JPH10324598A - 誘電体薄膜の製造方法 - Google Patents

誘電体薄膜の製造方法

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JPH10324598A
JPH10324598A JP9135403A JP13540397A JPH10324598A JP H10324598 A JPH10324598 A JP H10324598A JP 9135403 A JP9135403 A JP 9135403A JP 13540397 A JP13540397 A JP 13540397A JP H10324598 A JPH10324598 A JP H10324598A
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健二 香取
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄膜成膜時における薄膜中のビスマスの割合
が常に一定に保たれるようにビスマス量を正確に調整す
ることが可能であり、かつ成膜速度を向上させることが
できる高品質の誘電体薄膜の製造方法を提供する。 【解決手段】 スパッタリング装置10は2つのターゲ
ットホルダ12,13を備えている。ターゲットホルダ
12には金属ビスマス(Bi)の金属ターゲット14a
が、ターゲットホルダ13には酸化物ターゲット14b
がそれぞれ保持される。酸化物ターゲット14bとして
は組成式が(Sr,Ca,Ba)y (Ta,Nb)2
6 ±d (但し,0.6≦y≦1.2,0≦d≦1.0)
の酸化物が用いられる。金属ターゲット14aには直流
電源15から直流電圧が印加される。金属ターゲット1
4a上にはビスマス(Bi)のスパッタ率を低減させる
ためにカーボンチップが設置されている。酸化物ターゲ
ット14bには高周波(RF)電源16から高周波電圧
が印加される。成膜時に基板18を加熱することなく成
膜後に熱処理を施すことにより強誘電性が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、いわゆるオーリビ
リウス結晶群といわれる層状構造の誘電体薄膜の製造方
法に係り、特に強誘電体不揮発性メモリに使用して好適
な誘電体薄膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、強誘電体薄膜よりなる不揮発性メ
モリの開発が活発に行われている。それに伴い、強誘電
体薄膜の高速な分極反転とその残留分極を利用すること
により高速書き換えが可能である不揮発性ランダムアク
セスメモリ(Ferroelectric Random Access Memories;
FeRAM)のキャパシタを構成する材料として、スト
ロンチウム・ビスマス・タンタレート(SrBi2 Ta
2 9 ;以下、SBTという)および鉛(Pb),チタ
ン(Ti),ジルコニウム(Zr)を含みペロブスカイ
ト型結晶構造をもつ酸化物(PbZr1-x Tix 3
以下、PZTという)が報告されている(C. A-Paz de
Araujo, J. D. Cuchiaro, L. D. McMillan, M. C. Scot
t and J. F. Scott, Nature, 374 (1995) 627.;K. Ama
numa, T. Hase and Y. Miyasaka, Appl. Phys. Lett.,
66 (1995) 221.;S. B. Desu and D. P. Vijay, Maste
r. Sci. and Eng., B32 (1995) 75. など)。その中に
おいて、SBTは分極反転による疲労がないことから特
に注目されている。
【0003】最近では、このSBT薄膜について、Fe
RAMへの応用に向けMOD(Metal Organic Decompos
ition)法,ゾルゲル法、CVD(Chemical Vapor Depos
ition ) 法およびスパッタリング法による薄膜の作製に
成功したとの報告もなされている(T. Ami, K. Hironak
a, C. Isobe, N. Nagel, M. Sugiyama, Y. Ikeda, K.Wa
tanabe, A. Machida, K. Miura and M. Tanaka, Mater.
Res. Soc. Symp. Proc., 415 (1996) 195.;T. Li, Y.
