JP2000106307A - 鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末 - Google Patents

鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末

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JP2000106307A JP11214817A JP21481799A JP2000106307A JP 2000106307 A JP2000106307 A JP 2000106307A JP 11214817 A JP11214817 A JP 11214817A JP 21481799 A JP21481799 A JP 21481799A JP 2000106307 A JP2000106307 A JP 2000106307A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末の微
粒子化や粒子表面の状態にできるだけ影響されることな
く、ビヒクル中での分散性が優れているとともに塗膜中
での配向性及び充填性が向上した鉄を主成分とする針状
合金磁性粒子粉末を得る。 【解決手段】 JIS K 5101のpH値の測定方
法に記載されているA法処理及びB法処理の各処理をし
て得られる水性懸濁液のそれぞれをJIS Z8802
に記載のpH測定方法により測定した各pH値が(A法
処理して得られる濾液のpH値)−(B法処理して得ら
れる濾液のpH値)<0の関係を満たすことを特徴とす
る平均長軸径0.05〜0.2μmの鉄を主成分とする
針状合金磁性粒子粉末。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ビヒクル、殊に−SO
3M(但し、MはH、Na、Kである。)、−COOH
等の極性基を有する結合剤樹脂を含むビヒクル中での分
散性が優れているとともに、塗膜中での配向性及び充填
性が向上した鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末を
提供することを目的とするものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ビデオ用、オーディオ用磁気記録
再生用機器の長時間記録化、小型軽量化が激化してきて
おり、特に昨今におけるVTR(ビデオ・テープ・レコ
ーダー)の普及は目覚しく、長時間記録化並びに小型軽
量化を目指したVTRの開発が盛んに行われている。
【0003】一方、磁気記録媒体である磁気テープに対
する高性能化、高密度記録化の要求が益々高まってきて
いる。即ち、磁気記録媒体の高画像画質、高出力特性、
殊に周波数特性の向上が要求され、その為には、殊にS
/N比の向上が強く要求されている。
【0004】磁気記録媒体のこれらの諸特性は磁気記録
媒体に使用される磁性粒子粉末と密接な関係が有り、近
年においては、ディジタルオーディオテープ(DA
T)、8mmビデオテープ、Hi−8テープ並びにビデ
オフロッピー等の磁気記録媒体に使用される磁性粒子粉
末として従来の酸化鉄磁性粒子粉末に比較して高い保磁
力と大きな飽和磁化を有する鉄を主成分とする針状合金
磁性粒子粉末が主流となっている。
【0005】磁気記録分野における諸特性の向上はとど
まることがなく、殊に、前記S/N比等磁気記録媒体の
諸特性の向上に大きく影響する鉄を主成分とする針状合
金磁性粒子粉末についても更なる特性改善が強く要求さ
れている。即ち、鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉
末のビヒクル中での分散性が優れているとともに、塗膜
中での配向性及び充填性を向上させるための改良及び鉄
を主成分とする針状合金磁性粒子粉末自体の特性改善と
が強く要求されている。
【0006】前者の要求を満たすために、鉄を主成分と
する針状合金磁性粒子粉末の粒子表面を各種有機化合物
や無機化合物を用いて改質する方法や結合剤樹脂として
−SO3M、−COOH等の極性基を有する結合剤樹脂
を用いることが広く行われている。
【0007】後者の要求を満たすために、鉄を主成分と
する針状合金磁性粒子粉末の微粒子化はもちろん、微粒
子化に伴って益々困難となる粒子形状の保持、軸比(長
軸径/短軸径)の向上及び磁気特性の向上のための試み
が種々行われている。このような諸特性を有する鉄を主
成分とする針状合金磁性粒子粉末を得るためには、先ず
出発原料である針状ゲータイト粒子粉末自体が微粒子で
軸比が大きく粒子サイズの分布が狭いことが必要であ
り、次いで、該針状ゲータイト粒子粉末の粒子形態をで
きる限り承継することが肝要である。針状ゲータイト粒
子の粒子形態を継承するためには、加熱還元に先立って
該針状ゲータイト粒子粉末又は、該針状ゲータイト粒子
粉末を加熱脱水して得られる針状ヘマタイト粒子粉末の
粒子表面を各種無機化合物や有機化合物で被覆すること
が行われている。
【0008】鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末の
微粒子化は、周知の通り、ビヒクル中での分散性、塗膜
