JPH11302259A - ベンズアゼピン構造を有するスチルベン系化合物 - Google Patents

ベンズアゼピン構造を有するスチルベン系化合物

Info

Publication number
JPH11302259A
JPH11302259A JP10996398A JP10996398A JPH11302259A JP H11302259 A JPH11302259 A JP H11302259A JP 10996398 A JP10996398 A JP 10996398A JP 10996398 A JP10996398 A JP 10996398A JP H11302259 A JPH11302259 A JP H11302259A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
compound
azepine
stilbene
dibenz
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10996398A
Other languages
English (en)
Inventor
Tadahisa Sato
忠久 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP10996398A priority Critical patent/JPH11302259A/ja
Publication of JPH11302259A publication Critical patent/JPH11302259A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】新規なベンズアゼピン構造を有するスチルベン
系化合物を提供する。 【解決手段】一般式(I)または(II) で表される化合
物。 【化1】 式中、(A)〜(C)はビニレン基又はo−アリーレン
基を表す。R1 〜R9は置換可能な基;(Y)は芳香族
環、芳香族環集合、トリアリールアミン又はポリアリー
ルエテンから誘導される1〜4価の基;a〜f、h〜j
は0〜4の整数;g、kは1以上の整数;lは1〜4の
整数を表す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はベンズアゼピン構造
を有するスチルベン系化合物に関する。詳しくは電子写
真用電荷輸送剤又は有機エレクトロルミネッセンス素子
用電荷輸送剤として有用な2個ないし3個のベンズアゼ
ピン構造を有するスチルベン系化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真方式において使用される
感光体の光導電性素材として用いられているものに、セ
レン、硫化カドミウム、酸化亜鉛などの無機物質があ
る。ゼログラフィーの方式はすでにカールソンが米国特
許第2,297,691号に明らかにしたように、画像
露光の間に受けた照射量に応じその電気抵抗が変化す
る、通常は絶縁性の物質をコーティングした、支持体よ
りなり光導電性材料を用いる。この光導電性材料は一般
に適当な間の暗順応の後、暗所で、まず一様な表面電荷
を与えられる。次に、これは照射パターンの種々の部分
に含まれる相対エネルギーに応じて表面電荷を減らす効
果を有する照射のパターンに露光される。このようにし
て感光層表面に残った表面電荷又は静電潜像は次にその
表面が適当な検電表示物質で接触されて可視像となる。
このような表示物質すなわちトナーは絶縁液中に含まれ
ようと乾燥担体中に含まれようと、電荷パターンに応じ
て、感光層表面上に付着させることができる。付着した
表示物質は、熱圧力、溶媒蒸気のような公知の手段によ
り定着することができる。又第2の支持体(例えば紙、
フィルムなど)に転写することができる。同様に静電潜
像を第2の支持体に転写し、そこで現像することも可能
である。電子写真法はこの様にして画像を形成するよう
にした画像形成法の一つである。このような電子写真法
において感光体に要求される基本的な特性としては、
(1)暗所で適当な位置に帯電できること、(2)暗所
において電荷の逸散が少ないこと、(3)光照射によっ
て速やかに電荷を逸脱せしめうることなどがあげられ
る。従来用いられている前記無機物質は、多くの長所を
持っていると同時にさまざまな欠点を有していることは
事実である。例えば、現在広く用いられているセレン
は、前記(1)〜(3)の条件は十分に満足するが、製
造する条件がむずかしく、製造コストが高くなり、可撓
