JPH10324565A - 高周波用磁器組成物および高周波用磁器の製造方法 - Google Patents

高周波用磁器組成物および高周波用磁器の製造方法

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JPH10324565A
JPH10324565A JP9134871A JP13487197A JPH10324565A JP H10324565 A JPH10324565 A JP H10324565A JP 9134871 A JP9134871 A JP 9134871A JP 13487197 A JP13487197 A JP 13487197A JP H10324565 A JPH10324565 A JP H10324565A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】800〜1000℃で焼成可能であり、30G
Hz以上の高周波領域で低誘電損失で、且つ比誘電率を
5〜80で調整可能な高周波用磁器を得る。 【構成】少なくともZn、TiおよびSiを含み、該金
属の原子比による全体組成がnZn・(Ti1-y
y )(式中、0<y<1.0、0.14≦n≦3.
5)を満足する複合酸化物の主成分に対してB2 3
0.05〜20重量%、又はSiO2 とB2 3 を含む
ガラスを0.1〜30重量%添加した組成物を成形後、
酸化性雰囲気中800℃〜1000℃で焼成し、少なく
ともZn、Siを含むウイレマイト結晶相を含み、さら
にスピネル型結晶相、イルメナイト型結晶層、TiO2
結晶相およびSiO2 結晶相のうちの少なくとも1種を
含み、誘電率5〜80、30〜60GHzで誘電損失3
0×10-4以下の磁器を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高周波用磁器組成
物および高周波用磁器の製造方法に関するものであり、
特に、銀と同時焼成が可能であり、マイクロ波、ミリ波
用等の高周波で用いられる配線基板、誘電体共振器、L
Cフィルター、コンデンサ、誘電体導波路および誘電体
アンテナに用いることのできる高周波用磁器組成物、お
よび高周波用磁器の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】近年、高度情報化時代を迎え、情報伝送は
より高速化・高周波化が進行する傾向にある。自動車電
話やパーソナル無線等の移動無線、衛星放送、衛星通信
やCATV等のニューメディア(無線LAN、自動車用
衝突防止レーダー)では、高周波化が推し進められてお
り、これに伴い誘電体共振器等従来のマイクロ波用回路
素子に対してもより高周波化が強く望まれている。
【0003】このようなマイクロ波用回路素子において
誘電体の誘電損失ばかりではなく導体の損失を考慮し回
路形成のための導体としては、銅や銀などの低抵抗金属
を使用することが望まれている。
【0004】そこで、上述した低損失化等の要求を満足
するため、例えば、特開平5−225825号公報に示
すように、複合ぺロブスカイト型化合物系の誘電体磁器
組成物からなる回路用基板等が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
5−225825号公報に示されるようなペロブスカイ
ト型化合物系の材料や、従来のアルミナを絶縁基板とし
て用いた回路基板では、焼成温度が1300〜1600
℃と高温であるため、銅、銀等を配線導体として用いた
多層化や微細な配線化ができないという問題があった。
【0006】また従来のガラスセラミック材料は、銅、
銀等の低抵抗金属との同時焼成が可能であり、また多層
化も可能であるが、そのほとんどが誘電損失が10GH
zのマイクロ波領域においては30×10-4以上と大き
く、高周波用の機器の低誘電損失化の点では満足すべき
特性は得られていない。また、従来のガラスセラミック
スは、1000℃以下での焼成が可能である反面、この
ような低温焼成を可能とするためには、少なくともガラ
スを30重量%以上配合する必要とするために、得られ
る磁器の特性がガラスの性質に大きく依存してしまう結
果、フィラ−成分の優れた特性が発揮できないという問
題があった。
【0007】従って、本発明は、800〜1000℃で
の焼成が可能であり、特に30GHz以上の高周波領域
において5〜80で調整可能な比誘電率と、低い誘電損
失を有する高周波用磁器組成物と、高周波用磁器の製造
方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記問題点
を鋭意検討した結果、Zn、TiおよびSiを特定組成
で含む複合酸化物に対して、焼結助剤として、B
2 3 、または少なくともSiO2 、B2 3 を含むガ
ラスを特定比率で添加することにより複合酸化物中から
生成するZnを主とする液相とB(ホウ素)成分による
液相反応が生じ、僅かな助剤量により、800〜100
0℃の温度で焼成でき、しかも焼成によって、結晶相と
して、少なくともZnおよびSiを含むウイレマイト結
晶相と、スピネル型結晶相、イルメナイト型結晶相、T
iO2 結晶相、SiO2 結晶相等を析出させることによ
り、5〜80で調整可能な比誘電率と低い誘電損失を有
する磁器を得ることができることを知見し、本発明に至
った。
【0009】即ち、本発明の高周波用磁器組成物は、少
なくともZn、TiおよびSiを含み、該金属の原子比
による組成を nZn・(Ti1-y Siy ) と表した時、0<y<1.0、0.14≦n≦3.5を
満足する複合酸化物からからなる主成分80〜99.9
5重量%と、B2 3 0.05〜20重量%とからなる
ことを特徴とする。
【0010】また、本発明の他の高周波用磁器組成物
は、少なくともZn、TiおよびSiを含み、該金属の
原子比による組成を nZn・(Ti1-y Siy ) と表した時、0<y<1.0、0.14≦n≦3.5を
満足する複合酸化物からなる主成分70〜99.9重量
%と、少なくともSiO2 、B2 3 を含むガラス0.
