JP2006128535A - 金属磁性粉末およびそれを用いた磁気記録媒体 - Google Patents

金属磁性粉末およびそれを用いた磁気記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】耐候性を改善した微細な金属磁性粉末を提供する。
【解決手段】金属部分と表層とを有する粒子で構成される磁性粉末であって、「表層」のCo/Fe原子比をa、「金属部分」のCo/Fe原子比をb、「粒子全体」のCo/Fe原子比をcとしたとき、下記(1)〜(3)式の少なくとも1つを満たす金属磁性粉末。
0.3≦a/b≦1.0 ……(1)
b/c≧1.0 ……(2)
0.1≦a/c≦1.0 ……(3)
前記aおよびbは、透過型電子顕微鏡を用いて電子ビームを微小領域にピンポイント的に当てたEDS測定によって求めることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、高密度磁気記録に好適な耐酸化性に優れた金属磁性粉末、およびそれを用いた磁気記録媒体に関する。
近年、音声情報や映像情報のデジタル化、ハイエンド化に伴い記録・保存すべき情報量は増加する傾向にある。このため、記録媒体には一層の高容量化が求められている。
記録媒体としては、塗布型磁気記録媒体、デジタルビデオディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、汎用型メモリーメディアなどが挙げられ、磁気以外の記録方式を採用する高密度記録媒体も広く実用化されるに至っている。しかし、情報量の増加に伴い、情報が失われたときの被害・損害も大きく、データのバックアップの重要性が以前にも増して高まっている。バックアップを大量に必要とする分野においては、単位容量あたりの単価が低い塗布型磁気記録媒体が広く使用されており、今後もその重要性は高いと考えられる。したがって、磁気記録媒体には一層の高容量化と信頼性の向上が期待されている。
磁気記録媒体の高容量化には、例えば塗布型磁気記録媒体の代表である磁気テープの場合、1巻あたりの巻き数を増加させるといった手法も採りうる。しかしそれよりも、記録密度を増大させること、すなわち、多くの情報をできるだけ小さい面積に書き込めるようにすることが、媒体の総数を低減させる上で極めて効果的である。
磁気記録媒体の高記録密度化のために、ハード面においては情報の書き込みを短波長で行う試みがなされ、現在に至っている。磁性粒子のサイズは少なくとも記録波長よりも小さいことが必要であり、素材側において、高記録密度化のためには磁性粒子の微細化が最も有力な手段となる。
しかし、粒子の微細化は、耐酸化性あるいは磁気特性の低下を引き起こす可能性があり、必ずしも容易に実現できるものではない。磁性粒子として広く使用されている金属磁性粉末は通常、酸素を多く含有する酸化膜層(表層)によって安定性が保たれている。高い磁気特性を付与するには酸化膜層を薄くすれば良いが、薄くしすぎると耐酸化性に極めて劣る磁性粉末になり、大気に触れると発火してしまうことがある。逆に酸化膜層を厚くすれば飽和磁化値は低下してしまう。
また、磁気記録媒体には、記録した情報が消失しない高信頼性が要求される。そのような高信頼性を得るには、磁気特性の経時劣化が少ない磁性粉末を使用する必要がある。具体的には、飽和磁化σsが経時変化しにくい特性すなわち「耐候性」に優れる磁性粉末であることが望まれる。耐候性も、基本的には耐酸化性の1形態と捉えることができ、酸化膜層(表層)を厚くすれば改善される傾向を示す。しかし、前述のように酸化膜層の増大は金属部分の減少を招き、磁気特性の低下につながる。特に、微粒子化を図った粒子の場合、金属部分の減少と同時に当該金属部分の分断が起こることも考えられ、酸化膜層の増大化で対応することは好ましくない。
これまでに、金属磁性粉の耐候性を改善する試みは種々行われてきた。
特許文献1では、FeとCoを含有する前駆体を還元して得られる金属磁性粉を採用して、磁気特性と耐候性の改善を図っている。
特許文献2では、Coの含有に加え、酸化膜層に含まれるγ−Fe23とFe34の量的関係をX線回折強度によって規定し、耐候性の改善を図っている。
特許文献3では、Coを含有する磁性粉において、酸化膜層を構成する鉄酸化物の結晶子サイズを規定し、耐候性の改善を図っている。
特許文献4では、Ni、Cu、ZnまたはMnを含む鉄酸化物で酸化皮膜を構成し、耐候性の改善を図っている。
特開平10−17901号公報 特開2001−313207号公報 特開2004−13975号公報 特開2001−137115号公報
前述のように、磁性粉の耐酸化性(耐候性を含む)を改善する手段として酸化膜層の厚みを増大する手法を採用した場合は、昨今の傾向である粒子径の微細化を考えた場合、金属部分の減少が生じ、結果として磁気特性そのものの低下を引き起こす原因ともなるので、得策ではない。つまり、微粒子化された金属磁性粉においては、酸化膜層厚みをできるだけ抑えた状態で耐酸化性を向上させることが重要となる。しかし、そのような技術は未だ確立されておらず、試行錯誤がなされているといってよい。前記特許文献に記載の技術では、長軸径が例えば50nm未満あるいは45nm以下と小さい粒子において、後述するΔσsが例えば10%以下となるような耐候性を安定して実現することは困難である。
本発明は、高密度磁気記録媒体に好適な微粒子化した金属磁性粉において、その本来の優れた粉末磁気特性および媒体磁気特性を維持しながら、非常に優れた耐候性を実現したものを開発し提供しようというものである。
