JPH10317001A - 流動性と成形性に優れた粉末冶金用鉄基粉末混合物、その製造方法および成形体の製造方法 - Google Patents

流動性と成形性に優れた粉末冶金用鉄基粉末混合物、その製造方法および成形体の製造方法

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JPH10317001A
JPH10317001A JP10071000A JP7100098A JPH10317001A JP H10317001 A JPH10317001 A JP H10317001A JP 10071000 A JP10071000 A JP 10071000A JP 7100098 A JP7100098 A JP 7100098A JP H10317001 A JPH10317001 A JP H10317001A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 室温および温間において、優れた流動性が得
られ、さらには成形時の抜出力低減が可能な成形性が改
善された粉末冶金用鉄基粉末混合物およびその製造方法
と高密度成形体の製造方法を提供する。 【解決手段】 鉄基粉末と潤滑剤と合金用粉末を含む鉄
基粉末混合物において、前記鉄基粉末、潤滑剤および合
金用粉末から選ばれる1種以上が、好ましくは、オルガ
ノアルコキシシラン、オルガノシラザン、チタネート系
カップリング剤、フッ素系カップリング剤から選ばれる
1種以上である表面処理剤によって被覆され、さらに好
ましくは鉄基粉末に溶融・固着した潤滑剤と、該潤滑剤
により鉄基粉末に付着した合金用粉末と、遊離した潤滑
剤粉末とする。このような鉄基粉末混合物を、含まれる
潤滑剤の最低融点以上でかつ最高融点未満で加圧成形す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄粉、合金鋼粉な
どの鉄基粉末に、黒鉛粉、銅粉などの合金用粉末および
潤滑剤を添加・混合した粉末冶金用鉄基粉末混合粉に関
し、さらに詳しくは、前記添加物の偏析および発塵(ダ
スト)の発生が少なく、かつ常温から 200℃程度の温度
までの広い温度範囲で流動性および成形性が極めて優れ
た粉末冶金用鉄基粉末混合物に関する。
【0002】
【従来の技術】粉末冶金用鉄基粉末混合物は、鉄粉に銅
粉、黒鉛粉、燐化鉄粉などの合金粉末と、さらに必要に
応じて切削性改善用粉末に加えて、ステアリン酸亜鉛、
ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸鉛などの潤滑
剤を混合して製造するのが一般的である。このような潤
滑剤は金属粉末との混合性や焼結時の散逸性などから選
択されてきた。
【0003】近年、焼結部材に対する高強度化の要求の
高まりと共に、特開平 2−156002号、特公平 7−103404
号、USP 第 5,256,185号、USP 第 5,368,630号公報に開
示されたように、金属粉末を加熱しつつ成形することに
より、成形体の高密度かつ高強度化を可能にする温間成
形技術が提案された。該成形法における潤滑剤は、金属
粉末との混合性、焼結時の散逸性といった観点以外に、
加熱時の潤滑性が重視されている。
【0004】すなわち、温間成形時に潤滑剤の一部また
は全部を溶融させて金属粉末粒子間に潤滑剤を均一に分
散させ、粒子間および成形体と金型の間の摩擦抵抗を下
げ、成形性を向上させるものである。しかし、このよう
な金属粉末混合物は、以下のような欠点を有する。すな
わち、まず、このような金属粉末混合物は合金用粉末な
どの原料混合物が偏析を生じる問題点があることであ
る。
【0005】偏析について述べると、粉末混合物は粒
径、粒子形状および粒子密度の異なる粉末を含んでいる
ため、混合後の輸送、ホッパへの装入、払出し、または
成形処理などの際に、容易に偏析が生じてしまう。例え
ば、鉄基粉末と黒鉛粉との混合物は、トラック輸送中の
振動によって、輸送容器内において偏析が起こり、黒鉛
粉が浮かび上がることは良く知られている。また、ホッ
パに装入された黒鉛はホッパ内偏析のため、ホッパより
排出する際、排出の初期、中期、終期でそれぞれ黒鉛粉
の濃度が異なることも知られている。これらの偏析に起
因して、製品は組成にばらつきを生じ、寸法変化および
強度のばらつきが大きくなり、不良品発生の原因とな
る。
【0006】また、黒鉛粉などはいずれも微粉末である
ため、混合物の比表面積を増大させ、その結果、流動性
が低下する。このような流動性の低下は、成形用金型へ
の充填速度を低下させるため、圧粉体の生産速度を低下
させてしまうという欠点もある。このような粉末混合物
の偏析を防止する技術として、特開昭56−136901号公報
や特開昭58− 28321号公報に開示されたような結合剤を
用いる技術があるが、粉末混合物の偏析を充分に改善す
るように結合剤の添加量を増加させると、粉末混合物の
流動性が低下する問題点がある。
【0007】また、本発明者らは、先に特開平 1−1657
01号公報、特開平 2− 47201号公報において、金属石鹸
またはワックスとオイルとの共溶融物を結合剤として用
いる方法を提案した。これらの技術は、粉末混合物の偏
析と発塵を格段に低減することができると共に、流動性
を改善することができるものである。
【0008】しかし、これらの方法では上述の偏析を防
止する手段に起因して、粉末混合物の流動性が経時的に
変化する問題があった。そこで、さらに本発明者らは特
開平 2− 57602号公報において提案したような、高融点
のオイルと金属石鹸の共溶融物を結合剤に用いる方法を
開発した。その技術は、共溶融物の経時変化が少なく、
粉末混合物の流動性の経時的な変化が低減されるもので
ある。しかし、その技術では常温では固体である高融点
の飽和脂肪酸と金属石鹸とを鉄基粉末と混合するので、
粉末混合物の見掛け密度が変化するという別の問題があ
った。
【0009】この問題を解決するため本発明者らは特開
平 3−162502号公報にて、鉄基粉末表面を脂肪酸で被覆
した後、鉄基粉末表面に添加物を脂肪酸と金属石鹸との
共溶融物で付着させ、さらにその外表面に金属石鹸を添
加するという方法を提案した。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平 2− 57602
号公報や特開平 3−162502号公報の技術によって、偏
析、発塵等の問題はかなり解決した。しかしながら、流
動性、とりわけ混合粉末を150℃程度まで加熱し、同じ
く加熱した金型内へ充填した後成形する、いわゆる温間
成形における加熱時の流動性が不十分であった。
【0011】温間成形における成形性を改善した、特開
平 2−156002号公報、特開平 7−103404号公報、USP 5,
256,185 号公報、およびUSP 5,368,630 号公報において
も、低融点の潤滑剤成分が粒子間に液架橋を形成するた
め、金属粉末混合粉の温間での流動性が悪かった。流動
性が不十分であると、圧粉成形体の生産性が阻害するば
かりでなく、成形体の密度にばらつきを生じ、焼結体の
特性が変動する原因になるので問題であった。
【0012】前記した特開平 2−156002号公報などで開
示された温間成形技術は、高密度かつ高強度の鉄基粉末
成形体の製造法であるが、成形時の抜出力が高いという
難点があり、成形体表面のキズの発生や金型の寿命の短
命化といった問題があった。本発明の第1の課題は、室
温のみならず温間においても流動性が優れる粉末冶金用
鉄基粉末およびその製造方法を提供することである。
【0013】本発明の第2の課題は、室温のみならず温
間においても成形時の抜出力が小さく、圧粉体密度が高
い、成形性を改善した粉末冶金用鉄基粉末混合粉および
その製造方法を提供することである。本発明の第3の課
題は、上記した鉄基粉末混合粉を用いて、高密度鉄基粉
末成形体を製造する製造方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】まず、第1の課題解決の
ため、本発明者らは、潤滑剤等の有機化合物を混合した
金属粉末の流動性が混合していない金属粉末に比べて極
端に悪くなる原因について研究した。その結果、金属粉
末と有機化合物の摩擦抵抗および付着力が大なるためで
あることを知見し、両者の摩擦抵抗・付着力の低減策を
種々検討した。
【0015】その結果、高温領域(200 ℃程度)まで安
定なある種の有機化合物で金属粉末粒子の表面を表面処
理(被覆)すれば、摩擦抵抗が低減し、さらには、金属
粉末粒子表面の表面電位を有機化合物(前記表面処理剤
を除く)の表面電位に近づけて、混合時における異種粒
子間の接触帯電が抑制され、静電気力による粒子間付着
が阻止されることを突き止めた。
【0016】また、第2の課題である成形性の改善のた
めに、種々の固体潤滑剤の効果を把握し、(1)室温お
よび温間においては、層状の結晶構造を有する無機また
は有機化合物が、また、(2)温間では100 ℃以上で塑
性変形をする熱可塑性樹脂またはエストラマーが、成形
時の抜出力を低減し、成形性を向上させることを見出し
た。
【0017】さらに、流動性の改善のために施す上記表
面処理によって、金属粉末表面を被覆することが、副次
的に成形時の抜出力を低減し、成形性を向上させる効果
をも有することを見出した。すなわち、第1の発明は鉄
基粉末と潤滑剤と合金用粉末を含む鉄基粉末混合物であ
って、前記鉄基粉末、潤滑剤および合金用粉末から選ば
れる1種以上が、次にあげる表面処理剤、オルガノアル
コキシシラン、オルガノシラザン、チタネート系カップ
リング剤、フッ素系カップリング剤の内から選ばれる1
種以上の表面処理剤によって被覆された粉末であること
を特徴とする流動性および成形性に優れた粉末冶金用鉄
基粉末混合物であり、前記1種以上の表面処理剤を鉱物
油またはシリコーンオイルとしてもよい。
【0018】第2の発明は、鉄基粉末と、該鉄基粉末に
溶融・固着した潤滑剤と、該潤滑剤により鉄基粉末に付
着した合金用粉末と、遊離した潤滑剤粉末と、を含む鉄
基粉末混合物であって、前記鉄基粉末、潤滑剤および合
金用粉末から選ばれる1種以上が、次に示す表面処理
剤、オルガノアルコキシシラン、オルガノシラザン、チ
