JP3833340B2 - 低温焼成磁器組成物、低温焼成磁器および低温焼成磁器の製造方法 - Google Patents

低温焼成磁器組成物、低温焼成磁器および低温焼成磁器の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層配線基板等に適した低温焼成磁器組成物に関するものであり、例えば集積回路(IC)や電子部品を多層に積層し、焼成してなる銅配線可能な低温焼成磁器組成物と、磁器の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
近年、高度情報化時代を迎え、情報伝送はより高速化・高周波化が進行する傾向にある。自動車電話やパーソナル無線等の移動無線、衛星放送、衛星通信やCATV等のニューメディアでは、機器のコンパクト化が推し進められており、これに伴い誘電体共振器等のマイクロ波用回路素子やマイクロ波用回路基板に対しても小型化が強く望まれている。
【0003】
このようなマイクロ波用回路素子の大きさは、使用電磁波の波長が基準となる。比誘電率εrの誘電体中を伝播する電磁波の波長λは、真空中の伝播波長をλとするとλ=λ/(εr)1/2となる。したがって、回路素子は、使用される回路用基板の誘電率が大きい程、小型になる。
【0004】
さらに、回路基板に種々の電子部品や入出力端子等を接続する工程上で基板に加わる応力から基板が破壊したり、欠けを生じたりすることを防止する為に材料の機械的強度が高いことも要求されている。
【0005】
よって、上述した高誘電率化および高強度化等の要求を満足するため、例えば、特開平6−132621号公報に示すように、樹脂中に無機誘電体粒子を分散したものや、特開平6−260035号公報に示されるように、高誘電率フィラーとガラスとの複合材料からなるガラスセラミック基板材料からなるが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平6−132621号公報に示された回路基板では、焼成温度が400℃程度であり銅等を配線導体として用いての多層化、微細な配線化ができないという問題があった。
【0007】
また従来のガラスセラミック材料は、銅等の低抵抗金属との同時焼成が可能であり、また多層化も可能であるが、そのほとんどが誘電率が8より低い低誘電率のものであり、機器の小型化のための高誘電率化の点では満足すべき特性は得られていない。また、従来のガラスセラミックスは、1000℃以下での焼成が可能である反面、このような低温焼成を可能とするためには、少なくとも高価なガラスを30重量%以上配合する必要とするために、得られる磁器の特性がガラスの性質に大きく依存してしまい、フィラーの特性が活かせなかったり、高コストとなるなどの問題があった。
【0008】
従って、本発明は、金、銀、銅を配線導体として多層化が可能となるように800〜1000℃で焼成されるとともに、比誘電率が高く、かつ高強度の低温焼成磁器組成物と、磁器の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【問題点を解決するための手段】
本発明者等は、上記問題点を鋭意検討した結果、ZnおよびTiを特定組成で含む酸化物に対して、焼結助剤としてB、または少なくともSiO、Bを含むガラスを特定比率で添加することにより酸化物中から生成するZnを主とする液相とB(ホウ素)成分による液相反応が生じ、僅かな助剤量により、800〜1000℃の温度で焼成でき、しかも焼成によって、結晶相として、上記酸化物の分解反応によってTiO結晶相を析出させることにより高い比誘電率を得ることができ、また上記分解反応によって生じたZnとAlおよびSiとを反応させ、少なくともZnおよびSiを含むウレマイト型結晶相、少なくともZnおよびAlを含むガーナイト結晶相を析出させることにより、高い抗折強度を達成することができることを知見し、本発明に至った。
【0010】
即ち、本発明の低温焼成磁器組成物は、ZnとTiとの酸化物であってZnとTiとの原子比による組成をZn・xTiと表したとき、0.3≦x≦8を満足する酸化物30〜97重量%と、AlおよびSiを酸化物換算による合量で3〜70重量%とからなる主成分100重量部に対して、Bを0.5〜10重量部の割合で添加してなることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の他の低温焼成磁器組成物は、ZnとTiとの酸化物であってZnとTiとの原子比による組成をZn・xTiと表したとき、0.3≦x≦8を満足する酸化物30〜97重量%と、AlおよびSiを酸化物換算による合量で3〜70重量%からなる主成分100重量部に対して、少なくともSiO、Bを含むガラスを1〜20重量部の割合で添加してなることを特徴とする。
