JP3582578B2 - 鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末 - Google Patents

鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ビヒクル、殊に−SOM(但し、MはH、Na、Kである。)、−COOH等の極性基を有する結合剤樹脂を含むビヒクル中での分散性が優れているとともに、塗膜中での配向性及び充填性が向上した鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末を提供することを目的とするものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ビデオ用、オーディオ用磁気記録再生用機器の長時間記録化、小型軽量化が激化してきており、特に昨今におけるVTR(ビデオ・テープ・レコーダー)の普及は目覚しく、長時間記録化並びに小型軽量化を目指したVTRの開発が盛んに行われている。
【0003】
一方、磁気記録媒体である磁気テープに対する高性能化、高密度記録化の要求が益々高まってきている。
即ち、磁気記録媒体の高画像画質、高出力特性、殊に周波数特性の向上が要求され、その為には、殊にS/N比の向上が強く要求されている。
【0004】
磁気記録媒体のこれらの諸特性は磁気記録媒体に使用される磁性粒子粉末と密接な関係が有り、近年においては、ディジタルオーディオテープ(DAT)、8mmビデオテープ、Hi−8テープ並びにビデオフロッピー等の磁気記録媒体に使用される磁性粒子粉末として従来の酸化鉄磁性粒子粉末に比較して高い保磁力と大きな飽和磁化を有する鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末が主流となっている。
【0005】
磁気記録分野における諸特性の向上はとどまることがなく、殊に、前記S/N比等磁気記録媒体の諸特性の向上に大きく影響する鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末についても更なる特性改善が強く要求されている。
即ち、鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末のビヒクル中での分散性が優れているとともに、塗膜中での配向性及び充填性を向上させるための改良及び鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末自体の特性改善とが強く要求されている。
【0006】
前者の要求を満たすために、鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末の粒子表面を各種有機化合物や無機化合物を用いて改質する方法や結合剤樹脂として−SOM、−COOH等の極性基を有する結合剤樹脂を用いることが広く行われている。
【0007】
後者の要求を満たすために、鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末の微粒子化はもちろん、微粒子化に伴って益々困難となる粒子形状の保持、軸比(長軸径/短軸径)の向上及び磁気特性の向上のための試みが種々行われている。このような諸特性を有する鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末を得るためには、先ず出発原料である針状ゲータイト粒子粉末自体が微粒子で軸比が大きく粒子サイズの分布が狭いことが必要であり、次いで、該針状ゲータイト粒子粉末の粒子形態をできる限り承継することが肝要である。針状ゲータイト粒子の粒子形態を継承するためには、加熱還元に先立って該針状ゲータイト粒子粉末又は、該針状ゲータイト粒子粉末を加熱脱水して得られる針状ヘマタイト粒子粉末の粒子表面を各種無機化合物や有機化合物で被覆することが行われている。
【0008】
鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末の微粒子化は、周知の通り、ビヒクル中での分散性、塗膜中での配向性及び充填性を阻害する要因となる。また、針状ゲータイト粒子や針状ヘマタイト粒子の粒子表面を被覆した各種無機化合物は、必然的に加熱還元して得られた鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末の粒子表面にそのまま存在し又は拡散して粒子表面の状態を変性させるため、結合剤樹脂とのなじみや相溶性に大きく影響することとなる。
【0009】
そこで、これら鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末の微粒子化や粒子表面の状態にできるだけ影響されることなく、鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末のビヒクル中での分散性、塗膜中での配向性及び充填性を向上させることが強く要求されている。
【0010】