Zhu, S. B. Desu, C-H. Peng, M. Nagata, Appl. Phy
s. Lett., 68 (1996) 616.)。
【0004】スパッタリング法によるSBT薄膜の製造
方法に関しては、SBTセラミックスターゲットを用い
るものが報告されている(ラムトロン社,Stanly Perino
ら,米国特許No.5426075,(株)NEC, 第57回応用物
理学会学術講演会, 講演予稿集,No.2 P433,9a-F-4)。し
かし、SBTセラミックスターゲットを用いた場合、タ
ーゲットの組成と成膜されたSBT薄膜の組成を比較す
ると、SBT薄膜中ではストロンチウム,ビスマスおよ
びタンタル各元素の中でビスマスが不足する傾向があ
る。成膜された薄膜中のビスマス量を調整する方法とし
ては、上述の先行技術に開示されているように、SBT
セラミックスターゲットと酸化ビスマス(Bi2 3
ターゲットを共用する方法や、あらかじめビスマスを過
多に含んだSBTターゲットを用いる方法がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、SBT
セラミックスターゲットと酸化ビスマスターゲットを共
用する方法では、投入電力を変化させて酸化ビスマスタ
ーゲットのスパッタ率を調節することにより成膜された
SBT膜中のビスマス量を調整することは可能である
が、その際、SBTターゲットからスパッタされるビス
マス量を正確にモニタリングすることが必要であり、そ
のため、薄膜中のビスマスの割合を常に一定に保つこと
は難しいという問題があった。
【0006】また、SBTをターゲット材料として用い
た場合には、ターゲットが熱で割れやすいという問題が
あった。そのために、投入電力を増加させることによっ
て成膜速度を増加させることが困難であり、結果的に成
膜速度は遅く、生産性が良くないという問題があった。
【0007】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、薄膜成膜時における薄膜中のビスマ
スの割合が常に一定に保たれるようにビスマス量を正確
に調整することが容易であり、かつ成膜速度を向上させ
ることができる高品質の誘電体薄膜の製造方法を提供す
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明による誘電体薄膜
の製造方法は、少なくともビスマス(Bi)を含む金属
ターゲットと、酸化物ターゲットとの2元のターゲット
のスパッタリングを同時に行うことにより、基板上に層
状構造の誘電体薄膜を形成するものである。
【0009】この誘電体薄膜の製造方法では、ビスマス
(Bi)を含む金属ターゲットと酸化物ターゲットとが
同時にスパッタリングされることにより基板上に薄膜が
形成されるが、これらターゲットからのスパッタ率は容
易に測定可能であり、また、一方のターゲットを熱によ
る割れに強い酸化物による酸化物ターゲットとしたの
で、スパッタリングのための投入電力を増加させること
ができ、成膜速度が向上する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。
【0011】本実施の形態では、ビスマス(Bi)と第
1の元素と第2の元素と酸素とを含むペロブスカイト型
誘電体薄膜を製造するものである。具体的には、ビスマ
スと第1の元素と第2の元素と酸素(O)とからなると
共に、第1の元素はストロンチウム(Sr)、カルシウ
ム(Ca)およびバリウム(Ba)からなる群のうちの
少なくとも1種であり、かつ第2の元素はタンタル(T
a)およびニオブ(Nb)からなる群のうち少なくとも
1種を含むもので、組成式が、 Bix (Sr,Ca,Ba)y (Ta,Nb)2 9 ±
d (但し,1.7≦x≦2.5,0.6≦y≦1.2,0
≦d≦1.0)である結晶を主成分(85%以上)とす
る誘電体薄膜を製造するものである。
【0012】この誘電体薄膜は、基本的には[Bi2
2 2+からなる層と、[(Sr,Ca,Ba)(Ta,
Nb)2 7 2-からなる層とが交互に積層された結晶
構造を有する化学量論的な組成を有しているが、その結
晶構造の一部に欠陥、すなわち、若干のビスマスおよび