【0012】
また、上記組成物から得られる低温焼成磁器においては、何れもTiO結晶相と、少なくともZnおよびSiを含むウレマイト型結晶相、少なくともZnおよびAlを含むガーナイト型結晶相を含むことを特徴とするものであり、特性上は比誘電率が8以上、抗折強度250MPa以上の優れた特性を有するものである。
【0013】
また、本発明の磁器の製造方法は、前記の組成物を所定形状に成形後、800〜1000℃で焼成することを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の形態の低温焼成磁器組成物によれば、主成分がZnとTiとの酸化物30〜97重量%と、AlおよびSiを酸化物換算による合量で3〜70重量%とからなることが大きな特徴である。
【0015】
ここで、ZnとTiとの酸化物の量が30重量%よりも少ないか、言い換えるとAlおよびSiの酸化物換算による合量が70重量%よりも多いと、磁器の比誘電率が8より低くなり、ZnとTiとの酸化物の量が97重量%よりも多いか、言い換えるとAlおよびSiの酸化物換算による合量が3重量%よりも少ないと、強度の向上効果が小さく、抗折強度が250MPa以下となる。望ましい組成は、ZnとTiとの酸化物が40〜90重量%、AlとSiの酸化物換算による合量が10〜60重量%である。
【0016】
また、本発明によれば、上記のZnとTiとの酸化物は、ZnとTiとの原子比による組成をZn・xTiと表したとき、0.3≦x≦8を満足するものである。ここで、上記の酸化物のZnとTiとの原子比率を示すxにおいて、xが0.3よりも小さいとZnO相が過剰となり誘電特性が劣化し、xが8を超えるとTiO相が過剰となり焼結性が低下し、B量を10重量部以上添加しないと磁器が緻密化しなくなる。xの望ましい範囲は、0.5≦x≦1.5である。
【0017】
また、上記の主成分に対して、焼結助剤となるBの添加量を上記のように限定したのは、Bの添加量が0.5重量部よりも少ないと、800〜1000℃の温度で十分に緻密化する事ができず、作製される磁器の誘電率が低下し、また抗折強度が低下する。逆に、Bの添加量が10重量部よりも多いと、700℃以下の低温で液相が流出し磁器の形状を損ない製品形状を保てなくなり、また磁器特性の点から誘電率は8よりも小さくなり、また液相が増加し、抗折強度が低下する。望ましいBの添加量は1〜10重量部である。
【0018】
また、本発明の第2の発明によれば、前記ZnとTiとの酸化物を30〜97重量%と、AlおよびSiを酸化物換算による合量で3〜70重量%とからなる主成分100重量部に対して、少なくともSiO、B 含むガラスを1〜20重量部の割合で添加してなる。
【0019】
ここで、ZnとTiとの酸化物の量が30重量%よりも少ないか、言い換えるとAlおよびSiの酸化物換算による合量が70重量%よりも多いと、磁器の比誘電率が8より低くなり、ZnとTiとの酸化物の量が97重量%よりも多いか、言い換えるとAlおよびSiの酸化物換算による合量が3重量%よりも少ないと、強度の向上効果が小さく、抗折強度が250MPa以下となる。望ましい組成は、ZnとTiとの酸化物が40〜90重量%、AlとSiの酸化物換算による合量が10〜60重量%である。
【0020】
また、本発明によれば、上記のZnとTiとの酸化物は、ZnとTiとの原子比による組成をZn・xTiと表したとき、0.3≦x≦8を満足するものである。ここで、上記の酸化物のZnとTiとの原子比率を示すxにおいて、xが0.3よりも小さいとZnO相が過剰となり誘電特性が劣化し、xが8を超えるとTiO相が過剰となり焼結性が低下し、B量を10重量部以上添加しないと磁器が緻密化しなくなる。xの望ましい範囲は、0.5≦x≦1.5である。
【0021】
また、上記の主成分に対して、焼結助剤となるSiO、Bを含むガラスの添加量を上記のように限定したのは、ガラスの添加量が1重量部よりも少ないと、800〜1000℃の温度で十分に緻密化する事ができず、作製される磁器の誘電率が低下し、また抗折強度が低下する。逆に、ガラスの添加量が20重量部よりも多いと、700℃以下の低温で液相が流出し磁器の形状を損ない製品形状を保てなくなり、また磁器特性の点から誘電率は8よりも小さくなり、また液相が増加し、抗折強度が低下する。望ましいガラスの添加量は2〜20重量部である。
【0022】
また、本発明の低温焼成磁器は、前記第1および第2の形態のいずれも酸化性雰囲気下および非酸化性雰囲気下で、800〜1000℃の温度範囲での焼成によって相対密度95%以上にまで緻密化できる。この焼成時にZnおよびTi酸化物の一部あるいは全量が分解してAlおよびSiと反応する結果、TiO結晶相、ZnとSiを含むウレマイト型結晶相、ZnとAlを含むガーナイト結晶相が析出すると考えられる。