従来、鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末のビヒクル中での分散性や酸化安定性等の諸特性を向上させるために、鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末の製造工程の各種段階、即ち、加熱還元直後の粒子表面に酸化物被膜が形成されていない段階、加熱還元後の徐酸化中の段階及び徐酸化により粒子表面に酸化物被膜が形成された後の段階でアンモニア等の塩基性ガスを接触させる方法が知られている。(特開昭49−89899号、特開昭49−99004号、特開昭51−51796号、特開昭51−63494号、特公昭55−4802号、特開昭61−270315号、特開昭62−156202号、特開昭63−88806号、特開平3−101103号、特公平5−57321号、特開平6−29112号等)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末の微粒子化や粒子表面の状態にできるだけ影響されることなく、ビヒクル中での分散性が優れているとともに塗膜中での配向性及び充填性が向上した鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末は現在、最も要求されているところではあるが、前出公知の方法は、いずれもこれら諸特性を十分満たすものとは言い難い。
【0012】
即ち、前出公知の方法に記載の粒子は、いずれも後述するpHの値の差が0以上であり、特に、前出特開昭63−88806号に記載の粒子は後出比較例7に示す通り、pH値の差が0であって、ビヒクル中での分散性、塗膜中での配向性及び充填性が十分とは言い難いものであった。
そこで、本発明は、鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末の微粒子化や粒子表面の状態にできるだけ影響されることなく、ビヒクル中での分散性が優れているとともに塗膜中での配向性及び充填性が向上した鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末を得ることを技術的課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記技術的課題は、次の通り本発明方法によって達成できる。
【0014】
即ち、本発明は、鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末に対し、アンモニア性窒素量が30〜800ppmの範囲であって可溶性塩の総量が800ppm以下であり、且つ、該針状合金磁性粒子粉末をJIS K 5101のpH値の測定方法に記載されているA法処理及びB法処理の各処理をして得られる水性懸濁液の各pH値が(A法処理して得られる水性懸濁液のpH値)−(B法処理して得られる水性懸濁液のpH値)<0の関係を満たすことを特徴とする平均長軸径0.05〜0.2μmの鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末である。
【0017】
また、本発明は、鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末に対し、可溶性アルカリ金属塩の量が500ppm以下であることを特徴とする前記いずれかの鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末である。
【0018】
また、本発明は、鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末に対し、可溶性アルカリ土類金属塩の量が300ppm以下であることを特徴とする前記いずれかの鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末である。
【0019】
また、組成が鉄とアルミニウム、コバルト及び希土類を含有することを特徴とする前記いずれかの鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末である。
【0020】
次に、本発明実施にあたっての諸条件について述べる。
先ず、本発明に係る鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末について述べる。本発明に係る鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末は、鉄を50〜95重量%、好ましくは60〜90重量%含有している粒子であり、必要により鉄以外のAl,Co,Ni,P,Si,B,稀土類等の元素を含有していても良い。鉄以外のこれら元素の含有量は、通常50重量%未満、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。微粒子化に伴う粒子形状の保持、大きな軸比(長軸径/短軸径)及び高い磁気特性を考慮すると、鉄とアルミニウム、コバルト及び稀土類とを含有することが好ましい。
【0021】
Alは、鉄を主成分とする合金磁性粒子粉末の金属元素の総量に対し0.1〜30mol%が好ましい。0.1mol%未満の場合は出発原料の加熱還元時における焼結防止効果が十分でなく、出発原料の粒子形状の承継が困難となるため得られる鉄を主成分とする合金磁性粒子粉末は粒子形状が崩れ、適切な軸比が得られ難くなる。30mol%を越える場合には、還元の進行を妨げるだけでなく、磁性に関与しない成分が増加するため大きな飽和磁化(σs)を有する鉄を主成分とする合金磁性粒子粉末を得ることが困難となる。
