JP4139873B2 - 塗布型磁気記録媒体の下層用粉末 - Google Patents

塗布型磁気記録媒体の下層用粉末 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,重層構造の塗布型磁気記録媒体に用いられる下層用粉末に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
結合剤樹脂(バインダー)に磁性粉を分散含有させた塗膜を支持体上に塗布することによって支持体上に磁性層を形成するいわゆる塗布型磁気記録媒体において,低ノイズで高出力特性を得るために該磁性層の厚みをより薄くすることが望まれ,このために,該磁性層と支持体の間に,非磁性粉末を結合剤樹脂中に分散含有させた非磁性層の塗膜(本明細書では下層と呼ぶ)を形成する重層構造の塗布型磁気記録媒体が提案されている。
【0003】
従来,この下層を形成するための非磁性粉末としては,球状酸化チタン粉末または針状酸化鉄粉末が主に使用されている。また,このような下層をもつ磁気記録媒体については,例えば特開昭63−187418号公報,特開平4−167225号公報,特開平6−60362号公報,特開平6−131653号公報に記載されたようなものがある。また,特開平4−167225号公報,特開平6−139553号公報,特開平6−215360号公報,特開平7−78331号公報,特開平7−105530号公報,特開平7−182649号公報,特開平7−282443号公報,特開平7−326037号公報,特開平7−334835号公報等には,かような重層構造の磁気記録媒体において,下層を形成する非磁性粉として針状のヘマタイト等を用いた場合の特性値が示されており,針状の非磁性粉としては,開示された実施例の他にもオキシ水酸化鉄等も使用可能であるとの教示もなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし,重層構造の磁気記録媒体において,オキシ水酸化鉄を下層用粉体として使用した実績はなく,前記の公報にもオキシ水酸化鉄(FeOOH)を下層用粉末とした場合の具体例は示されていない。したがって,どのようなオキシ水酸化鉄であれば,磁気記録媒体用の下層用粉末として意図する機能が発揮されるかは未知の部分が多い。一方,オキシ水酸化鉄は一般にFe(OH)2の懸濁液を酸化する方法で製造されるが,良く知られているように,この酸化の条件がわずかに変動しても生成相が異なり,性状や形態の異なるものとなる。したがって,公知のオキシ水酸化鉄のあらゆるものが前記の下層粉に適した性質を具備すると言う訳のものでもない。
【0005】
本発明は,オキシ水酸化鉄粉を下層用粉体に適用する場合に,その粉体の化学的・物理的性質や形状特性がどのように磁気記録媒体の表面平滑性,強度,磁気特性更には耐候性等に影響を与えるかを明らかにし,重層構造磁気記録媒体の特性向上に寄与することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば,平均長軸長0.01〜0.5μmの針状粒子からなり且つ100℃で放出するH2Oの量が2重量%以下のオキシ水酸化鉄粉からなる塗布型磁気記録媒体用の下層用粉末を提供する。さらに,本発明によれば,枝分かれ方向が二次元方向に偏りをもつ平均長軸長0.01〜0.5μmの針状粒子からなり且つ100℃で放出するH2Oの量が2重量%以下のオキシ水酸化鉄粉からなる塗布型磁気記録媒体用の下層用粉末を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
支持体と磁性層との間に,非磁性粉末を分散させた非磁性層(下層)を設ける本来の目的は,磁性層の厚みを薄くして短い記録波長領域での出力を確保し,また優れた電磁変換特性例えば消去特性やオーバーライト特性を改良することにある。このためには磁性層自身にもそれなりの特性が要求されるが,下層の非磁性層側の役割としては,表面凹凸の少ない滑らかな薄い磁性層をその上に塗布できること,すなわち,非磁性層自体が表面平滑性に優れること,磁気記録媒体の強度に寄与すること,そして上層の磁性層の磁気特性を充分に引出し得ることが主として挙げられる。
【0008】
下層用粉末として使用されたことのある球状酸化チタンでは,テープ化した場合に強度が針状のものに比べて充分ではなくかつ微粒子化も困難である。また針状の酸化鉄(ヘマタイト)については,その製法上,粒子間焼結を免れることができないので,表面平滑性が十分得られないという問題が付随する。
【0009】
オキシ水酸化鉄を結合剤樹脂に分散させた塗膜を形成する場合,表面平滑性や強度等は,使用する結合剤樹脂にもよるが,オキシ水酸化鉄の物理・化学的性質や寸法・形状に大きく影響を受ける。前記の下層の役割,すなわち表面平滑性,強度および磁性層の特性改善を果たすことができる下層用オキシ水酸化鉄粉としては,平均長軸長0.01〜0.5μmの針状粒子からなり且つ100℃で放出するH2Oの量が2重量%以下のオキシ水酸化鉄粉であるのがよい。
【0010】
さらに,下層が有すべき前記の役割は,枝分かれ方向が二次元方向に偏りをもつ平均長軸長0.01〜0.5μmの針状粒子からなり且つ100℃で放出するH2Oの量が2重量%以下のオキシ水酸化鉄粉によって,より有利に果たすことができる。
【0011】
前記の役割は,平均長軸長0.01〜0.5μmの針状粒子からなり,0.1〜30重量%のAlを含有し且つ100℃で放出するH2Oの量が2重量%以下のオキシ水酸化鉄粉によっても,より有利に果たすことができる。
