JP4182232B2 - 強磁性粉末 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,磁気テープや磁気ディスク等の塗布型磁気記録媒体の磁性層を構成するのに好適な強磁性粉末に関する。
【0002】
【従来の技術】
結合剤樹脂(バインダー)に磁性粉を分散含有させた塗膜を支持体上に塗布することによって支持体上に磁性層を形成するいわゆる塗布型磁気記録媒体分野において高記録密度化が進んでいる。これに対応すべく,微粒子の強磁性粉末が用いられるようになり,微粒子化に伴って,電磁変換特性である出力,C/N,周波数特性等の改善がなされてきている。例えば,特開平6−36265号公報,特開平6−163232号公報,特開平7−33130号公報,特開平7−74365号公報,特開平7−126704号公報,特開平7−179913号公報,特開平8−181008号公報には塗布型時期記録媒体の磁性層を構成する強磁性粉末が種々提案され,強磁性粉末の磁気特性や粉末特性が示されている。
【0003】
また,低ノイズで高出力特性を得るために該磁性層の厚みをより薄くすることが望まれ,このために,該磁性層と支持体の間に,非磁性粉末を結合剤樹脂中に分散含有させた非磁性層の塗膜を形成する重層構造の塗布型磁気記録媒体も提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
重層構造であると否とを問わず,微粒子化した磁性粉末を用いて高記録密度化した磁気記録媒体を得ようとする場合に,一般に次のような問題が付随した。
【0005】
1)微粒子化に伴って飽和磁化率が低くなり,出力,C/Nの高いものが得られない。
2)同じく微粒子化に伴って保持力が低くなり,出力,C/Nの高いものが得られない。
3)微粒子化したものでは所定の形状が維持できず,形状が変形したり丸まり,またポアも残って,C/Nの高いものが得られない。
(4) 飽和磁化率の高いものほど耐候性が悪化する。
【0006】
本発明は,高記録密度の磁気記録媒体を得る場合の前記のような課題を解決することを目的としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、
Co:5超え〜50at.%、
Al:0.1〜30at.%、
希土類元素(Yを含む):0.1〜10at.%、
周期律表第1a族元素:0.05重量%以下、
周期律表第2a族元素:0.1重量%以下(0重量%を含む)
を含有した鉄を主体とする強磁性粉末であって、
平均長軸長:0.01〜0.40μm、
X線結晶粒径(Dx):50〜250オングストローム、
真密度:5.55g/cm3以上
であり、且つ、長軸と直角方向に切断した短軸断面が長い方の幅と短い方の幅をもち、この長幅と短幅の短軸断面比が長軸方向にほぼ一様に . 5以上である平針状粒子からなり、飽和磁化率(σs)とX線結晶粒径(Dx)の比(σs/Dx)が0.7以上であり、平針状のオキシ水酸化鉄を出発材料に用いて製造された塗布型磁気記録媒体用の強磁性粉末を提供する。
【0008】
本発明の該強磁性粉末は,好ましくは100℃で放出するH2Oの量が2重量%以下,300℃で放出するH2Oの量が4重量%以下,真密度が5.55g/cm3以上,比表面積がBET法で30〜70m2/g,飽和磁化率(σs)が100〜200 emu/g,保磁力が1200〜3000(Oe) ,さらに,60℃で相対湿度90%の雰囲気下で1週間放置後飽和磁化率(σs)の低下率が15%以下である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に従う塗布型磁気記録媒体用の強磁性粉末はFeを主体とした針状のメタル粉であるが,その含有成分と寸法・形状が特定の関係を有することから,高密度記録に適した磁性層を形成できる。すなわち,平均長軸長が0.01〜0.40μmといった微粒子であって且つその形状が平針状であるという寸法・形状特性と,特定の含有成分量との組合せによって,形状維持特性と磁気特性が両立した,従来品のものにない高性能の磁気記録媒体を製造できる。以下に,本発明の金属磁性粉末の含有成分量,寸法形状特性について説明する。
【0010】
〔含有成分について〕
本発明の金属磁性粉末は,
Co:5超え〜50at.%,
Al:0.1〜30at.%,
希土類元素(Yを含む):0.1〜10at.%,
周期律表第1a族元素:0.05重量%以下,
周期律表第2a族元素:0.1重量%以下(0重量%を含む)
を含有し,残部が実質上鉄からなる平針状(平針状については後述する)の強磁性粉末である。更にこの強磁性粉末は,100℃で放出するH2Oの量が2重量%以下,300℃で放出するH2Oの量が4.0重量%以下であるのがよい。
【0011】