【0022】
Coは、飽和磁化の向上、酸化安定性の向上及び保磁力分布(SFD)等の特性向上のために好適な元素であり、鉄を主成分とする合金磁性粒子粉末の金属元素の総量に対し0.5〜35mol%が好ましい
【0023】
また、稀土類は、鉄を主成分とする合金磁性粒子粉末の金属元素の総量に対し0.1〜10mol%が好ましい。0.1mol%未満の場合は出発原料加熱還元時における焼結防止効果が十分でなく、出発原料の粒子形状の承継が困難となるため得られる鉄を主成分とする合金磁性粒子粉末は粒子形状が崩れ、適切な軸比が得られ難くなる。10mol%を越える場合には、還元の進行を妨げるだけでなく、磁性に関与しない成分が増加するため大きな飽和磁化(σs)を有する鉄を主成分とする合金磁性粒子粉末を得ることが困難となる。工業性を考慮すると比較的安価なNd,Y,La,Smが好ましい。
【0024】
鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末の平均長軸径は、0.05〜0.2μmが好ましく、より好ましくは0.08〜0.18μmである。軸比は3:1以上の針状粒子が好ましく、より好ましくは6:1以上である。ビヒクル中での分散性を考慮すれば、軸比の上限値は、20:1が好ましく、より好ましくは15:1である。
【0025】
上記針状粒子の形状は、針状はもちろん、紡錘状、米粒状等のいずれであってもよい。
粒度が均斉であって樹枝状粒子が混在していない紡錘状を呈した粒子が望ましい。該紡錘状を呈した粒子の長軸径の分布は0.4以下、好ましくは0.35以下であり、その下限値は0.1である。
紡錘状を呈した鉄を主成分とする合金磁性粒子は、第一鉄塩水溶液と炭酸アルカリ水溶液又は水酸化アルカリ・炭酸アルカリ水溶液とを反応して得られた粒度が均斉であって樹枝状粒子が混在していない紡錘状を呈したゲータイト粒子を出発原料として用いることにより得ることができる。
【0026】
鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末の磁気特性は、高密度記録化等の諸特性を考慮すれば、保磁力は1400〜2500Oeが好ましく、より好ましくは1500〜2500Oeである。飽和磁化は100〜170emu/gが好ましく、より好ましくは120〜160emu/gである。
【0027】
本発明に係る鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末は、K5101―1991に記載されているpH値の測定方法に記載されているA法処理及びB法処理の各処理をして得られる水性懸濁液のそれぞれをJIS Z 8802に記載のpH測定方法により測定した各pH値が(A法処理して得られる水性懸濁液のpH値)−(B法処理して得られる水性懸濁液のpH値)<0の関係を満たすことが肝要であり、好ましくは、(A法処理して得られる水性懸濁液のpH値)−(B法処理して得られる水性懸濁液のpH値)(以下、pH値の差という)が−0.1以下であり、より好ましくは−0.2以下である。その下限値は−0.5が好ましく、より好ましくは−0.4である。
【0028】
pH値の差が0以上の場合には、本発明の目的とするビヒクル中での分散性が優れているとともに塗膜中での配向性及び充填性が向上した鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末を得ることができない。
【0029】
本発明に係る鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末は、アンモニア性窒素量が30〜800ppmの範囲であることが好ましく、より好ましくは30〜500ppmの範囲である。30ppm未満の場合には、B法処理(以下常温法と言う)して得られる水性懸濁液のpH値が十分高くならないため、pH値の差が正になりやすい。800ppmを越える場合には、常温法により得られる水性懸濁液のpH値が十分高くなり、pHの差が負になりやすいが、本発明の目的とする効果が飽和または減少するので必要以上に多くする必要はない。
尚、アンモニア性窒素とは、JIS K0102−1993に記載のアンモニウムイオンの測定法によって測定されるものを言う。
【0030】
本発明に係る鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末は、Na、K等の可溶性アルカリ金属、Ca,Mg等の可溶性アルカリ土類金属等の可溶性塩を含む可溶性塩(以下、可溶性塩と言う)の総量がA法処理(以下、煮沸法と言う)して得られた水性懸濁液のpH値を測定した時の値で通常800ppm以下であることが好ましい。800ppmを越える場合には、煮沸法により得られる水性懸濁液のpH値が高くなるため、pH値の差が正になりやすい。また、過剰の可溶性塩はビヒクル中に分散させた時に樹脂と反応して、化合物を生成し、ドロップアウト等の弊害もでてくる。本発明の目的とする鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末を得るためには、可溶性塩が500ppm以下、より好ましくは400ppm以下である。
【0031】
