JPH10330365A - アゼピン構造を有する新規な三置換エチレン系化合物 - Google Patents

アゼピン構造を有する新規な三置換エチレン系化合物

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JPH10330365A
JPH10330365A JP14058497A JP14058497A JPH10330365A JP H10330365 A JPH10330365 A JP H10330365A JP 14058497 A JP14058497 A JP 14058497A JP 14058497 A JP14058497 A JP 14058497A JP H10330365 A JPH10330365 A JP H10330365A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子写真用感光体、有機電界発生素子などに
用いられる新規な化合物を提供する。 【解決手段】 一般式(I)で表わされる三置換エチレ
ン系化合物。 【化1】 (式中、(A)はo−アリーレン基を表わす。Ar1
よびAr2 はアリール基を表わし、Ar3 はアリーレン
基を表わす。R1 およびR2 はハロゲン原子、アルキ
ル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、ジアルキ
ルアミノ、N−アルキル−N−アリールアミノ又はジア
リールアミノ基を表わす。sおよびmは0ないし4の整
数を表わす。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真用感光体並
びに有機電界発光(EL)素子などに用いられる電荷輸
送剤として有用な三置換エチレン系化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真方式において使用される
感光体の光導電性素材として用いられているものに、セ
レン、硫化カドミウム、酸化亜鉛などの無機物質があ
る。ゼログラフィーの方式はすでにカールソンが米国特
許第2,297,691号に明らかにしたように、画像
露光の間に受けた照射量に応じその電気抵抗が変化す
る、通常は絶縁性の物質をコーティングした、支持体よ
りなる光導電性材料を用いる。この光導電性材料は一般
に適当な間の暗順応の後、暗所で、まず一様な表面電荷
を与えられる。次に、これは照射パターンの種々の部分
に含まれる相対エネルギーに応じて表面電荷を減らす効
果を有する照射のパターンに露光される。このようにし
て感光層表面に残った表面電荷又は静電潜像は次にその
表面が適当な検電表示物質で接触されて可視像となる。
このような表示物質すなわちトナーは絶縁液中に含まれ
ようと乾燥担体中に含まれようと、電荷パターンに応じ
て、感光層表面上に付着させることができる。付着した
表示物質は、熱圧力、溶媒蒸気のような公知の手段によ
り定着することができる。又第2の支持体(例えば紙、
フイルムなど)に転写することができる。同様に静電潜
像を第2の支持体に転写し、そこで現像することも可能
である。電子写真法はこの様にして画像を形成するよう
にした画像形成法の一つである。このような電子写真法
において感光体に要求される基本的な特性としては、
(1)暗所で適当な位置に帯電できること、(2)暗所
において電荷の逸散が少ないこと、(3)光照射によっ
て速やかに電荷を逸脱せしめうることなどがあげられ
る。従来用いられている前記無機物質は、多くの長所を
持っていると同時にさまざまな欠点を有していることは
事実である。例えば、現在広く用いられているセレン
は、前記(1)〜(3)の条件は十分に満足するが、製
造する条件がむずかしく、製造コストが高くなり、可撓
性がなく、ベルト状に加工することがむずかしく、熱や
機械的の衝撃に鋭敏なため取扱いに注意を要するなどの
欠点もある。硫化カドミウムや酸化亜鉛は、結合剤とし
ての樹脂に分散させて感光体として用いられているが、
平滑性、硬度、引張り強度、耐摩擦性などの機械的な欠
点があるためにそのままでは反復して使用することがで
きない。
【0003】近年、これら無機物質の欠点を排除するた
めにいろいろの有機物質を用いた電子写真用感光体が提
案され、実用に供されているものもある。例えば、ポリ
−N−ビニルカルバゾールと2,4,7−トリニトロフ
ルオレン−9−オンとからなる感光体(米国特許第3,
484,237号)、ポリ−N−ビニルカルバゾールを
ピリリウム塩系色素で増感したもの(特公昭48−25
658号)、有機顔料を主成分とする感光体(特開昭4
7−37543号)、染料と樹脂とからなる共晶錯体を
主成分とする感光体(特開昭47−10735号)、ヒ
ドラゾン系化合物を主成分とする感光体(特開昭57−
101844号、同54−150128号)、芳香族三
級アミン系化合物を主成分とする感光体(特公昭58−
32372号)、および、スチルベン系化合物を主成分
とする感光体(特開昭58−198043号)などであ
る。これらの感光体は優れた特性を有するものであり、
実用的にも価値が高いと思われるものであるが、電子写
真法において、感光体に対するいろいろの要求を考慮す
ると、まだ、これらの要求を十分に満足するものが得ら
れていないのが実情である。そこで、有機物質を用いた
