JPH1042841A - 野菜ジュースの製造方法 - Google Patents

野菜ジュースの製造方法

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JPH1042841A
JPH1042841A JP8202456A JP20245696A JPH1042841A JP H1042841 A JPH1042841 A JP H1042841A JP 8202456 A JP8202456 A JP 8202456A JP 20245696 A JP20245696 A JP 20245696A JP H1042841 A JPH1042841 A JP H1042841A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アブラナ科の野菜特有の硫黄臭等の不快臭が
低減された野菜ジュースの製造方法を提供することを課
題とする。 【解決手段】 アブラナ科に属する野菜(キャベツ等)
を細断して平均径10〜100mmの細断物とし、且つ
該細断時又は細断後にビタミンCを、前記細断物100
gに対して50〜500mg添加する細断工程、前記細
断工程で得られる細断物を加熱処理する加熱工程、前記
加熱工程で得られる加熱細断物を搾汁する搾汁工程、及
び前記搾汁工程で得られる野菜搾汁液を濃縮する濃縮工
程を含む方法により、野菜ジュースを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、キャベツ、ブロッ
コリー、カリフラワー等のアブラナ科の植物を原料とす
る野菜ジュースの製造方法に関し、詳しくは、硫黄臭等
の不快臭が低減された野菜ジュースの製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー
等のアブラナ科の植物は、豊富なビタミンC(たとえば
キャベツで44mg%程度)をはじめ、ビタミンK、カ
リウム、胃・十二指腸の粘膜修復作用があるビタミンU
などを含み、栄養価値の高い野菜である。しかし、一方
では、これらの野菜は加工により特有の不快臭を生じる
ため、たとえばキャベツを素材とした加工食品が意外に
少ないといったように十分な活用がなされていないのが
現状である。
【0003】これらのアブラナ科の野菜の不快臭の原因
物質については様々な報告がなされているが、それによ
れば、不快臭は主として硫黄臭によるものであり、その
原因物質はスルフィド化合物とイソチオシアネート化合
物に大別することができる。
【0004】スルフィド化合物は、生原料中の前駆体か
ら加熱工程などにより生成することが知られている。ま
た、イソチオシアネート化合物に関しては、破砕工程時
に野菜に含まれる酵素(ミロシナーゼ)が働くことによ
り生成する。すなわち、アブラナ科の野菜に広く分布し
ている含硫配糖体(グルコシノレート)が、野菜の破
砕、磨砕等の細断化処理を行うことにより、ミロシナー
ゼと反応して加水分解を起こし、これによって、硫黄臭
の原因であるイソチオシアネート化合物が生成すること
が知られている。
【0005】ミロシナーゼは、アブラナ科の野菜を細断
化処理することにより活性化することから、細断化処理
をせずに加熱すれば硫黄臭の発生を防ぐことができると
考えられるが、実際の食品製造工程を考慮すれば現実的
ではない。また、従来から野菜の酵素失活に用いられて
いるクエン酸、酒石酸等は、アブラナ科植物特有の酵素
であるミロシナーゼに対しては効果がない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、アブラナ科
の野菜特有の硫黄臭等の不快臭が低減された野菜ジュー
スの製造方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意検討
した結果、野菜の細断時に一定量のビタミンCを添加
し、さらに細断した野菜を搾汁した後濃縮することによ