タネート系カップリング剤、フッ素系カップリング剤の
内から選ばれる1種以上の表面処理剤によって被覆され
た粉末であることを特徴とする流動性および成形性に優
れた粉末冶金用鉄基粉末混合物であり、前記1種以上の
表面処理剤を鉱物油またはシリコーンオイルとしてもよ
い。第1および第2の発明における、前記オルガノアル
コキシシランとは、R4-m −Si(OCn 2n+1
m 〔Rは有機基、n、mは整数、m=1〜3)なる構造
を有する物質で、有機基Rは置換基を有していても有し
ていなくても良いが、本発明においては、特に非置換の
ものが、より好ましい。前記した置換基としては、アク
リル基またはエポキシ基またはアミノ基であるオルガノ
アルコキシシランの内から選ばれる1種以上であること
がより好ましい。また、前記鉱物油としては、アルキル
ベンゼンが好ましい。
【0019】前記オルガノシラザンとしては、一般式 R
n Si(NH2)4-n、(R3Si)2NH 、R3SiNH(R2SiNH)n SiR3、(R
2SiNH)n 、R3SiNH(R2SiNH)n SiR3で表されるオルガノシ
ラザンが例示され、前記鉱物油としては、アルキルベン
ゼンがより好ましい。また、第1および第2の発明で
は、前記潤滑剤は、脂肪酸アミドおよび/または金属石
鹸とするのが好ましく、あるいはさらに加えて、層状の
結晶構造を有する無機化合物、層状の結晶構造を有する
有機化合物、熱可塑性樹脂および熱可塑性エラストマー
から選ばれる1種以上を含むものとするのが好ましい。
また、前記潤滑剤は、脂肪酸アミドおよび/または金属
石鹸、さらに加えて、脂肪酸を含むものとしてもよい。
【0020】また、前記脂肪酸アミドの含有率は0.01〜
1.0wt %、金属石鹸の含有率は0.01〜1.0wt %とするの
がより好ましい。前記脂肪酸アミドとしては、脂肪酸モ
ノアミドおよび脂肪酸ビスアミドから選ばれる1種以上
が好ましい。前記層状の結晶構造を有する無機化合物と
しては、黒鉛、フッ化炭素およびMoS2から選ばれる1種
以上が好ましく、また、前記層状の結晶構造を有する有
機化合物としては、メラミン−シアヌル酸付加化合物
(MCA)またはN−アルキルアスパラギン酸−β−ア
ルキルエステルが好ましい。
【0021】前記熱可塑性樹脂としては、粒径が30μm
以下の粉末状のポリスチレン、ナイロン、ポリエチレン
およびフッ素樹脂から選ばれる1種以上が好ましい。前
記熱可塑性エラストマーとしては、粒径が30μm 以下の
粉末状の熱可塑性エラストマーが好ましい。さらに、前
記熱可塑性エラストマーが、スチレン系熱可塑性エラス
トマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、アミド系
熱可塑性エラストマーおよびシリコーン系熱可塑性エラ
ストマーから選ばれる1種以上とすることが、より好ま
しい。
【0022】前記脂肪酸としては、リノール酸、オレイ
ン酸、ラウリン酸、ステアリン酸などが好ましく用いら
れる。前記遊離した潤滑剤粉末は、潤滑剤の合計重量に
対して、25重量%以上、80重量%以下が好ましい。前記
した第1および第2の発明の鉄基粉末混合物は、下記に
示す第3の発明〜第4の発明の製造方法で製造すること
ができる。
【0023】第3の発明は、流動性に優れた粉末冶金用
鉄基粉末混合物の製造方法である。すなわち、鉄基粉末
にその一部または全部が溶融することによって固着した
潤滑剤で合金用粉末を付着する粉末冶金用鉄基粉末混合
物の製造方法において、前記鉄基粉末および合金用粉末
の少なくともいずれかを表面処理剤で被覆した後、下記
に示す潤滑剤群Aの中から選ばれる少なくとも1種以上
の潤滑剤を加えて1次混合し、1次混合後の混合物を、
前記潤滑剤の内少なくとも1種の潤滑剤の融点以上に加
熱しつつ攪拌して前記潤滑剤の内少なくとも1種の潤滑
剤を溶融し、溶融後の混合物を混合しながら冷却し、前
記鉄基粉末の表面に、溶融し固着した前記潤滑剤で前記
合金用粉末を、場合によっては未溶融の潤滑材をも、固
着し、さらに、下記潤滑剤群Aの中から選ばれる1種以
上の潤滑剤を加えて2次混合することを特徴とする流動
性および成形性に優れた粉末冶金用鉄基粉末混合物の製
造方法である。なお、前記した潤滑剤群Aは、脂肪酸ア
ミド、金属石鹸、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマ
ー、層状の結晶構造を有する無機化合物および層状の結
晶構造を有する有機化合物からなる群である。
【0024】第3の発明では、前記1次混合する潤滑剤
を、脂肪酸アミドおよび前記した潤滑剤群Aの中から選
ばれた前記脂肪酸アミドよりも融点の高い潤滑剤1種以
上とするのが好ましく、また、前記1次混合する潤滑剤
を、金属石鹸および前記した潤滑剤群Aの中から選ばれ
た前記金属石鹸よりも融点の高い潤滑剤1種以上とする
のが好ましい。
【0025】また、第3の発明では、前記1次混合する
潤滑剤を、脂肪酸、脂肪酸アミド、金属石鹸の中から選
ばれる少なくとも1種以上の潤滑剤とし、前記2次混合
する潤滑剤を脂肪酸、脂肪酸アミド、金属石鹸の中から
選ばれる少なくとも1種以上の潤滑剤としてもよい。ま
た、第3の発明では、前記1次混合の前に行っていた表
面処理を、前記1次混合ののち行うこともできる。
【0026】第4の発明は、鉄基粉末にその1部または
全部が溶融することによって固着した潤滑剤で合金用粉
末を付着する粉末冶金用鉄基粉末混合物の製造方法にお
いて、前記鉄基粉末および合金用粉末に、前記した潤滑
剤群Aの中から選ばれる少なくとも1種以上の潤滑剤を
加えて1次混合し、1次混合後の混合物を、前記潤滑剤
の内少なくとも1種の潤滑剤の融点以上に加熱しつつ攪
拌して前記潤滑剤の内少なくとも1種の潤滑剤を溶融
し、溶融後の混合物を混合しながら冷却し、冷却過程の
100 〜140 ℃の温度域で表面処理剤を添加混合し、その
後冷却して前記鉄基粉末の表面に、溶融後固着した前記
潤滑剤で前記合金用粉末を、場合によっては未溶融の潤
滑材を固着させ、さらに、前記した潤滑剤群Aの中から
選ばれる1種以上の潤滑剤を加えて2次混合することを
特徴とする流動性および成形性に優れた粉末冶金用鉄基
粉末混合物の製造方法である。
【0027】第4の発明では、前記1次混合する潤滑剤
を、脂肪酸アミドおよび前記潤滑剤群Aの中から選ばれ
た前記脂肪酸アミドよりも融点の高い潤滑剤1種以上と
するのが好ましい。また、第4の発明では、前記1次混
合する潤滑剤を、金属石鹸および前記潤滑剤群Aの中か
ら選ばれた前記金属石鹸よりも融点の高い潤滑剤1種以
上とするのが好ましい。
【0028】第3の発明および第4の発明では、前記表
面処理剤を、オルガノアルコキシシラン、オルガノシラ
ザン、チタネート系カップリング剤、フッ素系カップリ
ング剤から選ばれる1種以上とするのが好ましく、ま
た、前記表面処理剤を、鉱物油またはシリコーンオイル
としてもよく、また、前記2次混合時に加える潤滑剤の
重量比率を、該潤滑剤の重量と前記1次混合時に加える
潤滑剤の重量との合計に対し、25重量%以上、80重量%
以下とするのが好ましい。
【0029】第5の発明は、上記したいずれかの鉄基粉
末混合物を加圧成形し成形体とするに際し、前記加圧成
形の温度を、前記鉄基粉末混合物中に含まれる2種以上
の潤滑剤の最低融点以上最高融点未満の温度範囲とする
ことを特徴とする高密度鉄基粉末成形体の製造方法であ
る。以上の第1〜第5の本発明においては、鉄基粉末と
しては、アトマイズ鉄粉または還元鉄粉などの純鉄粉、
または部分拡散合金化鋼粉または完全合金化鋼粉などが
好ましい。
【0030】また、本発明の合金用粉末としては、黒鉛
粉末、銅粉末、亜酸化銅粉末以外に、MnS 粉末、Mo粉
末、Ni粉末、B粉末、BN粉末、ホウ酸粉末などが例示さ
れ、それらを併用することもできる。また、本発明の合
金用粉末として少なくとも黒鉛粉末あるいはさらに、銅
粉末または亜酸化銅粉末を含むことにより焼結体の強度
を上昇させることができる。なお、黒鉛粉末の含有率は
0.05〜1wt%であることが、より好ましい。
【0031】潤滑剤としては、脂肪酸アミドと金属石鹸
との共溶融物、または融点の異なる2種以上の潤滑剤の
部分溶融物を使用しても良く、これにより、鉄基粉末混
合物の偏析、発塵が効果的に防止され、かつ流動性、成
形性がさらに向上する。潤滑剤として、脂肪酸アミドお
よび/または金属石鹸を用いる場合、脂肪酸アミドの含
有率が0.01〜1.0wt %、金属石鹸の含有率が0.01〜1.0w
t %であることが好ましい。
【0032】なお、脂肪酸アミドとしては、エチレンビ
スステアリン酸アミド、金属石鹸としては、ステアリン
酸カルシウム、ステアリン酸リチウムがとりわけ好まし
い。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。本発明は、鉄基粉末と潤滑剤と合金用粉末を含む
鉄基粉末混合物において、前記鉄基粉末、潤滑剤および
合金用粉末から選ばれる1種以上が表面処理剤によって
被覆された粉末から構成される流動性および成形性に優
れた粉末冶金用鉄基粉末混合物である。
【0034】また、本発明は、鉄基粉末と、該鉄基粉末
に溶融することによって固着した潤滑剤と、該潤滑剤に
より鉄基粉末に付着した合金用粉末と、遊離した潤滑剤
粉末と、を含む鉄基粉末混合物であって、前記鉄基粉
末、潤滑剤および合金用粉末から選ばれる1種以上が表
面処理剤によって被覆された粉末で構成された流動性お
よび成形性に優れた粉末冶金用鉄基粉末混合物とするの
が好ましい。
【0035】本発明における鉄基粉末としては、アトマ
イズ鉄粉または還元鉄粉などの純鉄粉、または部分拡散
合金化鋼粉、または完全合金化鋼粉、またはこれらの混
合粉が好ましく用いられる。部分拡散合金化鋼粉として
は、特に、Cu、Ni、Moの1種以上を部分合金化した鋼粉
が好適であり、完全合金化鋼粉としては、特に、Mn、C
u、Ni、Cr、Mo、V、Co、Wの1種以上を含む合金鋼粉
が好適である。
【0036】本発明の前記した表面処理剤の添加率、お
よび鉄基粉末混合物中における、前記した潤滑剤、合金
用粉末の各含有率は下記の範囲であることが好ましい。
表面処理剤の添加率は、処理粉末100wt %に対して、0.
