JP3509540B2 - 流動性と成形性に優れた粉末冶金用鉄基粉末混合物、その製造方法および成形体の製造方法 - Google Patents

流動性と成形性に優れた粉末冶金用鉄基粉末混合物、その製造方法および成形体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄粉、合金鋼粉な
どの鉄基粉末に、黒鉛粉、銅粉などの合金用粉末および
潤滑剤を添加・混合した粉末冶金用鉄基粉末混合粉に関
し、さらに詳しくは、前記添加物の偏析および発塵(ダ
スト)の発生が少なく、かつ常温から 200℃程度の温度
までの広い温度範囲で流動性および成形性が極めて優れ
た粉末冶金用鉄基粉末混合物に関する。
【0002】
【従来の技術】粉末冶金用鉄基粉末混合物は、鉄粉に銅
粉、黒鉛粉、燐化鉄粉などの合金粉末と、さらに必要に
応じて切削性改善用粉末に加えて、ステアリン酸亜鉛、
ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸鉛などの潤滑
剤を混合して製造するのが一般的である。このような潤
滑剤は金属粉末との混合性や焼結時の散逸性などから選
択されてきた。
【0003】近年、焼結部材に対する高強度化の要求の
高まりと共に、特開平 2−156002号、特公平 7−103404
号、USP 第 5,256,185号、USP 第 5,368,630号公報に開
示されたように、金属粉末を加熱しつつ成形することに
より、成形体の高密度かつ高強度化を可能にする温間成
形技術が提案された。該成形法における潤滑剤は、金属
粉末との混合性、焼結時の散逸性といった観点以外に、
加熱時の潤滑性が重視されている。
【0004】すなわち、温間成形時に潤滑剤の一部また
は全部を溶融させて金属粉末粒子間に潤滑剤を均一に分
散させ、粒子間および成形体と金型の間の摩擦抵抗を下
げ、成形性を向上させるものである。しかし、このよう
な金属粉末混合物は、以下のような欠点を有する。すな
わち、まず、このような金属粉末混合物は合金用粉末な
どの原料混合物が偏析を生じる問題点があることであ
る。
【0005】偏析について述べると、粉末混合物は粒
径、粒子形状および粒子密度の異なる粉末を含んでいる
ため、混合後の輸送、ホッパへの装入、払出し、または
成形処理などの際に、容易に偏析が生じてしまう。例え
ば、鉄基粉末と黒鉛粉との混合物は、トラック輸送中の
振動によって、輸送容器内において偏析が起こり、黒鉛
粉が浮かび上がることは良く知られている。また、ホッ
パに装入された黒鉛はホッパ内偏析のため、ホッパより
排出する際、排出の初期、中期、終期でそれぞれ黒鉛粉
の濃度が異なることも知られている。これらの偏析に起
因して、製品は組成にばらつきを生じ、寸法変化および
強度のばらつきが大きくなり、不良品発生の原因とな
る。
【0006】また、黒鉛粉などはいずれも微粉末である
ため、混合物の比表面積を増大させ、その結果、流動性
が低下する。このような流動性の低下は、成形用金型へ
の充填速度を低下させるため、圧粉体の生産速度を低下
させてしまうという欠点もある。このような粉末混合物
の偏析を防止する技術として、特開昭56−136901号公報
や特開昭58− 28321号公報に開示されたような結合剤を
用いる技術があるが、粉末混合物の偏析を充分に改善す
るように結合剤の添加量を増加させると、粉末混合物の
流動性が低下する問題点がある。
【0007】また、本発明者らは、先に特開平1−1657
01号公報、特開平2−47201 号公報において、金属石鹸
またはワックスとオイルとの共溶融物を結合剤として用
いる方法を提案した。これらの技術は、粉末混合物の偏
析と発塵を格段に低減することができると共に、流動性
を改善することができるものである。
【0008】しかし、これらの方法では上述の偏析を防
止する手段に起因して、粉末混合物の流動性が経時的に
変化する問題があった。そこで、さらに本発明者らは特
開平2−57602 号公報において提案したような、高融点
のオイルと金属石鹸の共溶融物を結合剤に用いる方法を
開発した。その技術は、共溶融物の経時変化が少なく、
粉末混合物の流動性の経時的な変化が低減されるもので
ある。しかし、その技術では常温では固体である高融点
の飽和脂肪酸と金属石鹸とを鉄基粉末と混合するので、
粉末混合物の見掛け密度が変化するという別の問題があ
った。
【0009】この問題を解決するため本発明者らは特開
平3−162502号公報にて、鉄基粉末表面を脂肪酸で被覆
した後、鉄基粉末表面に添加物を脂肪酸と金属石鹸との
共溶融物で付着させ、さらにその外表面に金属石鹸を添
加するという方法を提案した。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平2−57602
号公報や特開平3−162502号公報の技術によって、偏
析、発塵等の問題はかなり解決した。しかしながら、流
動性、とりわけ混合粉末を150℃程度まで加熱し、同じ
く加熱した金型内へ充填した後成形する、いわゆる温間
成形における加熱時の流動性が不十分であった。
【0011】温間成形における成形性を改善した、特開
平2−156002号公報、特開平7−103404号公報、USP 5,
256,185 号公報、およびUSP 5,368,630 号公報において
も、低融点の潤滑剤成分が粒子間に液架橋を形成するた
め、金属粉末混合粉の温間での流動性が悪かった。流動
性が不十分であると、圧粉成形体の生産性が阻害するば
かりでなく、成形体の密度にばらつきを生じ、焼結体の
特性が変動する原因になるので問題であった。
【0012】前記した特開平2−156002号公報などで開
示された温間成形技術は、高密度かつ高強度の鉄基粉末
成形体の製造法であるが、成形時の抜出力が高いという
難点があり、成形体表面のキズの発生や金型の寿命の短
命化といった問題があった。本発明の第1の課題は、室
温のみならず温間においても流動性が優れる粉末冶金用
鉄基粉末およびその製造方法を提供することである。
【0013】本発明の第2の課題は、室温のみならず温
間においても成形時の抜出力が小さく、圧粉体密度が高
い、成形性を改善した粉末冶金用鉄基粉末混合粉および
その製造方法を提供することである。本発明の第3の課
題は、上記した鉄基粉末混合粉を用いて、高密度鉄基粉
末成形体を製造する製造方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】まず、第1の課題解決の
ため、本発明者らは、潤滑剤等の有機化合物を混合した
金属粉末の流動性が混合していない金属粉末に比べて極
端に悪くなる原因について研究した。その結果、金属粉
末と有機化合物の摩擦抵抗および付着力が大なるためで
あることを知見し、両者の摩擦抵抗・付着力の低減策を
種々検討した。
【0015】その結果、高温領域(200 ℃程度)まで安
定なある種の有機化合物で金属粉末粒子の表面を表面処
理(被覆)すれば、摩擦抵抗が低減し、さらには、金属
粉末粒子表面の表面電位を有機化合物(前記表面処理剤
を除く)の表面電位に近づけて、混合時における異種粒
子間の接触帯電が抑制され、静電気力による粒子間付着
が阻止されることを突き止めた。
【0016】また、第2の課題である成形性の改善のた
めに、種々の固体潤滑剤の効果を把握し、(1)室温お
よび温間においては、層状の結晶構造を有する無機また
は有機化合物が、また、(2)温間では100 ℃以上で塑
性変形をする熱可塑性樹脂またはエストラマーが、成形
時の抜出力を低減し、成形性を向上させることを見出し
た。
【0017】さらに、流動性の改善のために施す上記表
面処理によって、金属粉末表面を被覆することが、副次
的に成形時の抜出力を低減し、成形性を向上させる効果
をも有することを見出した。すなわち、第1の発明は鉄
