JP4758936B2 - 磁気記録用金属磁性粉およびその製造法 - Google Patents
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Description
そこで本発明は微粒子であっても配向性が高く、磁気粘性の小さい金属磁性粉末を提供することを目的とする。
ここで、粒子のTEM像において長軸に対し直角の方向を短軸方向と呼ぶとき、当該粒子の短軸方向で最も長い部分の径を短軸長という。上記のような曲率半径の大きい粒子の存在率を求める際には、TEMにおいて全体形状が確認できる粒子をランダムに300個以上選んで測定を行い、測定した粒子数を分母として存在率を算出する。
D1/DW≧0.7 ……(1)
ここで、DWは上記の短軸長、D1は当該粒子の長軸方向端部からの長軸方向距離がDW/2の位置における短軸方向の径である。(1)式を満たす粒子の存在率を求める際には、TEMにおいて全体形状が確認できる粒子をランダムに300個以上選んで測定を行い、測定した粒子数を分母として存在率を算出する。
IAl+IR<IFe+ICo ……(2)
本発明では特に、下記(1)式を満たす粒子が50%以上の存在率で含まれ、かつ下記(2)式を満たす粒子が70%以上の存在率で含まれる磁気記録用金属磁性粉が提供される。
VTEM/Vact≦1.2 ……(3)
本発明で対象とする磁性粉末は、「Fe」または「FeとCo」を主成分とする金属磁性相をもつ粒子からなる金属磁性粉末である。すなわち、金属磁性相を構成する磁性元素(Fe,Co,Ni)のうち、「Fe」または「FeとCo」の占める原子割合が50%以上のものである。また、この粉末は酸化膜を有しており、酸化膜と金属磁性相を含めた粉末粒子全体に存在する元素のモル比において、Feに対するCoの割合(以下「Co/Fe原子比」という)が0〜50at%のものが対象となる。ここで、Co/Fe原子比は「Co含有量(at%)/Fe含有量(at%)×100」で表される。Co/Fe原子比が5〜45at%のものがより好ましく、10〜40at%のものが一層好ましい。このような範囲において安定した磁気特性が得られやすく、耐候性も良好になる。酸化膜は鉄酸化物が検出されるが、その他の元素の酸化物が同時に存在していても構わない。
焼結防止剤を添加した原料粉を焼成し、還元する段階までは一般的な金属磁性粉の製造法が採用できる。例えば、Coおよび焼結防止剤を含有するオキシ水酸化鉄を公知の方法により250〜700℃の温度で焼成し、α−Fe2O3等の鉄酸化物へと変化させる。その後、この鉄酸化物を気相還元によって加熱還元し、α−Feを主成分とする金属磁性粉末を得る。この金属磁性粉末を「還元後の中間製品」と呼ぶ。本発明の金属磁性粉末を得るには、前記還元後の中間製品に対して、焼結防止剤に由来する非磁性成分を溶出させる処理(溶出処理工程)を施す必要がある。溶出処理工程の後、酸化膜を形成する処理(酸化処理工程)に供することにより、本発明の金属磁性粉末が得られる。
溶出処理工程に供するための還元後の中間製品としては、表面に酸化膜を形成させたものも使用できるが、焼結防止剤由来成分の溶出効果を高めるために、酸化膜を形成させる処理を行っていない粉体を用意することが望ましい。
処理液として、還元後の中間製品に含まれている希土類元素(Yも希土類元素として扱う)、Al,Siのうち少なくとも1種以上と錯体を形成しうる化合物(錯化剤)を溶解させた溶液を準備する。錯化剤としては、とくに制限する必要はないが、無電解めっきで錯化剤として通常使用されている薬品、例えば酒石酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩等が容易に入手できる。錯化剤の濃度は0.01〜10mol/L程度とすればよい。必要に応じてpH緩衝効果のある物質、例えばアンモニウム塩などを添加してもよい。処理液の調製は室温付近の温度で行うことができる。