り、硫黄臭の発生が抑えられることを見出し、本発明を
完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、アブラナ科に属する
野菜を細断して平均径10〜100mmの細断物とし、
且つ該細断時又は細断後にビタミンCを、前記細断物1
00gに対して50〜500mg添加する細断工程、前
記細断工程で得られる細断物を加熱処理する加熱工程、
前記加熱工程で得られる加熱細断物を搾汁する搾汁工
程、及び前記搾汁工程で得られる野菜搾汁液を濃縮する
濃縮工程を含むことを特徴とする、野菜ジュースの製造
方法を提供するものである。
【0009】また、本発明は、前記細断工程において、
ビタミンCを、濃度0.003〜1MのビタミンC水溶
液として添加することを特徴とする前記野菜ジュースの
製造方法を提供するものである。
【0010】アブラナ科植物に含まれる酵素であるミロ
シナーゼは、多量のビタミンCにより活性が抑制される
ことから、原料野菜の細断時に一定量以上のビタミンC
を添加することにより、イソチオシアネート化合物の生
成を抑制することができる。また、スルフィド化合物
は、沸点が低い(50℃以下程度)という特徴を利用し
て濃縮工程によって除去することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を説
明する。本発明の野菜ジュースの製造方法は、野菜を細
断する細断工程、得られる細断物を加熱処理する加熱工
程、加熱された細断物を搾汁する搾汁工程、及び野菜搾
汁液を濃縮する濃縮工程を含む。
【0012】(1)細断工程 本細断工程においては、アブラナ科に属する野菜を、搬
送・搾汁に供しやすいように細断する。ここで、アブラ
ナ科に属する野菜としては、キャベツ、ハクサイ、チン
ゲンサイ、ダイコン、ワサビ、マスタード、ブロッコリ
ー、カリフラワー等が挙げられる。これらの野菜は細断
に先立って洗浄し、必要に応じて剥皮等を行うのが好ま
しい。
【0013】細断には、ダイサー、カッター、スライサ
ー等の通常野菜の細断に用いられるものを使用すること
ができる。細断は、得られる細断物の大きさが平均径1
0〜100mm、より好ましくは20〜50mmとなる
ように行うのが好ましい。野菜を平均径10mm未満に
細断すると、細断によりミロシナーゼが活性化するた
め、硫黄臭の発生を十分に抑えられなくなる。一方、細
断物が平均径100mmより大きいと、搬送・搾汁に適
さなくなる。
【0014】この場合の平均径は、以下の1)〜3)の
手順により求められる値である。 1)任意に50個の細断物を採取する。 2)各細断物について、それぞれをその中心点を通って
8等分するような4本の切断線を想定し、該4本の切断
線の長さ(これらはその細断物についてそれぞれが直径
に相当する)を測定して、該4本の切断線の長さの平均
値を各細断物の直径とする。 3)各細断物の直径の平均値を求め、平均径を得る。
【0015】本発明においては、前記細断時又は細断後
に一定量のビタミンC(L−アスコルビン酸又はその
塩)を添加する。これによりイソチオシアネートを生成
させる酵素(ミロシナーゼ)の活性を抑制することがで
きる。野菜に含まれる酵素を酸により失活させる方法は
知られているが、その際に通常用いられるクエン酸、酒
石酸等は、本発明のアブラナ科の野菜に対しては不快臭
を抑制する効果が不十分であり適さない。
【0016】ビタミンCは、細断物100gに対して5
0〜500mg、より好ましくは50〜300mg添加
する。この量が少なすぎると、ミロシナーゼの場合かえ
って活性化され、イソチオシアネート化合物の生成が促
進される傾向にある。一方添加量がこの範囲内であれ
ば、本発明の効果が十分に発揮され、且つ経済性にも優
れている。
【0017】ビタミンCは、ビタミンC粉末等を水に溶
解したものや、ビタミンCを含む果実汁等のビタミンC
水溶液として添加するのが好ましい。ビタミンC水溶液