性がなく、ベルト状に加工することがむずかしく、熱や
機械的の衝撃に鋭敏なため取扱いに注意を要するなどの
欠点もある。硫化カドミウムや酸化亜鉛は、結合剤とし
ての樹脂に分散させて感光体として用いられているが、
平滑性、硬度、引張り強度、耐摩擦性などの機械的な欠
点があるためにそのままでは反復して使用することがで
きない。
【0003】近年、これら無機物質の欠点を排除するた
めにいろいろの有機物質を用いた電子写真用感光体が提
案され、実用に供されているものもある。例えば、ポリ
−N−ビニルカルバゾールと2,4,7−トリニトロフ
ルオレン−9−オンとからなる感光体(米国特許第3,
484,237号)、ポリ−N−ビニルカルバゾールを
ピリリウム塩系色素で増感したもの(特公昭48−25
658号)、有機顔料を主成分とする感光体(特開昭4
7−37543号)、染料と樹脂とからなる共晶錯体を
主成分とする感光体(特開昭47−10735号)、ヒ
ドラゾン系化合物を主成分とする感光体(特開昭57−
101844号、同54−150128号)、芳香族三
級アミン系化合物を主成分とする感光体(特公昭58−
32372号)、および、スチルベン系化合物を主成分
とする感光体(特開昭58−198043号)などであ
る。これらの感光体は優れた特性を有するものであり、
実用的にも価値が高いと思われるものであるが、電子写
真法において、感光体に対するいろいろの要求を考慮す
ると、まだ、これらの要求を十分に満足するものが得ら
れていないのが実情である。そこで、有機物質を用いた
電子写真用感光体、特に電荷輸送剤の研究は現在でも盛
んに行われており、最近、公開された特許出願では、電
荷輸送剤として新規なヒドラゾン化合物(特開平8−1
43550号)やカルバゾール系スチルベン化合物(特
開平8−59615号)および三置換エチレン系化合物
(特開昭63−225660号、特開平9−59256
号)などが開示されている。
【0004】バンスライクおよびタンらは例えば米国特
許第4,539,507号、同第4,720,432
号、特開平5−234,681号においてフェニル基、
フェニレン基、又はビフェニレン基を含む芳香族第三級
アミンを内部接合有機エレクトロルミネッセンス素子の
電荷(正孔)注入・輸送帯域に使用すると光出力の安定
性が向上し、それによって動作寿命が延びることを明ら
かにした。その後更なる光出力の安定性を計るためにこ
の正孔注入輸送帯域に用いる芳香族第三級アミンの改良
は多くの研究者により試みられ、多くの特許出願および
学術文献への報告がなされている。その例をあげればビ
フェニル系の三級アミンに関してJapaneseJournal of A
pplied Physics, 27, L269(1988) 、特開昭59−19
4393号、Appl. Phys. Lett. 66, 2679(1995)、特開
平5−234681号、同7−331238号、同8−
48656号、およびWO95/09147号など、ス
ダーバースト系の三級アミンに関して、Appl. Phys. Le
tt. 65, 807(1994) 、特公平7−110940号などが
ある。しかしながらこれまで公知の化合物は、その性能
が十分とはいえず、更なる改良が望まれている。
【0005】最近新しい、電子写真用および有機エレク
トロルミネッセンス素子用の電荷輸送剤としてジアリー
ルアミノ基などの電子供与性を有するスチルベン化合物
が開示されている(特開平6−130694号、同6−
266135号、同8−239655号など)。しかし
ながら、高速化が望まれている静電式複写機やレーザー
ビームプリンタノ電子写真、および保存性や発光寿命の
飛躍的改良が望まれている有機エレクトロルミネッセン
ス素子のニーズに応えるためには、更に高性能の電荷輸
送剤の開発が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明は
電子写真用感光体、有機電界発生(EL)素子などに用
いられる新規な化合物を提供することを目的とする。さ
らに本発明は電子写真用感光体並びに有機電界発光(E
L)素子に用いられ、優れた電荷輸送能や、保存安定性
を示す新規なスチルベン系化合物を提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は鋭意検討した
結果、分子内に特定のアゼピン構造を有するスチルベン
系化合物が、電荷輸送能や保存安定性が高く、上記目的
を満足することを見い出し、この知見に基づき本発明を
なすに至った。
【0008】すなわち本発明は一般式(I)または(I