【0012】
前記の役割は,平均長軸長0.01〜0.5μmの針状粒子からなり,0.1〜30重量%のSiを含有し且つ100℃で放出するH2Oの量が2重量%以下のオキシ水酸化鉄粉によっても,より有利に果たすことができる。
【0013】
前記の役割は,平均長軸長0.01〜0.5μmの針状粒子からなり,AlとSiを合計で0.1〜30重量%含有し且つ100℃で放出するH2Oの量が2重量%以下のオキシ水酸化鉄粉によっても,より有利に果たすことができる。
【0014】
前記の役割は,平均長軸長0.01〜0.5μmの針状粒子からなり,タップ密度が0.4以上で且つ100℃で放出するH2Oの量が2重量%以下のオキシ水酸化鉄粉によっても,より有利に果たすことがてきる。
【0015】
さらに前記の役割は,平均長軸長0.01〜0.5μmの針状粒子からなり,0.1〜30重量%のAlを含有し且つ大気中での分解温度が210℃以上,好ましくは215℃以上で100℃で放出するH2Oの量が2重量%以下のオキシ水酸化鉄粉によっても,より有利に果たすことができる。
本発明に従うオキシ水酸化鉄粉は,前記に加えて,さらに次の特性を有するものが好ましい。
【0016】
〔比表面積〕 BET法による測定値で10〜300m2/gの範囲であればよく,望ましくは40m2/g以上,さらに好ましくは40〜150m2/gである。
〔タップ密度〕 0.3〜0.8g/cm3 ,好ましくは0.40g/cm3 以上のものがよい。
〔圧縮密度〕 0.5〜3.0g/cm3, 好ましくは1.0〜2.0g/cm3 である。
〔真比重〕 3.0〜6.0g/cm3 が望ましく,より好ましくは3.5〜4.3g/cm3 である。
このように真比重に対する圧縮密度とタップ密度が高いと,テープ化工程中でカレンダーをかけたときに塗膜中で粉が圧密し易くなり,このことがテープ表面平滑性の向上に有利に作用する。
〔結晶粒径〕(結晶子) 10〜200オングストローム,好ましくは50〜150オングストロームである。
【0017】
粒子サイズは,要するところ,平均長軸長0.01〜0.5μm,平均短軸長0.01〜0.05μm,平均軸比1〜30が望ましく,比表面積は10〜300m2/gが望ましく,結晶粒径は10〜200Aが望ましいが,このような微粒子では,特に最も短い軸の長さ(最短軸長)がテープ表面平滑性に作用し,最短軸長が短いことにより表面平滑性が向上する。最短軸長は結晶粒径と比表面積に反映されている。
【0018】
また,粉末の表面処理状態およびpHも塗料化に際しての分散性に影響するので,表面平滑性に影響を与える。これらの好ましい範囲は次のとおりであり,この範囲に調整することが望ましい。
〔ステリアン酸吸着量〕 0.1〜3.0mg/m2
〔樹脂吸着量〕 0.5〜4.0mg/m2
〔pH〕 粉体 pHは6〜11,好ましくは8〜10,更に好ましくは8.0〜9.5である。この pH調整によって塗料化時の分散性が良好となり,表面平滑性の向上に有効に作用する。
【0019】
本発明に従う下層用粉末は,通常のオキシ水酸化鉄粉末の製法によって得られる。例えば第一鉄塩水溶液に当量以上の水酸化アルカリ水溶液を加えて得られる水酸化第一鉄コロイドを含む懸濁液をpH11以上にて80℃以下の温度で酸素含有ガスを通気して酸化反応を行い,乾燥後調湿することによって生成させる方法,または第一鉄塩水溶液と炭酸アルカリ水溶液とを反応させて得られる懸濁液に酸素含有ガスを通気して酸化反応を行い,乾燥後調湿することによって生成させる方法等が挙げられる。このような方法によっ得られるオキシ水酸化鉄粉は,針状酸化鉄(ヘマタイト)粉を製造する場合に比べると,高温度での処理工程がないので粒子間焼結の問題は起きない。
【0020】
図1は,長軸長=0.30μm,Al=2.8重量%,比表面積(BET)=65m2/gの本発明に従うオキシ水酸化鉄粉のTEM(透過型電子顕微鏡)写真である。図1に見られるように,各粒子は枝分かれを有しているが,その枝分かれ方向は紙面と平行な方向に偏っている。このことは3個以上の枝分かれをもつものでも,その枝分かれ角度がほぼ一定の角度に見えることから伺い知れる。紙面と垂直な方向の成分が多いならば枝分かれ角度はよりシャープに見える筈だからである。このように各粒子について,複数の枝分かれをもっても,各粒子の枝分かれ方向が或る一面の二次元方向に偏っていることは,この粒子からなる粉体を下層用粉末としたとき,表面平滑性に寄与することになる。塗布したときに,支持体面と垂直方向の枝分かれ成分が少ないからである。そして,枝分かれを有することは互いに絡み合うからテープ強度向上にも寄与する。
【0021】
特に長軸長が0.5μm以下の場合に,これを樹脂バイダーに分散させて支持体に塗布すると極めて良好な表面平滑性を示す。図1にも見られるように,このような微細なオキシ水酸化鉄の針状粒子は短軸長が非常に細くて針状比が高いという特徴があり,このために塗布時にテープ長手方向に良好に配向され(枝分かれ方向もこの方向に配向され),表面平滑性に加えてテープ強度も向上する。
【0022】
さらに,オキシ水酸化鉄に適量のAlを含有させると耐熱性および保存安定性を増すことができる。Alの含有量が0.1〜30重量%であれば,テープ化の際の乾燥工程における昇温時にもオキシ水酸化鉄粉体が変質せず安定で存在できる。Alの含有量が0.1重量%未満ではAlの含有による効果は不充分である。Alの含有量が30重量%より多いと粉体の比表面積が大きくなって分散性が悪くなる。ここで,Alの含有量とは,Alが化合物として含有されている場合にはその化合物の量ではなく,Al元素の含有量を言う。またAlの含有は,オキシ水酸化鉄中に固溶していてもよいし,オキシ水酸化鉄の表面に被着していてもよい。