基粉末と潤滑剤と合金用粉末を含む鉄基粉末混合物であ
って、前記鉄基粉末、潤滑剤および合金用粉末から選ば
れる1種以上が、次にあげる表面処理剤、オルガノアル
コキシシラン、オルガノシラザン、チタネート系カップ
リング剤、フッ素系カップリング剤の内から選ばれる1
種以上の表面処理剤によって被覆された粉末であり、前
記潤滑剤が金属石鹸であることを特徴とする流動性およ
び成形性に優れた粉末冶金用鉄基粉末混合物であり、前
記1種以上の表面処理剤をアルキルベンゼンまたはシリ
コーンオイルとしてもよい。
【0018】第2の発明は、鉄基粉末と、該鉄基粉末に
溶融・固着した潤滑剤と、該潤滑剤により鉄基粉末に付
着した合金用粉末と、遊離した潤滑剤粉末と、を含む鉄
基粉末混合物であって、前記鉄基粉末、潤滑剤および合
金用粉末から選ばれる1種以上が、次に示す表面処理
剤、オルガノアルコキシシラン、オルガノシラザン、チ
タネート系カップリング剤、フッ素系カップリング剤の
内から選ばれる1種以上の表面処理剤によって被覆され
た粉末であり、前記潤滑剤が金属石鹸であることを特徴
とする流動性および成形性に優れた粉末冶金用鉄基粉末
混合物であり、前記1種以上の表面処理剤をアルキルベ
ンゼンまたはシリコーンオイルとしてもよい。
【0019】第1および第2の発明における、前記オル
ガノアルコキシシランとは、R4-m−Si(OCn
2n+1m 〔Rは有機基、n、mは整数、m=1〜3)な
る構造を有する物質で、有機基Rは置換基を有していて
も有していなくても良いが、本発明においては、特に非
置換のものが、より好ましい。前記した置換基として
は、アクリル基またはエポキシ基またはアミノ基である
オルガノアルコキシシランの内から選ばれる1種以上で
あることがより好ましい
【0020】前記オルガノシラザンとしては、一般式 R
n Si(NH2)4-n、(R3Si)2NH 、R3SiNH(R2SiNH)n SiR3、(R
2SiNH)n 、R3SiNH(R2SiNH)n SiR3で表されるオルガノシ
ラザンが例示され。また、第1および第2の発明で
は、前記潤滑剤は、金属石鹸とする、あるいはさらに
加えて、層状の結晶構造を有する無機化合物、層状の結
晶構造を有する有機化合物、熱可塑性樹脂および熱可塑
性エラストマーから選ばれる1種以上を含むものとする
のが好ましい。また、前記潤滑剤は、金属石鹸、さらに
加えて、脂肪酸を含むものとしてもよい。
【0021】また、前記金属石鹸の含有率は0.01〜1.0w
t %とするのが好ましい前記層状の結晶構造を有する
無機化合物としては、黒鉛、フッ化炭素およびMoS2から
選ばれる1種以上が好ましく、また、前記層状の結晶構
造を有する有機化合物としては、メラミン−シアヌル酸
付加化合物(MCA)またはN−アルキルアスパラギン
酸−β−アルキルエステルが好ましい。
【0022】前記熱可塑性樹脂としては、粒径が30μm
以下の粉末状のポリスチレン、ナイロン、ポリエチレン
およびフッ素樹脂から選ばれる1種以上が好ましい。前
記熱可塑性エラストマーとしては、粒径が30μm 以下の
粉末状の熱可塑性エラストマーが好ましい。さらに、前
記熱可塑性エラストマーが、スチレン系熱可塑性エラス
トマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、アミド系
熱可塑性エラストマーおよびシリコーン系熱可塑性エラ
ストマーから選ばれる1種以上とすることが、より好ま
しい。
【0023】前記脂肪酸としては、リノール酸、オレイ
ン酸、ラウリン酸、ステアリン酸などが好ましく用いら
れる。前記遊離した潤滑剤粉末は、潤滑剤の合計重量に
対して、25重量%以上、80重量%以下が好ましい。前記
した第1および第2の発明の鉄基粉末混合物は、下記に
示す第3の発明〜第4の発明の製造方法で製造すること
ができる。
【0024】第3の発明は、流動性に優れた粉末冶金用
鉄基粉末混合物の製造方法である。すなわち、鉄基粉末
にその一部または全部が溶融することによって固着した
潤滑剤で合金用粉末を付着する粉末冶金用鉄基粉末混合
物の製造方法において、前記鉄基粉末および合金用粉末
の少なくともいずれかをオルガノアルコキシシラン、オ
ルガノシラザン、チタネート系カップリング剤、フッ素
系カップリング剤から選ばれる1種以上である表面処理
剤で被覆した後、金属石鹸を潤滑剤として加えて1次混
合し、1次混合後の混合物を、前記潤滑剤の内少なくと
も1種の潤滑剤の融点以上に加熱しつつ攪拌して前記潤
滑剤の内少なくとも1種の潤滑剤を溶融し、溶融後の混
合物を混合しながら冷却し、前記鉄基粉末の表面に、溶
融し固着した前記潤滑剤で前記合金用粉末を、場合によ
っては未溶融の潤滑をも、固着し、さらに、下記潤滑
剤群Aの中から選ばれる1種以上の潤滑剤を加えて2次
混合することを特徴とする流動性および成形性に優れた
粉末冶金用鉄基粉末混合物の製造方法である。なお、前
記した潤滑剤群Aは、金属石鹸、熱可塑性樹脂、熱可塑
性エラストマー、層状の結晶構造を有する無機化合物お
よび層状の結晶構造を有する有機化合物からなる群であ
る。
【0025】第3の発明では、前記1次混合する潤滑剤
を、金属石鹸および前記した潤滑剤群Aの中から選ばれ
た前記金属石鹸よりも融点の高い潤滑剤1種以上とする
のが好ましい。また、第3の発明では、前記1次混合す
る潤滑剤を、金属石鹸とし、前記2次混合する潤滑剤を
脂肪酸、金属石鹸の中から選ばれる少なくとも1種以上
の潤滑剤としてもよい。
【0026】また、第3の発明では、前記1次混合の前
に行っていた表面処理を、前記1次混合ののち行うこと
もできる。第4の発明は、鉄基粉末にその1部または全
部が溶融することによって固着した潤滑剤で合金用粉末
を付着する粉末冶金用鉄基粉末混合物の製造方法におい
て、前記鉄基粉末および合金用粉末に、金属石鹸を潤滑
として加えて1次混合し、1次混合後の混合物を、前
記潤滑剤の内少なくとも1種の潤滑剤の融点以上に加熱
しつつ攪拌して前記潤滑剤の内少なくとも1種の潤滑剤
を溶融し、溶融後の混合物を混合しながら冷却し、冷却
過程の100 〜140 ℃の温度域でオルガノアルコキシシラ
ン、オルガノシラザン、チタネート系カップリング剤、
フッ素系カップリング剤から選ばれる1種以上である
面処理剤を添加混合し、その後冷却して前記鉄基粉末の
表面に、溶融後固着した前記潤滑剤で前記合金用粉末
を、場合によっては未溶融の潤滑材を固着させ、さら
に、前記した潤滑剤群Aの中から選ばれる1種以上の潤
滑剤を加えて2次混合することを特徴とする流動性およ
び成形性に優れた粉末冶金用鉄基粉末混合物の製造方法
である
【0027】また、第4の発明では、前記1次混合する
潤滑剤を、金属石鹸および前記潤滑剤群Aの中から選ば
れた前記金属石鹸よりも融点の高い潤滑剤1種以上とす
るのが好ましい。第3の発明および第4の発明では、前
記表面処理剤を、アルキルベンゼンまたはシリコーンオ
イルとしてもよい。また、前記2次混合時に加える潤滑
剤の重量比率を、該潤滑剤の重量と前記1次混合時に加
える潤滑剤の重量との合計に対し、25重量%以上、80重
量%以下とするのが好ましい。
【0028】第5の発明は、上記したいずれかの鉄基粉
末混合物を加圧成形し成形体とするに際し、前記加圧成
形の温度を、前記鉄基粉末混合物中に含まれる2種以上
の潤滑剤の最低融点以上最高融点未満の温度範囲とする
ことを特徴とする高密度鉄基粉末成形体の製造方法であ
る。以上の第1〜第5の本発明においては、鉄基粉末と
しては、アトマイズ鉄粉または還元鉄粉などの純鉄粉、
または部分拡散合金化鋼粉または完全合金化鋼粉などが
好ましい。
【0029】また、本発明の合金用粉末としては、黒鉛
粉末、銅粉末、亜酸化銅粉末以外に、MnS 粉末、Mo粉
末、Ni粉末、B粉末、BN粉末、ホウ酸粉末などが例示さ