本発明に係る鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末は、Na、K等の可溶性アルカリ金属塩が煮沸法で得られる水性懸濁液を測定した時の値で通常500ppm以下が好ましい。500ppmを越える場合には、煮沸法により得られる水性懸濁液のpH値が高くなるため、pH値の差が0以上になりやすい。また、過剰の可溶性塩はビヒクル中に分散させた時に樹脂と反応して、化合物を生成し、ドロップアウト等の弊害もでてくる。本発明の目的とする鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末を得るためには、可溶性アルカリ金属塩が400ppm以下、より好ましくは300ppm以下である。
【0032】
本発明に係る鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末は、Ca,Mg等の可溶性アルカリ土類金属塩が、煮沸法で得られる濾液を測定した時の値で通常300ppm以下が好ましく、100ppm以下、より好ましくは80ppm以下である。300ppmを越える場合には、煮沸法により得られる濾液のpH値が高くなるため、pH値の差が0以上になりやすい。また、過剰の可溶性塩はビヒクル中に分散させた時に樹脂と反応して、化合物を生成し、ドロップアウト等の弊害もでてくる。
【0033】
次に、本発明に係る鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末の製造法について述べる。
【0034】
本発明に係る鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末は、第一鉄塩水溶液と水酸化アルカリ水溶液、炭酸アルカリ水溶液又は水酸化アルカリ・炭酸アルカリ水溶液のいずれかとを反応して得られた鉄含有沈殿物を含む懸濁液に空気等の酸素含有ガスを通気して得られる針状ゲータイト粒子粉末又は該針状ゲータイト粒子粉末を濾別、洗浄、乾燥後、加熱脱水処理して得られる針状ヘマタイト粒子粉末を300〜700℃の温度範囲で加熱還元して、鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末とした後、酸素含有の非還元性ガスを通気しながら徐酸化して該粒子の粒子表面に酸化被膜を形成する、鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末を得る一般的な製造法において、上記針状ゲータイト粒子粉末及び上記針状ヘマタイト粒子粉末を純水で洗浄する等の各種処理を施してNa,Ca等の可溶性アルカリ金属塩やCa,Mg等の可溶性アルカリ土類金属塩などの可溶性塩を除去することにより不純物の含有量を少なくするとともに、上記加熱還元後の徐酸化の段階や徐酸化の終了後の後工程において、アンモニアガス及び酸素を含む湿った非還元性ガス流下、品温60〜180℃の範囲で処理することにより得ることができる。非還元性ガスとしては、窒素ガスが好ましい。
【0035】
針状ゲータイト粒子粉末や針状ヘマタイト粒子粉末の製造にあたっては、一般に、原料の水酸化アルカリ水溶液であるナトリウム塩、カリウム塩を用いる。特に工業的には水酸化アルカリ水溶液である水酸化ナトリウム水溶液や炭酸アルカリ水溶液である炭酸ナトリウム水溶液等を用いることが大半であり、この場合、アルカリ性水溶液に由来するナトリウム塩や第一鉄塩水溶液とアルカリ性水溶液との反応により生成した副生塩であるNaSO等に由来するナトリウム塩を粒子内部、粒子表
面及び相互にからみあった粒子間に含有、保有している。
【0036】
原料のアルカリ水溶液としてカリウム塩を用いた場合には、カリウム塩を粒子内部、粒子表面及び相互にからみあった粒子間に含有、保有している。これらNa,K等のアルカリ金属塩は、水溶液中から生成した針状ゲータイト粒子粉末を通常の条件下で水洗することにより大部分の可溶性アルカリ金属塩は除去できる。しかし、粒子内部や強固にからみあった凝集粒子には水洗のみでは除去できないアルカリ金属塩が保持されており、通常Na,K等のアルカリ金属塩を600〜2000ppm含有、保有している。この水洗で除去できなかったアルカリ金属塩は、後の加熱脱水工程や加熱還元工程において可溶化し、得られる鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末は可溶性アルカリ金属塩を多量に含むこととなる。
【0037】
また、針状ゲータイト粒子粉末や針状ヘマタイト粒子粉末は、原料である第一鉄塩水溶液や水、そして、洗浄時における水等の不純物に由来するCa,Mg等のアルカリ土類金属塩を通常200〜10000ppm含有、保有している。そして、これらのアルカリ土類金属塩もまた同様に、後の加熱脱水工程や加熱還元工程において可溶化し、得られる鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末は可溶性アルカリ土類金属塩を多量に含むこととなる。
【0038】
可溶性塩の少ない鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末は、例えば不純物含有量の少ない原料を用いて針状ゲータイト粒子を生成させる方法や針状ゲータイト粒子を加熱脱水、殊に300〜800℃で加熱脱水した後、純水を用いて洗浄する方法等により得ることができるが、後者の方法が工業的、経済的に有利である。