溶出処理工程を終えた金属磁性粉末には、必要に応じて粒子の表層に酸化膜を形成する処理を施す。その方法はとくに限定されるものではなく、従来から知られている方法が採用できる。すなわち、前記の溶出処理に使用した液に酸化物を投入する湿式法で行ってもよいし、前記溶出処理液から分離・抽出した粉末を乾式法で酸化処理してもよい。ただし、乾式法で行う際には、粉末が不安定な状態になっていることがあるので、取り扱いには注意が必要である。
本発明に従う金属磁性粉末は、安定化された粒子に対して再度還元処理を施し、その後、再度、酸化雰囲気に曝す安定化処理を施すことによって製造される。これらの処理によると、粒子先端部が丸みを帯びた粒子が得られるようになりやすいので好ましい。再還元工程は、水素ガス等の還元雰囲気下で熱処理することによって実施できる。その熱処理温度は、150℃以上とすることが望ましいが、あまり高温にすると粒子間焼結が起こりやすくなるので、350℃以下の範囲とする必要があり、300℃以下の範囲がより好ましい。また、安定化処理は酸化性ガス雰囲気で熱処理することによって実施できる。この場合も温度が高すぎると焼結が生じやすいので、概ね150〜350℃の範囲で行うことが望ましい。
このようにして得られた本発明の金属磁性粉末は、一般的な方法を用いて重層塗布型磁気記録媒体の磁性層に使用することができる。
重層塗布型磁気記録媒体は、ベースフィルムの上に、下層として非磁性層を有し、その上に上層として磁性層を有する。本発明の金属磁性粉末は上層の磁性層を形成するための塗料中に配合させて使用される。
〔ベースフィルム〕
例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ポリオレフィン類、セルローストリアセテート、ポリカーボネイト、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン・アラミド、芳香族ポリアミド、等の樹脂フィルムを挙げることができる。
例えば、非磁性粉末(α−酸化鉄:DOWAエレクトロニクス(株)製、平均長軸粒子径80nm):85質量部、カーボンブラック:20質量部、アルミナ:3質量部、塩化ビニル樹脂(日本ゼオン(株)製塩化ビニル系バインダー:MR−110):15質量部、ポリウレタン樹脂(東洋紡(株)製ポリウレタン樹脂:UR−8200):15質量部、メチルエチルケトン:190質量部、シクロヘキサノン:80質量部、トルエン:110質量部からなる組成の非磁性塗料を挙げることができる。
例えば、本発明の金属磁性粉末:100質量部、カーボンブラック:5質量部、アルミナ:3質量部、塩化ビニル樹脂(日本ゼオン(株)製:MR−110):15質量部、ポリウレタン樹脂(前掲のUR−8200):15質量部、ステアリン酸:1質量部、アセチルアセトン:1質量部、メチルエチルケトン:190質量部、シクロヘキサノン:80質量部、トルエン:110質量部からなる組成の磁性塗料を挙げることができる。
5000mLビーカーに純水3000mLを入れ、温調機で40℃に維持しながら、これに0.03mol/Lの硫酸コバルト(特級試薬)溶液と0.15mol/Lの硫酸第一鉄(特級試薬)水溶液を1:4の混合割合にて混合した溶液を500mL添加した。その後、Fe+Coに対して炭酸が3当量となる量の顆粒状の炭酸ナトリウムを直接添加し、液中温度が40±5℃の範囲を超えないように調整しつつ、炭酸鉄を主体とする懸濁液を作った。これを1時間30分熟成した後、空気を50mL/minでFeイオンの酸化率が20%となるように調整した量添加して核晶を形成させ、65℃まで昇温し、更に50mL/minで純酸素を通気して酸化を1時間継続した。そのあと、純酸素を窒素に切り替えてから、30分程度熟成した。
この「還元後の中間製品」に相当する金属磁性粉末に対して以下のように溶出処理を施した。
純水900mLに対して、錯化剤として酒石酸ナトリウムを0.05mol/L、緩衝剤として硫酸アンモニウムを0.1mol/Lとなるように混合し、NH3でpH=9に調整した処理液を用意した。「還元後の中間製品」に相当する金属磁性粉末10gを上記処理液に投入し、温度を30℃に保持し、次いで還元剤として水素化ホウ素ナトリウムを0.3mol/Lとなるよう添加した。これを30分撹拌しながら30℃で熟成し、スラリ−を得た。このスラリ−固液分離し、固形成分と濾液を回収した。この固形成分を濾過、水洗、乾燥させ、乾燥品とした。
