JPH10340447A - 塗布型磁気記録媒体の下層用粉末 - Google Patents
塗布型磁気記録媒体の下層用粉末Info
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- JPH10340447A JPH10340447A JP9162059A JP16205997A JPH10340447A JP H10340447 A JPH10340447 A JP H10340447A JP 9162059 A JP9162059 A JP 9162059A JP 16205997 A JP16205997 A JP 16205997A JP H10340447 A JPH10340447 A JP H10340447A
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Abstract
つ重層構造の塗布型磁気記録媒体の表面平滑性,強度,
磁気特性等を向上させる下層用粉末を得る。 【解決手段】 平均長軸長が0.01〜0.5μm,平
均短軸長が0.01〜0.05μmの実質的に枝分かれ
のない針状粒子であって,長軸と直角方向に切断した短
軸断面が長い方の幅と短い方の幅をもち,この長幅と短
幅の短軸断面比が長軸方向にほぼ一様に1より大きくな
っている平針状粒子からなり,且つ100℃で放出する
H2Oの量が2重量%以下である塗布型磁気記録媒体用
の下層用粉末。
Description
磁気記録媒体に用いられる下層用粉末に関するものであ
る。
散含有させた塗膜を支持体上に塗布することによって支
持体上に磁性層を形成するいわゆる塗布型磁気記録媒体
において,低ノイズで高出力特性を得るために該磁性層
の厚みをより薄くすることが望まれ,このために,該磁
性層と支持体の間に,非磁性粉末を結合剤樹脂中に分散
含有させた非磁性層の塗膜(本明細書では下層と呼ぶ)
を形成する重層構造の塗布型磁気記録媒体が提案されて
いる。
ては,球状酸化チタン粉末または酸化鉄粉末がこれまで
に提案されている。例えば特開平6−215360号公
報には,かような重層構造の磁気記録媒体において,下
層を形成する非磁性粉として針状のヘマタイト(α−F
e2O3 ),球状のヘマタイト(α−Fe2O3 ),Co
−γ−Fe2O3 または針状TiO2や球状TiO2 を用
いた場合の特性値が示されている。同じく特開平6−1
39553号公報,特開平7−282443号公報,特
開平7−326037号公報および特開平7−3348
35号公報には, 下層を形成する非磁性粉として針状の
α−Fe2O3 を用いた場合の特性値が示されている。
同じく特開平7−78331号公報, 特開平7−105
530号公報および特開平7−182649号公報には
下層を形成する非磁性粉として主としてCo−γ−Fe
2O3を,更にはα−Fe2O3 を用いた場合の特性値が
示されている。そして,これら公報中には,具体的に特
性値が示された前記の酸化鉄粉末以外の他の物質からな
る粉末も下層用非磁性粉として使用が可能であるとし
て,多数の物質名が例示され,そのうちにはオキシ水酸
化鉄も含まれている。他方, 特開平4−167225号
公報には, 下層の非磁性層の厚みが上層の磁性層の厚み
よりも薄い点で特殊な重層構造のものであるが,下層の
非磁性層を形成する粉末としてオキシ水酸化鉄粉末を使
用した場合のテープの耐傷つき性, スティフネスおよび
ヘッド当り性が評価されている。しかし,特開平6−6
0362号公報は,このようなオキシ水酸化鉄はバイン
ダーに対する分散性が悪いので下層用粉末として使用不
可能であると述べられ, 針状のα−Fe2O3 の使用を
推奨している。
層構造の磁気記録媒体において,オキシ水酸化鉄を下層