れ、それらを併用することもできる。また、本発明の合
金用粉末として少なくとも黒鉛粉末あるいはさらに、銅
粉末または亜酸化銅粉末を含むことにより焼結体の強度
を上昇させることができる。なお、黒鉛粉末の含有率は
0.05〜1wt%であることが、より好ましい。
【0030】潤滑剤としては、融点の異なる2種以上の
潤滑剤の部分溶融物を使用しても良く、これにより、鉄
基粉末混合物の偏析、発塵が効果的に防止され、かつ流
動性、成形性がさらに向上する。潤滑剤として、金属石
鹸を用いる場合、金属石鹸の含有率が0.01〜1.0wt %で
あることが好ましい
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。本発明は、鉄基粉末と潤滑剤と合金用粉末を含む
鉄基粉末混合物において、前記鉄基粉末、潤滑剤および
合金用粉末から選ばれる1種以上がオルガノアルコキ
シラン、オルガノシラザン、チタネート系カップリング
剤、フッ素系カップリング剤から選ばれる1種以上であ
表面処理剤によって被覆された粉末から構成される流
動性および成形性に優れた粉末冶金用鉄基粉末混合物で
ある。
【0032】また、本発明は、鉄基粉末と、該鉄基粉末
に溶融することによって固着した潤滑剤と、該潤滑剤に
より鉄基粉末に付着した合金用粉末と、遊離した潤滑剤
粉末と、を含む鉄基粉末混合物であって、前記鉄基粉
末、潤滑剤および合金用粉末から選ばれる1種以上が
ルガノアルコキシシラン、オルガノシラザン、チタネー
ト系カップリング剤、フッ素系カップリング剤から選ば
れる1種以上である表面処理剤によって被覆された粉末
で構成された流動性および成形性に優れた粉末冶金用鉄
基粉末混合物とするのが好ましい。
【0033】本発明における鉄基粉末としては、アトマ
イズ鉄粉または還元鉄粉などの純鉄粉、または部分拡散
合金化鋼粉、または完全合金化鋼粉、またはこれらの混
合粉が好ましく用いられる。部分拡散合金化鋼粉として
は、特に、Cu、Ni、Moの1種以上を部分合金化した鋼粉
が好適であり、完全合金化鋼粉としては、特に、Mn、C
u、Ni、Cr、Mo、V、Co、Wの1種以上を含む合金鋼粉
が好適である。
【0034】本発明の前記した表面処理剤の添加率、お
よび鉄基粉末混合物中における、前記した潤滑剤、合金
用粉末の各含有率は下記の範囲であることが好ましい。
表面処理剤の添加率は、処理粉末100wt %に対して、0.
001 〜1.0 wt%であることが好ましい。0.001wt %未満
の場合は、流動性が低下し、1.0 wt%超えの場合も流動
性が低下する。
【0035】潤滑剤の含有率は、合計量として、鉄基粉
末100wt %に対して0.1 〜2.0wt %であることが好まし
い。0.1 wt%未満の場合は、成形性が低下し、2.0wt %
超えの場合は圧粉密度が低下し、圧粉体の強度が低下す
る。合金用粉末の含有率は、鉄基粉末100wt %に対して
0.1 〜10wt%であることが好ましい。これは、黒鉛粉
末、Cu、Mo、Niなどの金属粉末、B粉末などの合金用粉
末を0.1 wt%以上含有することにより、得られる焼結体
の強度が優れるためであり、逆に10wt%を超えると焼結
体の寸法精度が低下するためである。
【0036】また、本発明の鉄基粉末混合物中には、前
記潤滑剤の一部または全てとして、金属石鹸を含有す
る。前記金属石鹸の含有率は、好ましくは、ステアリン
酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、ヒドロキシステアリン
酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カル
シウムなどから選ばれる金属石鹸を、鉄基粉末混合物中
に鉄基粉末100wt %に対し0.01〜1.0 wt%の含有率で含
むことが、より好ましい。これは、金属石鹸を0.01wt%
以上含有することにより、流動性が改善され、逆に1.0
wt%を超えると圧粉体の強度が低下するためである
【0037】前記脂肪酸としては、リノール酸、オレイ
ン酸、ラウリン酸、ステアリン酸などが好ましく用いら
れる。以下、さらに、本発明の前記した構成に伴う効果
発現の理由について述べる。まず,本発明における表面
処理剤の効果について説明する.前述のように、一般に
潤滑剤等の有機化合物を混合した金属粉末の流動性は、
混合していない金属粉末に比べて極端に悪くなる。
【0038】これは、金属粉末と有機化合物の間の摩擦
抵抗および付着力が大なるためであり、金属粉末の表面
をある種の有機化合物で表面処理(被覆)して摩擦抵抗
を減少するとともに、金属粉末表面の表面電位を有機化
合物(前記表面処理剤を除く)表面電位に近づけて混合
時における異種粒子間の接触帯電を抑制することで、静
電気力による粒子間付着を阻止し、両者の複合効果によ
り混合粉末の流動性を改善することができる。とりわ
け、温間成形にも対応し得るように常温から200℃程度
の温度領域まで安定した流動性を確保することができ
る。
【0039】次に、オルガノアルコキシシラン、オルガ
ノシラザン、チタネート系カップリング剤、フッ素系カ
ップリング剤を鉄基粉末の表面に被覆することにより流
動性が広い温度領域に渡って改善される理由についてさ
らに詳細に述べる。なお、前記オルガノアルコキシシラ
ンの有機基は、置換基を有していても有していなくても
良い。
【0040】上記表面処理剤は、嵩高な分子構造により
潤滑機能を有する上、脂肪酸や鉱物油等に比べ、高温域
で安定なため、室温からおよそ200 ℃の広い温度範囲で
潤滑機能を発揮する。特に、オルガノアルコキシシラ
ン、オルガノシラザン、およびチタネート系またはフッ
素系カップリング剤は、金属粉末表面に存在する水酸基
と前記表面処理剤分子中、所定の官能基との縮合反応に
より金属粉末粒子表面に有機化合物が化学結合すること
により表面改質を行うもので、高温においても粒子表面
から剥がれたり流れることがなく、高温での表面改質効
果が顕著である。
【0041】オルガノアルコキシシランとしては、有機
基が非置換のもの、有機基の置換基がアクリル基、エポ
キシ基、アミノ基のいずれでもよいが、特に非置換のも
のが好ましい。これらは異種のものを混合して使用する
こともできるが、エポキシ基を有するものとアミド基を
有するものは互いに反応し、変質するので混合には適さ
ない。
【0042】なお、オルガノアルコキシシランの中のア
ルコキシ基(Cn 2n+1O−)の数は、少ない方が好ま
しい。有機基が非置換のものとしては、メチルトリメト
キシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニル
ジメトキシシランが例示される。また、有機基の置換基
がアクリル基のものとしては、γ−メタクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン、エポキシ基のものとしては、
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノ
基のものとしては、N−β(アミノエチル)γ−アミノ
プロピルトリメトキシシランなどを使用できる。
【0043】また、上記オルガノアルコキシシランの中
では、有機基中の水素の一部がフッ素に置換された所謂
フッ素系カップリング剤の使用も可能である。チタネー
ト系カップリング剤としては、イソプロピルトリイソス
テアロイルチタネートを使用することができる。オルガ
ノシラザンとしては、アルキルシラザンが好ましく、分
子量の大きいポリオルガノシラザンも使用できる。
【0044】また、表面処理剤として、シリコーンオイ
ルが好ましいのは以下の理由による。表面処理剤として
シリコーンオイルが好ましいのは、嵩高で粉末粒子表面
に吸着した場合、粒子間の摩擦抵抗を下げて流動性を改
