタルイミド誘導体及びその水和物の白色結晶が製造され
た。(実測:C,74.37;H,5.96;N,3.24%。C27H25NO4
・0.5H2Oは、C,74.29;H,6.00;N,3.21%を必要とす
る。)FAB ms 428(MH+)。1H−NMR(CDCl3):δ 7.
8〜7.6(6H,m,芳香族性(aromatic));7.5(2H,m,芳香族性(a
romatic));7.4(3H,m,芳香族性(aromatic));6.7(2H,m,芳
香族性(aromatic));4.0(2H,t,CH2N);3.7(2H,t,CH2
O);4.8〜1.4(8H,m,4×CH2)。13C−NMR(CDCl3):
δ 168.49(C=O);168.38(CON);162.68〜113
.91(芳香族性(aromatic));67.96(CH2);37.79(CH2);
28.86(CH2);28.44(CH2);26.48(CH2);25.5
5(CH2)。
C. 4−(6−アンモニオヘキシルオキシ)−ベンゾフェノン クロライド[(
4-(6-ammoniohexyloxy)-benzophenone chloride]
Bの生成物(上記)(9.00g、0.021モル)をエタン酸(200ml
)及び濃塩酸(200ml)の混合物に加え、この混合物を36時間還流させな
がら加熱し、4時間及び24時間後にさらに1:1のエタン酸及び塩酸(100
ml)を加えた。このようにして得られた溶液を木炭で処理し、濾過し、さらに
、瀘液を蒸発フラスコ(evaporating flask)中でクロロホルムで洗浄した。蒸発
によって、ジエチルエーテルで粉砕すると灰色がかった白色の固体として塩酸塩
が得られた。(実測:C,60.33;H,6.67;N,3.74%。C19H24
NClO2・0.45CHCl3は、C,60.28;H,6.36;N,3.
61%を必要とする。):1H−NMR(CDCl3):δ 7.9(3H,bs
,N+H3);7.6〜7.5(9H,m,芳香族性(aromatic));4.2(2H
,t,CH2N);2.8(2H,t,CH2O);1.8〜1.4(4H,m,
2×CH2);1.4〜1.2(4H,m,2×CH2)。
D. 1−ベンゾイル−4−(エテンジオイック アシッド モノアミド−N−
ヘキシル−6−オキシ)−ベンゼン[1-benzoyl-4-(ethendioic acid monoamide-
N-hexyl-6-oxy)-benzene](実施例11)
Cの生成物(上記)(5.00g、0.015モル)をマレインアミド酸(1
.47g、0.015モル)を用いて実施例5と同様にして処理した。10%
MeOH、90%クロロホルムによるシリカゲルによるカラムクロマトグラフィ
ーによって、その水和物として純粋な上記タイトルの化合物が得られた。融点
114〜6℃。(実測:C,68.97;H,6.31;N,3.39%。C23
H25NO5・0.4H2Oは、C,68.61;H,6.46;N,3.48%を
必要とする。)FAB ms 396(MH+)。1H−NMR(CDCl3):
δ 8.2(1H,bs,NH);7.8〜7.4(7H,m,芳香族性);6
.9(2H,d,芳香族性);6.4(1H,d,CH=C);6.2(1H,
d,CH=C);3.8(2H,m,CH2N);3.3(2H,m,CH2O)
;1.8〜1.3(8H,m,4×CH2)。λmax(CH2Cl2)285nm;
ε 16047。HPLC 99.7%。実施例12
N−[(6−4−ベンゾイルフェノキシ)−ヘキシル)]−マレイミド
上記化合物は、実施例2に記載の方法に従って酢酸及び酢酸ナトリウムと反応
させることによって実施例11のN−[(6−4−ベンゾイルフェノキシ)−ヘ
キシル)]−マレインアミド酸から調製できる。目的とするマレイミドをフラッ
シュカラムクロマトグラフィーによってその一水和物として単離した。融点 8
4〜6℃。(実測:C,72.78;H,6.28;N,3.58%。C23H23
NO3・H2Oは、C,73.19;H,6.65;N,3.69%を必要とする
。):HPLC 100%。FAB ms 378(MH+)。1H−NMR(C
DCl3):δ 6.9(2H,m,芳香族性);6.6(2H,d,CH=C
H);3.9(2H,m,CH2);3.5(2H,m,CH2);1.8(2H
,m,CH2);1.6(2H,m,CH2);1.5(2H,m,CH2);1
.3(2H,m,CH2)。λmax(CH2Cl2)286nm:ε 16590。実施例13
N−[6−(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシ−フェノキシ)−ヘキシル]−マ
レインアミド酸
上記化合物は、下記方法に従って調製できる。
A. 4−(6−ブロモヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ−ベンゾフェノン
使用した調製方法は、ベンゾフェノンの代わりに2,4−ジヒドロキシベンゾ
フェノン(20.00g、0.088モル)を使用した以外は実施例10Aと同
様であった。生成物を灰色がかった白色結晶として単離し、B(下記)でさらに
精製せずに使用した。
B. N−[6−(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシ−フェノキシ)−ヘキシル
]−フタルイミド
Aの生成物を実施例10B(上記)に記載されたのと同様にして処理し、生成
物をカラムクロマトグラフィー(SiO2ゲル−ヘキサンにおける10%エタン
酸エチル)によって42.5%の収率で単離した。
C. 4−(6−アンモニオヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ−ベンゾフェノ
ン塩酸塩
Bの生成物(3.00g、0.00676モル)を実施例10C(上記)と同
様にして処理した。生成物の塩酸塩が日焼け色の(tan-coloured)固体として得ら
れた。
D. N−[6−(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシ−フェノキシ)−ヘキシル
]−マレインアミド酸
Cの生成物(1.00g、0.00286モル)を実施例13Dに記載された
と同様にして無水マレイン酸と反応させ、一水和物としての純粋なタイトルに記
載された化合物を日焼け色の(tan-coloured)固体として単離した。(実測:C,
64.66;H,6.04;N,3.34%。C23H25NO6・H2Oは、C,6
4.32;H,6.34;N,3.26%を必要とする。):HPLC 99.