発明者らは、金属磁性粉の耐候性は、酸化膜層の化学組成、すなわち表層を構成する元素の存在比に大きく依存することを見出した。そして、更なる詳細な検討の結果、粒子の「表層」と「金属部分」のそれぞれにおけるCo/Fe原子比を微視的な観点で捉えることにより、非常に優れた耐候性を呈する金属磁性粉を特定することに成功した。本発明はこのような知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明で提供する耐候性の良い金属磁性粉は、金属部分と表層とを有する粒子で構成される磁性粉末であって、「表層」のCo/Fe原子比をa、「金属部分」のCo/Fe原子比をb、「粒子全体」のCo/Fe原子比をcとしたとき、下記(1)式、あるいはさらに下記(2)(3)式を満たすものとして特定されるものである。
0.3≦a/b≦1.0 ……(1)
b/c≧1.0 ……(2)
0.1≦a/c≦1.0 ……(3)
前記表層のCo/Fe原子比aは、透過型電子顕微鏡を用いて、観察できる表層部分に電子ビームを選択的(ピンポイント的)に当てたEDS測定によって求まる値を採用することができる。ここで「観察できる表層部分」とは、酸化された金属酸化物を主成分とする層のことを表し、透過型電子顕微鏡により観察した際に金属部分が濃く現れるのに対して、薄く観察される部分を指す。
前記コアのCo/Fe原子比bは、透過型電子顕微鏡を用いて、観察できる表層部分よりも金属の影響により像(明視野像)が濃く現れる部分に電子ビームを選択的に当てたEDS測定によって求まる値を採用することができる。
粒子全体のCo/Fe原子比cは、Coについては粉末試料のICP分析から定まるCoの含有量(at.%)を用い、Feについては滴定による分析から定まるFeの含有量(at.%)を用いて、算出される値を採用することができる。
以上の磁性粉末において、ESCAにより測定されるイオンスパッタリングを行っていない状態の粉末試料における酸素含有量Osurf.(at.%)と、酸素分析装置により測定される粉末全体の酸素含有量Oall(at.%)が下記(4)式を満たすものが提供される。
surf./Oall>1.0 ……(4)
上記の磁性粉末において、好ましくは粒子の平均長軸長が10〜45nm、飽和磁化σsが80〜130Am2/kg、下記(5)式で定義されるΔσsが10%以下であるものが提供される。
Δσs=(σs0−σs1)/σs0×100 ……(5)
ここで、σs0は、対象となる磁性粉末の飽和磁化(Am2/kg)、
σs1は、前記磁性粉末を恒温恒湿容器内で60℃,90%RHに1週間保持したのちの飽和磁化(Am2/kg)。
また、本発明では、以上の磁性粉末を用いた磁気記録媒体が提供される。
本発明によれば、金属磁性粉を構成する粒子の「表層」および「金属部分」を微視的な観点で捉える新たな手法を採用することによって、微細化された金属磁性粉において非常に優れた耐候性を呈するものを特定し、提供することが可能になった。この磁性粉末は耐候性が改善されているにもかかわらず、優れた磁気特性を維持している。すなわち、金属磁性粉において「粒子の微細化」、「耐候性の改善」および「微細化された磁性粉本来の磁気特性の維持」を同時に実現した。したがって本発明は、高密度磁気記録媒体の性能および信頼性向上に寄与するものである。
発明者らはCoを含有する金属磁性粉において、粒子表層のCo量を適正化することが耐候性の向上に有効であることを見出した。そして、この知見に基づく発明を特願2004−122504号として開示した。
粒子表層部の化学組成は、一般にはESCA(XPS,光電子分光分析法,Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)等の表面分析手法によって知ることができる。前記特願2004−122504号においてもESCAを用いて表層部の組成を求め、耐候性の良好な磁性粉末を特定している。ところがその後、発明者らは、製法を含めた詳細な検討を進めた結果、ESCAを用いて分析した組成が同等であっても、他のものより一段と耐候性に優れた磁性粉末が出現する場合があることを知った。
そのような一段と耐候性に優れた粉末粒子の構造を明らかにすべく、発明者らは高分解能を有するFE−TEM(電解放射型透過型電子顕微鏡)を用いてより微視的な調査を行った。その結果、金属磁性粉の粒子表面には酸化物を主体とする被膜(本願では「表層」と呼んでいる)が形成されているが、高分解能FE−TEMを用いた明視野像においては、内部の金属の影響により像が濃く現れる部分が存在することがわかった。そのような像が濃く現れる部分に電子ビームをピンポイント的に当てたときのEDS(エネルギー分散型X線分光器)による測定値は、表層(像として薄く現れる部分)の組成情報よりも金属部分の組成情報をはるかに強く反映していると考えられる。したがって、高分解能FE−TEMに装備されているEDSにより、「表層」と「金属部分」それぞれについてのCo/Fe原子比を求めることが可能になるのである。
すなわち、「表層」の部分のCo/Fe原子比は、観察される表層部分に電子ビームをピンポイント的に当てたときのEDS測定によって定めることができる。他方、「金属部分」の部分のCo/Fe原子比は、観察できる表層部分よりも金属の影響により像が濃く現れる部分に電子ビームをピンポイント的に当てたときのEDS測定によって定めることができる。これらのEDS測定値は場所による変動が小さいため、ほぼ全ての粒子についての測定値を代表していると考えて良く、したがって、それぞれ数ヶ所についてのEDS測定を行い、その平均値を当該粉末に固有の値として採用すればよい。
発明者らは、このような微視的な測定によって定まる表層のCo/Fe原子比をaとし、金属部分のCo/Fe原子比をbとしたとき、下記(1)式を満たすCo含有金属磁性粉において特に優れた耐候性が得られることを突き止めた。
0.3≦a/b≦1.0 ……(1)
