JPH10340805A - 強磁性粉末 - Google Patents

強磁性粉末

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JPH10340805A
JPH10340805A JP9162061A JP16206197A JPH10340805A JP H10340805 A JPH10340805 A JP H10340805A JP 9162061 A JP9162061 A JP 9162061A JP 16206197 A JP16206197 A JP 16206197A JP H10340805 A JPH10340805 A JP H10340805A
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Seiichi Kuno
誠一 久野
Kazuhisa Saito
和久 斉藤
Kazuji Sano
和司 佐野
Akio Sawabe
明朗 沢辺
Akito Inoue
明人 井上
Kenichi Inoue
健一 井上
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高密度記録に適する磁性層が形成できる塗布
型磁気記録媒体用の強磁性粉末を得る。 【解決手段】 Co:5超え〜50at.%,Al:0.
1〜30at.%,希土類元素(Yを含む):0.1〜10a
t.%,周期律表第1a族元素:0.05重量%以下,周期
律表第2a族元素:0.1重量%以下(0重量%を含
む)を含有した鉄を主体とする強磁性粉末であって,平
均長軸長:0.01〜0.40μm,X線結晶粒径(D
x):50〜250オングストロームであり,且つ,長
軸と直角方向に切断した短軸断面が長い方の幅と短い方
の幅をもち,この長幅と短幅の短軸断面比が長軸方向に
ほぼ一様に1より大きく,好ましくは1.5以上となっ
ている平針状粒子からなり,飽和磁化率(σs)とX線結
晶粒径(Dx)の比(σs /Dx)が0.7以上である
塗布型磁気記録媒体用の強磁性粉末

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,磁気テープや磁気
ディスク等の塗布型磁気記録媒体の磁性層を構成するの
に好適な強磁性粉末に関する。
【0002】
【従来の技術】結合剤樹脂(バインダー)に磁性粉を分
散含有させた塗膜を支持体上に塗布することによって支
持体上に磁性層を形成するいわゆる塗布型磁気記録媒体
分野において高記録密度化が進んでいる。これに対応す
べく,微粒子の強磁性粉末が用いられるようになり,微
粒子化に伴って,電磁変換特性である出力,C/N,周
波数特性等の改善がなされてきている。例えば,特開平
6−36265号公報,特開平6−163232号公
報,特開平7−33130号公報,特開平7−7436
5号公報,特開平7−126704号公報,特開平7−
179913号公報,特開平8−181008号公報に
は塗布型時期記録媒体の磁性層を構成する強磁性粉末が
種々提案され,強磁性粉末の磁気特性や粉末特性が示さ
れている。
【0003】また,低ノイズで高出力特性を得るために
該磁性層の厚みをより薄くすることが望まれ,このため
に,該磁性層と支持体の間に,非磁性粉末を結合剤樹脂
中に分散含有させた非磁性層の塗膜を形成する重層構造
の塗布型磁気記録媒体も提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】重層構造であると否と
を問わず,微粒子化した磁性粉末を用いて高記録密度化
した磁気記録媒体を得ようとする場合に,一般に次のよ
うな問題が付随した。
【0005】1)微粒子化に伴って飽和磁化率が低くな
り,出力,C/Nの高いものが得られない。 2)同じく微粒子化に伴って保持力が低くなり,出力,
C/Nの高いものが得られない。 3)微粒子化したものでは所定の形状が維持できず,形
状が変形したり丸まり,またポアも残って,C/Nの高
いものが得られない。 (4) 飽和磁化率の高いものほど耐候性が悪化する。
【0006】本発明は,高記録密度の磁気記録媒体を得
る場合の前記のような課題を解決することを目的とした
ものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば, Co:5超え〜50at.%, Al:0.1〜30at.%, 希土類元素(Yを含む):0.1〜10at.%, 周期律表第1a族元素:0.05重量%以下, 周期律表第2a族元素:0.1重量%以下(0重量%を
含む) を含有した鉄を主体とする強磁性粉末であって, 平均長軸長:0.01〜0.40μm, X線結晶粒径(Dx):50〜250オングストローム であり,且つ,長軸と直角方向に切断した短軸断面が長
い方の幅と短い方の幅をもち,この長幅と短幅の短軸断
面比が長軸方向にほぼ一様に1より大きく,好ましくは
1.5以上となっている平針状粒子からなり,飽和磁化
率(σs)とX線結晶粒径(Dx)の比(σs /Dx)が
0.7以上である塗布型磁気記録媒体用の強磁性粉末を
提供する。
【0008】本発明の該強磁性粉末は,好ましくは10
0℃で放出するH2Oの量が2重量%以下,300℃で
放出するH2Oの量が4重量%以下,真密度が5.55g
/cm3以上,比表面積がBET法で30〜70m2/g,飽和
磁化率(σs)が100〜200 emu/g,保磁力が120
0〜3000(Oe) ,さらに,60℃で相対湿度90%
の雰囲気下で1週間放置後飽和磁化率(σs)の低下率が
15%以下である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に従う塗布型磁気記録媒体