3%。FAB ms 412(MH+)。1H−NMR(CDCl3):δ 12
.8(1H,bs,NH);7.8〜7.2(8H,m,芳香族性);6.5〜
6.1(3H,d+s,CH=CH,OH);4.1(2H,m,CH2);3
.3(2H,m,CH2);19.〜1.2(9H,m,4×CH2
+OH)。実施例14
N−[6−(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシ−フェノキシ)−ヘキシル]−マ
レイミド
上記化合物を実施例2の方法を用いて実施例13の生成物から調製した。
本発明の化合物がケラチンに結合できることを示すために、下記実験を行った
。実施例15
N−{6−[4−(2’,4’−ジヒドロキシベンゾイル)−3−ヒドロキシ−
フェノキシ]ヘキシル}−マレインアミド酸
A. 4−[6−(N−t−ブチルオキシカルボニル)アミノヘキシルオキシ]
−2,2’,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン
ナトリウム(3.48g、152ミリモル)を脱水エタノール(absolute etha
nol)(500ml)中に溶解した。この混合物を窒素でパージして、2,2’,
4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン(37.5g、152ミリモル)を
添加した。メタンスルホン酸6−(N−t−
ブチルオキシカルボニル)アミノヘキシルエステル[methane sulphonic acid 6(
N-t-butyloxycarbonyl)aminohexyl ester](15g、50ミリモル)を加えた。
この混合物を27時間還流した後、瀘過した。瀘液を濃縮乾固し、クロロホルム
に再溶解した。固体化して分離されたオイルを瀘過により除去した。瀘液を濃縮
乾固し、この工程を2回繰り返した。最終的に得られた瀘液を濃縮乾固し、クロ
ロホルム/メタノール(9:1)を用いたシリカゲルによるクロマトグラフィー
にかけたところ、生成物(20.14g、89%)を得た。NMR(d6−DM
SO):δ 11.48(1H,s,OH);11.1(1H,s,OH);1
0.3(1H,s,OH);7.25〜7.15(2H,m,ArCH);6.
44〜6.48(2H,m,ArCH);6.29〜6.36(2H,m,Ar
CH);3.93〜4.0(2H,m,OCH2);2.83〜2.89(2H
,m,NCH2);1.34〜1.69(17H,m,t−ブチル,4×CH2)
。m/e:446(M++1;6%),346(30%),137(100%)
。
B. 4−(6−アンモニオヘキシルオキシ)−4’,2,2’−トリヒドロキ
シベンゾフェノン クロライド
4−[6−(N−t−ブチルオキシカルボニル)アミノヘキシルオキシ]−2
,2’,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン(18g)をメタノール(250
ml)に溶解し、氷上で冷却した。濃塩酸(50ml)を滴下した。51分後、
濃塩酸(25ml)を添加し、混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒を除去し、残
渣をエタノール/エーテルから結晶化して、上記タイトルの化合物(7.9g、
56.6%)を得た。NMR(d6−DMSO):δ 7.15〜7.26(2
H,m,ArCH);6.44〜6.49(2H,m,ArCH);6.28〜
6.33(2H,m,ArCH);3.95〜4.03(2H,m,OCH2)
;2.
71〜2.79(2H,m,NCH2);1.33〜1.73(8H,m,4×
CH2)。m/e:346(M++1;86%),253(100%)。
C. N−{6−[4−(2’,4’−ジヒドロキシベンゾイル)−3−ヒドロ
キシ−フェノキシ]ヘキシル}−マレインアミド酸
4−(6−アンモニオヘキシルオキシ)−4’,2,2’−トリヒドロキシベ
ンゾフェノン(1g、2.6ミリモル)及び無水マレイン酸(255mg、2.
6ミリモル)を塩化メチレン(50ml)中に懸濁し、トリエチルアミン(26
5mg、2.6ミリモル)を添加した。この混合物を室温で2.5日間攪拌した
。トリエチルアミン(265mg、2.6ミリモル)を加え、混合物をさらに1
8時間攪拌した。瀘過し、瀘液を濃縮し、残渣をクロロホルム(50ml)に再
溶解した。この溶液を水性HCl(25ml、1.2M)で処理したところ、沈
殿物が形成した。これを瀘別し、乾燥した(440mg、38%)。NMR(d6
−DMSO):δ 11.49(1H,s,OH);11.14(1H,s,
OH);10.35(1H,s,OH);7.17〜7.24(2H,m,Ar
CH);6.21〜6.48(6H,m,4×ArCH,酸の2×CH);3.