その耐候性改善メカニズムについては現時点で未解明であるが、粒子の最表面における鉄以外の元素を低減したことによって、鉄とその他の成分との間における局部電池形成が抑制されるため、結果として耐候性が改善したのではないかと推察される。さらに、ESCAを用いた組成分析に差が認められない磁性粉末であっても、FE−TEMによる、より微視的な測定に基づく上記(1)式を満たすものは、そうでないものに比べ耐候性レベルが明らかに向上することから、(1)式に特徴付けられる粒子構造の差が耐候性に影響していることは確かである。現象に関して考察すると、ESCAの場合は試料の最表面を構成する物質の情報を広く拾ってくるため、ESCAにより酸化物層の組成とみなして測定された分析値には、金属部分からの情報も含んでおり、耐候性が一段と優れたものを区別して捉えることが難しかったものと考えられる。
なお、a/bが0.7以下であることが一層好ましい。
また、このような優れた耐候性を有する磁性粉末は、粒子全体におけるCo/Fe原子比cを用いて、下記(2)式あるいは(3)式によって特定されることがわかった。
b/c≧1.0 ……(2)
0.1≦a/c≦1.0 ……(3)
粒子全体のCo/Fe原子比cは、後述実施例で示すように、Coについては粉末試料の誘導結合高周波プラズマ発光分光分析(ICP atomic emission spectrochemical analysis)から定まるCoの含有量(at.%)を用い、Feについては粉末試料の自動滴定装置による分析から定まるFeの含有量(at.%)を用いて、算出される値を採用することができる。
さらに、粒子中の酸素の分布状態に着目すると、耐候性の顕著な改善をもたらすうえで、下記(4)式を満たすような酸素分布形態を実現することが望ましいことがわかった。
surf./Oall>1.0 ……(4)
ここで、Osurf.はESCAにより測定されるイオンスパッタリングを行っていない状態の粉末試料における酸素含有量(at.%)、Oallは酸素分析装置により測定される粉末全体の酸素含有量(at.%)である。
以上のような本発明に係る一段と耐候性に優れた金属磁性粉は、オキシ水酸化鉄を焼成してα−酸化鉄を主成分とする物質とし、これを還元・安定化してメタル粉とする手法で製造することができる。また、場合によってはオキシ水酸化鉄の段階でアンモニア水による洗浄を行ったものをそのまま還元、安定化して作製することも可能である。ただし、発明者らの詳細な検討によれば、α−酸化鉄を主成分とする物質を還元する前に適正な濃度のアンモニアを用いた洗浄を行うことが、一段と耐候性に優れ、良好な磁気特性を維持した微細な金属磁性粉を再現性良く製造する上で極めて有利であることがわかった。このようなアンモニアを用いた洗浄により、粒子中の表面近傍に存在するCoが、コバルトアンミン錯体として除去されるものと考えられ、この処理が最終的に得られる磁性粉粒子の表層におけるCo濃度低減をもたらし、それが耐候性の向上に繋がるのである。さらに、還元・安定化の処理は水蒸気を添加した状態で行い、かつ還元後または還元の途中の段階で水素アニールを実施することが望ましいこともわかった。
具体的には例えば以下のような方法で製造することができる。
まず、先駆物質としてオキシ水酸化鉄をまず製造する。例えば、炭酸塩水溶液に第一鉄塩を添加して炭酸鉄を生成させ(その際、特性上差し支えない範囲で苛性アルカリを併用することもできる)、この液に酸素含有ガスを通気して酸化反応を起こさせてオキシ水酸化鉄とする方法、第一鉄塩と苛性アルカリの反応によりオキシ水酸化鉄とする方法、炭酸鉄の懸濁液に酸化剤を添加してオキシ水酸化鉄とする方法などが採用できる。これらのうちでも、苛性アルカリを用いた場合には、針状比の高い針状のオキシ水酸化鉄が生成し、炭酸鉄を経由する場合には、両端がとがった円柱形状(紡錘状)の粒子が得られやすく、酸化時における製造条件を適宜変化させることにより、平針状の粒子を得ることもできる。
本発明ではCoを含有した金属磁性粉を対象とする。粒子全体へのCo含有量の目安としては、Feに対する原子百分率(at.%)、すなわちCo/Fe原子比で50%以下、好ましくは2〜45%、より好ましくは10〜40%とするのが適当である。粒子全体のCo/Fe原子比をこのような範囲とすることにより、飽和磁化、保磁力、耐酸化性をバランスよく向上させることができる。
Coを含んだ磁性鉄合金粒子を得るには、上記のオキシ水酸化物作製段階の中間乃至最終酸化段階での液中にCoを添加もしくは追添する方法が好適である。
Coに加えて、本発明に従う磁性粒子はAlを含有することができる。Alの添加により、磁性粉の耐摩耗性の改善や焼結防止効果が得られ、バインダーに対する分散性を改善することができる。このためのAl含有量は、Al/(Fe+Co)原子比で50%以下、好ましくは1〜40%、より好ましくは2〜30%である。Al含有量が過剰になると、粒子の硬さは増大するものの、粒子における非磁性成分の割合が増加して磁気特性とりわけ飽和磁化の低下を招くので、好ましくない。Alの添加時期についてはオキシ水酸化鉄の形成初期の段階で行わないのがよい。Alを初期に大量添加した場合には針状性の維持が出来なくなる。このため、Alの添加はオキシ水酸化鉄の成長段階から酸化終了段階にかけて行うのが良い。
そのほか、製造上不可避に含まれる成分のほか、磁気特性もしくはバインダーへの分散性改善等を目的とした成分元素が含まれていてもよい。例えば、Si、Zn、Cu、Ti、Niなどが適量含まれていてもよい。ただし、これらの元素を多量に添加した場合には磁気特性などのバランスが崩れるので粒子の要求特性に応じた量の添加が必要である。これらの元素を添加する場合は、FeとCoの合計量に対して、添加元素の合計量が30at.%以下、好ましくは20at.%以下、更に好ましくは10at.%以下となる添加量範囲で行えばよい。