この乾燥品に対して以下のように酸化膜を形成させるための酸化処理を施した。
上記乾燥品を通気可能なバケット内に入れ、そのバケットを貫通型還元炉内に装入し、50L/minの流速で窒素を導入しながら炉内温度を降温レート20℃/minで90℃まで低下させた。酸化膜形成初期段階は窒素50L/minと純酸素400mL/minの混合割合にて混合したガスを炉内に添加し、水蒸気を水として1.0g/minの導入速度で添加しながら、水蒸気・酸素・窒素の混合雰囲気中にて酸化膜を形成させ、表面の酸化による発熱が抑制された段階で徐々に空気の供給量を増すことによって、雰囲気中における酸素濃度を上昇させた。最終的な純酸素の流量は2.0L/minの添加量とした。その際、炉内に導入されるガスの総量は窒素の流量を調整することによりほぼ一定に保たれるようにした。この酸化処理は、概ね90℃に維持される雰囲気下で1時間実施した。
上記の酸化処理によって酸化膜を形成させた後の粉末を250℃の水素雰囲気下に30分間曝すことによって再還元処理を行った。その後、上記酸化処理と同様の方法を実施することによって安定化処理を行った。
〔長軸長・短軸長の測定〕
被測定粉末についてTEM(日本電子(株)製、JEM−100CX Mark-II型)を使用し、100kVの加速電圧で、明視野での観察を行った。この観察像を例えば倍率58000倍で写真撮影し、拡大倍率は例えば縦横9倍に拡大する。各サンプルについて複数の写真画像の中から単分散している粒子をランダムに300個選択して、個々の粒子についてその写真画像に現れている長軸長と短軸長を測定し、その平均値を当該サンプルの長軸長、短軸長と表示した。
上記方法でTEMを用いて測定した長軸長、短軸長の平均値を用い、粒子を円柱形状に近似して下記(4)式によりVTEMを求めた。
VTEM=π×[長軸長]×([短軸長]/2)2 ……(4)
また、活性化体積Vactは、磁気測定による公知の方法で求めた。
〔比表面積〕
ユアサアイオニクス製4ソーブUSを用いて、BET法により求めた。
X線回折装置(理学電気株式会社製、RAD−2C)を用いて下記(5)式により求めた。
Dx=Kλ/βcosθ ……(5)
ただし、K:シェラー定数0.9、λ:Co−Kα線波長、β:Fe(110)面の回折ピークの半価幅(ラジアン)、θ:回折角(ラジアン)である。
測定範囲は2θ=45〜60°の範囲でスキャンして算出した。なおスキャンスピードは5°/分で、積算回数は5回で測定している。
磁気特性は東英工業株式会社製のVSM装置(VSM−7P)を使用して外部磁場10kOe(795.8kA/m)で測定した。また、磁気粘性は、磁場印加時間に対する磁化の減衰率から求められる粘性であり、外部磁場;−1kOeにて公知の方法で磁気粘性係数を求めた。
粉末の組成は、金属磁性相と酸化膜を含んだ粒子全体の質量分析を行うことによって求めた。Co,Alおよび希土類元素(Yも含む希土類元素として扱う)の定量は日本ジャーレルアッシュ株式会社製高周波誘導プラズマ発光分析装置ICP(IRIS/AP)を用い、Feの定量は平沼産業株式会社製平沼自動滴定装置(COMTIME−980型)を用いて行った。これらの定量結果は質量%として与えられるので、適宜原子%(at%)に変換することにより、Co/Fe原子比、Al/(Fe+Co)原子比、Y/(Fe+Co)原子比、(R+Al+Si)/(Fe+Co)原子比を求めた。なお、各比較例、実施例において、Si/(Fe+Co)は測定限界以下であるため、これらの例では(R+Al+Si)/(Fe+Co)原子比は(R+Al)/(Fe+Co)原子比に等しい。
粉末粒子をTEMにより観察し、TEMに付属のエネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDS)を用いて、粒子の下記3箇所について組成分析を行った。
(A)粒子の長軸方向先端付近; 具体的には粒子先端から長軸方向に5nmの距離にある位置に電子ビームの照準を合わせた。この箇所は、粒子のTEM像において金属コアと考えられる比較的暗い明度に写る部分を外れた部分に相当し、酸化膜あるいは非磁性成分が主体の部分であると考えられる。