善し、さらに熱的安定性から、広い温度領域で潤滑効果
を有するためである。
【0045】なお、表面処理剤として使用できるシリコ
ーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチ
ルフェニルシリコーンオイル、メチル水素シリコーンオ
イル、環状ポリメチルシロキサン、アルキル変性シリコ
ーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、シリコーン
ポリエーテル共重合体、脂肪酸変性シリコーンオイル、
エポキシ変性シリコーンオイル、フロロシリコーンオイ
ルが例示される。
【0046】また、表面処理剤として、アルキルベンゼ
をもちいてもよい。アルキルベンゼンは、流動性を改
善し、さらに熱的安定性から、広い温度領域で潤滑効果
を有する次に、本発明における潤滑剤の効果について
説明する。
【0047】まず第1に、潤滑剤は、合金用粉末を鉄基
粉末に固着させる結合剤として作用する。この作用によ
り合金用粉末の偏析や発塵が抑制できるという効果を生
じる。第2に、潤滑剤は粉末混合物を加圧成形する際に
おける粉体の再配列・塑性変形を促進する作用を有し、
それにより圧粉体密度が向上し、さらに加圧成形後の型
抜きにおける抜き出し力が低減するという効果を生じ
る。
【0048】このような効果を得るために粉末混合物
は、鉄基粉末に合金用粉末と潤滑剤とを混合し、少なく
とも1種の潤滑剤の融点以上に加熱した後、冷却して製
造されるのが好ましい。その際、潤滑剤が1種の場合は
その潤滑剤が溶融し,潤滑剤が2種以上の場合は融点が
加熱温度以下である潤滑剤が溶融し、その溶融した潤滑
剤が毛細管現象により合金用粉末をコーティングし、そ
の後凝固する際に前記合金用粉末を、さらに2種以上の
潤滑剤を含み加熱時に未溶融の潤滑剤が存在する場合に
は未溶融の潤滑剤を、鉄基粉末に固着する。例えば、添
加した2種の潤滑剤の融点がそれぞれ100 ℃、146 ℃と
すると、加熱温度を160 ℃として、2種とも溶融しても
よく、130 ℃として1種を溶融してもよい。
【0049】潤滑剤を溶融させる場合に、加熱温度が25
0 ℃を超えると鉄粉の酸化が進み,圧縮性の低下を招
く。このため加熱温度は250 ℃以下で行う必要があり潤
滑剤の少なくとも1種の融点が250 ℃以下であることが
望ましい。粉末混合物を加圧成形する際に、粉体の配列
・塑性変形を促進するのは、結合剤としての潤滑剤であ
る。そのため、潤滑剤は、鉄基粉末の表面に均一に分散
させるのが望ましい。一方、加圧成形後の型抜きにおけ
る抜き出し力を低減するものは、2次混合した鉄基粉末
表面から遊離した潤滑剤と、さらに加えて、1次混合し
た潤滑剤のうち未溶融の潤滑剤が存在する場合にはその
潤滑剤である。
【0050】これらの潤滑剤の第1および第2の作用を
両立させるためには、遊離状態で鉄基粉末粒子間に存在
する潤滑剤を、潤滑剤の合計量に対し、25重量%以上80
重量%以下とすることが好ましい。25重量%未満では、
抜き出し力の低減が不十分で、成形体表面の疵発生の原
因となる。また、80重量%を越えると、合金用粉末の鉄
基粉末への固着が弱くなり合金用粉末の偏析を招き、最
終製品の特性のバラツキを招く。
【0051】潤滑剤は、金属石鹸とするあるいはさら
に加えて、層状の結晶構造を有する無機化合物、層状の
結晶構造を有する有機化合物、熱可塑性樹脂および熱可
塑性エラストマーから選ばれる1種以上を含むのが好ま
しい。また、前記潤滑剤は 属石鹸、さらに加えて、
脂肪酸を含むのが好ましい。潤滑剤として、層状の結晶
構造を有する化合物を用いることにより、成形時の抜出
力が低減され、成形性が改善される理由は、成形時に剪
断応力を受けた上記物質が、結晶面に沿ってへき開しや
すいので成形体内部の粒子間の摩擦抵抗の低減、あるい
は成形体と金型間でのすべりやすさを生じるためと考え
られる。
【0052】層状の結晶構造を有する無機化合物として
は、黒鉛、MoS2、フッ化炭素のいずれでもよく、粒度は
細かい程、抜出力の低減に有効である。層状の結晶構造
を有する有機化合物としては、メラミン−シアヌル酸付
加化合物(MCA)またはN−アルキルアスパラギン酸
−β−アルキルエステルを使用することができる。
【0053】熱可塑性樹脂または熱可塑性エストラマー
を鉄基粉末および合金用粉末に混合することにより、成
形時とりわけ温間成形時の抜出力が低減する。熱可塑性
樹脂の特徴は、温度上昇とともに降伏応力が下がり、よ
り低い圧力によって容易に変形する点である。粒子状の
熱可塑性樹脂を金属粉末に混合し、加熱しつつ成形する
温間成形において、熱可塑性樹脂粒子は、金属粒子間、
あるいは金属粒子と金型壁面に於いて、容易に塑性変形
し、結果的に金属面相互の摩擦抵抗を低減するのであ
る。
【0054】熱可塑性エストラマーとは、熱可塑性樹脂
(硬質相)とゴム構造を持った高分子(軟質相)との混
相組織を有する材料であり、温度上昇とともに硬質相で
ある熱可塑性樹脂の降伏応力が低下し、より低い応力で
容易に変形する。したがって、粒子状の熱可塑性エスト
ラマーを金属粒子に混合し、温間成形に供した際の効果
は、上述の熱可塑性樹脂と同様である。
【0055】熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、ナ
イロン、ポリエチレンまたはフッ素樹脂の粒子が好適で
ある。熱可塑性エストラマーとしては、硬質相として、
スチレン樹脂、オレフィン樹脂、アミド樹脂またはシリ
コーン樹脂が好適であり、とくにスチレン−アクリル、
スチレン−ブタジエン重合体が良好である。
【0056】なお、上記熱可塑性樹脂または熱可塑性エ
ラストマーの粒子サイズは30μm 以下が好適であり、望
ましくは5〜20μm が最適である。30μm 超えの場合、
金属粒子間に樹脂またはエストラマー粒子が十分に分散
せず、潤滑効果が発揮されないためである。また、前記
潤滑剤は、金属石鹸、さらに加えて、脂肪酸を含むのも
のとしてもよい。しかし、脂肪酸を用いた場合は、低融
点の物質が多いため150 ℃以上の高温で使用した場合、
これが溶出し鉄粉粒子間を固着させ流動性を低下させる
傾向にあるため、使用温度は150 ℃以下とすることが好
ましい。
【0057】以上、本発明における表面処理剤の流動性
改善効果および潤滑剤の成形性改善効果について述べた
が、本発明において流動性改善を目的として用いた前記
した表面処理剤の添加により、成形時の抜出力の低減と
いう副次的効果が見出されたので、その機構について述
べる。温間成形などの高密度成形においては、成形体の
密度が上がるため、成形時にしばしば成形体表面の金属
粉末の金型壁面への圧着が起こり、成形体抜出し時の抜
出力の増大、成形体のキズなどの原因となる。
【0058】これに対し、前記した表面処理剤により、
金属粉末表面を予め被覆した場合、成形時には金型壁面
と成形体表面の金属粉末間に被膜が存在するため、成形
体表面粒子の金型への圧着が防止され、抜出力が低減さ
れ、さらには成形体のキズの発生などの問題が解消され
るものと考えられる。つぎに、本発明の鉄基粉末混合物
を用いた高密度成形法について述べる。
【0059】本発明の成形体の製造方法は、上記した鉄
基粉末混合物を加熱しつつ成形する温間成形法が好まし
く、これにより成形体は高密度化する。温間成形法にお
ける加熱温度は、1次混合および2次混合した2種以上
の潤滑剤の融点のうちの最低融点以上最高融点未満の温
度範囲とすることが好ましい。1次混合および2次混合
した2種以上の潤滑剤のうちの最低融点以上に加熱する
ことにより、溶解した潤滑剤が、毛管現象によって粉体
の間隙に均一に浸透し、それにより加圧成形時に粉体の
再配列・塑性変形が有効に促進され、成形体は高密度化
する。また、溶融する潤滑剤は合金用粉末を鉄基粉末の