用粉体として使用した実績はない。前記の公報類にもオ
キシ水酸化鉄(FeOOH)を下層用粉末とした場合の
具体例は,特開平4−167225号公報以外には,示
されていない。特開平6−60362号公報が教えるよ
うに,特開平4−167225号公報のようにオキシ水
酸化鉄を使用した場合には,バインダーに対する分散性
が悪いので実際には使用できないというのが常識であっ
た。このように,どのようなオキシ水酸化鉄であれば磁
気記録媒体用の下層用粉末として意図する機能が発揮さ
れるかは未知の部分が多い。一方,オキシ水酸化鉄は一
般にFe(OH)2の懸濁液を酸化する方法で製造される
が,良く知られているように,この酸化の条件がわずか
に変動しても生成相が異なり,性状や形態の異なるもの
となる。したがって,公知のオキシ水酸化鉄のあらゆる
ものが前記の下層粉に適した性質を具備すると言う訳の
ものでもない。
に適用する場合に,その粉体の化学的・物理的性質や形
状特性がどのように磁気記録媒体の表面平滑性,強度,
磁気特性更には耐候性等に影響を与えるかを明らかに
し,重層構造磁気記録媒体の特性向上に寄与することを
課題とする。
軸長が0.01〜0.5μm,平均短軸長が0.01〜
0.05μmの実質的に枝分かれのない針状粒子であっ
て,長軸と直角方向に切断した短軸断面が長い方の幅と
短い方の幅をもち,この長幅と短幅の短軸断面比が長軸
方向にほぼ一様に1以上となっている平針状粒子からな
り,且つ100℃で放出するH2Oの量が2重量%以下
である塗布型磁気記録媒体用の下層用粉末を提供する。
0.1〜30重量%のAlおよび/またはSiを含有し
たオキシ水酸化鉄からなり,当該粉末の比表面積が10
〜300m2/g,タップ密度が0.4g/cm3以上であ
り,大気中での分解温度が210℃以上である。
明に従うオキシ水酸化鉄粉末を製造するには,第二鉄塩
水溶液に,Fe3+に対して1.0〜3.5当量の水酸化
アルカリ水溶液を加えて水酸化第二鉄コロイドを含む懸
濁液を10〜90℃で生成させ,その後2〜20時間熟
成した後加水分解を行ない,次いで生成した沈澱を固液
分離するという方法で製造することができる。
粉末を分散させた非磁性層(下層)を設ける本来の目的
は,磁性層の厚みを薄くして短い記録波長領域での出力
を確保し,また優れた電磁変換特性例えば消去特性やオ
ーバーライト特性を改良することにある。このためには
磁性層自身にもそれなりの特性が要求されるが,下層の
非磁性層側の役割としては,表面凹凸の少ない滑らかな
薄い磁性層をその上に塗布できること,すなわち,非磁
性層自体が表面平滑性に優れること,磁気記録媒体の強
度に寄与すること,そして上層の磁性層の磁気特性を充
分に引出し得ることが主として挙げられる。
状酸化チタンでは,テープ化した場合に強度が針状のも
のに比べて充分ではなくかつ微粒子化も困難である。ま
た針状の酸化鉄(ヘマタイト)については,その製法
上,粒子間焼結を免れることができないので,表面平滑
性が十分得られないという問題が付随する。
塗膜を形成する場合,表面平滑性や強度等は,使用する
結合剤樹脂にもよるが,オキシ水酸化鉄の物理・化学的
性質や寸法・形状に大きく影響を受ける。前記の下層の
役割,すなわち表面平滑性,強度および磁性層の特性改
善を果たすことができる下層用オキシ水酸化鉄粉として
は,平均長軸長が0.01〜0.5μm,平均短軸長が
0.01〜0.05μmの実質的に枝分かれのない針状
粒子であって,長軸と直角方向に切断した短軸断面が長
い方の幅と短い方の幅をもち,この長幅と短幅の短軸断
面比が長軸方向にほぼ一様に1以上となっている平針状
粒子からなり,且つ100℃で放出するH2Oの量が2
重量%以下のオキシ水酸化鉄粉であるのがよい。