97〜4.03(2H,t,CH2O);3.15〜3.20(2H,m,NC
H2);1.69〜1.72(2H,m,CH2);1.31〜1.51(6H,
m,3×CH2)。m/e:444(M++1;40%),176(100%)。実施例16
N−{6−[(4’−エトキシカルボニル−(Z)−エテニル)フェノキシ]ヘ
キシル}マレインアミド酸
A. エチル4−[6−(N−t−ブチルオキシカルボニル)アミノヘキシルオ
キシ]フェニルエテノエート
4−ヒドロキシ桂皮酸エチル(ethyl 4-hydroxycinnamate)(2.0g)を乾燥
THF(20ml)中に溶解し、水酸化カリウム(1.17g)を添加し、混合
物を1時間攪拌した。THF(12ml)における6−(N−t−ブチルオキシ
カルボニル)アミノ−ヘキサノールメタンスルホネート[6-(N-t-butyloxycarbon
yl)amino-hexanol methanesulphonate](3.07g)の溶液を30分間にわた
って滴下し、混合物を塩化カルシウムのガードチューブ(calcium chloride guar
d tube)で保護された容器内で3時間攪拌した。溶液を1.25時間還流させな
がら加熱し、冷却し、さらにゲル様の沈殿物を瀘過により除去した。瀘液を濃縮
することによって、上記タイトルの化合物が薄い黄色のオイルとして得られ、こ
れを放置すると結晶化した(4.47g、溶媒化合物として110%)。1H−
NMR(CDCl3):δ 7.62(1H,s,ArCH=CH);7.44
(2H,d,Ar−m−H);6.86(2H,d,Ar−o−H);6.28
(1H,d,=CHCO);4.5(1H,br,NH);4.23(2H,q
,CH2CH3);3.9(2H,t,CH2O);3.7(2H,t,CH2CH2
O);3.1(4H,m,2×CH2);1.7〜1.9(4H,m,2×CH2
);1.42(9H,s,(CH3)3C);1.27(3H,t,CH3)。
B. エチル6−(アミノヘキシルオキシ)フェニルエテノエートクロライド[e
htyl 6-(ammoniohexyloxy)phenyl ethenoate chloride)
Aの生成物(2.0g)をエタノール(27.5ml)中に溶解し、溶液を0
℃に冷却した。濃塩酸(5.5ml)を10分間にわたって滴下し、溶液を攪拌
しながら室温まで加温した。さらに濃塩酸(2.7ml)を1時間後に添加して
、さらに23時間攪拌し続けた。真空中で蒸発させることによって、、白色結晶
固体が得られ、これをエタノール(15ml)と一緒に蒸発させる(co-evaporat
ion)ことによって乾燥さ
せた。エタノールから再結晶化することによって、上記タイトルの化合物が白色
プレートレット(platelet)として得られた(1.4g)84%)。m.s.(F
AB) MH+292。
C. N−{6−[(4’−エトキシカルボニル−(Z)−エテニル)フェノキ
シ]ヘキシル}マレインアミド酸
無水マレイン酸(1.5g)をアセトニトリル(15ml)に溶解し、アセト
ニトリル(15ml)における上記Bの生成物(1g)の懸濁液を加えた。この
懸濁液を攪拌し、トリエチルアミンを滴下した。このようにして得られた透明な
溶液を1時間攪拌して、1.2M塩酸(25ml)を加えて、さらに1.5時間
攪拌し続けた。形成した沈殿物を集めて、1.2M塩酸(3ml)で洗浄し、濾
紙上で吸引することにより乾燥すると、白色粉末として上記タイトルの化合物が
得られた(0.33g、28%)。融点 135.5〜136.5℃。HPLC
(80:20 MeOH:H2O)。m.s.(FAB) MH+390。NMR
(d6−DMSO):δ 9.13〜9.14(1H,bm,NH);7.58
〜7.67(3H,m,2×ArCH,アルケニルCH);6.94〜6.97
(2H,d,2×ArCH);6.23〜6.49(3H,m,アルケニルCH
);4.14〜4.20(2H,q,CH3CH2);3.99〜4.03(2H
,t,CH2CH2O);3.16〜3.22(2H,q,CH2N);1.70
〜1.75(2H,m,CH2);1.32〜1.54(6H,m,3×CH2)
;1.23〜1.27(3H,t,CH3)。実施例17
マレイミド誘導体のL−システインエチルエステルとの反応
マレイミド誘導体のシステインのチオール基との反応の原則を補強するために
、2つのモデル反応を研究した。これにより、L−システイン
エチルエステル及びN−フェニルマレイミド及びN−(4−ベンゾイルフェニル
)マレイミドの間の反応を行った。各々の場合において、反応により、室温で理
に適った収率でジアステレオアイソマー(diastereoisomeric)生成物の混合物が
製造された。すべての出発マレイミドは30分以内で予め反応させておいた(t
lc)。2個の生成物が単離され、特性が明らかにされた。
これらの反応の温和性及び迅速性により、マレイミド基はケラチンの求核性基
との反応を可能にすることができることが示される。実施例18
ケラチンによる永続性(substantivity)試験
マレイミドがケラチンに結合できることを示すために、下記試験をN−フェニ