【0039】
本発明に係る鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末へのアンモニア性窒素の導入は、粒子表面に酸化被膜を形成した鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末をアンモニアに浸漬した後、乾燥する方法(浸漬法)や、鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末とアンモニアガスとを気相中で接触させる方法(気相接触法)のいずれでもよい。浸漬法の場合、溶媒として水を使用するために、処理条件によっては保磁力や飽和磁化が低下しやすくなるので気相接触法が好ましい。気相接触法の場合、加熱還元後の徐酸化中(徐酸化開始から終了まで)の段階でアンモニアガスと接触させるのが好ましく、殊に酸素ガス及びアンモニアガスとともに水蒸気濃度として0.1%以上を含む窒素ガス等の非還元性ガスを用いるのがより好ましい。
【0040】
次に、本発明に係る鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末を用いた磁気記録媒体及び製造方法について述べる。
磁気記録媒体は、非磁性支持体、必要により、該非磁性支持体上に形成された非磁性粒子粉末と結合剤樹脂と溶剤とを含む非磁性塗料を塗布、乾燥させた非磁性下地層及び上記非磁性支持体上又は該非磁性下地層上に形成された鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末と結合剤樹脂と溶剤とを含む磁性塗料を塗布、乾燥させた磁気記録層からなる。
非磁性支持体としては、現在、磁気記録媒体に汎用されているポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等の合成樹脂フィルム、アルミニウム、ステンレス等金属の箔や板および各種の紙を使用することができる。
【0041】
磁気記録層における鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末と結合剤樹脂との配合割合は、結合剤樹脂100重量部に対し、鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末が200〜2000重量部、好ましくは300〜1500重量部である。
【0042】
磁気記録層中には、通常用いられる潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤等を含んでいてもよい。
【0043】
結合剤樹脂としては、現在、磁気記録媒体の製造にあたって汎用されている塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、ウレタンエラストマー、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリビニルブチラール、ニトロセルロース等セルロース誘導体、ポリエステル樹脂、ポリブタジエン等の合成ゴム、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイソシアネート、電子線硬化型アクリルウレタン樹脂等とその混合物を使用することができる。また、各結合剤樹脂は、−COOH、−SOM等(MはH、Na及びKの1種又は2種以上の元素)の極性基を含んでいてもよい。本発明に係る鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末は、結合剤樹脂が殊に、極性基として−COOH、−SOMを含んでいる場合に、効果的に本発明の目的とする作用、効果を発揮することができ、ビヒクル中での分散性、塗膜中での配向性及び充填性の向上が顕著である。
【0044】
本発明に係る鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末は、該磁性粒子粉末を用いた磁気記録媒体の光沢度が160%以上、好ましくは170%以上、より好ましくは180%以上であることからビヒクル中での分散性が優れたものであって、角型比が0.87以上、好ましくは0.88以上であることから、塗膜中での配向性が向上したものであって、残留磁束密度が2800Gauss以上、好ましくは2900Gauss以上、より好ましくは3000Gauss以上であることから、充填性が向上したものである。
【0045】
【発明の実施の形態】
本発明の代表的な実施の形態は、次の通りである。
【0046】
粒子の平均長軸径、平均短軸径は、電子顕微鏡写真(×30000)を縦方向及び横方向にそれぞれ4倍に拡大した写真に示される粒子約350個について長軸径、短軸径をそれぞれ測定し、その平均値で示した。軸比は、平均長軸径と平均短軸径との比である。
長軸径の分布は、標準偏差値を平均長軸径の値で除した値で示した。標準偏差(S)は下記式によって得られる。
【0047】
【数1】
Figure 0003582578
【0048】
鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末の煮沸法及び常温法による水性懸濁液の各pH値は、JIS K 5101―1991に記載の測定方法で測定した値である。即ち、試料5gを下記のA法及びB法のそれぞれで処理して得られる水性懸濁液をビーカー100mlに移して、JIS Z 8802(pHの測定方法の7.)によって測定したpH値で示したものである。