001 〜1.0 wt%であることが好ましい。0.001wt %未満
の場合は、流動性が低下し、1.0 wt%超えの場合も流動
性が低下する。
【0037】潤滑剤の含有率は、合計量として、鉄基粉
末100wt %に対して0.1 〜2.0wt %であることが好まし
い。0.1 wt%未満の場合は、成形性が低下し、2.0wt %
超えの場合は圧粉密度が低下し、圧粉体の強度が低下す
る。合金用粉末の含有率は、鉄基粉末100wt %に対して
0.1 〜10wt%であることが好ましい。これは、黒鉛粉
末、Cu、Mo、Niなどの金属粉末、B粉末などの合金用粉
末を0.1 wt%以上含有することにより、得られる焼結体
の強度が優れるためであり、逆に10wt%を超えると焼結
体の寸法精度が低下するためである。
【0038】また、本発明の鉄基粉末混合物中には、前
記潤滑剤の一部または全てとして、金属石鹸および脂肪
酸アミドから選ばれる1種以上を含有することが好まし
い。前記金属石鹸の含有率は、好ましくは、ステアリン
酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、ヒドロキシステアリン
酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カル
シウムなどから選ばれる金属石鹸を、鉄基粉末混合物中
に鉄基粉末100wt %に対し0.01〜1.0 wt%の含有率で含
むことが、より好ましい。これは、金属石鹸を0.01wt%
以上含有することにより、流動性が改善され、逆に1.0
wt%を超えると圧粉体の強度が低下するためである。
【0039】前記脂肪酸アミドの含有率は、好ましく
は、脂肪酸モノアミドおよび脂肪酸ビスアミドから選ば
れる脂肪酸アミドを、鉄基粉末混合物中に鉄基粉末100w
t %に対し0.01〜1.0wt %の含有率で含むことが好まし
い。これは、脂肪酸アミドを0.01wt%以上含有すること
により、成形性が向上し、逆に1.0 wt%を超えると圧粉
体の密度が低下するためである。
【0040】前記脂肪酸としては、リノール酸、オレイ
ン酸、ラウリン酸、ステアリン酸などが好ましく用いら
れる。以下、さらに、本発明の前記した構成に伴う効果
発現の理由について述べる。まず,本発明における表面
処理剤の効果について説明する.前述のように、一般に
潤滑剤等の有機化合物を混合した金属粉末の流動性は、
混合していない金属粉末に比べて極端に悪くなる。
【0041】これは、金属粉末と有機化合物の間の摩擦
抵抗および付着力が大なるためであり、金属粉末の表面
をある種の有機化合物で表面処理(被覆)して摩擦抵抗
を減少するとともに、金属粉末表面の表面電位を有機化
合物(前記表面処理剤を除く)表面電位に近づけて混合
時における異種粒子間の接触帯電を抑制することで、静
電気力による粒子間付着を阻止し、両者の複合効果によ
り混合粉末の流動性を改善することができる。とりわ
け、温間成形にも対応し得るように常温から200℃程度
の温度領域まで安定した流動性を確保することができ
る。
【0042】次に、オルガノアルコキシシラン、オルガ
ノシラザン、チタネート系カップリング剤、フッ素系カ
ップリング剤を鉄基粉末の表面に被覆することにより流
動性が広い温度領域に渡って改善される理由についてさ
らに詳細に述べる。なお、前記オルガノアルコキシシラ
ンの有機基は、置換基を有していても有していなくても
良い。
【0043】上記表面処理剤は、嵩高な分子構造により
潤滑機能を有する上、脂肪酸や鉱物油等に比べ、高温域
で安定なため、室温からおよそ200 ℃の広い温度範囲で
潤滑機能を発揮する。特に、オルガノアルコキシシラ
ン、オルガノシラザン、およびチタネート系またはフッ
素系カップリング剤は、金属粉末表面に存在する水酸基
と前記表面処理剤分子中、所定の官能基との縮合反応に
より金属粉末粒子表面に有機化合物が化学結合すること
により表面改質を行うもので、高温においても粒子表面
から剥がれたり流れることがなく、高温での表面改質効
果が顕著である。
【0044】オルガノアルコキシシランとしては、有機
基が非置換のもの、有機基の置換基がアクリル基、エポ
キシ基、アミノ基のいずれでもよいが、特に非置換のも
のが好ましい。これらは異種のものを混合して使用する
こともできるが、エポキシ基を有するものとアミド基を
有するものは互いに反応し、変質するので混合には適さ
ない。
【0045】なお、オルガノアルコキシシランの中のア
ルコキシ基(Cn 2n+1O−)の数は、少ない方が好ま
しい。有機基が非置換のものとしては、メチルトリメト
キシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニル
ジメトキシシランが例示される。また、有機基の置換基
がアクリル基のものとしては、γ−メタクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン、エポキシ基のものとしては、
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノ
基のものとしては、N−β(アミノエチル)γ−アミノ
プロピルトリメトキシシランなどを使用できる。
【0046】また、上記オルガノアルコキシシランの中
では、有機基中の水素の一部がフッ素に置換された所謂
フッ素系カップリング剤の使用も可能である。チタネー
ト系カップリング剤としては、イソプロピルトリイソス
テアロイルチタネートを使用することができる。オルガ
ノシラザンとしては、アルキルシラザンが好ましく、分
子量の大きいポリオルガノシラザンも使用できる。
【0047】また、表面処理剤として、シリコーンオイ
ルが好ましいのは以下の理由による。表面処理剤として
シリコーンオイルが好ましいのは、嵩高で粉末粒子表面
に吸着した場合、粒子間の摩擦抵抗を下げて流動性を改
善し、さらに熱的安定性から、広い温度領域で潤滑効果
を有するためである。
【0048】なお、表面処理剤として使用できるシリコ
ーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチ
ルフェニルシリコーンオイル、メチル水素シリコーンオ
イル、環状ポリメチルシロキサン、アルキル変性シリコ
ーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、シリコーン
ポリエーテル共重合体、脂肪酸変性シリコーンオイル、
エポキシ変性シリコーンオイル、フロロシリコーンオイ
ルが例示される。
【0049】また、表面処理剤として、鉱物油をもちい
てもよい。鉱物油は、流動性を改善し、さらに熱的安定
性から、広い温度領域で潤滑効果を有する。鉱物油とし
ては、アルキルベンゼンが例示される。ただし、これに
限定されるものではない。次に、本発明における潤滑剤
の効果について説明する。まず第1に、潤滑剤は、合金
用粉末を鉄基粉末に固着させる結合剤として作用する。
この作用により合金用粉末の偏析や発塵が抑制できると
いう効果を生じる。第2に、潤滑剤は粉末混合物を加圧
成形する際における粉体の再配列・塑性変形を促進する
作用を有し、それにより圧粉体密度が向上し、さらに加
圧成形後の型抜きにおける抜き出し力が低減するという
効果を生じる。
【0050】このような効果を得るために粉末混合物
は、鉄基粉末に合金用粉末と潤滑剤とを混合し、少なく
とも1種の潤滑剤の融点以上に加熱した後、冷却して製
造されるのが好ましい。その際、潤滑剤が1種の場合は
その潤滑剤が溶融し,潤滑剤が2種以上の場合は融点が
加熱温度以下である潤滑剤が溶融し、その溶融した潤滑
剤が毛細管現象により合金用粉末をコーティングし、そ
の後凝固する際に前記合金用粉末を、さらに2種以上の
潤滑剤を含み加熱時に未溶融の潤滑剤が存在する場合に
は未溶融の潤滑剤を、鉄基粉末に固着する。例えば、添
加した2種の潤滑剤の融点がそれぞれ100 ℃、146 ℃と
すると、加熱温度を160 ℃として、2種とも溶融しても
よく、130 ℃として1種を溶融してもよい。
【0051】潤滑剤を溶融させる場合に、加熱温度が25
0 ℃を超えると鉄粉の酸化が進み,圧縮性の低下を招
く。このため加熱温度は250 ℃以下で行う必要があり潤
滑剤の少なくとも1種の融点が250 ℃以下であることが
望ましい。粉末混合物を加圧成形する際に、粉体の配列
・塑性変形を促進するのは、結合剤としての潤滑剤であ
る。そのため、潤滑剤は、鉄基粉末の表面に均一に分散
させるのが望ましい。一方、加圧成形後の型抜きにおけ
る抜き出し力を低減するものは、2次混合した鉄基粉末
表面から遊離した潤滑剤と、さらに加えて、1次混合し
た潤滑剤のうち未溶融の潤滑剤が存在する場合にはその
潤滑剤である。
【0052】これらの潤滑剤の第1および第2の作用を
両立させるためには、遊離状態で鉄基粉末粒子間に存在
する潤滑剤を、潤滑剤の合計量に対し、25重量%以上80
重量%以下とすることが好ましい。25重量%未満では、
抜き出し力の低減が不十分で、成形体表面の疵発生の原
因となる。また、80重量%を越えると、合金用粉末の鉄
基粉末への固着が弱くなり合金用粉末の偏析を招き、最
終製品の特性のバラツキを招く。
【0053】潤滑剤は、脂肪酸アミドおよび/または金
属石鹸とするのが好ましく、あるいはさらに加えて、層
状の結晶構造を有する無機化合物、層状の結晶構造を有
する有機化合物、熱可塑性樹脂および熱可塑性エラスト
マーから選ばれる1種以上を含むのが好ましい。また、
前記潤滑剤は、脂肪酸アミドおよび/または金属石鹸、
さらに加えて、脂肪酸を含むのが好ましい。
【0054】潤滑剤として、層状の結晶構造を有する化
合物を用いることにより、成形時の抜出力が低減され、
成形性が改善される理由は、成形時に剪断応力を受けた
上記物質が、結晶面に沿ってへき開しやすいので成形体
内部の粒子間の摩擦抵抗の低減、あるいは成形体と金型
間でのすべりやすさを生じるためと考えられる。層状の
結晶構造を有する無機化合物としては、黒鉛、MoS2、フ
ッ化炭素のいずれでもよく、粒度は細かい程、抜出力の
低減に有効である。
【0055】層状の結晶構造を有する有機化合物として
は、メラミン−シアヌル酸付加化合物(MCA)または
N−アルキルアスパラギン酸−β−アルキルエステルを
使用することができる。熱可塑性樹脂または熱可塑性エ
ストラマーを鉄基粉末および合金用粉末に混合すること
により、成形時とりわけ温間成形時の抜出力が低減す
る。熱可塑性樹脂の特徴は、温度上昇とともに降伏応力
が下がり、より低い圧力によって容易に変形する点であ
る。粒子状の熱可塑性樹脂を金属粉末に混合し、加熱し
つつ成形する温間成形において、熱可塑性樹脂粒子は、
金属粒子間、あるいは金属粒子と金型壁面に於いて、容
易に塑性変形し、結果的に金属面相互の摩擦抵抗を低減
するのである。
【0056】熱可塑性エストラマーとは、熱可塑性樹脂
(硬質相)とゴム構造を持った高分子(軟質相)との混
相組織を有する材料であり、温度上昇とともに硬質相で
ある熱可塑性樹脂の降伏応力が低下し、より低い応力で
容易に変形する。したがって、粒子状の熱可塑性エスト
ラマーを金属粒子に混合し、温間成形に供した際の効果
は、上述の熱可塑性樹脂と同様である。
【0057】熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、ナ
イロン、ポリエチレンまたはフッ素樹脂の粒子が好適で
ある。熱可塑性エストラマーとしては、硬質相として、
スチレン樹脂、オレフィン樹脂、アミド樹脂またはシリ
コーン樹脂が好適であり、とくにスチレン−アクリル、
スチレン−ブタジエン重合体が良好である。
【0058】なお、上記熱可塑性樹脂または熱可塑性エ
ラストマーの粒子サイズは30μm 以下が好適であり、望
ましくは5〜20μm が最適である。30μm 超えの場合、
金属粒子間に樹脂またはエストラマー粒子が十分に分散
せず、潤滑効果が発揮されないためである。また、前記
潤滑剤は、脂肪酸アミドおよび/または金属石鹸、さら
に加えて、脂肪酸を含むのものとしてもよい。しかし、
脂肪酸を用いた場合は、低融点の物質が多いため150 ℃
以上の高温で使用した場合、これが溶出し鉄粉粒子間を
