JPH10330155A - 低温焼成磁器組成物および磁器の製造方法 - Google Patents

低温焼成磁器組成物および磁器の製造方法

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JPH10330155A
JPH10330155A JP9137128A JP13712897A JPH10330155A JP H10330155 A JPH10330155 A JP H10330155A JP 9137128 A JP9137128 A JP 9137128A JP 13712897 A JP13712897 A JP 13712897A JP H10330155 A JPH10330155 A JP H10330155A
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Shinya Kawai
信也 川井
Yoshitake Terashi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】金、銀、銅を配線導体として多層化が可能で、
高い比誘電率、高強度の磁器を得ることのできる磁器組
成物と、磁器の製造方法を提供する。 【構成】少なくともZnとTiを含み、該金属の原子比
による組成をZn・xTiと表したとき、0.3≦x≦
8を満足する複合酸化物を30〜97重量%と、少なく
ともAl、Siを酸化物換算の合量で3〜70重量%と
からなる主成分100重量部に対して、B2 3 を0.
5〜10重量部、または少なくともSiO2 、B2 3
含むガラスを1〜20重量部添加した組成物を所定形状
に成形後800〜1000℃で焼成し、ガーナイト結晶
相、ウレマイト結晶相、TiO2 結晶相を含み、さらに
はスピネル結晶相、イルメナイト結晶相、Al2 3
晶相、SiO2 結晶相のうちの1種以上が析出した誘電
率8以上、抗折強度250MPa以上の磁器を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多層配線基板等に
適した低温焼成磁器組成物に関するものであり、例えば
集積回路(IC)や電子部品を多層に積層し、焼成して
なる銅配線可能な低温焼成磁器組成物と、磁器の製造方
法に関する。
【0002】
【従来技術】近年、高度情報化時代を迎え、情報伝送は
より高速化・高周波化が進行する傾向にある。自動車電
話やパーソナル無線等の移動無線、衛星放送、衛星通信
やCATV等のニューメディアでは、機器のコンパクト
化が推し進められており、これに伴い誘電体共振器等の
マイクロ波用回路素子やマイクロ波用回路基板に対して
も小型化が強く望まれている。
【0003】このようなマイクロ波用回路素子の大きさ
は、使用電磁波の波長が基準となる。比誘電率εrの誘
電体中を伝播する電磁波の波長λは、真空中の伝播波長
をλ0 とするとλ=λ0 /(εr)1/2 となる。したが
って、回路素子は、使用される回路用基板の誘電率が大
きい程、小型になる。
【0004】さらに、回路基板に種々の電子部品や入出
力端子等を接続する工程上で基板に加わる応力から基板
が破壊したり、欠けを生じたりすることを防止する為に
材料の機械的強度が高いことも要求されている。
【0005】よって、上述した高誘電率化および高強度
化等の要求を満足するため、例えば、特開平6−132
621号公報に示すように、樹脂中に無機誘電体粒子を
分散したものや、特開平6−260035号公報に示さ
れるように、高誘電率フィラーとガラスとの複合材料か
らなるガラスセラミック基板材料からなるが提案されて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
6−132621号公報に示された回路基板では、焼成
温度が400℃程度であり銅等を配線導体として用いて
の多層化、微細な配線化ができないという問題があっ
た。
【0007】また従来のガラスセラミック材料は、銅等
の低抵抗金属との同時焼成が可能であり、また多層化も
可能であるが、そのほとんどが誘電率が8より低い低誘
電率のものであり、機器の小型化のための高誘電率化の
点では満足すべき特性は得られていない。また、従来の
ガラスセラミックスは、1000℃以下での焼成が可能
である反面、このような低温焼成を可能とするために
は、少なくとも高価なガラスを30重量%以上配合する
必要とするために、得られる磁器の特性がガラスの性質