ルマレイミドをモデル化合物として用いて行った。
初期試験は、特に清浄したヒトの毛髪を用いて行い、可能な限り標準基質に近
い状態で提供できるように調製した。使用した方法は、試験に施される化合物を
毛髪表面に吸収させたときの毛髪と接触する上清溶液中の紫外線吸収性の減少を
用いるものであった。標準及びコントロール溶液を用いた。毛髪の標準化は、容
易に静電荷する(static-charged)材料を取り扱うのは困難であるため、行うこと
は不可能であることがわかった。にもかかわらず、すべての結果は、永続性(sub
stantivity)がモデル化合物として使用されたN−フェニルマレイミドの特徴で
あり、かなりの吸収性の減少が観察されることが示された。毛髪を用いた同様の
試験が、日焼け止め剤及び他の化粧品の永続性に関して、証拠として、さらに、
標準的な試験として、特許文献中で引用されている。
様々な動物のつの及びひずめから調製されたケラチンは市販されており、これ
を毛髪(上記)と同様にして用いた。ケラチンは、細かく粉末状にされ、マレイ
ミド化合物の溶液と共に攪拌され、その永続性をUV
の吸収性測定によって評価された。結果を毛髪で得られた結果と共に示した(表
2および図3及び4)。
これらの結果より、マレイミド残基を導入することによって毛髪のケラチン成
分及び表皮の硬組織との化学的−物理的相互作用が生じることが示される。上記
方法は永続性を確立するのにのみ使用され、上記測定結果は毛髪または皮膚上へ
の分子の持続性を非直接的に示すものである。実施例19
生物学的結果:突然変異原性および毒性に関する研究
局所的に塗布される日焼け止め剤に関する重要な基準のうち、使用時の安全性
が最も優先される。したがって、日焼け止め剤のマレイミドおよびマレインアミ
ド酸誘導体の突然変異原性を調査する必要があった。本発明の6種類の化合物を
日焼け止め剤の主な分類の代表例として選び、エイムス試験にかけた。結果を表
2に要約する。これらの試験結果から、
すべての化合物は、ラットの肝臓の代謝活性化システムS9の存在のあるなしに
かかわらず、毒性レベル未満で突然変異原性を有さず、マレインアミド酸誘導体
はわずかな毒性のみを示し、さらに、マレイミドは軽く毒性を有することが示さ
れた。
【手続補正書】特許法第184条の7第1項
【提出日】1995年10月23日
【補正内容】
請求の範囲
1.日焼け止め剤組成物の調製における、哺乳動物の皮膚に共有結合できる基に
結合するUV発色団からなる化合物の使用。
2.該哺乳動物の皮膚に共有結合できる基がUV発色団に直接的にあるいは非直
接的に結合するミカエルアクセプターである、請求の範囲第1項に記載の使用。
3.該ミカエルアクセプターがマレイン酸、マレインアミド酸若しくはマレイミ
ド、または上記のうちのいずれかの誘導体である、請求の範囲第2項に記載の使
用。
4.該ミカエルアクセプターがスペーサーによって発色団から分離される、請求
の範囲第2項または第3項に記載の使用。
5.下記一般式Iの化合物:
X−R I
ただし、Xは、ミカエルアクセプターであり;
Rは、Z、C1−C8アルキル−YZ、C2−C8アルケニル−YZまたはC2−C8
アルキニル−YZであり;
Yは、O、NR4、S(O)nまたはC=Oであり、nは0〜2の整数であり;
但し、R4は、H、C1−C8アルキルまたはC2−C8アルケニルであり;および
Zは、発色団の基であり;
この際、Xが下記を表わす際には、
該化合物はN−フェナシルマレインモノアミド、1−p−アミノフェノシキ−5
−マレイミドペンタン、2−ヒドロキシ−4−(β−ヒドロキシエトキシ)ベン
ゾフェノンマレイン酸エステル、2−(フェノキシメチル)−1,4−ベンゾキ
ノン、2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェ
ノン、4−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ−ビフェニル、N−フェニ
ルエタノールアミンメタクリレート、N−(2−メチルフェニル)エタノールア
ミンメタクリレート、4−(アクリロシルオキシヘキシルオキシ)桂皮酸または
N−[6−(4−2−ヒドロキシ)−ベンゾイルフェノキシ)−プロピル]マレ
イミドではない。
6.該Xが下記基のうちの一つを表わすものである、請求の範囲第5項に記載の
化合物:
ただし、R4は、H、C1−C8アルキルまたはC2−C8アルケニルであり;
Rは、Z、C1−C8アルキル−YZ、C2−C8アルケニル−YZまたはC2−C8
アルキニル−YZであり;
Yは、O、NR4、S(O)nまたはC=Oであり、nは0〜2の整数であり;
Zは下記基であり:
ただし、R1及びR2は、同一であってもまたは異なっていてもよく、下記を示す
ものであり:
−H、−OR5、−NR5R6、−SO3H、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、
C1−C8アルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、フェニル、−C1
−C8アルキルフェニル、−C2−C8アルケニルフェニル、−C2−C8アルキニ