固着させ流動性を低下させる傾向にあるため、使用温度
は150 ℃以下とすることが好ましい。
【0059】以上、本発明における表面処理剤の流動性
改善効果および潤滑剤の成形性改善効果について述べた
が、本発明において流動性改善を目的として用いた前記
した表面処理剤の添加により、成形時の抜出力の低減と
いう副次的効果が見出されたので、その機構について述
べる。温間成形などの高密度成形においては、成形体の
密度が上がるため、成形時にしばしば成形体表面の金属
粉末の金型壁面への圧着が起こり、成形体抜出し時の抜
出力の増大、成形体のキズなどの原因となる。
【0060】これに対し、前記した表面処理剤により、
金属粉末表面を予め被覆した場合、成形時には金型壁面
と成形体表面の金属粉末間に被膜が存在するため、成形
体表面粒子の金型への圧着が防止され、抜出力が低減さ
れ、さらには成形体のキズの発生などの問題が解消され
るものと考えられる。つぎに、本発明の鉄基粉末混合物
を用いた高密度成形法について述べる。
【0061】本発明の成形体の製造方法は、上記した鉄
基粉末混合物を加熱しつつ成形する温間成形法が好まし
く、これにより成形体は高密度化する。温間成形法にお
ける加熱温度は、1次混合および2次混合した2種以上
の潤滑剤の融点のうちの最低融点以上最高融点未満の温
度範囲とすることが好ましい。1次混合および2次混合
した2種以上の潤滑剤のうちの最低融点以上に加熱する
ことにより、溶解した潤滑剤が、毛管現象によって粉体
の間隙に均一に浸透し、それにより加圧成形時に粉体の
再配列・塑性変形が有効に促進され、成形体は高密度化
する。また、溶融する潤滑剤は合金用粉末を鉄基粉末の
表面に固着する結合剤として作用した潤滑剤である。
【0062】一方、加熱温度を混合した潤滑剤の最高融
点未満とすることにより、2次混合した遊離した潤滑
剤、さらに加えて1次混合した固体の状態で存在する潤
滑剤は、圧縮時には溶融せず圧縮により高密度化した成
形体の型抜き時に金型と成形体との間隙に分散して、抜
きだし時の抜出力を低減する。全ての潤滑剤の融点未満
で成形した場合,溶融状態の潤滑剤が存在せず,粉体の
再配列・塑性変形が進行しない。さらに、成形体の密度
上昇時に粉体間隙に存在する潤滑剤が成形体表面に排出
されないため、できあがった成形体の密度低下の原因と
なる。
【0063】また、全ての潤滑剤の融点を越えて成形し
た場合には、固体状態の潤滑剤が存在しないため、成形
体の型抜き時に抜き出し力が増大し,成形体表面にキズ
が発生する。さらに、成形体の密度上昇時に、粉体間隙
の溶融した潤滑剤が成形体表面に排出され、粗大な空孔
が発生して焼結体の機械的特性の低下を招く。なお、潤
滑剤のうち、層状の結晶構造を有する無機化合物、層状
の結晶構造を有する有機化合物、および熱可塑性エラス
トマーに属する潤滑剤は、融点という概念が存在しな
い。このため、このような潤滑剤については、融点に代
えて、熱分解温度または昇華開始温度を用いるものとす
る。
【0064】本発明の粉末冶金用鉄基粉末混合物の具体
的な製造方法としては、下記実施例に例示する方法を用
いることが好ましい。
【0065】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明
する。 〔実施例1〕各種オルガノアルコキシシランまたはオル
ガノシラザンまたはチタネート系あるいはフッ素系カッ
プリング剤をエタノール中に、シリコーンオイルまたは
鉱物油をキシレン中にそれぞれ溶解し、平均粒径78μm
の粉末冶金用鉄粉、または平均粒径23μm 以下の天然黒
鉛、または平均粒径25μm 以下の銅粉に適量噴霧した。
【0066】得られた各粉末それぞれを高速ミキサーで
攪拌翼回転数:1000rpm の条件下、1分間混合した後、
溶媒を真空乾燥機にて除去し、さらに前記シラン、シラ
ザンまたはカップリング剤を噴霧したものは、約100 ℃
で1時間加熱した。以上の処理を予備処理A1と記す。
予備処理A1で添加した表面処理剤の種類および添加量
を表1に示す。
【0067】表1中の表面処理剤の欄に記載した記号の
内容は、表16に示す通りである。予備処理A1を施し
た、あるいは予備処理A1を施さない平均粒径78μm の
粉末冶金用鉄粉と、予備処理A1を施した、あるいは予
備処理A1を施さない平均粒径23μm 以下の天然黒鉛
と、予備処理A1を施した、あるいは予備処理A1を施
さない平均粒径25μm 以下の銅粉を混合し、ステアリン
酸モノアミド(融点:100℃)0.2 重量%、エチレンビ
スステアリン酸アミド(融点:146〜147℃)0.2重量%
を添加し、混合しながら110 ℃で加熱し、さらに混合し
ながら85℃以下に冷却した。
【0068】得られた各粉末混合物に対し、ステアリン
酸モノアミド(融点:100℃)0.2重量%、ステアリン酸
亜鉛(融点:116℃)0.15重量%を添加し、均一に攪拌
混合後、混合機から排出した(発明例1〜11)。比較の
ために、上記予備処理A1を施さない平均粒径78μm の
粉末冶金用鉄粉、平均粒径23μm 以下の天然黒鉛、およ
び平均粒径25μm 以下の銅粉を用いて同様に上記の処理
を行い、粉末混合物を得た(比較例1)。
【0069】次に、得られた各粉末混合物100 gを、室
温の条件下、排出孔径5mmΦのオリフィスから排出し、
排出終了までの時間(流動度)を測定し、流動性を調べ
た。実験結果を表1に示す。比較例1と発明例1〜11の
比較で明らかなように、表面処理剤による処理を施した
場合、混合粉の流動性が格段に改良されている。
【0070】
【表1】
【0071】〔実施例2〕平均粒径78μm の粉末冶金用
鉄粉、平均粒径23μm 以下の天然黒鉛、平均粒径25μm
以下の銅粉を混合し、各種オルガノアルコキシシランま
たはオルガノシラザンまたはチタネート系あるいフッ素
系カップリング剤またはシリコーンオイルまたは鉱物油
を適量噴霧した。
【0072】上記した異なる表面処理剤が被覆された各
粉末混合物それぞれを、高速ミキサーで攪拌翼回転数:
1000rpm の条件下、1分間混合した後、オレイン酸0.1
重量%、ステアリン酸亜鉛(融点:116℃)0.3 重量%
を添加し、混合しながら110℃で加熱した後、85℃以下
に冷却した。以上の処理を予備処理B1と記す。
【0073】予備処理B1で添加した表面処理剤の種類
および添加量を表2に示す。表2中の表面処理剤の欄に
記載した記号の内容は、表16に示す通りである。得られ
た各粉末混合物に対し、ステアリン酸亜鉛(融点:116
℃)0.4 重量%を添加し、均一に攪拌混合後、混合機か
ら排出した(発明例12〜17)。比較のために、平均粒径
78μm の粉末冶金用鉄粉、平均粒径23μm 以下の天然黒
鉛、および平均粒径25μm 以下の銅粉を混合し、上記予
備処理B1中、表面処理剤を添加しないで同様に上記の
処理を行い、粉末混合物を得た(比較例2)。
【0074】次に、得られた各粉末混合物100 gを、室
温の条件下、排出孔径5mmΦのオリフィスから排出し、
排出終了までの時間を測定し、実施例1と同様に流動性
を調べた。実験結果を表2に示す。比較例2と発明例12
〜17の比較で明らかなように、表面処理剤による処理を
施した場合、混合粉の流動性が格段に改良されている。
【0075】
【表2】
【0076】〔実施例3〕平均粒径78μm の粉末冶金用
鉄粉、平均粒径23μm 以下の天然黒鉛、平均粒径25μm
以下の銅粉に、ステアリン酸モノアミド(融点:100
℃)0.2 重量%、エチレンビスステアリン酸アミド0.2
重量%を添加し、混合しながら110 ℃で加熱した後、さ
らに各種オルガノアルコキシシランまたはオルガノシラ
ザンまたはチタネート系あるいはフッ素系カップリング
剤、シリコーンオイルまたは鉱物油を適量噴霧した。
【0077】上記した各種の表面処理剤が被覆された各
粉末混合物それぞれを、高速ミキサーで攪拌翼回転数:
1000rpm の条件下、1分間混合した後、85℃以下に冷却
した。以上の処理を予備処理C1と記す。予備処理C1
で添加した表面処理剤の種類および添加量を表3に示
す。
【0078】表3中の表面処理剤の欄に記載した記号の
内容は、表16に示す通りである。得られた粉末混合物に
対し、ステアリン酸モノアミド(融点:100℃)0.2 重
量%、ステアリン酸亜鉛(融点:116 ℃)0.15重量%を
添加し、均一に攪拌混合後、混合機から排出した(発明
例18〜22)。比較のために、平均粒径78μm の粉末冶金
用鉄粉、平均粒径23μm 以下の天然黒鉛、および平均粒
径25μm 以下の銅粉を使用し、上記予備処理C1中、表
面処理剤を添加しないで同様に上記の処理を行い、粉末
混合粉を得た(比較例3)。
【0079】次に、得られた各粉末混合物100 gを、室
温の条件下、排出孔径5mmΦのオリフィスから排出し、
排出終了までの時間を測定し、実施例1と同様に流動性
を調べた。実験結果を表3に示す。比較例3と発明例18
〜22の比較で明らかなように、表面処理剤による処理を
施した場合、混合粉の流動性が格段に改良されている。
【0080】
【表3】
【0081】〔実施例4〕各種オルガノアルコキシシラ
ンまたはオルガノシラザンまたはチタネート系あるいは
フッ素系カップリング剤をエタノール中に、シリコーン
オイルまたは鉱物油をキシレン中にそれぞれ溶解し、平
均粒径約80μm の粉末冶金用合金鋼粉(Cr−Mn−Mo系完
全合金化鋼粉)、あるいは平均粒径23μm 以下の天然黒
鉛に適量噴霧した。
【0082】得られた各粉末それぞれを高速ミキサーで
攪拌翼回転数:1000rpm の条件下、1分間混合した後、
溶媒を真空乾燥機にて除去し、さらに前記シラン、シラ
ザンまたはカップリング剤を噴霧したものは、約100 ℃
で1時間加熱した。以上の処理を予備処理A2と記す。
予備処理A2で添加した表面処理剤の種類および添加量
を表4に示す。
【0083】表4中の表面処理剤の欄に記載した記号の
内容は、表16に示す通りである。予備処理A2を施し
た、あるいは予備処理A2を施さない平均粒径約80μm
の粉末冶金用合金鋼粉と、予備処理A2を施した、ある
いは予備処理A2を施さない平均粒径23μm 以下の天然
黒鉛を混合し、ステアリン酸モノアミド(融点:100
℃)0.1 重量%、エチレンビスステアリン酸アミド(融
点:146 〜147 ℃)0.2重量%、ステアリン酸リチウム
(融点:230 ℃)0.1 重量%を添加し、混合しながら16
0 ℃で加熱し、さらに混合しながら85℃以下に冷却し
た。
【0084】得られた各粉末混合物に対し、ステアリン
酸リチウム(融点:230 ℃)0.4 重量%を添加し、均一
に攪拌混合後、混合機から排出した(発明例23〜27)。
比較のために、上記予備処理A2を施さない平均粒径約
80μm の粉末冶金用合金鋼粉(Cr−Mn−Mo系完全合金化
鋼粉)、平均粒径23μm 以下の天然黒鉛を用いて同様に
上記の処理を行い、粉末混合物を得た(比較例4)。
【0085】次に、得られた各粉末混合物 100gを、20
〜140 ℃の所定の温度に加熱した後、排出孔径5mmΦの
オリフィスから排出し、排出終了までの時間を測定し、
実施例1と同様に流動性を調べた。実験結果を表4に示
す。比較例4と発明例23〜27の比較で明らかなように、
表面処理剤による処理を施した場合、混合粉の流動性が
格段に改良されている。
【0086】
【表4】
【0087】〔実施例5〕平均粒径約80μm の粉末冶金
用Cu−Ni−Mo系部分拡散合金化鋼粉、平均粒径23μm 以
下の天然黒鉛を混合し、各種オルガノアルコキシシラン
またはオルガノシラザンまたはチタネート系あるいはフ
ッ素系カップリング剤、シリコーンオイルあるいは鉱物
油を適量噴霧した。
【0088】上記した各種表面処理剤が被覆された各粉
末それぞれを、高速ミキサーで攪拌翼回転数:1000rpm
の条件下、1分間混合した後、ステアリン酸モノアミド
(融点:100℃)0.2 重量%、エチレンビスステアリン
酸アミド(融点:146 〜147℃)0.2 重量%を添加し、
混合しながら160 ℃で加熱した後、85℃以下に冷却し
た。
【0089】以上の処理を予備処理B2と記す。予備処
理B2で添加した表面処理剤の種類および添加量を表5
に示す。表5中の表面処理剤の欄に記載した記号の内容
