JP5731483B2 - 金属磁性粉末およびその製造方法、磁性塗料、並びに磁気記録媒体 - Google Patents

金属磁性粉末およびその製造方法、磁性塗料、並びに磁気記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、高密度磁気記録に適した金属磁性粉末およびその製造方法、磁性塗料、並びに磁気記録媒体に関する。
コンピュータのデータバックアップ用途に代表される磁気記録媒体は大容量化の要請に伴い、より記録密度を高めることが必須とされている。磁気記録媒体において高記録密度を達成させるためには、粒子体積の小さい金属磁性粉末が必要とされている。本出願人においても、こうした趨勢に応えるべく、特許文献1に開示した製造方法をはじめとして、金属磁性粉末の製造技術の改良を種々行ってきた。
従来開示されてきた文献(例えば、特許文献1)等にも記載されているように、金属磁性粉末は鉄を主成分とするものが代表的である。そして、当該鉄系の金属磁性粉末は、工業的にはオキシ水酸化鉄もしくは酸化鉄を主体とした針状粉末へSi、Al、希土類元素、アルカリ土類金属元素といった焼結防止剤を含有させた後、熱処理によって還元する方法によって製造するのが一般的である。
本発明者らは、金属磁性粉末の特性を検討する中で、当該金属磁性粉末を微粒子化しようとする場合は、当該微粒子の形状を維持するために、当該金属磁性粉末に対する焼結防止剤の添加量を相対的に増加させることが必要であることを確認した。当該焼結防止剤は、還元等の熱処理を行う際の焼結防止には優れた効果を示す。
また発明者らは、金属磁性粒子の粒子体積を縮小する方法として、特許文献2に記載の方法を開示している。
特開2003−263720号公報 特開2007−294841号公報
しかしながら発明者らは、熱処理工程後においては、当該焼結防止剤は、何ら磁性に好影響を及ぼさないばかりか、金属磁性粒子の体積を大きくする結果になるので、粒子性ノイズの低減の観点からは好ましくないことを知見した。
そして、本発明者らによる更なる検討によると、従来開示してきた金属磁性粒子の粒子体積を縮小させる方法を用いた場合であっても、製造された磁気記録媒体において、磁気特性の飛躍的な改善には結びつかない場合があることが判明した。そこで、当該場合について更に研究を行ったところ、金属磁性粒子の粒子体積を縮小させる方法に係る操作により、金属磁性粒子の分散性が低下したり、金属磁性粒子が樹脂を初めとする有機物と混合される際のなじみが低下したり、分散性が低下している可能性に想到した。
本発明は上述の状況の下でなされたものであり、その解決すべき技術的課題は、粒子体積が縮小した金属磁性粒子からなる金属磁性粉末であって、樹脂を初めとする有機物と混合された際の混合状態(以下、本発明において「なじみ」と記載する場合がある。)が向上し、さらに、当該金属磁性粒子の樹脂を初めとする有機物への分散性が向上した金属磁性粉末とその製造方法、、当該金属磁性粉末を用いた塗料並びに磁気記録媒体を提供することである。
本発明者らは、上記課題は次のような工程を有する金属磁性粉末の製造方法を経由して得られる磁性粉末であれば、上述の課題は解決できうることを見いだし、本願発明を完成させた。
すなわち、上述の課題を解決するための第1の発明は、
強磁性元素を主成分とする金属磁性相を有し、Yを含む希土類元素、AlおよびSiから選択される1種以上を非磁性成分として含有する粒子からなる金属磁性粉末を製造する方法であって、
前記非磁性成分と錯体を形成しうる錯化剤を含有する液中において、金属磁性粉末へ還元剤を作用させることで、前記粒子中の非磁性成分を前記液中に溶出させる工程と、
前記非磁性成分を前記液中に溶出させた後の粒子へ、当該粒子を乾燥することなく、前記液中にて酸化膜を形成する工程と、
前記酸化膜を形成する工程の後に、前記粒子を純水中に分散させ、さらに前記純水を有機溶媒で置換する溶媒置換工程とを備えた、金属磁性粉末の製造方法である。
第2の発明は、
前記酸化膜を形成する工程とは、前記非磁性成分が前記液中に溶出した粒子を、過酸化物により酸化する工程である、第1の発明に記載の金属磁性粉末の製造方法である。
第3の発明は、
前記酸化膜を形成する工程の後に、前記粒子を乾燥させる乾燥工程を備えた、第1または第2の発明に記載の金属磁性粉末の製造方法である。
第4の発明は、
強磁性元素を主成分とする金属磁性相を有し、Yを含む希土類元素、AlおよびSiから選択される1種以上を含有し、酸化膜を有する粒子からなる金属磁性粉末であって、
等酸点が7.0以上であり、
粒子の平均長軸長が10〜50nmであり、
酸化膜を含んだ粒子の平均粒子体積が5000nm以下であり、
粒子中に含まれる各元素の含有量(原子%)の値を用いて算出される(R+Al+Si)/(Fe+Co)原子比の値が20%以下であり、
粒子に対する単位面積当たりの有機酸(ステアリン酸)の吸着量が1.33mg/m以上1.44mg/m 以下である、金属磁性粉末である。
但し、RはYを含む希土類元素であり、R、Al、Siから選択される1種または2種の含有量が0の場合もある。
第5の発明は、
煮沸抽出法(JISK−5101−17−1:2004)に準拠して測定された粉体pH値が7.0以上である、第4の発明に記載の金属磁性粉末である。
第6の発明は、
Fe(110)で算出される結晶子径が11.5nm以下であり、
粒子の平均粒子体積V(nm)を、球形として算出される結晶子体積(nm)で除した粒子体積当たりの存在結晶子数の平均値が6.0個以下である、第4または第5の発明に記載の金属磁性粉末である。
第7の発明は、
第4から第6の発明のいずれかに記載の金属磁性粉末を含む磁性塗料である。
第8の発明は、
第4から第6の発明のいずれかに記載の金属磁性粉末を含む磁気記録媒体である。
上述の構成を備えた金属磁性粉末は、等酸点が7.0以上あり磁気記録媒体に用いられる塗膜樹脂とのなじみが向上し、配向性に優れ、当該金属磁性粉末を用いた磁気記録媒体は保磁力が高く、SFDxの値が低いという優れた特性を発揮する。
滴定による評価により算出される、試料のプロトン(H)の吸着または放出状況を示した模式図である。 金属磁性粒子から放出、または、金属磁性粒子へ吸着されるプロトン(H)の水素依存量の相関を示した図である。