中での配向性及び充填性を阻害する要因となる。また、
針状ゲータイト粒子や針状ヘマタイト粒子の粒子表面を
被覆した各種無機化合物は、必然的に加熱還元して得ら
れた鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末の粒子表面
にそのまま存在し又は拡散して粒子表面の状態を変性さ
せるため、結合剤樹脂とのなじみや相溶性に大きく影響
することとなる。
【0009】そこで、これら鉄を主成分とする針状合金
磁性粒子粉末の微粒子化や粒子表面の状態にできるだけ
影響されることなく、鉄を主成分とする針状合金磁性粒
子粉末のビヒクル中での分散性、塗膜中での配向性及び
充填性を向上させることが強く要求されている。
【0010】従来、鉄を主成分とする針状合金磁性粒子
粉末のビヒクル中での分散性や酸化安定性等の諸特性を
向上させるために、鉄を主成分とする針状合金磁性粒子
粉末の製造工程の各種段階、即ち、加熱還元直後の粒子
表面に酸化物被膜が形成されていない段階、加熱還元後
の徐酸化中の段階及び徐酸化により粒子表面に酸化物被
膜が形成された後の段階でアンモニア等の塩基性ガスを
接触させる方法が知られている。(特開昭49−898
99号、特開昭49−99004号、特開昭51−51
796号、特開昭51−63494号、特公昭55−4
802号、特開昭61−270315号、特開昭62−
156202号、特開昭63−88806号、特開平3
−101103号、特公平5−57321号、特開平6
−29112号等)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】鉄を主成分とする針状
合金磁性粒子粉末の微粒子化や粒子表面の状態にできる
だけ影響されることなく、ビヒクル中での分散性が優れ
ているとともに塗膜中での配向性及び充填性が向上した
鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末は現在、最も要
求されているところではあるが、前出公知の方法は、い
ずれもこれら諸特性を十分満たすものとは言い難い。
【0012】即ち、前出公知の方法に記載の粒子は、い
ずれも後述するpHの値の差が0以上であり、特に、前
出特開昭63−88806号に記載の粒子は後出比較例
7に示す通り、pH値の差が0であって、ビヒクル中で
の分散性、塗膜中での配向性及び充填性が十分とは言い
難いものであった。そこで、本発明は、鉄を主成分とす
る針状合金磁性粒子粉末の微粒子化や粒子表面の状態に
できるだけ影響されることなく、ビヒクル中での分散性
が優れているとともに塗膜中での配向性及び充填性が向
上した鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末を得るこ
とを技術的課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記技術的課題は、次の
通り本発明方法によって達成できる。
【0014】即ち、本発明は、JIS K 5101の
pH値の測定方法に記載されているA法処理及びB法処
理の各処理をして得られる水性懸濁液の各pH値が(A
法処理して得られる水性懸濁液のpH値)−(B法処理
して得られる水性懸濁液のpH値)<0の関係を満たす
ことを特徴とする平均長軸径0.05〜0.2μmの鉄
を主成分とする針状合金磁性粒子粉末である。
【0015】また、本発明は、鉄を主成分とする針状合
金磁性粒子粉末に対し、アンモニア性窒素量が30〜8
00ppmの範囲であることを特徴とする前記鉄を主成
分とする針状合金磁性粒子粉末である。
【0016】また、本発明は、鉄を主成分とする針状合
金磁性粒子粉末に対し、可溶性塩の総量が800ppm
以下であることを特徴とする前記いずれかの鉄を主成分
とする針状合金磁性粒子粉末である。
【0017】また、本発明は、鉄を主成分とする針状合
金磁性粒子粉末に対し、可溶性アルカリ金属塩の量が5
00ppm以下であることを特徴とする前記いずれかの
鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末である。
【0018】また、本発明は、鉄を主成分とする針状合
金磁性粒子粉末に対し、可溶性アルカリ土類金属塩の量
が300ppm以下であることを特徴とする前記いずれ
かの鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末である。
【0019】また、組成が鉄とアルミニウム、コバルト
及び希土類を含有することを特徴とする前記いずれかの
鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末である。
【0020】次に、本発明実施にあたっての諸条件につ
いて述べる。先ず、本発明に係る鉄を主成分とする針状
合金磁性粒子粉末について述べる。本発明に係る鉄を主
成分とする針状合金磁性粒子粉末は、鉄を50〜95重
量%、好ましくは60〜90重量%含有している粒子で
あり、必要により鉄以外のAl,Co,Ni,P,S
i,B,稀土類等の元素を含有していても良い。鉄以外
のこれら元素の含有量は、通常50重量%未満、好まし