I) で表わされるベンズアゼピン構造を有するスチルベ
ン系化合物、
【0009】
【化3】
【0010】(式中、(A)および(B)はビニレン基
又はo−アリーレン基を表わし、R 1 〜R6 は置換可能
な基を表わす。a〜fは0ないし4の整数を、gは1以
上の整数を表わす。)
【0011】
【化4】
【0012】(式中、(Y)は芳香族環、芳香族環集
合、トリアリールアミン、又はポリアリールエテンから
誘導される1ないし4価の基であり、(C)はビニレン
基又はo−アリーレン基を表わす。R7 〜R9 は置換可
能な基を表わす。h〜jは0ないし4の整数、kは1以
上の整数を表わし、lは1ないし4の整数を表わす。)
を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】次に一般式(I)および(II) で
表わされる化合物について詳しく説明する。一般式
(I)および(II) における(A)、(B)および
(C)はビニレン基又はo−アリーレン基を表わすが、
これらは置換又は無置換の基である。無置換の基につい
てその具体例を示せば、例えば下記の基である。
【0014】
【化5】
【0015】(A)、(B)および(C)が置換基を有
する場合、好ましい置換基は後述するR1 〜R9 と同義
の基である。
【0016】好ましい(A)、(B)および(C)は置
換もしくは無置換のビニレン又はo−フェニレン基であ
り、特に好ましくは無置換もしくはアルキル基置換のビ
ニレン又はo−フェニレン基である。
【0017】一般式(I)および(II) におけるR1
9 は置換可能な基を表わすが、置換可能な基を表す
が、置換可能な基について詳しく述べると、ハロゲン原
子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリー
ル基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ
基、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基、アルコキシ
基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、モノもしくは
ジアルキルアミノ基、N−無置換、アルキルもしくはア
リールのアリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイ
ルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコ
キシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモ
イル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシ
カルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキ
シ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリー
ルオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ
基、スルフィニル基、ホスホニル基、アリールオキシカ
ルボニル基、アシル基、シリル基またはアゾリル基など
である。
【0018】好ましいR1 〜R9 は水素原子、ハロゲン
原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリー
ルオキシ基、ジアルキルアミノ基、N−アルキル−N−
アリールアミノ基、又はジアリールアミノ基であり、こ
れらについて詳しくは水素原子、フッ素、塩素もしくは
臭素等のハロゲン原子、置換もしくは無置換の炭素数1
〜12の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、置換もしく
は無置換の炭素数6〜20のアリール基、置換もしくは
無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基、置換もしくは無
置換の炭素数6〜20のアリールオキシ基、置換もしく
は無置換の炭素数2〜16のジアルキルアミノ基、置換
もしくは無置換の炭素数7〜21のN−アルキル−N−
アリールアミノ基、又は置換もしくは無置換の炭素数1
2〜36のジアリールアミノ基である。
【0019】水素原子、ハロゲン原子以外について更に
詳しく説明すると、メチル、エチル、n−プロピル、n