従来の技術に係る方法においても、以下説明する「金属磁性粉末の製造工程」および「焼結防止剤の除去工程」迄を実施した後、金属磁性粒子と処理液とを分離して乾燥させ、当該金属磁性粒子に酸化膜を再度形成させて、金属磁性粉末としていた。
しかし、従来の技術に係る方法においては、得られた金属磁性粉末の粒子体積が、焼結防止剤の除去前に比較して著しく減少しているにもかかわらず、当該金属磁性粉末を含む磁気記録媒体の磁気特性が想定しているよりも改善しない場合があった。
本発明者らが、当該磁気特性が改善しない原因について研究したところ、「焼結防止剤の除去工程」における操作により、金属磁性粉末の分散性や樹脂に対するなじみが低下すること、さらに、金属磁性粒子同士が、「焼結防止剤の除去工程」における乾燥工程で再凝集することに想到した。つまり、金属磁性粉末の分散性や樹脂に対するなじみの低下、金属磁性粒子同士の再凝集により、従来の技術に係る金属磁性粉末を塗料化したときに、金属磁性粒子を十分に分散することができないものと考えられる。金属磁性粉末を磁性塗料化したときに金属磁性粒子を十分に分散することができないと、当該磁性塗料において金属磁性粉末として振る舞う体積は、個々の金属磁性粒子よりも大きくなってしまう(所謂、「活性化体積」が増加してしまう。)。この結果、金属磁性粒子における粒子体積の低減効果によりもたらされると、期待されていた磁気特性の改善効果が相殺されたものと考えられる。
上述の知見に基づき、本発明者らは後述する「金属磁性粉末の製造工程」および「焼結防止剤の除去工程」の後、乾燥工程を経ずに湿式で一旦酸化膜を形成させる「湿式安定化工程」を設けて金属磁性粒子の凝集を抑制する構成、金属磁性粒子の表面を覆っている水分を有機物で置換する「溶媒置換工程」を設けることにより、金属磁性粉末を乾燥粉とする際の凝集を抑制する構成に想到した。
以下、本発明に係る金属磁性粉末、磁性塗料、並びに磁気記録媒体の製造方法について説明しながら、本発明について詳細に説明する。
<金属磁性粉末の製造工程>
本発明に係る金属磁性粉末の原料は、公知の方法により得ることができる。具体的には、α−オキシ水酸化鉄(ゲーサイト)またはα−酸化鉄(ヘマタイト)を、水素雰囲気、含水素雰囲気等の還元性雰囲気下で還元することで得ることができる。尚、当該α−オキシ水酸化鉄、α−酸化鉄には、焼結防止剤であるアルミニウムや希土類元素が含有されている。
当該還元は、300〜700℃程度の条件で行うのが良いが、所望により還元温度を二段階以上とする「多段還元法」を適用してもよい。当該多段還元適用時には、まず低温条件で還元し、次に高温条件で還元する方法が好ましい。
製造される金属磁性粉末には、サイズの制限はない。尤も、本発明の効果を顕著に得られるのは、金属磁性粒子が針状あるいはそれに準じる形態を有し、TEM像より算出される平均長軸長が10〜50nm、好ましくは10〜45nm、一層好ましくは10〜30nmの範囲のものである。
得られた金属磁性粉末の原料を、空気などの酸素含有ガス雰囲気下で60〜150℃の条件に曝し、表面に安定化被膜を形成させることで金属磁性粉末が得られる。所望により、当該金属磁性粉末を還元雰囲気に曝露することで、表面酸化膜の改質操作を行っても良い。
<焼結防止剤(非磁性成分)の削減工程>
上記得られた金属磁性粉末から、焼結防止剤として添加された非磁性成分であるアルミニウムや希土類元素を削減して、金属磁性粒子体積の軽減された金属磁性粉末を得る。
具体的操作としては、上記得られた金属磁性粉末を溶媒中に分散させ分散液とする。当該分散液へ、非磁性成分であるアルミニウムまたは希土類元素と錯体を形成しうる錯化剤成分を添加する。その後、当該分散液へ還元力を有する還元剤を添加する。
当該操作により、金属磁性粒子の表面に存在している非磁性成分を溶解し削減することができる。
当該焼結防止剤の削減工程において、錯化剤成分としては、酒石酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩等が好適に適用される。また、還元剤としては、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、アルミニウムリチウムハイドライド等を選択すれば、焼結防止剤の除去操作が容易に行えるので好ましい。勿論、これらの錯化剤や還元剤は、それぞれ単品を用いても良いし、複数品を併用して用いても良い。
<湿式安定化工程>
本発明においては、金属磁性粒子の再凝集を抑制するため、および、後述する金属磁性粒子の等酸点をpH=7.0の領域とするために、上述した「焼結防止剤の除去工程」の後、非磁性成分が液中に溶出した金属磁性粒子を乾燥させることなく、湿式状態のまま当該液中にて、表面に酸化膜を形成させる「湿式安定化工程」を実施する。この湿式安定化工程においては、金属磁性粒子の表面に酸化膜を形成させることができればよいが、より好適には均一な酸化膜を形成させる。当該均一な酸化膜を形成させるためには、湿式安定化工程において、過酸化物等を添加することが好ましい。具体的には、無機過酸化物や、クロム酸カリウムといった酸化剤、あるいは有機過酸化物が挙げられるが、取扱の容易さを考慮すれば無機過酸化物、なかでも過酸化水素水を用いることが好ましい。
湿式安定化工程における好ましい反応温度は0〜50℃、さらに好ましくは10〜40℃である。そこで、液温を50℃以下とする。当該反応温度を保つことで、金属磁性粒子における酸化膜形成反応の不均一性を抑制し、均一な酸化膜を形成できるようになり、金属磁性粉末の磁気特性改善に寄与する。
過酸化物の添加量は、処理すべき金属磁性粉末1gに対して、0.001mol以上、好ましくは0.005mol以上、一層好ましくは0.01mol以上添加すれば良い。当該添加量を満たすことで、金属磁性粒子における酸化膜の形成が十分になり、金属磁性粉末として安定なものとなり、保存安定性が向上するので好ましい。
一方、過酸化物の添加量は、処理すべき金属磁性粉末1gに対して、0.05mol以下とすることが好ましい。金属磁性粒子の過度な酸化を回避することで、金属磁性粒子の体積が減少することを回避し、結果として高密度磁気媒体の原料として適するからである。
<溶媒置換工程>