用の強磁性粉末はFeを主体とした針状のメタル粉であ
るが,その含有成分と寸法・形状が特定の関係を有する
ことから,高密度記録に適した磁性層を形成できる。す
なわち,平均長軸長が0.01〜0.40μmといった微
粒子であって且つその形状が平針状であるという寸法・
形状特性と,特定の含有成分量との組合せによって,形
状維持特性と磁気特性が両立した,従来品のものにない
高性能の磁気記録媒体を製造できる。以下に,本発明の
金属磁性粉末の含有成分量,寸法形状特性について説明
する。
【0010】〔含有成分について〕本発明の金属磁性粉
末は, Co:5超え〜50at.%, Al:0.1〜30at.%, 希土類元素(Yを含む):0.1〜10at.%, 周期律表第1a族元素:0.05重量%以下, 周期律表第2a族元素:0.1重量%以下(0重量%を
含む) を含有し,残部が実質上鉄からなる平針状(平針状につ
いては後述する)の強磁性粉末である。更にこの強磁性
粉末は,100℃で放出するH2Oの量が2重量%以
下,300℃で放出するH2Oの量が4.0重量%以下で
あるのがよい。
【0011】各成分について,その含有量範囲を前記の
ように限定する理由の概要を説明すると,Coは保持力
Hc,飽和磁束密度σS の向上および結晶粒径の低減に
寄与し,後記実施例に示すΔσS の低下を回避するのに
も有効に作用するが,Coが5at.%以下ではこのような
作用効果が充分ではない。他方,Coが50at.%を超え
ると逆に保持力Hcが低下するようになるので,5at.%
超え〜50at.%の範囲で含有させる。Coの好ましい範
囲は5超え〜40at.%,更に好ましい範囲は10〜35
at.%である。
【0012】Alは,かような平針状の微細粉の分散性
(焼結防止性)の改善および還元時の粒子の形状保持に
顕著な効果を有する。Alが0.1at.%未満ではこのよ
うな効果は発揮できないが,30at.%を超えるような多
量の含有では飽和磁化が低下し,磁気特性が劣化するよ
うになるので,0.1〜30at.%の範囲,好ましくは1
〜20at.%,更に好ましくは2〜15at.%の範囲で含有
させる。なお,この含有量はAlが化合物(酸化物)と
して含有されている場合に,化合物の量ではなく化合物
中のAl元素の含有量を言う。
【0013】希土類元素(Yを含む)は,Alと同様に
該メタル粉の焼結防止ひいては分散性の改善に有効に作
用する。その含有量が0.1at.%未満ではその効果が小
さくて焼結しやすくなり,10原子at.%を超えると該元
素の酸化物の量が多くなって飽和磁化が小さくなり,金
属磁性粉として不適当なものとなる。希土類元素として
は,Y,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Tb,Dy,
Gd等が挙げられ,これらが複合して含有する場合にも
その総量を0.1〜10at.%とする。なお,この含有量
はこれらの元素が化合物として含有されている場合,化
合物の量ではなく化合物中の当該元素の含有量を言う。
【0014】周期律表第1a族元素の例としてはLi,
Na,K等が挙げられる。このような元素の可溶性塩が
該粒子の表面に付着していると,樹脂系バインダーに分
散させる場合に分散性を悪くし,また,媒体製品の保存
安定性や耐候性を劣化させるので,これら元素の含有量
は0.05重量%以下とし,これら元素が複合して含有
する場合にもその総量を0.05重量%以下とする。ま
た,この1a族元素は,平針状の強磁性金属粉を製造す
るさいの還元工程で焼結を促進する作用もあるので,還
元工程前において出来るだけ排除しておくのが好まし
い。
【0015】周期律表第2a族元素の例としてはMg,
Ca,Sr,Ba等が挙げられる。このような元素の可
溶性塩が該粒子表面に付着した場合にも,樹脂系バイン
ダーに分散させる場合に分散性を悪くし,また,媒体製
品の保存安定性や耐候性を劣化させるので,これら元素
の含有量は0.1重量%以下とし,これら元素が複合し
て含有する場合にもその総量を0.1重量%以下とす
る。
【0016】金属磁性粉末が保有する水分は,100℃
で検出(放出)される量が2.0重量%以下,好ましく
は1.5重量%以下で,300℃で検出(放出)される
量が4.0重量%,好ましくは3.0重量%以下である
のが良い。該粉末が保有する水分量により塗料の粘度が
変化し,バイダー吸着量も変化するが,100℃で検出
される水分量が2.0重量%を超えると,または300
℃で検出される水分量が4.0重量%を超えると塗布の
さいに分散不十分となる。すなわち,本発明のような平
針状の微微粒子では第1a族元素が0.05重量%を超
えるとテープ化のときに分散できなかったり,磁気塗料
化しても塗膜強度の低いものとなる。またこの元素が可
溶性であるために,テープを或る時間保持したときにテ
ープ表面に析出して結晶性の化合物となり,この化合物
がドロップアウトの増大等の原因となりテープ保存安定
性を低下させる。また第2a族元素が0.1重量%を超
えると樹脂との相溶性が悪くなると共に塗膜強度も低く
なり,極端に多くなると第1a族元素と同様にテープ保
存安定性も悪くなる。
【0017】〔寸法・形状特性について〕次に,本発明
磁性粉末の寸法・形状特性について説明するが,本発明
粒子の大きな特徴である“平針状”とは,長手方向の長
さ(長軸長)とそれと直交する短手方向の最大長さ(短
軸長)との比(長軸/短軸)が好ましくは2以上の針状
であって,長軸と直角方向に切断した短軸断面が長い方
の幅と短い方の幅をもち,この長幅と短幅の短軸断面比
が長軸方向にほぼ一様に1より大きく,好ましくは1.