【0023】
その結果、本発明の低温焼成磁器組成物の焼成後の組織は図1に示すようになる。図1に示すように、本発明の低温焼成磁器組成物は、TiO結晶相1と、少なくともZnおよびSiを含むウレマイト型結晶相2、少なくともZnおよびAlを含むガーナイト結晶相3、非晶質の粒界相4とから構成されている。
【0024】
さらに、場合によっては、図1の組織に対して、少なくともZnおよびTiを含むスピネル型結晶相、少なくともZnおよびTiを含むイルメナイト型結晶相、ZnO結晶相、Al結晶相、SiO結晶相のうちの1種以上の結晶相が析出する場合がある。
【0025】
このように本発明によれば、焼結体中にTiO結晶相、ZnとSiを含むウレマイト型結晶相、ZnとAlを含むガーナイト結晶相を存在させ、さらに場合によっては、ZnとTiを含むスピネル型結晶相、ZnおよびTiを含むイルメナイト型結晶相、ZnO結晶相、Al結晶相、SiO結晶相を具備させることにより、比誘電率を8以上に向上することができると同時に、抗折強度が250MPa以上の高強度を示す低温焼成磁器を得ることができる。
【0026】
なお、上記非晶質の粒界相4は、焼結助剤としてBを用いた第1の形態の場合には、少なくともZnおよびBを含み、焼結助剤としてSiOおよびBを含むガラスを用いた第2の形態の場合には、少なくともSi、ZnおよびBを含むものから構成される。
【0027】
なお、本発明の第2の形態において用いるSiO、Bを含むガラスとしては、一般にホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸亜鉛ガラス、ホウケイ酸鉛ガラス等が挙げられるが、特にSiOを5〜80重量%、Bを4〜50重量%の割合でそれぞれ含み、他の成分としてAlを30重量%以下、アルカリ金属酸化物を20重量%以下の割合で含むものが好適に使用され、これらの酸化物成分を所定割合で配合したものを溶融、冷却し、ガラス化したものが使用される。
【0028】
次に、本発明において、上記低温焼成磁器組成物を用いて磁器を製造するには、ZnとTiとの酸化物を形成する出発原料として、ZnO、TiOの各酸化物粉末、あるいはこれらの2種の複合酸化物(例えば、ZnTiO)など、さらには上記の酸化物以外に焼結過程で酸化物を形成し得る化合物である炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩等を用いる。
【0029】
また、AlおよびSi酸化物を形成する出発原料として、Al、SiOの各酸化物粉末、あるいはこれらの2種の複合酸化物であるムライト等の粉末、さらには上記の酸化物以外に焼結過程で酸化物を形成し得る化合物であるAlおよびSiの炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩等を用いる。
【0030】
上記主成分原料は、それら金属の原子比が上記主成分組成を満足するように秤量混合される。本発明の第1の形態に基づくと、上記の主成分原料100重量部に対して、焼結助剤としてB粉末あるいは焼結過程で酸化物を形成し得る化合物であるB、HBO等をBとして0.5〜10重量部となるように秤量し、添加混合する事によって本発明の組成物が得られる。
【0031】
本発明の第2の形態に基づくと、上記の主成分原料100重量部に対して、焼結助剤として前述したSiO、Bを含むガラス粉末を1〜20重量部となるように秤量し、添加混合する事によって本発明の組成物が得られる。
【0032】
なお、上記第1および第2の形態においては、いずれの場合においても、用いる原料粉末は、分散性を高め高い比誘電率や高強度を得るために、いずれも平均粒径がいずれも2.0μm以下、特に1.0μm以下の微粉末で有あることが望ましい。
【0033】
次に、上記のような割合で添加混合した組成物に適宜、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコールなどのアルコール系樹脂、ポリビニルブチラールなどのブチラール系樹脂等の成形用バインダーを添加した後、例えば、金型プレス、冷間静水圧プレス、押し出し成形、ドクターブレード法、圧延法等により任意の形状に成形する。そして、その成形体をN、Ar等の非酸化性雰囲気中、または空気中等の酸化性雰囲気中で800〜1000℃の温度で0.5〜5時間焼成することにより相対密度95%以上に緻密化することができる。この時の焼成温度が800℃よりも低いと磁器が十分に緻密化せず、1000℃を超えると緻密化は可能であるが、銅、銀等の導体と同時焼成ができなくなる。因みに、同時焼成時に導体として銅を用いる場合には焼成雰囲気を非酸化性雰囲気とし、銀を用いる場合には非酸化性または酸化性雰囲気下で焼成することが必要である。