上述した「湿式安定化工程」の後、金属磁性粉末と処理液とを公知の方法により分離する。そして、分離された金属磁性粉末を、一旦清浄な純水中に分散させることで、「湿式安定化工程」にて生成し、金属磁性粒子表面に付着して残存する成分を除去する。当該金属磁性粉末を純水中に分散させる際、純水を撹拌したり、超音波洗浄を用いても良い。そして、金属磁性粉末を純水に分散させた後、再度分離操作を行って、金属磁性粉末と洗浄液とを分離した後、当該金属磁性粉末を有機溶媒に再分散させる操作を行うことにより、金属磁性粉末の有機溶媒分散液を得る。
この有機溶媒分散液を得る操作は、特に操作に際しての温度に制限はないものの、用いられている有機媒体の揮発温度よりは低い温度で行うことが好ましい。また、この際に用いられる好ましい有機溶媒としては、トルエン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。
また、当該有機溶剤への再分散操作は、金属磁性粒子表面に残存する水分と有機物の置換をより進めるために、一回以上、数回行うことが好ましい。
上記の操作を経た後に、金属磁性粉末の有機溶媒分散液から、金属磁性粉末の乾燥粉を得るため、乾燥を行うのも好ましい構成である。当該構成によれば、有機物が金属磁性粒子の表面を被覆している効果により、表面が水で被覆されている場合にみられた著しい凝集が生じ難いものになっている。このため、金属磁性粉末の有機溶媒分散液から、乾燥工程を経由して金属磁性粉末の乾燥粉を製造しても、従来の粉末のような凝集は起こり難い。そして、乾燥させたときの金属磁性粉末も、水分散の場合より相対的に柔らかいものが得られるようになり、取扱に好適なものになり好ましい。なお、乾燥工程はあまりに高温で行うと、有機物の被覆効果が低減するので、低温で長時間を行うのが適当である。具体的には100℃以下、好ましくは80℃以下とするのがよい。
上記の操作を経た結果、分散性に優れた金属磁性粉末を得ることが出来た。
(金属磁性粉末の構成)
本発明に係る磁性粉末の物理特性は、具体的には以下のような物性を有する。
<金属磁性粒子形状および体積の測定>
本発明に係る金属磁性粒子の平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製のJEM−100CX Mark−II型)を使用した。100kVの加速電圧で、明視野で本発明に係る金属磁性粉末を観察した像を写真撮影し、約300個の金属磁性粒子を選択して平均一次粒子径を測定した。
本発明に係る金属磁性粒子の形状は、針状、紡錘状、平針状である。ここでいう平針状とは、針状粒子の一形態であって、金属磁性粒子を短軸で切断した際の形状が円ではなく、楕円状を呈しているようなものを言う。判別は透過型電子顕微鏡像により行うことが出来る。具体的には、金属磁性粒子を傾斜させて断面がどの程度円から乖離しているか確認する方法や、シャドウイング法により、断面比を確認する方法がある。なお、この方法により、断面が円と判定される金属磁性粒子の形状は紡錘状である。
本発明に係る金属磁性粒子の大きさは、針状もしくはそれに類する粒子の場合には長軸長で10〜50nm、好ましくは10〜45nm、一層好ましくは10〜30nmである。本発明に係る金属磁性粒子が当該長軸長範囲をとることで、高密度磁気記録に資することができるようになる。
長軸長が50nm以下であれば、金属磁性粒子の大きさが適正であるので、高密度磁気記録に耐えうる磁性粉となり好ましい。また、長軸長10nm以上の金属磁性粒子は、金属磁性粒子の微粉化に起因する磁性の喪失(スーパーパラ)の問題を回避出来る。
他方、形状磁気異方性で磁気を発現する金属磁性粒子の場合には、軸比も重要なファクターであり、少なくとも軸比は2以上であることが求められる。
さらに、金属磁性粒子の円柱近似(すなわち、(平均短軸長/2)×円周率×平均長軸長)で算出される値)で算出される粒子体積は、5000nm以下、より細かいものは3500nm以下、一層細かいものは2500nm以下の粒子である。金属磁性粒子体積は細かければ細かいほど、粒子性ノイズの低減に寄与する。従って、当該観点からは粒子体積が細かいことが好ましい。尤も、粒子体積があまりにも細かくなると、上述したように、金属磁性粒子の磁性が喪失(スーパーパラ)してしまい磁気特性が発揮されなくなるので、当該事態を回避する為には、100nm以上であることが好ましい。
本発明に係る金属磁性粉末は、Fe、Ni、Coといった強磁性元素の1種以上を主成分とし、アルミニウム、硅素、希土類元素(本発明において、希土類元素はYを含み、「R」と記載する場合がある。) といった非磁性成分を含みながら、当該非磁性成分が削減されたものである。具体的には、[非磁性成分(R+Si+Al)]/[磁性成分(Fe+Co)]の原子比が20%以下、より削減させた場合には15%以下、一層削減させた場合には12%以下としたものである。当該非磁性成分は通常、焼結防止を図るため、金属コアに対して外側に存在している。従って、当該非磁性成分を削減することにより、金属磁性粒子体積を低減する効果がある。また、当該非磁性成分が削減されることによって、金属磁性粒子体積当たりの磁気特性が高いものを得ることが出来る。
但し、非磁性成分はR、Si、Alの全てが存在する場合に加えて、R、Si、Alから選択される2種または1種が存在する場合もある。例えば、R、Si、Alから選択される2種が存在する場合は、存在しない1種の値は0となり、R、Si、Alから選択される1種が存在する場合は、存在しない2種の値は0となる。
<金属磁性粉末の結晶子径、および結晶子体積の算出>
本発明に係る金属磁性粉末の結晶子径は、粉末X線回折法により算出した。具体的にはFe(110)面の結晶子の大きさを、シェラー法を適用して算出する。本明細書においては、Fe(110)の半価幅を使用して算出した。本願に記載の結果はX線源にCo管球を使用した結果に基づいている。
さらに具体的には、X線回折装置(株式会社リガク製/RINT−2100)を用いて以下の式により求めた。X線は特に微粒子の場合ではピークがブロードになる傾向が見られるので、測定範囲は2θ=45〜60°の範囲でスキャンして算出した。なおスキャンスピードは5°/分で、積算回数は5回で測定している。
本発明に係る金属磁性粉末において、下記の(式1)に従って算出される結晶子径は11.5nm(115Å)以下、好ましくは11.0nm(110Å)以下、一層好ましくは10.5nm(105Å)以下であるのがよい。結晶子径は11.5nm以下であれば、媒体化した際の粒子性ノイズが大きくならず好ましい。

Fe(110)における結晶子サイズ=Kλ/βcosθ・・・(式1)