5以上となっている偏平な針状を意味する。
【0018】図1はこの平針状の形状を図解的に示した
ものである。図示のように,長手方向の最大長さL(長
軸長)とこれと直交する短手方向の最大長さS(短軸
長)をもつ針状体1において,長軸と直角方向に切断し
た短軸断面2が長幅WL と短幅WS をもつ偏平な形をし
ている。たとえて言えば,幅がWL で,厚みがWS の平
板(短冊状)に似た形状を有している。ただし,短軸断
面2の偏平形状は長方形に限らず,図2のようにカプセ
ル状,図3のように楕円状,図4のように多角形状,図
5のように変形円状等の様々な形をしていてもよく,要
するところ,WL/ WS の比が長軸方向に一様に(捻じ
れるようなことはなくの意味)1より大きく,好ましく
は1.5以上であればよい。また,本発明の平針状粒子
は実質的に枝分かれは有しない。
【0019】このような平均長軸長が0.01〜0.40
μm,軸比が2以上の平針状の金属磁性粉はその含有成
分との組合せによって後記の実施例に示すように,高性
能の磁気記録媒体を製造する上で優れた形状維持特性と
磁気特性を発揮することができる。とくに,かような平
針状の微粒子であっても,飽和磁化率(σs)とX線結晶
粒径(Dx)の比(σs /Dx)が0.7以上を示すこ
とから,形状維持特性と磁気特性が両立する。ここで,
平針状金属粒子のX線結晶粒径(Dx)は,X線回折装
置を用いて得られたプロファイルから(110)面に相
当するピークの半価幅を求め,これをシェラーの式に代
入して算出することができる。
【0020】平針状粒子のサイズは平均長軸長0.01
〜0.4μmが適当で,好ましくは0.4〜0.2μmが
良い。0.01μm未満では超常磁性となり電磁変換特
性が著しく低下し,0.4μmを超えると粒子が多磁区
となり電磁変換特性が低下する。したがって意図する磁
気特性を確保するには平均長軸長0.01〜0.4μmの
針状微粒子であるのがよい。
【0021】平針状金属粒子の結晶子(X線結晶粒径D
x)は50〜250オングストロームが適当で,好まし
くは100〜200オングストロームであるのが良い。
50オングストロム未満では超常磁性となり電磁変換特
性が著しく低下する。250オングストロームを超える
とノイズが増大して電磁変換特性が低下する。
【0022】本発明の強磁性金属粉末の真密度は5.5
5g/cm3以上であることができる。これにより,優れた
磁気特性を保持することができる。
【0023】本発明の強磁性金属粉末の比表面積はBE
T法で30〜70m2/g,好ましくは40〜60m2/g
である。30m2/g未満ではテープ化時の樹脂との相
溶性が悪くなって電磁変換特性が低下する。70m2
gを超えるとテープ化時に分散不良を起こしてやはり電
磁変換特性が低下する。
【0024】図6および7は,後記の実施例8で得られ
た本発明に従う強磁性金属粉末について,同一試料の同
一部分を試料台を傾けながら同一倍率で撮影した透過型
電子顕微鏡写真(倍率:300000倍)である。すな
わち,図6は試料台を水平にしたもの,図7は試料台を
水平に対して30o傾けて同一試料部分を撮影したもの
である。試料台を傾けることは,各粒子を異なる角度か
ら見たものに相当するから,短軸方向の厚みの変化すな
わち長幅と短幅の短軸断面比を観測することができる。
例えば写真6〜7のほぼ中央に見える独立した粒子は,
同一箇所での短軸長が図6では0.02μm,図7では
0.03μmである。このように試料台を傾けることに
より,粒子の短軸長が長軸方向にほぼ一様に変化してい
ることが観測できる。なお図6〜7図によれば殆んどの
粒子は枝分かれを有していない。
【0025】また,短軸断面比の測定は例えば次ように
して行うことができる。図8は,後記の実施例8で得ら
れた本発明に従う強磁性粉末を,前記同様の透過型電子
顕微鏡写真で撮影する前に,予め粘着性試料台に粉末試
料をまぶし,この粉末が付着した試料片を真空蒸着室に
装填し,その試料表面に対し一定の傾斜角をもって金属
蒸気を照射し,粉末が存在するところには,その照射の
影(金属蒸気が当たらない部分)を形成しておき,この
影付き試料を電子顕微鏡で撮影したものである。図8に
見られるように,各粒子の一側方に蒸着金属が当たらな
い影部分が一様に形成しているのが観測される。各粒子
の短軸長さと影の長さを測定すれば,各粒子の短軸断面
比が計測できる。
【0026】すなわち,図9にモデル的に示すように,
試料面1に対して傾斜角θで金属蒸気を照射したとき,
高さHで幅wの粉末2に生じる影の長さLは, L=H/tanθ である。したがって,θと計測されるLとからHが算出
され,このHと幅Wの計測値からW/Hが計測できる。
図8ではθを18度としたものである。このようにし
て,図8の各粒子は平針状であることと,100個の粒
子について計測したLとWの値から,この粉末の平均短
軸断面比を求めたところ,2.2であることが確認され
た。
【0027】〔磁気特性について〕本発明の強磁性金属
粉末は,保磁力が1200〜3000(Oe) ,飽和磁化
率(σs)が100〜200 emu/g,さらに60℃で相対
湿度90%の雰囲気下で1週間放置後飽和磁化率(σs)
の低下率が15%以下である。
【0028】金属粉末の保磁力Hcは高いほど高密度記
録に適するが,ヘッドの性能に合わせて1200〜30
00(Oe)にコントロールされ,好ましくは1600
〜2800(Oe)である。
【0029】飽和磁束密度σS は高いほど高出力となる