タンタルもしくはニオブの酸化物または複合酸化物など
を含有するものも含まれる。
【0013】この誘電体薄膜は、図1に示したスパッタ
リング装置10により、ビスマス(Bi)を含む金属タ
ーゲットと、酸化物ターゲットとの2元のターゲットの
同時スパッタリングを行うことにより作製される。
【0014】スパッタリング装置10は、真空室(チャ
ンバ)11内の底部に2つのターゲットホルダ12,1
3を備えている。真空室11内は例えば10-6〜10-7
Torrになるように真空排気されると共に、アルゴン
(Ar)等のプラズマ発生用のガスが供給されるように
なっている。一方のターゲットホルダ12にはビスマス
(Bi)の金属ターゲット14aが、また、他方のター
ゲットホルダ13には酸化物ターゲット14bがそれぞ
れ保持されるようになっている。ターゲットホルダ12
には金属ターゲット14aの下部位置に磁界発生用の図
示しない永久磁石が内蔵されている。なお、ターゲット
ホルダ13も同様の構成となっている。
【0015】金属ターゲット14aとしては金属ビスマ
ス(Bi)が用いられる。酸化物ターゲット14bとし
ては、第1の元素と第2の元素と酸素(O)とからなる
と共に、第1の元素はストロンチウム(Sr)、カルシ
ウム(Ca)およびバリウム(Ba)からなる群のうち
の少なくとも1種であり、かつ第2の元素はタンタル
(Ta)およびニオブ(Nb)からなる群のうち少なく
とも1種を含み、かつ組成式が(Sr,Ca,Ba)y
(Ta,Nb)2 6 ±d(但し,0.6≦y≦1.
2,0≦d≦1.0)の酸化物が用いられる。
【0016】一方の金属ターゲット14aには真空室1
1の外部に配設された直流電源15から直流電圧が印加
されるようになっている。他方の酸化物ターゲット14
bには真空室11の外部に配設された交流電源としての
高周波(RF)電源16から高周波電圧が印加されるよ
うになっている。
【0017】真空室11の天井部には回転駆動部19が
設けられ、この回転駆動部19により基板ホルダ17が
回転可能に保持されている。薄膜形成用の基板18は、
この基板ホルダ17の端部に金属ターゲット14aおよ
び酸化物ターゲット14bの表面に対して傾斜するよう
に取り付けられている。金属ターゲット14aの表面に
は金属(ビスマス)のスパッタ率を低減させるための例
えばカーボンにより形成されたチップ20が複数個設置
されている。
【0018】金属ターゲット14aには直流電源15か
ら直流電圧、また、酸化物ターゲット14bには高周波
(RF)電源16から高周波電圧がそれぞれ印加される
ことにより、各ターゲットにおいてそれぞれスパッタリ
ングが同時に行われる。これら金属ターゲット14aお
よび酸化物ターゲット14bから飛び出したスパッタ粒
子が回転駆動部19によって図に矢印で示したように水
平方向に回転する基板18の表面に均一に付着する。
【0019】ところで、ターゲットとして、前述のよう
なSBTセラミックスターゲットを用いた場合、SBT
セラミックスターゲットと酸化ビスマス(Bi2 3
ターゲットを共用して2元同時のスパッタリングを行う
ことにより、薄膜中のビスマス量を調整することは可能
であるが、SBTセラミックスターゲットからスパッタ
されるビスマス量が継続的に変化してしまう。すなわ
ち、新しいSBTターゲットを使い始める際に所定のビ
スマス量に調整した場合でも、酸化ビスマスはターゲッ
ト上で不安定になることがあり、使用している間に徐々
にビスマス量が変化していき、ターゲット寿命の後期に
はビスマス量が不足して、基板に形成される薄膜の膜組
成が変化してしまうという問題がある。
【0020】これに対して本実施の形態では、同じ2元
のターゲットを用いるものであるが、一方のターゲット
としてビスマスを含まない酸化物ターゲット14bを用
いている。この酸化物ターゲット14bを用いることに
より、ビスマスのスパッタリングは金属ターゲット14
aのみからとなり、スパッタ開始時から終了時まで変化
することがなく基板18に対して常に一定の割合でビス
マスを供給できる。
【0021】また、本実施の形態では、ビスマスの金属
ターゲット14aを用いているため、電界発生用の電源
として直流電源15を用いることができる。すなわち、