各成分について,その含有量範囲を前記のように限定する理由の概要を説明すると,Coは保持力Hc,飽和磁束密度σS の向上および結晶粒径の低減に寄与し,後記実施例に示すΔσS の低下を回避するのにも有効に作用するが,Coが5at.%以下ではこのような作用効果が充分ではない。他方,Coが50at.%を超えると逆に保持力Hcが低下するようになるので,5at.%超え〜50at.%の範囲で含有させる。Coの好ましい範囲は5超え〜40at.%,更に好ましい範囲は10〜35at.%である。
【0012】
Alは,かような平針状の微細粉の分散性(焼結防止性)の改善および還元時の粒子の形状保持に顕著な効果を有する。Alが0.1at.%未満ではこのような効果は発揮できないが,30at.%を超えるような多量の含有では飽和磁化が低下し,磁気特性が劣化するようになるので,0.1〜30at.%の範囲,好ましくは1〜20at.%,更に好ましくは2〜15at.%の範囲で含有させる。なお,この含有量はAlが化合物(酸化物)として含有されている場合に,化合物の量ではなく化合物中のAl元素の含有量を言う。
【0013】
希土類元素(Yを含む)は,Alと同様に該メタル粉の焼結防止ひいては分散性の改善に有効に作用する。その含有量が0.1at.%未満ではその効果が小さくて焼結しやすくなり,10原子at.%を超えると該元素の酸化物の量が多くなって飽和磁化が小さくなり,金属磁性粉として不適当なものとなる。希土類元素としては,Y,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Tb,Dy,Gd等が挙げられ,これらが複合して含有する場合にもその総量を0.1〜10at.%とする。なお,この含有量はこれらの元素が化合物として含有されている場合,化合物の量ではなく化合物中の当該元素の含有量を言う。
【0014】
周期律表第1a族元素の例としてはLi,Na,K等が挙げられる。このような元素の可溶性塩が該粒子の表面に付着していると,樹脂系バインダーに分散させる場合に分散性を悪くし,また,媒体製品の保存安定性や耐候性を劣化させるので,これら元素の含有量は0.05重量%以下とし,これら元素が複合して含有する場合にもその総量を0.05重量%以下とする。また,この1a族元素は,平針状の強磁性金属粉を製造するさいの還元工程で焼結を促進する作用もあるので,還元工程前において出来るだけ排除しておくのが好ましい。
【0015】
周期律表第2a族元素の例としてはMg,Ca,Sr,Ba等が挙げられる。このような元素の可溶性塩が該粒子表面に付着した場合にも,樹脂系バインダーに分散させる場合に分散性を悪くし,また,媒体製品の保存安定性や耐候性を劣化させるので,これら元素の含有量は0.1重量%以下とし,これら元素が複合して含有する場合にもその総量を0.1重量%以下とする。
【0016】
金属磁性粉末が保有する水分は,100℃で検出(放出)される量が2.0重量%以下,好ましくは1.5重量%以下で,300℃で検出(放出)される量が4.0重量%,好ましくは3.0重量%以下であるのが良い。該粉末が保有する水分量により塗料の粘度が変化し,バイダー吸着量も変化するが,100℃で検出される水分量が2.0重量%を超えると,または300℃で検出される水分量が4.0重量%を超えると塗布のさいに分散不十分となる。すなわち,本発明のような平針状の微微粒子では第1a族元素が0.05重量%を超えるとテープ化のときに分散できなかったり,磁気塗料化しても塗膜強度の低いものとなる。またこの元素が可溶性であるために,テープを或る時間保持したときにテープ表面に析出して結晶性の化合物となり,この化合物がドロップアウトの増大等の原因となりテープ保存安定性を低下させる。また第2a族元素が0.1重量%を超えると樹脂との相溶性が悪くなると共に塗膜強度も低くなり,極端に多くなると第1a族元素と同様にテープ保存安定性も悪くなる。
【0017】
〔寸法・形状特性について〕
次に,本発明磁性粉末の寸法・形状特性について説明するが,本発明粒子の大きな特徴である“平針状”とは,長手方向の長さ(長軸長)とそれと直交する短手方向の最大長さ(短軸長)との比(長軸/短軸)が好ましくは2以上の針状であって,長軸と直角方向に切断した短軸断面が長い方の幅と短い方の幅をもち,この長幅と短幅の短軸断面比が長軸方向にほぼ一様に1より大きく,好ましくは1.5以上となっている偏平な針状を意味する。
【0018】
図1はこの平針状の形状を図解的に示したものである。図示のように,長手方向の最大長さL(長軸長)とこれと直交する短手方向の最大長さS(短軸長)をもつ針状体1において,長軸と直角方向に切断した短軸断面2が長幅WL と短幅WS をもつ偏平な形をしている。たとえて言えば,幅がWL で,厚みがWS の平板(短冊状)に似た形状を有している。ただし,短軸断面2の偏平形状は長方形に限らず,図2のようにカプセル状,図3のように楕円状,図4のように多角形状,図5のように変形円状等の様々な形をしていてもよく,要するところ,WL / WS の比が長軸方向に一様に(捻じれるようなことはなくの意味)1より大きく,好ましくは1.5以上であればよい。また,本発明の平針状粒子は実質的に枝分かれは有しない。
