JP3737309B2 - 複層構造の鉄化合物粒子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,内部と外部では互いに異なる鉄化合物からなる複層構造の微細な鉄化合物粒子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より,FeOOH,Fe2O3 ,Fe3O4などの鉄化合物粒子からなる粉体は,顔料,磁性材料,充填材料その他の各種用途に広汎に使用されており,また,各種材料を得るための先駆物質(precursor)としても重要な用途を有している。
【0003】
例えば, FeOOHの針状粒子からなる粉体は,磁性材料としての針状メタル粉 (鉄を主体とする針状粒子) を得るための先駆物質として使用されている。また,最近ではFeOOHそのものを樹脂に分散させた非磁性層をもつ重層構造の磁気記録媒体も提案されている。これは,磁性粉を樹脂に分散させた磁性層を支持体フイルムに塗布してなる通常の磁気記録媒体に対し,一層の高密度記録を実現するために,該磁性層と支持体フイルムとの間に,平滑な非磁性層を介在させることにより,磁性層の厚みを出来るだけ薄く且つ平滑にしようとするものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
例えば,前記の重層構造の磁気記録媒体の非磁性層を構成する非磁性粉末としてFeOOH粉体を用いる場合には,その良好な針状性ゆえに,非磁性層の表面を平滑にでき且つ強度向上にも有益であるが,反面,非磁性層に適度の導電性を付与するために導電性の粉体例えばカーボンブラックを追添することが必要となる。FeOOH自体は比抵抗が高く導電性に劣るからである。しかし,カーボンブラックは樹脂塗料への分散性が劣るので,カーボンブラックを添加すると目的とする良品質の非磁性層を得るのが困難化する。また,FeOOH自体は光の透過度が比較的高いので,磁気テープ製造のさいのテープ始端・終端制御を光学的に行う場合に,マーキングが困難となるという問題もある。したがって,良好な針状性を維持したまま,適度な導電性や光反射率をもつFeOOH主体の粒子であることが望まれている。
【0005】
また,前記の例に限らず,オキシ水酸化鉄(FeOOH)と,酸化鉄(Fe2O3 やFe3O4)の特性を合わせもつ粉体が得られると,それら単独のものにはない各種の性質を具備するようになるので,これまで,オキシ水酸化鉄が使用されていた分野,或いは酸化鉄が使用されていた分野において,それに変わる新しい材料が提供できることになる。
【0006】
したがって,本発明は,オキシ水酸化鉄の特性と酸化鉄の特性を併せもつ新規な鉄化合物の開発を目的としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決した鉄化合物として,本発明は,
Alを固溶したFeOOHの内層とAlを実質的に含まないFe2O3 の外層とからなる複層構造の鉄化合物粒子,
Alを固溶したFeOOHの内層とAlを実質的に含まないFe3O4の外層とからなる複層構造の鉄化合物粒子,
Alを固溶したFeOOHの内層と,Alを実質的に含まないFe3O4の外層と,両者の間にFe2O3 の中間層をもつ複層構造の鉄化合物粒子,および
Alを固溶したFeOOHの内層とAlを実質的に含まないFeOOHの外層とからなる複層構造の鉄化合物粒子,を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1〜4は,本発明に従う複層構造の鉄化合物粒子の略断面を示したものであり,いずれも,1個の針状粒子の長軸に沿う断面で示した。
【0009】
図1のものは,Alを固溶したFeOOHの内層1と,Alを実質的に含まないFe2O3 の外層2とからなる複層構造の針状の鉄化合物粒子である。内層1と外層2は一体不可分に接合しており,理想的には内層1の結晶は最外表面には露出しておらず,最外表面はFe2O3 である。