本実施の形態のように2元同時スパッタリングを行う場
合には、独立にそれぞれのターゲットの電力制御を行う
ことで膜組成を制御する必要があるが、酸化物ターゲッ
ト14bには高周波電源16を要する。ここで、金属タ
ーゲット14aにも交流電源を使用し、2つの電源とも
に交流電源とした場合には、相互の入力波または反射波
が干渉し、投入電力が不安定になる場合がある。これを
避けるためには、周波数を完全に異なるものにするか、
あるいは高周波の発信器を共通のものにしなければなら
ない。しかし、本実施の形態では、金属ターゲット14
aに安価な直流電源15を用いているためこのような虞
れがなくなり、スパッタリング装置の構成が単純化され
ると共に安価になる。
【0022】また、本実施の形態では、他方のターゲッ
トとして組成式が(Sr,Ca,Ba)y (Ta,N
b)2 6 ±d (但し,0.6≦y≦1.2,0≦d≦
1.0)の耐熱性に優れた酸化物ターゲット14bを用
いている。従って、この酸化物ターゲット14bは従来
のターゲットに比べて加熱により割れる確率が非常に小
さくなり、高周波電源16による投入電力を増加させる
ことができる。そのため、誘電体薄膜の生成が高速に行
われ、生産性が向上する。
【0023】更に、ストロンチウム,カルシウムおよび
バリウム各元素は、金属単体としては不安定であり、か
つ大気中では酸化してしまうため、金属ターゲットとし
て扱うことは望ましくない。加えて、これら各金属は金
属ターゲットとしての剛性も備えていない。また、スト
ロンチウム,カルシウムおよびバリウムの酸化物も不安
定であり、大気中においては二酸化炭素あるいは水分と
反応してそれぞれ炭酸塩,水酸化物となるため、ストロ
ンチウム,カルシウムおよびバリウム各元素は、その酸
化物としてターゲットに用いることも望ましくない。し
かし、本実施の形態のように、(Sr,Ca,Ba)
(Ta,Nb)2 6 の形ではいずれの元素も安定であ
り、ターゲットとしての剛性も備えている。
【0024】ところで、一般に、2元同時スパッタリン
グにより薄膜を製造する場合、例えばランプまたはヒー
タを用いて基板を加熱して、基板温度をあげた状態で成
膜を行う場合が多い。しかし、このように基板を加熱す
ることにより、基板加熱だけでなくスパッタリング後の
基板冷却にまで時間がかかってしまうので、生産性の面
では加熱しない場合の方が良好である。また、強誘電体
薄膜の下部に設置する電極材料に関しても、強誘電体薄
膜が付着する前の段階で、高温で酸素等に晒されること
は、表面状態が悪くなる虞れがあり好ましくない。従っ
て、基板はできるだけ加熱することなく薄膜を製造する
ことが望ましい。
【0025】しかし、基板を加熱することなく薄膜を形
成した場合には、成膜直後の段階では薄膜は非晶質(ア
モルファス)であり、酸素雰囲気中で熱処理(アニー
ル)を施すことによって結晶化させる必要がある。成膜
中に酸素を導入することによりアモルファスが緻密にな
っていると、結晶化を行う時に、薄膜表面は充分に酸素
が補給されるものの、下部電極に近い領域、すなわち薄
膜下層部では、薄膜上層部が緻密であるため充分に酸素
が供給されずに酸素欠乏状態となる。これにより、基板
を加熱をせずに酸素を導入してスパッタ成膜した場合に
は、結晶化アニールの後の強誘電特性が不充分となる。
一方、酸素を導入することなくスパッタリングを行って
成膜した場合には、成膜後のアモルファスが熱的に安定
ではなくなり、下部電極に近い領域まで酸素欠乏状態と
ならずに結晶化させることができる。しかし、この場
合、熱処理前にビスマスが充分酸化されていないために
ビスマスの電極への拡散が大きくなり、膜組成が不安定
になる。
【0026】そこで、本実施の形態では、下部電極近傍
に成膜する際、すなわち薄膜下層部の成膜中は、酸素を
導入しつつ成膜を行うことにより、ビスマスが充分酸化
されるようにする。次いで、薄膜上層部は、酸素を導入
しないで成膜することによりアモルファスを不安定なも
のにして、結晶化する際に酸素が下部電極近傍まで充分
に補給されるようにする。酸素を導入しない場合の方が
膜の成長速度が速いため、この方法を用いることにより
生産性が向上する。このように本実施の形態では、2元
同時のスパッタリングを行うについて特別の条件を設け