は、表16に示す通りである。得られた粉末混合物に対
し、ヒドロキシステアリン酸リチウム(融点:216 ℃)
0.4 重量%を添加し、均一に攪拌混合後、混合機から排
出した(発明例28〜31)。
【0090】比較のために、平均粒径約80μm の粉末冶
金用Cu−Ni−Mo系部分拡散合金化鋼粉、平均粒径23μm
以下の天然黒鉛を混合し、上記予備処理B2中、表面処
理剤を添加しないで同様に上記の処理を行い、粉末混合
物を得た(比較例5)。次に、得られた粉末混合物 100
gを、20〜140 ℃の所定の温度に加熱した後、排出孔径
5mmΦのオリフィスから排出し、排出終了までの時間を
測定し、実施例1と同様に流動性を調べた。
【0091】実験結果を表5に示す。比較例5と発明例
28〜31の比較で明らかなように、表面処理剤による処理
を施した場合、混合粉の流動性が格段に改良されてい
る。
【0092】
【表5】
【0093】〔実施例6〕平均粒径約80μm の粉末冶金
用Cu系部分拡散合金化鋼粉、平均粒径23μm 以下の天然
黒鉛を混合し、ステアリン酸モノアミド(融点:100
℃)0.2 重量%、エチレンビスステアリン酸アミド(融
点:146 〜147 ℃)0.2 重量%を添加し、混合しながら
160 ℃で加熱したのち、約110 ℃に冷却した。
【0094】得られた粉末混合物に、さらに各種オルガ
ノアルコキシシランまたはオルガノシラザンまたはチタ
ネート系あるいはフッ素系カップリング剤、シリコーン
オイルあるいは鉱物油を適量噴霧した。上記した各種表
面処理剤が被覆された各粉末混合物それぞれを、高速ミ
キサーで攪拌翼回転数:1000rpm の条件下、1分間混合
した後、85℃以下に冷却した。
【0095】以上の処理を予備処理C2と記す。予備処
理C2で添加した表面処理剤の種類および添加量を表6
に示す。表6中の表面処理剤の欄に記載した記号の内容
は、表16に示す通りである。得られた各粉末混合物に対
し、ヒドロキシステアリン酸リチウム(融点:216℃)
0.4 重量%を添加し、均一に攪拌混合後、混合機から排
出した(発明例32〜34)。
【0096】次に、得られた粉末混合物 100gを、20〜
140 ℃の所定の温度に加熱した後、排出孔径5mmΦのオ
リフィスから排出し、排出終了までの時間を測定し、実
施例1と同様に流動性を調べた。実験結果を表6に示
す。比較例5と発明例32〜34の比較で明らかなように、
表面処理剤による処理を施した場合、混合粉の流動性が
格段に改良されている。
【0097】
【表6】
【0098】〔実施例7〕各種オルガノアルコキシシラ
ンまたはオルガノシラザンまたはチタネート系あるいは
フッ素系カップリング剤をエタノール中に、シリコーン
オイルまたは鉱物油をキシレン中にそれぞれ溶解し、平
均粒径約80μm の粉末冶金用Cu−Ni−Mo系部分拡散合金
化鋼粉、または平均粒径23μm 以下の天然黒鉛に適量噴
霧した。
【0099】得られた各粉末それぞれを高速ミキサーで
攪拌翼回転数:1000rpm の条件下、1分間混合した後、
溶媒を真空乾燥機にて除去し、さらに前記シラン、シラ
ザンまたはカップリング剤を噴霧したものは、約100 ℃
で1時間加熱した。以上の処理を予備処理A2と呼ぶ。
予備処理A2で添加した表面処理剤の種類および添加量
を表7および表8に示す。
【0100】表7および表8中の表面処理剤の欄に記載
した記号の内容は、表16に示す通りである。予備処理A
2を施した、あるいは予備処理A2を施さない平均粒径
約80μm の粉末冶金用合金鋼粉と、予備処理A2を施し
た、あるいは予備処理A2を施さない平均粒径23μm 以
下の天然黒鉛を混合し、ステアリン酸モノアミド(融
点:100 ℃)0.1 重量%、エチレンビスステアリン酸ア
ミド(融点:146 〜147 ℃)0.2 重量%、および、さら
に加えて熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーまた
は層状の結晶構造を持つ化合物のいずれかを0.1 重量%
添加し、混合しながら160 ℃で加熱し、さらに混合しな
がら85℃以下に冷却し、粉末混合物を得た。
【0101】添加した潤滑剤(熱可塑性樹脂または熱可
塑性エラストマーまたは層状の結晶構造を持つ化合物)
の種類および添加量を表7および表8に示す。表7およ
び表8中の潤滑剤の欄に記載した記号の内容は表17に示
す通りである。なお、比較のために、上記予備処理A2
を施さない平均粒径約80μm の粉末冶金用Cu−Ni−Mo系
部分拡散合金化鋼粉、平均粒径23μm 以下の天然黒鉛を
混合し、上記潤滑剤無添加で、同様に上記処理を行い、
粉末混合物を得た。
【0102】次に、得られた粉末混合物に対し、ステア
リン酸リチウム(融点:230 ℃)またはヒドロキシステ
アリン酸リチウム(融点:216 ℃)またはラウリン酸カ
ルシウム(融点:170℃)のうち少なくとも1種を合計
量で0.2 重量%添加し、均一に攪拌混合後、混合機から
排出した(発明例35〜39、比較例6)。次に、得られた
粉末混合物 100gを、20〜140 ℃の所定の温度に加熱し
た後、排出孔径5mmΦのオリフィスから排出し、排出終
了までの時間を測定し、実施例1と同様に流動性を調べ
た。
【0103】さらに、上記の流動性の調査と並行して、
上記の混合機から排出した粉末混合物を、150 ℃に加熱
しつつ、7ton/cm2 の成形圧力で11mmΦのタブレットに
成形し、成形時の抜出力と圧粉体密度(以下、表中にお
いては、圧粉密度と記す)を測定した。実験結果を表7
および表8に示す。
【0104】比較例6と発明例35〜39の比較で明らかな
ように、表面処理剤による処理を施した場合、混合粉の
各温度での流動性が格段に改良されている。また、比較
例6と発明例35〜39の比較で明らかなように、熱可塑性
樹脂または熱可塑性エラストマーまたは層状の結晶構造
を持つ化合物を添加し、かつ表面処理剤による処理を施
した場合、圧粉体密度が向上し、かつ抜出力が低減さ
れ、成形性が改善されている。
【0105】
【表7】
【0106】
【表8】
【0107】〔実施例8〕平均粒径約80μm の粉末冶金
用Cu−Ni−Mo系部分拡散合金化鋼粉、平均粒径23μm 以
下の天然黒鉛を混合し、各種オルガノアルコキシシラン
またはオルガノシラザンまたはチタネート系あるいはフ
ッ素系カップリング剤、シリコーンオイルまたは鉱物油
を適量噴霧した。
【0108】得られた各種粉末混合物それぞれを高速ミ
キサーで攪拌翼回転数:1000rpm の条件下、1分間混合
した後、ステアリン酸モノアミド(融点:100 ℃)0.2
重量%、エチレンビスステアリン酸アミド(融点:146
〜147 ℃)0.2 重量%、および、さらに加えて熱可塑性
樹脂または熱可塑性エラストマーまたは層状の結晶構造
を持つ化合物のいずれかを0.1 重量%添加し、混合しな
がら160 ℃で加熱し、さらに混合しながら85℃以下に冷
却した。
【0109】以上の処理を予備処理B2と記す。予備処
理B2で添加した表面処理剤、潤滑剤(熱可塑性樹脂ま
たは熱可塑性エラストマーまたは層状の結晶構造を持つ
化合物)の種類および添加量を表9に示す。表9中の表
面処理剤の欄に記載した記号の内容は表16に示す通りで
あり、また、潤滑剤の欄に記載した記号の内容は表17に
示す通りである。
【0110】次に、得られた粉末混合物に対し、ステア
リン酸リチウム(融点:230 ℃)またはヒドロキシステ
アリン酸リチウム(融点:216 ℃)またはラウリン酸カ
ルシウム(融点:170 ℃)のうち少なくとも1種を合計
量で0.2 重量%添加し、均一に攪拌混合後、混合機から
排出した(発明例40〜43)。
【0111】次に、得られた粉末混合物 100gを、20〜
140 ℃の所定の温度に加熱した後、排出孔径5mmΦのオ
リフィスから排出し、排出終了までの時間を測定し、実
施例1と同様に流動性を調べた。さらに、上記の流動性
の調査と並行して、上記の混合機から排出した粉末混合
物を、150 ℃に加熱しつつ、7ton/cm2 の成形圧力で11
mmΦのタブレットに成形し、成形時の抜出力と圧粉体密
度を測定した。
【0112】実験結果を表9に示す。比較例6と発明例
40〜43の比較で明らかなように、表面処理剤による処理
を施した場合、混合粉の各温度での流動性が格段に改良
されている。また、比較例6と発明例40〜43の比較で明
らかなように、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマ
ーまたは層状の結晶構造を持つ化合物を添加し、かつ表
面処理剤による処理を施した場合、圧粉体密度が向上
し、かつ抜出力が低減され、成形性が改善されている。
【0113】
【表9】
【0114】〔実施例9〕平均粒径約80μm の粉末冶金
用Cu−Ni−Mo系部分拡散合金化鋼粉、平均粒径23μm 以
下の天然黒鉛を混合し、ステアリン酸モノアミド(融
点:100 ℃)0.2 重量%、エチレンビスステアリン酸ア
ミド(融点:146 〜147 ℃)0.2 重量%、および、さら
に加えて熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーまた
は層状の結晶構造を持つ化合物のいずれかを0.1 重量%
添加し、混合しながら160 ℃で加熱したのち、約110 ℃
に冷却した。
【0115】得られた粉末混合物に、さらに各種オルガ
ノアルコキシシランまたはオルガノシラザンまたはチタ
ネート系あるいはフッ素系カップリング剤またはシリコ
ーンオイルまたは鉱物油を適量噴霧した。得られた各粉
末混合物それぞれを高速ミキサーで攪拌翼回転数:1000
rpm の条件下、1分間混合した後、85℃以下に冷却し
た。
【0116】以上の処理を予備処理C2と記す。予備処
理C2で添加した表面処理剤、潤滑剤(熱可塑性樹脂ま
たは熱可塑性エラストマーまたは層状の結晶構造を持つ
化合物)の種類および添加量を表10および表11に示す。
表10および表11中の表面処理剤の欄に記載した記号の内
容は表16に示す通りであり、また、潤滑剤の欄に記載し
た記号の内容は表17に示す通りである。
【0117】次に、得られた粉末混合物に対し、ヒドロ
キシステアリン酸リチウム(融点:216 ℃)0.4 重量%
を添加し、均一に攪拌混合後、混合機から排出した(発
明例44〜48)。次に、得られた粉末混合物 100gを、20
〜140 ℃の所定の温度に加熱した後、排出孔径5mmΦの
オリフィスから排出し、排出終了までの時間を測定し、
実施例1と同様に流動性を調べた。
【0118】さらに、上記の流動性の調査と並行して、
上記の混合機から排出した粉末混合物を、130 、150 、
170 、190 および210 ℃にそれぞれ加熱しつつ、7ton/
cm2の成形圧力で11mmΦのタブレットに成形し、成形時
の抜出力と圧粉体密度を測定した。実験結果を表10およ
び表11に示す。
【0119】比較例6と発明例44〜48の比較で明らかな
ように、表面処理剤による処理を施した場合、混合粉の
各温度での流動性が格段に改良されている。また、比較
例6と発明例44〜48の比較で明らかなように、熱可塑性
樹脂または熱可塑性エラストマーまたは層状の結晶構造
を持つ化合物を添加し、かつ表面処理剤による処理を施
した場合、130 〜210 ℃の広い成形温度範囲で圧粉体密
度が向上し、かつ抜出力が低減されて、成形性が改善さ
れている。
【0120】また、発明例44の成形温度範囲130 〜210
℃に比べ、成形温度70℃、90℃ではやや圧粉密度が小さ
く、成形温度220 ℃、240 ℃では抜き出し力が大きく、
成形性が劣る。
【0121】
【表10】
【0122】
【表11】
【0123】〔実施例10〕各種オルガノアルコキシシラ
ンまたはオルガノシラザンまたはチタネート系あるいは
フッ素系カップリング剤をエタノール中に、シリコーン
オイルまたは鉱物油をキシレン中にそれぞれ溶解し、平
均粒径約80μm の粉末冶金用Cu−Ni−Mo系部分拡散合金
化鋼粉、または平均粒径23μm 以下の天然黒鉛に適量噴
霧した。
【0124】得られた各粉末それぞれを高速ミキサーで
攪拌翼回転数:1000rpm の条件下、1分間混合した後、