ただし、K:シェラー定数0.9、λ:X線波長、β:回折ピークの半価幅(ラジアン)、θ:回折角(ラジアン)。
そして、結晶子は球形であるとみなし、当該金属磁性粒子結晶の体積を、算出された結晶子径と球形体積の算出方法、すなわちV=(4π/3)×(結晶子径/2)とから算出した。
当該金属磁性粒子結晶の体積と、TEMで算出される金属磁性粒子体積とを対比することにより、金属磁性一粒子当たりの結晶子数が算出出来る。従来の技術に係る金属磁性粉末であれば、金属磁性粒子表面に厚い酸化膜層および非磁性焼結物層がそれぞれ存在しており、体積として大きいものとなる。すなわち、この方法にて算出される金属磁性一粒子当たりの結晶子の数は大きい値を示すことになる。しかし、高密度の磁気記録の観点からは、こうした粒界部分(酸化膜層・非磁性焼結物層)は少ない方が、粒子性ノイズの低減に寄与することが期待される。従って、金属磁性一粒子当たりの結晶子数は少ない方が好ましいと考えられる。
この手法により算出される金属磁性一粒子当たりの結晶子数は6個以下、好ましくは5.5個以下、一層好ましくは5.0個以下であるのがよい。なお、最低でも一つの磁性粉当たり一つの結晶子は存在しているといえるので、結晶子数は1.0以上であるといえる。
<金属磁性粒子の比表面積>
本発明に係る金属磁性粒子の比表面積は、BET一点法を用いて測定した。測定装置は、ユアサイオニクス株式会社製の4ソープUSを使用した。
<金属磁性粉末の嵩密度の算出>
本発明に係る金属磁性粉末の嵩密度は、JIS法(JISK―5101:1991)に準拠して測定できる。
また、例えば、特開2007−263860に記載された所定のホルダーに測定対象の粉体を充填して粉体層を形成し、当該粉体層へ所定の圧力を加えた後、粉体層の高さを測定し、当該粉体層の高さの測定値と、充填された粉体の重量とから測定対象の粉体の密度を求める方法でも算出できる。当該値は、金属磁性粒子の詰まり易さの傾向を示しており、当該値が高い金属磁性粉末は高密度記録に適している。
<金属磁性粒子の等酸点>
金属磁性粒子の等酸点とは、金属磁性粒子を所定のpH値を有する溶液に投入した際、当該金属磁性粒子と周囲の溶液間とにおいて、プロトンの出入りがバランスし外観的にはプロトンの出入りが停止して見える点である。
当該等酸点は、当該金属磁性粒子を含まない溶液(ブランク溶液)をリファレンス溶液とし、当該リファレンス溶液を滴定したときの滴定曲線と、当該金属磁性粒子を含む溶液を同様に滴定したときの滴定曲線との交点をもとめることで、測定することが出来る。
上述したように、等酸点とは、金属磁性粒子表面から放出されるプロトンと、所定のpH値を有する溶液中から金属磁性粉末に供給されるプロトンの量とがバランスする点を示し、当該金属磁性粒子表面に存在する水酸化物基(官能基)の状況を知る指標である。本発明に係る金属磁性粒子は、当該等酸点がpH=7.0以上の領域に存在するという性質を有する。
一方、従来の技術に係る非磁性成分を削減した金属磁性粒子においては、非磁性成分の溶出に使用した還元剤の影響により等酸点が酸性側にシフトし、pH=7.0未満の領域に存在することとなっていた。そのため、従来の技術に係る非磁性成分を削減した金属磁性粒子と、通常使用される樹脂とのなじみに悪影響が生じ、好ましくない結果をもたらしていたものと考えられる。
これに対し、本発明に係る金属磁性粒子では、焼結防止剤(非磁性成分)の削減工程の後に湿式安定化工程を経ているため、等酸点がpH=7.0の中性、またはpH=7.5以上のアルカリ性側領域に存在する。当該等酸点を有する本発明に係る金属磁性粒子は、詳細な作用機構は明らかではないものの、磁性粉用の樹脂に対して優れた相溶効果を持つようになり、樹脂とのなじみが向上したものと考えられる。
さらに、本発明に係る金属磁性粒子と樹脂とのなじみが向上した結果、上述した溶媒置換工程の効果に加え、当該金属磁性粒子を用いた磁気記録媒体において、保磁力の向上およびSFDx値の低下を実現出来たと考えられる。
<金属磁性粒子の表面性評価(プロトン放出または吸収性)>
さらに、金属磁性粒子を所定のpH値を有する溶液に投入した際、表面からプロトンが放出されるか、または、吸収されるかを調べることで、当該金属磁性粒子の表面性を評価することが出来る。
本発明者らの検討によると、本発明に係る金属磁性粒子の場合は、本発明に係る金属磁性粒子を含有するpH=11の水酸化カリウム溶液へ、希硝酸を徐々に添加していき、当該水酸化カリウム溶液がpH=5に達した時点において、当該金属磁性粒子がプロトン放出性を発揮するものが好ましいことが判明した。
金属磁性粒子が、溶液pH=5に達した時点においてプロトン放出性を発揮することで、溶液pH値を当該値に設定することにより、金属磁性粒子間の反発を生じさせ、別途分散剤を添加することなく、金属磁性粒子のみでも当該溶液中で高い分散性を発揮させることができる。
以下、金属磁性粒子の等酸点測定方法、表面性評価方法について、具体的に説明する。
本発明に係る金属磁性粉末を、500メッシュで解粒した試料0.05gを準備する。当該試料を、緩衝剤として0.1モル/Lの硝酸カリウムを含むpH=11の水酸化カリウム溶液100mLに添加した。当該本発明に係る金属磁性粉末を含有する水酸化カリウム溶液へ、0.01モル/Lの硝酸水溶液を0.02mL/分の速度で添加して、pH値の変化を測定した。
当該溶液のpH値の変化は、例えば、流動電位自動滴定装置(京都電子工業製のAT−510Win/PCD−500型流動電位自動滴定装置)を用いて測定することができる。ここで、当該溶液中の金属磁性粉末の分散性が保たれた状態で測定を行うことが好ましいことから、本測定は、マグネチックスターラーを使用して当該溶液を撹拌しつつpH値の変化の測定を行った。
尚、水酸化カリウム水溶液、またはその代替溶液は空気中の炭酸を吸収する作用があることから、作成から数日経過した液を使用することは好ましくない。
一方、上記と同様の硝酸酸性溶液と水酸化カリウム水溶液とを準備した。そして、本発明に係る磁性粉末を添加しない水酸化カリウム水溶液へ、上記と同様に硝酸酸性溶液を添加してブランク溶液とした。そして当該ブランク溶液のpH値の変化を測定し、上記金属磁性粉末の分散液におけるpH値の変化のベースラインとした。