中のビタミンC濃度は、0.003〜1M、好ましくは
0.01〜1Mとするのが好ましい。このようなビタミ
ンC水溶液を、細断物100gに対するビタミンCの総
量として前記範囲となるように添加すればよい。ビタミ
ンCを含む果実汁の例としては、レモン果汁、アセロラ
果汁等が挙げられる。このような果実汁を用いるとさら
に香味を与えることができる。
【0018】ビタミンCの添加方法としては、例えば前
記ビタミンC水溶液又は果実汁を霧吹き器、スプレーノ
ズル等の噴霧器を用いて細断物に噴霧する方法等が挙げ
られるが、細断物に均一にビタミンCを接触させられる
方法であれば特に限定されるものではない。ビタミンC
を添加する時期は、野菜の細断時及び細断後加熱処理前
のいずれであってもよい。好ましくは細断時に添加す
る。なお、細断物の加熱処理後にビタミンCを添加して
も不快臭の抑制効果は得られない。
【0019】(2)加熱工程 本加熱工程では、前記細断工程で得られるビタミンCが
添加された細断物を加熱処理する。この加熱処理によ
り、酵素を完全に失活させ、且つ殺菌処理を行うことが
できる。
【0020】加熱は、チューブラー、ニーダー、スチー
ムインジェクション等を用いて迅速に行うのが好まし
い。これにより、野菜本来の品質を保持しつつ、不都合
な加熱臭がつくのを防止することができる。加熱は、好
ましくは品温80〜95℃で1〜20分程度行うのがよ
い。さらに、好ましい加熱方法として、前記細断工程後
30分以内に加熱を開始し、4℃/分以上の昇温速度で
80〜95℃に達温させて加熱する方法が挙げられる。
これにより、完全に酵素が失活され、香味が良好で不快
臭がなく、且つ十分殺菌された保存性のよい野菜ジュー
スが得られる。
【0021】(3)搾汁工程 本搾汁工程では、前記加熱工程で得られる加熱細断物を
搾汁して野菜搾汁液を得る。搾汁は常法に従って行われ
る。搾汁器としては、パルパー、スクリュープレス、ギ
ナー、デカンター、一軸又は二軸(同方向もしくは異方
向回転型)エクストルーダー等の飲食品分野で搾汁、搾
油に通常用いられるものを適宜組み合わせて用いること
ができる。搾汁に際しては、搾汁液の品質を向上させる
ため、不活性ガス雰囲気下、たとえば窒素ガス雰囲気下
で搾汁することもできる。
【0022】本搾汁工程で得られる野菜搾汁液は、次い
で後述する濃縮工程で濃縮されるが、それに先だって、
必要に応じて該野菜搾汁液をさらに加熱殺菌処理に供す
ることができる。加熱殺菌にはレトルト殺菌をはじめ管
型熱交換機、平型熱交換機、蒸気吹き込み式加熱機等を
用いることができる。また、加熱条件は、前記加熱工程
におけるのと同様である。
【0023】(4)濃縮工程 本濃縮工程では、前記搾汁工程で得られる野菜搾汁液を
濃縮する。これにより、アブラナ科の野菜の不快臭の原
因物質のひとつであるスルフィド化合物を除去すること
ができる。すなわち、スルフィド化合物は沸点が低いた
め、濃縮により蒸散させることができる。なお、良好な
フレーバーまで蒸散させないようにするため、30℃〜
60℃で濃縮を行うことが好ましい。濃縮は常法に従っ
て行い、減圧濃縮器、撹拌型薄膜式濃縮器、プレート式
濃縮器等の通常用いられる濃縮器を適宜選択して使用す
ることができる。また、濃縮倍率は1.1倍以上、より
好ましくは2〜10倍程度とするのが好ましい。
【0024】本発明によれば、原料野菜の細断工程時に
一定量以上のビタミンC水溶液を添加することにより、
不快臭の原因物質の一つであるイソチオシアネート化合
物の生成に関与する酵素であるミロシナーゼの活性を抑
え、イソチオシアネート化合物に由来する硫黄臭に基づ
く不快臭の発生を防ぐことができる。また、得られる野
菜搾汁液をさらに濃縮することにより、もう一つの不快
臭の原因物質であるスルフィド化合物を除去することが
できる。よって、本発明の製造方法により、硫黄臭等の
不快臭が大幅に低減された野菜ジュースを得ることがで
きる。
【0025】