A法:試料を入れた硬質三角フラスコに水100mlを加えて約5分間加熱して煮沸し、更に5分間煮沸する。減量をあらかじめ煮沸して炭酸ガスを除いた水を加えて補い、煮沸後三角フラスコにせんをして室温まで放冷する。
B法:試料を入れた硬質三角フラスコに、あらかじめ煮沸して炭酸ガスを除いた水100mlを加え、せんをして5分間振り混ぜる。
【0049】
粒子粉末に含有、保有されるNa,K,Ca,Mg,Fe,Al,Co,稀土類等の各元素のそれぞれの総量は、試料0.2gを25%の塩酸水溶液に浸漬して煮沸加熱することにより得られた溶解液を常温まで冷却後、純水を加えて100ccとした調整液を誘導結合型高周波プラズマ発光分光器(セイコー電子工業(株)製SPF−400型)を用いて測定した値で示した。粒子粉末に含有、保有されるNa,K,Ca,Mgの可溶性塩の各元素は、上記煮沸法並びに上記常温法により得られた各濾液を誘導結合型高周波プラズマ発光分光器(セイコー電子工業(株)製SPF−400型)を用いて測定した値で示した。粒子粉末に含有、保有されるSiは蛍光X線回折装置(理学電気工業(株)製3063M型)を使用し、JIS K 0119の蛍光X線分析通則に従って測定した値で示した。
【0050】
鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末のアンモニア性窒素量は、JIS K0102―1993の42、アンモニウムイオン[NH ]の測定方法により測定した値で示した。即ち、試料を42.1に記載の前処理(蒸留法)により処理して妨害物質から分離した後、42.2のインドフェノール青吸光光度法によりアンモニウムイオンを定量した値で示した。
【0051】
鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末の磁気特性は、「振動試料型磁力計VSM−3S−15」(東英工業株式会社製)を使用し、外部磁場10KOeまでかけて測定した。
【0052】
塗膜表面の光沢度は、「グロスメーターUGV−5D」(スガ試験機株式会社製)を用いて塗膜の45°光沢度を測定して求めた。
【0053】
<鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末の製造>
先ず、純水洗浄によって得られた平均長軸径0.25μm、軸比(平均長軸径/平均短軸径)13、長軸径の分布0.21の紡錘状ゲータイト粒子粉末(金属元素の総量(Fe、Al、Co及びNa)に対してAl量が8.2mol%、Co量が3.5mol%、Nd量が1.4mol%であって、紡錘状ゲータイト粒子粉末の総量に対してNa量が950ppm、Ca量が151ppm、Mg量が135ppm、K量が42ppm)を用意した。この紡錘状ゲータイト粒子粉末を750℃の空気中で加熱脱水して紡錘状ヘマタイト粒子粉末を得た。得られた紡錘状ヘマタイト粒子粉末は、Na量が1030ppm、Ca量が159ppm、Mg量が158ppm、K量が47ppmであった。この紡錘状ヘマタイト粒子粉末を粉砕、邂逅し、純水で洗浄、濾過、成形、乾燥した。この処理により得られた紡錘状ヘマタイト粒子粉末は、Na量が101ppm、Ca量が155ppm、Mg量が152ppm、K量が16ppmであった。
【0054】
この可溶性塩の少ない紡錘状ヘマタイト粒子粉末100gを品温450℃で露点が−40℃になるまで水素ガス流下で加熱還元してAl,Co及びNdを含有する鉄を主成分とする針状合金磁性粒子を製造した。加熱還元終了後、窒素ガスに切り替え品温が70℃になるまで冷却した。
【0055】
次に、ガス温を70℃にコントロールしながら、窒素ガス35lに対し酸素ガス濃度0.450%(空気)及び水蒸気濃度0.367%になるように調整した混合ガスを通気して粒子表面に酸化被膜を形成するとともにアンモニアガスの濃度が0.024%になるようにアンモニアガスを接触させた。
品温は145℃まで上昇し、発熱が収まった時点でガス温を室温まで下げた。この間、混合ガスを流し続けた。
【0056】
得られたAl,Co及びNdを含有する鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末は、平均長軸径0.18μm、軸比8、長軸径の分布0.28であって、保磁力1590Oe、飽和磁化値131emu/gであり、粉末のpH値は、煮沸法による場合が9.8、常温法による場合が10であり、pH値の差は−0.2であった。このAl,Co及びNdを含有する鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末は、金属元素の総量(Fe、Al、Co及びNd)に対してAl量が8.0mol%、Co量が3.4mol%、及びNd量が1.3mol%であって、Al,Co及びNdを含有する鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末に対し、Na量が145ppm(可溶性Na量が煮沸法の場合143ppm、常温法の場合110ppm)、K量が22ppm(可溶性K量が煮沸法の場合20ppm、常温法の場合19ppm)、Ca量が202ppm(可溶性Ca量が煮沸法の場合65ppm、常温法の場合8ppm)、Mg量が196ppm(可溶性Mg量が煮沸法の場合5ppm、常温法の場合3ppm)であって、可溶性塩の総量は、233ppmであった。そして、アンモニア性窒素量は290ppmであった。