溶媒を真空乾燥機にて除去し、さらに前記シラン、シラ
ザンまたはカップリング剤を噴霧したものは、約100 ℃
で1時間加熱した。以上の処理を予備処理A2と記す。
予備処理A2で添加した表面処理剤の種類および添加量
を表12に示す。
【0125】表12中の表面処理剤の欄に記載した記号の
内容は、表16に示す通りである。予備処理A2を施し
た、あるいは予備処理A2を施さない平均粒径約80μm
の粉末冶金用合金鋼粉と、予備処理A2を施した、ある
いは予備処理A2を施さない平均粒径23μm 以下の天然
黒鉛を混合し、ステアリン酸モノアミド(融点:100
℃)0.1 重量%、エチレンビスステアリン酸アミド(融
点:146 〜147 ℃)0.2 重量%、および、さらに加えて
熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーまたは層状の
結晶構造を持つ化合物のいずれかを0.1 重量%添加し、
混合しながら160 ℃で加熱し、さらに混合しながら85℃
以下に冷却した。
【0126】添加した潤滑剤(熱可塑性樹脂または熱可
塑性エラストマーまたは層状の結晶構造を持つ化合物)
の種類および添加量を表12に示す。表12中の潤滑剤の欄
に記載した記号の内容は表17に示す通りである。次に、
得られた粉末混合物に対し、ステアリン酸リチウム(融
点:230 ℃)またはヒドロキシステアリン酸リチウム
(融点:216 ℃)またはラウリン酸カルシウム(融点17
0 ℃)のうち少なくとも1種を合計量で0.2 重量%を添
加し、均一に攪拌混合後、混合機から排出した(発明例
49〜52)。
【0127】次に、得られた粉末混合物 100gを、20〜
140 ℃の所定の温度に加熱した後、排出孔径5mmΦのオ
リフィスから排出し、排出終了までの時間を測定し、実
施例1と同様に流動性を調べた。さらに、上記の流動性
の調査と並行して、上記の混合機から排出した粉末混合
物を、150 ℃に加熱しつつ、7ton/cm2 の成形圧力で11
mmΦのタブレットに成形し、成形時の抜出力と圧粉体密
度を測定した。
【0128】実験結果を表12に示す。比較例6と発明例
49〜52の比較で明らかなように、表面処理剤による処理
を施した場合、混合粉の各温度での流動性が格段に改良
されている。また、比較例6と発明例49〜52の比較で明
らかなように、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマ
ーまたは層状の結晶構造を持つ化合物を添加し、かつ表
面処理剤による処理を施した場合、圧粉体密度が向上
し、かつ抜出力が低減されて、成形性が改善されてい
る。
【0129】
【表12】
【0130】〔実施例11〕平均粒径約80μm の粉末冶金
用Cu−Ni−Mo系部分拡散合金化鋼粉、平均粒径23μm 以
下の天然黒鉛を混合し、各種オルガノアルコキシシラン
またはオルガノシラザンまたはチタネート系あるいはフ
ッ素系カップリング剤またはシリコーンオイルまたは鉱
物油を適量噴霧した。
【0131】得られた各粉末混合物それぞれを高速ミキ
サーで攪拌翼回転数:1000rpm の条件下、1分間混合し
た後、ステアリン酸カルシウム(融点:148 〜155 ℃)
を0.1 重量%、ステアリン酸リチウム(融点:230 ℃)
を0.3 重量%添加し、混合しながら160 ℃で加熱し、さ
らに混合しながら85℃以下に冷却した。以上の処理を予
備処理B2と記す。
【0132】予備処理B2で添加した表面処理剤の種類
および添加量を表13に示す。表13中の表面処理剤の欄に
記載した記号の内容は表16に示す通りである。次に、得
られた粉末混合物に対し、ステアリン酸リチウム(融点
230 ℃)0.1重量%、および、さらに加えて熱可塑性樹
脂または熱可塑性エラストマーまたは層状の結晶構造を
持つ化合物のいずれか少なくとも1種である潤滑剤を合
計量で0.2 重量%添加し、均一に攪拌混合後、混合機か
ら排出した(発明例53〜56)。
【0133】添加した潤滑剤の種類および添加量を表13
に示す。表13中の潤滑剤の欄に記載した記号の内容は表
17に示す通りである。次に、得られた粉末混合物 100g
を、20〜140 ℃の所定温度に加熱した後、排出孔径5mm
Φのオリフィスから排出し、排出終了までの時間を測定
し、実施例1と同様に流動性を調べた。
【0134】さらに、上記の流動性の調査と並行して、
上記の混合機から排出した粉末混合物を、150 ℃に加熱
しつつ、7ton/cm2 の成形圧力で11mmΦのタブレットに
成形し、成形時の抜出力と圧粉体密度を測定した。実験
結果を表13に示す。比較例6と発明例53〜56の比較で明
らかなように、表面処理剤による処理を施した場合、混
合粉の各温度での流動性が格段に改良されている。
【0135】また、比較例6と発明例53〜56の比較で明
らかなように、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマ
ーまたは層状の結晶構造を持つ化合物を添加し、かつ表
面処理剤による処理を施した場合、圧粉体密度が向上
し、かつ抜出力が低減されて、成形性が改善されてい
る。
【0136】
【表13】
【0137】〔実施例12〕平均粒径約80μm の粉末冶金
用Cu−Ni−Mo系部分拡散合金化鋼粉、平均粒径23μm 以
下の天然黒鉛を混合し、ステアリン酸モノアミド(融
点:100 ℃)0.2 重量%、エチレンビスステアリン酸ア
ミド(融点:146 〜147 ℃)0.2 重量%を添加し、混合
しながら160 ℃で加熱したのち、約110 ℃に冷却した。
【0138】得られた粉末混合物に、さらに各種オルガ
ノアルコキシシランまたはオルガノシラザンまたはチタ
ネート系あるいはフッ素系カップリング剤またはシリコ
ーンオイルまたは鉱物油を適量噴霧した。上記した各種
表面処理剤が被覆された各粉末混合物それぞれを、高速
ミキサーで攪拌翼回転数:1000rpm の条件下、1分間混
合した後、85℃以下に冷却した。
【0139】以上の処理を予備処理C2と記す。予備処
理C2で添加した表面処理剤の種類および添加量を表14
に示す。表14中の表面処理剤の欄に記載した記号の内容
は、表16に示す通りである。次に、得られた粉末混合物
に対し、ステアリン酸リチウム(融点:230 ℃)0.1 重
量%、および、さらに加えて熱可塑性樹脂または熱可塑
性エラストマーまたは層状の結晶構造を持つ化合物のい
ずれか少なくとも1種である潤滑剤を合計量で0.2 重量
%添加し、均一に攪拌混合後、混合機から排出した(発
明例57〜59)。
【0140】添加した潤滑剤の種類および添加量を表14
に示す。表14中の潤滑剤の欄に記載した記号の内容は表
17に示す通りである。次に、得られた粉末混合物 100g
を、20〜140 ℃の所定の温度に加熱した後、排出孔径5
mmΦのオリフィスから排出し、排出終了までの時間を測
定し、実施例1と同様に流動性を調べた。
【0141】さらに、上記の流動性の調査と並行して、
上記の混合機から排出した粉末混合物を、150 ℃に加熱
しつつ、7ton/cm2 の成形圧力で11mmΦのタブレットに
成形し、成形時の抜出力と圧粉体密度を測定した。実験
結果を表14に示す。比較例6と発明例57〜59の比較で明
らかなように、表面処理剤による処理を施した場合、混
合粉の各温度での流動性が格段に改良されている。
【0142】また、比較例6と発明例57〜59の比較で明
らかなように、表面処理剤による処理を施した場合、圧
粉体密度が向上し、かつ抜出力が低減されて、成形性が
改善されている。
【0143】
【表14】
【0144】〔実施例13〕平均粒径約80μm の粉末冶
金用Cu−Ni−Mo系部分拡散合金化鋼粉、平均粒径23μm
以下の天然黒鉛を混合し、ステアリン酸モノアミド(融
点:100 ℃)0.2 重量%、エチレンビスステアリン酸ア
ミド(融点:146 〜147 ℃)0.2 重量%を添加し、混合
しながら160 ℃で加熱したのち、約110 ℃に冷却した。
【0145】得られた粉末混合物に、さらに各種オルガ
ノアルコキシシランまたはオルガノシラザンまたはチタ
ネート系あるいはフッ素系カップリング剤またはシリコ
ーンオイルまたは鉱物油を適量噴霧した。上記した各種
表面処理剤が被覆された各粉末混合物それぞれを、高速
ミキサーで攪拌翼回転数:1000rpm の条件下、1分間混
合した後、85℃以下に冷却した。
【0146】以上の処理を予備処理C2と記す。予備処
理C2で添加した表面処理剤の種類および添加量を表15
に示す。表15中の表面処理剤の欄に記載した記号の内容
は、表16に示す通りである。次に、得られた粉末混合物
に対し、ステアリン酸リチウム(融点:230 ℃)0.1 重
量%、および、さらに加えて熱可塑性樹脂または熱可塑
性エラストマーまたは層状の結晶構造を持つ化合物のい
ずれか少なくとも1種である潤滑剤を合計量で0.2 重量
%添加し、均一に攪拌混合後、混合機から排出した(発
明例60〜63)。
【0147】添加した潤滑剤の種類および添加量を表15
に示す。表15中の潤滑剤の欄に記載した記号の内容は表
17に示す通りである。次に、得られた粉末混合物 100g
を、20〜140 ℃の所定の温度に加熱した後、排出孔径5
mmΦのオリフィスから排出し、排出終了までの時間を測
定し、実施例1と同様に流動性を調べた。
【0148】さらに、上記の流動性の調査と並行して、
上記の混合機から排出した粉末混合物を、150 ℃に加熱
しつつ、7ton/cm2 の成形圧力で11mmΦのタブレットに
成形し、成形時の抜出力と圧粉体密度を測定した。実験
結果を表15に示す。比較例6と発明例60〜63の比較で明
らかなように、表面処理剤による処理を施した場合、混
合粉の各温度での流動性が格段に改良されている。
【0149】また、比較例6と発明例60〜63の比較で明
らかなように、表面処理剤による処理のみを施した場合
にも、圧粉体密度が向上し、かつ抜出力が低減されて、
成形性が改善されている。
【0150】
【表15】
【0151】
【表16】
【0152】
【表17】
【0153】〔実施例14〕鉄基粉末を表18〜表21に示
す合金鋼粉とした以外は実施例4と同様に予備処理A2
を合金鋼粉に施した。予備処理A2で添加した表面処理
剤の種類および添加量を、表18〜21に示す。表18〜21の
表面処理剤の欄に記載した記号の内容は、表16に示す通
りである。
【0154】予備処理A2を施した合金鋼粉と天然黒鉛
を混合し、ステアリン酸カルシウム(融点:148 〜155
℃)0.15重量%および平均粒径約10〜20μmの熱可塑性
樹脂、熱可塑性エラストマー、層状の結晶構造を有する
化合物の内1種を0.2 重量%添加し、混合しながら160
℃で加熱し、さらに混合しながら85℃以下に冷却した。
【0155】添加した潤滑剤(熱可塑性樹脂、熱可塑性
エラストマーまたは層状の結晶構造を有する化合物)の
種類および添加量を、表18〜21に示す。表18〜21の潤滑
剤の欄に記載した記号の内容は表17に示す通りである。
次に、得られた各粉末混合物に対し、ステアリン酸リチ
ウム(融点:230 ℃)、ヒドロキシステアリン酸リチウ
ム(融点:216 ℃)の内1種または2種を、計0.4 重量
%添加(:二次添加)し、均一に攪拌混合後、混合機か
ら排出した(発明例64〜67)。
【0156】なお、比較のために、上記予備処理A2を
施さない以外は上記発明例64〜67と同様にして粉末混合
物を得た(比較例7、9、11、13)。また、上記予備処
理A2を施さない合金鋼粉と天然黒鉛を、潤滑剤を全く
添加せずに混合し、発明例64〜67と同様に処理し、粉末
混合物を得た(比較例8、10、12、14)。
【0157】次に、得られた各粉末混合物 100gを、20
〜170 ℃の所定の温度に加熱した後、排出孔径5mmΦの
オリフィスから排出し、排出終了までの時間を測定し、
流動性を調べた。さらに、上記の流動性の調査と並行し
て、上記の混合機から排出した粉末混合物を、150 、18
0 、210 ℃にそれぞれ加熱しつつ、7ton/cm2 の成形圧
力で11mmΦのタブレットに成形し、成形時の抜出力と圧
粉体密度を測定した。
【0158】実験結果を表18〜21に示す。比較例7、