1〜30重量%とからなることを特徴とするものであ
る。
【0011】また、上記組成物においては、少なくとも
ZnおよびSiを含むウイレマイト結晶相を含むことを
特徴とするもので、さらには、少なくともZnおよびT
iを含むスピネル型結晶相、少なくともZnおよびTi
を含むイルメナイト型結晶相、TiO2 結晶相およびS
iO2 結晶相のうちの少なくとも1種を含むことを特徴
とする。
【0012】また、特性上は、30〜60GHzでの誘
電率(εr)が5〜80の範囲で調整可能で、誘電損失
が30×10-4以下の優れた特性を有するものである。
【0013】また、本発明の高周波用磁器の製造方法
は、前記の組成物を所定形状に成形後、800〜100
0℃で焼成することを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の高周波用磁器組成物は、
第1の形態として、少なくともZn、TiおよびSiを
含む複合酸化物からなる主成分80〜99.95重量%
と、焼結助剤としてB2 3 0.05〜20重量%とか
らなるものである。上記の主成分は、複合酸化物を構成
する前記金属の原子比による組成を nZn・(Ti1-y Siy ) と表した時、0<y<1.0、0.14≦n≦3.5を
満足する複合酸化物からからなる。
【0015】上記主成分組成における(Ti+Si)に
対するZnの比率n値を0.14≦n≦3.5としたの
は、nが0.14より小さいと、ZnO相が過剰となり
誘電特性が劣化し、nが3.5を越えるとTiO2 相が
過剰となり焼結性が劣化し、焼結助剤を多量に添加しな
いと焼結できず、その結果、誘電特性が劣化してしまう
ためである。nの望ましい範囲は0.5≦n≦1.5で
ある。
【0016】また、上記主成分組成におけるyを0<y
<1.0とすることにより、誘電率を5〜80の範囲で
任意に制御することが可能となる。
【0017】また、焼結助剤として、B2 3 量を上記
の比率に限定したのは、B2 3 量が0.05重量%よ
り少ないか、言い換えれば、少なくともZn、Ti,S
iを含む複合酸化物からなる主成分量が99.95重量
%より多いと、800〜1000℃の低温で十分に緻密
化することができず、この組成物を用いて作製される基
板特性において、磁器がが緻密化しないため誘電率が低
下し、また誘電損失は増大してしまうためである。ま
た、B2 3 の量が20重量%より多いか、言い換えれ
ば前記主成分量が80重量%より少ないと、700℃以
下の低温で液相が流失し磁器の形状を損ない製品形状を
保てず、また磁器特性の点から30〜60GHzの高周
波領域における誘電損失が30×10-4以上と高くなる
ためである。上記の複合酸化物からなる主成分とB2
3 との好ましい組成範囲は、前記主成分が90〜99.