Yを含む希土類元素については、オキシ水酸化鉄の脱水・加熱還元時の焼結防止効果があるほか、粒度分布改善にも有効である。これらを添加する場合は、Yを含む希土類元素をRで表示すると、R/(Fe+Co)原子比で25%以下、好ましくは1〜20%、より好ましくは2〜15%とするのがよい。Yを含む希土類元素の過剰な添加は、飽和磁化の低下等を招くので好ましくない。適切な希土類元素としてはYの他にGd(ガドリニウム)、Yb(イッテルビウム)、La(ランタン)、Sc(スカンジウム)が例示できる。発明者らが得た知見によると、原子量の大きな希土類元素であるほど低σs領域では好適な磁気特性を示す。Yを含む希土類元素の添加時期としてはオキシ水酸化鉄の成長段階で添加して固溶させてもよいし、成長完了後に添加して被着してもよい。
少なくともCoを含有したオキシ水酸化鉄を得たあとは、そのオキシ水酸化鉄スラリーを濾過、洗浄し、均一に熱がかかるような処理を施した後に、これを80〜300℃、好ましくは120〜250℃、より好ましくは150〜220℃の条件にて6時間以上不活性ガスまたは空気中で乾燥させるのがよい。温度が低すぎると粒子に被着している物理吸着水が除去されず、後の工程において不均一な反応を引き起こす原因にもなるため好ましくない。また、温度が高すぎると粒子の一部のα−Fe23への形態変化が進んでしまい、かつそれは均一に発生せず、熱のかかりやすいところから順次進むため、次工程以降における反応に影響を及ぼし、最終的な金属磁性粉末の磁気特性等に対して悪影響を及ぼす危険性があるので好ましくない。得られたオキシ水酸化鉄の乾燥固形物を、250〜700℃の窒素中で加熱脱水し、α−Fe23(ヘマタイト)等の酸化鉄(以下、単に「α−酸化鉄」という)へと変化させる。この加熱脱水時には雰囲気中に水蒸気、酸素、炭酸ガスなどが含まれることを妨げない。
このあと、還元処理に供する前に、α−酸化鉄をアンモニアガスを通気させた水溶液中で洗浄することが望ましい。この操作により、粒子の表層に存在するCoをコバルトアンミン錯体の形で効率よく除去することが可能になり、最終的に形成される表層のCo量を意図的に低減することができるようになる。特に、前記a/b値が(1)式を満たすようにCoの分布形態がコントロールされた粒子を得ることができる。具体的には、洗浄に供するアンモニア水の濃度を変化させても良いし、また別法としては、純水に硫酸アンモニウムや塩化アンモニウムといったアンモニウム塩を溶解することによって、液中のアンモニウム濃度を上昇させ、アンモニウム錯体を形成させることも可能である。その後、常法により水洗、乾燥すればよい。
この操作の後、適宜に粉体pHを調整する目的で、炭酸ガス等により粉末を洗浄して、適切な前駆体を形成させることも可能である。この処理は気相での処理でも構わないし、水中に分散させた粒子に対して炭酸ガスを液中に導入して処理する方法を採ることもできる。処理の均一化を考慮すれば、液相で分散処理した後に炭酸ガスを導入して行う方法が適当である。
次いで、このようにして得られたα−酸化鉄を気相還元により還元する。還元性ガスとしては一酸化炭素、アセチレン、水素などが例示できる。還元は水蒸気を添加しながら行うことが磁気特性改善の観点から好ましい。還元処理は、初め比較的低温で還元し、次いで昇温して高温で還元するという「多段還元」を採用することもできる。
前記(1)式、あるいは更に(2)式や(3)式を満たすようにCoの分布形態がコントロールされた粒子を得るためには、還元された合金鉄粉末を100〜500℃程度の水素雰囲気中で加熱処理することが有効である(水素アニール)。この場合も粒子表面を変性させる働きを有する気体の添加を妨げない。
還元後に得られる粉末は非常に活性が高いので、そのまま大気中でハンドリングすると発火する恐れがある。そこで、酸素を1〜10体積%程度に抑制した気体を反応系中に導入することによって、徐酸化により粒子表面に緻密な酸化物層を形成させる(安定化処理)。安定化処理は、前記還元処理後、50〜200℃の任意の温度まで冷却し、例えば不活性ガス中に適量の酸素を含有させた弱酸化性ガスや、空気等を導入して行う。この場合も、水蒸気を添加しながら行うことが望ましい。なお、前記の水素アニールを行う場合は、磁性粉自体の安定性改善のため、水素アニールの前および後に安定化処理を行うこともできる。
このようにして、例えば粒子の平均長軸長が10〜45nmといった微細な磁性粉末であって、耐候性を顕著に改善したCo含有金属磁性粉を得ることができる。なお、飽和磁化σsは80〜130Am2/kgの範囲とすることが好ましい。σsが80Am2/kg未満の場合は、保磁力等にも影響を及ぼすので、媒体化した際に出力不足を引き起こす可能性があり、また媒体の保磁力分布等に悪影響を及ぼすことがある。これらのことから、高密度記録媒体としての信頼性には不安が残るものとなる。一方、130Am2/kgを超えると、磁性塗料作成の際に凝集が起こりやすくなってしまい、また分散性にも悪影響を及ぼす。
この金属磁性粉は、通常広く実施されている手法により、塗布型磁気記録媒体をはじめとする種々の磁気記録媒体に好適に使用することができる。
まず以下に、各実施例、比較例で採用した各特性値の評価法を説明する。
〔粒子の長軸長および短軸長〕
これらは、透過型電子顕微鏡観察を行って求めた。具体的には以下のとおりである。
観察試料の調整は、測定サンプル約0.005gを2%コロジオン溶液10mL中に添加し、分散処理を施してから、その溶液を水に1〜2滴滴下してコロジオン膜を生成させ、これをグリッドの片面に付着させ、自然乾燥させた後に被膜強化のためにカーボン蒸着を施すことによって行った。