に大きく依存してしまい、フィラーの特性が活かせなか
ったり、高コストとなるなどの問題があった。
【0008】従って、本発明は、金、銀、銅を配線導体
として多層化が可能となるように800〜1000℃で
焼成されるとともに、比誘電率が高く、かつ高強度の低
温焼成磁器組成物と、磁器の製造方法を提供することを
目的とする。
【0009】
【問題点を解決するための手段】本発明者等は、上記問
題点を鋭意検討した結果、少なくともZnおよびTiを
特定組成で含む複合酸化物に対して、焼結助剤としてB
2 3 、または少なくともSiO2 、B2 3 を含むガ
ラスを特定比率で添加することにより複合酸化物中から
生成するZnを主とする液相とB(ホウ素)成分による
液相反応が生じ、僅かな助剤量により、800〜100
0℃の温度で焼成でき、しかも焼成によって、結晶相と
して、上記複合酸化物の分解反応によってTiO2 結晶
相を析出させることにより高い比誘電率を得ることがで
き、また上記分解反応によって生じたZnとAlおよび
Siとを反応させ、少なくともZnおよびSiを含むウ
レマイト型結晶相、少なくともZnおよびAlを含むガ
ーナイト結晶相を析出させることにより、高い抗折強度
を達成することができることを知見し、本発明に至っ
た。
【0010】即ち、本発明の低温焼成磁器組成物は、少
なくともZnとTiを含み、該金属の原子比による組成
を Zn・xTi と表したとき、0.3≦x≦8を満足する複合酸化物3
0〜97重量%と、AlおよびSiを酸化物換算による
合量で3〜70重量%とからなる主成分100重量部に
対して、B2 3 を0.5〜10重量部の割合で添加し
てなることを特徴とする。
【0011】また、本発明の他の低温焼成磁器組成物
は、少なくともZnとTiを含み、該金属の原子比によ
る組成を Zn・xTi と表したとき、0.3≦x≦8を満足する複合酸化物3
0〜97重量%と、AlおよびSiを酸化物換算による
合量で3〜70重量%からなる主成分100重量部に対
して、少なくともSiO2 、B2 3 を含むガラスを1
〜20重量部の割合で添加してなることを特徴とする。
【0012】また、上記組成物においては、何れもTi
2 結晶相と、少なくともZnおよびSiを含むウレマ
イト型結晶相、少なくともZnおよびAlを含むガーナ
イト型結晶相を含むことを特徴とするものであり、特性
上は比誘電率が8以上、抗折強度250MPa以上の優
れた特性を有するものである。
【0013】また、本発明の磁器の製造方法は、前記の
組成物を所定形状に成形後、800〜1000℃で焼成
することを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の第1の形態の低温焼成磁
器組成物によれば、主成分が少なくともZnとTiを含
む複合酸化物30〜97重量%と、少なくともAlおよ
びSiを酸化物換算による合量で3〜70重量%とから
なることが大きな特徴である。
【0015】ここで、ZnとTiを含む複合酸化物の量
が30重量%よりも少ないか、言い換えるとAlおよび
Siの酸化物換算による合量が70重量%よりも多い
と、磁器の比誘電率が8より低くなり、ZnとTiを含
む複合酸化物の量が97重量%よりも多いか、言い換え
るとAlおよびSiの酸化物換算による合量が3重量%
よりも少ないと、強度の向上効果が小さく、抗折強度が
250MPa以下となる。望ましい組成は、ZnとTi
を含む複合酸化物が40〜90重量%、AlとSiの酸
化物換算による合量が10〜60重量%である。
【0016】また、本発明によれば、上記のZnとTi
を含む複合酸化物は、前記金属の原子比による組成を Zn・xTi と表したとき、0.3≦x≦8を満足するものである。
ここで、上記の複合酸化物のZnとTiとの原子比率を
示すxにおいて、xが0.3よりも小さいとZnO相が
過剰となり誘電特性が劣化し、xが8を超えるとTiO
2 相が過剰となり焼結性が低下し、B2 3 量を10重
量部以上添加しないと磁器が緻密化しなくなる。xの望
ましい範囲は、0.5≦x≦1.5である。
【0017】また、上記の主成分に対して、焼結助剤と
なるB2 3 の添加量を上記のように限定したのは、B
2 3 の添加量が0.5重量部よりも少ないと、800
〜1000℃の温度で十分に緻密化する事ができず、作
製される磁器の誘電率が低下し、また抗折強度が低下す
る。逆に、B2 3 の添加量が10重量部よりも多い