【0034】
本発明の上記方法によれば、ZnおよびTiから成る酸化物とBあるいは、SiO、Bを含むガラスを組み合わせることにより、酸化物から生成するZnを主体とする液相とB(ほう素)成分との活性な液相反応が生じる結果、少ない焼結助剤量で磁器を緻密化することができる。そのために、比誘電率を低下させる非晶質相の量を最小限に抑えることができるため、高い比誘電率を得ることができる。また、ガーナイト相、ウレマイト相を析出させることによって、系全体のヤング率が向上する結果、抗折強度が向上する。さらに、微細なガーナイト相を析出させることによって、クラックの偏向がおこり破壊エネルギーが増大する結果、靭性の向上するのにともなって抗折強度が向上する。
【0035】
また、本発明における磁器組成物は、800〜1000℃で焼成可能であることから、特に金、銀、銅などを配線導体として用いる配線基板として用いることができる。かかる低温焼成磁器組成物を用いて配線基板を作製する場合には、例えば、上記のようにして調合した混合粉末を公知のテープ成形法、例えばドクターブレード法、圧延法等に従い、絶縁層形成用のグリーンシートを作製した後、そのシートの表面に配線層用のメタライズとして、銀、金や銅の粉末、特に銅粉末を含む金属ペーストを用いて、シート表面に配線パターンにスクリーン印刷し、場合によってはシートにスルーホールを形成してホール内に上記ペーストを充填する。その後、複数のシートを積層圧着した後、上述した条件で焼成することにより、配線層と絶縁層とを同時に焼成することができる。
【0036】
【実施例】
実施例1平均粒径がそれぞれ1μm以下のZnO粉末、TiO粉末、ムライト粉末および平均粒径が1μm以下のB粉末を用いて表1の組成に従い評量、混合した。
【0037】
そして、この混合物に有機バインダー、可塑剤、トルエンを添加し、ドクターブレード法により厚さ300μmのグリーンシートを作製した。そして、このグリーンシートに密着液を塗布して5枚積層し、55℃の温度で50kg/cmの圧力を加えて圧着した。得られた積層体を水蒸気含有/窒素雰囲気中で、700℃で脱バインダーした後、乾燥窒素中で表1の条件において焼成して低温焼成磁器を得た。
【0038】
得られた低温焼成磁器について誘電率、抗折強度を以下の方法で評価した。誘電率は、試料形状 直径50mm、厚み1mmの試料を切り出し、3.0GHzにてネットワークアナライザー、シンセサイズドスイーパーを用いて空洞共振器法により測定した。測定では、サファイヤを充填した円筒空洞共振器の間に試料の誘電体基板を挟んで測定し、共振器のTE011モードの共振特性より、誘電率を算出した。抗折強度は、JISR1601に準じて3点曲げ試験を行った。測定の結果は表1、2に示した。また、焼結体に対してX線回折測定を行い、結晶相を同定し、表1に示した。なお、表中の不等号はピーク強度の大小を示す。
【0039】
【表1】
Figure 0003833340
【0040】
【表2】
Figure 0003833340
【0041】
表1、表2の結果から明らかなように、TiO結晶相、ガーナイト(ZnAlO)結晶相、ウレマイト(ZnSiO)結晶相が析出し、さらに場合によって、スピネル(ZnTiO)型結晶相、イルメナイト(ZnTiO)型結晶相、Al結晶相、SiO結晶相のうちの1種以上が析出した本発明の低温焼成磁器は、いずれも誘電率が8以上を示すと同時に、抗折強度が250MPa以上を示すものであった。なお、本発明の磁器の粒界相をX線マイクロアナライザーによって分析した結果、いずれも粒界相中からZnおよびBが検出された。
【0042】
これに対して、ZnとTiとの比率xが0.3よりも小さい試料No.1では、比誘電率が8よりも低く、xが8よりも大きい試料No.9では、Bを10重量%配合しても1000℃で焼成することができなかった。また、SiO、Alの合計量が3重量%よりも少ない試料No.10では、抗折強度が低く、70重量%よりも多い試料No.17では、比誘電率が低いものであった。
【0043】
さらに、B量が0.5重量部よりも少ない試料No.18では、1000℃での緻密化ができず、10重量部を越える試料No.24では、液相が流出し測定不可能となった。
【0044】