くは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%
である。微粒子化に伴う粒子形状の保持、大きな軸比
(長軸径/短軸径)及び高い磁気特性を考慮すると、鉄
とアルミニウム、コバルト及び稀土類とを含有すること
が好ましい。
【0021】Alは、鉄を主成分とする合金磁性粒子粉
末の金属元素の総量に対し0.1〜30mol%が好ま
しい。0.1mol%未満の場合は出発原料の加熱還元
時における焼結防止効果が十分でなく、出発原料の粒子
形状の承継が困難となるため得られる鉄を主成分とする
合金磁性粒子粉末は粒子形状が崩れ、適切な軸比が得ら
れ難くなる。30mol%を越える場合には、還元の進
行を妨げるだけでなく、磁性に関与しない成分が増加す
るため大きな飽和磁化(σs)を有する鉄を主成分とす
る合金磁性粒子粉末を得ることが困難となる。
【0022】Coは、飽和磁化の向上、酸化安定性の向
上及び保磁力分布(SFD)等の特性向上のために好適
な元素であり、鉄を主成分とする合金磁性粒子粉末の金
属元素の総量に対し0.5〜35mol%が好ましい
【0023】また、稀土類は、鉄を主成分とする合金磁
性粒子粉末の金属元素の総量に対し0.1〜10mol
%が好ましい。0.1mol%未満の場合は出発原料加
熱還元時における焼結防止効果が十分でなく、出発原料
の粒子形状の承継が困難となるため得られる鉄を主成分
とする合金磁性粒子粉末は粒子形状が崩れ、適切な軸比
が得られ難くなる。10mol%を越える場合には、還
元の進行を妨げるだけでなく、磁性に関与しない成分が
増加するため大きな飽和磁化(σs)を有する鉄を主成
分とする合金磁性粒子粉末を得ることが困難となる。工
業性を考慮すると比較的安価なNd,Y,La,Smが
好ましい。
【0024】鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末の
平均長軸径は、0.05〜0.2μmが好ましく、より
好ましくは0.08〜0.18μmである。軸比は3:
1以上の針状粒子が好ましく、より好ましくは6:1以
上である。ビヒクル中での分散性を考慮すれば、軸比の
上限値は、20:1が好ましく、より好ましくは15:
1である。
【0025】上記針状粒子の形状は、針状はもちろん、
紡錘状、米粒状等のいずれであってもよい。粒度が均斉
であって樹枝状粒子が混在していない紡錘状を呈した粒
子が望ましい。該紡錘状を呈した粒子の長軸径の分布は
0.4以下、好ましくは0.35以下であり、その下限
値は0.1である。紡錘状を呈した鉄を主成分とする合
金磁性粒子は、第一鉄塩水溶液と炭酸アルカリ水溶液又
は水酸化アルカリ・炭酸アルカリ水溶液とを反応して得
られた粒度が均斉であって樹枝状粒子が混在していない
紡錘状を呈したゲータイト粒子を出発原料として用いる
ことにより得ることができる。
【0026】鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末の
磁気特性は、高密度記録化等の諸特性を考慮すれば、保
磁力は1400〜2500Oeが好ましく、より好まし
くは1500〜2500Oeである。飽和磁化は100
〜170emu/gが好ましく、より好ましくは120
〜160emu/gである。
【0027】本発明に係る鉄を主成分とする針状合金磁
性粒子粉末は、K5101―1991に記載されている
pH値の測定方法に記載されているA法処理及びB法処
理の各処理をして得られる水性懸濁液のそれぞれをJI
S Z 8802に記載のpH測定方法により測定した
各pH値が(A法処理して得られる水性懸濁液のpH
値)−(B法処理して得られる水性懸濁液のpH値)<
0の関係を満たすことが肝要であり、好ましくは、(A
法処理して得られる水性懸濁液のpH値)−(B法処理
して得られる水性懸濁液のpH値)(以下、pH値の差
という)が−0.1以下であり、より好ましくは−0.
2以下である。その下限値は−0.5が好ましく、より
好ましくは−0.4である。
【0028】pH値の差が0以上の場合には、本発明の
目的とするビヒクル中での分散性が優れているとともに
塗膜中での配向性及び充填性が向上した鉄を主成分とす
る針状合金磁性粒子粉末を得ることができない。
【0029】本発明に係る鉄を主成分とする針状合金磁
性粒子粉末は、アンモニア性窒素量が30〜800pp
mの範囲であることが好ましく、より好ましくは30〜
500ppmの範囲である。30ppm未満の場合に
は、B法処理(以下常温法と言う)して得られる水性懸
濁液のpH値が十分高くならないため、pH値の差が正
になりやすい。800ppmを越える場合には、常温法
により得られる水性懸濁液のpH値が十分高くなり、p
Hの差が負になりやすいが、本発明の目的とする効果が
飽和または減少するので必要以上に多くする必要はな
い。尚、アンモニア性窒素とは、JIS K0102−
1993に記載のアンモニウムイオンの測定法によって
測定されるものを言う。
【0030】本発明に係る鉄を主成分とする針状合金磁
性粒子粉末は、Na、K等の可溶性アルカリ金属、C
a,Mg等の可溶性アルカリ土類金属等の可溶性塩を含
む可溶性塩(以下、可溶性塩と言う)の総量がA法処理
(以下、煮沸法と言う)して得られた水性懸濁液のpH