【0010】
図2のものは,Alを固溶したFeOOHの内層1と,Alを実質的に含まないFe3O4の外層3とからなる複層構造の針状の鉄化合物粒子である。内層1と外層3は一体不可分に接合しており,理想的には内層1の結晶は最外表面には露出しておらず,最外表面はFe3O4である。
【0011】
図3のものは,Alを固溶したFeOOHの内層1と,Alを実質的に含まないFe3O4の外層3と,両者の間にFe2O3 の中間層4をもつ針状の複層構造の鉄化合物粒子である。内層1と中間層4および中間層4と外層3とは一体不可分に接合しており,理想的には内層1の結晶および中間層4の結晶は最外表面には露出しておらず,最外表面はFe3O4である。
【0012】
図4のものは,Alを固溶したFeOOHの内層1と,Alを実質的に含まないFeOOHの外層5とからなる複層構造の針状の鉄化合物粒子である。内層1と外層5は一体不可分に接合しており,理想的には内層1の結晶は最外表面には露出しておらず,最外表面はAlを含まないFeOOH結晶である。
【0013】
図1〜図4のいずれの粒子とも,長軸/短軸の比(軸比)が1超え〜30の針状を呈し,長軸の平均径が0.01〜1.0μmであるのが好ましい。内層1の「Alを固溶したFeOOH」とは,オキシ水酸化鉄の結晶中にAlが分散固溶したもの,より具体的には,FeOOHの結晶格子中にAlが入りこんだもの,を意味している。オキシ水酸化鉄(FeOOH)としてはα−FeOOH,β−FeOOHまたはγ−FeOOHであることができ,場合によっては,δ−FeOOHであることもできる。針状性の点から最も好ましいのはα−FeOOHである。
【0014】
以下,説明の便宜上,図1の複層構造をもつ粒子粉末を第一複層化合物,図2の複層構造をもつ粒子粉末を第二複層化合物,図3の複層構造をもつ粒子粉末を第三複層化合物,そして図4の複層構造をもつ粒子粉末を第四複層化合物と呼ぶことにする。
【0015】
このうち,第四複層化合物は,第一複層化合物,第二複層化合物および第三複層化合物を製造するための先駆物質として使用することができる。そこで,先ず第四複層化合物の製法を説明する。
【0016】
〔第四複層化合物の製法〕
第1鉄塩または第2鉄塩の水溶液に沈澱剤としてアルカリ水溶液を添加すると水酸化第1鉄または水酸化第2鉄が沈澱してくる。この沈澱は加水分解または酸化反応により,その条件調節に応じて結晶構造の異なる各種の(α,β,γ,δなど)のオキシ水酸化鉄が生成する。ここまでは良く知られた現象であり,この反応を利用して各種のオキシ水酸化鉄が製造されている。
【0017】
このオキシ水酸化鉄生成反応を前期と後期に分け,その前期の溶液だけにAlイオンを共存させると,Alが均一に分散固溶したFeOOHが得られ,Alイオンが実質上存在しない後期においては,前期に生成したAl固溶FeOOHの外側にAlを含まないFeOOH結晶が成長する。すなわち,Al固溶FeOOHを内層とし,Alを含まないFeOOHを外層とした第四複層化合物粒子からなる粉末が得られる。前期だけにAlイオンを共存させ後期には存在させないようにするには,前期だけでAlイオンが消費してしまう過少量のAlイオンを共存させ,後期ではAlイオンが溶液中に実質的に存在しない状態で反応を続行させればよい。これによると,前期と後期とはAlイオンの存在の有無だけが異なるだけで,反応操作は連続して行わせることができる。また,前期と後期とを分離し,先ずAl固溶FeOOH結晶を析出させ,これをろ過水洗して反応液と分離し,再び水に分散させた状態で,非酸化性雰囲気にて第一鉄塩とアルカリを加え,次いで酸化(エアー吹き込み)させることにより,Al固溶FeOOH結晶のうえに,Alを含まないFeOOHを成長させることもできる。
【0018】
α−FeOOHの生成反応を例にして,その具体的な製法例を説明すると,まず,第1鉄塩(硫酸第1鉄,塩化第1鉄など)の水溶液にアルカリ水溶液(水酸化ナトリウム,炭酸ナトリウム,炭酸アンモニウムなどの水溶液)を加えて,水酸化第1鉄コロイド溶液を得る。