−オクチル、n−ドデシル、2−メトキシエチル、2−
フェニルメチル、ベンジル、イソプロピル、イソブチ
ル、s−ブチル、t−ブチル、t−アミル、t−オクチ
ル、シクロペンチル、シクロヘキシル、もしくはシクロ
ヘプチルなどのアルキル基、フェニル、2−,3−もし
くは4−メチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4
−メトキシフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、1
−もしくは2−ナフチル、アンスリル、もしくはフェナ
ンスリルなどのアリール基、メトキシ、エトキシ、n−
プロポキシ、n−ブトキシ、n−ヘキシル、イソプロポ
キシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、シクロペンチルオ
キシ、もしくはシクロヘキシルオキシなどのアルコキシ
基、フェノキシ、2−,3−もしくは4−メチルフェノ
キシ、4−t−ブチルフェノキシ、4−フェニルフェノ
キシ、4−メトキシフェノキシ、2−シクロヘキシルフ
ェノキシ、3−エチルフェノキシ、1−もしくは2−ナ
フトキシ、アンスリルオキシ、もしくはフェナンスリル
オキシなどのアリールオキシ基、ジメチルアミノ、ジエ
チルアミノ、ジブチルアミノ、ジオクチルアミノ、N−
メチルブチルアミノ、ビス(2−メトキシエチル)アミ
ノ、もしくはビス(2−クロロエチル)アミノなどのジ
アルキルアミノ基、N−メチルアニリノ、N−ブチルア
ニリノ、もしくはN−メチル−1−ナフチルアミノなど
のN−アルキル−N−アリールアミノ基、又はジフェニ
ルアミノ、N−(3−メチルフェニル)アニリノ、N−
(4−メチルフェニル)アニリノ、ビス(4−メチルフ
ェニル)アミノ、N−ナフチルアニリノ、もしくはジナ
フチルアミノなどのジアリールアミノ基である。
【0020】次に一般式(II) における(Y)について
説明する。(Y)は芳香族環、芳香族環集合、トリアリ
ールアミン又はポリアリールエテンから誘導される1な
いし4価の基であるが、詳しくは、ベンゼン、ナフタレ
ン、又はアントラセン、トリフェニレン、フルオレン、
スピロフルオレン、チオフェン、ピロール、フラン、オ
キサジアゾール、オキサゾール、ピリジン、ピリミジ
ン、トリアジン、トリアゾール又はカルバゾールなどの
芳香族環から誘導される基、これら芳香族環が、「二つ
以上の環系が一重結合か二重結合で直結していて、環を
直結している結合の数が環系の数より一つだけ少ないも
の」(平山健三、平山和雄「有機化学・生化学命名法」
改訂第2版、上巻、39頁、1988年、(株)南光
堂)」という環集合(ring assenblies)の定義にもとづ
き結合した芳香族環集合から誘導される基、トリフェニ
ルアミン、トリス(4−ビフェニルイル)アミン又はト
リス(9−アントラセニル)アミンなどのトリアリール
アミンから誘導される基、スチルベン、テトラフェニル
エチレン、1,2−ジアントラセンニルエテン又は9,
9′−(1,2−エチレンジイル)ジアントラセンなど
のポリアリールエテンから誘導される基を表わす。
【0021】(Y)は置換基を有してもよく、置換基可
能な基としてはR1 〜R9 において定義した基である。
【0022】好ましくは(Y)はベンゼン、ビフェニ
ル、トリフェニルアミン、又はスチルベンから誘導され
る2又は3価の基であり、特に好ましくは1,4−フェ
ニレン、1,3,5−ベンゼントリイル、4,4′−ビ
フェニルジイル、トリフェニルアミン−4,4′,4″
−トリイル、又は4,4′−スチルベンジイルである。
【0023】次に一般式(I)および(II) のa〜lで
表わされる数について説明する。a〜f、およびh〜j
は0ないし4の整数を表わし、gおよびkは1以上の整
数を表わし、lは1ないし4の整数を表わすが、好まし
くはa〜fおよびh〜jは0又は1であり、gおよびk
は1又は2であり、lは2又は3である。
【0024】a〜fおよびh〜jが2以上の場合各ベン
ゼン環上の置換基は同じでも異なっていてもよい。そし
てそれらが隣接する場合互いに結合して飽和又は不飽和
(芳香族を含む)の環を形成してもよい。
【0025】次に本発明の一般式(I)および(II) で
表わされる化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。
【0026】
【化6】
【0027】
【化7】
【0028】
【化8】
【0029】
【化9】
【0030】
【化10】
【0031】