と、700℃以下の低温で液相が流出し磁器の形状を損
ない製品形状を保てなくなり、また磁器特性の点から誘
電率は8よりも小さくなり、また液相が増加し、抗折強
度が低下する。望ましいB2 3 の添加量は1〜10重
量部である。
【0018】また、本発明の第2の発明によれば、前記
ZnとTiを含む複合酸化物を30〜97重量%と、A
lおよびSiを酸化物換算による合量で3〜70重量%
とからなる主成分100重量部に対して、少なくともS
iO2 、B2 3 含むガラスを1〜20重量部の割合で
添加してなる。
【0019】ここで、ZnとTiを含む複合酸化物の量
が30重量%よりも少ないか、言い換えるとAlおよび
Siの酸化物換算による合量が70重量%よりも多い
と、磁器の比誘電率が8より低くなり、ZnとTiを含
む複合酸化物の量が97重量%よりも多いか、言い換え
るとAlおよびSiの酸化物換算による合量が3重量%
よりも少ないと、強度の向上効果が小さく、抗折強度が
250MPa以下となる。望ましい組成は、ZnとTi
を含む複合酸化物が40〜90重量%、AlとSiの酸
化物換算による合量が10〜60重量%である。
【0020】また、本発明によれば、上記のZnとTi
を含む複合酸化物は、前記金属の原子比による組成を Zn・xTi と表したとき、0.3≦x≦8を満足するものである。
ここで、上記の複合酸化物のZnとTiとの原子比率を
示すxにおいて、xが0.3よりも小さいとZnO相が
過剰となり誘電特性が劣化し、xが8を超えるとTiO
2 相が過剰となり焼結性が低下し、B2 3 量を10重
量部以上添加しないと磁器が緻密化しなくなる。xの望
ましい範囲は、0.5≦x≦1.5である。
【0021】また、上記の主成分に対して、焼結助剤と
なるSiO2 、B2 3 を含むガラスの添加量を上記の
ように限定したのは、ガラスの添加量が1重量部よりも
少ないと、800〜1000℃の温度で十分に緻密化す
る事ができず、作製される磁器の誘電率が低下し、また
抗折強度が低下する。逆に、ガラスの添加量が20重量
部よりも多いと、700℃以下の低温で液相が流出し磁
器の形状を損ない製品形状を保てなくなり、また磁器特
性の点から誘電率は8よりも小さくなり、また液相が増
加し、抗折強度が低下する。望ましいガラスの添加量は
2〜20重量部である。
【0022】また、本発明の低温焼成磁器組成物は、前
記第1および第2の形態のいずれも酸化性雰囲気下およ
び非酸化性雰囲気下で、800〜1000℃の温度範囲
での焼成によって相対密度95%以上にまで緻密化でき
る。この焼成時に少なくともZnおよびTiを含む複合
酸化物の一部あるいは全量が分解してAlおよびSiと
反応する結果、TiO2 結晶相、ZnとSiを含むウレ
マイト型結晶相、ZnとAlを含むガーナイト結晶相が
析出すると考えられる。
【0023】その結果、本発明の低温焼成磁器組成物の
焼成後の組織は図1に示すようになる。図1に示すよう
に、本発明の低温焼成磁器組成物は、TiO2 結晶相1
と、少なくともZnおよびSiを含むウレマイト型結晶
相2、少なくともZnおよびAlを含むガーナイト結晶
相3、非晶質の粒界相4とから構成されている。
【0024】さらに、場合によっては、図1の組織に対
して、少なくともZnおよびTiを含むスピネル型結晶
相、少なくともZnおよびTiを含むイルメナイト型結
晶相、ZnO結晶相、Al2 3 結晶相、SiO2 結晶
相のうちの1種以上の結晶相が析出する場合がある。
【0025】このように本発明によれば、焼結体中にT
iO2 結晶相、ZnとSiを含むウレマイト型結晶相、
ZnとAlを含むガーナイト結晶相を存在させ、さらに
場合によっては、ZnとTiを含むスピネル型結晶相、
ZnおよびTiを含むイルメナイト型結晶相、ZnO結
晶相、Al2 3 結晶相、SiO2 結晶相を具備させる
ことにより、比誘電率を8以上に向上することができる
と同時に、抗折強度が250MPa以上の高強度を示す
低温焼成磁器を得ることができる。
【0026】なお、上記非晶質の粒界相4は、焼結助剤
としてB2 3 を用いた第1の形態の場合には、少なく
ともZnおよびBを含み、焼結助剤としてSiO2 およ
びB2 3 を含むガラスを用いた第2の形態の場合に
は、少なくともSi、ZnおよびBを含むものから構成
される。
【0027】なお、本発明の第2の形態において用いる
SiO2 、B2 3 を含むガラスとしては、一般にホウ