電子写真用感光体の研究は現在でも盛んに行われてお
り、最近、公開された特許出願では、新規なヒドラゾン
化合物(特開平8−143550号)やカルバゾール系
スチルベン化合物(特開平8−59615号)および三
置換エチレン系化合物(特開昭63−225660号、
特開平9−59256号)などが開示されている。
【0004】バンスライクおよびタンらは例えば米国特
許第4,539,507号、同第4,720,432
号、特開平5−234,681号においてフェニル基、
フェニレン基、又はビフェニレン基を含む芳香第三級ア
ミンを内部接合有機EL装置の正孔注入・輸送帯域に使
用すると光出力の安定性が向上し、それによって動作寿
命が延びることを明らかにした。その後更なる光出力の
安定性を計るためにこの正孔注入輸送帯域に用いる芳香
族第三級アミンの改良は多くの研究者により試みられ、
多くの特許出願および学術文献への報告がなされてい
る。その例をあげればビフェニル系の三級アミンに関し
てJapanese Journal ofAppli
ed Physics,27,L269(1988)、
特開昭59−194393号、Appl.Phys.L
ett.66,2679(1995)、特開平5−23
4681号、同7−331238号、同8−48656
号、およびWO95/09147号など、スダーバース
ト系の三級アミンに関して、Appl.Phys.Le
tt.65,807(1994)、特公平7−1109
40号などがある。しかしながらこれまで公知の化合物
は、その性能が十分とはいえず、更なる改良が望まれて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明は電
子写真用感光体、有機電界発生素子などに用いられる新
規な化合物を提供することを目的とする。さらに本発明
は電子写真用感光体並びに有機電界発光(EL)素子に
用いられ、優れた電荷輸送能や、保存安定性を示す新規
な三置換エチレン系化合物を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は鋭意検討した
結果、分子内に特定のアゼピン構造を有する三置換エチ
レン系化合物が、電荷輸送能や保存安定性が高く、上記
目的を満足することを見い出し、この知見に基づき本発
明をなすに至った。
【0007】すなわち本発明は一般式(I)で表わされ
る三置換エチレン系化合物、
【0008】
【化2】
【0009】(式中、(A)はo−アリーレン基を表わ
す。Ar1 およびAr2 はアリール基を表わし、Ar3
はアリーレン基を表わす。R1 およびR2 はハロゲン原
子、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキ
シ、ジアルキルアミノ、N−アルキル−N−アリールア
ミノ又はジアリールアミノ基を表わす。sおよびmは0
ないし4の整数を表わす。)を提供するものである。な
お、本発明において、上記一般式(I)中の(A)、A
1 、Ar2 、Ar3 、R1 およびR2 が示すそれぞれ
の基は、以下の説明から明らかなように無置換のものだ
けでなく、さらに置換基で置換されたものも包含する意
味である。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、一般式(I)における
(A)、Ar1 、Ar2 、Ar3 、R1 、R2 、sおよ
びmについて説明する。
【0011】(A)は置換又は無置換のo−アリーレン
基を表わすが、その具体例(無置換の基の例で示す)を
示せば、例えば下記の基である。
【0012】
【化3】
【0013】(A)が置換基を有する場合、好ましい置
換基は後述するR1 およびR2 と同義の基である。
【0014】好ましい(A)は置換もしくは無置換のo
−フェニレン基であり、特に好ましくは無置換又はアル
キル基置換のo−フェニレン基である。
【0015】Ar3 は置換又は無置換のアリーレン基を
表わすが、詳しくは、置換又は無置換のフェニレン、ナ
フチレン、ビフェニレン又はアントリレン基などを表わ
す。
【0016】Ar3 が置換基を有する場合、好ましい置
換基は後述するR1 およびR2 と同義の基である。
【0017】好ましいAr3 は置換又は無置換のフェニ
レン基であり、特に好ましくは無置換のp−フェニレン
基である。
【0018】Ar1 およびAr2 は置換又は無置換のア
リール基を表わすが、詳しくは置換もしくは無置換のフ
ェニル、ナフチル、フェナントレニル又はピレニル基な
どを表わす。Ar1 およびAr2 は互いに、直接もしく
は間接に結合して環(好ましくは5〜7員環)を形成し
てもよい。Ar1 およびAr2 が置換基を有する場合、
好ましい置換基は後述するR1 およびR2 と同義の基で
ある。
【0019】好ましいAr1 およびAr2 は置換もしく
は無置換のフェニル基であり、特に好ましくは無置換も
しくはアルキル基置換フェニル基である。R1 およびR
2 はハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル、ア
リール、アルコキシ、アリールオキシ、ジアルキルアミ
ノ、N−アルキル−N−アリールアミノ、又はジアリー
ルアミノ基を表わすが、詳しくは、フッ素、塩素、臭素
もしくはヨウ素のハロゲン原子、無置換の基を例にとっ