が,耐酸化性やノイズ等との兼ね合いから100〜20
0 emu/g,好ましくは120〜200 emu/g,さらに好
ましくは130〜180 emu/gである。200 emu/gを
越えるとテープ化時に磁気凝集が著しくなり,現在のテ
ープ化技術でうまくテープを引くことができずテープの
表面平滑性が悪くなる。また,120 emu/g以下では十
分な出力が取れないことがある。
【0030】耐候性は,60℃で相対湿度90%の雰囲
気下で1週間放置後の飽和磁化率(σs )の低下率(Δ
σs %) で評価でき,本発明の金属粉末ではこの低下率
が15%以下である。また,テープ化したときには,同
じく相対湿度90%の雰囲気下で1週間放置後の飽和磁
束密度(Bm)の低下率(ΔBm%) で評価できこの低
下率が15%である。
【0031】高密度記録用に好適な強磁性粉末を得るに
は磁気特性と粉体特性を両立させる必要がある。つま
り,微粒子化しても形状を維持し,しかも高い飽和磁化
率σsを有するものが良い。本発明の強磁性粉末は前記
のような諸特性を兼備しながら且つ磁気特性と粉体特性
の両立性に優れている。この両立性は,飽和磁化率(emu
/g) /結晶粒径(オングストローム)で評価することが
でき,この比が高いほど該両立性に優れ,磁気記録媒体
の出力とC/Nの改善に寄与する。本発明の強磁性粉末
のσs/Dxの比は0.7以上であることができ,さら
に0.8以上であることができる。しかも,このσs/
Dxの比が長軸長さ0.1ミクロン以下という平針状の
微粒子で且つσsが150emu/g 以上のもので発現で
き,この場合には平針状微粒子で飽和磁化率が高いので
磁気記録媒体のC/Nおよび出力が大幅に改善される。
また,σs/Dxの比が0.8以上,長軸長さ0.1ミク
ロン以下の平針状の微粒子化で且つHcが2300 (O
e) 以上のもの,好ましくは2400〜2700 (Oe)
のものは平針状微粒子で保磁力が高いのでC/Nおよび
出力が大幅に改善される。
【0032】〔本発明の金属磁性粉体の製造法につい
て〕本発明の平針状微粒子からなる金属磁性粉体は,枝
分かれのない平針状オキシ水酸化鉄を出発材料として加
熱還元することによって製造できる。実質上枝分かれの
ない平針状オキシ水酸化鉄を製造するには,次のような
方法によるのが有利である。
【0033】例えば第二鉄塩溶液に対し,1.0〜3.5
当量の水酸化アルカリ水溶液を加えることによって得ら
れる水酸化第二鉄コロイドを含む懸濁液を10〜90℃
で生成させ,その後,2〜20時間熟成したうえ加水分
解を行うと,実質上枝分かれがなく且つ実質上非結晶物
質を含まない平針状オキシ水酸化鉄が得られる。
【0034】この方法によれば,次のような常法すなわ
ち,第一鉄塩水溶液に当量以上の水酸化アルカリ水溶液
を加えて得られる水酸化第一鉄コロイドを含む懸濁液を
pH11以上にて80℃以下の温度で酸素含有ガスを通
気して酸化反応を行わせる方法,或いは第一鉄水溶液と
炭酸アルカリ水溶液とを反応させて得られる懸濁液に酸
素含有ガスを通気して酸化反応を行わせる方法等に比べ
て,枝分かれがなく且つ短軸断面が偏平な平針状のオキ
シ水酸化鉄を作製することができる。また,針状酸化鉄
の粉体を製造する場合に比べても,高温度での処理工程
がないので,粒子間焼結の問題も起きない。
【0035】このような平針状オキシ水酸化鉄粉体を出
発材料として本発明の金属磁性粉末を製造する場合,予
め該平針状オキシ水酸化鉄にCoを含有させておく。C
oの含有にあたっては,例えば,第二鉄塩中の3価の鉄
イオンに対して5〜50at.%のCo量となるように第一
または第二コバルト塩を反応前,中和直後,熟成中に加
える方法等が採用できる。
【0036】このCo含有平針状オキシ水酸化鉄を出発
材料とし,これにAlを含有させるには適切なAl化合
物を粒子表面に被着させてから還元処理に供すればよ
い。使用できるAl化合物としてはAl2(SO4)3, A
l(NO3)3,AlCl3 等の水可溶塩,さらにはNa
AlO2などの水可溶性アルミン酸などが挙げられ, こ
れらのAl化合物を被還元物の粒子表面に被着させるに
は, これらのAl化合物をアルカリ水溶液中に溶解さ
せ,この溶液中に被還元物粉末を分散させた後,炭酸ガ
スを吹き込むか酸を添加して中和すればよく, これによ
って結晶質ないし非晶質なAl23・nH2O(含水酸
化アルミニウム)として粒子表面に被着される。
【0037】またAlを該被還元物の粒子に固溶させる
(粒子内に含浸させる)こともできる。Coを含むオキ
シ水酸化鉄にAlを固溶(含浸)させるには,オキシ水
酸化鉄を生成させる反応系に上記の水可溶性のAl塩や
アルミン酸塩を添加すればよい。
【0038】こうして得られたCoを含むAl含有オキ
シ水酸化鉄ないし酸化鉄を加熱してAlをAl23とし
て固定したうえ(このときオキシ水酸化鉄は脱水反応に
より酸化鉄に変成されている),これに希土類元素を含
有させる。この方法には,希土類元素を含有する液中に
該粒子を分散させ,アルカリを添加して希土類元素を水
酸化物の形で析出させる方法,或いは希土類元素化合物
含有液中に該粒子を分散させて水分を蒸発させる方法等
を採用できる。
【0039】上記各種方法にて所定量のCo,Alおよ
び希土類元素を含有させた酸化鉄の粉末を還元性雰囲気
中で加熱し,その後調湿することにより,鉄を主成分と
するCoとAlと希土類元素を含有しさらに水分を含ん