【0019】
このような平均長軸長が0.01〜0.40μm,軸比が2以上の平針状の金属磁性粉はその含有成分との組合せによって後記の実施例に示すように,高性能の磁気記録媒体を製造する上で優れた形状維持特性と磁気特性を発揮することができる。とくに,かような平針状の微粒子であっても,飽和磁化率(σs)とX線結晶粒径(Dx)の比(σs /Dx)が0.7以上を示すことから,形状維持特性と磁気特性が両立する。ここで,平針状金属粒子のX線結晶粒径(Dx)は,X線回折装置を用いて得られたプロファイルから(110)面に相当するピークの半価幅を求め,これをシェラーの式に代入して算出することができる。
【0020】
平針状粒子のサイズは平均長軸長0.01〜0.4μmが適当で,好ましくは0.4〜0.2μmが良い。0.01μm未満では超常磁性となり電磁変換特性が著しく低下し,0.4μmを超えると粒子が多磁区となり電磁変換特性が低下する。したがって意図する磁気特性を確保するには平均長軸長0.01〜0.4μmの針状微粒子であるのがよい。
【0021】
平針状金属粒子の結晶子(X線結晶粒径Dx)は50〜250オングストロームが適当で,好ましくは100〜200オングストロームであるのが良い。50オングストロム未満では超常磁性となり電磁変換特性が著しく低下する。250オングストロームを超えるとノイズが増大して電磁変換特性が低下する。
【0022】
本発明の強磁性金属粉末の真密度は5.55g/cm3以上であることができる。これにより,優れた磁気特性を保持することができる。
【0023】
本発明の強磁性金属粉末の比表面積はBET法で30〜70m2/g,好ましくは40〜60m2/gである。30m2/g未満ではテープ化時の樹脂との相溶性
が悪くなって電磁変換特性が低下する。70m2/gを超えるとテープ化時に分散不良を起こしてやはり電磁変換特性が低下する。
【0024】
図6および7は,後記の実施例8で得られた本発明に従う強磁性金属粉末について,同一試料の同一部分を試料台を傾けながら同一倍率で撮影した透過型電子顕微鏡写真(倍率:300000倍)である。すなわち,図6は試料台を水平にしたもの,図7は試料台を水平に対して30o傾けて同一試料部分を撮影したものである。試料台を傾けることは,各粒子を異なる角度から見たものに相当するから,短軸方向の厚みの変化すなわち長幅と短幅の短軸断面比を観測することができる。例えば写真6〜7のほぼ中央に見える独立した粒子は,同一箇所での短軸長が図6では0.02μm,図7では0.03μmである。このように試料台を傾けることにより,粒子の短軸長が長軸方向にほぼ一様に変化していることが観測できる。なお図6〜7図によれば殆んどの粒子は枝分かれを有していない。
【0025】
また,短軸断面比の測定は例えば次ようにして行うことができる。図8は,後記の実施例8で得られた本発明に従う強磁性粉末を,前記同様の透過型電子顕微鏡写真で撮影する前に,予め粘着性試料台に粉末試料をまぶし,この粉末が付着した試料片を真空蒸着室に装填し,その試料表面に対し一定の傾斜角をもって金属蒸気を照射し,粉末が存在するところには,その照射の影(金属蒸気が当たらない部分)を形成しておき,この影付き試料を電子顕微鏡で撮影したものである。図8に見られるように,各粒子の一側方に蒸着金属が当たらない影部分が一様に形成しているのが観測される。各粒子の短軸長さと影の長さを測定すれば,各粒子の短軸断面比が計測できる。
【0026】
すなわち,図9にモデル的に示すように,試料面1に対して傾斜角θで金属蒸気を照射したとき,高さHで幅wの粉末2に生じる影の長さLは,
L=H/tanθ
である。したがって,θと計測されるLとからHが算出され,このHと幅Wの計測値からW/Hが計測できる。図8ではθを18度としたものである。このようにして,図8の各粒子は平針状であることと,100個の粒子について計測したLとWの値から,この粉末の平均短軸断面比を求めたところ,2.2であることが確認された。
【0027】
〔磁気特性について〕
本発明の強磁性金属粉末は,保磁力が1200〜3000(Oe) ,飽和磁化率(σs)が100〜200 emu/g,さらに60℃で相対湿度90%の雰囲気下で1週間放置後飽和磁化率(σs)の低下率が15%以下である。
【0028】
金属粉末の保磁力Hcは高いほど高密度記録に適するが,ヘッドの性能に合わせて1200〜3000(Oe)にコントロールされ,好ましくは1600〜2800(Oe)である。
【0029】
飽和磁束密度σS は高いほど高出力となるが,耐酸化性やノイズ等との兼ね合いから100〜200 emu/g,好ましくは120〜200 emu/g,さらに好ましくは130〜180 emu/gである。200 emu/gを越えるとテープ化時に磁気凝集が著しくなり,現在のテープ化技術でうまくテープを引くことができずテープの表面平滑性が悪くなる。また,120 emu/g以下では十分な出力が取れないことがある。