9重量%、B2 3 が0.1〜10重量%である。
【0018】また、本発明の高周波用磁器組成物におけ
る第2の形態としては、少なくともZn、TiおよびS
iを含む前述した複合酸化物からなる主成分70〜9
9.9重量%と、焼結助剤として少なくともSiO2
よびB2 3 を含有するガラス0.1〜30重量%とか
らなるものである。
【0019】ここで、前記ガラス量を上記の比率に限定
したのは、B2 3 量が0.1重量%より少ないか、言
い換えれば、少なくともZn、TiおよびSiを含む複
合酸化物からなる主成分量が99.9重量%より多い
と、800〜1000℃の低温で十分に緻密化すること
ができず、この組成物を用いて作製される基板特性にお
いて、磁器が緻密化しないため誘電率が低下し、また誘
電損失は増大してしまうためである。また、上記ガラス
量が30重量%より多いか、言い換えれば前記主成分量
が70重量%より少ないと、700℃以下の低温で液相
が流失し磁器の形状を損ない製品形状を保てず、また磁
器特性の点から30〜60GHzの高周波領域における
誘電損失が30×10-4よりも高くなるためである。上
記の複合酸化物からなる主成分と上記ガラスとの好まし
い組成範囲は、前記主成分が80〜99.5重量%、B
2 3 が0.5〜20重量%である。
【0020】また、本発明の高周波用磁器組成物は、第
1および第2の形態のいずれの組成物も、大気などの酸
化性雰囲気、あるいは窒素、アルゴンなどの非酸化性雰
囲気中で800〜1000℃の温度範囲での焼成によっ
て、相対密度95%以上まで緻密化することができる。
【0021】このようにして作製される高周波用磁器
は、少なくともZnおよびSiを含むウイレマイト結晶
相を含み、さらには、少なくともZnおよびTiを含む
スピネル型結晶相、少なくともZnおよびTiを含むイ
ルメナイト型結晶相、TiO2結晶相およびSiO2
晶相のうちの少なくとも1種を含む。
【0022】例えば、図1および図2に示されるような
組織構造を有する。図1は、少なくともZnおよびTi
を含むスピネル型結晶相1と、少なくともZnおよびS
iを含むウイレマイト結晶相2と、少なくともZnおよ
びTiを含むイルメナイト型結晶相4と、非晶質の粒界
相3とから構成される。図2は、少なくともZnおよび
Tiを含むスピネル型結晶相1と、少なくともZnおよ
びSiを含むウイレマイト結晶相2と、少なくともZn
およびTiを含むイルメナイト型結晶相4と、TiO2
相5と、SiO2 相6と、非晶質の粒界相3とから構成
される。
【0023】イルメナイト型結晶とは、FeTiO3
代表される三方格子に属する結晶構造を呈し、本発明の
磁器では、前記FeがZnに置き換わったものと推定さ
れる。また、ウイレマイト結晶相は、Zn2 SiO4
推定される。
【0024】このように本発明によれば、磁器中に、少
なくともZnおよびSiを含むウイレマイト型結晶相、
さらには、少なくともZnおよびTiを含むイルメナイ
ト型結晶相、少なくともZnおよびTiを含むスピネル
型結晶相、TiO2 結晶相およびSiO2 結晶相のうち
の少なくとも1種を析出させることにより、比誘電率を
5〜80の間で調整でき、低い誘電損失を得ることがで
きるのである。
【0025】なお、上記非晶質の粒界相3は、焼結助剤
としてB2 3 を用いた第1の形態の場合には、Znお
よびBを含み、焼結助剤としてSiO2 およびB2 3
を含むガラスを用いた第2の形態の場合には、Si、Z
nおよびBを含むものから構成される。
【0026】なお、本発明の第2の形態において用いる
SiO2 、B2 3 を含むガラスとしては、一般にホウ
ケイ酸系ガラス、ホウケイ酸亜鉛系ガラス、ホウケイ酸
鉛ガラスなどが挙げられるが、特にSiO2 を5〜80
重量%、B2 3 を4〜50重量%の割合でそれぞれ含
み、他の成分としてAl2 3 を30重量%以下、アル
カリ金属酸化物を20重量%以下の割合で含むものが好
適に使用され、これらの酸化物成分を所定割合で配合し
たものを溶融、冷却し、ガラス化したものが使用され
る。
【0027】また、本発明の高周波用磁器を製造する方
法としては、主成分原料として、ZnO、TiO2 の各
酸化物粉末、あるいはこれらの2種以上の複合化合物
(例えば、ZnTiO3 、Zn2 TiO4 、ZnSiO
3 、Zn2 SiO4 )など、さらには、酸化物以外に焼
結過程で酸化物を形成し得る炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩等
の形態で用いることができる。この主成分原料は、それ