値を測定した時の値で通常800ppm以下であること
が好ましい。800ppmを越える場合には、煮沸法に
より得られる水性懸濁液のpH値が高くなるため、pH
値の差が正になりやすい。また、過剰の可溶性塩はビヒ
クル中に分散させた時に樹脂と反応して、化合物を生成
し、ドロップアウト等の弊害もでてくる。本発明の目的
とする鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末を得るた
めには、可溶性塩が500ppm以下、より好ましくは
400ppm以下である。
【0031】本発明に係る鉄を主成分とする針状合金磁
性粒子粉末は、Na、K等の可溶性アルカリ金属塩が煮
沸法で得られる水性懸濁液を測定した時の値で通常50
0ppm以下が好ましい。500ppmを越える場合に
は、煮沸法により得られる水性懸濁液のpH値が高くな
るため、pH値の差が0以上になりやすい。また、過剰
の可溶性塩はビヒクル中に分散させた時に樹脂と反応し
て、化合物を生成し、ドロップアウト等の弊害もでてく
る。本発明の目的とする鉄を主成分とする針状合金磁性
粒子粉末を得るためには、可溶性アルカリ金属塩が40
0ppm以下、より好ましくは300ppm以下であ
る。
【0032】本発明に係る鉄を主成分とする針状合金磁
性粒子粉末は、Ca,Mg等の可溶性アルカリ土類金属
塩が、煮沸法で得られる濾液を測定した時の値で通常3
00ppm以下が好ましく、100ppm以下、より好
ましくは80ppm以下である。300ppmを越える
場合には、煮沸法により得られる濾液のpH値が高くな
るため、pH値の差が0以上になりやすい。また、過剰
の可溶性塩はビヒクル中に分散させた時に樹脂と反応し
て、化合物を生成し、ドロップアウト等の弊害もでてく
る。
【0033】次に、本発明に係る鉄を主成分とする針状
合金磁性粒子粉末の製造法について述べる。
【0034】本発明に係る鉄を主成分とする針状合金磁
性粒子粉末は、第一鉄塩水溶液と水酸化アルカリ水溶
液、炭酸アルカリ水溶液又は水酸化アルカリ・炭酸アル
カリ水溶液のいずれかとを反応して得られた鉄含有沈殿
物を含む懸濁液に空気等の酸素含有ガスを通気して得ら
れる針状ゲータイト粒子粉末又は該針状ゲータイト粒子
粉末を濾別、洗浄、乾燥後、加熱脱水処理して得られる
針状ヘマタイト粒子粉末を300〜700℃の温度範囲
で加熱還元して、鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉
末とした後、酸素含有の非還元性ガスを通気しながら徐
酸化して該粒子の粒子表面に酸化被膜を形成する、鉄を
主成分とする針状合金磁性粒子粉末を得る一般的な製造
法において、上記針状ゲータイト粒子粉末及び上記針状
ヘマタイト粒子粉末を純水で洗浄する等の各種処理を施
してNa,Ca等の可溶性アルカリ金属塩やCa,Mg
等の可溶性アルカリ土類金属塩などの可溶性塩を除去す
ることにより不純物の含有量を少なくするとともに、上
記加熱還元後の徐酸化の段階や徐酸化の終了後の後工程
において、アンモニアガス及び酸素を含む湿った非還元
性ガス流下、品温60〜180℃の範囲で処理すること
により得ることができる。非還元性ガスとしては、窒素
ガスが好ましい。
【0035】針状ゲータイト粒子粉末や針状ヘマタイト
粒子粉末の製造にあたっては、一般に、原料の水酸化ア
ルカリ水溶液であるナトリウム塩、カリウム塩を用い
る。特に工業的には水酸化アルカリ水溶液である水酸化
ナトリウム水溶液や炭酸アルカリ水溶液である炭酸ナト
リウム水溶液等を用いることが大半であり、この場合、
アルカリ性水溶液に由来するナトリウム塩や第一鉄塩水
溶液とアルカリ性水溶液との反応により生成した副生塩
であるNa2SO4等に由来するナトリウム塩を粒子内
部、粒子表面及び相互にからみあった粒子間に含有、保
有している。
【0036】原料のアルカリ水溶液としてカリウム塩を
用いた場合には、カリウム塩を粒子内部、粒子表面及び
相互にからみあった粒子間に含有、保有している。これ
らNa,K等のアルカリ金属塩は、水溶液中から生成し
た針状ゲータイト粒子粉末を通常の条件下で水洗するこ
とにより大部分の可溶性アルカリ金属塩は除去できる。
しかし、粒子内部や強固にからみあった凝集粒子には水
洗のみでは除去できないアルカリ金属塩が保持されてお
り、通常Na,K等のアルカリ金属塩を600〜200
0ppm含有、保有している。この水洗で除去できなか
ったアルカリ金属塩は、後の加熱脱水工程や加熱還元工
程において可溶化し、得られる鉄を主成分とする針状合
金磁性粒子粉末は可溶性アルカリ金属塩を多量に含むこ
ととなる。
【0037】また、針状ゲータイト粒子粉末や針状ヘマ
タイト粒子粉末は、原料である第一鉄塩水溶液や水、そ
して、洗浄時における水等の不純物に由来するCa,M
g等のアルカリ土類金属塩を通常200〜10000p
pm含有、保有している。そして、これらのアルカリ土
類金属塩もまた同様に、後の加熱脱水工程や加熱還元工
程において可溶化し、得られる鉄を主成分とする針状合
金磁性粒子粉末は可溶性アルカリ土類金属塩を多量に含
むこととなる。
【0038】可溶性塩の少ない鉄を主成分とする針状合
金磁性粒子粉末は、例えば不純物含有量の少ない原料を