分かれのない平均長軸長0.01〜0.5μmの平針状
粒子からなるオキシ水酸化鉄粉であって,0.1〜30
重量%のAlおよび/またはSiを含有し且つ100℃
で放出するH2Oの量が2重量%以下のオキシ水酸化鉄
粉によって,より有利に果たすことができる。
0.01〜0.5μmの平針状粒子からなるオキシ水酸
化鉄粉であって,0.1〜30重量%のAlおよび/ま
たはSiを含有し,比表面積が10〜300m2/g,好ま
しくは40〜300m2/g,さらに好ましくは40〜15
0m2/g,タップ密度が0.3〜1.2g/cm3,好ましく
は0.4〜1.2g/cm3,そして100℃で放出するH
2Oの量が0.1〜2.0重量%のオキシ水酸化鉄粉に
よって,より有利に果たすことができる。
長軸長0.01〜0.5μmの平針状粒子からなるオキ
シ水酸化鉄粉であって,0.1〜30重量%のAlおよ
び/またはSiを含有し,比表面積が10〜300m2/
g,タップ密度が0.4g/cm3以上,大気中での分解温
度が210℃以上好ましくは215℃以上,そして10
0℃で放出するH2Oの量が0.1〜2.0重量%のオ
キシ水酸化鉄粉によって,より有利に果たすことができ
る。
加えて,さらに次の特性を有するものが好ましい。 〔真比重〕 3.0〜6.0g/cm3 が望ましく,より好
ましくは3.5〜4.3g/cm3 である。本発明に従う平
針状の粉体において,このような真比重を有し,真比重
に対するタップ密度が高いと,テープ化工程中でカレン
ダーをかけたときに塗膜中で粉が圧密し易くなり,この
ことがテープ表面平滑性の向上に有利に作用する。 〔結晶粒径〕(結晶子) 10〜200オングストロー
ム,好ましくは50〜150オングストロームである。
0.01〜0.5μm,平均短軸長0.01〜0.05
μm,平均軸比1〜30であって,長軸と直角方向に切
断した短軸断面が長軸方向にほぼ一様に1以上となって
いる平針状粒子からなっているのが望ましく,結晶粒径
は10〜200オングストロームが望ましいが,このよ
うな微粒子では,特に前記の短軸断面比と最も短い軸の
長さ(最短軸長)がテープ表面平滑性に作用し,この短
軸断面比が大きく且つ最短軸長が短いことにより表面平
滑性が向上する。この短軸断面比と最短軸長は結晶粒径
と比表面積に反映されている。
(長軸長)とそれと直交する短手方向の最大長さ(短軸
長)との比(長軸/短軸)が好ましくは2以上の針状で
あって,長軸と直角方向に切断した短軸断面が長い方の
幅と短い方の幅をもち,この長幅と短幅の短軸断面比が
長軸方向にほぼ一様に1より大きく,好ましくは1.5
以上となっている偏平な針状を意味する。
ものである。図示のように,長手方向の最大長さL(長
軸長)とこれと直交する短手方向の最大長さS(短軸
長)をもつ針状体1において,長軸と直角方向に切断し
た短軸断面2が長幅WL と短幅WS をもつ偏平な形をし
ている。たとえて言えば,幅がWL で,厚みがWS の平
板(短冊状)に似た形状を有している。ただし,短軸断
面2の偏平形状は長方形に限らず,図2のようにカプセ
ル状,図3のように楕円状,図4のように多角形状,図
5のように変形円状等の様々な形をしていてもよく,要
するところ,WL/ WS の比が長軸方向に一様に(捻じ
れるようなことはなくの意味)1より大きく,好ましく
は1.5以上であればよい。また,本発明の平針状オキ
シ水酸化鉄粒子は実質的に枝分かれは有しない。
μm,軸比が2以上の平針状オキシ水酸化鉄粉は後記の
実施例に示すように,表面平滑性の良好な非磁性層,ひ
いては,表面平滑性の優れた磁性層をその上に形成でき
る。
およびpHも塗料化に際しての分散性に影響するので,
表面平滑性に影響を与える。これらの好ましい範囲は次