て言えば炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜36
のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数
6〜36のアリールオキシ基、炭素数2〜20のジアル
キルアミノ基、炭素数7〜42のN−アルキル−N−ア
リールアミノ基又は炭素数12〜48のジアリールアミ
ノ基である。
【0020】ハロゲン原子以外の場合をより具体的に示
せば、メチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル、t
−ブチル、n−ドデシル、もしくはシクロヘキシル、な
どのアルキル基、フェニル、ナフチル、アントラセニ
ル、フェナントレニル、ピレニル、ナフタセニル、ペン
タセニルもしくはペンタフェニルなどのアリール基、メ
トキシ、エトキシ、イソプロポキシ、n−ヘキシルオキ
シ、シクロヘキシルオキシ、オクチルオキシ、もしくは
ドデシルオキシなどのアルコキシル基、フェノキシ、ナ
フトキシ、アントラセノキシ、もしくはペンタセノキシ
などのアリールオキシ基、ジメチルアミノ、ジエチルア
ミノ、ジブチルアミノ、ジオクチルアミノもしくはN−
エチル−N−ブチルアミノなどのジアルキルアミノ基、
N−メチル−N−フェニルアミノ、N−エチル−N−フ
ェニルアミノ、N−イソプロピル−N−(3−メチルフ
ェニル)アミノ、N−メチル−N−(1−ナフチル)ア
ミノ、もしくはN−ブチル−N−(1−ナフタセニル)
アミノなどのN−アルキル−N−アリールアミノ基、又
は、ジフェニルアミノ、N−フェニル−N−(1−ナフ
チル)アミノ、N−(1−ナフチル)−N−(1−ナフ
チル)アミノ、N−フェニル−N−(1−アントラセニ
ル)アミノ、もしくはN−(1−アントラセニル)−N
−(1−フェナントレニル)アミノなどのジアリールア
ミノ基である。
【0021】これらの基が置換基を有する場合、その置
換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、
ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カル
ボキシ基、スルホ基、アミノ基、アルコキシ基、アリー
ルオキシ基、アシルアミノ基、アルキルアミノ基、アニ
リノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキ
ルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミ
ノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモ
イル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、ヘテ
ロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイル
オキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル
アミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、スルフィニル
基、ホスホニル基、アリールオキシカルボニル基、アシ
ル基、シリル基又はアゾリル基があげられる。
【0022】R1 およびR2 について好ましくはハロゲ
ン原子、アルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ
基又はジアリールアミノ基であり、特に好ましくは、ア
ルキル基又はジアルキルアミノ基である。
【0023】sおよびmは0ないし4の整数を表わす
が、好ましくは0又は1である。
【0024】次に本発明の一般式(I)で表わされる化
合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定さ
れるものではない。
【0025】
【化4】
【0026】
【化5】
【0027】
【化6】
【0028】
【化7】
【0029】次に本発明の化合物の合成法について以下
説明する。代表的合成法を(スキーム1)に示した。
【0030】
【化8】
【0031】(スキーム1)における[]から一般式
(I)で表わされる化合物を形成する反応(二重結合形
式反応)はWittig−Horner−Emmons
反応として有名であり、通常エタノール、トリエン、テ
トラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルス
ルホキシドなどの溶媒中で、塩基としてはナトリウムや
カリウムアルコキシド、水素化ナトリウム又はナトリウ
ムアミドなどを用いて反応は行われる(「新実験化学講
座」第14−(I)巻、238頁、1977、丸善
(株))。化合物[]と[]の反応は好ましくは化
合物[]と[]との反応モル比1:0.5〜1:
1.5の範囲で、反応温度−10〜100℃、反応時間
0.5〜48時間で行われるが、これに限定されるもの
ではない。ベンゾアゼピン、の合成は、B.Renf
roe,C.Harrington,G.R.Proc
tor,”The Chemistry of Het
erocyclic Compounds”,Vol.