ら金属の原子比が上記主成分組成を満足するように秤量
混合される。
【0028】本発明の第1の形態に基づくと、上記の主
成分原料に対して、焼結助剤としてB2 3 粉末あるい
は焼結過程で酸化物を形成し得るB2 3 、H2
3 、BN、B4 C等をB2 3 として、主成分原料8
0〜99.95重量%、B2 30.05〜20重量%
となるように添加混合する。
【0029】また、本発明の第2の形態に基づくと、上
記の主成分原料に対して、焼結助剤として前述したよう
なSiO2 、B2 3 を含むガラス粉末を、主成分原料
70〜99.9重量%、SiO2 、B2 3 を含むガラ
ス0.1〜30重量%となるように添加混合する。
【0030】なお、上記原料粉末は、分散性を高め安定
した誘電率や低い誘電損失を得るために平均粒径がいず
れも2.0μm以下、特に1.0μm以下の微粉末であ
ることが望ましい。
【0031】次に、上記のような割合で添加混合した混
合粉末に適宜バインダ−を添加した後、例えば、金型プ
レス、冷間静水圧プレス、押し出し成形、ドクターブレ
ード法、圧延法等により任意の形状に成形後、空気中な
どの酸化性雰囲気中で800℃〜1000℃、特に90
0〜1000℃の温度で0.1〜5時間焼成することに
より相対密度95%以上に緻密化することができる。こ
の時の焼成温度が800℃より低いと、磁器が十分に緻
密化せず、1000℃を越えると緻密化は可能である
が、銀などの導体と同時焼成ができなくなる。因みに、
同時焼成時に、銀を用いる場合には非酸化性または酸化
性雰囲気で焼成することが必要である。
【0032】本発明の上記方法によれば、Zn、Tiお
よびSiからなる複合酸化物とB23 、またはSiO
2 、B2 3 を含むガラスを組み合わせることにより、
複合酸化物から生成するZnを主とする液相とB(ホウ
素)成分のより活性な液相反応が生じる結果、少ない焼
結助剤量で磁器を緻密化することができる。そのため
に、誘電損失を増大させる要因となる粒界の非晶質相の
量を最小限に押さえることができる。このため高周波領
域においてより低い誘電損失を得ることができるのであ
る。
【0033】また、本発明における磁器組成物は、80
0〜1000℃で焼成可能であることから、特に銀など
を配線とする配線基板の絶縁基板として用いることがで
きる。かかる磁器組成物を用いて配線基板を作製する場
合には、例えば、上記のようにして調合した混合粉末を
公知のテープ成形法、例えばドクターブレード法、圧延
法等に従い、絶縁層形成用のグリーンシートを作製した
後、そのシートの表面に配線回路層用として、銀、金の
うちの少なくとも1種の金属、特に、銀粉末を含む導体
ペーストを用いて、グリーンシート表面に配線パターン
にスクリーン印刷法、グラビア印刷法等によって回路パ
ターン状に印刷し、場合によってはシートにスルーホー
ルやビアホール形成後、上記導体ペーストを充填する。
その後、複数のグリーンシートを積層圧着した後、上述
した条件で焼成することにより、配線層と絶縁層とを同
時に焼成することができる。
【0034】以下、本発明を次の例で説明する。
【0035】
【実施例】
実施例1 平均粒径が1μm以下のB2 3 、平均粒径が1μm以
下のZn2 TiO4 、Zn2 SiO4 、TiO2 、Si
2 を表1、2の組成に従い混合した。そして、この混
合物に有機バインダー、可塑剤、トルエンを添加し、ド
クターブレード法により厚さ300μmのグリーンシー
トを作製した。そして、このグリーンシートを5枚積層
し、50℃の温度で100kg/cm2 の圧力を加えて
熱圧着した。一部の組成について得られた積層体を水蒸
気含有/窒素雰囲気中で、500〜700℃で脱バイン
ダーした後、大気中で表1、2の条件において焼成して
多層基板用磁器を得た。
【0036】得られた焼結体について誘電率、誘電損失
を以下の方法で評価した。測定は、形状直径1〜5m
m、厚み2〜3mmの試料を切り出し、60GHzにて
ネットワークアナライザー、シンセサイズドスイーパー
を用いて誘電体円柱共振器法により行った。測定では、
NRDガイド(非放射性誘電体線路)で、誘電体共振器
の励起を行い、TE021,TE031モードの共振特
性より誘電率、誘電損失を算出し結果を表1、2に示し
た。また、焼結体に対してX線回折測定を行い、結晶相
を同定し表1に示した。なお、表中の不等号はピーク強
度比の大小を示すものである。
【0037】また、比較例として、Zn2 TiO4 、Z
2 SiO4 に代わり、BaTiO3 、Al6 Si2