ることによって、成膜時に基板温度を上昇させることな
く、かつ生産性が高く、良好な強誘電性を有する誘電体
薄膜を製造することが可能になる。
【0027】ところで、上述のような2元同時スパッタ
リングを行う場合、金属ターゲット14aには直流電源
15、酸化物ターゲット14bには高周波電源16を用
いているため、それぞれのターゲットのスパッタ速度が
大きく異なってしまう。特にビスマスは、元素の中でも
最もスパッタ速度の速い物質の1つであるのに対して、
一般に酸化物はスパッタ速度が遅い。
【0028】そこで、各ターゲット間のスパッタ速度の
調整が必要となる。そのためには、酸化物ターゲット1
4bに投入する高周波電源16の出力を上昇させ、金属
ターゲット14aに投入する直流電源15の出力を低下
させる必要がある。しかし、酸化物ターゲット14bは
熱伝導性が不良であり、投入電力を上昇させるには限界
がある。また、直流電源15を用いてスパッタリングを
行う場合、投入電力を低下しすぎると、放電が不安定に
なるため、直流電源の出力の低下の方にも限界がある。
【0029】そのため、本実施の形態では、ビスマスの
金属ターゲット14a表面にカーボン(C)のチップ2
0を設置することにより、効果的にビスマススパッタ速
度を低下させるようにしている。上述のようにビスマス
は、元素の中でも最もスパッタ速度の速い物質の1つで
あるのに対して、カーボンは最もスパッタ速度の遅い物
質の1つである。この性質を利用してビスマス表面にカ
ーボンのチップ20を設置することで、ビスマスのスパ
ッタ速度を低下させることができる。しかも、カーボン
は膜中にほとんど取り込まれることがない。また、カー
ボンは導電性を有するため、直流電源15を用いる場合
においても放電が不安定になることはない。
【0030】なお、カーボンのチップ20の代わりに図
2に示したように金属ターゲット14a上にスパッタ粒
子を遮断する、例えばステンレスにより形成されたマス
ク22を設置してビスマスのスパッタ速度を低減させる
ことも可能である。この場合でも直流放電は不安定とは
ならない。
【0031】以上説明したように本実施の形態に係る誘
電体薄膜の製造方法によれば、膜組成が安定である高品
質なSBT強誘電体薄膜を生産性よく製造することがで
きる。
【0032】
【実施例】更に、本発明の具体的な実施例について説明
する。
【0033】なお、以下の実施例においては、ビスマス
とストロンチウムとタンタルと酸素とからなる誘電体薄
膜を製造する場合について説明する。
【0034】本実施例では、まず、酸化物ターゲットと
して直径10cmのSrTa2 6の結晶、金属ターゲ
ットとして直径10cmの金属ビスマスをそれぞれ用意
し、金属ターゲット上のターゲット面積の2分の1に相
当する部分にはカーボンチップを設置した。酸化物ター
ゲットには高周波電源を用い、その投入電力は200
W、金属ターゲットには直流電源を用い、その投入電力
は95.7Wとした。また、基板には、シリコン基板上
に膜厚500nmの酸化膜(SiO2 )、膜厚30nmの
チタン(Ti)膜および膜厚200nmの白金(Pt)
膜をこの順で形成したものを用いた。
【0035】次いで、図1に示したスパッタリング装置
10の真空室11内に、アルゴン(Ar)ガスと酸素
(O)ガスをそれぞれ流量20sccm,10sccm
で導入し、上述の電力を投入して20分間スパッタリン
グを行い、下部電極近傍すなわち薄膜下層部を形成し
た。
【0036】続いて、アルゴンガスの流量を30scc
mとして、かつ酸素ガスの導入を停止した状態で成膜を
行った。これにより、基板上には膜厚200nmの非晶
質SBT膜が得られた。
【0037】次いで、800℃で1時間、酸素雰囲気中
で熱処理することにより、この非晶質SBT膜を結晶化
させた。更に、上部電極として、メタルマスクを用いて
白金(Pt)が膜厚200μmになるようにスパッタリ
ングを行った。その後、800℃で10分間の熱処理を
施した。
【0038】このように得られた結晶の分極状態を、外
部から与える電場を変化させながら測定した。図3はそ
の結果(P−Eヒステリシス曲線)を表すものである。
このように本実施例による方法で形成された誘電体薄膜
は、残留分極値(2Pr)が17.8μC・cm-2であ