のとおりであり,この範囲に調整することが望ましい。 〔ステリアン酸吸着量〕 0.1〜3.0mg/m2。 〔樹脂吸着量〕 0.5〜4.0mg/m2。 〔pH〕 粉体 pHは6〜11である。この pH調整に
よって塗料化時の分散性が良好となり,表面平滑性の向
上に有効に作用する。
キシ水酸化鉄粉の製法によって得られる。例えば,第二
鉄塩水溶液に,Fe3+に対して1.0〜3.5当量の水
酸化アルカリ水溶液を加えて水酸化第二鉄コロイドを含
む懸濁液を10〜90℃で生成させ,その後2〜20時
間熟成した後加水分解を行ない,生成した沈殿を固液分
離する。この方法により,非結晶な物質を含まないオキ
シ水酸化鉄粉が得られる。また,この方法によれば,他
の常法,例えば第一鉄塩水溶液に当量以上の水酸化アル
カリ水溶液を加えて得られる水酸化第一鉄コロイドを含
む懸濁液をpH11以上にて80℃以下の温度で酸素含
有ガスを通気して酸化反応を行なう方法や,或いは第一
鉄塩水溶液と炭酸アルカリ水溶液とを反応させて得られ
る懸濁液に酸素含有ガスを通気して酸化反応を行なう方
法に比べて,枝分かれがなく且つ短軸断面が偏平な平針
状のオキシ水酸化鉄粉が得られる。さらに,この方法は
針状酸化鉄(ヘマタイト)の粉体を製造する方法に比べ
ても,高温度での処理工程がないので粒子間焼結の問題
が起きない点で有利である。
粉について,同一試料の同一部分を試料台を傾けながら
同一倍率で撮影した透過型電子顕微鏡写真(倍率:30
0000倍)である。すなわち,図6は試料台を−45
o傾けたもの,図7は試料台を水平(0o)としたもの,
図8は試料台を45o傾けて同一試料部分を撮影したも
のである。試料台を傾けることは,各粒子を異なる角度
から見たものに相当するから,短軸方向の厚みの変化す
なわち長幅と短幅の短軸断面比を観測することができ
る。例えば,写真6〜8のほぼ中央に見えるやや右肩上
がりの独立した粒子は,その最大短軸長が傾斜角−45
o (図6)では0.0458μm,0o(図7)では0.0
456μm,45o(図8)では0.0271μmであ
り,この粒子の最大長幅は図6と図7の間の或る傾斜角
をもつところに存在することが推定できる。このように
して,傾斜角度を参考にしながら最大短幅と最大長幅を
100個の粒子について計測し,その平均最大長幅を平
均最大短幅で割って短軸断面比を求めると,本例のオキ
シ水酸化鉄は短軸断面比が平均で1.7の平針状粒子で
ある。
れを有していないことを示している。この試料につい
て,小さな枝分かれをしたものを数えると,その枝分か
れをもつ粒子は1000個中僅かに3個であり,実質的
に枝分かれがないことが確認された。
く且つ平針状であることは,この粉体を下層用粉末とし
たとき,表面平滑性とテープ強度に寄与することにな
る。すなわち,枝分かれがないことは塗布時に粒子が詰
まり易くなるから表面が平滑になり且つテープ強度も向
上する。そして,平針状であることは塗布時に粒子が重
なったときに幅広の面ができ易くなるから表面が平滑に
なる。要するところ,支持体面と垂直方向の成分が少な
く且つテープ長手方向に密に配向されるので表面平滑性
とテープ強度が向上する。
μm以下の微細な平針状粒子であり且つ高充填性の粉体
であると,これを樹脂バインダーに分散させて支持体に
塗布すると極めて良好な表面平滑性を示す。長軸長0.
5μm以下の微細な平針状粒子は他の下層材料のものと
比べると短軸長が非常に細く針状比が高いという特徴が
あり,このために塗布時にテープ長手方向に良好に配向
され,表面平滑性に加えてテープ強度も向上する。
有させると耐熱性および保存安定性を増すことができ
る。Alの含有量が0.1〜30重量%であれば,テー
プ化の際の乾燥工程における昇温時にもオキシ水酸化鉄
粉体が変質せず安定で存在できる。Alの含有量が0.