【0019】
次いで,このコロイド溶液に水可溶性アルミニウム塩(硫酸アルミニウム,硝酸アルミニウム,塩化アルミニウムなど)または水可溶性アルミン酸塩(アルミン酸ナトリウムなど)を,液中のFeに対するAlの原子比(Al/Fe)が例えば0.001〜0.030となるように,添加し,pH≧11,温度80℃以下で酸素含有ガス(例えば空気)を所定時間通気して酸化させる。この酸化反応の過程で,前期では生成するα−FeOOH中にAlが分散固溶し,液中のAlイオンが晶出してしまって液中にはAlイオンが枯渇した後期ではAlなしのα−FeOOHだけがその上に生成する。得られた懸濁液を固液分離することにより,Alを固溶したα−FeOOHの内層と,Alを実質的に含まないα−FeOOHの外層とからなる第四複層構造の鉄化合物粒子粉末を得ることができる。
【0020】
なお,該前期の生成反応を行わせるさいに,FeOOHの核を生成させてから(FeOOHの種結晶を生成させてから),前期の生成反応を行わせると粒度が揃った第四複層構造の鉄化合物が得られる。その操作としては,該コロイド溶液に酸素含有ガスを少量吹き込んだあとに,該Al化合物を添加するようにすればよい。
【0021】
また,前期の反応をAl/Feの原子比を例えば0.030〜1.0と高くしてAlを固溶したα−FeOOHを得てから,これを液から分離し,ろ過水洗して再び水に分散し,非酸化性雰囲気にて鉄塩とアルカリを加え,酸素含有ガス(空気」を通気して酸化することにより,Al固溶α−FeOOHの上にAlを含まないα−FeOOHの外層を成長させて第四複層構造の鉄化合物粒子粉末を得ることもできる。
【0022】
このようにして得られた第四複層構造の鉄化合物は,これを加熱してゆくと,まず外層のAl無しのFeOOH層が分解し,次いで内層のAl固溶FeOOHが分解するという二段階分解の現象が起きることがわかった。示差熱分析により第四複層構造の鉄化合物を大気雰囲気下で分解温度を調べたところ,Al固溶のα−FeOOHを内層とし,Al無しのα−FeOOHを外層とした第四複層構造の鉄化合物では,明瞭な二つの吸熱ピーク,すなわち約280℃付近での低温側吸熱ピークと約330℃付近での高温側吸熱ピークを示した。低温側吸熱ピークではAlなしのFeOOH(外層)が分解し,高温側吸熱ピークではAl固溶FeOOH(内層)が分解したことを現している。この分解は,FeOOHが脱水し,Fe2O3 に変化することを意味する。
【0023】
〔第一複層構造の鉄化合物の製法〕
前述のように,第四複層構造の鉄化合物は分解が2段階で進行するという性質がある。この性質を利用すると,分解条件(加熱温度)の調整により,内層は分解させないで,外層だけを分解(脱水)させることができる。具体的には,前記の高温側吸熱ピークを示す内層の分解温度より低い温度に加熱保持すると,外層だけが分解してFe2O3 となり,内部はAl固溶FeOOHが残存する。好ましくは,低温側吸熱ピーク以上(外層の分解温度以上)で高温側吸熱ピークより低い温度(内層の分解温度未満の温度)に加熱すればよい。この加熱は大気雰囲気下でもよいが,非還元性の雰囲気であれば,その雰囲気を調節して行うこともできる。このようにして,第四複層構造の鉄化合物を先駆物質として,Alを固溶したFeOOHの内層とAlを実質的に含まないFe2O3 の外層とからなる第一複層構造の鉄化合物を製造することができる。
【0024】
ここで,第一複層構造の鉄化合物の外層のFe2O3 の結晶構造は,先駆物質のFeOOHの結晶形態または分解条件に応じて,α−Fe2O3 (ヘマタイト)またはγ−Fe2O3 (マグヘマタイト)になる。
【0025】
〔第二複層構造の鉄化合物の製法〕