9、11、13と発明例64、65、66、67とのそれぞれの比較
から明らかなように、表面処理剤による処理を施した場
合、混合粉の各温度での流動性が格段に改良されてい
る。また、比較例8、10、12、14と発明例64、65、66、
67とのそれぞれの比較から明らかなように、本発明によ
れば、鉄基粉末の表面処理の効果に加えて、潤滑剤の効
果によって、150 〜210 ℃の成形温度範囲で流動性の改
善および良好な成形性が実現されている。発明例64で
は、150 〜210 ℃の成形温度範囲に比較して、成形温度
110 ℃、130 ℃ではやや圧粉密度が小さく、成形温度24
0 ℃、260 ℃では抜き出し力が大きいので、成形性が劣
る。しかし、発明例64の成形温度110 ℃、130 ℃での圧
粉密度と抜出力は、比較例7に比して、やや良好であ
る。また、発明例64の成形温度240 ℃、260 ℃での圧粉
密度は比較例8に比してやや良く、抜出力はかなり良
い。
【0159】
【表18】
【0160】
【表19】
【0161】
【表20】
【0162】
【表21】
【0163】〔実施例15〕平均粒径約80μm の表22〜
表25に示す合金鋼粉と平均粒径23μm の天然黒鉛を混合
し、得られた混合物に、各種オルガノアルコキシシラ
ン、オルガノシラザン、チタネート系カップリング剤、
フッ素系カップリング剤、シリコーンオイル、または鉱
物油の内の1種を適量噴霧した。
【0164】以上の処理を予備処理B3と記す。予備処
理B3で添加した表面処理剤の種類および添加量を、表
22〜25に示す。表22〜25の表面処理剤の欄に記載した記
号の内容は、表16に示す通りである。上記した各種表面
処理剤が被覆された各粉末混合物それぞれを、高速ミキ
サーで攪拌翼回転数:1000rpm の条件下、1分間混合し
た後、ステアリン酸カルシウム(融点:148 〜155 ℃)
0.15重量%および平均粒径約10μmの熱可塑性樹脂、熱
可塑性エラストマー、層状の結晶構造を持つ化合物の内
の1種を0.2 重量%添加し、混合しながら160 ℃で加熱
し、さらに混合しながら85℃以下に冷却した。
【0165】添加した潤滑剤(熱可塑性樹脂、熱可塑性
エラストマーまたは層状の結晶構造を有する化合物)の
種類および添加量を、表22〜25に示す。表22〜25の潤滑
剤の欄に記載した記号の内容は表17に示す通りである。
次に、得られた各粉末混合物に対し、ステアリン酸リチ
ウム(融点:230 ℃)、ヒドロキシステアリン酸リチウ
ム(融点:216 ℃)またはラウリン酸カルシウム(融
点:170 ℃)の内少なくとも1種、計0.4 重量%を添加
(:二次添加)し、均一に攪拌混合後、混合機から排出
した(発明例68〜71)。
【0166】なお、比較のために、上記予備処理B3を
施さない以外は上記発明例68〜71と同様にして粉末混合
物を得た(比較例15、17、19、21)。また、上記予備処
理B3を施さない合金鋼粉と平均粒径約23μmの天然黒
鉛を、潤滑剤を全く添加せずに混合し、発明例68〜71と
同様に処理し、粉末混合物を得た(比較例16、18、20、
22)。
【0167】次に、得られた各粉末混合物 100gを、20
〜170 ℃の所定の温度に加熱した後、排出孔径5mmΦの
オリフィスから排出し、排出終了までの時間を測定し、
流動性を調べた。さらに、上記の流動性の調査と並行し
て、上記の混合機から排出した粉末混合物を、180 ℃に
加熱しつつ、7ton/cm2 の成形圧力で11mmΦのタブレッ
トに成形し、成形時の抜出力と圧粉体密度を測定した。
【0168】実験結果を表22〜25に示す。比較例15、1
7、19、21と発明例68、69、70、71とのそれぞれの比較
から明らかなように、表面処理剤による処理を施した場
合、混合粉の各温度での流動性が格段に改良されてい
る。また、比較例16、18、20、22と発明例68、69、70、
71とのそれぞれの比較から明らかなように、本発明によ
れば、鉄基粉末の表面処理の効果に加えて、潤滑剤の効
果によって、流動性の改善および良好な成形性が実現さ
れている。
【0169】
【表22】
【0170】
【表23】
【0171】
【表24】
【0172】
【表25】
【0173】〔実施例16〕平均粒径約80μm の表26〜
表29に示す合金鋼粉と平均粒径23μm の天然黒鉛を混合
し、得られた混合物に、ステアリン酸カルシウム(融
点:148 〜155 ℃)0.20重量%および平均粒径約10μm
の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、層状の結晶構
造を持つ化合物の内から少なくとも1種、計0.2 重量%
を添加し、混合しながら160 ℃で加熱した。次に混合し
ながら110 ℃に冷却し、各種オルガノアルコキシシラ
ン、オルガノシラザン、チタネート系カップリング剤、
フッ素系カップリング剤、シリコーンオイル、または鉱
物油の内の1種を適量噴霧し、高速ミキサーで攪拌翼回
転数:1000rpm の条件下、1分間混合する予備処理C3
を施した。
【0174】添加した潤滑剤(熱可塑性樹脂、熱可塑性
エラストマーまたは層状の結晶構造を有する化合物)の
種類および添加量を、表26〜29に示す。表26〜29の潤滑
剤の欄に記載した記号の内容は表17に示す通りである。
次に、85℃以下に冷却し、ステアリン酸リチウム(融
点:230 ℃)、ヒドロキシステアリン酸リチウム、ラウ
リン酸カルシウム(融点:17℃)の内少なくとも1種
を、合金鋼粉に対して計0.3 重量%を添加(:二次添
加)し、均一に攪拌混合後、混合機から排出した(発明
例72〜75)。
【0175】予備処理C3で添加した表面処理剤の種類
および添加量を、表26〜29に示す。表26〜29の表面処理
剤の欄に記載した記号の内容は、表16に示す通りであ
る。なお、比較のために、上記予備処理C3を施さない
以外は上記発明例72〜75と同様にして粉末混合物を得た
(比較例23、25、27、29)。また、上記予備処理C3を
施さない合金鋼粉と平均粒径約23μmの天然黒鉛を、潤
滑剤を全く添加せずに混合し、発明例72〜75と同様に処
理し、粉末混合物を得た(比較例24、26、28、30)。
【0176】次に、得られた各粉末混合物 100gを、20
〜170 ℃の所定の温度に加熱した後、排出孔径5mmΦの
オリフィスから排出し、排出終了までの時間を測定し、
流動性を調べた。さらに、上記の流動性の調査と並行し
て、上記の混合機から排出した粉末混合物を、180 ℃に
加熱しつつ、7ton/cm2 の成形圧力で11mmΦのタブレッ
トに成形し、成形時の抜出力と圧粉体密度を測定した。
【0177】実験結果を表26〜29に示す。比較例23、2
5、27、29と発明例72、73、74、75とのそれぞれの比較
から明らかなように、表面処理剤による処理を施した場
合、混合粉の各温度での流動性が格段に改良されてい
る。また、比較例24、26、28、30と発明例72、73、74、
75とのそれぞれの比較から明らかなように、本発明によ
れば、鉄基粉末の表面処理の効果に加えて、潤滑剤の効
果によって、流動性の改善および良好な成形性が実現さ
れている。
【0178】
【表26】
【0179】
【表27】
【0180】
【表28】
【0181】
【表29】
【0182】〔実施例17〕平均粒径約80μm の粉末冶
金用Cu−Ni−Mo系部分拡散合金化鋼粉と平均粒径23μm
の天然黒鉛を混合し、得られた混合物に、ステアリン酸
(融点:70.1℃)0.15重量%、ステアリン酸リチウム
(融点:230 ℃)0.15重量%およびメラミンシアヌル酸
付加化合物0.15重量%を添加し、混合しながら160 ℃に
加熱した。
【0183】次に、混合しながら110 ℃に冷却し、各種
オルガノアルコキシシランを適量噴霧し、高速ミキサー
で攪拌翼回転数:1000rpm の条件下、1分間混合する予
備処理C3を施した。予備処理C3で添加した表面処理
剤の種類および添加量を表30、表31に示す。表30、表31
の表面処理剤の欄に記載した記号の内容は、表16に示す
通りである。
【0184】次に、得られた粉末混合物の各々につい
て、混合しながら85℃以下に冷却し、ステアリン酸リチ
ウム(融点:230 ℃)またはラウリン酸カルシウム(融
点:170 ℃)の内少なくとも1種を合金鋼粉に対して計
0.3 重量%添加し、均一に撹拌混合後、混合機から排出
した(発明例76、77)。なお、比較のために、上記予備
処理C3を施さない以外は上記発明例76、77と同様にし
て粉末混合物を得た(比較例31、33)。
【0185】また、上記予備処理C3を施さない合金鋼
粉と平均粒径約23μmの天然黒鉛を、潤滑剤を全く添加
せずに混合し、発明例76、77と同様に処理し、粉末混合
物を得た(比較例32、34)。次に、得られた各粉末混合
物 100gを、20〜150 ℃の所定の温度に加熱した後、排
出孔径5mmΦのオリフィスから排出し、排出終了までの
時間を測定し、流動性を調べた。
【0186】さらに、上記の流動性の調査と並行して、
上記の混合機から排出した粉末混合物を、150 ℃に加熱
しつつ、7ton/cm2 の成形圧力で11mmΦのタブレットに
成形し、成形時の抜出力と圧粉体密度を測定した。実験
結果を表30、31に示す。比較例31、33と発明例76、77と
のそれぞれの比較から明らかなように、表面処理剤によ
る処理を施した場合、混合粉の各温度での流動性が格段
に改良されている。
【0187】また、比較例32、34と発明例76、77とのそ
れぞれの比較から明らかなように、各種潤滑剤を添加せ
ずに表面処理剤による処理を施した鉄粉を用いた混合粉
は、流動性が劣化するばかりか、圧粉体密度が低下し、
かつ抜出力が増大している。一方、本発明によれば、鉄
基粉末の表面処理の効果に加えて、潤滑剤の効果によっ
て、流動性の改善および良好な成形性が実現されてい
る。
【0188】
【表30】
【0189】
【表31】
【0190】
【発明の効果】本発明によれば、常温のみならず温間に
おいても優れた流動性が得られる粉末冶金用鉄基粉末混
合物を提供することが可能となった。さらに本発明によ
れば、優れた流動性を有すると共に、常温および温間に
おいて、成形時の抜出力が低減され、成形性が改善され
た粉末冶金用鉄基粉末混合物を提供することが可能とな
った。また、本発明の粉末混合物を用い、所定の温度範
囲の温間成形を行うことにより、高密度の成形体を製造
でき、産業上格段の効果を奏する。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C10M 127/04 C10M 131/00 131/00 139/00 Z 139/00 139/04 139/04 155/02 155/02 159/04 159/04 171/06 171/06 B22F 3/02 M // C10N 10:08 20:06 30:08 40:24 40:36 50:08 70:00

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄基粉末と潤滑剤と合金用粉末を含む鉄
    基粉末混合物であって、前記鉄基粉末、潤滑剤および合
    金用粉末から選ばれる1種以上が、下記表面処理剤の内
    から選ばれる1種以上の表面処理剤によって被覆された
    粉末であることを特徴とする流動性および成形性に優れ
    た粉末冶金用鉄基粉末混合物。 記 表面処理剤:オルガノアルコキシシラン、オルガノシラ
    ザン、チタネート系カップリング剤、フッ素系カップリ
    ング剤
  2. 【請求項2】 鉄基粉末と、該鉄基粉末に溶融・固着し
    た潤滑剤と、該潤滑剤により鉄基粉末に付着した合金用
    粉末と、遊離した潤滑剤粉末と、を含む鉄基粉末混合物
    であって、前記鉄基粉末、潤滑剤および合金用粉末から
    選ばれる1種以上が、下記表面処理剤の内から選ばれる
    1種以上の表面処理剤によって被覆された粉末であるこ
    とを特徴とする流動性および成形性に優れた粉末冶金用
    鉄基粉末混合物。 記 表面処理剤:オルガノアルコキシシラン、オルガノシラ