1重量%未満ではAl含有による効果は不充分である。
Alの含有量が30重量%より多いと粉体の比表面積が
大きくなって分散性が悪くなる。ここで,Alの含有量
とは,Alが化合物として含有されている場合にはその
化合物の量ではなく,Al元素の含有量を言う。
は,Al2(SO4)3, Al(NO3)3,AlCl3 などの
水可溶塩,更にはNaAlO2(アルミン酸ナトリウ
ム)などの水可溶性アルミン酸などの化合物を使用する
ことができる。これらのAl化合物を用いてAlをオキ
シ水酸化鉄粒子の表面に“被着”させるには,例えばこ
れらのAl化合物をアルカリ水溶液中に溶解させ,この
溶液中に該オキシ水酸化鉄を分散させた後,炭酸ガスを
吹き込むか酸を添加し中和させることによって行なうこ
とができ,これによって結晶質または非晶質なAl2O3
・nH2O(含水酸化アルミニウム)としてAlは粒子
表面に被着される。他方,Alをオキシ水酸化鉄の粒子
内に“固溶”(含浸)させるには,FeCl3 やFe
2(SO4)3等の第二鉄塩の水溶液をNaOH, Na2CO
3 , NH4OH等の中和剤で中和した後に熟成してα−
FeOOH,γ−FeOOHを生成させる反応系に,上
記の水可溶性のAl塩やアルミン酸塩を添加すればよ
い。
他元素を用いてその粒子表面性をコントロールしてもよ
い。Siを含有させる場合には,0.1〜30重量%の
範囲とする。Siをオキシ水酸化鉄粒子に含有させるに
は,例えばα−FeOOHを含む懸濁液にSiを含む水
溶液例えばケイ酸ナトリウムまたはケイ酸カリウム,或
いは水懸濁液例えばコロイダルシリカの懸濁液,若しく
は3号水ガラスを添加し,pHを9以下にする方法で行
うことができる。AlとSiを含有させる場合には,両
者の合計量で0.1〜30重量%の範囲とするのがよ
い。ここで,Siの含有量とは,Siが化合物として含
まれている場合でも,Si化合物の量ではなく,Si元
素の含有量を言う。
分解温度はオキシ水酸化鉄中のAl含有量によって変化
することがわかった。粉体の分解温度が高いことはカレ
ンダー処理時の気泡発生を未然に回避できるという有利
な効果を奏する。磁気テープ作製時のカレンダー処理で
は塗膜温度が50〜150℃となるのが普通であり,条
件によっては瞬間的にしろこれより高くなることもあり
得る。そのさい,オキシ水酸化鉄が分解すると塗膜中に
気泡が発生し,下層の表面が凹凸になり,ひいては磁性
層の表面が凹凸になると共に,気泡が発生した磁気テー
プは不良品となる。したがってカレンダー処理時の気泡
発生の危険性を回避できる点で,本発明のオキシ水酸化
鉄粉末は磁気テープ用の下層粉に適する。図9にオキシ
水酸化鉄中のAl含有量(重量%)を変えた場合(被着
量を変化させた場合)の分解開始温度と分解終了温度を
示した。これらの分解温度はJIS K 7120に準
じて示差熱分析計で測定したものである。図9中に示し
た星印を結ぶ曲線は各測定値のプロットから演繹された
ものである。この曲線に見られるように,オキシ水酸化
鉄の分解開始温度と分解終了温度はいずれもAl含有量
の増加とともに高くなることがわかる。分解開始温度曲
線の代表値を挙げると下記のとおりである。なお,同じ
Al量を含有する場合でも,粒子中に固溶(含浸)した
状態の方が,粒子表面に被着したものよりも分解開始温
度が高くなることがわかった。
0℃で放出するH2Oの量が0.1重量%以上2.0重
量%以下である必要がある。100℃で放出する水と
は,この粉末を大気圧下で100℃に維持したときに放
出する全水分量を意味し,換言すれば,樹脂バイイダー
に配合するさいの常温状態において,適量の水を含むが
過剰の水を含まないことを意味する。この100℃で放