こうして、水酸化カリウム水溶液中に本発明に係る磁性粉末が存在した場合に測定されるpH値と、存在しない場合のベースラインのpH値とから、金属磁性粒子が放出または吸収した、プロトン(H)量を算出した。
具体的な算出方法について説明する。
磁性粉末がプロトンを放出する時には、この値はマイナス(−)の値を取り、プロトンを吸収するときにはこの値は(+)の値を取るとした。つまり、水酸化カリウム水溶液のpH値から見れば、磁性粉末がプロトンを放出するときpH値は、リファレンス(ブランク溶液)よりも酸性側の(小さい)値をとり、磁性粉末がプロトンを吸収するとき、pH値はリファレンス(ブランク溶液)よりも塩基性側の(大きい)値をとる。
水酸化カリウム水溶液に対して、金属磁性粒子が放出または吸収(蓄積)する、金属磁性粒子の単位面積当たりのプロトン量(H)個数/mは、次の(式2)より計算される。ここで、Nはアボガドロ数(=6.02×1023)である。
ただし、この計算時に使用する水酸化カリウム水溶液中に本発明に係る磁性粉末が存在した場合に測定されるpH値と、存在しない場合のベースラインのpH値とは、双方の溶液へ同量の硝酸量を添加したときの値をもって比較し、算出することは言うまでもない。

・・・(式2)
金属磁性粒子が溶液中へ[放出または吸収]するプロトンの個数である(H)は(式2)で算出されるが、(H)個数/mは、溶液に対して同じプロトン量を添加した環境において、粉末を添加したことに伴い、どの程度のプロトン授受が発生するかを示す。つまり、当該プロトンを[放出または吸収]する個数は、金属磁性粒子のプロトンに対する感受性を示す、と考えることも出来る。
従来の技術に係る金属磁性粒子は、プロトンを放出する傾向が顕著である。当該傾向から、従来の技術に係る金属磁性粒子は、粒子表面に何らかの残留成分が残存している可能性が示唆される。
従来の技術に係る金属磁性粒子が示すプロトンを放出する傾向を図1に示す。
図1は、横軸にリファレンス(ブランク溶液)のpH値をとり、縦軸に金属磁性粒子が溶液中へプロトンを[放出または吸収]する(H)個数/mをとったグラフである。
図1より、従来の技術に係る金属磁性粒子は、溶液のpH値が低いときはプロトンを吸収する傾向が高いが、溶液のpH値の上昇とともにプロトンを吸収する傾向が低下し、「[放出または吸収]する(H)個数/m=0」となる等酸点を経過してプロトンを放出する傾向が高まる。しかし、溶液のpH値がさらに上昇するとともに、今度はプロトンを放出する傾向が徐々に低下し、再び「[放出または吸収]する(H)個数/m=0」となるレベルに漸近することが判明した。
詳細は、実施例1および比較例1にて後述するが、図2に示すように、本発明に係る湿式安定化工程を実施した金属磁性粒子の等酸点(◆と実線でプロット)は8.3を示し、実施しなかった金属磁性粒子の等酸点(□と破線でプロット)は6.5を示した。
<金属磁性粒子の表面性評価(粉体pH値)>
焼結防止剤(非磁性成分)の削減工程の後に湿式安定化工程を経て製造された本発明に係る金属磁性粉末は、JIS法(JISK−5101−17−1:2004/顔料試験方法−第17部:pH値−第1節:煮沸抽出法)に規定された粉体pH値の測定において、pH=7以上である金属磁性粉末となった。
当該JIS法に係るpH値の測定法について、具体的に説明する。
蓋の出来るガラス製容器に、液中から炭酸ガスを除いた純水を充填し、所定量の金属磁性粉末を加えて10%懸濁液を作製する。その後、蓋を開放状態とし、懸濁液を5分程度加熱して煮沸し、煮沸状態になってから、さらに5分間煮沸を継続する。その後、容器の蓋をしてから懸濁液を常温まで放冷し、煮沸により減少した量の水を補って1分間振り混ぜた後、5分間静置し、懸濁液のpH値を測定した。
本発明者の検討によれば、こうして測定された金属磁性粉末の粉体pH値が7.0以上であると、有機媒体に対して分散性に優れた磁性粉末であることが判明した。その反応機構については不明な点も多いが、測定原理から考察すれば、本発明に係る金属磁性粉末から溶出している成分が影響を及ぼしていると考えられる。すなわち、焼結防止剤(非磁性成分)の削減工程の後に湿式安定化工程を経て製造された本発明に係る金属磁性粉末から溶出しやすい成分が何らかの作用効果を示し、有機溶媒への分散性に影響を与えていると思料される。
<金属磁性粉末の組成分析>
本発明に係る金属磁性粉末の組成は、金属磁性相と酸化膜とを含んだ金属磁性粒子全体の質量分析を行うことによって求めた。Co,Alおよび希土類元素(Yも含む希土類元素として扱う)の定量は日本ジャーレルアッシュ株式会社製高周波誘導プラズマ発光分析装置ICP(IRIS/AP)を用い、Feの定量は平沼産業株式会社製平沼自動滴定装置(COMTIME−980型)を用いて行った。
これらの定量結果は質量%として与えられるので、適宜、原子%(at%)に変換することにより、Co/Fe原子数比、Al/(Fe+Co)原子数比、Y/(Fe+Co)原子数比、(R+Al+Si)/(Fe+Co)原子数比を求めた。
尚、後述する、各実施例、比較例においてSi/(Fe+Co)の値は測定限界以下であったため当該値を0とみなし、(R+Al+Si)/(Fe+Co)原子数比は(R+Al)/(Fe+Co)原子数比に等しいとした。
<金属磁性粒子の有機酸(ステアリン酸)吸着量>
有機酸(ステアリン酸)は、当該金属磁性粒子表面における塩基性点に該当する点に吸着する。従って、金属磁性粒子への有機酸(ステアリン酸)吸着量は、当該金属磁性粒子の樹脂に対する分散性等を知るのに重要な指標になり得る。
焼結防止剤(非磁性成分)の削減工程の後に湿式安定化工程を経て製造された本発明に係る金属磁性粉末では、単位面積当たりの有機酸(ステアリン酸)の吸着量が、1.2mg/m以上に保持された磁性粉末であることが知見された。
金属磁性粒子の有機酸(ステアリン酸)吸着量の具体的な算出方法について説明する。
窒素で置換したグローブボックス中において、金属磁性粉末を30メッシュで解粒した試料2.0gを準備する。当該試料を、2質量%のステアリン酸が溶解したメチルエチルケトン溶液15.0gに添加し、下部から永久磁石を用いて試料を凝集させる。
ここで、当該溶液の上澄み液10gを分取して、ホットプレート上において90℃で3時間加熱し、加熱残分の重量を測定した。得られた加熱残分重量の数値を(式3)に代入した。

A=1000×B×(C/100)×[1−E/{(C/100)×D}]/F・・・(式3)