13(ムライト) を用いて同様に焼結体を作製し評価した
(試料No.38、39)。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】表1、2の結果から明らかなように、結晶
相として、ウイレマイト結晶相(Zn2 SiO4 )、あ
るいはスピネル型結晶相(Zn2 TiO4 )が主として
析出した本発明の磁器は、いずれも誘電率が5から80
で調整可能で、60GHzでの誘電損失が30×10-4
以下の優れた特性値を示し、800〜1000℃で焼結
することができた。なお、本発明品の磁器の結晶粒界相
をX線マイクロアナライザーによって分析した結果、い
ずれも粒界相中からZnおよびB元素が検出された。
【0041】これに対して、B2 3 量が0.05重量
%未満である試料No.32では、焼成温度を1300℃
まで高めないと緻密化することができず、本発明の目的
に適さないものであった。一方、B2 3 量が20重量
%を越える試料No.15、28、37は液相量が多いた
め、誘電損失が増大し60GHzにおいて誘電特性が評
価できなかった。
【0042】また、Znに対して(Ti+Si)の比率
が少ない(3.5<n)試料No.11では過剰なZnO
相が析出し、このため誘電損失が増大し60GHzにお
いて誘電特性が評価できなかった。Znに対して(Ti
+Si)の比率が多い(n<0.14)試料No.15で
はB2 3 量を20重量%を越えて添加しないと磁器を
緻密化することができず、B2 3 を20重量%を越え
て添加すると、液相が過剰となり磁器の誘電損失が増大
した。
【0043】また、比較例として、BaTiO3 やAl
6 Si2 13(ムライト) を用いた試料No.38、39
では誘電損失が高く60GHzでは測定不可能であっ
た。
【0044】実施例2 平均粒径が1μm以下の表3に示すガラス粉末、平均粒
径が1μm以下のZn2 TiO4 を表4、5の組成に従
い混合した。そして、この混合物を用いて実施例1と同
様にしてグリーンシートを作製した。そして、このグリ
ーンシートを5枚積層し、50℃の温度で100kg/
cm2 の圧力を加えて熱圧着した。一部の組成について
得られた積層体を水蒸気含有/窒素雰囲気中で、500
〜700℃で脱バインダーした後、乾燥窒素中で表4、
5の条件において焼成して多層基板用磁器を得た。ま
た、他の組成について積層体を大気中、500〜700
℃で脱バインダーした後、大気中で表4、5の条件にお
いて焼成して多層基板用磁器を得た。得られた焼結体に
ついて、X線回折測定を行い、また、実施例1と同様な
方法で誘電率、誘電損失を評価し結果を表4、5に示し
た。
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】
【0048】表4、5の結果から明らかなように、結晶
相として、ウイレマイト結晶相(Zn2 SiO4 )、あ
るいはスピネル型結晶相(Zn2 TiO4 )が主として
析出した本発明の磁器は、いずれも誘電率が5〜80、
60GHzでの誘電損失が30×10-4以下の優れた特
性値を示し、800〜1000℃で焼結することができ
た。なお、本発明品の磁器の結晶粒界相をX線マイクロ
アナライザーによって分析した結果、いずれも粒界相中
から、ZnおよびB元素が検出された。
【0049】これに対して、ガラス量が0.1重量%未
満である試料No.65では、焼成温度を1300℃まで
高めないと緻密化することができず、本発明の目的に適
さないものであった。一方、ガラス量が30重量%を越
える試料No.70は液相量が多いため、誘電損失が増大
し60GHzにおいて誘電特性が評価できなかった。
【0050】また、Znに対して(Ti+Si)の比率
が少ない(n>3.5)試料No.75では過剰なZnO
相が析出し、このため誘電損失が増大し60GHzにお
いて誘電特性が評価できなかった。Znに対して(Ti
+Si)の比率が多い(n<0.14)試料No.72で
は磁器の誘電損失が増大し測定できなかった。
【0051】実施例3 各種の磁器について、直径1〜30mm、厚み2〜15
mmの円柱サンプルa)を作製し、誘電損失の周波数と
の関係について測定し図3に示した。図3において、
1、2は、上記実施例1中のNo.7、14の磁器、3は
上記実施例2中のNo.41の磁器、また比較として、4
は、汎用品のコージェライト系ガラスセラミックス(硼
珪酸ガラス75重量%、Al2 3 25重量%)、5は
汎用のアルミナ磁器(Al2 3 95重量%、CaO、
MgO5重量%)である。各磁器について、1GHz、