    ザン、チタネート系カップリング剤、フッ素系カップリ
    ング剤
  3. 【請求項3】 前記1種以上の表面処理剤に代えて、鉱
    物油またはシリコーンオイルを表面処理剤とすることを
    特徴とする請求項1または2に記載の粉末冶金用鉄基粉
    末混合物。
  4. 【請求項4】 前記鉱物油が、アルキルベンゼンである
    ことを特徴とする請求項3に記載の流動性および成形性
    に優れた粉末治金用鉄基粉末混合物。
  5. 【請求項5】 前記オルガノアルコキシシランが置換お
    よび非置換の有機基を有するものから選ばれる1種以上
    であることを特徴とする請求項1または2に記載の流動
    性および成形性に優れた粉末冶金用鉄基粉末混合物。
  6. 【請求項6】 前記有機基の置換基が、アクリル基、エ
    ポキシ基およびアミノ基のいずれかであることを特徴と
    する請求項5に記載の流動性および成形性に優れた粉末
    冶金用鉄基粉末混合物。
  7. 【請求項7】 前記潤滑剤が、脂肪酸アミドおよび/ま
    たは金属石鹸であることを特徴とする請求項1ないし6
    のいずれかに記載の流動性および成形性に優れた粉末冶
    金用鉄基粉末混合物。
  8. 【請求項8】 前記潤滑剤が、さらに加えて、層状の結
    晶構造を有する無機化合物、層状の結晶構造を有する有
    機化合物、熱可塑性樹脂および熱可塑性エラストマーか
    ら選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求項7に
    記載の流動性および成形性に優れた粉末冶金用鉄基粉末
    混合物。
  9. 【請求項9】 前記潤滑剤が、さらに加えて、脂肪酸を
    含むことを特徴とする請求項7または8に記載の流動性
    および成形性に優れた粉末冶金用鉄基粉末混合物。
  10. 【請求項10】 前記脂肪酸アミドが、脂肪酸モノアミド
    および脂肪酸ビスアミドから選ばれる1種以上であるこ
    とを特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載の流
    動性および成形性に優れた粉末冶金用鉄基粉末混合物。
  11. 【請求項11】 前記層状の結晶構造を有する無機化合物
    が、黒鉛、フッ化炭素およびMoS2から選ばれる1種以上
    であることを特徴とする請求項8ないし10のいずれかに
    記載の流動性および成形性に優れた粉末冶金用鉄基粉末
    混合物。
  12. 【請求項12】 前記層状の結晶構造を有する有機化合物
    が、メラミン−シアヌル酸付加化合物および/またはN
    −アルキルアスパラギン酸−β−アルキルエステルであ
    ることを特徴とする請求項8ないし11のいずれかに記載
    の流動性および成形性に優れた粉末冶金用鉄基粉末混合
    物。
  13. 【請求項13】 前記熱可塑性樹脂が、粒径が30μm 以下
    の粉末状のポリスチレン、ナイロン、ポリエチレンおよ
    びフッ素樹脂から選ばれる1種以上であることを特徴と
    する請求項8ないし12のいずれかに記載の流動性および
    成形性に優れた粉末冶金用鉄基粉末混合物。
  14. 【請求項14】 前記熱可塑性エラストマーが、粒径が30
    μm 以下の粉末状の熱可塑性エラストマーであることを
    特徴とする請求項8ないし13のいずれかに記載の流動性
    および成形性に優れた粉末冶金用鉄基粉末混合物。
  15. 【請求項15】 前記熱可塑性エラストマーが、スチレン
    系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラス
    トマー、アミド系熱可塑性エラストマーおよびシリコー
    ン系熱可塑性エラストマーから選ばれる1種以上である
    ことを特徴とする請求項8ないし14のいずれかに記載の
    流動性および成形性に優れた粉末冶金用鉄基粉末混合
    物。
  16. 【請求項16】 前記遊離した潤滑剤粉末が、潤滑剤の合
    計重量に対して、25重量%以上、80重量%以下であるこ
    とを特徴とする請求項2ないし15のいずれかに記載の粉
    末冶金用鉄基粉末混合物。
  17. 【請求項17】 鉄基粉末に溶融・固着した潤滑剤で合金
    用粉末を付着する粉末冶金用鉄基粉末混合物の製造方法
    において、前記鉄基粉末および合金用粉末の少なくとも
    いずれかを表面処理剤で被覆した後、前記鉄基粉末およ
    び合金用粉末に前記潤滑剤群Aの中から選ばれる少なく
    とも1種以上の潤滑剤を加えて1次混合し、1次混合後
    の混合物を、前記潤滑剤の内少なくとも1種の潤滑剤の
    融点以上に加熱しつつ攪拌して前記潤滑剤の内少なくと
    も1種の潤滑剤を溶融し、溶融後の混合物を混合しなが
    ら冷却し、前記鉄基粉末の表面に、溶融・固着した前記
    潤滑剤で前記合金用粉末を付着し、さらに、下記潤滑剤
    群Aの中から選ばれる1種以上の潤滑剤を加えて2次混
    合することを特徴とする流動性および成形性に優れた粉
    末冶金用鉄基粉末混合物の製造方法。 記 潤滑剤群A:脂肪酸アミド、金属石鹸、熱可塑性樹脂、
    熱可塑性エラストマー、層状の結晶構造を有する無機化
    合物および層状の結晶構造を有する有機化合物
  18. 【請求項18】 鉄基粉末に溶融・固着した潤滑剤で合金
    用粉末を付着する粉末冶金用鉄基粉末混合物の製造方法
    において、前記鉄基粉末および合金用粉末の少なくとも
    いずれかを表面処理剤で被覆した後、前記鉄基粉末およ
    び合金用粉末に脂肪酸、脂肪酸アミド、金属石鹸の中か
    ら選ばれる少なくとも1種以上の潤滑剤を加えて1次混
    合し、1次混合後の混合物を、前記潤滑剤の内少なくと
    も1種の潤滑剤の融点以上に加熱しつつ攪拌して前記潤
    滑剤の内少なくとも1種の潤滑剤を溶融し、溶融後の混
    合物を混合しながら冷却し、前記鉄基粉末の表面に、溶
    融・固着した前記潤滑剤で前記合金用粉末を付着し、さ
    らに、脂肪酸、脂肪酸アミド、金属石鹸の中から選ばれ
    る1種以上の潤滑剤を加えて2次混合することを特徴と
    する流動性および成形性に優れた粉末冶金用鉄基粉末混
    合物の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記1次混合する潤滑剤を、脂肪酸アミ
    ドおよび下記潤滑剤群Aの中から選ばれた前記脂肪酸ア
    ミドよりも融点の高い潤滑剤1種以上とすることを特徴
    とする請求項17に記載の流動性および成形性に優れた粉
    末冶金用鉄基粉末混合物の製造方法。 記 潤滑剤群A:脂肪酸アミド、金属石鹸、熱可塑性樹脂、
    熱可塑性エラストマー、層状の結晶構造を有する無機化
    合物および層状の結晶構造を有する有機化合物
  20. 【請求項20】 前記1次混合する潤滑剤を、金属石鹸お
    よび下記潤滑剤群Aの中から選ばれた前記金属石鹸より
    も融点の高い潤滑剤1種以上とすることを特徴とする請
    求項17に記載の流動性および成形性に優れた粉末冶金用
    鉄基粉末混合物の製造方法。 記 潤滑剤群A:脂肪酸アミド、金属石鹸、熱可塑性樹脂、
    熱可塑性エラストマー、層状の結晶構造を有する無機化
    合物および層状の結晶構造を有する有機化合物
  21. 【請求項21】 鉄基粉末に溶融・固着した潤滑剤で合金
    用粉末を付着する粉末冶金用鉄基粉末混合物の製造方法
    において、前記鉄基粉末および合金用粉末に、下記潤滑
    剤群Aの中から選ばれる少なくとも1種以上の潤滑剤を
    加えて1次混合し、1次混合後の混合物を、前記潤滑剤
    の内少なくとも1種の潤滑剤の融点以上に加熱しつつ攪
    拌して前記潤滑剤の内少なくとも1種の潤滑剤を溶融
    し、溶融後の混合物を混合しながら冷却し、冷却過程の
    100 〜140 ℃の温度域で表面処理剤を添加混合するとと
    もに前記鉄基粉末の表面に、溶融・固着した前記潤滑剤
    で前記合金用粉末を付着し、さらに、下記潤滑剤群Aの
    中から選ばれる1種以上の潤滑剤を加えて2次混合する
    ことを特徴とする流動性および成形性に優れた粉末冶金
    用鉄基粉末混合物の製造方法。 記 潤滑剤群A:脂肪酸アミド、金属石鹸、熱可塑性樹脂、
    熱可塑性エラストマー、層状の結晶構造を有する無機化
    合物および層状の結晶構造を有する有機化合物
  22. 【請求項22】 鉄基粉末に溶融・固着した潤滑剤で合金
    用粉末を付着する粉末冶金用鉄基粉末混合物の製造方法
    において、前記鉄基粉末および合金用粉末に、脂肪酸、
    脂肪酸アミド、金属石鹸の中から選ばれる少なくとも1
    種以上の潤滑剤を加えて1次混合し、1次混合後の混合
    物を、前記潤滑剤の内少なくとも1種の潤滑剤の融点以
    上に加熱しつつ攪拌して前記潤滑剤の内少なくとも1種
    の潤滑剤を溶融し、溶融後の混合物を混合しながら冷却
    し、冷却過程の100 〜140 ℃の温度域で表面処理剤を添
    加混合するとともに前記鉄基粉末の表面に、溶融・固着
    した前記潤滑剤で前記合金用粉末を付着し、さらに、脂
    肪酸、脂肪酸アミド、金属石鹸の中から選ばれる1種以
    上の潤滑剤を加えて2次混合することを特徴とする流動
    性および成形性に優れた粉末冶金用鉄基粉末混合物の製
    造方法。
  23. 【請求項23】 前記1次混合する潤滑剤を、脂肪酸アミ
    ドおよび下記潤滑剤群Aの中から選ばれた前記脂肪酸ア
    ミドよりも融点の高い潤滑剤1種以上とすることを特徴
    とする請求項21に記載の流動性および成形性に優れた粉
    末冶金用鉄基粉末混合物の製造方法。 記 潤滑剤群A:脂肪酸アミド、金属石鹸、熱可塑性樹脂、
    熱可塑性エラストマー、層状の結晶構造を有する無機化
    合物および層状の結晶構造を有する有機化合物
  24. 【請求項24】 前記1次混合する潤滑剤を、金属石鹸お
    よび下記潤滑剤群Aの中から選ばれた前記金属石鹸より
    も融点の高い潤滑剤1種以上とすることを特徴とする請
    求項21に記載の流動性および成形性に優れた粉末冶金用
    鉄基粉末混合物の製造方法。 記 潤滑剤群A:脂肪酸アミド、金属石鹸、熱可塑性樹脂、
    熱可塑性エラストマー、層状の結晶構造を有する無機化
    合物および層状の結晶構造を有する有機化合物
  25. 【請求項25】 前記表面処理剤が、オルガノアルコキシ
    シラン、オルガノシラザン、チタネート系カップリング
    剤、フッ素系カップリング剤から選ばれる1種以上であ
    る請求項17ないし24のいずれかに記載の流動性および成
    形性に優れた粉末冶金用鉄基粉末混合物の製造方法。
  26. 【請求項26】 前記表面処理剤が、鉱物油またはシリコ
    ーンオイルである請求項17ないし24のいずれかに記載の
    流動性および成形性に優れた粉末冶金用鉄基粉末混合物
    の製造方法。
  27. 【請求項27】 前記2次混合時に加える潤滑剤の重量比
    率を,該潤滑剤の重量と前記1次混合時に加える潤滑剤
    の重量との合計に対し,25重量%以上、80重量%以下と
    することを特徴とする請求項17ないし26のいずれかに記
    載の流動性および成形性に優れた粉末冶金用鉄基粉末混
    合物の製造方法。
  28. 【請求項28】 鉄基粉末混合物を加圧成形し成形体とす
    る鉄基粉末成形体の製造方法において、請求項2ないし
    16のいずれかに記載の鉄基粉末混合物を使用し、前記加
    圧成形の温度を、前記鉄基粉末混合物中に含まれる潤滑
    剤の最低融点以上最高融点未満の温度範囲とすることを
    特徴とする高密度鉄基粉末成形体の製造方法。
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