【0030】
耐候性は,60℃で相対湿度90%の雰囲気下で1週間放置後の飽和磁化率(σs )の低下率(Δσs %) で評価でき,本発明の金属粉末ではこの低下率が15%以下である。また,テープ化したときには,同じく相対湿度90%の雰囲気下で1週間放置後の飽和磁束密度(Bm)の低下率(ΔBm%) で評価できこの低下率が15%である。
【0031】
高密度記録用に好適な強磁性粉末を得るには磁気特性と粉体特性を両立させる必要がある。つまり,微粒子化しても形状を維持し,しかも高い飽和磁化率σsを有するものが良い。本発明の強磁性粉末は前記のような諸特性を兼備しながら且つ磁気特性と粉体特性の両立性に優れている。この両立性は,飽和磁化率(emu/g) /結晶粒径(オングストローム)で評価することができ,この比が高いほど該両立性に優れ,磁気記録媒体の出力とC/Nの改善に寄与する。本発明の強磁性粉末のσs/Dxの比は0.7以上であることができ,さらに0.8以上であることができる。しかも,このσs/Dxの比が長軸長さ0.1ミクロン以下という平針状の微粒子で且つσsが150emu/g 以上のもので発現でき,この場合には平針状微粒子で飽和磁化率が高いので磁気記録媒体のC/Nおよび出力が大幅に改善される。また,σs/Dxの比が0.8以上,長軸長さ0.1ミクロン以下の平針状の微粒子化で且つHcが2300 (Oe) 以上のもの,好ましくは2400〜2700 (Oe) のものは平針状微粒子で保磁力が高いのでC/Nおよび出力が大幅に改善される。
【0032】
〔本発明の金属磁性粉体の製造法について〕
本発明の平針状微粒子からなる金属磁性粉体は,枝分かれのない平針状オキシ水酸化鉄を出発材料として加熱還元することによって製造できる。実質上枝分かれのない平針状オキシ水酸化鉄を製造するには,次のような方法によるのが有利である。
【0033】
例えば第二鉄塩溶液に対し,1.0〜3.5当量の水酸化アルカリ水溶液を加えることによって得られる水酸化第二鉄コロイドを含む懸濁液を10〜90℃で生成させ,その後,2〜20時間熟成したうえ加水分解を行うと,実質上枝分かれがなく且つ実質上非結晶物質を含まない平針状オキシ水酸化鉄が得られる。
【0034】
この方法によれば,次のような常法すなわち,第一鉄塩水溶液に当量以上の水酸化アルカリ水溶液を加えて得られる水酸化第一鉄コロイドを含む懸濁液をpH11以上にて80℃以下の温度で酸素含有ガスを通気して酸化反応を行わせる方法,或いは第一鉄水溶液と炭酸アルカリ水溶液とを反応させて得られる懸濁液に酸素含有ガスを通気して酸化反応を行わせる方法等に比べて,枝分かれがなく且つ短軸断面が偏平な平針状のオキシ水酸化鉄を作製することができる。また,針状酸化鉄の粉体を製造する場合に比べても,高温度での処理工程がないので,粒子間焼結の問題も起きない。
【0035】
このような平針状オキシ水酸化鉄粉体を出発材料として本発明の金属磁性粉末を製造する場合,予め該平針状オキシ水酸化鉄にCoを含有させておく。Coの含有にあたっては,例えば,第二鉄塩中の3価の鉄イオンに対して5〜50at.%のCo量となるように第一または第二コバルト塩を反応前,中和直後,熟成中に加える方法等が採用できる。
【0036】
このCo含有平針状オキシ水酸化鉄を出発材料とし,これにAlを含有させるには適切なAl化合物を粒子表面に被着させてから還元処理に供すればよい。使用できるAl化合物としてはAl2(SO4)3, Al(NO3)3,AlCl3 等の水可溶塩,さらにはNaAlO2などの水可溶性アルミン酸などが挙げられ, これらのAl化合物を被還元物の粒子表面に被着させるには, これらのAl化合物をアルカリ水溶液中に溶解させ,この溶液中に被還元物粉末を分散させた後,炭酸ガスを吹き込むか酸を添加して中和すればよく, これによって結晶質ないし非晶質なAl23・nH2O(含水酸化アルミニウム)として粒子表面に被着される。
【0037】
またAlを該被還元物の粒子に固溶させる(粒子内に含浸させる)こともできる。Coを含むオキシ水酸化鉄にAlを固溶(含浸)させるには,オキシ水酸化鉄を生成させる反応系に上記の水可溶性のAl塩やアルミン酸塩を添加すればよい。
【0038】
こうして得られたCoを含むAl含有オキシ水酸化鉄ないし酸化鉄を加熱してAlをAl23として固定したうえ(このときオキシ水酸化鉄は脱水反応により酸化鉄に変成されている),これに希土類元素を含有させる。この方法には,希土類元素を含有する液中に該粒子を分散させ,アルカリを添加して希土類元素を水酸化物の形で析出させる方法,或いは希土類元素化合物含有液中に該粒子を分散させて水分を蒸発させる方法等を採用できる。
【0039】