【0057】
この鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末12g、研磨剤(商品名:AKP−50、住友化学(株)製)1.2g、カーボンブラック(商品名:#2400B、三菱化学(株)製)0.24g、結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂30重量%とシクロヘキサノン70重量%)及びシクロヘキサノンとを混合して混合物(固形分率78%)を得、この混合物を更にプラストミルで30分間混練して混練物を得た。
【0058】
この混練物を1.5mmφガラスビーズ95g、結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂30重量%、溶剤(メチルエチルケトン:トルエン=1:1)70重量%)、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン及びトルエンとともに140mlガラス瓶に添加し、ペイントシェーカーで6時間混合・分散を行った。更に、潤滑剤及び硬化剤を加えた後、ペイントシェーカーで15分間混合・分散させて磁性塗料を得た。
【0059】
得られた磁性塗料の組成は次の通りであった。
Figure 0003582578
【0060】
この磁性塗料を厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの上にアプリケーターを用いて15μmの厚さに塗布した後、磁場中において配向・乾燥し、次いで、カレンダー処理を行った後、60℃で24時間硬化反応を行い0.5インチ巾にスリットして磁気テープを得た。磁気記録層の厚みは1.0μmであった。
【0061】
得られた磁気テープは、光沢度200%、角型比(Br/Bm)が0.900、残留磁束密度値(Br)が3120Gauss及び保磁力値(Hc)1520Oeであった。
【0062】
【作用】
本発明において最も重要な点は、鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末のpHの差が0以上ではなく負の場合には、ビヒクル中での分散性が優れているとともに塗膜中での配向性及び充填性が向上した鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末が得られるという事実である。
【0063】
この事実について説明する。
このpH値の差に影響する要因について鑑みた結果、鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末のアンモニア性窒素量と可溶性塩の量が大きく影響するという知見を得た。即ち、鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末のアンモニア性窒素量が30〜800ppmの範囲であって、可溶性塩の量、可溶性アルカリ金属塩の量、又は可溶性アルカリ土類金属塩の量が特定量以下である場合にpH値の差が負となり、アンモニア性窒素量が上記範囲からはずれる場合や可溶性塩の量、可溶性アルカリ金属塩の量、又は可溶性アルカリ土類金属塩の量が特定量以上になった場合はpH値の差が正となる。このようにpH値の差が正になったり負になったりする理由は未だ明らかではないが、煮沸法による濾液のpH値の発現は、アンモニア性窒素が揮発して飛散するため主として可溶性アルカリ金属塩の量、可溶性アルカリ土類金属塩の量又は、可溶性塩の量によるものであり、一方、常温法による濾液のpH値の発現は、アンモニア性窒素は揮発しにくいのでそのまま存在するから、アンモニア性窒素及び可溶性アルカリ金属塩の量、可溶性アルカリ土類金属塩の量又は、可溶性塩の量によるものであると考えている。従って、pH値の差が0未満になるようにアンモニア性窒素量と可溶性塩の量との両者を適当な範囲に調整することにより、本発明の目的とする諸特性の向上した鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末を得ることができる。
【0064】
即ち、後出比較例に示す通り、鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末のアンモニア性窒素量が特定範囲内にあったとしても可溶性ナトリウム塩が多い場合には、煮沸法による濾液のpH値は常温法による濾液のpH値と同等又はそれ以上になってpH値の差は0以上となり、また、可溶性塩の量が少ない場合でもアンモニア性窒素量が特定範囲にない場合には同様に、煮沸法による濾液のpH値は常温法による濾液のpH値よりも高くなってpH値の差は正となり、このような鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末は、本発明の目的とする諸特性の向上は認められない。
【0065】
【実施例】
次に実施例並びに比較例を挙げる。
【0066】
実施例1〜7、比較例1〜7