だ金属磁性粉末となる。この粉末を周期律表第1a族及
び第2a族元素を含まないものにするには,原料として
周期律表第1a族及び第2a族元素を含まないものを使
用する方法,或いは,オキシ水酸化鉄,酸化鉄,金属磁
性粉末の各化合物の段階で十分な洗浄を行って除去する
方法を採用する。後者の方法では,工程が進むにつれ
て,これらの元素は粒子表面に編析してくるので洗浄効
率は良くなる。また洗浄水に温水や酸を加えpHを下げ
た洗浄水を用いれば更に効率よく除去することができ
る。前,後者の方法を適宣組み合わせると,上記元素を
所定量以下とすることが可能となる。なお,周期律表第
1a族の元素として代表的なものにはLi,Naまたは
Kがある。また第2a族元素の代表的なものにはMg,
Ca,Sr,Ba等がある。
【0040】このようにして,平針状のオキシ水酸化鉄
を出発材料として本発明の平針状強磁性粉末を製造する
場合,通常の紡錘状のものに比べると,焼成還元時にポ
アが抜けやすいことがその原因ではないかと考えられる
が,原料のオキシ水酸化鉄の平針形状が維持されたポア
の少ない,或いはポアの無い強磁性粉末となり,折れた
り変形なども殆んど無くなる。このため,高い保磁力が
得られ,高い出力の磁気記録媒体を製作できるようにな
る。
【0041】本発明に従う平針状の強磁性粉末は,これ
を常法に従って塗布型磁気記録媒体の磁性層或いは多重
構造の上層(非磁性層の上に形成する磁性層)とするこ
とにより,高密度記録に適したものとなる。なお塗布層
を支持するための支持体としてはポリエチレンテレフタ
ラート,ポリエチレンナフタレート等のポリエステル
類,ポリオレフィン類,セルローストリアセテート,ポ
リカーボネイト,ポリアミド,ポリイミド,ポリアミド
イミド,ポリスルフォン・アラミド,芳香族ポリアミ
ド,等の公知のフィルムが使用できる。
【0042】以下に実施例を挙げて,本発明の強磁性粉
末の特性を具体的に示す。
【0043】
【実施例】
〔実施例1〕平均長軸長0.13μm,平均軸比5,短
軸断面比がほぼ1.3であってFeに対して10at.%の
Coを含有した針状のα−FeOOHを準備した。この
α−FeOOHの平針状粒子は,第二鉄塩水溶液に対し
1.6当量のNaOH水溶液を加えて水酸化第二鉄の沈
澱を生成させ,この沈澱物を含む懸濁液を45℃に保ち
ながら16時間熟成して得たものである。そのさい,C
oの含有は熟成中に第1コバルト塩を添加することによ
り行った。
【0044】他方,純水5リットル中に硫酸アルミニウ
ム[Al2(SO4)3 ]を9.8g溶解させると共に10
%濃度のNaOH水溶液を用いてpHを12.5に調整
した溶液を準備した。
【0045】この水溶液に前記のCo含有の平針状α−
FeOOH粉末を50g懸濁させて十分に攪拌し,この
スラリー中に炭酸ガスを吹き込み,pH9以下に中和し
てα−FeOOHの粒子表面に含水・酸化アルミニウム
(Al23・nH2O) を被着させたうえ,この含水・
酸化アルミニウム被着の粒子をろ過し,水洗したあと4
00℃にて3時間加熱してAl23被着のCo含有酸化
鉄とした。このものは,FeとCoに対して4.7at.%
のAlを含有する。
【0046】このものを, 硝酸ランタン[La(NO3)
3]を3.56g溶かした1リットルの水溶液中に懸濁さ
せ,十分攪拌した後,このスラリーを乾燥機に入れて1
00℃で水分を蒸発させたあと,純水5リットル中に懸
濁させた後,ろ過し,加熱し,60℃の純水にて水洗
し,乾燥した。
【0047】こうして得られたAl, LaおよびCoを
含有する酸化鉄粒子を, 回転炉中でH2気流を導入して
450℃で10時間加熱還元した。還元終了後はN2
スを導入して室温まで冷却した後,1%のO2を含むN2
ガスを導入して5時間の徐酸化処理を行い, Al, La
およびCoを含有する金属磁性粉末を得た。さらに炭酸
ガスを含む純水に懸濁させた後,ろ過,水洗,乾燥する
という一連の後処理操作をN2雰囲気中で行った。
【0048】表1〜2に,得られた金属磁性粉末の分析
値,粉体特性および磁気特性を示した。
【0049】また,この金属磁性粉末を磁性層としたテ
ープを次のようにして作り,そのテープ特性と電磁変換
特性,さらには表面粗度を調べ,その結果を表1〜2に
示した。
【0050】〔テープの製造方法〕 (1) 以下の組成からなる下層塗料を用意する。 オキシ水酸化鉄 100重量部 (本例では長軸長=0.15μm,100℃の放出水分
量=1.0重量%) ポリウレタン樹脂 20重量部 メチルエチルケトン 165重量部 シクロヘキサノン 65重量部 トルエン 165重量部 ステアリン酸 1重量部 アセチルアセトン 1重量部 遠心ボールミルで1時間分散させて得た上記組成の塗料
を,ポリエチレンテレフタレートからなるベースフィル
ム上にアプリケーターを用いて目標厚みが3μmとなる
ように塗布して下層を形成した。
【0051】(2) 以下の組成からなる上層塗料を用意す
る。 前記の金属磁性粉末 100重量部 ポリウレタン樹脂 30重量部 メチルエチルケトン 190重量部 シクロヘキサノン 80重量部 トルエン 110重量部 ステアリンブチル 1重量部 アセチルアセトン 1重量部 α−アルミナ 3重量部 カーボンブラック 2重量部 遠心ボールミルで1時間分散させて得たこの組成の上層
用塗料を,前記の下層の上にアプリケーターを用いて塗
布してシート状試料を形成,これをさらにカレンダー処
理を行った後8mm幅にスリットし,上層の厚みが0.