【0023】
オキシ水酸化鉄にAlを含有させるのには,Al2(SO4)3, Al(NO3)3, AlCl3 などの水可溶塩,更にはNaAlO2(アルミン酸ナトリウム)などの水可溶性アルミン酸などの化合物を使用することができる。これらのAl化合物を用いてAlをオキシ水酸化鉄粒子の表面に“被着”させるには, 例えばこれらのAl化合物をアルカリ水溶液中に溶解させ,この溶液中に該オキシ水酸化鉄を分散させた後,炭酸ガスを吹き込むか酸を添加し中和させることによって行うことができ,結晶質ないし非晶質なAl23・nH2O(含水酸化アルミニウム)としてAlは粒子表面に被着される。一方,Alをオキシ水酸化鉄粒子に“固溶”させるには,FeSO4 やFeCl2 等の第一鉄塩の水溶液をNaOH,Na2CO3,NH4OH等の中和剤で中和した後に空気等により酸化してα−FeOOH,γ−FeOOH等を生成させる反応系に, 上記の水可溶性のAl塩やアルミン酸塩を添加すればよい。
【0024】
また,本発明に従う粉末はSi化合物等の他元素を用いてその粒子表面性をコントロールしてもよい。Siを含有させる場合には,0.1〜30重量%の範囲とする。AlとSiを含有させる場合には,両者の合計量で0.1〜30重量%の範囲とするのがよい。ここで,Siの含有量とは,Siが化合物として含まれている場合でも,Si化合物の量ではなく,Si元素の含有量を言う。
【0025】
オキシ水酸化鉄を大気中で加熱したさいの分解温度はオキシ水酸化鉄中のAl含有量によって変化することがわかった。図2にオキシ水酸化鉄中のAl含有量(重量%)を変えた場合の分解開始温度と分解終了温度を示した。これらの分解温度はJIS K 7120に準じて示差熱分析計で測定したものである。図2中に示した星印を結ぶ曲線は各測定値のプロットから演繹されたものである。この曲線に見られるように,オキシ水酸化鉄の分解開始温度と分解開始温度はいずれもAl含有量の増加とともに高くなることがわかる。各曲線の代表値を挙げると下記のとおりである。
【0026】
Figure 0004139873
【0027】
オキシ水酸化鉄に含まれる水分は下層の特性に影響を与える。100℃に保持したときに放出する水分量が2重量%以下であることが必要で,好ましくは100℃で放出される水分量が1.5重量%以下である。100℃で放出される水分量が2重量%より多い場合には,結合剤樹脂への分散が不十分となり,塗布してもテープ化が困難となる。この水分量はカールフイッシャー法による水分測定の原理を用いて計測できる。その一例を下記に示した。
【0028】
Figure 0004139873
【0029】
重層構造の磁気記録媒体において,本発明に従うオキシ水酸化鉄粉を用いた下層を形成する場合,上層の磁性層としては,次の成分組成をもつ針状のメタル粉を用いて構成するのがよい。
【0030】
〔上層メタル粉の成分組成〕
Co:5〜50at.%
Al:0.1〜30at.%
希土類元素(Yを含む):0.1〜10at.%,
周期律表第1a族元素:0.05重量%以下,
周期律表第2a族元素:0.1重量%以下(0重量%を含む),
をFe中に含有し,100℃で放出するH2Oの量が2重量%以下または300℃で放出するH2Oの量が4.0重量%以下である針状の強磁性金属粉。
【0031】
ここで,周期律表第1a族元素の例としては,Li,Na,K等が挙げられ,これらが複合して含有する場合にもその総量を0.05重量%以下とする。周期律表第2a族元素の例としては,Mg,Ca,Sr,Ba等が挙げられ,これらが複合して含有する場合にもその総量を0.1重量%以下とする。また希土類元素としては,Y,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Tb,Dy,Gd等が挙げられ,これらが複合して含有する場合にもその総量を0.1〜10at.%とする。これらの元素が化合物として含有されている場合にも,化合物の量ではなく化合物中の当該元素の含有量を言う。
【0032】
このメタル粉が具備すべき好ましい形状と物性は次のとおりである。
〔長軸長〕:0.01〜0.4μm
〔比表面積〕:BET法で30〜70m2/g
〔結晶粒径〕:50〜250オングストローム
〔保磁力Hc〕:1200〜3000(Oe)
〔飽和磁束密度σS 〕:100〜200(emu/g)
【0033】
このメタル粉を製造するにはCoを含むオキシ水酸化鉄または酸化鉄に所定量のAlを含有させ,これを加熱還元する方法が好適である。この加熱還元に供するオキシ水酸化鉄ないし酸化鉄を主体として含む化合物粉末としてはα−FeOOH,γ−FeOOH,α−Fe23,γ−Fe23,Fe34及びこれらの中間型に相当するものの他,これらにNi,Cr,Mn,Zn等の金属成分を含有したものが好適なものとして挙げられ,針状性の良いものが好ましい。
そのさい,Alを含有させるのに使用できるAl化合物としては,Al2(SO43,Al(NO33,AlCl3等の水可溶塩,さらにはNaAlO2などの水可溶性アルミン酸などが挙げられる。これらのAl化合物を被還元物の粒子表面に被着させるには,通常これらのAl化合物をアルカリ水溶液中に溶解させ,この溶液中に被還元物粉末を分散させた後,炭酸ガスを吹き込むか酸を添加して中和することによって行われ,結晶質ないし非晶質なAl23・nH2O(含水酸化アルミニウム)として粒子表面に被着される。またAlを該被還元物の粒子に固溶させる方法でも良い。