この試料について、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製の100CX-Mark-II型)を使用し、100kVの加速電圧で、明視野での観察を行った。平均長軸長、短軸長の値は、電子顕微鏡写真(58000倍)を縦方向および横方向にそれぞれ3倍に引き延ばした写真をプリントし、この写真に示される粒子500個以上についてそれぞれ長軸長、短軸長を測定し、その平均値を求めることによって算出した。ただし、電子顕微鏡写真上に存在する粒子については、単分散している粒子の他、粒子間で結合(焼結、連晶)している粒子、重なりあう粒子などさまざまな態様を呈しているため、測定を行う上で、どの粒子をどのように測定するかあらかじめ合理的で妥当な基準を設けておく必要がある。その基準は以下のとおりとした。
−長軸長、短軸長測定基準−
長軸長は粒子の長手方向において最も長いところを測定した値を指す。短軸長は粒子の幅方向において最も長いところを測定した値を指す。
透過型電子顕微鏡写真上に映っている粒子のうち、測定する粒子の選定基準は次のとおりとした。
[1] 粒子の一部が写真の視野の外にはみだしている粒子は測定しない。
[2] 輪郭がはっきりしており、孤立して存在している粒子は測定する。
[3] 形状が針状になっていないが、独立しており単独粒子として測定が可能な粒子は測定する。
[4] 粒子同士に重なりがあるが、両者の境界が明瞭で、粒子全体の形状も判断可能な粒子は、それぞれの粒子を単独粒子として測定する。
[5] 重なり合っている粒子で、境界がはっきりせず、粒子の全形も判らない粒子は、粒子の形状が判断できないものとして測定しない。
粒子間の結合の有無、すなわち粒子がただ重なり合っているのか、それとも焼結しているのかは次のようにして判定した。
(イ) フォーカスの異なった複数枚の写真を準備し、フリンジ(注:電子顕微鏡の明視野において、物質が変化しているところで見られる境界線のこと)がよく現れている写真から、粒子の境界部分を判断した。
(ロ) 重なり合う粒子において、両者の輪郭が交差する部分を観察し、両者の輪郭線が丸みを帯びて交わっている場合は焼結していると判断し、全ての交差部分において両者の輪郭線が他方の輪郭線とは無関係にある角度をもって点で交わっている場合は単に重なっているだけであると判断した。
(ハ) 境界が存在しているか、していないかはっきりせず、判断が難しい場合は、粒子間焼結が生じているとは判断せず、個々の粒子として測定し、粒子を大きく見積もった。
〔粒子の微細領域における組成分析〕
粒子の「表層」のみの部分、および「金属部分」のみの部分についての組成分析は、EDS(メーカーによってはEDXと称される)を装備した高分解能FE−TEM(例えば、日立製;H-9500、HF-2200、日本電子製;JEM-4010、JEM-3010など)を用いて行うことができる。
試料の調製は、測定サンプル約0.005gを2%コロジオン溶液10mL中に添加し、分散処理を施してから、その溶液を水に1〜2滴滴下してコロジオン膜を生成させ、これをグリッドの片面に付着させ、自然乾燥させた後に被膜強化のためにカーボン蒸着を施すことによって行った。
測定は以下のようにして行った。まず、低倍率(例えば300〜1000倍程度)で電子線を当て、吸着ガス等のコンタミを除去した。その後、粒子の測定が行える程度に高倍率の電子線に切り替えた上で、試料粒子の移動する方向を確認した。その中でも影響をなかなか受けない粒子を選択し、粒子中の微小な測定ポイントにのみに電子線を当てることによって、その微小領域の組成をEDSにて測定した。微小な測定ポイントとして「表層」を選択することにより表層のみの組成が測定され、「観察できる表層部分よりも金属の影響により像が濃く現れる部分」を選択することにより金属部分の組成が測定される。20sec毎に粒子がドリフトしないかどうか確認しつつ測定を行い、3回の積算結果(合計60sec分)をもって測定結果としている。
この測定により求めた表層のCo/Fe原子比を「表層(Co/Fe)」と表示し、金属部分のCo/Fe原子比を「金属部分(Co/Fe)」と表示する。
〔粒子全体の組成分析〕
粒子全体の組成分析については、Co、AlおよびYの定量は日本ジャーレルアッシュ株式会社製高周波誘導プラズマ発光分析装置(ICP)IRIS/APを用いて行い、Feの定量は平沼産業株式会社製平沼自動滴定装置 COMTIME-980を用いて行い、酸素の定量は LECO Corporation製 NITROGEN/OXYGEN DETERMETER TC-436型を用いて行った。これらの定量結果はwt.%として与えられるので、Feに対する原子百分率の比(at.%)の算出は一旦全元素の割合をwt.%からat.%に変換したうえで行った。
この測定により求めた粒子全体のCo/Fe原子比を「全体(Co/Fe)」と表示する。
〔ESCAによる表面組成分析〕
参考のため、ESCAすなわちX線光電子分光法(XPS)を用いた粉末粒子表面の組成分析も行った。測定条件は、アルバック・ファイ株式会社製 5800を使用し、X線源はAl陽極線源150W、分析面積は800μmφ、中和銃を使用、取り出し角45°に設定し、試料はホルダー上にセッティングした。スキャニング速度は5eV/min、 エッチングはSiO2換算で2nm/cycle の割合で行った。そのときの測定範囲は下記のとおりである。
Fe(2p): 740 〜700(eV)
Co(3s): 810 〜770(eV)
Al(2p): 88 〜68(eV)
Y(3d): 172〜152(eV)
O(1s): 545〜525(eV)
この測定により求めた粒子表面のCo/Fe原子比を「ESCA(Co/Fe)」と表示する。
〔Oの存在比〕