前記発明の実施の形態において、粒子形状、組成、可溶性アルカリ金属塩の量、可溶性アルカリ土類金属塩の量及び可溶性塩の量が種々異なる出発原料を用いるとともに、加熱還元条件、徐酸化条件等を種々変化させることにより、アンモニア性窒素量、可溶性アルカリ金属塩の量、可溶性アルカリ土類金属塩の量及び可溶性塩の量が異なる種々の鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末を得た。
【0067】
得られた鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末を表1及び表2に示す。
尚、比較例6の鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末は、前記発明の実施の形態において、紡錘状ヘマタイト粒子粉末を純水で洗浄することなくそのまま還元した後、250℃で水素をアンモニアガスに代えて1時間処理し、次いで品温が70℃になった時点で窒素と酸素(空気)の混合ガスで徐酸化を行うことにより得たものである。得られた鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末は、表2に示す通り、アンモニア性窒素が0ppmであることから、品温が250℃の高温でアンモニアガスと接触させた場合には、アンモニア性窒素を効果的に導入できないことが認められた。
【0068】
比較例7の鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末は、前記発明の実施の形態において、紡錘状ヘマタイト粒子粉末を純水で洗浄することなくそのまま還元した後、品温が70℃になった時点で窒素と酸素(空気)の混合ガスで徐酸化を行い、次いで窒素流通下に品温を100℃に昇温し、アンモニアガスと窒素の混合ガスで1時間処理し、更に窒素流通下に品温を250℃に昇温して1時間処理することにより得たものである(特開昭63−88806号に記載の方法)。得られた鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末は、表2に示す通り、アンモニア性窒素が25ppmであることから、アンモニアガスと接触させた後、更に、窒素流通下で処理した場合にも、アンモニア性窒素を効果的に導入できないことが認められた。
【0069】
【表1】
Figure 0003582578
【0070】
【表2】
Figure 0003582578
【0071】
実施例8〜16、比較例8〜15
鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末の種類及び官能基の異なる結合剤樹脂を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体の諸特性を表3に示す。
【0072】
【表3】
Figure 0003582578
【0073】
【発明の効果】
本発明に係る鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末は、ビヒクル中での分散性が優れているとともに、塗膜中での配向性及び充填性が向上したものであるので高性能、高密度記録用磁性粒子粉末として好適である。
そして、本発明に係る鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末を用いた磁気記録媒体は、光沢が優れているとともに、配向度及び飽和磁束密度がともに大きいものであるから高性能、高密度記録用磁気記録媒体として好適である。

Claims (4)

  1. 鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末に対し、アンモニア性窒素量が30〜800ppmの範囲であって可溶性塩の総量が800ppm以下であり、且つ、該針状合金磁性粒子粉末をJIS K 5101―1991のpH値の測定方法に記載されているA法処理及びB法処理の各処理をして得られる水性懸濁液の各pH値が(A法処理して得られる水性懸濁液のpH値)−(B法処理して得られる水性懸濁液のpH値)<0の関係を満たすことを特徴とする平均長軸径0.05〜0.2μmの鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末。
  2. 鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末に対し、可溶性アルカリ金属塩の量が500ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末。
  3. 鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末に対し、可溶性アルカリ土類金属塩の量が300ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末。
  4. 組成が鉄とアルミニウム、コバルト及び希土類を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかの請求項に記載の鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末。
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