用いて針状ゲータイト粒子を生成させる方法や針状ゲー
タイト粒子を加熱脱水、殊に300〜800℃で加熱脱
水した後、純水を用いて洗浄する方法等により得ること
ができるが、後者の方法が工業的、経済的に有利であ
る。
【0039】本発明に係る鉄を主成分とする針状合金磁
性粒子粉末へのアンモニア性窒素の導入は、粒子表面に
酸化被膜を形成した鉄を主成分とする針状合金磁性粒子
粉末をアンモニアに浸漬した後、乾燥する方法(浸漬
法)や、鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末とアン
モニアガスとを気相中で接触させる方法(気相接触法)
のいずれでもよい。浸漬法の場合、溶媒として水を使用
するために、処理条件によっては保磁力や飽和磁化が低
下しやすくなるので気相接触法が好ましい。気相接触法
の場合、加熱還元後の徐酸化中(徐酸化開始から終了ま
で)の段階でアンモニアガスと接触させるのが好まし
く、殊に酸素ガス及びアンモニアガスとともに水蒸気濃
度として0.1%以上を含む窒素ガス等の非還元性ガス
を用いるのがより好ましい。
【0040】次に、本発明に係る鉄を主成分とする針状
合金磁性粒子粉末を用いた磁気記録媒体及び製造方法に
ついて述べる。磁気記録媒体は、非磁性支持体、必要に
より、該非磁性支持体上に形成された非磁性粒子粉末と
結合剤樹脂と溶剤とを含む非磁性塗料を塗布、乾燥させ
た非磁性下地層及び上記非磁性支持体上又は該非磁性下
地層上に形成された鉄を主成分とする針状合金磁性粒子
粉末と結合剤樹脂と溶剤とを含む磁性塗料を塗布、乾燥
させた磁気記録層からなる。非磁性支持体としては、現
在、磁気記録媒体に汎用されているポリエチレンテレフ
タレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボ
ネート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリ
アミドイミド、ポリイミド等の合成樹脂フィルム、アル
ミニウム、ステンレス等金属の箔や板および各種の紙を
使用することができる。
【0041】磁気記録層における鉄を主成分とする針状
合金磁性粒子粉末と結合剤樹脂との配合割合は、結合剤
樹脂100重量部に対し、鉄を主成分とする針状合金磁
性粒子粉末が200〜2000重量部、好ましくは30
0〜1500重量部である。
【0042】磁気記録層中には、通常用いられる潤滑
剤、研磨剤、帯電防止剤等を含んでいてもよい。
【0043】結合剤樹脂としては、現在、磁気記録媒体
の製造にあたって汎用されている塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体、ウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−
マレイン酸共重合体、ウレタンエラストマー、ブタジエ
ン−アクリロニトリル共重合体、ポリビニルブチラー
ル、ニトロセルロース等セルロース誘導体、ポリエステ
ル樹脂、ポリブタジエン等の合成ゴム、エポキシ樹脂、
ポリアミド樹脂、ポリイソシアネート、電子線硬化型ア
クリルウレタン樹脂等とその混合物を使用することがで
きる。また、各結合剤樹脂は、−COOH、−SO3
等(MはH、Na及びKの1種又は2種以上の元素)の
極性基を含んでいてもよい。本発明に係る鉄を主成分と
する針状合金磁性粒子粉末は、結合剤樹脂が殊に、極性
基として−COOH、−SO3Mを含んでいる場合に、
効果的に本発明の目的とする作用、効果を発揮すること
ができ、ビヒクル中での分散性、塗膜中での配向性及び
充填性の向上が顕著である。
【0044】本発明に係る鉄を主成分とする針状合金磁
性粒子粉末は、該磁性粒子粉末を用いた磁気記録媒体の
光沢度が160%以上、好ましくは170%以上、より
好ましくは180%以上であることからビヒクル中での
分散性が優れたものであって、角型比が0.87以上、
好ましくは0.88以上であることから、塗膜中での配
向性が向上したものであって、残留磁束密度が2800
Gauss以上、好ましくは2900Gauss以上、
より好ましくは3000Gauss以上であることか
ら、充填性が向上したものである。
【0045】
【発明の実施の形態】本発明の代表的な実施の形態は、
次の通りである。
【0046】粒子の平均長軸径、平均短軸径は、電子顕
微鏡写真(×30000)を縦方向及び横方向にそれぞ
れ4倍に拡大した写真に示される粒子約350個につい
て長軸径、短軸径をそれぞれ測定し、その平均値で示し
た。軸比は、平均長軸径と平均短軸径との比である。長
軸径の分布は、標準偏差値を平均長軸径の値で除した値
で示した。標準偏差(S)は下記式によって得られる。
【0047】
【数1】
【0048】鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末の
煮沸法及び常温法による水性懸濁液の各pH値は、JI
S K 5101―1991に記載の測定方法で測定し
た値である。即ち、試料5gを下記のA法及びB法のそ
れぞれで処理して得られる水性懸濁液をビーカー100
mlに移して、JIS Z 8802(pHの測定方法
の7.)によって測定したpH値で示したものである。 A法:試料を入れた硬質三角フラスコに水100mlを