上記各種方法にて所定量のCo,Alおよび希土類元素を含有させた酸化鉄の粉末を還元性雰囲気中で加熱し,その後調湿することにより,鉄を主成分とするCoとAlと希土類元素を含有しさらに水分を含んだ金属磁性粉末となる。この粉末を周期律表第1a族及び第2a族元素を含まないものにするには,原料として周期律表第1a族及び第2a族元素を含まないものを使用する方法,或いは,オキシ水酸化鉄,酸化鉄,金属磁性粉末の各化合物の段階で十分な洗浄を行って除去する方法を採用する。後者の方法では,工程が進むにつれて,これらの元素は粒子表面に編析してくるので洗浄効率は良くなる。また洗浄水に温水や酸を加えpHを下げた洗浄水を用いれば更に効率よく除去することができる。前,後者の方法を適宣組み合わせると,上記元素を所定量以下とすることが可能となる。なお,周期律表第1a族の元素として代表的なものにはLi,NaまたはKがある。また第2a族元素の代表的なものにはMg,Ca,Sr,Ba等がある。
【0040】
このようにして,平針状のオキシ水酸化鉄を出発材料として本発明の平針状強磁性粉末を製造する場合,通常の紡錘状のものに比べると,焼成還元時にポアが抜けやすいことがその原因ではないかと考えられるが,原料のオキシ水酸化鉄の平針形状が維持されたポアの少ない,或いはポアの無い強磁性粉末となり,折れたり変形なども殆んど無くなる。このため,高い保磁力が得られ,高い出力の磁気記録媒体を製作できるようになる。
【0041】
本発明に従う平針状の強磁性粉末は,これを常法に従って塗布型磁気記録媒体の磁性層或いは多重構造の上層(非磁性層の上に形成する磁性層)とすることにより,高密度記録に適したものとなる。なお塗布層を支持するための支持体としてはポリエチレンテレフタラート,ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類,ポリオレフィン類,セルローストリアセテート,ポリカーボネイト,ポリアミド,ポリイミド,ポリアミドイミド,ポリスルフォン・アラミド,芳香族ポリアミド,等の公知のフィルムが使用できる。
【0042】
以下に実施例を挙げて,本発明の強磁性粉末の特性を具体的に示す。
【0043】
【実施例】
〔実施例1〕
平均長軸長0.13μm,平均軸比5,短軸断面比がほぼ1.3であってFeに対して10at.%のCoを含有した針状のα−FeOOHを準備した。このα−FeOOHの平針状粒子は,第二鉄塩水溶液に対し1.6当量のNaOH水溶液を加えて水酸化第二鉄の沈澱を生成させ,この沈澱物を含む懸濁液を45℃に保ちながら16時間熟成して得たものである。そのさい,Coの含有は熟成中に第1コバルト塩を添加することにより行った。
【0044】
他方,純水5リットル中に硫酸アルミニウム[Al2(SO4)3 ]を9.8g溶解させると共に10%濃度のNaOH水溶液を用いてpHを12.5に調整した溶液を準備した。
【0045】
この水溶液に前記のCo含有の平針状α−FeOOH粉末を50g懸濁させて十分に攪拌し,このスラリー中に炭酸ガスを吹き込み,pH9以下に中和してα−FeOOHの粒子表面に含水・酸化アルミニウム(Al23・nH2O) を被着させたうえ,この含水・酸化アルミニウム被着の粒子をろ過し,水洗したあと400℃にて3時間加熱してAl23被着のCo含有酸化鉄とした。このものは,FeとCoに対して4.7at.%のAlを含有する。
【0046】
このものを, 硝酸ランタン[La(NO3)3]を3.56g溶かした1リットルの水溶液中に懸濁させ,十分攪拌した後,このスラリーを乾燥機に入れて100℃で水分を蒸発させたあと,純水5リットル中に懸濁させた後,ろ過し,加熱し,60℃の純水にて水洗し,乾燥した。
【0047】
こうして得られたAl, LaおよびCoを含有する酸化鉄粒子を, 回転炉中でH2気流を導入して450℃で10時間加熱還元した。還元終了後はN2ガスを導入して室温まで冷却した後,1%のO2を含むN2ガスを導入して5時間の徐酸化処理を行い, Al, LaおよびCoを含有する金属磁性粉末を得た。さらに炭酸ガスを含む純水に懸濁させた後,ろ過,水洗,乾燥するという一連の後処理操作をN2雰囲気中で行った。
【0048】
表1〜2に,得られた金属磁性粉末の分析値,粉体特性および磁気特性を示した。
【0049】
また,この金属磁性粉末を磁性層としたテープを次のようにして作り,そのテープ特性と電磁変換特性,さらには表面粗度を調べ,その結果を表1〜2に示した。
【0050】
〔テープの製造方法〕
(1) 以下の組成からなる下層塗料を用意する。
オキシ水酸化鉄 100重量部
(本例では長軸長=0.15μm,100℃の放出水分量=1.0重量%)
ポリウレタン樹脂 20重量部
メチルエチルケトン 165重量部
シクロヘキサノン 65重量部
トルエン 165重量部
ステアリン酸 1重量部
アセチルアセトン 1重量部
遠心ボールミルで1時間分散させて得た上記組成の塗料を,ポリエチレンテレフタレートからなるベースフィルム上にアプリケーターを用いて目標厚みが3μmとなるように塗布して下層を形成した。
【0051】
(2) 以下の組成からなる上層塗料を用意する。
前記の金属磁性粉末 100重量部