表面に固着する結合剤として作用した潤滑剤である。
【0060】一方、加熱温度を混合した潤滑剤の最高融
点未満とすることにより、2次混合した遊離した潤滑
剤、さらに加えて1次混合した固体の状態で存在する潤
滑剤は、圧縮時には溶融せず圧縮により高密度化した成
形体の型抜き時に金型と成形体との間隙に分散して、抜
きだし時の抜出力を低減する。全ての潤滑剤の融点未満
で成形した場合,溶融状態の潤滑剤が存在せず,粉体の
再配列・塑性変形が進行しない。さらに、成形体の密度
上昇時に粉体間隙に存在する潤滑剤が成形体表面に排出
されないため、できあがった成形体の密度低下の原因と
なる。
【0061】また、全ての潤滑剤の融点を越えて成形し
た場合には、固体状態の潤滑剤が存在しないため、成形
体の型抜き時に抜き出し力が増大し,成形体表面にキズ
が発生する。さらに、成形体の密度上昇時に、粉体間隙
の溶融した潤滑剤が成形体表面に排出され、粗大な空孔
が発生して焼結体の機械的特性の低下を招く。なお、潤
滑剤のうち、層状の結晶構造を有する無機化合物、層状
の結晶構造を有する有機化合物、および熱可塑性エラス
トマーに属する潤滑剤は、融点という概念が存在しな
い。このため、このような潤滑剤については、融点に代
えて、熱分解温度または昇華開始温度を用いるものとす
る。
【0062】本発明の粉末冶金用鉄基粉末混合物の具体
的な製造方法としては、下記実施例に例示する方法を用
いることが好ましい。
【0063】
〔実施例
各種オルガノアルコキシシランまたはオルガノシラザン
またはチタネート系あるいはフッ素系カップリング剤を
エタノール中に、シリコーンオイルまたはアルキルベン
ゼンをキシレン中にそれぞれ溶解し、平均粒径約80μm
の粉末冶金用Cu−Ni−Mo系部分拡散合金化鋼粉、または
平均粒径23μm 以下の天然黒鉛に適量噴霧した。
【0064】得られた各粉末それぞれを高速ミキサーで
攪拌翼回転数:1000rpm の条件下、1分間混合した後、
溶媒を真空乾燥機にて除去し、さらに前記シラン、シラ
ザンまたはカップリング剤を噴霧したものは、約100 ℃
で1時間加熱した。以上の処理を予備処理A2と呼ぶ
中の表面処理剤の欄に記載した記号の内容は、表
に示す通りである
【0065】表1中の潤滑剤の欄に記載した記号の内容
は表4に示す通りである。較のために、上記予備処理
A2を施さない平均粒径約80μm の粉末冶金用Cu−Ni−
Mo系部分拡散合金化鋼粉、平均粒径23μm 以下の天然黒
鉛を混合し、潤滑剤無添加で、混合しながら160 ℃で加
熱し、さらに混合しながら85℃以下に冷却し、粉末混合
物を得た。
【0066】次に、得られた粉末混合物に対し、ステア
リン酸リチウム(融点:230 ℃)またはヒドロキシステ
アリン酸リチウム(融点:216 ℃)またはラウリン酸カ
ルシウム(融点:170℃)のうち少なくとも1種を合計
量で0.2 重量%添加し、均一に攪拌混合後、混合機から
排出した(比較例6)。次に、得られた粉末混合物 100
gを、20〜140 ℃の所定の温度に加熱した後、排出孔径
5mmΦのオリフィスから排出し、排出終了までの時間を
測定し、流動性を調べた。
【0067】さらに、上記の流動性の調査と並行して、
上記の混合機から排出した粉末混合物を、150 ℃に加熱
しつつ、7ton/cm2 の成形圧力で11mmΦのタブレットに
成形し、成形時の抜出力と圧粉体密度(以下、表中にお
いては、圧粉密度と記す)を測定した。実験結果を表
に示す
【0068】
【表1】
【0069】〔実施例〕 平均粒径約80μm の粉末冶金用Cu−Ni−Mo系部分拡散合
金化鋼粉、平均粒径23μm 以下の天然黒鉛を混合し、各
種オルガノアルコキシシランまたはオルガノシラザンま
たはチタネート系あるいはフッ素系カップリング剤また
はシリコーンオイルまたはアルキルベンゼンを適量噴霧
した。
【0070】得られた各粉末混合物それぞれを高速ミキ
サーで攪拌翼回転数:1000rpm の条件下、1分間混合し
た後、ステアリン酸カルシウム(融点:148 〜155 ℃)
を0.1 重量%、ステアリン酸リチウム(融点:230 ℃)
を0.3 重量%添加し、混合しながら160 ℃で加熱し、さ
らに混合しながら85℃以下に冷却した。以上の処理を予
備処理B2と記す。
【0071】予備処理B2で添加した表面処理剤の種類
および添加量を表に示す。表中の表面処理剤の欄に
記載した記号の内容は表に示す通りである。次に、得
られた粉末混合物に対し、ステアリン酸リチウム(融点
230 ℃)0.1重量%、および、さらに加えて熱可塑性樹
脂または熱可塑性エラストマーまたは層状の結晶構造を
持つ化合物のいずれか少なくとも1種である潤滑剤を合
計量で0.2 重量%添加し、均一に攪拌混合後、混合機か
ら排出した(発明例53〜56)。
【0072】添加した潤滑剤の種類および添加量を表
に示す。表中の潤滑剤の欄に記載した記号の内容は表
に示す通りである。次に、得られた粉末混合物 100g
を、20〜140 ℃の所定温度に加熱した後、排出孔径5mm
Φのオリフィスから排出し、排出終了までの時間を測定
し、実施例1と同様に流動性を調べた。
【0073】さらに、上記の流動性の調査と並行して、
上記の混合機から排出した粉末混合物を、150 ℃に加熱
しつつ、7ton/cm2 の成形圧力で11mmΦのタブレットに
成形し、成形時の抜出力と圧粉体密度を測定した。実験
結果を表に示す。比較例6と発明例53〜56の比較で明
らかなように、表面処理剤による処理を施した場合、混
合粉の各温度での流動性が格段に改良されている。
【0074】また、比較例6と発明例53〜56の比較で明
らかなように、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマ
ーまたは層状の結晶構造を持つ化合物を添加し、かつ表
面処理剤による処理を施した場合、圧粉体密度が向上
し、かつ抜出力が低減されて、成形性が改善されてい
る。
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
【0077】
【表4】
【0078】〔実施例〕 鉄基粉末を表〜表に示す合金鋼粉とした以外は実施
と同様に予備処理A2を合金鋼粉に施した。予備処
理A2で添加した表面処理剤の種類および添加量を、表
に示す。表の表面処理剤の欄に記載した記
号の内容は、表に示す通りである。
【0079】予備処理A2を施した合金鋼粉と天然黒鉛
を混合し、ステアリン酸カルシウム(融点:148 〜155
℃)0.15重量%および平均粒径約10〜20μmの熱可塑性
樹脂、熱可塑性エラストマー、層状の結晶構造を有する
化合物の内1種を0.2 重量%添加し、混合しながら160
℃で加熱し、さらに混合しながら85℃以下に冷却した。
【0080】添加した潤滑剤(熱可塑性樹脂、熱可塑性
エラストマーまたは層状の結晶構造を有する化合物)の
種類および添加量を、表に示す。表の潤滑
剤の欄に記載した記号の内容は表に示す通りである。
次に、得られた各粉末混合物に対し、ステアリン酸リチ
ウム(融点:230 ℃)、ヒドロキシステアリン酸リチウ
ム(融点:216 ℃)の内1種または2種を、計0.4 重量
%添加(:二次添加)し、均一に攪拌混合後、混合機か
ら排出した(発明例64〜67)。
【0081】なお、比較のために、上記予備処理A2を
施さない以外は上記発明例64〜67と同様にして粉末混合
物を得た(比較例7、9、11、13)。また、上記予備処
理A2を施さない合金鋼粉と天然黒鉛を、潤滑剤を全く
添加せずに混合し、発明例64〜67と同様に処理し、粉末
混合物を得た(比較例8、10、12、14)。
【0082】次に、得られた各粉末混合物 100gを、20
〜170 ℃の所定の温度に加熱した後、排出孔径5mmΦの
オリフィスから排出し、排出終了までの時間を測定し、