ルフェニル、−COOR3、−COR3、−C1−C8アルキルCOR3、−C2−C8
アルケニルCOR3、−C2−C8アルキニルCOR3、−C1−C8アルキルCO
OR3、−C2−C8アルケニルCOOR3または−C2−C8アルキニルCOOR3
であり;
または、R1及びR2のいずれかまたは両方が、C1−C8アルキル−YZ、C2−
C8アルケニル−YZまたはC2−C8アルキニル−YZで置換されてもよく、Y
及びZは上記と同様であり;
R3は、H、C1−C8アルキル、C2−C8アルケニル、フェニル、
C4−C12シクロアルキル、C4−C12シクロアルケニル、C4−C10シクロアル
ケノンまたはC4−C12シクロアルケノンであり;
R5及びR6は、同一であってもまたは異なっていてもよく、HまたはC1−C8
アルキルを示すものである。
7.Rが置換フェニル基、ベンゾフェノン若しくは置換ベンゾフェノンまたは桂
皮酸誘導体である、請求の範囲第5項または第6項に記載の化合物。
8.N-(4-カルボキシフェニル)マレインアミド酸;
N-(4-カルボキシフェニル)マレイミド;
N-(4-ベンゾイルフェニル)マレインアミド酸;
N-[4-(2-カルボキシ-(E)-エテニル)フェニル]マレインアミド酸;
N-[4-(2-カルボキシ-(E)-エテニル)フェニル]マレイミド;
N-[4-(2-カルボキシ-(Z)-エテニル)フェニル]マレインアミド酸;
N-[4-(2-カルボキシ-(Z)-エテニル)フェニル]マレイミド;
N-(4-メトキシカルボニルフェニル)マレインアミド酸;
N-(4-メトキシカルボニルフェニル)マレイミド;
N-(4-n-ブチルオキシカルボニルフェニル)マレインアミド酸;または
N-(4-n-ブチルオキシカルボニルフェニル)マレイミド。
9.該基Rが(CH2)6OZである、請求の範囲第5〜7項のいずれかに記載の
化合物。
10.N-[6-(4-ベンゾイルフェノキシ)ヘキシル]-マレインアミド酸;
N-[6-(4-ベンゾイル-3-ヒドロキシ-フェノキシ)-ヘキシル]-マレインアミド酸;
N-{6-[4-(2',4'-ジヒドロキシベンゾイル)-3-ヒドロキシ-フェノキシ]ヘキシル}-マレインアミド酸;
N-[6-(4-ベンゾイルフェノキシ)ヘキシル]-マレイミド;
N-[6-(4-ベンゾイル-3-ヒドロキシ-フェノキシ)-ヘキシル]-マレイミド;
N-{6-[4'-(2',4'-ジヒドロキシベンゾイル)−3-ヒドロキシ-フェノキシ]-ヘキシル}-マレイミド;
N-{6-{[4'-(2"-エチルヘキシルオキシ)-カルボニル-(Z)-エテニル]-フェノキシ}-ヘキシル}-マレインアミド酸;
N-{6-{[4'-(2"-エチルヘキシルオキシ)-カルボニル-(Z)-エテニル]-フェノキシ}-ヘキシル}-マレイミド;
N-{6-{[4'-(2"-エチルヘキシルオキシ)-カルボニル-(E)-エテニル]-フェノキシ}-ヘキシル}-マレインアミド酸;
N-{6-{[4'-(2"-エチルヘキシルオキシ)-カルボニル-(E)-エテニル]-フェノキシ}-ヘキシル}-マレイミド;
N-{6-[(4'-エトキシカルボニル-(Z)-エテニル)-フェノキシ]-ヘキシル}-マレインアミド酸;
N-{6-[(4'-エトキシカルボニル-(Z)-エテニル)-フェノキシ]-ヘキシル}-マレイミド;
N-{6-[(4'-エトキシカルボニル-(E)-エテニル)-フェノキシ]-ヘキシル}-マレインアミド酸;
N-{6-[(4'-エトキシカルボニル-(E)-エテニル)-フェノキシ]-ヘキシル}-マレイミド;
[4-(2',2'-ジメチルエチル)-ベンゾイル]-[4-(エテンジオイック アシッド モノアミド-N-6-ヘキシルオキシ)-ベンゾイル
]-メタン;または
[4-(2',2'-ジメチルエチル)-ベンゾイル]-[4-(6-マレイミドヘキシルオキシ)-ベンゾイル]-メタン。
11.日焼け止め組成物の調製における下記式I(a)の化合物の使用:
X−R I(a)
ただし、Xは、ミカエルアクセプターであり;
Rは、Z、C1−C8アルキル−YZ、C2−C8アルケニル−YZまたはC2−C8
アルキニル−YZであり;
Yは、O、NR4、S(O)n、C=OまたはCH2であり、nは0〜2の整数で
あり;
但し、R4は、H、C1−C8アルキルまたはC2−C8アルケニルであり;および
Zは、発色団の基である。
12.日光にさらされることに関連した皮膚科学的な症状を予防するこ
とを目的とした物質の調製における下記式I(a)の化合物の使用:
X−R I(a)
ただし、Xは、ミカエルアクセプターであり;
Rは、Z、C1−C8アルキル−YZ、C2−C8アルケニル−YZまたはC2−C8
アルキニル−YZであり;
Yは、O、NR4、S(O)n、C=OまたはCH2であり、nは0〜2の整数で
あり;
但し、R4は、H、C1−C8アルキルまたはC2−C8アルケニルであり;および
Zは、発色団の基である。
13.該化合物が請求の範囲第6〜10項に記載の態様の1つまたはそれ以上に
より修飾される、請求の範囲第11項または第12項に記載の使用。
14.下記よりなる、一般式Iの化合物の調製方法:
a. Xがマレインアミド酸残基である際には、必要であればトリエチルアミン