【実施例】以下に、本発明の実施例を説明する。本実施
例では、アブラナ科の野菜としてキャベツを用いてキャ
ベツジュースを調整し、得られたキャベツジュースの不
快臭の減少効果を評価する方法として、ガスクロマトグ
ラフィー(GC)を用いて不快臭原因物質であるイソチ
オシアネート化合物(代表として含有量の多いアリルイ
ソチオシアネート(アリルITC))のキャベツジュー
ス中の存在量を測定し、また、予め選抜した専門パネラ
ーを対象とした官能テストを行い、アリルITC量の測
定結果と官能テストの結果とを併せて不快臭の評価の指
標とした。アリルITC量の測定方法と官能テストの実
施方法を以下に示す。
【0026】(1)アリルITC量の測定方法 <サンプルの前処理>得られたキャベツジュースをRI
3.0に希釈し、トラッピング用フラスコに150g採
取した。予め調製した内部標準(I.S.:0.012
%O−ジクロロベンゼン/ベンジルアルコール)を25
μl添加した後、フラスコにフレーバー吸着管(Tenax-
GC)を接続し、窒素を通気しながら湯浴中(45℃)で
90分間フレーバートラッピングを行った。トラップ終
了後、吸着管に直接窒素を通気し、30分間乾燥を行っ
た。なお、フレーバートラップ時及び乾燥時の窒素流量
は、いずれの場合も40ml/分とした。
【0027】<フレーバー中のアリルITC量の測定>
以下に示す装置及び条件により、トラップしたフレーバ
ー中のアリルITC量を測定した。 (1)本体:島津製作所製ガスクロマトグラフィー、GC
−17A (2)検出器:FID(水素炎イオン化検出器)[H2
0.5kg/cm2、空気;0.5kg/cm2] (3)カラム:URBON HR-Thermon 600T;8mm(直径)×
50mm、0.24mm(直径)×50mm (4)サンプル注入器:島津製作所製、FLS−3(18
0〜250℃) (5)注入口温度:250℃ (6)検出器温度:250℃ (7)オーブン温度:40℃(初期温度)、3℃/分(昇
温速度)、230℃(10分) (8)注入法:スプリット注入、スプリット比;1/60 (9)キャリアガス:He(40ml/分)
【0028】(2)官能テストの実施方法 官能テストは、専門パネラー40名(男性20名、女性
20名)により行い、実施例1のキャベツジュースと他
の各例のキャベツジュースとを2点比較して、どちらが
好ましいかを官能評価した。結果は、0.1%の危険率
で実施例1のキャベツジュースが好ましいと評価された
ことを「*」で示し、5%の危険率で実施例1のキャベ
ツジュースが好ましいと評価されたことを「**」で示
した。
【0029】
【実施例1】キャベツを、カッターで切断して平均径2
0mmの細断物とし、細断時にビタミンC水溶液(ビタ
ミンC濃度20mM)を霧吹き器により噴霧して、キャ
ベツ100gあたりのビタミンC添加量として100m
gとなるように添加した。次いで、前記細断物をチュー
ブラーヒーターにより品温85℃で3分間加熱し、得ら
れた加熱細断物を二軸搾汁機で搾汁してキャベツ搾汁液
を得た。得られた搾汁液は品温85〜90℃で5分間加
熱し、さらに減圧濃縮器を用いて40℃にて5倍に濃縮
してキャベツジュースを得た。得られたキャベツジュー
スについて、上記の方法によりアリルITC量を測定
し、官能テストを実施した。結果を表1に示す。
【0030】
【実施例2】ビタミンC水溶液を、キャベツを細断した
後加熱前に該細断物に添加した以外は、実施例1と同様
にしてキャベツジュースを調製し、実施例1と同様の方
法でアリルITC量の測定及び官能テストを行った。結
果を表1に示す。
【0031】
【実施例3】ビタミンC添加量がキャベツ100gあた
り50mgとなるようにビタミンC水溶液を添加した以
外は、実施例1と同様にしてキャベツジュースを調製
し、アリルITC量の測定及び官能テストを行った。結
果を表1に示す。
【0032】
【実施例4】ビタミンC添加量がキャベツ100gあた