ケイ酸ガラス、ホウケイ酸亜鉛ガラス、ホウケイ酸鉛ガ
ラス等が挙げられるが、特にSiO2 を5〜80重量
%、B2 3 を4〜50重量%の割合でそれぞれ含み、
他の成分としてAl2 3 を30重量%以下、アルカリ
金属酸化物を20重量%以下の割合で含むものが好適に
使用され、これらの酸化物成分を所定割合で配合したも
のを溶融、冷却し、ガラス化したものが使用される。
【0028】次に、本発明において、上記低温焼成磁器
組成物を用いて磁器を製造するには、少なくともZnと
Tiを含む複合酸化物を形成する出発原料として、Zn
O、TiO2 の各酸化物粉末、あるいはこれらの2種以
上の複合酸化物(例えば、ZnTiO4 )など、さらに
は上記の酸化物以外に焼結過程で酸化物を形成し得る化
合物である炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩等を用いる。
【0029】また、少なくともAlおよびSiを含む酸
化物を形成する出発原料として、Al2 3 、SiO2
の各酸化物粉末、あるいはこれらの2種以上の複合酸化
物であるムライト等の粉末、さらには上記の酸化物以外
に焼結過程で酸化物を形成し得る化合物であるAlおよ
びSiの炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩等を用いる。
【0030】上記主成分原料は、それら金属の原子比が
上記主成分組成を満足するように秤量混合される。本発
明の第1の形態に基づくと、上記の主成分原料100重
量部に対して、焼結助剤としてB2 3 粉末あるいは焼
結過程で酸化物を形成し得る化合物であるB2 3 、H
2 BO3 等をB2 3 として0.5〜10重量部となる
ように秤量し、添加混合する事によって本発明の組成物
が得られる。
【0031】本発明の第2の形態に基づくと、上記の主
成分原料100重量部に対して、焼結助剤として前述し
たSiO2 、B2 3 を含むガラス粉末を1〜20重量
部となるように秤量し、添加混合する事によって本発明
の組成物が得られる。
【0032】なお、上記第1および第2の形態において
は、いずれの場合においても、用いる原料粉末は、分散
性を高め高い比誘電率や高強度を得るために、いずれも
平均粒径がいずれも2.0μm以下、特に1.0μm以
下の微粉末で有あることが望ましい。
【0033】次に、上記のような割合で添加混合した組
成物に適宜、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコールな
どのアルコール系樹脂、ポリビニルブチラールなどのブ
チラール系樹脂等の成形用バインダーを添加した後、例
えば、金型プレス、冷間静水圧プレス、押し出し成形、
ドクターブレード法、圧延法等により任意の形状に成形
する。そして、その成形体をN2 、Ar等の非酸化性雰
囲気中、または空気中等の酸化性雰囲気中で800〜1
000℃の温度で0.5〜5時間焼成することにより相
対密度95%以上に緻密化することができる。この時の
焼成温度が800℃よりも低いと磁器が十分に緻密化せ
ず、1000℃を超えると緻密化は可能であるが、銅、
銀等の導体と同時焼成ができなくなる。因みに、同時焼
成時に導体として銅を用いる場合には焼成雰囲気を非酸
化性雰囲気とし、銀を用いる場合には非酸化性または酸
化性雰囲気下で焼成することが必要である。
【0034】本発明の上記方法によれば、ZnおよびT
iから成る複合酸化物とB2 3 あるいは、SiO2
2 3 を含むガラスを組み合わせることにより、複合
酸化物から生成するZnを主体とする液相とB(ほう
素)成分との活性な液相反応が生じる結果、少ない焼結
助剤量で磁器を緻密化することができる。そのために、
比誘電率を低下させる非晶質相の量を最小限に抑えるこ
とができるため、高い比誘電率を得ることができる。ま
た、ガーナイト相、ウレマイト相を析出させることによ
って、系全体のヤング率が向上する結果、抗折強度が向
上する。さらに、微細なガーナイト相を析出させること
によって、クラックの偏向がおこり破壊エネルギーが増
大する結果、靭性の向上するのにともなって抗折強度が
向上する。
【0035】また、本発明における磁器組成物は、80
0〜1000℃で焼成可能であることから、特に金、
銀、銅などを配線導体として用いる配線基板として用い
ることができる。かかる低温焼成磁器組成物を用いて配
線基板を作製する場合には、例えば、上記のようにして