出する水分量の測定はカールフイッシャー法による水分
測定の原理を用いて計測できる。100℃で放出する水
分量が0.1重量%未満の粉末では,樹脂バインダーに
配合するときに良好に分散できず,塗料中に密度差が発
生するようになり,このために,厚みが均等な非磁性層
の下層の形成が困難となることがわかった。他方,10
0℃で放出する水分量が2.0重量%を越えた場合に
も,良好に分散される部分と分散されない部分が発生
し,この場合にも塗料中に密度差が発生し,同様に均等
な非磁性層の下層の形成が困難となり,3重量%を越え
ればもはやテープ化ができなくなる。100℃で放出す
る水分量が0.1〜2.0重量%である粉末は,次のよ
うな処理操作によって得ることができる。すなわち,粉
末製造の終わりの段階において,ろ過および水洗して得
られたケーキを所定の温度で乾燥したあと,水蒸気をキ
ャリヤガス例えば窒素ガスや乾き空気に所定濃度で且つ
一定温度で同伴させながら該ケーキに通気し,所定の時
間その接触を保つという方法で意図する水分量に調整す
ることができる。
に従うオキシ水酸化鉄粉を用いた下層を形成する場合,
上層の磁性層を構成する磁性粉末としては特に限定され
るものではないが,下層粉と同様の平針状の金属磁性粒
子からなる磁性粉末を用いるのがよい。その代表例を挙
げると,次のような含有成分と寸法・形状を有するもの
が好ましい。
重量%以下, 周期律表第2a族元素(Mg,Ca,Sr,Ba):0
〜0.1重量%以下を含有した鉄を主体とする強磁性粉
末であって, 平均長軸長:0.01〜0.40μm, X線結晶粒径(Dx):50〜250オングストローム であり,且つ,長軸と直角方向に切断した短軸断面が長
い方の幅と短い方の幅をもち,この長幅と短幅の短軸断
面比が長軸方向にほぼ一様に1より大きく,好ましくは
1.5以上となっている平針状粒子からなり,飽和磁化
率(σs)とX線結晶粒径(Dx)の比(σs /Dx)が
0.7以上の強磁性粉末を用いて上層の磁性層を構成す
るのがよい。
2Oの量が2重量%以下,300℃で放出するH2Oの量
が4重量%以下,真密度が5.55g/cm3以上,比表面
積がBET法で30〜70m2/g,飽和磁化率(σs)が1
00〜200 emu/g,保磁力が1200〜3000(O
e) ,さらに,60℃で相対湿度90%の雰囲気下で1
週間放置後飽和磁化率(σs)の低下率が15%以下であ
ることができる。
寸法・形状が前記のような関係を有することから,高密
度記録に適した磁性層を形成できる。すなわち,平均長
軸長が0.01〜0.40μmといった微粒子であって且
つその形状が平針状であるという寸法・形状特性と,特
定の含有成分量との組合せによって,形状維持特性と磁
気特性が両立した磁性層を形成でき,しかも,本発明に
従う平針状オキシ水酸化鉄からなる下層が表面平滑性に
優れる点から上層も表面平滑性に優れ且つ十分なテープ
強度を有するから,磁性層の厚みを薄くすることが可能
となり,従来品のものにない高性能の磁気記録媒体を製
造できる。
に,下層および上層を塗布する支持体としては,ポリエ
チレンテレフタラート,ポリエチレンナフタレート等の
ポリエステル類,ポリオレフィン類,セルローストリア
セテート,ポリカーボネイト,ポリアミド,ポリイミ
ド,ポリアミドイミド,ポリスルフォン・アラミド,芳
香族ポリアミド,等の公知のフィルムが使用できる。
明する。
ずれも108000倍の電子顕微鏡写真から測定した1
00個の粒子の平均値で示した。
に,試料台を傾けながら同一試料部分を複数撮影し,そ
の傾斜角度を参考にしながら,最大短幅と最大長幅を1
00個の粒子について計測し,その平均最大長幅を平均