【化11】
【0032】次に本発明の化合物の合成法について説明
する。代表的合成法を(スキーム1)〜(スキーム3)
に示した。
【0033】
【化12】
【0034】
【化13】
【0035】
【化14】
【0036】(スキーム1)はWodsworth-Emmons反応を
利用した方法であるがトリエチルホスファイトの代りに
トリフェニルホスフィンを用いたWittig反応も用いるこ
とができる。(スキーム1)には一般式(I)の合成ス
キームを示したが、当然ながらこの方法は一般式(II)
の合成にも利用できる。(スキーム2)には一般式(I
I)においてk=1 の場合の例を示した。この方法はア
セチレン基を導入する萩原−薗頭反応とStille反応、鈴
木反応、およびHeck反応と一般に呼ばれるクロスカップ
リングによるオレフィン合成反応とを利用した方法であ
る。この方法も当然ながら一般式(I)の合成にも利用
できる。(スキーム3)の方法はMcMarry反応を利用し
たオレフィン合成法に基づく方法であるが、この反応は
一般式(I)でg=1の対称な化合物の合成に有用であ
る。
【0037】これらの反応の出発原料であるベンゾアゼ
ピンの合成は B. Renfroe, C. Harrington, G.R. Proct
or, "The Chemistry of Heterocyclic Compounds", Vo
l. 43、Part 1、1984、John Wiley & Sons Inc.および
H. C. Axtell et al., J. OrgChem., 56 、3906(1991)
に記載の方法に基づき行うことができる。
【0038】
【実施例】以下に実施例に基づき本発明を説明するが、
本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものでは
ない。 実施例1(例示化合物(I−1)の合成) 5H−ジベンズ〔b,f〕アゼピン14.5g(75mm
ol)と1,4−ジブロモベンゼン88.5g(375mm
ol)、水酸化カリウム5.0g(90mmol)および銅粉
2.0gとデカリン100mlを混合し、窒素気流下外温
200℃で約1週間加熱攪拌した。室温近くに冷却した
後クロロホルムを加え、不溶物を除くためセライトろ過
を行った。ろ液に水を加え、抽出操作を行い、得られた
反応濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製
することにより5−(4−ブロモフェニル)−5H−ジ
ベンズ〔b,f〕アゼピン(A)を、11.2g(収率
43%)得ることができた。(A)、7.0g(20mm
ol)をテトラヒドロフラン(THF)に溶かし、アルゴン気
流下−78℃に冷却した。その中にn−ブチルリチウム
の2.5M濃度のn−ヘキサン溶液を9.6ml(24mm
ol)滴下し後30分間攪拌した。次にその中にジメチル
ホルムアミド(DMF)3.1ml(40mmol)を滴下し、約
1時間攪拌し、徐々に室温まで昇温した。反応液に希硫
酸を加え、次にクロロホルムで抽出し、反応濃縮物をシ
リカゲルクロマトグラフィで精製することにより、5−
(4−ホルミルフェニル)−5H−ジベンズ〔b,f〕
アゼピン(B)を4.5g(収率75%)得ることがで
きた。TiCl3(DME)1.5 15.8g(54.0mmol)とZn
-Cu カップル、11.7g(178mmol)を窒素気流下
でフラスコに取り、この中に無水ジメトキシエタン(DM
E) 400mlを加え2時間加熱還流した。次いでその中
に(B)4.0g(13.5mmol)の無水DME 50ml溶
液を加え、約8時間加熱還流した。反応物を室温にした
後、酢酸エチルを加え、セライトろ過した。ろ液を濃縮
し、得られた結晶性化合物をシリカゲルショートカラム
と再結晶法(テトラヒドロフラン/メタノール)で精製
することにより例示化合物(I−1)を2.7g(収率
70%)得ることができた。融点270〜275℃。
【0039】実施例2(例示化合物(I−2)の合成) 実施例1と同様にして、9H−トリベンズ〔b,d,
f〕アゼピンから9−(4−ブロモフェニル)−9H−
トリベンズ〔b,d,f〕アゼピンを収率36%で得る
ことができた。これから9−(4−ホルモルフェニル)
−9H−トリベンズ〔b,d,f〕アゼピンを収率96
%で得、次に同様にカップリング反応を行なうことによ
り例示化合物(I−2)を収率80%で得ることができ
た。融点300℃以上。
【0040】実施例3(例示化合物(II-1) の合成) 1,3,5−トリス(ブロモメチル)ベンゼン(1,