【0034】
Coを含むα−FeOOH,γ−FeOOHにAlを固溶させるには,FeSO4,FeCl2等の第1鉄塩を主成分とした水溶液をNaOH,Na2CO3,NH4OH等の中和剤で中和した後に空気等により酸化してα−FeOOH,γ−FeOOH等を生成させる反応系に上記の水可溶性のAl塩やアルミン酸塩を添加すればよい。さらにCoを含むα−Fe23にAlを固溶させるにはFe2(SO43,FeCl3等の第2鉄塩の水溶液とNaOH,KOH等の中和剤を使用し,水熱合成法によりα−Fe23を合成する反応系に上記の水可溶性のAl塩やアルミン酸塩を添加すればよい。
【0035】
このようにして得られたCoを含むAl含有オキシ水酸化鉄ないし酸化鉄を加熱してAlをAl23として固定し,このものを,Y(希土類元素を含む)を含有させる工程の原料として使用するのが良い。このときオキシ水酸化鉄は脱水反応により酸化鉄に変成されている。Yを含有する液中に原料粒子を分散させてアルカリを添加して水酸化物の形で析出させる方法,Y元素化合物含有液中に原料粒子を分散させ水分を蒸発させる方法等がある。
【0036】
上記の各種方法にて所定量のCoとAlとY(希土類元素を含む)を含有させた酸化鉄の粉末は,還元性雰囲気中で加熱することにより還元され鉄を主成分とするCoとAlとY(希土類元素を含む)を含有する金属磁性粉となる。
【0037】
金属磁性粉のY(希土類元素を含む)の含有量は0.1〜10原子%,好ましくは0.2〜5原子%が良い。0.1原子%未満ではY(希土類元素)の効果が小さくて焼結しやすくなり,10原子%を超えるとY(希土類元素)の酸化物の量が多くなって飽和磁化が小さくなり,上層用の金属磁性粉として不適当なものとなる。
【0038】
金属磁性粉のAlの含有量は0.1〜30原子%,好ましくは1〜20原子%であるのが良い。0.1原子%未満では,焼結しやすくなり,30原子%を超えると飽和磁化が小さくなってしまう。
【0039】
上記金属磁性粉において,周期律表第1a族元素を0.05重量%以下及び第2a族元素を0.1重量%以下とするには,原料として周期律表第1a族及び第2a族元素を含まないもの或いは出来るだけ含有量の低いものを使用することに加え,オキシ水酸化鉄,酸化鉄,金属磁性粉の各化合物の段階で十分な洗浄を行って除去することが好ましい。洗浄する場合,工程が進むにつれて上記元素は粒子表面に偏析してくるようになるので洗浄効率は良くなる。また洗浄水に温水や酸を加えpHを下げた洗浄水を用いれば更に効率よく除去することができる。
【0040】
第1a族元素が0.05重量%を超えるとテープ化のときに樹脂との相溶性が悪くなって分散できなかったり,磁気塗料化しても塗膜強度の低いものとなる。またこの元素が可溶性であるために,テープを或る時間保持したときにテープ表面に析出して結晶性の化合物となり,この化合物がドロップアウトの増大等の原因となりテープ保存安定性を低下させる。また第2a族元素が0.1重量%を超えると樹脂との相溶性が悪くなると共に塗膜強度も低くなり,極端に多くなると第1a族元素と同様にテープ保存安定性も悪くなる。
【0041】
金属磁性粉が保有する水分は,100℃で検出(放出)される量が2.0重量%以下,好ましくは1.5重量%以下で,300℃で検出(放出)される量が4.0重量%,好ましくは3.0重量%以下であるのが良い。金属磁性粉が保有する水分量により塗料の粘度が変化し,バイダー吸着量も変化するが,100℃で検出される水分量が2.0重量%を超えると,または300℃で検出される水分量が4.0重量%を超えると,下層の上に重層塗布するさいに,分散不十分となってテープ化が困難となる。
【0042】
金属磁性粉の粒子サイズは0.01〜0.4μmが適当で,好ましくは0.4〜0.2μmが良い。0.01μm未満では磁性粉が超常磁性となり電磁変換特性が著しく低下し,0.4μmを超えると磁性粉が多磁区となり電磁変換特性が低下する。
【0043】
金属磁性粉の比表面積(BET)は30〜70m2/gが適当で,好ましくは40〜60m2/gが良い。30m2/g未満ではテープ化時の樹脂との相溶性が悪くなって電磁変換特性が低下する。70m2/gを超えるとテープ化時に分散不良を起こしてやはり電磁変換特性が低下する。
【0044】
金属磁性粉の結晶子は50〜250オングストロームが適当で,好ましくは100〜200オングストロームであるのが良い。50オングストロム未満では磁性粉が超常磁性となり電磁変換特性が著しく低下する。250オングストロームを超えるとノイズが増大して電磁変換特性が低下する。
【0045】
金属磁性粉の磁気特性は保磁力Hcは高いほど高密度記録に適するが,ヘッドの性能に合わせて1200〜3000(Oe)にコントロールされ,好ましくは1600〜2600(Oe)である。飽和磁束密度σS は高いほど高出力となるが,耐酸化性やノイズ等との兼ね合いから120〜180emu/g程度が好ましい。
【0046】
重層構造の磁気記録媒体を形成するために,下層および上層を塗布する支持体としては,ポリエチレンテレフタラート,ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類,ポリオレフィン類,セルローストリアセテート,ポリカーボネイト,ポリアミド,ポリイミド,ポリアミドイミド,ポリスルフォン・アラミド,芳香族ポリアミド,等の公知のフィルムが使用できる。