る良好な強誘電性ヒステリシスが観測され、強誘電性を
示すことが分かった。なお、金属ターゲット上のカーボ
ンチップの代わりに、マスクを使用した場合にも同様の
効果が得られた。
【0039】
【比較例】次に、上記実施例に対する比較例について説
明する。なお、ここでは上記実施例と同様に、ビスマス
とストロンチウムとタンタルと酸素とからなる誘電体薄
膜を製造した。また、上記実施例と同一のスパッタリン
グ装置を利用し、各ターゲットの投入電力、基板につい
ても同一のものを使用した。
【0040】このスパッタリング装置にアルゴンガスと
酸素ガスをそれぞれ流量20sccm,10sccmで
導入し、上記実施例と同一の電力を投入して150分間
スパッタリングを行うことにより成膜した。なお、上記
実施例においては成膜初期の段階では酸素を導入しつつ
スパッタリングを行い、その後、酸素を導入しないでス
パッタリングを行ったが、本比較例においては、成膜中
は継続的に酸素を導入した。これにより基板上には膜厚
200nmの非晶質SBTが得られた。
【0041】続いて、800℃で1時間、酸素雰囲気中
で熱処理を施して非晶質SBTの結晶化を行った。更
に、このSBT膜上に上部電極として、メタルマスクを
用いて白金(Pt)が膜厚200μmになるようにスパ
ッタリングを行った。その後、800℃で10分間の熱
処理を施した。
【0042】このように得られた結晶の分極状態を、外
部から与える電場を変化させながら測定した。図4はそ
の結果(P−Eヒステリシス曲線)を表すものである。
上記実施例(図3)と比較すると自発分極が小さく、ま
た飽和特性が良好ではなく、全域に亘って良好な強誘電
性が形成されていないことが分かった。
【0043】以上の実施例および比較例から、SrTa
2 6 の酸化物および金属ビスマスをターゲットとして
用いると共に、各ターゲットの電源を異種のものにする
ことにより、良好な強誘電性を有する薄膜を製造できる
ことが分かった。また、基板加熱することなく成膜初期
段階においてのみ酸素を導入することにより、良好な強
誘電性薄膜を短時間で製造可能であることも分かった。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る誘電体
薄膜の製造方法によれば、少なくともビスマス(Bi)
を含む金属ターゲットと、酸化物ターゲットとの2元の
ターゲットのスパッタリングを同時に行うことにより、
基板上に層状構造の誘電体薄膜を形成するようにしたの
で、薄膜成膜時における薄膜中のビスマスの割合が常に
一定に保たれるようにビスマス量を正確に調整すること
が可能であり、かつ成膜速度を向上させることができる
と共に、高品質の誘電体薄膜を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るスパッタリング装
置の構成を表す断面図である。
【図2】図1に示したスパッタリング装置のターゲット
の他の構成を説明するための断面図である。
【図3】本発明の実施例によるヒステリシス曲線を表す
特性図である。
【図4】本発明の実施例に対する比較例によるヒステリ
シス曲線を表す特性図である。
【符号の説明】
10…スパッタリング装置、11…真空室、12,13
…ターゲットホルダ、14a…金属ターゲット、14b
…酸化物ターゲット、15…直流電源、16…高周波電
源(交流電源)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01L 21/316 H01L 21/316 Y 27/108 27/10 651 21/8242

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともビスマス(Bi)を含む金属
    ターゲットと、酸化物ターゲットとの2元のターゲット
    のスパッタリングを同時に行うことにより、基板上に層
    状構造の誘電体薄膜を形成することを特徴とする誘電体
    薄膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記誘電体薄膜としてビスマス(Bi)
    系層状構造のペロブスカイト型強誘電体薄膜を得ること