ポリウレタン樹脂 30重量部
メチルエチルケトン 190重量部
シクロヘキサノン 80重量部
トルエン 110重量部
ステアリンブチル 1重量部
アセチルアセトン 1重量部
α−アルミナ 3重量部
カーボンブラック 2重量部
遠心ボールミルで1時間分散させて得たこの組成の上層用塗料を,前記の下層の上にアプリケーターを用いて塗布してシート状試料を形成,これをさらにカレンダー処理を行った後8mm幅にスリットし,上層の厚みが0.5〜0.6μmの磁気テープを得た。
【0052】
〔評価方法〕
表1〜2の粉体特性,磁気特性,テープ特性,電磁変換特性および表面粗度は次のようにして評価した。
【0053】
平均長軸長,平均短軸長,及び軸比については,174000倍の電子顕微鏡写真から測定した100個の粒子の平均値で示した。
【0054】
短軸断面比は,電子顕微鏡写真を撮るときに,図8で説明した金属の傾斜蒸着法にしたがって,計測した。
【0055】
結晶粒径(表中にDxと表示)は,X線回折装置を用いて得られたプロファイルから(110)面に相当するピークの半価幅を求め,これをシェラーの式に代入して算出した。
【0056】
比表面積(表中BETと表示)はBET法で測定し,ステアリン酸吸着量は,試料粉末をステアリン酸2%のMEK溶液に分散させた後,遠心分離機により試料粉末を沈ませ,上済み液の濃度を求めることにより,比表面積あたりの吸着量として算出した。
【0057】
粉体pHはJISK5101により測定した。真比重は溶媒としてトルエンを使用し液浸法で測定した。タップ密度はJISK5101により測定した。粉体の水分量はカールフィシャー法により100℃での重量変化から求めた。等電位点は顕微鏡式電気泳動法によりゼータ電位を測定して求めた。
【0058】
磁気特性について,表中のHcは保磁力(Oe),σsは該磁性粉の飽和磁化率(emu/g),σrは磁性粉の残留磁束密度(emu/g),σr/σsは角形比,Δσsは60℃で90%RH(相対湿度)の雰囲気下で1週間放置後の飽和磁化率(σs)の低下率(%),σs/Dxは飽和磁化率(σs)とX線結晶粒径(Dx)の比を示している。この比が高いほど,より優れた形状維持特性を有し且つより磁気特性が高いことを意味する。
【0059】
また,Brはテープの残留磁束密度(ガウス),Bmはテープの飽和磁束密度(ガウス),Br/Bmは角形比である。ΔBmはテープを60℃で90%RH(相対湿度)の雰囲気下で1週間放置後のBmの低下率(%)である。
【0060】
電磁変換特性の出力とC/N比の測定はHi8デッキを用いて行った。また表面平滑性は,株式会社小坂研究所製の3次元微細形状測定器(商品名ET−30HK)を用いてテープ表面のRaを測定した。
【0061】
〔実施例2〕
Feに対して20at.%のCoを含む点と,平均長軸長0.15μm,軸比5,短軸断面比1.5である点以外は,実施例1と同様のα−FeOOHを準備し,実施例1を繰り返した。得られた金属磁性粉末の分析値,粉体特性と磁気特性,テープ特性,電磁変換特性および表面粗度を表1〜2に示した。
【0062】
〔実施例3〕
Feに対して30at.%のCoを含む点と,平均長軸長0.14μm,軸比7,短軸断面比1.6である点以外は,実施例1と同様のα−FeOOHを準備し,実施例1を繰り返した。得られた金属磁性粉末の分析値,粉体特性と磁気特性,テープ特性,電磁変換特性および表面粗度を表1〜2に示した。
【0063】
〔実施例4〕
Feに対して40at.%のCoを含む点と,平均長軸長0.18μm,軸比7,短軸断面比1.1である点以外は,実施例1と同様のα−FeOOHを準備し,硝酸ランタンに変えて硝酸セリウム3.58g溶かした水溶液を使用したこと以外は,実施例1を繰り返した。得られた金属磁性粉末の分析値,粉体特性と磁気特性,テープ特性,電磁変換特性および表面粗度を表1〜2に示した。
【0064】
〔実施例5〕
Feに対して50at.%のCoを含む点と,平均長軸長0.13μm,軸比7,短軸断面比1.6である点以外は,実施例1と同様のα−FeOOHを準備し,硝酸ランタンに変えて硝酸イットリウム4.8g溶かした水溶液を使用したこと以外は, 実施例1を繰り返した。得られた金属磁性粉末の分析値,粉体特性と磁気特性,テープ特性,電磁変換特性および表面粗度を表1〜2に示した。
【0065】
〔実施例6〕
2気流を導入して450℃で10時間加熱還元する変わりに,350℃で30時間加熱還元した以外は,実施例3を繰り返した。得られた金属磁性粉末の分析値,粉体特性と磁気特性,テープ特性,電磁変換特性および表面粗度を表1〜2に示した。
【0066】
〔実施例7〕
2気流を導入して450℃で10時間加熱還元する変わりに,350℃で30時間加熱還元した以外は,実施例5を繰り返した。得られた金属磁性粉末の分析値,粉体特性と磁気特性,テープ特性,電磁変換特性および表面粗度を表1〜2に示した。
【0067】
〔実施例8〕