但し、Aはステアリン酸吸着量(mg/g)、Bは溶液の全重量(g)(ここでは15.0g)、Cは溶液中のステアリン酸濃度(質量%)(ここでは2質量%)、Dは上澄み液の重量(g)(ここでは10g)、Eは90℃で3時間加熱した後の加熱残分重量(g)、Fは試料の重量(g)(ここでは2g)である。
(式3)において、B×(C/100)は当初の溶液中のステアリン酸の重量(g)を示し、[1−E/{(C/100)×D}]は上澄み液中に残存するステアリン酸の割合を示している。
<金属磁性粉末の磁気特性評価>
本発明に係る金属磁性粉末の、外部磁場10kOe(795.8kA/m)下における、保磁力Hc、飽和磁化σs、角形比SQ、粉末のBSFD(バルク状態におけるSFD値)を測定した。
具体的には、本発明に係る金属磁性粉末をφ6mmのプラスチック製容器に充填し、東英工業株式会社製のVSM装置(VSM−7P)を使用して、外部磁場10kOe(795.8kA/m)を印加し、保磁力Hc(Oe、kA/m)、飽和磁化σs(Am/kg)を測定し、単位体積あたりの磁気特性値を算出した。
なお、上記のように測定された磁気特性を粒子体積で除した値により、金属磁性粉末自体の有する磁気特性の能力を評価することができる。当該値が大きい場合には、金属磁性粒子内の非磁性成分が削減されたことを示し、高密度磁気記録に適することを示している。
また、金属磁性粒子の耐候性試験は、金属磁性粉末の環境に対する安定性を評価するものである。
具体的には、金属磁性粉末を、例えばφ6mmのプラスチック製容器中に粉末を充填しVSM装置にて飽和磁化値(σs)を測定する。次に、金属磁性粉末を、60℃80%の恒温恒湿環境下に静置する。そして、恒温恒湿環境下さらした後の金属磁性粉末の飽和磁化値(σs)を同様に測定する。
ここで、(式4)より、耐候性の低下率(Δσs)を算出することによって、金属磁性粉末の環境に対する安定性を評価した。

Δσs={(σs)−(σs)}/(σs)×100・・・(式4)
<フィルム上の単層磁気層の磁気特性評価>
本発明に係る金属磁性粒子の媒体への適用可能性を確認する為、所定のベースフィルム上へ、本発明に係る金属磁性粒子を用いた単層磁性層を形成させた。
当該テープ上の単層磁性層に対し、保磁力Hcx(Oe、kA/m)、磁性層表面に平行な方向の保磁力分布SFDxを評価した。
当該金属磁性粒子の媒体への適用可能性の確認方法について説明する。
本発明に係る金属磁性粉末(最終製品としての磁性粉末)0.35gを秤量して(内径45mm、深さ13mmの)ポットに入れ、蓋を開けた状態で10分間放置した。次に当該ポットへ、マイクロピペットを用いて、ビヒクル(日本ゼオン株式会社製の塩化ビニル系樹脂MR−555(20質量%)、東洋紡株式会社製のバイロン(登録商標)UR−8200(30質量%)、シクロヘキサノン(50質量%)、アセチルアセトン(0.3質量%)、ステアリン酸−n−ブチル(0.3質量%)の混合溶液)0.7mLを添加した。そして、当該添加直後に、スチールボール(2φ)30g、ナイロンボール(8φ)10個をポットに加え、ポットの蓋を閉じた状態で10分間静置した。
その後、ポットを遠心式ボールミル(FRITSCH社製、FRITSCH P−6)にセットし、ゆっくりと回転数を上げて600rpmに調整し、60分間分散させた。遠心式ボールミルを停止した後、ポットを取り出した。取り出したポットへ、予めメチルエチルケトンとトルエンを1:1で混合した調整液1.8mLをマイクロピペットで添加した。その後、再びポットを遠心式ボールミルにセットし、600rpmで5分間分散させ、本発明に係る磁性塗料を作製した。
次に、ポットの蓋を開けてナイロンボールを取り除き、スチールボールごと磁性塗料をアプリケータ(550μm)に入れ、ベースフィルム(東レ株式会社製のポリエチレンフィルム15C−B500、膜厚15μm)上に磁性塗料を塗布した。当該ベースフィルムを、時間をおかず迅速に5.5kGの配向器のコイル中心に置いて、磁性塗料を磁場配向させた後、乾燥させて磁気テープを作製した。乾燥後の塗膜厚みは3μmである。尚、本発明に係る金属磁性粉末の効果をより明確に確認するため、非磁性層を設けずに磁性層単層のテープを作製した。また、カレンダ処理は行っていない。
このようにして作製した媒体としての磁気テープについて、東英工業株式会社製のVSM装置(VSM−7P)を使用して磁気測定を行い、保磁力Hcx(Oe、kA/m)、磁性層表面に平行な方向の保磁力分布SFDxを求めた。
すると、本発明に係る磁性塗料を用いて作製した磁気テープは、保磁力Hcxが高く、保磁力分布SFDxが低いという高密度磁気記録に適した優れたテープ磁気特性を発揮した(後述する実施例、比較例参照)。
これは、本発明に係る磁性塗料を用いて作製した磁気テープにおいては、上述したように、塗膜中の本発明に係る磁性粉末の等酸点が7.0以上あることで塗料樹脂とのなじみが向上して優れた相溶効果を発揮したこと、さらに、本発明に係る磁性粉末の粉体pH値が7.0以上あることで有機溶媒への分散性が優れること、さらに、塗膜中の磁性粉末は、塩基性点が確保(単位面積当たりのステアリン酸吸着量が1.2mg/m以上)されたことで、配向性に優れたものであることの結果であると考えられる。
以下、本発明による金属磁性粉末およびその製造方法について、実施例を参照しながら具体的に説明する。
<実施例1>
5000mLのビーカーに純水3000mLを入れた後、温調機で30℃に維持しながら、0.03モル/Lの硫酸コバルト(特級試薬)溶液と、0.15モル/Lの硫酸第一鉄(特級試薬)水溶液とを、モル比でCo:Fe=1:4の混合割合になるように混合した。この混合溶液500mLに、Fe+Coに対して炭酸量が5当量になる量の顆粒状の炭酸ナトリウムを直接添加し、液温が35±5℃の範囲を超えないように調整しながら、炭酸鉄を主体とする懸濁液を作製した。この懸濁液を90分間熟成させた後、Feイオンの酸化率が15%になるように調整した量の空気を100mL/分の流量で添加して、核晶を形成させた。そして、液温を60℃まで昇温させ、純酸素を30mL/分の流量で通気して90分間酸化を継続した。その後、純酸素を窒素に切り替えて通気し、45分間程度熟成した。