43、Part 1、1984、John Wiley
& Sons Inc.およびH.C.Axtell
et al.,J.Org.Chem.,56、39
06(1991)に記載の方法に基づき行うことができ
る。[]から[]の合成は、金属銅触媒と塩素を用
いるウルマン型反応を基本とした合成法であり(米国特
許第4,764,625号参照)、[]から[]の
合成はグリニャール試薬又はリチウム試薬とジメチルホ
ルムアミド(DMF)やトリエチルオルソエステルの反
応によるアルデヒド合成法である。
【0032】
【実施例】以下に実施例に基づき本発明を説明するが、
本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものでは
ない。
【0033】実施例1(例示化合物(1)の合成) 9H−トリベンズ[b,d,f]アゼピン18.2g
(75mmol)と1−ブロモ−4−ヨードベンゼン6
3.7g(225mmol)、水酸化カリウム5.0g
(90mmol)および銅粉2.0gとデカリン50m
lを混合し、窒素気流下外温200℃で約1週間加熱撹
拌した。室温近くに冷却した後クロロホルムを加え、不
溶物を除くためセライトろ過を行った。ろ液に水を加
え、抽出操作を行い、得られた反応濃縮物をシリカゲル
カラムクロマトグラフィで精製することにより9−(4
−ブロモフェニル)トリベンズ[b,d,f]アゼピン
15.5g(収率52%)を得ることができた。9−
(4−ブロモフェニル)−9H−トリベンズ[b,d,
f]アゼピン13g(33mmol)をテトラヒドロフ
ラン(THF)に溶かし、アルゴン気流化−78℃に冷
却した。その中にn−ブチルリチウムの2.5M濃度の
n−ヘキサン溶液を15.2ml(38mmol)滴下
し後30分間撹拌した。次にその中にジメチルホルムア
ミド(DMF)3.9ml(50mmol)を滴下し、
約1時間撹拌し、徐々に室温まで昇温した。反応液に希
硫酸を加え、次にクロロホルムで抽出し、反応濃縮物を
シリカゲルクロマトグラフィで精製することにより、9
−(4−ホルミルフェニル)−9H−トリベンズ[b,
d,f]アゼピン8.6g(収率75%)を得ることが
できた。9−(4−ホルミルフェニル)トリベンズ
[b,d,f]アゼピン8.0g(23.0mmol)
とジフェニルメチルホスホン酸ジエチル7.6g(2
5.0mmol)のジメチルスルホキシド(DMSO)
(50ml)溶液に95%カリウムt−ブトキシド3.
0g(25.0mmol)を加えた。室温下約10時間
撹拌し、反応液に水を加え、クロロホルム抽出操作を行
ない、抽出液を濃縮し、カラムクロマトグラフィで精製
することにより、例示化合物(1)を白色結晶として
8.0g(収率70%)得ることができた。
【0034】実施例2(例示化合物(3)の合成) 実施例1で得た9−(4−ホルミルフェニル)−9H−
トリベンズ[b,d,f]アゼピン10.0g(28.
8mmol)とビス(4−メチルフェニル)メチルホス
ホン酸ジエチル10.0g(30.0mmol)のDM
SO(100ml)溶液にカリウムt−ブトキシド3.