Feに対して30at.%のCoを含む平均長軸長0.19μm,軸比8,短軸断面比1.6のα−FeOOHを準備して使用したこと以外は,ほぼ実施例7を繰り返した。得られた金属磁性粉末の分析値,粉体特性と磁気特性,テープ特性,電磁変換特性および表面粗度を表1〜2に示した。
【0068】
〔実施例9〕
純水5リットル中に溶解させる硫酸アルミニウム[Al2(SO4)3 ]量を7.85gに変更したこと,および硝酸イットリウムに変えて硝酸セリウム3.6g溶かした水溶液を使用したこと以外は,実施例8を繰り返した。得られた金属磁性粉末の分析値,粉体特性と磁気特性,テープ特性,電磁変換特性および表面粗度を表1〜2に示した。
【0069】
〔実施例10〕
Feに対して35wt.%のCoを含む平均長軸長0.11μm,軸比10,短軸断面比2.1のα−FeOOHを準備して使用したこと,純水5リットル中に溶解させる硫酸アルミニウム[Al2(SO4)3 ]量を6.0gに変更したこと以外は,実施例9を繰り返した。得られた金属磁性粉末の分析値,粉体特性と磁気特性,テープ特性,電磁変換特性および表面粗度を表1〜2に示した。
【0070】
〔実施例11〕
Feに対して30at.%のCoを含む平均長軸長0.13μm,軸比8,短軸断面比2.5のα−FeOOHを準備して使用したこと,純水5リットル中に硫酸アルミニウム[Al2(SO4)3 ]6.0gを溶解させ,10%濃度のNaOH水溶液でpH12.5に調整した水溶液に該α−FeOOHを懸濁させたこと,硝酸ランタンに代えて硝酸イットリウム[Y2(NO3)3 ]を4.7g溶かした水溶液を使用したこと,回転炉でH2気流を導入して350℃で30時間還元加熱し急冷したこと以外は,実施例1を繰り返した。得られた金属磁性粉末の分析値,粉体特性と磁気特性,テープ特性,電磁変換特性および表面粗度を表1〜2に示した。
【0071】
〔実施例12〕
硝酸イットリウムを4.7gから6.2gに変更した以外は,実施例11を繰り返した。得られた金属磁性粉末の分析値,粉体特性と磁気特性,テープ特性,電磁変換特性および表面粗度を表1〜2に示した。
【0072】
〔実施例13〕
硝酸イットリウム4.7gを硝酸ネオジウム4.5gに変更した以外は,実施例11を繰り返した。得られた金属磁性粉末の分析値,粉体特性と磁気特性,テープ特性,電磁変換特性および表面粗度を表1〜2に示した。
【0073】
〔実施例14〕
Feに対して30at.%のCoを含む平均長軸長0.16μm,軸比8,短軸断面比2.1のα−FeOOHを準備して使用したこと以外は,実施例11を繰り返した。得られた金属磁性粉末の分析値,粉体特性と磁気特性,テープ特性,電磁変換特性および表面粗度を表1〜2に示した。
【0074】
〔実施例15〕
Feに対して40at.%のCoを含み平均長軸長0.11μm,軸比10,短軸断面比2.7のα−FeOOHを準備して使用した以外は,実施例11を繰り返した。得られた金属磁性粉末の分析値,粉体特性と磁気特性,テープ特性,電磁変換特性および表面粗度を表1〜2に示した。
【0075】
〔実施例16〕
Feに対して40at.%のCoを含む平均長軸長0.18μm,軸比8,短軸断面比1.7のα−FeOOHを準備して使用したこと,および硝酸イットリウムを4.7gから2.45gに変更した以外は,実施例11を繰り返した。得られた金属磁性粉末の分析値,粉体特性と磁気特性,テープ特性,電磁変換特性および表面粗度を表1〜2に示した。
【0076】
〔実施例17〕
Feに対して35at.%のCoを含む平均長軸長0.16μm,軸比8,短軸断面比2.4のα−FeOOHを準備して使用したこと以外は,実施例11を繰り返した。得られた金属磁性粉末の分析値,粉体特性と磁気特性,テープ特性,電磁変換特性および表面粗度を表1〜2に示した。
【0077】
〔実施例18〕
平均長軸長0.08μm,軸比8,短軸断面比1.5である点以外は,実施例11と同様のα−FeOOHを準備し,硝酸イットリウムを4.7gから6.5gに変更し以外は,実施例11を繰り返した。得られた金属磁性粉末の分析値,粉体特性と磁気特性,テープ特性,電磁変換特性および表面粗度を表1〜2に示した。
【0078】
〔実施例19〕
平均長軸長0.19μm,軸比8,短軸断面比2.0である点以外は,実施例13と同様のα−FeOOHを準備し,1%O2を含むN2ガスに代えて0.2%O2を含むN2ガスを導入して2時間の徐酸化処理を行ったこと以外は,実施例13を繰り返した。得られた金属磁性粉末の分析値,粉体特性と磁気特性,テープ特性,電磁変換特性および表面粗度を表1〜2に示した。
【0079】
〔実施例20〕
1%O2を含むN2ガスに代えて,0.2%O2を含むN2ガスを導入して2時間の徐酸化処理を行った以外は,実施例14を繰り返した。得られた金属磁性粉末の分析値,粉体特性と磁気特性,テープ特性,電磁変換特性および表面粗度を表1〜2に示した。
【0080】
〔比較例1〕