上記ESCAによって得られたイオンスパッタによるエッチングを行っていない状態の粉末試料における酸素含有量Osurf.(at.%)と、酸素分析装置(前記LECO Corporation製 NITROGEN/OXYGEN DETERMETER TC-436型)により測定される粉末全体の酸素含有量Oall(at.%)の値から、Osurf./Oallの値を算出した。
〔TG測定〕
粒子の金属部分部分は、大気中酸素存在下で加熱した後に生じた酸素重量により相対的に判断できる。セイコーインスツルメンツ社製 TG/DTA装置 TG/DTA6300型で測定したデータをEXSTAR300型データ解析装置を用いて分析した。測定方法としては供試試料を10mg分取したのち、Alセルの中に試料を挿入して加熱を開始する。このセルに入った試料とAlの空セルの相対的な重量変化を見ることで、供試試料の重量増加を測定した。この時の昇温速度は10℃/minとし、測定及び昇温範囲は常温から300℃までとした。そのときに増加した重量は粉末が酸化されることによって増加した酸素の重量であり、これは金属部分が酸化されたことによる重量増加と推定する。
〔粉末の磁気特性〕
粉末の磁気特性は、東栄工業株式会社製のVSM装置 VSM-7Pを使用して、外部磁場125.6kA/m(10kOe)で測定した。
〔粉末の耐酸化性評価〕
当該粉末の飽和磁化σs0(Am2/kg)と、当該粉末を常法により恒温恒湿容器内で60℃、90%RHに1週間保持したのちの飽和磁化σs1(Am2/kg)を測定し、下記(5)式によりΔσs(%)を求めて評価した。Δσsが小さいほど耐候性は良好である。
Δσs=(σs0−σs1)/σs0×100 ……(5)
〔比表面積〕
湯浅イオニクス株式会社製の4ソープUSを用いて、B.E.T.法により求めた。
〔結晶子Dx〕
理学電気株式会社製のX線回折装置 RAD-2Cで得られるFe(110)面の回折ピークの半価幅からDxを求めた。すなわちD(110)=Kλ/βcosθ(式中Kはシェラー定数=0.9,λは照射X線波長,βは回折ピークの半価幅;ラジアンに補正して用いる,θは回折角を表す)に従って求めた。
〔媒体特性〕
供試粉末100質量部に対し以下の材料を下記組成となるような割合で配合して遠心ボールミルで1時間分散させて磁性塗料を作製した。得られた磁性塗料をポリエチレンテレフタレートからなるベースフイルム上にアプリケーターを用いて塗布して磁気テープを作製し、その保磁力Hcxを測定し、また、そのヒステリシスループからSFDx値を算出した。また、テープの耐候性はΔBmで評価した。これは、当該磁気テープを恒温恒湿容器内で60℃、90%RHに1週間保持し、その保持の前後における磁気テープの飽和磁束密度Bm(G)から、前記Δσsと同様にして求めた。磁気テープの磁気特性は前掲のVSM装置を使用し、外部磁場125.6kA/m(10kOe)で測定した。
(磁気テープ組成)
強磁性鉄合金粉末 100質量部(後述の各例で得られた粉末)
ポリウレタン樹脂 30質量部(東洋紡株式会社製のUR−8200)
塩化ビニル系樹脂 30質量部(日本ゼオン株式会社製のMR−110)
メチルエチルケトン 190質量部
シクロヘキサノン 80質量部
トルエン 110質量部
ステアリン酸 1質量部
アセチルアセトン 1質量部
アルミナ 3質量部
カーボンブラック 2質量部
〔実施例1〕
5000mLビーカーに純水3000mLを装入し、温調機で40℃に維持しながら、これに0.03mol/Lの硫酸コバルト(特級試薬)溶液と0.15mol/Lの硫酸第一鉄(特級試薬)水溶液を1:4の混合割合にて混合した溶液を500mL添加した。その後、Fe+Coに対して炭酸が3当量となる量の顆粒状の炭酸ナトリウムを直接添加し、液中温度が±5℃を超えないように調整しつつ、炭酸鉄を主体とする懸濁液を作った。これを1時間30分熟成した後、純酸素を20mL/minで5分間通気して核晶を形成させ、65℃まで昇温し、更に50mL/minで純酸素を通気して酸化を1時間継続した。そのあと、純酸素を窒素に切り替えてから、30分程度熟成した。
その後、液温を40℃まで降温し、温度が安定してからAlとして1.0質量%の硫酸アルミニウム水溶液を5.0g/minの添加速度で20分間添加し続けた。さらに純酸素を50mL/minで流し続け、酸化を完結させた。なお、酸化の終点は、上澄み液を少量分取し、ヘキサシアノ酸鉄カリウムの溶液を使用して、液色が変化しないことを確認した後とした。
酸化終了後の液に酸化イットリウムの硫酸水溶液(Yとして2.0質量%含有する)を300g添加した。このようにして、Alが固溶され、Yが表面に被着されたオキシ水酸化鉄の粉末を得た。
前記オキシ水酸化鉄のケーキを常法により濾過、水洗後、130℃で乾燥し、オキシ水酸化鉄乾燥固形物を得た。その固形物10gをバケットに挿入し、水蒸気を水として1.0g/minの導入速度で添加しながら大気中にて400℃で焼成し、α−酸化鉄(ヘマタイト)を主成分とする鉄系酸化物を得た。
この鉄系酸化物を、純水4000mLを入れた、気泡発生装置を備えた撹拌機付きビーカー内に添加した。前記のオキシ水酸化鉄ケーキをミキサー(特殊機化工業株式会社製のホモミクサー)を用いて、回転速度5000rpm・10分間にて水中に解膠・分散させた後、窒素を投入しつつ、酸素が完全に除去されるのを待った。ビーカー内の酸素濃度を酸素濃度計によりモニタリングし、0%を示した時点で酸素が完全に除去されたものとした。
その後、温調機を用いて40℃に設定し、温度が安定してから窒素をアンモニアガスに交換し、100mL/minの流速で通気しながら、α−酸化鉄を15分間洗浄した。その後、常法により濾過後、0.01mol/Lの酢酸10Lでスラリーを洗浄し、さらに60Lの超純水でスラリーを洗浄した後、130℃にて6時間乾燥し、α−酸化鉄の粉末を得た。