流動性を調べた。さらに、上記の流動性の調査と並行し
て、上記の混合機から排出した粉末混合物を、150 、18
0 、210 ℃にそれぞれ加熱しつつ、7ton/cm2 の成形圧
力で11mmΦのタブレットに成形し、成形時の抜出力と圧
粉体密度を測定した。
【0083】実験結果を表に示す。比較例7、
9、11、13と発明例64、65、66、67とのそれぞれの比較
から明らかなように、表面処理剤による処理を施した場
合、混合粉の各温度での流動性が格段に改良されてい
る。また、比較例8、10、12、14と発明例64、65、66、
67とのそれぞれの比較から明らかなように、本発明によ
れば、鉄基粉末の表面処理の効果に加えて、潤滑剤の効
果によって、150 〜210 ℃の成形温度範囲で流動性の改
善および良好な成形性が実現されている。発明例64で
は、150 〜210 ℃の成形温度範囲に比較して、成形温度
110 ℃、130 ℃ではやや圧粉密度が小さく、成形温度24
0 ℃、260 ℃では抜き出し力が大きいので、成形性が劣
る。しかし、発明例64の成形温度110 ℃、130 ℃での圧
粉密度と抜出力は、比較例7に比して、やや良好であ
る。また、発明例64の成形温度240 ℃、260 ℃での圧粉
密度は比較例8に比してやや良く、抜出力はかなり良
い。
【0084】
【表5】
【0085】
【表6】
【0086】
【表7】
【0087】
【表8】
【0088】〔実施例〕 平均粒径約80μm の表〜表12に示す合金鋼粉と平均粒
径23μm の天然黒鉛を混合し、得られた混合物に、各種
オルガノアルコキシシラン、オルガノシラザン、チタネ
ート系カップリング剤、フッ素系カップリング剤、シリ
コーンオイル、または鉱物油の内の1種を適量噴霧し
た。
【0089】以上の処理を予備処理B3と記す。予備処
理B3で添加した表面処理剤の種類および添加量を、表
12に示す。表12の表面処理剤の欄に記載した記
号の内容は、表に示す通りである。上記した各種表面
処理剤が被覆された各粉末混合物それぞれを、高速ミキ
サーで攪拌翼回転数:1000rpm の条件下、1分間混合し
た後、ステアリン酸カルシウム(融点:148 〜155 ℃)
0.15重量%および平均粒径約10μmの熱可塑性樹脂、熱
可塑性エラストマー、層状の結晶構造を持つ化合物の内
の1種を0.2 重量%添加し、混合しながら160 ℃で加熱
し、さらに混合しながら85℃以下に冷却した。
【0090】添加した潤滑剤(熱可塑性樹脂、熱可塑性
エラストマーまたは層状の結晶構造を有する化合物)の
種類および添加量を、表12に示す。表12の潤滑
剤の欄に記載した記号の内容は表に示す通りである。
次に、得られた各粉末混合物に対し、ステアリン酸リチ
ウム(融点:230 ℃)、ヒドロキシステアリン酸リチウ
ム(融点:216 ℃)またはラウリン酸カルシウム(融
点:170 ℃)の内少なくとも1種、計0.4 重量%を添加
(:二次添加)し、均一に攪拌混合後、混合機から排出
した(発明例68〜71)。
【0091】なお、比較のために、上記予備処理B3を
施さない以外は上記発明例68〜71と同様にして粉末混合
物を得た(比較例15、17、19、21)。また、上記予備処
理B3を施さない合金鋼粉と平均粒径約23μmの天然黒
鉛を、潤滑剤を全く添加せずに混合し、発明例68〜71と
同様に処理し、粉末混合物を得た(比較例16、18、20、
22)。
【0092】次に、得られた各粉末混合物 100gを、20
〜170 ℃の所定の温度に加熱した後、排出孔径5mmΦの
オリフィスから排出し、排出終了までの時間を測定し、
流動性を調べた。さらに、上記の流動性の調査と並行し
て、上記の混合機から排出した粉末混合物を、180 ℃に
加熱しつつ、7ton/cm2 の成形圧力で11mmΦのタブレッ
トに成形し、成形時の抜出力と圧粉体密度を測定した。
【0093】実験結果を表12に示す。比較例15、1
7、19、21と発明例68、69、70、71とのそれぞれの比較
から明らかなように、表面処理剤による処理を施した場
合、混合粉の各温度での流動性が格段に改良されてい
る。また、比較例16、18、20、22と発明例68、69、70、
71とのそれぞれの比較から明らかなように、本発明によ
れば、鉄基粉末の表面処理の効果に加えて、潤滑剤の効
果によって、流動性の改善および良好な成形性が実現さ
れている。
【0094】
【表9】
【0095】
【表10】
【0096】
【表11】
【0097】
【表12】
【0098】〔実施例〕 平均粒径約80μm の表13〜表17に示す合金鋼粉と平均粒
径23μm の天然黒鉛を混合し、得られた混合物に、ステ
アリン酸カルシウム(融点:148 〜155 ℃)0.20重量%
および平均粒径約10μmの熱可塑性樹脂、熱可塑性エラ
ストマー、層状の結晶構造を持つ化合物の内から少なく
とも1種、計0.2 重量%を添加し、混合しながら160 ℃
で加熱した。次に混合しながら110 ℃に冷却し、各種オ
ルガノアルコキシシラン、オルガノシラザン、チタネー
ト系カップリング剤、フッ素系カップリング剤、シリコ
ーンオイル、またはアルキルベンゼンの内の1種を適量
噴霧し、高速ミキサーで攪拌翼回転数:1000rpm の条件
下、1分間混合する予備処理C3を施した。
【0099】添加した潤滑剤(熱可塑性樹脂、熱可塑性
エラストマーまたは層状の結晶構造を有する化合物)の
種類および添加量を、表1316に示す。表1316の潤滑
剤の欄に記載した記号の内容は表に示す通りである。
次に、85℃以下に冷却し、ステアリン酸リチウム(融
点:230 ℃)、ヒドロキシステアリン酸リチウム、ラウ
リン酸カルシウム(融点:17℃)の内少なくとも1種
を、合金鋼粉に対して計0.3 重量%を添加(:二次添
加)し、均一に攪拌混合後、混合機から排出した(発明
例72〜75)。
【0100】予備処理C3で添加した表面処理剤の種類
および添加量を、表1316に示す。表1316の表面処理
剤の欄に記載した記号の内容は、表に示す通りであ
る。なお、比較のために、上記予備処理C3を施さない
以外は上記発明例72〜75と同様にして粉末混合物を得た
(比較例23、25、27、29)。また、上記予備処理C3を
施さない合金鋼粉と平均粒径約23μmの天然黒鉛を、潤
滑剤を全く添加せずに混合し、発明例72〜75と同様に処
理し、粉末混合物を得た(比較例24、26、28、30)。
【0101】次に、得られた各粉末混合物 100gを、20
〜170 ℃の所定の温度に加熱した後、排出孔径5mmΦの
オリフィスから排出し、排出終了までの時間を測定し、
流動性を調べた。さらに、上記の流動性の調査と並行し
て、上記の混合機から排出した粉末混合物を、180 ℃に
加熱しつつ、7ton/cm2 の成形圧力で11mmΦのタブレッ
トに成形し、成形時の抜出力と圧粉体密度を測定した。
【0102】実験結果を表1316に示す。比較例23、2
5、27、29と発明例72、73、74、75とのそれぞれの比較
から明らかなように、表面処理剤による処理を施した場
合、混合粉の各温度での流動性が格段に改良されてい
る。また、比較例24、26、28、30と発明例72、73、74、
75とのそれぞれの比較から明らかなように、本発明によ
れば、鉄基粉末の表面処理の効果に加えて、潤滑剤の効
果によって、流動性の改善および良好な成形性が実現さ
れている。
【0103】
【表13】
【0104】
【表14】
【0105】
【表15】
【0106】
【表16】
【0107】〔実施例〕 平均粒径約80μm の粉末冶金用Cu−Ni−Mo系部分拡散合
金化鋼粉と平均粒径23μm の天然黒鉛を混合し、得られ
た混合物に、ステアリン酸(融点:70.1℃)0.15重量
%、ステアリン酸リチウム(融点:230 ℃)0.15重量%
およびメラミンシアヌル酸付加化合物0.15重量%を添加