Coを全く含まない平均長軸長0.13μm,軸比5,短軸断面比1.2のα−FeOOHを準備して使用した以外は,実施例1を繰り返した。得られた金属磁性粉末の分析値,粉体特性と磁気特性,テープ特性,電磁変換特性および表面粗度を表1〜2に示した。
【0081】
〔比較例2〕
硝酸ランタン水溶液に懸濁させる工程を省くことにより,Laの被着を行わなかった以外は実施例1を繰り返した。得られた金属磁性粉末の分析値,粉体特性と磁気特性,テープ特性,電磁変換特性および表面粗度を表1〜2に示した。
【0082】
〔比較例3〕
Feに対して50at.%のCoを含む平均長軸長0.13ミクロン,軸比5,短軸断面比1.2のα−FeOOHを準備して使用したこと,硝酸ランタン水溶液に懸濁させる工程を省くことによりLaの被着を行わなかったこと,1%O2を含むN2ガスに代えて0.03%O2を含むN2ガスを用いて1時間の徐酸化処理を行ったこと,および徐酸化後の水洗工程を省略したこと以外は,実施例1を繰り返した。得られた金属磁性粉末の分析値,粉体特性と磁気特性,テープ特性,電磁変換特性および表面粗度を表1〜2に示した。
【0083】
〔比較例4〕
Feに対して10at.%のCoを含む平均長軸長0.13ミクロン,軸比4の紡錘状のα−FeOOHを準備して使用した以外は,実施例1を繰り返した。この紡錘状のα−FeOOHは短軸断面の比が1(円形)であり,その作製は,NaCO3 を25mol 含む水溶液20リットルとNaOHを15mol 含む水溶液10リットルを混合した溶液に,47℃でFe2+を20mol 含む硫酸第一鉄水溶液を20リットル添加後,引き続きCo換算で10mol%量のCoSO4 水溶液を添加して熟成後,得られた懸濁液に対して47℃で毎分90リットルの空気を300分間通気して得たものである。
【0084】
【表1】
Figure 0004182232
【0085】
【表2】
Figure 0004182232
【0086】
表1〜2の結果から明らかなように,本発明に従う平針状の微粒子からなる強磁性粉末は,良好な針状形状を維持し高い飽和磁化と保磁力を有していることから,比較例のものに比べて,高密度記録に適した諸特性を具備した磁気記録媒体の磁性層を構成できることがわかる。
【0087】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明により,微粒子でかつ平針状形状を維持した高い飽和磁化,高い保磁力を有する強磁性粉末が提供され,この強磁性粉末によれば高密度記録用に好適な塗布型磁気記録媒体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の平針状粒子の形状を説明するための概念図である。
【図2】本発明の平針状粒子の短軸断面の他の形状例を示す図である。
【図3】本発明の平針状粒子の短軸断面の他の形状例を示す図である。
【図4】本発明の平針状粒子の短軸断面の他の形状例を示す図である。
【図5】本発明の平針状粒子の短軸断面の他の形状例を示す図である。
【図6】本発明の平針状強磁性粉末の電子顕微鏡写真である。
【図7】図6と同じ平針状強磁性粉末の同一試料部分を試料台を30o傾斜させた撮影した電子顕微鏡写真である。
【図8】本発明の平針状強磁性粉末に影を付けて撮影した電子顕微鏡写真である。
【図9】図8の投影角度と影の長さの関係を説明するための図である。
【符号の説明】
1 平針状粒子
2 短軸断面

Claims (4)

  1. Co:5超え〜50at.%、
    Al:0.1〜30at.%、
    希土類元素(Yを含む):0.1〜10at.%、
    周期律表第1a族元素:0.05重量%以下、
    周期律表第2a族元素:0.1重量%以下(0重量%を含む)
    を含有した鉄を主体とする強磁性粉末であって、
    平均長軸長:0.01〜0.40μm、
    X線結晶粒径(Dx):50〜250オングストローム、
    真密度:5.55g/cm3以上
    であり、且つ長軸と直角方向に切断した短軸断面が長い方の幅と短い方の幅をもち、この長幅と短幅の短軸断面比が長軸方向にほぼ一様に . 5以上である平針状粒子からなり、飽和磁化率(σs)とX線結晶粒径(Dx)の比(σs/Dx)が0.7以上であり、平針状のオキシ水酸化鉄を出発材料に用いて製造された塗布型磁気記録媒体用の強磁性粉末。
  2. 100℃で放出するH2Oの量が2重量%以下、300℃で放出するH2Oの量が4重量%以下である請求項1に記載の強磁性粉末。
  3. 飽和磁化率(σs)が100〜200emu/g、保磁力が1200〜3000(Oe)である請求項1または2に記載の強磁性粉末。
  4. 60℃、相対湿度90%の雰囲気下で1週間放置後飽和磁化率(σs)の低下率が15%以下である請求項1、2または3に記載の強磁性粉末。
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