【0047】
【実施例】
(1) 表1に示したように,本発明に従う下層用粉末の実施例〔下層例1〜20〕および下層比較例1〜8と,
(2) 表2〜3に示したように,本発明に従う下層用粉末を用いた下層に金属磁性粉を用いた上層を塗布して構成した磁気記録媒体の実施例〔媒体例1〜15〕および媒体比較例1〜13について,以下に説明する。
【0048】
先ず,各実施例に示した特性値の測定について説明する。
【0049】
平均長軸長(表中にIで示す),平均短軸長(同dで示す)および軸比(同I/dで示す)は,108000倍(下層用粉末の場合)または174000倍(上層の金属磁性粉の場合)の電子顕微鏡写真から測定した100個の粒子の平均値で示した。結晶粒径すなわち結晶子(同Dx)は,X線回析装置を用いて得られたプロファイルから(110)面に相当するピークの半価幅を求め,これをシェラーの式に代入して算出した。
【0050】
比表面積(同BET)はBET法で測定した。ステアリン酸吸着量(同STAまたはSt.吸着量) は,試料粉末をステアリン酸2%のMEK溶液に分散させた後,遠心分離機により試料粉末を沈ませ,上澄み液の濃度を求めることにより比表面積当りの吸着量として算出した。樹脂吸着量(同樹脂)はポリウレタン樹脂の2%MIBK溶液を使用し,ステアリン酸吸着量と同様の方法で算出した。
【0051】
粉体pHはJIS K5101により測定した。真比重は溶媒としてトルエンを使用し液浸法で測定した。圧縮密度(同CD)は試料を80kgf/cm2で圧縮したときの密度である。タップ密度(同TAP)はJIS K5101により測定した。
【0052】
粉体の水分量は,カールフイッシャー法により100℃(または300℃)での重量変化から求めた。また,分解温度も示差熱データから分解開始温度と終了温度を求めた。水分量による粘性の変化は,塗料に分散させたときの該塗料の粘度をE型粘度計により求めた。
【0053】
表面平滑性は,株式会社小坂研究所製の3次元微細形状測定機(ET−30HK)を用いて,テープの下地層表面のRa(粗度)を測定することにより評価した。
【0054】
なお,各表において,
Hc:保磁力(Oe),
σs:金属磁性粉の飽和磁束密度(emu/g),
σr:金属磁性粉の残留磁束密度(emu/g),
Br:テープの残留磁束密度(ガウス),
Bm:テープの飽和磁束密度(ガウス),
σr/σsおよびBr/Bm:角形比
ΔσsおよびΔBm:60℃で90RH(相対湿度)の雰囲気下で1週間放置後のσsおよびBmの低下率(%),
耐候試験後の析出物の有無:60℃で90RHの雰囲気下で1週間放置後のテープ表面を顕微鏡観察したときの析出物の有無,
を示している。
電磁変換特性の測定はHi8デッキを用いて行った。
【0055】
(1) 下層用粉末の実施例〔下層例1〜20〕および下層比較例1〜8
【0056】
〔下層例1〕
以下の組成からなる塗料を用意する。
オキシ水酸化鉄 100重量部
(本例では長軸長=0.15μm,100℃の水分量=1重量%)
ポリウレタン樹脂 20重量部
メチルエチルケトン 165重量部
シクロヘキサノン 65重量部
トルエン 165重量部
ステアリン酸 1重量部
アセチルアセトン 1重量部
遠心ボールミルで1時間分散させて得た上記組成の塗料を,ポリエチレンテレフタラートからなるベースフィルム上に,アプリケーターを用いて,目標厚みが約3μmとなるように塗布して非磁性の下層を形成した。用いたオキシ水酸化鉄粉末の諸特性値と得られた下層の性質を表1に示した(以下の例および比較例についても同じく表1に併記した)。
【0057】
〔下層例2〕
前記実施例1の塗料を構成する長軸長=0.15μmのオキシ水酸化鉄を,長軸長=0.15μm,Al=0.2重量%被着のオキシ水酸化鉄に変え,他の条件は下層例1と同一にして下層とした。
【0058】
〔下層例3〕
前記下層例1の塗料を構成する長軸長=0.15μmのオキシ水酸化鉄を,長軸長=0.15μm,Al=1.0重量%被着のオキシ水酸化鉄に変え,他の条件は下層例1と同一にして下層とした。
【0059】
〔下層例4〕
前記下層例1の塗料を構成する長軸長=0.15μmのオキシ水酸化鉄を,長軸長=0.15μm,Al=2.5重量%被着のオキシ水酸化鉄に変え,他の条件は下層例1と同一にして下層とした。
【0060】
〔下層例5〕
前記下層例1の塗料を構成する長軸長=0.15μmのオキシ水酸化鉄を,長軸長=0.15μm,Al=5.0重量%被着のオキシ水酸化鉄に変え,他の条件は下層例1と同一にして下層とした。
【0061】
〔下層例6〕
前記下層例1の塗料を構成する長軸長=0.15μmのオキシ水酸化鉄を,長軸長=0.15μm,Al=30.0重量%被着のオキシ水酸化鉄に変え,他の条件は下層例1と同一にして下層とした。
【0062】
〔下層例7〕
前記下層例1の塗料を構成する長軸長=0.15μmのオキシ水酸化鉄を,長軸長=0.15μm,Al=1.0重量%固溶のオキシ水酸化鉄に変え,他の条件は下層例1と同一にして下層とした。
【0063】
〔下層例8〕
前記下層例1の塗料を構成する長軸長=0.15μmのオキシ水酸化鉄を,長軸長=0.15μm,Al=2.5重量%固溶のオキシ水酸化鉄に変え,他の条件は下層例1と同一にして下層とした。
【0064】
〔下層例9〕
前記下層例1の塗料を構成する長軸長=0.15μmのオキシ水酸化鉄を,長軸長=0.15μm,Al=5.0重量%固溶のオキシ水酸化鉄に変え,他の条件は下層例1と同一にして下層とした。