加えて約5分間加熱して煮沸し、更に5分間煮沸する。
減量をあらかじめ煮沸して炭酸ガスを除いた水を加えて
補い、煮沸後三角フラスコにせんをして室温まで放冷す
る。 B法:試料を入れた硬質三角フラスコに、あらかじめ煮
沸して炭酸ガスを除いた水100mlを加え、せんをし
て5分間振り混ぜる。
【0049】粒子粉末に含有、保有されるNa,K,C
a,Mg,Fe,Al,Co,稀土類等の各元素のそれ
ぞれの総量は、試料0.2gを25%の塩酸水溶液に浸
漬して煮沸加熱することにより得られた溶解液を常温ま
で冷却後、純水を加えて100ccとした調整液を誘導
結合型高周波プラズマ発光分光器(セイコー電子工業
(株)製SPF−400型)を用いて測定した値で示し
た。粒子粉末に含有、保有されるNa,K,Ca,Mg
の可溶性塩の各元素は、上記煮沸法並びに上記常温法に
より得られた各濾液を誘導結合型高周波プラズマ発光分
光器(セイコー電子工業(株)製SPF−400型)を
用いて測定した値で示した。粒子粉末に含有、保有され
るSiは蛍光X線回折装置(理学電気工業(株)製30
63M型)を使用し、JIS K 0119の蛍光X線
分析通則に従って測定した値で示した。
【0050】鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末の
アンモニア性窒素量は、JIS K0102―1993
の42、アンモニウムイオン[NH4 +]の測定方法により
測定した値で示した。即ち、試料を42.1に記載の前
処理(蒸留法)により処理して妨害物質から分離した
後、42.2のインドフェノール青吸光光度法によりア
ンモニウムイオンを定量した値で示した。
【0051】鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末の
磁気特性は、「振動試料型磁力計VSM−3S−15」
(東英工業株式会社製)を使用し、外部磁場10KOe
までかけて測定した。
【0052】塗膜表面の光沢度は、「グロスメーターU
GV−5D」(スガ試験機株式会社製)を用いて塗膜の
45°光沢度を測定して求めた。
【0053】<鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末
の製造>先ず、純水洗浄によって得られた平均長軸径
0.25μm、軸比(平均長軸径/平均短軸径)13、
長軸径の分布0.21の紡錘状ゲータイト粒子粉末(金
属元素の総量(Fe、Al、Co及びNa)に対してA
l量が8.2mol%、Co量が3.5mol%、Nd
量が1.4mol%であって、紡錘状ゲータイト粒子粉
末の総量に対してNa量が950ppm、Ca量が15
1ppm、Mg量が135ppm、K量が42ppm)
を用意した。この紡錘状ゲータイト粒子粉末を750℃
の空気中で加熱脱水して紡錘状ヘマタイト粒子粉末を得
た。得られた紡錘状ヘマタイト粒子粉末は、Na量が1
030ppm、Ca量が159ppm、Mg量が158
ppm、K量が47ppmであった。この紡錘状ヘマタ
イト粒子粉末を粉砕、邂逅し、純水で洗浄、濾過、成
形、乾燥した。この処理により得られた紡錘状ヘマタイ
ト粒子粉末は、Na量が101ppm、Ca量が155
ppm、Mg量が152ppm、K量が16ppmであ
った。
【0054】この可溶性塩の少ない紡錘状ヘマタイト粒
子粉末100gを品温450℃で露点が−40℃になる
まで水素ガス流下で加熱還元してAl,Co及びNdを
含有する鉄を主成分とする針状合金磁性粒子を製造し
た。加熱還元終了後、窒素ガスに切り替え品温が70℃
になるまで冷却した。
【0055】次に、ガス温を70℃にコントロールしな
がら、窒素ガス35lに対し酸素ガス濃度0.450%
(空気)及び水蒸気濃度0.367%になるように調整
した混合ガスを通気して粒子表面に酸化被膜を形成する
とともにアンモニアガスの濃度が0.024%になるよ
うにアンモニアガスを接触させた。品温は145℃まで
上昇し、発熱が収まった時点でガス温を室温まで下げ
た。この間、混合ガスを流し続けた。
【0056】得られたAl,Co及びNdを含有する鉄
を主成分とする針状合金磁性粒子粉末は、平均長軸径
0.18μm、軸比8、長軸径の分布0.28であっ
て、保磁力1590Oe、飽和磁化値131emu/g
であり、粉末のpH値は、煮沸法による場合が9.8、
常温法による場合が10であり、pH値の差は−0.2
であった。このAl,Co及びNdを含有する鉄を主成
分とする針状合金磁性粒子粉末は、金属元素の総量(F
e、Al、Co及びNd)に対してAl量が8.0mo
l%、Co量が3.4mol%、及びNd量が1.3m
ol%であって、Al,Co及びNdを含有する鉄を主
成分とする針状合金磁性粒子粉末に対し、Na量が14
5ppm(可溶性Na量が煮沸法の場合143ppm、
常温法の場合110ppm)、K量が22ppm(可溶
性K量が煮沸法の場合20ppm、常温法の場合19p
pm)、Ca量が202ppm(可溶性Ca量が煮沸法
の場合65ppm、常温法の場合8ppm)、Mg量が
196ppm(可溶性Mg量が煮沸法の場合5ppm、
常温法の場合3ppm)であって、可溶性塩の総量は、
233ppmであった。そして、アンモニア性窒素量は