5〜0.6μmの磁気テープを得た。
【0052】〔評価方法〕表1〜2の粉体特性,磁気特
性,テープ特性,電磁変換特性および表面粗度は次のよ
うにして評価した。
【0053】平均長軸長,平均短軸長,及び軸比につい
ては,174000倍の電子顕微鏡写真から測定した1
00個の粒子の平均値で示した。
【0054】短軸断面比は,電子顕微鏡写真を撮るとき
に,図8で説明した金属の傾斜蒸着法にしたがって,計
測した。
【0055】結晶粒径(表中にDxと表示)は,X線回
折装置を用いて得られたプロファイルから(110)面
に相当するピークの半価幅を求め,これをシェラーの式
に代入して算出した。
【0056】比表面積(表中BETと表示)はBET法
で測定し,ステアリン酸吸着量は,試料粉末をステアリ
ン酸2%のMEK溶液に分散させた後,遠心分離機によ
り試料粉末を沈ませ,上済み液の濃度を求めることによ
り,比表面積あたりの吸着量として算出した。
【0057】粉体pHはJISK5101により測定し
た。真比重は溶媒としてトルエンを使用し液浸法で測定
した。タップ密度はJISK5101により測定した。
粉体の水分量はカールフィシャー法により100℃での
重量変化から求めた。等電位点は顕微鏡式電気泳動法に
よりゼータ電位を測定して求めた。
【0058】磁気特性について,表中のHcは保磁力
(Oe),σsは該磁性粉の飽和磁化率(emu/
g),σrは磁性粉の残留磁束密度(emu/g),σ
r/σsは角形比,Δσsは60℃で90%RH(相対
湿度)の雰囲気下で1週間放置後の飽和磁化率(σs)
の低下率(%),σs/Dxは飽和磁化率(σs)とX線
結晶粒径(Dx)の比を示している。この比が高いほ
ど,より優れた形状維持特性を有し且つより磁気特性が
高いことを意味する。
【0059】また,Brはテープの残留磁束密度(ガウ
ス),Bmはテープの飽和磁束密度(ガウス),Br/
Bmは角形比である。ΔBmはテープを60℃で90%
RH(相対湿度)の雰囲気下で1週間放置後のBmの低
下率(%)である。
【0060】電磁変換特性の出力とC/N比の測定はH
i8デッキを用いて行った。また表面平滑性は,株式会
社小坂研究所製の3次元微細形状測定器(商品名ET−
30HK)を用いてテープ表面のRaを測定した。
【0061】〔実施例2〕Feに対して20at.%のCo
を含む点と,平均長軸長0.15μm,軸比5,短軸断
面比1.5である点以外は,実施例1と同様のα−Fe
OOHを準備し,実施例1を繰り返した。得られた金属
磁性粉末の分析値,粉体特性と磁気特性,テープ特性,
電磁変換特性および表面粗度を表1〜2に示した。
【0062】〔実施例3〕Feに対して30at.%のCo
を含む点と,平均長軸長0.14μm,軸比7,短軸断
面比1.6である点以外は,実施例1と同様のα−Fe
OOHを準備し,実施例1を繰り返した。得られた金属
磁性粉末の分析値,粉体特性と磁気特性,テープ特性,
電磁変換特性および表面粗度を表1〜2に示した。
【0063】〔実施例4〕Feに対して40at.%のCo
を含む点と,平均長軸長0.18μm,軸比7,短軸断
面比1.1である点以外は,実施例1と同様のα−Fe
OOHを準備し,硝酸ランタンに変えて硝酸セリウム
3.58g溶かした水溶液を使用したこと以外は,実施
例1を繰り返した。得られた金属磁性粉末の分析値,粉
体特性と磁気特性,テープ特性,電磁変換特性および表
面粗度を表1〜2に示した。
【0064】〔実施例5〕Feに対して50at.%のCo
を含む点と,平均長軸長0.13μm,軸比7,短軸断
面比1.6である点以外は,実施例1と同様のα−Fe
OOHを準備し,硝酸ランタンに変えて硝酸イットリウ
ム4.8g溶かした水溶液を使用したこと以外は, 実施
例1を繰り返した。得られた金属磁性粉末の分析値,粉
体特性と磁気特性,テープ特性,電磁変換特性および表
面粗度を表1〜2に示した。
【0065】〔実施例6〕H2気流を導入して450℃
で10時間加熱還元する変わりに,350℃で30時間
加熱還元した以外は,実施例3を繰り返した。得られた
金属磁性粉末の分析値,粉体特性と磁気特性,テープ特
性,電磁変換特性および表面粗度を表1〜2に示した。
【0066】〔実施例7〕H2気流を導入して450℃
で10時間加熱還元する変わりに,350℃で30時間
加熱還元した以外は,実施例5を繰り返した。得られた
金属磁性粉末の分析値,粉体特性と磁気特性,テープ特
性,電磁変換特性および表面粗度を表1〜2に示した。
【0067】〔実施例8〕Feに対して30at.%のCo
を含む平均長軸長0.19μm,軸比8,短軸断面比1.