最大短幅で割って求めた。
回析装置を用いて得られたプロファイルから(110)
面に相当するピークの半価幅を求め,これをシェラーの
式に代入して算出した。
し,ステアリン酸吸着量(同STA)は,試料粉末をス
テアリン酸2%のMEK溶液に分散させた後,遠心分離
機により試料粉末を沈ませ,上澄み液の濃度を求めるこ
とにより比表面積当りの吸着量として算出した。樹脂吸
着量(同樹脂)はポリウレタン樹脂の2%MIBK溶液
を使用し,ステアリン酸吸着量と同様の方法で算出し
た。粉体pH(同pH)はJIS K5101により,
またタップ密度(同TAP)はJIS K5101によ
り測定した。
より100℃(または300℃)での重量変化から求め
た。また,分解温度も示差熱データから分解開始温度と
終了温度を求めた。
次元微細形状測定機(ET−30HK)を用いて,テー
プの下地層表面のRa(粗度)を測定することにより評
価した。
に,Fe3+に対し1.1当量の水酸化ナトリウム水溶液
を,液温10℃に保って攪拌しながら添加し,水酸化第
二鉄の沈殿を得た。次いで,この沈殿物を含む懸濁液を
40℃に保持し12時間熟成してα−FeOOHを含む
懸濁液を得た。このα−FeOOHの懸濁液に,α−F
eOOHに対してAlが1.0wt.%,Siが0.5wt.%と
なるように,アルミン酸ナトリウムと水ガラス水溶液を
添加し,pH9以下にして,AlとSiを被着させた。
その後,懸濁液を通常の方法で濾過し,その粉体を水洗
し,乾燥し,得られた乾燥粉を,2vol.%の水蒸気を含
有する60℃の窒素ガス流の中に30分間保持して,水
分量を調整した。
m,平均軸比5.8,短軸断面比1.5の平針状の粒子か
らなり,この粉末の比表面積はBET90m2/gのもので
あった。この粉末を以下の組成で塗料化した。 オキシ水酸化鉄 100重量部 ポリウレタン樹脂 20重量部 メチルエチルケトン 165重量部 シクロヘキサノン 65重量部 トルエン 165重量部 ステアリン酸 1重量部 アセチルアセトン 1重量部
記組成の塗料を,ポリエチレンテレフタラートからなる
ベースフィルム上に,アプリケーターを用いて,目標厚
みが約3μmとなるように塗布して非磁性の下層を形成
した。用いたオキシ水酸化鉄粉末の諸特性値と得られた
下層の性質を表1に示した。
濁液を50℃に保持して12時間熟成した以外は実施例
1を繰り返し,平均長軸長0.15μm,平均軸比6.
3,短軸断面比1.8の平針状の粒子からなる比表面積
はBET75m2/gの平針状のオキシ水酸化鉄粉末を得
た。この粉末を実施例1と同様にして非磁性下層を作製
した。表1にこの粉末の諸特性値と得られた下層の性質
を併記した。
に,Al/Feの原子比が0.033となる量のアルミ
ン酸ナトリウムを加え,Fe3+に対し1.1当量の水酸
化ナトリウム水溶液を,液温10℃に保って攪拌しなが
ら添加し,水酸化第二鉄の沈殿を得た。次いで,この沈
殿物を含む懸濁液を40℃に保持し12時間熟成して,
粒子中にAlが固溶(含浸)したα−FeOOHを得
た。このα−FeOOHの懸濁液に,α−FeOOHに
対してSiが0.5wt.%となるように水ガラス水溶液を
添加し,pH9以下にしてSiを被着させた。その後,
懸濁液を通常の方法で濾過し,その粉体を水洗し,乾燥
し,得られた乾燥粉を,2vol.%の水蒸気を含有する6
0℃の窒素ガス流の中に30分間保持して,水分量を調
整した。
m,平均軸比5.8,短軸断面比1.6の平針状の粒子か
らなり,比表面積はBET95m2/gであった。この粉末
を実施例1と同様にして非磁性下層を作製した。表1に
この粉末の諸特性値と得られた下層の性質を併記した。