290ppmであった。
【0057】この鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉
末12g、研磨剤(商品名:AKP−50、住友化学
(株)製)1.2g、カーボンブラック(商品名:#2
400B、三菱化学(株)製)0.24g、結合剤樹脂
溶液(スルホン酸ナトリウム基を有する塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合樹脂30重量%とシクロヘキサノン70
重量%)及びシクロヘキサノンとを混合して混合物(固
形分率78%)を得、この混合物を更にプラストミルで
30分間混練して混練物を得た。
【0058】この混練物を1.5mmφガラスビーズ9
5g、結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有す
るポリウレタン樹脂30重量%、溶剤(メチルエチルケ
トン:トルエン=1:1)70重量%)、シクロヘキサ
ノン、メチルエチルケトン及びトルエンとともに140
mlガラス瓶に添加し、ペイントシェーカーで6時間混
合・分散を行った。更に、潤滑剤及び硬化剤を加えた
後、ペイントシェーカーで15分間混合・分散させて磁
性塗料を得た。
【0059】得られた磁性塗料の組成は次の通りであっ
た。 鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末 100重量部、 スルホン酸ナトリウム基を有する 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂 10重量部、 スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂 10重量部、 研磨剤(AKP−30) 10重量部、 カーボンブラック(#3250B) 2.0重量部、 潤滑剤(ミリスチン酸:ステアリン酸ブチル=1:2) 3.0重量部、 硬化剤(ポリイソシアネート) 5.0重量部、 シクロヘキサノン 65.3重量部、 メチルエチルケトン 163.3重量部、 トルエン 98.0重量部、
【0060】この磁性塗料を厚さ12μmのポリエチレ
ンテレフタレートフィルムの上にアプリケーターを用い
て15μmの厚さに塗布した後、磁場中において配向・
乾燥し、次いで、カレンダー処理を行った後、60℃で
24時間硬化反応を行い0.5インチ巾にスリットして
磁気テープを得た。磁気記録層の厚みは1.0μmであ
った。
【0061】得られた磁気テープは、光沢度200%、
角型比(Br/Bm)が0.900、残留磁束密度値
(Br)が3120Gauss及び保磁力値(Hc)1
520Oeであった。
【0062】
【作用】本発明において最も重要な点は、鉄を主成分と
する針状合金磁性粒子粉末のpHの差が0以上ではなく
負の場合には、ビヒクル中での分散性が優れているとと
もに塗膜中での配向性及び充填性が向上した鉄を主成分
とする針状合金磁性粒子粉末が得られるという事実であ
る。
【0063】この事実について説明する。このpH値の
差に影響する要因について鑑みた結果、鉄を主成分とす
る針状合金磁性粒子粉末のアンモニア性窒素量と可溶性
塩の量が大きく影響するという知見を得た。即ち、鉄を
主成分とする針状合金磁性粒子粉末のアンモニア性窒素
量が30〜800ppmの範囲であって、可溶性塩の
量、可溶性アルカリ金属塩の量、又は可溶性アルカリ土
類金属塩の量が特定量以下である場合にpH値の差が負
となり、アンモニア性窒素量が上記範囲からはずれる場
合や可溶性塩の量、可溶性アルカリ金属塩の量、又は可
溶性アルカリ土類金属塩の量が特定量以上になった場合
はpH値の差が正となる。このようにpH値の差が正に
なったり負になったりする理由は未だ明らかではない
が、煮沸法による濾液のpH値の発現は、アンモニア性
窒素が揮発して飛散するため主として可溶性アルカリ金
属塩の量、可溶性アルカリ土類金属塩の量又は、可溶性
塩の量によるものであり、一方、常温法による濾液のp
H値の発現は、アンモニア性窒素は揮発しにくいのでそ
のまま存在するから、アンモニア性窒素及び可溶性アル
カリ金属塩の量、可溶性アルカリ土類金属塩の量又は、
可溶性塩の量によるものであると考えている。従って、
pH値の差が0未満になるようにアンモニア性窒素量と
可溶性塩の量との両者を適当な範囲に調整することによ
り、本発明の目的とする諸特性の向上した鉄を主成分と
する針状合金磁性粒子粉末を得ることができる。
【0064】即ち、後出比較例に示す通り、鉄を主成分
とする針状合金磁性粒子粉末のアンモニア性窒素量が特
定範囲内にあったとしても可溶性ナトリウム塩が多い場
合には、煮沸法による濾液のpH値は常温法による濾液
のpH値と同等又はそれ以上になってpH値の差は0以
上となり、また、可溶性塩の量が少ない場合でもアンモ
ニア性窒素量が特定範囲にない場合には同様に、煮沸法
による濾液のpH値は常温法による濾液のpH値よりも
高くなってpH値の差は正となり、このような鉄を主成
分とする針状合金磁性粒子粉末は、本発明の目的とする
諸特性の向上は認められない。
【0065】
【実施例】次に実施例並びに比較例を挙げる。