等のアミンの存在下で、ジクロロメタン等の不活性溶媒中で下記一般式II若し
くは一般式IIIの化合物と無水マレイン酸を反応させる:
RNH2 II
RNH3 + III;
b. Xがマレイミド残基である際には、酢酸や酢酸ナトリウム等の脱水剤と段
階(a)で製造された一般式Iの化合物を反応させる;
c. Xがマレイン酸エステル残基である際には、無水マレイン酸と下記一般式
VIIIの化合物を反応させる:
R−OH VIII;
d. Xがキノン残基である際には、一般式IX:
ArN2 + IX
若しくは下記一般式X:
Z−O(CH2)nCO2 X
の化合物とキノンを反応させる;または
e. Xがアクリル酸残基である際には、水性酸条件下で下記一般式XI:
R−CH=C(CO2Et)2 XI
の化合物を加熱するまたは無水酢酸と下記一般式XIII:
RCHO XIII
のアルデヒドを反応させる。
15.請求の範囲第5〜11項のいずれかに記載の一般式Iの化合物および皮膚
科学的に許容される賦形剤または担体からなる日焼け止め配合物。
16.請求の範囲第5〜11項のいずれかに記載の一般式Iの日焼け止め化合物
を皮膚に塗布することからなる、日光から皮膚をかばう方法。
17.日光にさらされることに関連した皮膚科学的な症状の予防に使用される請
求の範囲第5〜11項のいずれかに記載の一般式Iの化合物。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1996年7月11日
【補正内容】
しかしながら、いわゆる耐水性の日焼け止め剤とはいっても、使用者がしばしば
再塗布する必要が依然としてあり、このことは多くのウォータースポーツをする
状況下では不便である。
長期間継続するUVRの保護を得る方法の一つとして、DNAの損傷に対して
優れたかつ永続性の光保護を提供する日焼け(tan)を誘導可能な光増感剤である
5−メトキシプソラレン(5-methoxypsoralen)(5−MOP)を低濃度含むいわ
ゆる「活性型日焼け止め剤(active sunscreen)」配合があった。しかしながら、
DNAに光結合し、光突然変異原(photomutagen)及び光発癌物質(photocarcinog
en)であることが示されたため、5−MOPの使用は論議されていた。
したがって、水中でも使用者に長期間継続する保護を与えることが可能な日焼
け止め剤に対する必要性がある。本発明は、完全に新規な日焼け止め剤の製造方
法を提供することにより上記問題を解決するものである。本発明の日焼け止め化
合物は、皮膚の上部に保護層を単に形成するのではなく、表皮と化学的に相互作
用することが可能であるので、従来技術を形成するクリームやローションに比べ
るとかなりより永続性のあるものである。角質のケラチン化細胞は剥離工程によ
り常に落とされ、角質はおおよそ4日毎にそれ自身再生するため、化学的に結合
した日焼け止め剤は上記期間中大体残っていると考えられる。
JP−A−59−204171号はSH含有化合物を測定する試薬として使用
するマレイミド誘導体を開示している。
EP−A−0407932号には、ヒドロキシル化ベンゾフェノン等の発色団
を有するメタクリレートの重合体である化合物を日焼け止め剤として使用するこ
とが開示されている。
したがって、本発明の第一の概念においては、
請求の範囲
1.日焼け止め剤組成物の調製における、哺乳動物の皮膚に共有結合できる基に
結合するUV発色団からなる化合物の使用。
2.該哺乳動物の皮膚に共有結合できる基がUV発色団に直接的にあるいは非直
接的に結合するミカエルアクセプターである、請求の範囲第1項に記載の使用。
3.該ミカエルアクセプターがマレイン酸、マレインアミド酸若しくはマレイミ
ド、または上記のうちのいずれかの誘導体である、請求の範囲第2項に記載の使
用。
4.該ミカエルアクセプターがスペーサーによって発色団から分離される、請求
の範囲第2項または第3項に記載の使用。
5.下記一般式Iの化合物:
X−R I
ただし、Xは、ミカエルアクセプターであり;
Rは、C1−C8アルキル−YZ、C2−C8アルケニル−YZまたはC2−C8アル
キニル−YZであり;
Yは、O、NR4、S(O)nまたはC=Oであり、nは0〜2の整数であり;
但し、R4は、H、C1−C8アルキルまたはC2−C8アルケニルであり;および
Zは、発色団の基であり;
この際、Xが下記を表わす際には、
ただし、nは2である際にはRはメトキシであるあるいはnは6である際にはR
はメトキシ、エトキシ、ペントキシ若しくはヘキルオキシである;または
該化合物はN−フェナシルマレインモノアミド、1−p−アミノフェノシキ−5
−マレイミドペンタン、2−ヒドロキシ−4−(β−ヒドロキシエトキシ)ベン
ゾフェノンマレイン酸、2−ヒドロキシ−4−(β−ヒドロキシエトキシ)ベン
ゾフェノンマレイン酸エステル、2−(フェノキシメチル)−1,4−ベンゾキ
ノン、2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェ
ノン、4−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ−ビフェニル、N−フェニ