第四複層構造の鉄化合物または第一複層構造の鉄化合物を先駆物質として,これを適切な条件で還元すると第二複層構造の鉄化合物を製造することができる。第四複層構造の鉄化合物を,還元性ガス雰囲気下(例えば水素ガス雰囲気下)で内層の分解温度より低い温度で加熱すると,外層だけがFe3O4に還元され,内層はAl固溶FeOOHとして残存する。同様に,第一複層構造の鉄化合物を還元性ガス雰囲気下(例えば水素ガス雰囲気下)で内層の分解温度より低い温度で加熱すると,外層のFe2O3 はFe3O4に還元され,内層はAl固溶FeOOHとして残存する。
【0026】
この還元処理は,外層の分解温度よりも若干低いところで実施することもできるが,外層の分解温度以上で且つ内層の分解温度より低い温度で行えば,処理時間が短くて済む。このようにして,第四複層構造または第一複層構造の鉄化合物を先駆物質として,Alを固溶したFeOOHの内層と,Alを実質的に含まないFe3O4の外層とからなる第二複層構造の鉄化合物を製造することができる。
【0027】
〔第三複層構造の鉄化合物の製法〕
第四複層構造または第一複層構造の鉄化合物を先駆物質として,これを適切な条件で還元すると第三複層構造の鉄化合物を製造することができる。第四複層構造の鉄化合物を,還元性ガス雰囲気下(例えば水素ガス雰囲気下)で,内層の分解温度より低い温度で適切に加熱した場合,外層のFeOOHが脱水してFe2O3 になると共にその表面部がFe3O4に還元され,内層はAl固溶FeOOHとして残存する。この結果,Fe2O3 の中間層が存在する第三複層構造とすることができる。Fe2O3 の中間層が存在する点で,第二複層構造の鉄化合物と相違するが,還元雰囲気と加熱温度を調節することにより,この中間層の生成量をコントロールすることができる。したがって,還元雰囲気と加熱温度の制御により,第三複層構造と第二複層構造の鉄化合物を選択的に製造することができる。
【0028】
同様に,第一複層構造の鉄化合物を還元性ガス雰囲気下で内層の分解温度より低い温度で加熱した場合,部分還元が生ずるように反応を制御すると,外層のFe2O3 の一部がFe3O4に還元され,内層はAl固溶FeOOHとして残存したまま,両層の間にFe2O3 の中間層が残存したものが得られる。このようにして,第四複層構造または第一複層構造の鉄化合物を先駆物質として,Alを固溶したFeOOHの内層と,Alを実質的に含まないFe3O4の外層,その中間にFe2O3 の中間層をもつ第三複層構造の鉄化合物を製造することができる。
【0029】
このようにして製造された本発明に従う第一,第二および第三の複層構造の鉄化合物は,オキシ水酸化鉄の特性と酸化鉄(Fe2O3 および/またはFe3O)の特性を併せもつという特徴がある。したがって,粒子形状(針状性),粒度分布,平均粒径,強度,樹脂への分散性,色調,磁性,比表面積,導電性,抱水量等の性質において,オキシ水酸化鉄単独または酸化鉄単独のものにはないものに種々調整でき,従来のオキシ水酸化鉄の用途または酸化鉄の用途において,新たな性質をもつ材料を提供できる共に,これまでにはない用途の拡大を図かることができる。
【0030】
【実施例】
〔実施例1〕
0.5モルの硫酸鉄水溶液と,0.85モルのNaOH水溶液とを非酸化性雰囲気下で混合し,Al/Feの原子比が0.025となる量のアルミン酸ナトリウムを添加し,この液に35℃で空気を150ml/minで吹き込み,180minで酸化処理を終了する。
【0031】
得られた懸濁液を濾過し,濾別した沈澱を水洗し乾燥して,微細な針状の粒子粉末を得た。この粒子粉末を電子顕微鏡(TEM),ESCA,X線回折および示差熱分析に供した。その結果,長軸が平均0.25μm,短軸が平均0.025μmの針状粒子からなり,Alを固溶したα−FeOOHを内層とし,Alを実質上含まないα−FeOOHを外層とした第四複層構造の鉄化合物粒子であることがわかった。示差熱分析では,280℃と330℃に吸熱ピークが見られた。
【0032】
この粒子粉末のX線回折チャートを図5に示した。図5に見られるように,全てのピークはα−FeOOHのものである。また,この粒子粉末の電子顕微鏡写真像(TEM像:倍率108000倍)を図6に示した。
【0033】