り500mgとなるようにビタミンC水溶液を添加した
以外は、実施例1と同様にしてキャベツジュースを調製
し、アリルITC量の測定及び官能テストを行った。結
果を表1に示す。
【0033】
【比較例1】ビタミンC水溶液を添加することなく細
断、搾汁を行った以外は、実施例1と同様にしてキャベ
ツジュースを調製し、アリルITC量の測定及び官能テ
ストを行った。結果を表2に示す。
【0034】
【比較例2】ビタミンC水溶液を、キャベツを細断し加
熱処理した後に細断物に添加した以外は、実施例1と同
様にしてキャベツジュースを調製し、アリルITC量の
測定及び官能テストを行った。結果を表2に示す。
【0035】
【比較例3】ビタミンC添加量がキャベツ100gあた
り5mgとなるようにビタミンC水溶液を添加した以外
は、実施例1と同様にしてキャベツジュースを調製し、
アリルITC量の測定及び官能テストを行った。結果を
表2に示す。
【0036】
【比較例4】ビタミンC添加量がキャベツ100gあた
り5gとなるようにビタミンC水溶液を添加した以外
は、実施例1と同様にしてキャベツジュースを調製し、
アリルITC量の測定及び官能テストを行った。結果を
表2に示す。
【0037】
【実施例5】ビタミンC水溶液の濃度を2mMとした以
外は、実施例1と同様にしてキャベツジュースを調製
し、アリルITC量の測定及び官能テストを行った。結
果を表2に示す。
【0038】
【実施例6】ビタミンC水溶液の濃度を2Mとした以外
は、実施例1と同様にしてキャベツジュースを調製し、
アリルITC量の測定及び官能テストを行った。結果を
表2に示す。
【0039】
【比較例5】キャベツ細断物を平均径5mmとした以外
は、実施例1と同様にしてキャベツジュースを調整し、
アリルITC量の測定及び官能テストを行った。結果を
表3に示す。
【0040】
【比較例6】キャベツ細断物を平均径150mmとした
以外は、実施例1と同様にして搾汁を試みたが、細断物
が大きく搾汁できなかった。
【0041】
【比較例7】キャベツ細断時にビタミンC水溶液の代わ
りにクエン酸水溶液(pH2.89)を、クエン酸添加
量がキャベツ100gあたり46mgとなるように添加
した以外は、実施例1と同様にしてキャベツジュースを
調製し、アリルITC量の測定及び官能テストを行っ
た。結果を表3に示す。なお、ここで用いたクエン酸
は、ビタミンC水溶液(濃度20mM)と同じpHとな
るように濃度調製したものである。
【0042】
【比較例8】キャベツ細断時にビタミンC水溶液の代わ
りに酒石酸水溶液(pH2.89)を、酒石酸添加量が
キャベツ100gあたり47mgとなるように添加した
以外は、実施例1と同様にしてキャベツジュースを調製
し、アリルITC量の測定及び官能テストを行った。結
果を表3に示す。なお、ここで用いた酒石酸は、ビタミ
ンC水溶液(濃度20mM)と同じpHとなるように濃
度調製したものである。
【0043】
【比較例9】得られたキャベツ搾汁液を加熱処理後、濃
縮を行わない(濃縮倍率1倍)以外は、実施例1と同様
にしてキャベツジュースを調製した。得られたキャベツ
ジュースについてアリルITC量の測定及び官能テスト
を行った。結果を表3に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】これらの結果から、ビタミンC水溶液を添
加して細断することにより調製したしたキャベツジュー
スは、無添加の場合と比べ、アリルITCの生成量が抑
制されていることがわかる(実施例1及び比較例1)。
また、ビタミンC水溶液を添加する時期については、細
断時であっても細断後であっても良好な効果が認められ
るが、細断時に添加する方がアリルITCの生成抑制効
果がより強いこと、及び加熱後の添加では効果が認めら
れないことがわかる(実施例1〜2及び比較例2)。
【0048】キャベツに対するビタミンC添加量(絶対
量)については、少量(5mg)添加した場合、アリル