次に、液温を40℃まで降温させて温度が安定した後、1.0質量%のAlの硫酸アルミニウム水溶液を5.0g/分の添加速度で25分間添加し続けてオキシ水酸化鉄を成長させた。その後、純酸素を50mL/分の流量で通気し続け、酸化を完結させた。なお、酸化の終点の確認は、上澄み液を少量分取し、ヘキサシアノ酸鉄カリウム溶液を添加して、液色が変化しないことを確認することによって行った。
酸化が終了した液へ、(イットリウムとして2.0質量%含有する)酸化イットリウムの硫酸水溶液300gを添加して、Alを固溶させ、イットリウムが表面に被着したオキシ水酸化鉄の粉末(ケーキ)を得た。
当該オキシ水酸化鉄のケーキを濾過し、水洗した後、130℃で6時間乾燥させ、オキシ水酸化鉄の乾燥固形物を得た。この乾燥固形物10gをバケットに入れ、水の流量として1.0g/分で水蒸気を添加しながら大気中において450℃で焼成し、α−酸化鉄(ヘマタイト)を主成分とする鉄系酸化物を得た。
当該α−酸化鉄を主成分とする鉄系酸化物を通気可能なバケット内に投入した。そして当該バケットを貫通型還元炉内に装入し、水素ガスを40L/分の流量で通気するとともに、水の流量として1.0g/分の水蒸気を供給しながら、400℃で30分間焼成して還元処理を行った。当該還元処理が終了した後、水蒸気の供給を停止し、水素雰囲気下において昇温速度15℃/分で600℃まで昇温させた。その後、水の流量として1.0g/分の水蒸気を供給しながら60分間、高温還元処理を行い、鉄系合金粉末(中間製品としての金属磁性粉末)を得た。
当該鉄系合金粉末の溶出処理を行う為の処理液として、純水900mLに対して、錯化剤として酒石酸ナトリウムを0.05モル/L、緩衝剤として硫酸アンモニウムを0.1モル/Lになるように混合し、NHでpH=9に調整した処理液を用意した。この処理液へ、上述した高温還元処理を行った鉄系合金粉末10gを投入して30℃に保持した後、還元剤として水素化ホウ素ナトリウムを0.3モル/Lになるように添加し、30℃で30分間撹拌しながら熟成させ、スラリーを得た。
得られたスラリーへ、35%過酸化水素水4.0gを17.8gの純水に希釈した過酸化水素水溶液を添加し、撹拌しながら30分間熟成した。その後、当該スラリーから、自然沈降により金属磁性粒子を沈降させ、上澄みはデカンテーションにて除去した。当該沈降した金属磁性粒子へ、純水1000mLを添加して再度30分間撹拌し、金属磁性粒子を水洗した。そして、再び自然沈降により金属磁性粒子を沈降させ、水を主体とする上澄みはデカンテーションにより除去した。
水を主体とする上澄みを除去した後、当該沈降した金属磁性粒子へ、エタノールを500mL添加し、上述した水洗と同様の撹拌を常温で行いエタノールと磁性粉末とをなじませた。その後、自然沈降により金属磁性粒子を沈降させ、上澄みをデカンテーションで除いた。当該沈降した金属磁性粒子へのエタノール添加、撹拌、エタノール除去という一連の操作(本発明において、溶媒置換操作(1)と記載する場合もある。)を5回繰り返した。
エタノールを主体とする上澄みを除去した後、当該沈降した金属磁性粒子へ、トルエンを500mL添加し、上述した溶媒置換操作(1)と同様に撹拌を常温で行い、トルエンと金属磁性粉末とをなじませた。その後、金属磁性粉末を自然沈降させ、上澄みをデカンテーションで除いた。当該沈降した金属磁性粒子へのトルエン添加、撹拌、トルエン除去という一連の操作(本発明において、溶媒置換操作(2)と記載する場合もある。)を4回繰り返した。但し、当該溶媒置換操作(2)の最終回においては上澄みを除去せず、金属磁性粒子のトルエン分散スラリーを得て、次の工程に移った。
得られた金属磁性粒子のトルエン分散スラリーを、4000rpmにて10分間の遠心分離処理し、金属磁性粒子を強制沈降させた。その後、上澄みを除いて金属磁性粒子を採取し、窒素雰囲気中40℃で12時間乾燥して、トルエンにて表面処理された金属磁性粒子の乾燥粉を得た。
実施例1に係る金属磁性粉末の組成はCo/Fe=24at%、Al/(Fe+Co)=6.8at%、Y/(Fe+Co)=6.9at%であり、非磁性成分(Al+Y)/磁性成分(Fe+Co)=13.7at%であった。
また、実施例1に係る金属磁性粒子の表面性評価(プロトン放出または吸収性)結果を図2に示した。
尚、図2は図1と同様に、横軸にリファレンス(ブランク溶液)のpH値をとり、縦軸に金属磁性粒子が溶液中へプロトンを[放出または吸収]する(H)個数/mをとったグラフである。そして実施例1に係る金属磁性粉末を◆と実線でプロットし、後述する比較例1に係る金属磁性粉末を□と破線でプロットしたものである。
得られた実施例1に係る金属磁性粉末について、上述した、金属磁性粒子形状および体積の測定、金属磁性粒子の比表面積(BET)、金属磁性粒子の表面性評価(粉体pH値)、金属磁性粒子の等酸点、金属磁性粉末の結晶子サイズ、結晶子体積および結晶子個数、嵩密度、金属磁性粒子の有機酸(ステアリン酸)吸着量の測定結果を表1に記載した。次いで、金属磁性粉末の磁気特性評価、磁気テープ上での単層磁気層の磁気特性評価を実施し、測定結果を表2に記載した。
<実施例2>
実施例1において説明した「得られたスラリーへ、35%過酸化水素水4.0gを17.8gの純水に希釈した過酸化水素水溶液を添加し、撹拌しながら30分間熟成した。」という操作を、「得られたスラリーへ、35%過酸化水素水2.0gを17.8gの純水に希釈した過酸化水素水溶液を添加した。」と、変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。得られた金属磁性粉の物性値の測定結果を表1に、金属磁性粉の磁気特性、磁気テープ上での単層磁気層の磁気特性評価結果を表2に記載した。
<実施例3〜5>
実施例1において説明した「溶媒置換操作(2)」において、溶媒置換する溶剤として実施例3はメチルエチルケトン、実施例4はシクロヘキサノン、実施例5はエタノールへ、それぞれ代替した以外は、実施例1と同様の操作を行った。得られた金属磁性粉の物性値の測定結果を表1に、金属磁性粉の磁気特性、磁気テープ上での単層磁気層の磁気特性評価結果を表2に記載した。
<比較例1>
実施例1で説明した湿式安定化方法ではなく、従来の技術に係る方法(例えば、特開2007−294841号公報に記載の方法)によって、乾燥粉を得た。
具体的には、実施例1において説明した、α−酸化鉄を主成分とする鉄系酸化物を、貫通型還元炉内に装入し還元処理を行った後、高温還元処理を行い、鉄系合金粉末(中間製品としての金属磁性粉末)を得、溶出処理を行ってスラリーを得る工程を実施した。