6のα−FeOOHを準備して使用したこと以外は,ほ
ぼ実施例7を繰り返した。得られた金属磁性粉末の分析
値,粉体特性と磁気特性,テープ特性,電磁変換特性お
よび表面粗度を表1〜2に示した。
【0068】〔実施例9〕純水5リットル中に溶解させ
る硫酸アルミニウム[Al2(SO4)3 ]量を7.85g
に変更したこと,および硝酸イットリウムに変えて硝酸
セリウム3.6g溶かした水溶液を使用したこと以外
は,実施例8を繰り返した。得られた金属磁性粉末の分
析値,粉体特性と磁気特性,テープ特性,電磁変換特性
および表面粗度を表1〜2に示した。
【0069】〔実施例10〕Feに対して35wt.%のC
oを含む平均長軸長0.11μm,軸比10,短軸断面
比2.1のα−FeOOHを準備して使用したこと,純
水5リットル中に溶解させる硫酸アルミニウム[Al
2(SO4)3 ]量を6.0gに変更したこと以外は,実施
例9を繰り返した。得られた金属磁性粉末の分析値,粉
体特性と磁気特性,テープ特性,電磁変換特性および表
面粗度を表1〜2に示した。
【0070】〔実施例11〕Feに対して30at.%のC
oを含む平均長軸長0.13μm,軸比8,短軸断面比
2.5のα−FeOOHを準備して使用したこと,純水
5リットル中に硫酸アルミニウム[Al2(SO4)3
6.0gを溶解させ,10%濃度のNaOH水溶液でp
H12.5に調整した水溶液に該α−FeOOHを懸濁
させたこと,硝酸ランタンに代えて硝酸イットリウム
[Y2(NO3)3 ]を4.7g溶かした水溶液を使用した
こと,回転炉でH2気流を導入して350℃で30時間
還元加熱し急冷したこと以外は,実施例1を繰り返し
た。得られた金属磁性粉末の分析値,粉体特性と磁気特
性,テープ特性,電磁変換特性および表面粗度を表1〜
2に示した。
【0071】〔実施例12〕硝酸イットリウムを4.7
gから6.2gに変更した以外は,実施例11を繰り返
した。得られた金属磁性粉末の分析値,粉体特性と磁気
特性,テープ特性,電磁変換特性および表面粗度を表1
〜2に示した。
【0072】〔実施例13〕硝酸イットリウム4.7g
を硝酸ネオジウム4.5gに変更した以外は,実施例1
1を繰り返した。得られた金属磁性粉末の分析値,粉体
特性と磁気特性,テープ特性,電磁変換特性および表面
粗度を表1〜2に示した。
【0073】〔実施例14〕Feに対して30at.%のC
oを含む平均長軸長0.16μm,軸比8,短軸断面比
2.1のα−FeOOHを準備して使用したこと以外
は,実施例11を繰り返した。得られた金属磁性粉末の
分析値,粉体特性と磁気特性,テープ特性,電磁変換特
性および表面粗度を表1〜2に示した。
【0074】〔実施例15〕Feに対して40at.%のC
oを含み平均長軸長0.11μm,軸比10,短軸断面
比2.7のα−FeOOHを準備して使用した以外は,
実施例11を繰り返した。得られた金属磁性粉末の分析
値,粉体特性と磁気特性,テープ特性,電磁変換特性お
よび表面粗度を表1〜2に示した。
【0075】〔実施例16〕Feに対して40at.%のC
oを含む平均長軸長0.18μm,軸比8,短軸断面比
1.7のα−FeOOHを準備して使用したこと,およ
び硝酸イットリウムを4.7gから2.45gに変更した
以外は,実施例11を繰り返した。得られた金属磁性粉
末の分析値,粉体特性と磁気特性,テープ特性,電磁変
換特性および表面粗度を表1〜2に示した。
【0076】〔実施例17〕Feに対して35at.%のC
oを含む平均長軸長0.16μm,軸比8,短軸断面比
2.4のα−FeOOHを準備して使用したこと以外
は,実施例11を繰り返した。得られた金属磁性粉末の
分析値,粉体特性と磁気特性,テープ特性,電磁変換特
性および表面粗度を表1〜2に示した。
【0077】〔実施例18〕平均長軸長0.08μm,
軸比8,短軸断面比1.5である点以外は,実施例11
と同様のα−FeOOHを準備し,硝酸イットリウムを
4.7gから6.5gに変更し以外は,実施例11を繰り
返した。得られた金属磁性粉末の分析値,粉体特性と磁
気特性,テープ特性,電磁変換特性および表面粗度を表
1〜2に示した。
【0078】〔実施例19〕平均長軸長0.19μm,
軸比8,短軸断面比2.0である点以外は,実施例13
と同様のα−FeOOHを準備し,1%O2を含むN2
スに代えて0.2%O2を含むN2ガスを導入して2時間
の徐酸化処理を行ったこと以外は,実施例13を繰り返
した。得られた金属磁性粉末の分析値,粉体特性と磁気
特性,テープ特性,電磁変換特性および表面粗度を表1
〜2に示した。
【0079】〔実施例20〕1%O2を含むN2ガスに代
えて,0.2%O2を含むN2ガスを導入して2時間の徐
酸化処理を行った以外は,実施例14を繰り返した。得
られた金属磁性粉末の分析値,粉体特性と磁気特性,テ
ープ特性,電磁変換特性および表面粗度を表1〜2に示
した。
【0080】〔比較例1〕Coを全く含まない平均長軸
長0.13μm,軸比5,短軸断面比1.2のα−FeO
OHを準備して使用した以外は,実施例1を繰り返し
た。得られた金属磁性粉末の分析値,粉体特性と磁気特
性,テープ特性,電磁変換特性および表面粗度を表1〜
2に示した。
【0081】〔比較例2〕硝酸ランタン水溶液に懸濁さ
せる工程を省くことにより,Laの被着を行わなかった