    を特徴とする請求項1記載の誘電体薄膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記ペロブスカイト型強誘電体薄膜とし
    て、ビスマス(Bi)と第1の元素と第2の元素と酸素
    (O)とからなると共に、第1の元素はストロンチウム
    (Sr)、カルシウム(Ca)およびバリウム(Ba)
    からなる群のうちの少なくとも1種であり、かつ第2の
    元素はタンタル(Ta)およびニオブ(Nb)からなる
    群のうち少なくとも1種を含み、かつ、組成式が、 Bix (Sr,Ca,Ba)y (Ta,Nb)2 9 ±
    d (但し,1.7≦x≦2.5,0.6≦y≦1.2,0
    ≦d≦1.0)である結晶を主成分とする膜を得ること
    を特徴とする請求項2記載の誘電体薄膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 第1の元素がストロンチウム(Sr)、
    第2の元素がタンタル(Ta)であることを特徴とする
    請求項3記載の誘電体薄膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 酸化物ターゲットとして、第1の元素と
    第2の元素と酸素(O)とからなると共に、第1の元素
    はストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)および
    バリウム(Ba)からなる群のうちの少なくとも1種で
    あり、かつ第2の元素はタンタル(Ta)およびニオブ
    (Nb)からなる群のうち少なくとも1種を含み、か
    つ、組成式が、 (Sr,Ca,Ba)y (Ta,Nb)2 6 ±d (但し,0.6≦y≦1.2,0≦d≦1.0)の酸化
    物を用いると共に、 金属ターゲットとして金属ビスマス(Bi)の結晶を用
    いることを特徴とする請求項1記載の誘電体薄膜の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 酸化物ターゲットとして、組成式が、 Sry Ta2 6 ±d (0.6≦y≦1.2,0≦d≦
    1.0) の酸化物を用いると共に、 金属ターゲットとして金属ビスマス(Bi)の結晶を用
    いることを特徴とする請求項5記載の誘電体薄膜の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 前記誘電体薄膜の成膜初期に酸素を含む
    雰囲気中でスパッタリングを行うことを特徴とする請求
    項1記載の誘電体薄膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記誘電体薄膜の成膜時に基板を加熱す
    ることなく成膜後に熱処理を施すことにより強誘電性を
    得ることを特徴とする請求項1記載の誘電体薄膜の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 金属ターゲット上にカーボンチップを設
    置することによりビスマス(Bi)のスパッタ率を低減
    させることを特徴とする請求項1記載の誘電体薄膜の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 金属ターゲット上にスパッタ遮蔽用の
    マスクを設置することによりビスマス(Bi)のスパッ
    タ率を低減させることを特徴とする請求項1記載の誘電
    体薄膜の製造方法。
  11. 【請求項11】 金属ターゲットには直流電源を用いた
    スパッタリング法を適用すると共に、酸化物ターゲット
    には交流電源を用いたスパッタリング法を適用すること
    を特徴とする請求項1記載の誘電体薄膜の製造方法。
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KR100740748B1 (ko) * 2000-04-14 2007-07-19 트리콘 호울딩즈 리미티드 유전체 증착 방법

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