次に、当該溶出処理を経て、30℃で30分間の熟成を経た後に得られたスラリーを固液分離し、固形成分と濾液とを回収した。当該回収された固形成分を濾過、水洗、乾燥することで、中間乾燥品を得た。
この中間乾燥品に対し酸化処理を施し、酸化膜を形成させた。
具体的には、当該中間乾燥品を通気可能なバケット内に入れ、そのバケットを貫通型還元炉内に装入し、50L/minの流速で窒素を導入しながら、炉内温度を降温速度20℃/minで90℃まで低下させた。
酸化膜形成初期段階は、窒素50L/minと純酸素400mL/minとの混合割合にて混合したガスを炉内に供給し、水蒸気を水として1.0g/minの導入速度で供給することで、水蒸気・酸素・窒素の混合雰囲気中にて、中間乾燥品に表面に酸化膜を形成させた。
中間乾燥品の表面の酸化による発熱が、抑制された段階で徐々に空気の供給量を増すことによって、雰囲気中における酸素濃度を上昇させた。最終的な純酸素の流量は2.0L/minの供給量とした。その際、炉内に導入されるガスの総量は窒素の供給流量を調整することにより、ほぼ一定に保たれるようにした。この酸化処理は、概ね90℃に維持された雰囲気下で1時間実施した。
当該酸化処理によって酸化膜を形成させた後の中間乾燥品粉末を、250℃の水素雰囲気下に30分間曝露することによって再還元処理を行った。その後、上述した酸化処理と同様の操作を再度実施することによって、中間乾燥品粉末の安定化処理を行って、比較例1に係る金属磁性粉末を得た。
こうして得られた比較例1に係る金属磁性粉末の表面性について、表1、2および図2に□と破線でプロットして示した。
得られた比較例1に係る金属磁性粉末について、金属磁性粉の物性値の測定結果を表1に、金属磁性粉の磁気特性、磁気テープ上での単層磁気層の磁気特性評価結果を表2に記載した。
<実施例1〜5および比較例1のまとめ>
表1より、実施例1〜5および比較例1に係る試料とも、金属磁性粒子の形状的な性質は、ほぼ同様の結果を示した。しかし、金属磁性粒子の表面性を示す、ステアリン酸吸着量、等酸点および粉体pH値については、実施例1〜5に係る試料と、比較例1に係る試料とでは、顕著な差異がみられた。
これは、従来の技術に係る比較例1の試料では、非磁性成分削減処理により表面が何らかの成分で汚染されていたものが、実施例1〜5に係る方法により、当該汚染の問題が解消されたこと、および、溶媒置換操作(1)(2)を経ることで、非磁性成分の削減処理により生じた表面性の変性が回復したことにより、削減処理が行われて、非磁性成分および金属磁性粒子体積が減少していながらも、樹脂に対して分散性の高い金属磁性粉末が得られたことと考えられる。
表2において、金属磁性粒子のバルク体の磁気特性は、実施例1〜5と比較例1ともほぼ同様の結果を示した。
しかし、テープに媒体化した際は、実施例1〜5に係るテープは、比較例1に係るテープと比較して、高い保磁力を有するとともに、保磁力分布(SFD)が狭いものとなることが判明した。
これは実施例1〜5に係る磁性塗料を用いて作製した磁気テープにおいては、上述したように、塗膜中の磁性粉末の等酸点が7.0以上あることで塗料樹脂とのなじみが向上したこと、さらに、磁性粉末の粉体pH値が7.0以上あり、有機溶媒への分散性が優れること、さらに、塗膜中の磁性粉末の塩基性点が確保(単位面積当たりのステアリン酸吸着量が1.2mg/m以上)されたことで、配向性に優れたものになったことにより、テープ等の磁気記録媒体において、保磁力Hcxが高く、保磁力分布SFDxが低いという高密度磁気記録に適した優れた磁気特性を発揮するものとなったと考えられる。
産業上の利用分野
本発明に係る磁性粉末によれば、高密度磁気記録に適した磁気記録媒体を提供できる。

Claims (8)

  1. 強磁性元素を主成分とする金属磁性相を有し、Yを含む希土類元素、AlおよびSiから選択される1種以上を非磁性成分として含有する粒子からなる金属磁性粉末を製造する方法であって、
    前記非磁性成分と錯体を形成しうる錯化剤を含有する液中において、金属磁性粉末へ還元剤を作用させることで、前記粒子中の非磁性成分を前記液中に溶出させる工程と、
    前記非磁性成分を前記液中に溶出させた後の粒子へ、当該粒子を乾燥することなく、前記液中にて酸化膜を形成する工程と、
    前記酸化膜を形成する工程の後に、前記粒子を純水中に分散させ、さらに前記純水を有機溶媒で置換する溶媒置換工程とを備えた、金属磁性粉末の製造方法。
  2. 前記酸化膜を形成する工程とは、前記非磁性成分が前記液中に溶出した粒子を、過酸化物により酸化する工程である、請求項1に記載の金属磁性粉末の製造方法。
  3. 前記酸化膜を形成する工程の後に、前記粒子を乾燥させる乾燥工程を備えた、請求項1または2に記載の金属磁性粉末の製造方法。
  4. 強磁性元素を主成分とする金属磁性相を有し、Yを含む希土類元素、AlおよびSiから選択される1種以上を含有し、酸化膜を有する粒子からなる金属磁性粉末であって、
    等酸点が7.0以上であり、
    粒子の平均長軸長が10〜50nmであり、
    酸化膜を含んだ粒子の平均粒子体積が5000nm以下であり、
    粒子中に含まれる各元素の含有量(原子%)の値を用いて算出される(R+Al+Si)/(Fe+Co)原子比の値が20%以下であり、
    粒子に対する単位面積当たりの有機酸(ステアリン酸)の吸着量が1.33mg/m以上1.44mg/m 以下である、金属磁性粉末。
    但し、RはYを含む希土類元素であり、R、Al、Siから選択される1種または2種の含有量が0の場合もある。
  5. 煮沸抽出法(JISK−5101−17−1:2004)に準拠して測定された粉体pH値が7.0以上である、請求項4に記載の金属磁性粉末。
  6. Fe(110)で算出される結晶子径が11.5nm以下であり、
    粒子の平均粒子体積V(nm)を、球形として算出される結晶子体積(nm)で除した粒子体積当たりの存在結晶子数の平均値が6.0個以下である、請求項4または5に記載の金属磁性粉末。
  7. 請求項4から6のいずれかに記載の金属磁性粉末を含む磁性塗料。
  8. 請求項4から6のいずれかに記載の金属磁性粉末を含む磁気記録媒体。
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