し、混合しながら160 ℃に加熱した。
【0108】次に、混合しながら110 ℃に冷却し、各種
オルガノアルコキシシランを適量噴霧し、高速ミキサー
で攪拌翼回転数:1000rpm の条件下、1分間混合する予
備処理C3を施した。予備処理C3で添加した表面処理
剤の種類および添加量を表17、表18に示す。表17、表18
の表面処理剤の欄に記載した記号の内容は、表に示す
通りである。
【0109】次に、得られた粉末混合物の各々につい
て、混合しながら85℃以下に冷却し、ステアリン酸リチ
ウム(融点:230 ℃)またはラウリン酸カルシウム(融
点:170 ℃)の内少なくとも1種を合金鋼粉に対して計
0.3 重量%添加し、均一に撹拌混合後、混合機から排出
した(発明例76、77)。なお、比較のために、上記予備
処理C3を施さない以外は上記発明例76、77と同様にし
て粉末混合物を得た(比較例31、33)。
【0110】また、上記予備処理C3を施さない合金鋼
粉と平均粒径約23μmの天然黒鉛を、潤滑剤を全く添加
せずに混合し、発明例76、77と同様に処理し、粉末混合
物を得た(比較例32、34)。次に、得られた各粉末混合
物 100gを、20〜150 ℃の所定の温度に加熱した後、排
出孔径5mmΦのオリフィスから排出し、排出終了までの
時間を測定し、流動性を調べた。
【0111】さらに、上記の流動性の調査と並行して、
上記の混合機から排出した粉末混合物を、150 ℃に加熱
しつつ、7ton/cm2 の成形圧力で11mmΦのタブレットに
成形し、成形時の抜出力と圧粉体密度を測定した。実験
結果を表1718に示す。比較例31、33と発明例76、77と
のそれぞれの比較から明らかなように、表面処理剤によ
る処理を施した場合、混合粉の各温度での流動性が格段
に改良されている。
【0112】また、比較例32、34と発明例76、77とのそ
れぞれの比較から明らかなように、各種潤滑剤を添加せ
ずに表面処理剤による処理を施した鉄粉を用いた混合粉
は、流動性が劣化するばかりか、圧粉体密度が低下し、
かつ抜出力が増大している。一方、本発明によれば、鉄
基粉末の表面処理の効果に加えて、潤滑剤の効果によっ
て、流動性の改善および良好な成形性が実現されてい
る。
【0113】
【表17】
【0114】
【表18】
【0115】
【発明の効果】本発明によれば、常温のみならず温間に
おいても優れた流動性が得られる粉末冶金用鉄基粉末混
合物を提供することが可能となった。さらに本発明によ
れば、優れた流動性を有すると共に、常温および温間に
おいて、成形時の抜出力が低減され、成形性が改善され
た粉末冶金用鉄基粉末混合物を提供することが可能とな
った。また、本発明の粉末混合物を用い、所定の温度範
囲の温間成形を行うことにより、高密度の成形体を製造
でき、産業上格段の効果を奏する。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−148505(JP,A) 特開 平5−117703(JP,A) 特開 平3−162502(JP,A) 特開 平6−145701(JP,A) 特開 平2−47201(JP,A) 特開 昭62−282418(JP,A) 特開 昭59−47301(JP,A) 特開 平9−104901(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22F 1/00 - 1/02

Claims (22)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄基粉末と潤滑剤と合金用粉末を含む鉄
    基粉末混合物であって、前記鉄基粉末、潤滑剤および合
    金用粉末から選ばれる1種以上が、下記表面処理剤の内
    から選ばれる1種以上の表面処理剤によって被覆された
    粉末であり、前記潤滑剤が金属石鹸であることを特徴と
    する流動性および成形性に優れた粉末冶金用鉄基粉末混
    合物。 記 表面処理剤:オルガノアルコキシシラン、オルガノシラ
    ザン、チタネート系カップリング剤、フッ素系カップリ
    ング剤
  2. 【請求項2】 鉄基粉末と、該鉄基粉末に溶融・固着し
    た潤滑剤と、該潤滑剤により鉄基粉末に付着した合金用
    粉末と、遊離した潤滑剤粉末と、を含む鉄基粉末混合物
    であって、前記鉄基粉末、潤滑剤および合金用粉末から
    選ばれる1種以上が、下記表面処理剤の内から選ばれる
    1種以上の表面処理剤によって被覆された粉末であり、
    前記潤滑剤が金属石鹸であることを特徴とする流動性お
    よび成形性に優れた粉末冶金用鉄基粉末混合物。 記 表面処理剤:オルガノアルコキシシラン、オルガノシラ
    ザン、チタネート系カップリング剤、フッ素系カップリ
    ング剤
  3. 【請求項3】 前記1種以上の表面処理剤に代えて、
    ルキルベンゼンまたはシリコーンオイルを表面処理剤と
    することを特徴とする請求項1または2に記載の粉末冶
    金用鉄基粉末混合物。
  4. 【請求項4】 前記オルガノアルコキシシランが置換お
    よび非置換の有機基を有するものから選ばれる1種以上
    であることを特徴とする請求項1または2に記載の流動
    性および成形性に優れた粉末冶金用鉄基粉末混合物。
  5. 【請求項5】 前記有機基の置換基が、アクリル基、エ
    ポキシ基およびアミノ基のいずれかであることを特徴と
    する請求項に記載の流動性および成形性に優れた粉末
    冶金用鉄基粉末混合物。
  6. 【請求項6】 前記潤滑剤が、さらに加えて、層状の結
    晶構造を有する無機化合物、層状の結晶構造を有する有
    機化合物、熱可塑性樹脂および熱可塑性エラストマーか
    ら選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求項1な
    いし5のいずれかに記載の流動性および成形性に優れた
    粉末冶金用鉄基粉末混合物。
  7. 【請求項7】 前記潤滑剤が、さらに加えて、脂肪酸を
    含むことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記
    載の流動性および成形性に優れた粉末冶金用鉄基粉末混
    合物。
  8. 【請求項8】 前記層状の結晶構造を有する無機化合物
    が、黒鉛、フッ化炭素およびMoS2から選ばれる1種以上
    であることを特徴とする請求項に記載の流動性および
    成形性に優れた粉末冶金用鉄基粉末混合物。
  9. 【請求項9】 前記層状の結晶構造を有する有機化合物
    が、メラミン−シアヌル酸付加化合物および/またはN
    −アルキルアスパラギン酸−β−アルキルエステルであ
    ることを特徴とする請求項に記載の流動性および成形
    性に優れた粉末冶金用鉄基粉末混合物。
  10. 【請求項10】 前記熱可塑性樹脂が、粒径が30μm 以
    下の粉末状のポリスチレン、ナイロン、ポリエチレンお
    よびフッ素樹脂から選ばれる1種以上であることを特徴
    とする請求項に記載の流動性および成形性に優れた粉
    末冶金用鉄基粉末混合物。
  11. 【請求項11】 前記熱可塑性エラストマーが、粒径が
    30μm 以下の粉末状の熱可塑性エラストマーであること
    を特徴とする請求項に記載の流動性および成形性に優
    れた粉末冶金用鉄基粉末混合物。
  12. 【請求項12】 前記熱可塑性エラストマーが、スチレ
    ン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラ
    ストマー、アミド系熱可塑性エラストマーおよびシリコ