(B)粒子の短軸端部付近
(C)粒子の中央部付近
これらは、図2に模式的に付記した粒子の測定位置A、B、Cにそれぞれ対応する。
なお、各元素は次の箇所に現れるピークを使用して算出した。
Al:1.5keV、
Y:1.9keV、
Fe:6.4keV、
Co:6.9keV
磁性粉末0.35gを秤量し、ポット(内径45mm、深さ13mm)へ入れる。蓋を開けた状態で10分間放置する。次にビヒクル〔東洋紡製、塩化ビニル系樹脂MR−110(22質量%)、シクロヘキサノン(38.7質量%)、アセチルアセトン(0.3質量%)、ステアリン酸−n−ブチル(0.3質量%)、メチルエチルケトン(38.7質量%)の混合溶液〕をマイクロピペットで0.700mL採取し、これを前記のポットに添加する。すぐにスチールボール(2φ)30g、ナイロンボール(8φ)10個をポットへ加え、蓋を閉じ10分間静置する。その後、このポットを遠心式ボールミル(FRITSH P−6)にセットし、ゆっくりと回転数を上げ、600rpmにあわせ、60分間分散を行う。遠心式ボールミルが停止した後、ポットを取り出し、マイクロピペットを使用し、あらかじめメチルエチルケトンとトルエンを1:1で混合しておいた調整液を1.800mL添加する。再度、遠心式ボールミルにポットをセットし、600rpmで5分間分散し、分散を終了する。
前記の分散を終了したあと、ポットの蓋を開け、ナイロンボールを取り除き、塗料をスチールボールごとアプリケータ(55μm)へ入れ、ベースフィルム(東レ株式会社製のポリエチレンフィルム、商品名15C−B500、膜厚15μm)の上に塗布を行う。塗布後、すばやく、5.5kGの配向器のコイル中心に置き、磁場配向させ、その後乾燥させる。
得られたテープについて前記のVSMを用いて磁気測定を行い、保磁力Hcx、角形比SQ、配向比ORを求めた。また、上記と同様の手法にて活性化体積Vactおよび磁気粘性を調べた。
以上の測定結果について、表1に粉末特性を、表2にテープ特性を示す(以下の各例において同じ)。
実施例1におけるオキシ水酸化鉄の合成過程で原料粒子の粒子径を変更した以外は実施例1と同様にして、金属磁性粉末を得た。これを用いて実施例1と同様の測定を行った(以下の各例において同じ)。
実施例1におけるオキシ水酸化鉄の合成過程で原料粒子の粒子径を変更したこと、および溶出工程を実施しなかったことを除き、実施例1と同様にして、金属磁性粉末を得た。この場合、上記「還元後の中間製品」をバケットから取り出さずに、そのまま炉内雰囲気を水素から窒素に切り替えることにより酸化処理工程に移行させた。
TEM−EDSによる粒子の測定では、前記(A)の箇所において、Al/Fe検出強度比=1.333、Y/Fe検出強度比=2.67であった。
比較例1におけるオキシ水酸化鉄の合成過程で原料粒子の粒子径を変更した以外は実施例1と同様にして、金属磁性粉末を得た。
TEM−EDSによる粒子の測定では、前記(A)の箇所において、Al/Fe検出強度比=0.765、Y/Fe検出強度比=0.706であった。
Claims (14)
- FeまたはFeとCoを主成分とする金属磁性相および酸化膜を有する粒子からなる金属磁性粉であって、その粉末粒子の平均長軸長が10〜45nm、各粒子の軸比が2以上、希土類元素をR(ただしYも希土類元素として扱う)と表すとき、金属磁性粉粒子に含まれる各元素の含有量(原子%)の値を用いて算出される(R+Al+Si)/(Fe+Co)原子比が20%以下であり、粒子のTEM像において長軸方向先端部の曲率半径が短軸長の1/6より大きい粒子が90%以上を占める磁気記録用金属磁性粉。
- FeまたはFeとCoを主成分とする金属磁性相および酸化膜を有する粒子からなる金属磁性粉であって、その粉末粒子の平均長軸長が10〜45nm、各粒子の軸比が2以上、希土類元素をR(ただしYも希土類元素として扱う)と表すとき、金属磁性粉粒子に含まれる各元素の含有量(原子%)の値を用いて算出される(R+Al+Si)/(Fe+Co)原子比が20%以下であり、粒子のTEM像において長軸方向両端部近傍の形状が下記(1)式を満たす粒子が、50%以上の存在率で含まれる磁気記録用金属磁性粉。