得られた第四複層構造の粒子粉末の粉体抵抗は2.3×108Ωcm,飽和磁化量(σs) は0.25emu/g ,BET法による比表面積は80.3m2/g であり,色調は黄色であった。
【0034】
〔実施例2〕
実施例1で得られた粒子粉末を二分し,その一方を大気中250℃で30分加熱した。TEM観察ではこの加熱処理により焼結は見られず,またこの加熱処理後の粒子粉末は外観が赤褐色に変色していた。X線回折したところ,α−FeOOHとα−Fe2O3 の結晶ピークが観察された。このことから,この粒子粉末は,Alを固溶したα−FeOOHを内層とし,α−Fe2O3 を外層とした第一複層構造の鉄化合物粒子からなると認められた。
【0035】
この粒子粉末のX線回折チャートを図7に示したが,α−FeOOHとα−Fe2O3 の両者のピークが見られる。またこの粒子粉末の電子顕微鏡写真像(TEM像:倍率108000倍)を図8に示したが,焼結は見られない。
【0036】
得られた第一複層構造の粒子粉末は,長軸が平均0.25μm,短軸が平均0.025μmの針状粒子からなり,粉体抵抗が8.4×108Ωcm,BET法による比表面積は95m2/g であった。
【0037】
〔実施例3〕
実施例1で得られた粒子粉末の他方を,水素気流中250℃で30分加熱した。TEM観察ではこの還元処理により焼結は見られず,またこの加熱処理後の粒子粉末は黒色に近い濃褐色に変色していた。X線回折したところ,α−FeOOH,Fe3O4およびα−Fe2O3 の結晶ピークが観察された。このことから,この粒子粉末は,Alを固溶したα−FeOOHを内層とし,α−Fe 3 O 4 を外層とし,さらにα−Fe2O3 の中間層をもつ第三複層構造の鉄化合物粒子からなると認められた。
【0038】
この粒子粉末のX線回折チャートを図9に示したが,α−FeOOH,α−Fe2O3 およびFe3O4のピークが見られる。またこの粒子粉末の電子顕微鏡写真像(TEM像:倍率108000倍)を図10に示したが,焼結は見られない。
【0039】
得られた第三複層構造の粒子粉末は,長軸が平均0.25μm,短軸が平均0.025μmの針状粒子からなり,粉体抵抗が3.1×106Ωcm,飽和磁化量(σs) が16.5emu/g ,保磁力(Hc)が277(Oe), BET法による比表面積は55.4m2/g であった。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によると,オキシ水酸化鉄と酸化鉄の性質を併せもつ新規な鉄化合物粒子粉末を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第一複層鉄化合物の略断面図である。
【図2】 第二複層鉄化合物の略断面図である。
【図3】 第三複層鉄化合物の略断面図である。
【図4】 第四複層鉄化合物の略断面図である。
【図5】 粒子粉末のX線回折チャートである。
【図6】 粒子粉末の電子顕微鏡写真である。
【図7】 粒子粉末のX線回折チャートである。
【図8】 粒子粉末の電子顕微鏡写真である。
【図9】 粒子粉末のX線回折チャートである。
【図10】粒子粉末の電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1 内層
2 外層
3 外層
4 中間層
5 外層
Claims (4)
- Alを固溶したFeOOHの内層と,Alを実質的に含まないFe2O3 の外層とからなる複層構造の鉄化合物粒子。
- Alを固溶したFeOOHの内層と,Alを実質的に含まないFe3O4の外層とからなる複層構造の鉄化合物粒子。
- Alを固溶したFeOOHの内層と,Alを実質的に含まないFe3O4の外層と,両者の間にFe2O3 の中間層をもつ複層構造の鉄化合物粒子。
- Alを固溶したFeOOHの内層と,Alを実質的に含まないFeOOHの外層とからなる複層構造の鉄化合物粒子。
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