5g(30.0mmol)を加えた。以下実施例1と同
様の操作により、例示化合物(3)を白色結晶として1
0.7g(収率72%)得ることができた。
【0035】実施例3(例示化合物(9)の合成) 5H−ジベンズ[a,d]ジクロペプテン−5−オン1
0.0g(48.5mmol)をメタノールとテトラヒ
ドロフラン(THF)の混合溶媒に溶かし、その中にN
aBH4 1.0g(26.4mmol)を少しずつ加え
た。約2時間撹拌後水を加え酢酸エチルで抽出操作を行
い、抽出液を濃縮してメタノールで再結晶することによ
り、5−ヒドロキシ−5H−ジベンズ[a,d]シクロ
ヘプテン9.6g(収率95%)を得た。5−ヒドロキ
シ−5H−ジベンズ[a,d]シクロヘプテン9.0g
(43.2mmol)とアセチルブロミド50mlを混
合し、加熱還流を約30分行い、その後、過剰のアセチ
ルブロミドを減圧留去し、残留物に亜リン酸トリエチル
70g(421mmol)を加え徐々に150℃(外
温)まで加熱した。副生するブロモエタンを系外に除き
ながら約2.5時間加熱した。その後過剰の亜リン酸ト
リエチルを減圧留去し、残留物に水と酢酸エチルを加え
抽出操作を行い、抽出液を減圧濃縮しシリカゲルカラム
クロマトグラフィで精製することにより、5H−ジベン
ズ[a,d]シクロヘプテニルホスホネート11.3g
(収率80%)を得た。5H−ジベンズ[a,d]シク
ロヘプテニルホスホネート10.0g(30.5mmo
l)と実施例1に合成した9−(4−ホルミルフェニ
ル)−9H−トリベンズ[b,d,f]アゼピン9.7
g(27.9mmol)をDMSOに溶かし、その中に
カリウムt−ブトキシド3.4g(30.3mmol)
を加え、室温下約20時間、50℃で約10時間撹拌し
た。反応液に水を加え、クロロホルムで抽出操作を行な
い、抽出液の濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィで精製すると例示化合物(9)を白色結晶として1
0.8g(収率74%)得ることができた。
【0036】実施例4(例示化合物(10)の合成) トリベンゾシクロヘプタトリエノンから実施例3と同様
にして5−ヒドロキシ−5H−トリベンズ[a,d,
f]シクロヘプテンを合成し、そのブロム化、ホスホネ
ート化により、5H−トリベンゾ[a,d,f]シクロ
ヘプテニルホスホネートを含有率75%で合成すること
ができた。このホスホネートと実施例3と同様にして9
−(4−ホルミルフェニル)−9H−トリベンズ[b,
d,f]アゼピンを反応させることにより例示化合物
(10)を白色結晶として収率71%で得ることができ
た。
【0037】実施例5(例示化合物(16)の合成) 1−メトキシ−9H−トリベンズ[b,d,f]アゼピ
ンから実施例1と同様にして9−(4−ホルミルフェニ
ル)−9H−トリベンズ[b,d,f]アゼピンを合成
し、それと(4−ビフェニル)フェニルメチルホスホン
酸ジエチルを反応させることにより例示化合物(16)
を含有率68%で得ることができた。
【0038】
【発明の効果】本発明による新規なアゼピン構造を有す
る三置換エチレン系化合物は電荷輸送能や保存安定性に
優れ、電子写真感光体又は有機電界発光(EL)素子用
材料に用いることにより、それらの性能を改良するのに
効果がある。特に本発明の化合物は電子写真感光体に用
いた時に高性能の感光体を与え、その性能を大幅に向上
させた。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I)で表わされる三置換エチレ
    ン系化合物。 【化1】 (式中、(A)はo−アリーレン基を表わす。Ar1
    よびAr2 はアリール基を表わし、Ar3 はアリーレン
    基を表わす。R1 およびR2 はハロゲン原子、アルキ
    ル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、ジアルキ
    ルアミノ、N−アルキル−N−アリールアミノ又はジア
    リールアミノ基を表わす。sおよびmは0ないし4の整
    数を表わす。)
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