3,5−トリメチルベンゼンをN−ブロモコハク酸イミ
ド/アゾビスイソブチロニトリル/四塩化炭素でブロム
化することにより合成)23.2g(65mmol)と、ト
リエチルホスファイト(P(OC2H5)3)111ml(650mm
ol)を外温150℃に徐々に加熱した。生成する臭化エ
チルを蒸留で除きながら更に外温170℃まで加熱し
た。約2時間後、アスピレータを用いて過剰のトリエチ
ルホスファイトを減圧留去し、残渣を酢酸エチルで抽出
した。後処理・濃縮後シリカゲルカラムクロマトグラフ
ィで精製することにより、1,3,5−トリス(ジエチ
ルホスホノメチル)ベンゼン(C)を20.6g(収率
60%)得ることができた。(C)を5.0g(9.5
mmol)をジメチルスルホキシド50mlに溶かし、その中
に実施例1で得られた化合物(B)9.4g(31.6
mmol)加え、更にその中にt−ブトキシカリウム3.6
g(32.1mmol)を加え、窒素気流下室温で約5時間
攪拌し、その後一晩放置した。クロロホルムで反応液の
抽出操作を行ない、後処理・濃縮後、カラムクロマトグ
ラフィと再結晶法(テトラヒドロフラン/メタノール)
で精製することにより例示化合物(II−1)を4.7g
(収率52%)得ることができた。融点283〜286
℃。
【0041】実施例4(例示化合物(II−7)の合成) 実施例2で得られた9−(4−ホルミルフェニル)−9
H−トリベンゾ〔b,d,f〕アゼピン、10.0g
(28.8mmol)のメタノール溶液にナトリウムボロハ
イドライド5.8g(150mmol)を少しづつ加えた。
約1時間攪拌後酢酸エチルで抽出・後処理・濃縮するこ
とによりほぼ純粋な9−〔4−(ヒドロキシメチル)フ
ェニル〕−9H−トリベンゾ〔b.d.f〕アゼピン
(D)を定量的に得ることができた。この(D)を精製
することなく、塩化メチレン(50ml)溶液とし、トリ
エチルアミン4.9ml(35.0mmol)を加えた。その
中に5℃以下で三臭化リン18.9g(70.0mmol)
と塩化メチレン50mlからなる溶液を滴下し、Dが消失
(TLC) するまで5℃以下で攪拌した。その後氷水を加
え、塩化メチレンで抽出・後処理後・減圧濃縮し、9−
〔4−(ブロモメチル)フェニル〕−9H−トリベンゾ
〔b,d,f〕アゼピンを含む固体を得た。これを精製
することなく、その中にトリエチルホスファイト36ml
(300mmol)を加え、徐々に生成する臭化エチルを除
きながら170℃(外温)に加熱した。170℃で約2
時間後、アスピレータ減圧下、過剰のトリエチルホスフ
ァイトを留去し、残渣を酢酸エチルで抽出した。後処理
後濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィで精製す
ることにより、9−〔4−(ジエチルホスホノメチ
ル)〕−9H−トリベンゾ〔b,d,f〕アゼピン
(E)を5.0g(収率40%)得ることができた。
(E)4.0g(9.1mmol)とトリス(4−ホルミル
フェニル)アミン0.86g(2.6mmol)をジメチル
スルホキシド30mlに溶かし、その中にt−ブトキシカ
リウム1.1g(10.0mmol)を加え窒素気流下室温
で約6時間攪拌し、その後1晩放置した。クロロホルム
で反応液の抽出操作を行ない、後処理・濃縮後カラムク
ロマトグラフィと再結晶法(テトラヒドロフラン/エタ
ノール)で精製することにより例示化合物(II−7)を
1.5g(収率45%)得ることができた。融点300
℃以上。
【0042】
【発明の効果】本発明による新規なベンズアゼピン構造
を有するスチルベン系化合物は電荷輸送能や保存安定性
に優れ、電子写真感光体又は有機電界発光(EL)素子
用材料に用いることにより、それらの性能を改良するの
に効果がある。特に本発明の化合物は電子写真感光体に
用いた時に高性能の感光体を与え、その性能を大幅に向
上させた。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I)または(II) で表わされる
    ベンズアゼピン構造を有するスチルベン系化合物。 【化1】 (式中、(A)および(B)はビニレン基、又はo−ア
    リーレン基を表わし、R1 〜R6 は置換可能な基を表わ
    す。a〜fは0ないし4の整数を、gは1以上の整数を
    表わす。) 【化2】 (式中、(Y)は芳香族環、芳香族環集合、トリアリー
    ルアミン、又はポリアリールエテンから誘導される1な
    いし4価の基であり、(C)はビニレン基又はo−アリ