【0065】
〔下層例10〕
前記下層例1の塗料を構成する長軸長=0.15μmのオキシ水酸化鉄を,長軸長=0.15μm,Al=10.0重量%固溶のオキシ水酸化鉄に変え,他の条件は下層例1と同一にして下層とした。
【0066】
〔下層例11〕
前記下層例1の塗料を構成する長軸長=0.15μmのオキシ水酸化鉄を,長軸長=0.15μm,Al=20.0重量%固溶のオキシ水酸化鉄に変え,他の条件は下層例1と同一にして下層とした。
【0067】
〔下層例12〕
前記下層例1の塗料を構成する長軸長=0.15μmのオキシ水酸化鉄を,長軸長=0.10μmのオキシ水酸化鉄に変え,他の条件は下層例1と同一にして下層とした。
【0068】
〔下層例13〕
前記下層例1の塗料を構成する長軸長=0.15μmのオキシ水酸化鉄を,長軸長=0.30μmのオキシ水酸化鉄に変え,他の条件は下層例1と同一にして下層とした。
【0069】
〔下層例14〕
前記下層例1の塗料を構成する長軸長=0.15μmのオキシ水酸化鉄を,長軸長=0.05μm,Al=5.0重量%被着のオキシ水酸化鉄に変え,他の条件は下層例1と同一にして下層とした。
【0070】
〔下層例15〕
前記下層例1の塗料を構成する長軸長=0.15μmのオキシ水酸化鉄を,長軸長=0.10μm,Al=5.0重量%被着のオキシ水酸化鉄に変え,他の条件は下層例1と同一にして下層とした。
【0071】
〔下層例16〕
前記下層例1の塗料を構成する長軸長=0.15μmのオキシ水酸化鉄を,長軸長=0.30μm,Al=5.0重量%被着のオキシ水酸化鉄に変え,他の条件は下層例1と同一にして下層とした。
【0072】
〔下層例17〕
前記下層例1の塗料を構成する長軸長=0.15μmのオキシ水酸化鉄を,長軸長=0.05μm,Al=5.0重量%固溶のオキシ水酸化鉄に変え,他の条件は下層例1と同一にして下層とした。
【0073】
〔下層例18〕
前記下層例1の塗料を構成する長軸長=0.15μmのオキシ水酸化鉄を,長軸長=0.10μm,Al=5.0重量%固溶のオキシ水酸化鉄に変え,他の条件は下層例1と同一にして下層とした。
【0074】
〔下層例19〕
前記下層例1の塗料を構成する長軸長=0.15μmのオキシ水酸化鉄を,長軸長=0.30μm,Al=5.0重量%固溶のオキシ水酸化鉄に変え,水分量を(A)0.5重量%,(B)1.0重量%および(C)2.0%と3水準で変化させたものを下層とした。
【0075】
〔下層例20〕
前記下層例1の塗料を構成する長軸長=0.15μmのオキシ水酸化鉄を,長軸長=0.50μm,Al=5.0重量%固溶のオキシ水酸化鉄に変え,他の条件は下層例1と同一にして下層とした。
【0076】
〔下層比較例1〕
前記下層例1の塗料を構成する長軸長=0.15μmのオキシ水酸化鉄を,長軸長=0.15μmのα−Fe23に変え,他の条件は下層例1と実質的に同一として下層とした。
【0077】
〔下層比較例2〕
前記下層例1の塗料を構成する長軸長=0.15μmのオキシ水酸化鉄を,平均径=0.035μmの酸化チタンに変え,他の条件は下層例1と実質的に同一にして下層とした。
【0078】
〔下層比較例3〕
前記下層例1の塗料を構成する長軸長=0.15μmのオキシ水酸化鉄を,長軸長=0.15μm,Al=35.0重量%被着のオキシ水酸化鉄に変え,他の条件は下層例1と同一にして下層とした。
【0079】
〔下層比較例4〕
前記下層例1の塗料を構成する長軸長=0.15μmのオキシ水酸化鉄を,長軸長=0.15μm,Al=35.0重量%固溶のオキシ水酸化鉄に変え,他の条件は下層例1と同一にして下層とした。
【0080】
〔下層比較例5〕
前記下層例1の塗料を構成する長軸長=0.15μmのオキシ水酸化鉄を,長軸長=0.005μmのオキシ水酸化鉄に変え,他の条件は下層例1と同一にして下層とした。
【0081】
〔下層比較例6〕
前記下層例1の塗料を構成する長軸長=0.15μmのオキシ水酸化鉄を,長軸長=0.60μmのオキシ水酸化鉄に変え,他の条件は下層例1と同一にして下層とした。
【0082】
〔下層比較例7〕
前記下層例1の塗料を構成する長軸長=0.15μmのオキシ水酸化鉄を,長軸長=0.60μm,Al=5.0重量%被着のオキシ水酸化鉄に変え,他の条件は下層例1と同一にして下層とした。
【0083】
〔下層比較例8〕
前記下層例1の塗料を構成する長軸長=0.15μmのオキシ水酸化鉄を,長軸長=0.60μm,Al=5.0重量%固溶のオキシ水酸化鉄に変え,他の条件は下層例1と同一にして下層とした。
【0084】
【表1】
Figure 0004139873
【0085】
表1の結果に見られるように,本発明に従うオキシ水酸化鉄粉末を用いた下地層は比較例のものに比べて粗度が小さく表面平滑性に優れた且つ十分な強度を有することがわかる。
【0086】
(2) 記録媒体の実施例〔媒体例1〜17〕および媒体比較例1〜13
【0087】
〔媒体例1〕
・以下の組成からなる下層塗料を用意する。
オキシ水酸化鉄 100重量部
(本例では長軸長=0.15μm,100℃の水分量=1.0重量%)
ポリウレタン樹脂 20重量部
メチルエチルケトン 165重量部
シクロヘキサノン 65重量部
トルエン 165重量部
ステアリン酸 1重量部
アセチルアセトン 1重量部
遠心ボールミルで1時間分散させて得た上記組成の塗料を,ポリエチレンテレフタレートからなるベースフィルム上にアプリケーターを用いて塗布して下層を形成した。用いたオキシ水酸化鉄粉末の諸特性値と得られた下層の性質を表2に示す(下記の例及び比較例も表2に併記する)。