このα−酸化鉄を、通気可能なバケット内に投入し、該バケットを貫通型還元炉内に装入し、水素ガス(流速:40L/min)を通気しつつ、水蒸気を水として1.0g/minの導入速度で添加しながら、400℃で30分間還元処理を施した。還元時間終了後、水蒸気の供給を停止し、水素雰囲気下600℃まで10℃/minの昇温速度にて昇温した。その後、水蒸気を水として1.0g/minの導入速度で添加しながら60分高温還元処理を行い、還元鉄合金粉末を作製した。
その後、炉内雰囲気を水素から窒素に変換し、50L/minの流速で窒素を導入しながら炉内温度を降温レート20℃/minで90℃まで低下させた。酸化膜形成初期段階は窒素50L/minと純酸素400mL/minの混合割合にて混合したガスを炉内に添加し、水蒸気を水として1.0g/minの導入速度で添加しながら、水蒸気・酸素・窒素の混合雰囲気中にて酸化膜を形成させ、表面の酸化による発熱が抑制された段階で徐々に空気の供給量を増すことによって、雰囲気中における酸素濃度を上昇させた。最終的な純酸素の流量は2.0L/minの添加量とした。その際、炉内に導入されるガスの総量は窒素の流量を調整することによりほぼ一定に保たれるようにした。この最初の安定化処理は、概ね90℃に維持される雰囲気下で実施された。
次いで、窒素雰囲気下、10℃/minで450℃まで昇温した後、水素ガス(流速:50L/min)を用い、水蒸気を水として1.0g/minの導入速度で添加しながら30分間還元した(アニール工程)。
この粉末の製法におけるアンモニアを用いた洗浄条件、アニール工程の条件、を表1に示した(以下の例についても同様)。
また、得られた磁性粉末の粉体特性は表2に示してある(以下の例についても同様)。
更に、この磁性粉末の磁気特性、およびこの粉末を使用して前述の方法で作製した磁気テープについての磁気特性(媒体特性)は表3に示してある(以下の例についても同様)。
〔実施例2、3〕
実施例1においてα−酸化鉄(ヘマタイト)の洗浄に使用したアンモニアの流量を100mL/minから200mL/min(実施例2)、500mL/min(実施例3)にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして表面変性金属磁性粉末を得た。
〔実施例4〜7〕
実施例1において、当初に添加した硫酸コバルト水溶液の濃度を0.03mol/Lから0.01mol/L(実施例4)、0.02mol/L(実施例5)、0.04mol/L(実施例6)、0.05mol/L(実施例7)にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして表面変性金属磁性粉末を得た。
〔実施例8〕
実施例1において、アンモニアによる洗浄操作を行った後に、一度デカンテーションにより粒子と洗浄液を分離した後に、上澄みを注意深く除き、再度純水を添加し懸濁状態にしてから、炭酸ガスを1000mL/minの流速で、処理液のpHが6.0になるまで添加し、その後濾過・洗浄・水洗し、表面変性α−酸化鉄を主体とする粒子粉末を得た以外は、実施例1と同様の操作を行って金属磁性粉末を得た。
〔実施例9〜11〕
実施例8において、当初に添加した硫酸コバルト水溶液の濃度を0.03mol/Lから0.01mol/L(実施例9)、0.02mol/L(実施例10)、0.04mol/L(実施例11)にそれぞれ変更した以外は、実施例8と同様にして表面変性金属磁性粉末を得た。
〔実施例12〜18〕
実施例1において、水素のアニール処理における処理の雰囲気を水素からエチレン(実施例12)、一酸化炭素(実施例13)、アセチレン(実施例14)にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして表面変性金属磁性粉末を得た。
〔比較例1、2〕
実施例1においてα−酸化鉄(ヘマタイト)の洗浄に使用したアンモニアの流量を100mL/minから10mL/min(比較例1)、1000mL/min(比較例2)にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして表面変性金属磁性粉末を得た。
〔比較例3〕
実施例1において、α−酸化鉄(ヘマタイト)のアンモニアを用いた洗浄を行わなかった以外は、実施例1を繰り返した。
〔比較例4〕
実施例1において、焼成を行わず、かつα−酸化鉄のアンモニアを用いた洗浄を行わなかった以外は、実施例1を繰り返した。
〔比較例5〕
ESCAによる表面のCo/Fe原子比と、ICPおよび自動滴定装置による粒子全体の(Co/Fe)値の比が0.96であり、組成としてCo/Fe原子比が10.1%、物性として長軸長0.091μm、軸比7、B.E.T.法による比表面積値120.4m2/gを有する鉄を主成分としたオキシ水酸化鉄粒子を準備した。
これを、特殊機化工業製ホモミクサーを用いて5000rpm、10分間の条件にて水中に均一に解謬した(スラリー濃度:20g/L、スラリー量1L)。
得られたスラリーを気泡塔に入れ、スラリー中に窒素ガスを気泡状にして40L/分の流量で導入することにより溶存酸素を系外へ排出させた。ついで、5%NH3水溶液に特級試薬硫酸コバルト七水和物15.28gを溶解したコバルトアンミン錯体溶液200mLを、窒素ガスを通気させながら該スラリー中に添加し、室温で10分間撹拌して混合した。
その後、特級無水炭酸ナトリウム56.23g(この炭酸塩の添加量はCO2/(Fe+Co)の原子比で2に相当)を添加した。その際に炭酸の溶解時の発生熱による影響を緩和するため、液温が10℃よりも高くならないように調整した。このあと、温度の上昇を抑制しながら混合を15分間実施し、オキシ水酸化鉄の表面に鉄・コバルトの炭酸塩を被覆したのち、酢酸を用いて35℃、pH=7.5に調整し、3時間の熟成を施した。