ルエタノールアミンメタクリレート、N−(2−メチルフェニル)エタノールア
ミンメタクリレート、4−(アクリロシルオキシヘキシルオキシ)桂皮酸または
N−[6−(4−2−ヒドロキシ)−ベンゾイルフェノキシ)−プロピル]マレ
イミドではない。
6.該Xが下記基のうちの一つを表わすものである、請求の範囲第5項に記載の
化合物:
ただし、R4は、H、C1−C8アルキルまたはC2−C8アルケニルであり;
Rは、C1−C8アルキル−YZ、C2−C8アルケニル−YZまたはC2−C8アル
キニル−YZであり;
Yは、O、NR4、S(O)nまたはC=Oであり、nは0〜2の整数であり;
Zは下記基であり:
ただし、R1及びR2は、同一であってもまたは異なっていてもよく、下記を示す
ものであり:
−H、−OR5、−NR5R6、−SO3H、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、
C1−C8アルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、フェニル、−C1
−C8アルキルフェニル、−C2−C8アルケニルフェニル、−C2−C8アルキニ
ルフェニル、−COOR3、−COR3、−C1−C8アルキルCOR3、−C2−C8
アルケニルCOR3、−C2−C8アルキニルCOR3、−C1−C8アルキルCO
OR3、−C2−C8アルケニルCOOR3または−C2−C8アルキニルCOOR3
であり;
または、R1及びR2のいずれかまたは両方が、C1−C8アルキル−YZ、C2−
C8アルケニル−YZまたはC2−C8アルキニル−YZで置換されてもよく、Y
及びZは上記と同様であり;
R3は、H、C1−C8アルキル、C2−C8アルケニル、フェニル、C4−C12シ
クロアルキル、C4−C12シクロアルケニル、C4−C10シクロアルケノンまたは
C4−C12シクロアルケノンであり;
R5及びR6は、同一であってもまたは異なっていてもよく、HまたはC1−C8
アルキルを示すものである。
7.Rが置換フェニル基、ベンゾフェノン若しくは置換ベンゾフェノンまたは桂
皮酸誘導体である、請求の範囲第5項または第6項に記載の化合物。
8.該基Rが(CH2)6OZである、請求の範囲第5〜7項のいずれかに記載の
化合物。
9. N-[6-(4-ベンゾイルフェノキシ)ヘキシル]-マレインアミド酸;
N-[6-(4-ベンゾイル-3-ヒドロキシ-フェノキシ)-ヘキシル]-マレインアミド酸;
N-{6-[4-(2',4'-ジヒドロキシベンゾイル)-3-ヒドロキシ-フェノキシ]ヘキシル}-マレインアミド酸;
N-[6-(4-ベンゾイルフェノキシ)ヘキシル]-マレイミド;
N-[6-(4-ベンゾイル-3-ヒドロキシ-フェノキシ)-ヘキシル]-マレイミド;
N-{6-[4'-(2',4'-ジヒドロキシベンゾイル)-3-ヒドロキシ-フェノキシ]-ヘキシル}-マレイミド;
N-{6-{[4'-(2"-エチルヘキシルオキシ)-カルボニル-(Z)-エテニル]-フェノキシ}-ヘキシル}-マレインアミド酸;
N-{6-{[4'-(2"-エチルヘキシルオキシ)-カルボニル-(Z)-エテニル]-フェノキシ}-ヘキシル}-マレイミド;
N-{6-{[4'-(2"-エチルヘキシルオキシ)-カルボニル-(E)-エテニル]-フェノキシ}-ヘキシル}-マレインアミド酸;
N-{6-{[4'-(2"-エチルヘキシルオキシ)-カルボニル-(E)-エテニル]-フェノキシ}-ヘキシル}-マレイ
ミド
;
N-{6-[(4'-エトキシカルボニル-(Z)-エテニル)-フェノキシ]-ヘキシル}-マレインアミド酸;
N-{6-[(4'-エトキシカルボニル-(Z)-エテニル)-フェノキシ]-ヘキシル}-マレイミド;
N-{6-[(4'-エトキシカルボニル-(E)-エテニル)-フェノキシ]-ヘキシル}-マレインアミド酸;
N-{6-[(4'-エトキシカルボニル-(E)-エテニル)-フェノキシ]-ヘキシル}-マレイミド;
[4-(2',2'-ジメチルエチル)-ベンゾイル]-[4-(エテンジオイック アシッド モノアミド-N-6-ヘキシルオキシ)-ベンゾイル
]-メタン;または
[4-(2',2'-ジメチルエチル)-ベンゾイル]-[4-(6-マレイミドヘキシルオキシ)-ベンゾイル]-メタン。
10.該化合物が下記式I(a)を有するものである、日焼け止め組成物の調製
における請求の範囲第1〜4項のいずれかに記載のの使用:
X−R I(a)
ただし、Xは、ミカエルアクセプターであり;
Rは、Z、C1−C8アルキル−YZ、C2−C8アルケニル−YZまたはC2−C8
アルキニル−YZであり;
Yは、O、NR4、S(O)n、C=OまたはCH2であり、nは0〜2の整数で
あり;
但し、R4は、H、C1−C8アルキルまたはC2−C8アルケニルであり;および
Zは、発色団の基である。
11.日光にさらされることに関連した皮膚科学的な症状を予防することを目的
とした物質の調製における下記式I(a)の化合物の使用:
X−R I(a)
ただし、Xは、ミカエルアクセプターであり;
Rは、Z、C1−C8アルキル−YZ、C2−C8アルケニル−YZまたはC2−C8