【0066】実施例1〜7、比較例1〜7 前記発明の実施の形態において、粒子形状、組成、可溶
性アルカリ金属塩の量、可溶性アルカリ土類金属塩の量
及び可溶性塩の量が種々異なる出発原料を用いるととも
に、加熱還元条件、徐酸化条件等を種々変化させること
により、アンモニア性窒素量、可溶性アルカリ金属塩の
量、可溶性アルカリ土類金属塩の量及び可溶性塩の量が
異なる種々の鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末を
得た。
【0067】得られた鉄を主成分とする針状合金磁性粒
子粉末を表1及び表2に示す。尚、比較例6の鉄を主成
分とする針状合金磁性粒子粉末は、前記発明の実施の形
態において、紡錘状ヘマタイト粒子粉末を純水で洗浄す
ることなくそのまま還元した後、250℃で水素をアン
モニアガスに代えて1時間処理し、次いで品温が70℃
になった時点で窒素と酸素(空気)の混合ガスで徐酸化
を行うことにより得たものである。得られた鉄を主成分
とする針状合金磁性粒子粉末は、表2に示す通り、アン
モニア性窒素が0ppmであることから、品温が250
℃の高温でアンモニアガスと接触させた場合には、アン
モニア性窒素を効果的に導入できないことが認められ
た。
【0068】比較例7の鉄を主成分とする針状合金磁性
粒子粉末は、前記発明の実施の形態において、紡錘状ヘ
マタイト粒子粉末を純水で洗浄することなくそのまま還
元した後、品温が70℃になった時点で窒素と酸素(空
気)の混合ガスで徐酸化を行い、次いで窒素流通下に品
温を100℃に昇温し、アンモニアガスと窒素の混合ガ
スで1時間処理し、更に窒素流通下に品温を250℃に
昇温して1時間処理することにより得たものである(特
開昭63−88806号に記載の方法)。得られた鉄を
主成分とする針状合金磁性粒子粉末は、表2に示す通
り、アンモニア性窒素が25ppmであることから、ア
ンモニアガスと接触させた後、更に、窒素流通下で処理
した場合にも、アンモニア性窒素を効果的に導入できな
いことが認められた。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】実施例8〜16、比較例8〜15 鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末の種類及び官能
基の異なる結合剤樹脂を種々変化させた以外は、前記発
明の実施の形態と同様にして磁気記録媒体を得た。得ら
れた磁気記録媒体の諸特性を表3に示す。
【0072】
【表3】
【0073】
【発明の効果】本発明に係る鉄を主成分とする針状合金
磁性粒子粉末は、ビヒクル中での分散性が優れていると
ともに、塗膜中での配向性及び充填性が向上したもので
あるので高性能、高密度記録用磁性粒子粉末として好適
である。そして、本発明に係る鉄を主成分とする針状合
金磁性粒子粉末を用いた磁気記録媒体は、光沢が優れて
いるとともに、配向度及び飽和磁束密度がともに大きい
ものであるから高性能、高密度記録用磁気記録媒体とし
て好適である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 JIS K 5101―1991のpH
    値の測定方法に記載されているA法処理及びB法処理の
    各処理をして得られる水性懸濁液の各pH値が(A法処
    理して得られる水性懸濁液のpH値)−(B法処理して
    得られる水性懸濁液のpH値)<0の関係を満たすこと
    を特徴とする平均長軸径0.05〜0.2μmの鉄を主
    成分とする針状合金磁性粒子粉末。
  2. 【請求項2】 鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末
    に対し、アンモニア性窒素量が30〜800ppmの範
    囲であることを特徴とする請求項1に記載の鉄を主成分
    とする針状合金磁性粒子粉末。
  3. 【請求項3】 鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末
    に対し、可溶性塩の総量が800ppm以下であること
    を特徴とする請求項1に記載の鉄を主成分とする針状合
    金磁性粒子粉末。
  4. 【請求項4】 鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末
    に対し、可溶性アルカリ金属塩の量が500ppm以下
    であることを特徴とする請求項1に記載の鉄を主成分と
    する針状合金磁性粒子粉末。
  5. 【請求項5】 鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末
    に対し、可溶性アルカリ土類金属塩の量が300ppm
    以下であることを特徴とする請求項1に記載の鉄を主成
    分とする針状合金磁性粒子粉末。
  6. 【請求項6】 組成が鉄とアルミニウム、コバルト及び
    希土類を含有することを特徴とする請求項1〜5のいず
    れかの請求項に記載の鉄を主成分とする針状合金磁性粒
    子粉末。
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