調合した混合粉末を公知のテープ成形法、例えばドクタ
ーブレード法、圧延法等に従い、絶縁層形成用のグリー
ンシートを作製した後、そのシートの表面に配線層用の
メタライズとして、銀、金や銅の粉末、特に銅粉末を含
む金属ペーストを用いて、シート表面に配線パターンに
スクリーン印刷し、場合によってはシートにスルーホー
ルを形成してホール内に上記ペーストを充填する。その
後、複数のシートを積層圧着した後、上述した条件で焼
成することにより、配線層と絶縁層とを同時に焼成する
ことができる。
【0036】
【実施例】
実施例1 平均粒径がそれぞれ1μm以下のZnO粉末、TiO2
粉末、ムライト粉末および平均粒径が1μm以下のB2
3 粉末を用いて表1の組成に従い評量、混合した。
【0037】そして、この混合物に有機バインダー、可
塑剤、トルエンを添加し、ドクターブレード法により厚
さ300μmのグリーンシートを作製した。そして、こ
のグリーンシートに密着液を塗布して5枚積層し、55
℃の温度で50kg/cm2の圧力を加えて圧着した。
得られた積層体を水蒸気含有/窒素雰囲気中で、700
℃で脱バインダーした後、乾燥窒素中で表1の条件にお
いて焼成して低温焼成磁器組成物の焼結体を得た。
【0038】得られた焼結体について誘電率、抗折強度
を以下の方法で評価した。誘電率は、試料形状 直径5
0mm、厚み1mmの試料を切り出し、3.0GHzに
てネットワークアナライザー、シンセサイズドスイーパ
ーを用いて空洞共振器法により測定した。測定では、サ
ファイヤを充填した円筒空洞共振器の間に試料の誘電体
基板を挟んで測定し、共振器のTE011 モードの共振特
性より、誘電率を算出した。抗折強度は、JISR16
01に準じて3点曲げ試験を行った。測定の結果は表
1、2に示した。また、焼結体に対してX線回折測定を
行い、結晶相を同定し、表1に示した。なお、表中の不
等号はピーク強度の大小を示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】表1、表2の結果から明らかなように、T
iO2 結晶相、ガーナイト(ZnAlO4 )結晶相、ウ
レマイト(Zn2 SiO4 )結晶相が析出し、さらに場
合によって、スピネル(Zn2 TiO4 )型結晶相、イ
ルメナイト(ZnTiO3 )型結晶相、Al2 3 結晶
相、SiO2 結晶相のうちの1種以上が析出した本発明
の低温焼成磁器は、いずれも誘電率が8以上を示すと同
時に、抗折強度が250MPa以上を示すものであっ
た。なお、本発明の磁器の粒界相をX線マイクロアナラ
イザーによって分析した結果、いずれも粒界相中からZ
nおよびBが検出された。
【0042】これに対して、ZnとTiとの比率xが
0.3よりも小さい試料No.1では、比誘電率が8より
も低く、xが8よりも大きい試料No.9では、B2 3
を10重量%配合しても1000℃で焼成することがで
きなかった。また、SiO2 、Al2 3 の合計量が3
重量%よりも少ない試料No.10では、抗折強度が低
く、70重量%よりも多い試料No.17では、比誘電率
が低いものであった。
【0043】さらに、B2 3 量が0.5重量部よりも
少ない試料No.18では、1000℃での緻密化ができ
ず、10重量部を越える試料No.24では、液相が流出
し測定不可能となった。
【0044】実施例2 平均粒径がそれぞれ1μm以下のZnO粉末、TiO2
粉末、ムライト粉末およびSiO2 10.4重量%−B
2 3 45.3重量%−Al2 3 2.5重量%−Zn
O35.2重量%−Na2 O6.6重量%の組成からな
るガラスA、SiO2 9.5重量%−B2 3 44重量
%−Al2 3 4.5重量%−ZnO33.5重量%−
2 O8.5重量%の組成からなるガラスBを用いて、
表2の組成に従い評量、混合した。この混合物を実施例
1と同様にして、低温焼成磁器を得た。また、得られた
焼結体について、実施例1と全く同様な方法で、X線回
折測定、誘電率、抗折強度を評価した。結果は、表3、
4に示した。
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】表3、4の結果から明らかなように、Ti
2 結晶相、ガーナイト(ZnAlO4 )結晶相、ウレ
マイト(Zn2 SiO4 )結晶相が析出し、さらに場合
によって、スピネル(Zn2 TiO4 )型結晶相、イル
メナイト(ZnTiO3 )型結晶相、Al2 3 結晶