アルキニル−YZであり;
Yは、O、NR4、S(O)n、C=OまたはCH2であり、nは0〜
2の整数であり;
但し、R4は、H、C1−C8アルキルまたはC2−C8アルケニルであり;および
Zは、発色団の基である。
12.該化合物が請求の範囲第6〜9項に記載の態様の1つまたはそれ以上によ
り修飾される、請求の範囲第10項または第11項に記載の使用。
13.該化合物が下記である、請求の範囲第1〜4項のいずれかに記載の使用:
N-(4-カルボキシフェニル)マレインアミド酸;
N-(4-カルボキシフェニル)マレイミド;
N-(4-ベンゾイルフェニル)マレインアミド酸;
N-[4-(2-カルボキシ-(E)-エテニル)フェニル]マレインアミド酸;
N-[4-(2-カルボキシ-(E)-エテニル)フェニル]マレイミド;
N-[4-(2-カルボキシ-(Z)-エテニル)フェニル]マレインアミド酸;
N-[4-(2-カルボキシ-(Z)-エテニル)フェニル]マレイミド;
N-(4-メトキシカルボニルフェニル)マレインアミド酸;
N-(4-メトキシカルボニルフェニル)マレイミド;
N-(4-n-ブチルオキシカルボニルフェニル)マレインアミド酸;または
N-(4-n-ブチルオキシカルボニルフェニル)マレイミド。
14.下記よりなる、一般式Iの化合物の調製方法:
a. Xがマレインアミド酸残基である際には、必要であればトリエチルアミン
等のアミンの存在下で、ジクロロメタン等の不活性溶媒中で下記一般式II若し
くは一般式IIIの化合物と無水マレイン酸を反応させる:
RNH2 II
RNH3 + III;
b. Xがマレイミド残基である際には、酢酸や酢酸ナトリウム等の脱水剤と段
階(a)で製造された一般式Iの化合物を反応させる;
c. Xがマレイン酸エステル残基である際には、無水マレイン酸と下記一般式
VIIIの化合物を反応させる:
R−OH VIII;
d. Xがキノン残基である際には、一般式IX:
ArN2 + IX
若しくは下記一般式X:
Z−O(CH2)nCO2 X
の化合物とキノンを反応させる;または
e. Xがアクリル酸残基である際には、水性酸条件下で下記一般式XI:
R−CH=C(CO2Et)2 XI
の化合物を加熱するまたは無水酢酸と下記一般式XIII:
RCHO XIII
のアルデヒドを反応させる。
15.請求の範囲第5〜10項のいずれかまたは請求の範囲第13項に記載の化
合物および皮膚科学的に許容される賦形剤または担体からなる日焼け止め配合物
。
16.請求の範囲第5〜10項のいずれかまたは請求の範囲第13項に記載の日
焼け止め化合物を皮膚に塗布することからなる、日光から皮膚をかばう方法。
17.日光にさらされることに関連した皮膚科学的な症状の予防に使用される請
求の範囲第5〜10項のいずれかまたは請求の範囲第13項に記載の化合物。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C07C 225/28 7457−4H C07C 225/28
229/44 9734−4H 229/44
231/02 9547−4H 231/02
233/20 9547−4H 233/20
C07D 207/452 9638−4C C07D 207/452
C09K 3/00 104 7419−4H C09K 3/00 104Z
// C07C 233/27 9547−4H C07C 233/27
233/32 9547−4H 233/32
233/55 9547−4H 233/55
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG),
AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,C
H,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB
,GE,HU,IS,JP,KE,KG,KP,KR,
KZ,LK,LR,LT,LU,LV,MD,MG,M
N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU
,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TT,
UA,UG,US,UZ,VN
(72)発明者 ジョンズ,ブライアン,コリン,ニコラ
ス,モルガン
イギリス国 ダイフェッド エスエー40
9エックスジー,ラニイバイダー,クィン
サイクバント,シルグィン (番地なし)
(72)発明者 ガネリン,シャロン,ロビン
イギリス国,ロンドン ダブリューシー1
イー 6エッチエー,ゴウアー ストリー
ト,ユニヴァーシティ カレッジ ロンド
ン (番地なし)
(72)発明者 ビショップ,ポール,ビューモント
イギリス国,ロンドン ダブリューシー1
イー 6エッチエー,ゴウアー ストリー
ト,ユニヴァーシティ カレッジ ロンド
ン (番地なし)
(72)発明者 ジャック,デヴィッド
イギリス国 サレイ ジーユー2 5ゼッ
トエッチ,ギルフォード,サレイ リサー
チ パーク,フレデリック サンガー ロ
ード 18,ヴァンガード メディカ リミ
テッド (番地なし)