    ーレン基を表わす。R7 〜R9 は置換可能な基を表わ
    す。h〜jは0ないし4の整数、kは1以上の整数を表
    わし、lは1ないし4の整数を表わす。)
JP10996398A 1998-04-20 1998-04-20 ベンズアゼピン構造を有するスチルベン系化合物 Pending JPH11302259A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10996398A JPH11302259A (ja) 1998-04-20 1998-04-20 ベンズアゼピン構造を有するスチルベン系化合物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10996398A JPH11302259A (ja) 1998-04-20 1998-04-20 ベンズアゼピン構造を有するスチルベン系化合物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11302259A true JPH11302259A (ja) 1999-11-02

Family

ID=14523595

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10996398A Pending JPH11302259A (ja) 1998-04-20 1998-04-20 ベンズアゼピン構造を有するスチルベン系化合物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11302259A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4609602A (en) Photoresponsive imaging members with electron transporting layers
JPH02118666A (ja) 電子写真記録材料
US4869988A (en) Photoconductive imaging members with N,N-bis(biarylyl)aniline, or tris(biarylyl)amine charge transporting components
US4315983A (en) 2,6-Di-tert-butyl-4-substituted thiopyrylium salt, process for production of same, and a photoconductive composition containing same
US4606861A (en) Process for obtaining anthraquinodimethane derivatives and anthrone derivatives
JPH05210253A (ja) 感光性記録材料
JP4115555B2 (ja) アゼピン構造を有する新規な三置換エチレン系化合物
JPH0224864B2 (ja)
JPH11302259A (ja) ベンズアゼピン構造を有するスチルベン系化合物
JPH11292848A (ja) ベンゾアゼピン構造を有する芳香族三級アミン化合物
EP0535672B1 (en) Electrophotographic photoreceptor
JP2000178273A (ja) 含窒素7員環構造を有するエチレン誘導体
JPH02134353A (ja) 電子受容性化合物およびその製造方法
JP3806260B2 (ja) アルデヒド化合物とその製造方法
JPH10330333A (ja) シクロヘプタニリデン構造を有する新規な三置換エチレン系化合物
JPH10324680A (ja) ベンズアゼピン骨格を有するヒドラゾン化合物
JPH10316875A (ja) ヒドラゾン化合物
JP4052685B2 (ja) フルオレン化合物およびその製造方法
JP3611370B2 (ja) ビスアゾ化合物及びその製造用の中間体
JP3358017B2 (ja) トリスアゾ化合物
JP2001089680A (ja) トリアリールアミン構造を有する新規な三置換エチレン系化合物
JP3847470B2 (ja) テトラアリールメタン化合物
JP2936512B2 (ja) ジエン化合物及びその製造法
JP4153078B2 (ja) エテニル基を有するベンゾアゼピン誘導体
JP3520879B2 (ja) ベンゾフルオレン化合物及びその製造方法