    ーン系熱可塑性エラストマーから選ばれる1種以上であ
    ることを特徴とする請求項に記載の流動性および成形
    性に優れた粉末冶金用鉄基粉末混合物。
  13. 【請求項13】 前記遊離した潤滑剤粉末が、潤滑剤の
    合計重量に対して、25重量%以上、80重量%以下である
    ことを特徴とする請求項2ないし12のいずれかに記載の
    粉末冶金用鉄基粉末混合物。
  14. 【請求項14】 鉄基粉末に溶融・固着した潤滑剤で合
    金用粉末を付着する粉末冶金用鉄基粉末混合物の製造方
    法において、前記鉄基粉末および合金用粉末の少なくと
    もいずれかを、オルガノアルコキシシラン、オルガノシ
    ラザン、チタネート系カップリング剤、フッ素系カップ
    リング剤から選ばれる1種以上である表面処理剤で被覆
    した後、前記鉄基粉末および合金用粉末に金属石鹸を
    滑剤として加えて1次混合し、1次混合後の混合物を、
    前記潤滑剤の内少なくとも1種の潤滑剤の融点以上に加
    熱しつつ攪拌して前記潤滑剤の内少なくとも1種の潤滑
    剤を溶融し、溶融後の混合物を混合しながら冷却し、前
    記鉄基粉末の表面に、溶融・固着した前記潤滑剤で前記
    合金用粉末を付着し、さらに、下記潤滑剤群Aの中から
    選ばれる1種以上の潤滑剤を加えて2次混合することを
    特徴とする流動性および成形性に優れた粉末冶金用鉄基
    粉末混合物の製造方法。 記 潤滑剤群A:金属石鹸、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラス
    トマー、層状の結晶構造を有する無機化合物および層状
    の結晶構造をする有機化合物
  15. 【請求項15】 鉄基粉末に溶融・固着した潤滑剤で合
    金用粉末を付着する粉末冶金用鉄基粉末混合物の製造方
    法において、前記鉄基粉末および合金用粉末の少なくと
    もいずれかを、オルガノアルコキシシラン、オルガノシ
    ラザン、チタネート系カップリング剤、フッ素系カップ
    リング剤から選ばれる1種以上である表面処理剤で被覆
    した後、前記鉄基粉末および合金用粉末に金属石鹸を潤
    滑剤として加えて1次混合し、1次混合後の混合物を、
    前記潤滑剤の内少なくとも1種の潤滑剤の融点以上に加
    熱しつつ攪拌して前記潤滑剤の内少なくとも1種の潤滑
    剤を溶融し、溶融後の混合物を混合しながら冷却し、前
    記鉄基粉末の表面に、溶融・固着した前記潤滑剤で前記
    合金用粉末を付着し、さらに、脂肪酸、金属石鹸の中か
    ら選ばれる1種以上の潤滑剤を加えて2次混合すること
    を特徴とする流動性および成形性に優れた粉末冶金用鉄
    基粉末混合物の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記1次混合する潤滑剤を、金属石鹸
    および下記潤滑剤群Aの中から選ばれた前記金属石鹸よ
    りも融点の高い潤滑剤1種以上とすることを特徴とする
    請求項14に記載の流動性および成形性に優れた粉末冶金
    用鉄基粉末混合物の製造方法。 記 潤滑剤群A:金属石鹸、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラス
    トマー、層状の結晶構造を有する無機化合物および層状
    の結晶構造を有する有機化合物
  17. 【請求項17】 鉄基粉末に溶融・固着した潤滑剤で合
    金用粉末を付着する粉末冶金用鉄基粉末混合物の製造方
    法において、前記鉄基粉末および合金用粉末に、金属石
    鹸を潤滑剤として加えて1次混合し、1次混合後の混合
    物を、前記潤滑剤の内少なくとも1種の潤滑剤の融点以
    上に加熱しつつ攪拌して前記潤滑剤の内少なくとも1種
    の潤滑剤を溶融し、溶融後の混合物を混合しながら冷却
    し、冷却過程の100 〜140 ℃の温度域で、オルガノアル
    コキシシラン、オルガノシラザン、チタネート系カップ
    リング剤、フッ素系カップリング剤から選ばれる1種以
    上である表面処理剤を添加混合するとともに前記鉄基粉
    末の表面に、溶融・固着した前記潤滑剤で前記合金用粉
    末を付着し、さらに、下記潤滑剤群Aの中から選ばれる
    1種以上の潤滑剤を加えて2次混合することを特徴とす
    る流動性および成形性に優れた粉末冶金用鉄基粉末混合
    物の製造方法。 記 潤滑剤群A:金属石鹸、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラス
    トマー、層状の結晶構造を有する無機化合物および層状
    の結晶構造を有する有機化合物
  18. 【請求項18】 鉄基粉末に溶融・固着した潤滑剤で合
    金用粉末を付着する粉末冶金用鉄基粉末混合物の製造方
    法において、前記鉄基粉末および合金用粉末に、金属石
    鹸を潤滑剤として加えて1次混合し、1次混合後の混合
    物を、前記潤滑剤の内少なくとも1種の潤滑剤の融点以
    上に加熱しつつ攪拌して前記潤滑剤の内少なくとも1種
    の潤滑剤を溶融し、溶融後の混合物を混合しながら冷却
    し、冷却過程の100 〜140 ℃の温度域で、オルガノアル
    コキシシラン、オルガノシラザン、チタネート系カップ
    リング剤、フッ素系カップリング剤から選ばれる1種以
    上である表面処理剤を添加混合するとともに前記鉄基粉
    末の表面に、溶融・固着した前記潤滑剤で前記合金用粉
    末を付着し、さらに、脂肪酸、金属石鹸の中から選ばれ
    る1種以上の潤滑剤を加えて2次混合することを特徴と
    する流動性および成形性に優れた粉末冶金用鉄基粉末混
    合物の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記1次混合する潤滑剤を、金属石鹸
    および下記潤滑剤群Aの中から選ばれた前記金属石鹸よ
    りも融点の高い潤滑剤1種以上とすることを特徴とする
    請求項17に記載の流動性および成形性に優れた粉末冶金
    用鉄基粉末混合物の製造方法。 記 潤滑剤群A:金属石鹸、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラス
    トマー、層状の結晶構造を有する無機化合物および層状
    の結晶構造を有する有機化合物
  20. 【請求項20】 前記表面処理剤が、アルキルベンゼン
    またはシリコーンオイルである請求項14ないし19のいず
    れかに記載の流動性および成形性に優れた粉末冶金用鉄
    基粉末混合物の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記2次混合時に加える潤滑剤の重量
    比率を,該潤滑剤の重量と前記1次混合時に加える潤滑
    剤の重量との合計に対し,25重量%以上、80重量%以下
    とすることを特徴とする請求項14ないし20のいずれかに
    記載の流動性および成形性に優れた粉末冶金用鉄基粉末
    混合物の製造方法。
  22. 【請求項22】 鉄基粉末混合物を加圧成形し成形体と
    する鉄基粉末成形体の製造方法において、請求項2ない
    13のいずれかに記載の鉄基粉末混合物を使用し、前記
    加圧成形の温度を、前記鉄基粉末混合物中に含まれる潤
    滑剤の最低融点以上最高融点未満の温度範囲とすること
    を特徴とする高密度鉄基粉末成形体の製造方法。
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