10GHz、20GHz、30GHzおよび60GHz
の高周波、マイクロ波、ミリ波領域において、誘電体円
柱共振器法により誘電損失を測定した。
【0052】図3の結果、汎用品のガラスセラミックス
は低周波領域において誘電損失は低いが、高周波領域に
なるに従い特性が劣化してしまい30GHz以上では2
0×10-4を越えてしまう。また、汎用のアルミナ磁器
も60GHzで40×10-4と高くなった。一方、本発
明の1、2、3は、60GHzでの高周波領域において
も誘電損失は20×10-4以下と低いものであった。
【0053】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の高周波用磁
器組成物は、800〜1000℃の温度で緻密化できる
ことから、銀などの配線と同時に焼成することができ
る。しかも、上記組成物を焼成して得られる磁器は、3
0GHz以上の高周波帯において低い誘電損失を示すた
めに、マイクロ波、ミリ波用回路素子等において低損失
化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高周波用磁器の組織の一例を示す概略
図である。
【図2】本発明の高周波用磁器の組織の他の例を示す概
略図である。
【図3】本発明の磁器と従来の磁器との誘電損失tan
δと周波数f0 との関係を示した図である。
【符号の説明】
1 スピネル型結晶相(SP) 2 ウイレマイト結晶相(ZS) 3 粒界相(G) 4 イルメナイト型結晶相(I) 5 TiO2 相(T) 6 SiO2 相(S)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくともZn、TiおよびSiを含み、
    該金属の原子比による組成を nZn・(Ti1-y Siy ) と表した時、0<y<1.0、0.14≦n≦3.5を
    満足する複合酸化物からなる主成分80〜99.95重
    量%と、B2 3 0.05〜20重量%とからなること
    を特徴とする高周波用磁器組成物。
  2. 【請求項2】少なくともZn、TiおよびSiを含み、
    該金属の原子比による組成を nZn・(Ti1-y Siy ) と表した時、0<y<1.0、0.14≦n≦3.5を
    満足する複合酸化物からなる主成分70〜99.9重量
    %と、少なくともSiO2 、B2 3 を含むガラス0.
    1〜30重量%とからなることを特徴とする高周波用磁
    器組成物。
  3. 【請求項3】少なくともZnおよびSiを含むウイレマ
    イト結晶相を含むことを特徴とする請求項1または請求
    項2記載の高周波用磁器組成物。
  4. 【請求項4】少なくともZnおよびTiを含むスピネル
    型結晶相、少なくともZnおよびTiを含むイルメナイ
    ト型結晶相、TiO2 結晶相およびSiO2 結晶相のう
    ちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項3記
    載の高周波用磁器組成物。
  5. 【請求項5】30〜60GHzでの誘電率(εr)が5
    〜80であり、且つ誘電損失が30×10-4以下である
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記
    載の高周波用磁器組成物。
  6. 【請求項6】少なくともZn、TiおよびSiを含み、
    該金属の原子比による組成を nZn・(Ti1-y Siy ) と表した時、0<y<1.0、0.14≦n≦3.5を
    満足する複合酸化物からなる主成分80〜99.95重
    量%と、B2 3 0.05〜20重量%とからなる組成
    物を所定形状に成形後、800〜1000℃の酸化性雰
    囲気中で焼成することを特徴とする高周波用磁器の製造
    方法。
  7. 【請求項7】少なくともZn、TiおよびSiを含み、
    該金属の原子比による組成を nZn・(Ti1-y Siy ) と表した時、0<y<1.0、0.14≦n≦3.5を
    満足する複合酸化物からなる主成分70〜99.9重量
    %と、少なくともSiO2 およびB2 3 を含むガラス
    0.1〜30重量%とからなる組成物を所定形状に成形
    後、800〜1000℃の酸化性雰囲気中で焼成するこ
    とを特徴とする高周波用磁器の製造方法。
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