以外は実施例1を繰り返した。得られた金属磁性粉末の
分析値,粉体特性と磁気特性,テープ特性,電磁変換特
性および表面粗度を表1〜2に示した。
【0082】〔比較例3〕Feに対して50at.%のCo
を含む平均長軸長0.13ミクロン,軸比5,短軸断面
比1.2のα−FeOOHを準備して使用したこと,硝
酸ランタン水溶液に懸濁させる工程を省くことによりL
aの被着を行わなかったこと,1%O2を含むN2ガスに
代えて0.03%O2を含むN2ガスを用いて1時間の徐
酸化処理を行ったこと,および徐酸化後の水洗工程を省
略したこと以外は,実施例1を繰り返した。得られた金
属磁性粉末の分析値,粉体特性と磁気特性,テープ特
性,電磁変換特性および表面粗度を表1〜2に示した。
【0083】〔比較例4〕Feに対して10at.%のCo
を含む平均長軸長0.13ミクロン,軸比4の紡錘状の
α−FeOOHを準備して使用した以外は,実施例1を
繰り返した。この紡錘状のα−FeOOHは短軸断面の
比が1(円形)であり,その作製は,NaCO3 を25
mol 含む水溶液20リットルとNaOHを15mol 含む
水溶液10リットルを混合した溶液に,47℃でFe2+
を20mol 含む硫酸第一鉄水溶液を20リットル添加
後,引き続きCo換算で10mol%量のCoSO4 水溶液
を添加して熟成後,得られた懸濁液に対して47℃で毎
分90リットルの空気を300分間通気して得たもので
ある。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】表1〜2の結果から明らかなように,本発
明に従う平針状の微粒子からなる強磁性粉末は,良好な
針状形状を維持し高い飽和磁化と保磁力を有しているこ
とから,比較例のものに比べて,高密度記録に適した諸
特性を具備した磁気記録媒体の磁性層を構成できること
がわかる。
【0087】
【発明の効果】以上説明したように,本発明により,微
粒子でかつ平針状形状を維持した高い飽和磁化,高い保
磁力を有する強磁性粉末が提供され,この強磁性粉末に
よれば高密度記録用に好適な塗布型磁気記録媒体を製造
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の平針状粒子の形状を説明するための概
念図である。
【図2】本発明の平針状粒子の短軸断面の他の形状例を
示す図である。
【図3】本発明の平針状粒子の短軸断面の他の形状例を
示す図である。
【図4】本発明の平針状粒子の短軸断面の他の形状例を
示す図である。
【図5】本発明の平針状粒子の短軸断面の他の形状例を
示す図である。
【図6】本発明の平針状強磁性粉末の電子顕微鏡写真で
ある。
【図7】図6と同じ平針状強磁性粉末の同一試料部分を
試料台を30o傾斜させた撮影した電子顕微鏡写真であ
る。
【図8】本発明の平針状強磁性粉末に影を付けて撮影し
た電子顕微鏡写真である。
【図9】図8の投影角度と影の長さの関係を説明するた
めの図である。
【符号の説明】
1 平針状粒子 2 短軸断面
フロントページの続き (72)発明者 沢辺 明朗 東京都千代田区丸の内1丁目8番2号 同 和鉱業株式会社内 (72)発明者 井上 明人 東京都千代田区丸の内1丁目8番2号 同 和鉱業株式会社内 (72)発明者 井上 健一 東京都千代田区丸の内1丁目8番2号 同 和鉱業株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Co:5超え〜50at.%, Al:0.1〜30at.%, 希土類元素(Yを含む):0.1〜10at.%, 周期律表第1a族元素:0.05重量%以下, 周期律表第2a族元素:0.1重量%以下(0重量%を
    含む) を含有した鉄を主体とする強磁性粉末であって, 平均長軸長:0.01〜0.40μm, X線結晶粒径(Dx):50〜250オングストローム であり,且つ長軸と直角方向に切断した短軸断面が長い
    方の幅と短い方の幅をもち,この長幅と短幅の短軸断面
    比が長軸方向にほぼ一様に1より大きくなっている平針
    状粒子からなり,飽和磁化率(σs)とX線結晶粒径(D
    x)の比(σs /Dx)が0.7以上である塗布型磁気
    記録媒体用の強磁性粉末。
  2. 【請求項2】 前記の短軸断面比が1.5以上である請
    求項1に記載の強磁性粉末。
  3. 【請求項3】 100℃で放出するH2Oの量が2重量
    %以下,300℃で放出するH2Oの量が4重量%以下
    である請求項1または2に記載の強磁性粉末。
  4. 【請求項4】 真密度が5.55g/cm3以上,比表面積
    がBET法で30〜70m2/gである請求項1,2または
    3に記載の強磁性粉末。
  5. 【請求項5】 飽和磁化率(σs)が100〜200 emu
    /g,保磁力が1200〜3000(Oe) である請求項
    1,2,3または4に記載の強磁性粉末。
  6. 【請求項6】 60℃,相対湿度90%の雰囲気下で1
    週間放置後飽和磁化率(σs)の低下率が15%以下であ
    る請求項1,2,3,4または5に記載の強磁性粉末。
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