実施例2平均粒径がそれぞれ1μm以下のZnO粉末、TiO粉末、ムライト粉末およびSiO10.4重量%−B45.3重量%−Al2.5重量%−ZnO35.2重量%−NaO6.6重量%の組成からなるガラスA、SiO9.5重量%−B44重量%−Al4.5重量%−ZnO33.5重量%−KO8.5重量%の組成からなるガラスBを用いて、表2の組成に従い評量、混合した。この混合物を実施例1と同様にして、低温焼成磁器を得た。また、得られた低温焼成磁器について、実施例1と全く同様な方法で、X線回折測定、誘電率、抗折強度を評価した。結果は、表3、4に示した。
【0045】
【表3】
Figure 0003833340
【0046】
【表4】
Figure 0003833340
【0047】
表3、4の結果から明らかなように、TiO結晶相、ガーナイト(ZnAlO)結晶相、ウレマイト(ZnSiO)結晶相が析出し、さらに場合によって、スピネル(ZnTiO)型結晶相、イルメナイト(ZnTiO)型結晶相、Al結晶相、SiO結晶相のうちの1種以上が析出した本発明の低温焼成磁器は、いずれも誘電率が8以上を示すと同時に、抗折強度が250MPa以上を示すものであった。なお、本発明の磁器の粒界相をX線マイクロアナライザーによって分析した結果、いずれも粒界相中からZnおよびBが検出された。
【0048】
これに対して、ZnとTiとの比率xが0.3よりも小さい試料No.35では比誘電率が8より小さく、xが8よりも大きい試料No.43ではガラス量を20重量部配合しても1000℃で焼成することができなかった。また、SiO、Alの合計量が3重量%よりも少ない試料No.44では抗折強度が低く、70重量%よりも多い試料No.51では比誘電率が低いものであった。
【0049】
さらに、ガラス量が1重量部よりも少ない試料No.52では、1000℃での緻密化ができず、20重量部を越える試料No.56では、液相が流出し測定不可能となった。
【0050】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の低温焼成磁器組成物から得られる低温焼成磁器は、高い誘電率と強度を有するために、マイクロ波用回路素子等において小型化が可能となり、さらに、基板材料の高強度化により入出力端子部に施すリードの接合や実装における基板の信頼性を向上できる。しかも、800〜1000℃で焼成されるため、Au、Ag、Cu等による配線を同時焼成により形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の低温焼成磁器組成物の組織の概略図である。
【符号の説明】
1・・・TiO結晶相(T)
2・・・ウイレマイト結晶相(U)
3・・・ガ−ナイト型結晶相(G)
4・・・非晶質相(A)

Claims (6)

  1. ZnとTiとの酸化物でありZnとTiとの原子比による組成をZn・xTiと表したとき、0.3≦x≦8を満足する酸化物を30〜97重量%と、AlおよびSiを酸化物換算による合量で3〜70重量%とからなる主成分100重量部に対して、Bを0.5〜10重量部の割合で添加してなることを特徴とする低温焼成磁器組成物。
  2. ZnとTiとの酸化物でありZnとTiとの原子比による組成をZn・xTiと表したとき、0.3≦x≦8を満足する酸化物を30〜97重量%と、AlおよびSiを酸化物換算による合量で3〜70重量%とからなる主成分100重量部に対して、少なくともSiO、B 含むガラスを1〜20重量部の割合で添加してなることを特徴とする低温焼成磁器組成物。
  3. 請求項1または請求項2記載の低温焼成磁器組成物から得られ、少なくともZnおよびAlを含むガーナイト型結晶相と、少なくともZnおよびSiを含むウレマイト型結晶相と、TiO結晶相を含むことを特徴とする低温焼成磁器。
  4. 請求項1または請求項2記載の低温焼成磁器組成物から得られ、比誘電率(εr)が8以上、抗折強度250MPa以上であることを特徴とする低温焼成磁器。
  5. ZnとTiとの酸化物でありZnとTiとの原子比による組成をZn・xTiと表したとき、0.3≦x≦8を満足する酸化物を30〜97重量%と、AlおよびSiを酸化物換算による合量で3〜70重量%とからなる主成分100重量部に対して、Bを0.5〜10重量部の割合で添加してなる組成物を所定形状に成形後、800〜1000℃で焼成することを特徴とする低温焼成磁器の製造方法。
  6. ZnとTiとの酸化物でありZnとTiとの原子比による組成をZn・xTiと表したとき、0.3≦x≦8を満足する酸化物を30〜97重量%と、AlおよびSiを酸化物換算による合量で3〜70重量%とからなる主成分100重量部に対して、少なくともSiO、Bを含むガラスを1〜20重量部の割合で添加してなる組成物を所定形状に成形後800〜1000℃で焼成することを特徴とする低温焼成磁器の製造方法。
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