熟成後、酸素含有ガス(空気)を通気して徐々に酸化を行い、酸化開始より30分経過後、Al/(Fe+Co)=8.5at.%になるようにアルミニウムイオン濃度を調整した硫酸アルミニウム水溶液(無水硫酸アルミニウム3.86gを純水100mLに溶解)を徐々に追加(酸化割合85%までの区間で酸化が終了するように調整)したあとで、アンモニア水(濃度30%)を使用してpHを9.5に調整し、温度が安定するまで熟成させた。ついで酸化イットリウム1.86gを100mLの希硫酸に溶解した酸化イットリウム溶液(この濃度はY/(Fe+Co)=で、6.2at.%に相当する)を一挙に添加して、Yをオキシ水酸化鉄の表面に被着させた。Yの被着操作の後、熟成を1時間行って二層構造を有するオキシ水酸化鉄粒子を得た。得られた二層構造を有するオキシ水酸化鉄粒子は、Co/Fe=30.3at.%,Al/(Fe+Co)=8.3at.%、Y/(Fe+Co)=6.0at.%の組成を有し、平均長軸長=0.098μm、軸比=7、B.E.T.比表面積値=114.3m2/gであり、Dx=11.8nmであった。
このオキシ水酸化鉄をステンレスボード中に入れて石英管に挿入した上で電気炉に装入し、大気中475℃に30分間加熱して酸化鉄粒子にした。炉内に水素ガスを50L/minの流量で通気しながら加熱還元を行った。還元開始から15分間は500℃に保持し、次いで1℃/minの昇温速度で600℃まで昇温した後、その温度に30分維持した。その後、得られた還元粉末を窒素ガス雰囲気中で70℃まで冷却したあと、70℃の温度に維持しながら、窒素:酸素の割合を9:1とした酸素含有ガスを55L/minの割合で90分間通気し、還元粉末の表面に酸化膜を形成させ、磁性粉末を得た。
Figure 2006128535
Figure 2006128535
Figure 2006128535
〔特性評価について〕
a/b値が0.3〜1.0、b/c値が1.0以上、a/c値が0.1〜1.0を満たす実施例1〜7の磁性粉末は、いずれも長軸長が45nmを下回る微細粒子からなるものであるにもかかわらず、5%を下回るΔσsおよび2%を下回るΔBmを呈し、優れた耐候性改善効果が認められた。磁気特性についても高密度磁気記録媒体に適した優れた性能が維持された。
これに対し、比較例1、3、4、5はα−酸化鉄の洗浄時におけるアンモニア濃度が低すぎたか、α−酸化鉄のアンモニアを用いた洗浄を行わなかったものであり、これらは実施例のものに比べ、還元前の段階で粒子表面に残存するCo量が多かったものと推察され、結果的に表層のCo量が十分低減されず、耐候性あるいはSFDxに劣った。比較例2は逆に洗浄時のアンモニア濃度が高かったものであり、表層のCo量が少なくなりすぎ、耐候性およびSFDxが悪かった。
また、表2の「ESCA(Co/Fe)/全体(Co/Fe)」の値には目立った差が認められなくても、微細領域の分析によるa/b値、b/c値、a/c値を採ると大きな相違が認められ、耐候性はそのa/b値、b/c値、a/c値に依存して改善可能になる点が注目される。

Claims (9)

  1. 金属部分と表層とを有する粒子で構成される磁性粉末であって、表層のCo/Fe原子比aと金属部分のCo/Fe原子比bが下記(1)式の関係を満たす磁性粉末。
    0.3≦a/b≦1.0 ……(1)
  2. 金属部分と表層とを有する粒子で構成される磁性粉末であって、金属部分のCo/Fe原子比bと粒子全体のCo/Fe原子比cが下記(2)式の関係を満たす磁性粉末。
    b/c≧1.0 ……(2)
  3. 金属部分と表層とを有する粒子で構成される磁性粉末であって、表層のCo/Fe原子比aと粒子全体のCo/Fe原子比cが下記(3)式の関係を満たす磁性粉末。
    0.1≦a/c≦1.0 ……(3)
  4. 前記表層のCo/Fe原子比aが、透過型電子顕微鏡を用いて、観察できる表層部分に電子ビームを選択的に当てたEDS測定によって求まる値である請求項1または3に記載の磁性粉末。
  5. 前記金属部分のCo/Fe原子比bが、透過型電子顕微鏡を用いて、観察できる表層部分よりも金属の影響により像が濃く現れる部分に電子ビームを選択的に当てたEDS測定によって求まる値である請求項1または2に記載の磁性粉末。
  6. 粒子全体のCo/Fe原子比cが、Coについては粉末試料のICP分析から定まるCoの含有量(at.%)を採用し、Feについては滴定による分析から定まるFeの含有量(at.%)を採用して算出されるものである請求項2または3に記載の磁性粉末。
  7. ESCAにより測定されるイオンスパッタリングを行っていない状態の粉末試料における酸素含有量Osurf.(at.%)と、酸素分析装置により測定される粉末全体の酸素含有量Oall(at.%)が下記(4)式を満たす請求項1〜3のいずれかに記載の磁性粉末。
    surf./Oall>1.0 ……(4)
  8. 粒子の平均長軸長が10〜45nm、飽和磁化σsが80〜130Am2/kg、下記(5)式で定義されるΔσsが10%以下である請求項1〜3に記載の磁性粉末。
    Δσs=(σs0−σs1)/σs0×100 ……(5)
    ここで、σs0は、対象となる磁性粉末の飽和磁化(Am2/kg)、
    σs1は、前記磁性粉末を恒温恒湿容器内で60℃,90%RHに1週間保持したのちの飽和磁化(Am2/kg)。
  9. 請求項1〜8に記載の磁性粉末を用いた磁気記録媒体。
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