相、SiO2 結晶相のうちの1種以上が析出した本発明
の低温焼成磁器は、いずれも誘電率が8以上を示すと同
時に、抗折強度が250MPa以上を示すものであっ
た。なお、本発明の磁器の粒界相をX線マイクロアナラ
イザーによって分析した結果、いずれも粒界相中からZ
nおよびBが検出された。
【0048】これに対して、ZnとTiとの比率xが
0.3よりも小さい試料No.35では比誘電率が8より
小さく、xが8よりも大きい試料No.43ではガラス量
を20重量部配合しても1000℃で焼成することがで
きなかった。また、SiO2 、Al2 3 の合計量が3
重量%よりも少ない試料No.44では抗折強度が低く、
70重量%よりも多い試料No.51では比誘電率が低い
ものであった。
【0049】さらに、ガラス量が1重量部よりも少ない
試料No.52では、1000℃での緻密化ができず、2
0重量部を越える試料No.56では、液相が流出し測定
不可能となった。
【0050】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の低温焼成磁
器組成物は、高い誘電率と強度を有するために、マイク
ロ波用回路素子等において小型化が可能となり、さら
に、基板材料の高強度化により入出力端子部に施すリー
ドの接合や実装における基板の信頼性を向上できる。し
かも、800〜1000℃で焼成されるため、Au、A
g、Cu等による配線を同時焼成により形成することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の低温焼成磁器組成物の組織の概略図で
ある。
【符号の説明】
1 TiO2 結晶相(T) 2 ウイレマイト結晶相(U) 3 ガ−ナイト型結晶相(G) 4 非晶質相(A)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくともZnとTiを含み、該金属の原
    子比による組成を Zn・xTi と表したとき、0.3≦x≦8を満足する複合酸化物を
    30〜97重量%と、AlおよびSiを酸化物換算によ
    る合量で3〜70重量%とからなる主成分100重量部
    に対して、B2 3 を0.5〜10重量部の割合で添加
    してなることを特徴とする低温焼成磁器組成物。
  2. 【請求項2】少なくともZnとTiを含み、該金属の原
    子比による組成を Zn・xTi と表したとき、0.3≦x≦8を満足する複合酸化物を
    30〜97重量%と、AlおよびSiを酸化物換算によ
    る合量で3〜70重量%とからなる主成分100重量部
    に対して、少なくともSiO2 、B2 3 含むガラスを
    1〜20重量部の割合で添加してなることを特徴とする
    低温焼成磁器組成物。
  3. 【請求項3】少なくともZnおよびAlを含むガーナイ
    ト型結晶相と、少なくともZnおよびSiを含むウレマ
    イト型結晶相と、TiO2 結晶相を含むことを特徴とす
    る請求項1または請求項2記載の低温焼成磁器組成物。
  4. 【請求項4】比誘電率(εr)が8以上、抗折強度25
    0MPa以上であることを特徴とする請求項1または請
    求項2記載の低温焼成磁器組成物。
  5. 【請求項5】少なくともZnとTiを含み、該金属の原
    子比による組成を Zn・xTi と表したとき、0.3≦x≦8を満足する複合酸化物を
    30〜97重量%と、AlおよびSiを酸化物換算によ
    る合量で3〜70重量%とからなる主成分100重量部
    に対して、B2 3 を0.5〜10重量部の割合で添加
    してなる組成物を所定形状に成形後、800〜1000
    ℃で焼成することを特徴とする磁器の製造方法。
  6. 【請求項6】少なくともZnとTiを含み、該金属の原
    子比による組成を Zn・xTi と表したとき、0.3≦x≦8を満足する複合酸化物を
    30〜97重量%と、AlおよびSiを酸化物換算によ
    る合量で3〜70重量%とからなる主成分100重量部
    に対して、少なくともSiO2 、B2 3 を含むガラス
    を1〜20重量部の割合で添加してなる組成物を所定形
    状に成形後800〜1000℃で焼成することを特徴と
    する磁器の製造方法。
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