【0088】
・以下の組成からなる上層塗料を用意する。
金属磁性粉 100重量部
(本例では,金属Fe中に,Co:30at.%,Al:10at.%,Y:4at.%,Na:0.002wt%,Ca:0.004wt%を含有する)
ポリウレタン樹脂 30重量部
メチルエチルケトン 190重量部
シクロヘキサノン 80重量部
トルエン 110重量部
ステアリンブチル 1重量部
アセチルアセトン 1重量部
α−アルミナ 3重量部
カーボンブラック 2重量部
遠心ボールミルで1時間分散させて得たこの組成の上層用塗料を,前記の下層の上にアプリケーターを用いて塗布してシート状試料を形成,これをさらにカレンダー処理を行った後8mm幅にスリットし磁気テープを得た。用いた金属磁性粉末の諸特性値と,得られた磁気テープの性質を表2〜表3に示した(下記の例及び比較例も表2〜表3に併記する)。
【0089】
〔媒体例2〕
媒体例1の下層を構成する長軸長0.15μmのオキシ水酸化鉄を,長軸長0.30μmのオキシ水酸化鉄に変え,他の条件は媒体例1と同一にして磁気テープを得た。
【0090】
〔媒体例3〕
媒体例1の上層を構成する金属磁性粉のCo量,Y量および長軸長を,Co:10at.%,Y:2at.%,長軸長:0.095μmの金属磁性粉に変え,他の条件は媒体例1と同一にして磁気テープを得た。
【0091】
〔媒体例4〕
媒体例1の下層を構成する長軸長0.15μmのオキシ水酸化鉄を,長軸長0.30μm,Al:5重量%被着のオキシ水酸化鉄に変え,他の条件は媒体例1と同一にして磁気テープを得た。
【0092】
〔媒体例5〕
媒体例1の下層を構成する長軸長0.15μmのオキシ水酸化鉄を,長軸長0.30μm,Al:5重量%固溶のオキシ水酸化鉄に変え,他の条件は媒体例1と同一にして磁気テープを得た。
【0093】
〔媒体例6〕
媒体例5の上層を構成する金属磁性粉のCo量,Al量,Y量および長軸長をCo:30at.%,Al:8at.%,Y:3at.%,長軸長:0.08μmのものに変え,他の条件は媒体例5と同一にして磁気テープを得た。
【0094】
〔媒体例7〕
媒体例1の下層を構成する長軸長0.15μmのオキシ水酸化鉄を,長軸長0.10μm,Al:5重量%固溶のオキシ水酸化鉄に変え,他の条件は媒体例1と同一にして磁気テープを得た。
【0095】
〔媒体例8〕
媒体例5の上層を構成する金属磁性粉のY量をLa:4at.%のものに変え,他の条件は媒体例5と同一にして磁気テープを得た。
【0096】
〔媒体例9〕
媒体例5の上層を構成する金属磁性粉のCo量,Al量,Y量および長軸長をCo:10at.%,Al:10at.%,Y:4at.%,長軸長:0.08μmのものに変え,他の条件は媒体例5と同一にして磁気テープを得た。
【0097】
〔媒体例10〕
媒体例5の上層を構成する金属磁性粉のCo量,Al量,Y量および長軸長をCo:20at.%,Al:10at.%,Y:4at.%,長軸長:0.08μmのものに変え,他の条件は媒体例5と同一にして磁気テープを得た。
【0098】
〔媒体例11〕
媒体例5の上層を構成する金属磁性粉のCo量,Al量,Y量および長軸長をCo:40at.%,Al:10at.%,Y:4at.%,長軸長:0.08μmのものに変え,他の条件は媒体例5と同一にして磁気テープを得た。
【0099】
〔媒体例12〕
媒体例5の上層を構成する金属磁性粉のCo量,Al量,Y量および長軸長をCo:50at.%,Al:10at.%,Y:4at.%,長軸長:0.08μmのものに変え,他の条件は媒体例5と同一にして磁気テープを得た。
【0100】
〔媒体例13〕
媒体例5の上層を構成する金属磁性粉のCo量,Al量,Y量,Na量,Ca量および長軸長をCo:30at.%,Al:10at.%,Y:4at.%,Na:0.006重量%,Ca:0.12重量%,長軸長:0.08μmのものに変え,他の条件は媒体例5と同一にして磁気テープを得た。
【0101】
〔媒体例14
媒体例1の下層を構成するオキシ水酸化鉄を,長軸長:0.30μm,Si:2.5重量%含有のものに変え,他の条件は媒体例1と同一にして磁気テープを得た。
【0102】
〔媒体例15〕
媒体例1の下層を構成するオキシ水酸化鉄を,長軸長:0.30μm,Al:5重量%固溶,Si:2.5重量%含有のものに変え,他の条件は媒体例1と同一にして磁気テープを得た。
【0103】
〔媒体比較例1〕
媒体例1の下層を構成するオキシ水酸化鉄を,長軸長が0.15μmのα−Fe23に変え,他の条件は媒体例1のものと実質的に同一にして磁気テープを得た。
【0104】
〔媒体比較例2〕
媒体例1の下層を構成するのオキシ水酸化鉄を,平均粒径が0.035μmの酸化チタンに変え,他の条件は媒体例1のものと実質的に同一にして磁気テープを得た。
【0105】
〔媒体比較例3〕
媒体例1の下層を構成するオキシ水酸化鉄を,長軸長:0.30μm,Al:35重量%固溶のものに変え,他の条件は媒体例1と同一にして磁気テープを得た。
【0106】
〔媒体比較例4〕
媒体例5の上層を構成する金属磁性粉のCo量,Al量,Y量および長軸長をCo:3at.%,Al:10at.%,Y:4at.%,長軸長0.08μmのものに変え,他の条件は媒体例5と同一にして磁気テープを得た。
【0107】
〔媒体比較例5〕