D1/DW≧0.7 ……(1)
ここで、粒子のTEM像において長軸に対し直角の方向を短軸方向と呼ぶとき、DWは当該粒子の短軸方向で最も長い部分の径(すなわち短軸長)、D1は当該粒子の長軸方向端部からの長軸方向距離がDW/2位置における短軸方向の径である。 - FeまたはFeとCoを主成分とする金属磁性相および酸化膜を有する粒子からなる金属磁性粉であって、その粉末粒子の平均長軸長が10〜45nm、各粒子の軸比が2以上、希土類元素をR(ただしYも希土類元素として扱う)と表すとき、金属磁性粉粒子に含まれる各元素の含有量(原子%)の値を用いて算出される(R+Al+Si)/(Fe+Co)原子比が20%以下であり、TEMに付属のエネルギー分散型蛍光X線分析装置を用いて粒子の長軸方向端部からの長軸方向距離が5nmの位置に電子ビームの照準を合わせたときの元素検出強度が下記(2)式を満たす粒子が、70%以上の存在率で含まれる磁気記録用金属磁性粉。
IAl+IR<IFe+ICo ……(2)
ここで、IAl、IR、IFeおよびICoは、それぞれAl、希土類元素(Yも希土類元素として扱う)、FeおよびCoの検出強度(カウント数)であり、2種以上の希土類元素を含有する場合のIRは各希土類元素の検出強度の合計とする。 - 粒子のTEM像において長軸方向両端部近傍の形状が下記(2)式を満たす粒子が、50%以上の存在率で含まれる請求項4に記載の磁気記録用金属磁性粉。
D1/DW≧0.7 ……(2)
ここで、粒子のTEM像において長軸に対し直角の方向を短軸方向と呼ぶとき、DWは当該粒子の短軸方向で最も長い部分の径(すなわち短軸長)、D1は当該粒子の長軸方向端部からの長軸方向距離がDW/2位置における短軸方向の径である。 - 酸化膜を含んだ平均粒子体積VTEMが5000nm3以下である請求項1〜4のいずれかに記載の金属磁性粉末。
- 透過型電子顕微鏡写真において観察される、粒子の長軸方向の先端部分における酸化膜の被覆厚みxnm、短軸方向の先端部における酸化膜による被覆厚みynmとしたとき、x/y≦5である、請求項1〜5のいずれかに記載の磁気記録用金属磁性粉。
- −1kOeの印加磁場における磁気粘性係数が1×10-3〜10×10-3である、請求項1〜6のいずれかに記載の磁気記録用金属磁性粉。
- 酸化膜を含み円柱で近似した粒子体積VTEMが5000nm3(5×10-18cm3)以下であり、粉末について測定される活性化体積Vactが1×10-18〜2×10-18cm3である請求項1〜7のいずれかに記載の磁記録用磁性粉。
- 前記VTEMおよびVactが下記(3)式を満たす請求項8に記載の磁気記録用金属磁性粉。
VTEM/Vact≦1.2 ……(3) - 請求項1〜9のいずれかに記載の磁性粉を使用する重層塗布型磁気記録媒体。
- FeまたはFeとCoを主成分とする金属磁性相を有し、希土類元素(Yも希土類元素として扱う)、AlおよびSi(以下これらを「非磁性成分」という)の1種以上を含有する粒子からなる金属磁性粉末に対し、前記非磁性成分の少なくとも1種以上と錯体を形成しうる錯化剤を含有する液中において還元剤を作用させることにより、粉末粒子中の非磁性成分を液中に溶出させる工程(溶出処理工程)、還元性ガス雰囲気で熱処理する工程(再還元処理工程)、酸化性ガス雰囲気で熱処理する工程(安定化処理工程)を順次有する処理を施す磁気記録用金属磁性粉の製造法。
- 溶出化処理工程後、再還元工程前に、粉末粒子の表面に酸化膜を形成する工程(酸化処理工程)を有する請求項11に記載の磁気記録用金属磁性粉の製造法。
- 錯化剤として、酒石酸ナトリウムおよびクエン酸ナトリウムの1種以上を使用する請求項11または12に記載の磁気記録用金属磁性粉の製造法。
- 還元剤として、ヒドラジン(N2H2)、リチウムアルミニウムハイドライド(LiAlH4)、ナトリウムボロンハイドライド(NaBH4)およびその誘導体の1種以上を使用する請求項11〜13のいずれかに記載の磁気記録用金属磁性粉の製造法。
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