含む水溶液とNaOHを0.45mol 含む水溶液の混合
溶液に,Fe2+を0.5mol 含む水溶液を加えて40℃
に保持して90分熟成した後,40℃において空気を通
気してα−FeOOHを得た。次に,このα−FeOO
Hを含む懸濁液に,α−FeOOHに対しAlが1.0w
t.%,Siが0.5wt.%となるようにアルミン酸ナトリウ
ム水溶液,水ガラス水溶液を添加し,pH9以下にし
て,AlとSiを被着させた。その後,この懸濁液を通
常の方法で濾過し,その粉体を水洗し,乾燥し,さらに
水分量を調整した。
比5.0,短軸断面比1.0の短軸断面がほぼ円形の円針
状の粒子であった。この粉末を実施例1と同様にして非
磁性下層を作製した。表1にこの粉末の諸特性値と得ら
れた下層の性質を併記した。
うオキシ水酸化鉄粉末を用いた下地層は比較例のものに
比べて粗度が小さく表面平滑性に優れ且つ十分な強度を
有することがわかる。
型磁気記録媒体の下層用粉末は,表面平滑性と強度に優
れた非磁性層を構成することができ,これにより高密度
記録に適した重層構造の磁気記録媒体を得ることができ
る。
念図である。
示す図である。
示す図である。
示す図である。
示す図である。
層用粉体の個々の粒子の形状を写した電子顕微鏡写真
(倍率300000倍)である。
えて移した電子顕微鏡写真である。
を変えて移した電子顕微鏡写真である。
鉄の分解温度との関係を示す図である。
Claims (9)
- 【請求項1】 平均長軸長が0.01〜0.5μm,平
均短軸長が0.01〜0.05μmの針状粒子であっ
て,長軸と直角方向に切断した短軸断面が長い方の幅と
短い方の幅をもち,この長幅と短幅の短軸断面比が長軸
方向にほぼ一様に1より大きくなっている平針状粒子か
らなり,且つ100℃で放出するH2Oの量が0.1〜
2.0重量%である塗布型磁気記録媒体用の下層用粉
末。 - 【請求項2】 平針状粒子はオキシ水酸化鉄からなる請
求項1に記載の塗布型磁気記録媒体用の下層用粉末。 - 【請求項3】 平針状粒子は枝分かれを実質上有せず且
つその粉末の比表面積が10〜300m2/gである請求
項1または2に記載の塗布型磁気記録媒体用の下層用粉
末。 - 【請求項4】 0.1〜30重量%のAlを含有する請
求項1,2または3に記載の塗布型磁気記録媒体用の下
層用粉末。 - 【請求項5】 0.1〜30重量%のSiを含有する請
求項1,2または3に記載の塗布型磁気記録媒体用の下
層用粉末。 - 【請求項6】 AlおよびSiを合計で0.1〜30重
量%含有する請求項1,2または3に記載の塗布型磁気
記録媒体用の下層用粉末。 - 【請求項7】 タップ密度が0.4g/cm3以上である請
求項1,2,3,4,5または6に記載の塗布型磁気記
録媒体用の下層用粉末。 - 【請求項8】 大気中での分解温度が210℃以上であ
る請求項1,2,3,4,5,6または7に記載の塗布
型磁気記録媒体用の下層用粉末。 - 【請求項9】 第二鉄塩水溶液に,Fe3+に対して1.
0〜3.5当量の水酸化アルカリ水溶液を加えて水酸化
第二鉄コロイドを含む懸濁液を10〜90℃で生成さ
せ,その後2〜20時間熟成した後加水分解を行ない,
生成した沈殿を固液分離することからなる請求項2に記
載のオキシ水酸化鉄粉の製造法。
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1997
- 1997-06-05 JP JP16205997A patent/JP3903139B2/ja not_active Expired - Fee Related
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