媒体例5の上層を構成する金属磁性粉のCo量,Al量,Y量および長軸長をCo:55at.%,Al:10at.%,Y:4at.%,長軸長0.08μmのものに変え,他の条件は媒体例5と同一にして磁気テープを得た。
【0108】
〔媒体比較例6〕
媒体例5の上層を構成する金属磁性粉のCo量,Al量,Y量および長軸長をCo:30at.%,Al:0at.%,Y:4at.%,長軸長0.08μmのものに変え,他の条件は媒体例5と同一にして磁気テープを得た。
【0109】
〔媒体比較例7〕
媒体例5の上層を構成する金属磁性粉のCo量,Al量,Y量および長軸長をCo:30at.%,Al:35at.%,Y:4at.%,長軸長0.08μmのものに変え,他の条件は媒体例5と同一にして磁気テープを得た。
【0110】
〔媒体比較例8〕
媒体例5の上層を構成する金属磁性粉のCo量,Al量,Y量および長軸長をCo:30at.%,Al:10at.%,Y:0at.%,長軸長0.08μmのものに変え,他の条件は媒体例5と同一にして磁気テープを得た。
【0111】
〔媒体比較例9〕
媒体例5の上層を構成する金属磁性粉のCo量,Al量,Y量および長軸長をCo:30at.%,Al:10at.%,Y:15at.%,長軸長0.08μmのものに変え,他の条件は媒体例5と同一にして磁気テープを得た。
【0112】
〔媒体比較例10〕
媒体例5の上層を構成する金属磁性粉のCo量,Al量,Y量,Na量,Ca量および長軸長をCo:30at.%,Al:10at.%,Y:4at.%,Na:0.16重量%,Ca:0.12重量%,長軸長:0.08μmのものに変え,他の条件は媒体例5と同一にして磁気テープを得た。
【0113】
〔媒体比較例11〕
媒体例1の下層を構成するオキシ水酸化鉄を,長軸長:0.30μm,Al:5重量%固溶,Si:35重量%含有のものに変え,他の条件は媒体例1と同一にして磁気テープを得た。
【0114】
〔媒体比較例12〕
媒体比較例11の上層を構成する金属磁性粉の水分量を,100℃で3.5重量%,300℃で5.5重量%のものに変え,他の条件は媒体比較例11と同一にして磁気テープを得た。
【0115】
〔媒体比較例13〕
媒体比較例11の下層を構成するオキシ水酸化鉄の水分量を,100℃で3.5重量%のものに変え,たの条件は媒体比較例11と同一にして磁気テープを得た。
【0116】
【表2】
Figure 0004139873
【0117】
【表3】
Figure 0004139873
【0118】
表2〜3より,本発明に従うオキシ水酸化鉄からなる下層用粉体を用いた重層構造の磁気記録媒体は,強度,表面粗度,磁気変換特性,耐候性がともに優れたものとなることがわかる。また,上層の金属磁性粉としては,可溶成分となる周期律表第1a族及び第2a族元素のNa,Caの多いものは分散しにくくかつ分散されてもテープ耐久性が低く60℃,90RHで1週間保存したものはテープの表面を観察すると結晶が析出し保存安定性の悪いものとなった。そして,金属磁性粉にCo,Y,Al量を共存させた場合には一層磁気特性が向上し,本発明に従う下層を用いるとこの磁気特性を有利に引き出せることがわかる。
【0119】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明の下層用粉末は,重層構造の塗布型磁気記録媒体の高品質化,具体的には表面平滑性,強度,磁気特性,耐候性等の向上に寄与するところが大きいので,電磁変換特性の良好な高密度磁気記録媒体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う針状オキシ水酸化鉄からなる下層用粉体の個々の粒子の形状(枝分かれ状態)を写した電子顕微鏡写真である。
【図2】オキシ水酸化鉄中のAl含有量とオキシ水酸化鉄の分解温度との関係を示す図である。

Claims (8)

  1. 乾燥後調湿されてなる、平均長軸長0.01〜0.5μmの針状粒子からなり、0.1〜30重量%のSiを含有し且つ100℃で放出するH2Oの量が2重量%以下のオキシ水酸化鉄粉からなる塗布型磁気記録媒体用の下層用粉末。
  2. 乾燥後調湿されてなる、平均長軸長0.01〜0.5μmの針状粒子からなり、AlとSiを合計で0.1〜30重量%含有し且つ100℃で放出するH2Oの量が2重量%以下のオキシ水酸化鉄粉からなる塗布型磁気記録媒体用の下層用粉末。
  3. 乾燥後調湿されてなる、平均長軸長0.01〜0.5μmの針状粒子からなり、0.1〜30重量%のAlを含有し且つ大気中での分解温度が210℃以上で100℃で放出するH2Oの量が2重量%以下のオキシ水酸化鉄粉からなる塗布型磁気記録媒体用の下層用粉末。
  4. 前記針状粒子は、枝分かれ方向が二次元方向に偏りをもつ針状粒子である、請求項1〜3のいずれかに記載の下層用粉末
  5. 前記オキシ水酸化鉄粉は、タップ密度が0 . 3〜0 . 8g/cm 3 のオキシ水酸化鉄粉である、請求項1〜4のいずれかに記載の下層用粉末
  6. 前記オキシ水酸化鉄粉は、比表面積がBET法による測定値で10〜300m 2 /gの範囲のオキシ水酸化鉄粉である、請求項1〜5のいずれかに記載の下層用粉末
  7. 前記オキシ水酸化鉄粉は、結晶粒径が10〜200オングストロームのオキシ水酸化鉄粉である、請求項1〜6のいずれかに記載の下層用粉末
  8. 前記オキシ水酸化鉄粉は、粉体pHが6〜11のオキシ水酸化鉄粉である、請求項1〜7のいずれかに記載の下層用粉末
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