ITCの生成量は増大し、官能評価も好ましいものでは
なかった(比較例3)。これはミロシナーゼに対するビ
タミンC濃度が低くなり、ミロシナーゼが活性化したた
めであると考えられる。また、過剰量(5g)添加した
場合、ミロシナーゼの活性が抑制されたため、アリルI
TCの生成が抑制されたが、ビタミンC由来の酸味が強
すぎ、官能上嗜好性は低下した(比較例4)。
【0049】ビタミンC水溶液の濃度については、低濃
度(2mM)のビタミンC水溶液の添加では濃度20m
Mのものを添加した場合と同様に、アリルITCの生成
抑制効果が確認された(実施例5)。ただし、キャベツ
に対する加水量が多くなり、官能評価は若干劣る結果と
なった。
【0050】一方、高濃度(2M)のビタミンCを添加
した場合は、ある程度アリルITCの生成抑制効果が確
認された(実施例6)。ただし、官能テストの結果は若
干劣るものであった。これは、2Mの濃度でキャベツ1
00gあたり100mgのビタミンCを添加するために
は、キャベツ100gあたり0.3mlのビタミンC水
溶液を添加することになり、結果的にキャベツ全体にビ
タミンCが容易に行き渡らず、イソチオシアネート生成
抑制効果が実施例1〜5ほどには十分に発揮されなかっ
たことによるものと考えられる。
【0051】細断物の大きさについては、細断物が微細
な大きさ(平均5mm)になるようにキャベツを細断し
た場合、イソチオシアネート生成抑制効果は確認されな
かった(比較例5)。加熱後の添加では効果が認められ
ないこと(比較例2)と合わせ鑑みれば、ミロシナーゼ
は細断により植物の細胞が破壊されると同時に働くこと
が推測される。また、細断物が大きすぎる(平均径15
0mm)と搾汁工程等での処理が困難となり、本発明に
おいては適さない(比較例6)。
【0052】また、クエン酸及び酒石酸を添加した場
合、官能テストの結果及びアリルITC生成量から、不
快臭の抑制効果は確認されなかった(比較例7〜8)。
ビタミンC水溶液と同じpHのクエン酸、酒石酸を添加
してもアリルITCの生成量が減少しなかったことか
ら、ミロシナーゼ活性にはpHが関与していないことが
示唆される。
【0053】また、濃縮処理を行わなかった場合、キャ
ベツジュース中のアリルITC量が比較的多く、また官
能テストの結果は好ましくなかった(比較例9)。この
ことは、濃縮により一部のアリルITC及びスルフィド
化合物が除去されうることを示唆するものである。
【0054】
【発明の効果】本発明の方法によれば、野菜ジュース製
造工程において原料野菜の細断時又は細断後にビタミン
C(L−アスコルビン酸)を添加することにより、キャ
ベツ等のアブラナ科特有の硫黄臭等の不快臭を抑制する
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村岡 明高 栃木県那須郡西那須野町大字西富山17番地 カゴメ株式会社総合研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アブラナ科に属する野菜を細断して平均
    径10〜100mmの細断物とし、且つ該細断時又は細
    断後にビタミンCを、前記細断物100gに対して50
    〜500mg添加する細断工程、前記細断工程で得られ
    る細断物を加熱処理する加熱工程、前記加熱工程で得ら
    れる加熱細断物を搾汁する搾汁工程、及び前記搾汁工程
    で得られる野菜搾汁液を濃縮する濃縮工程を含むことを
    特徴とする、野菜ジュースの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記細断工程において、ビタミンCを、
    濃度0.003〜1MのビタミンC水溶液として添加す
    ることを特徴とする、請求項1記載の野菜ジュースの製
    造方法。
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