JP3309970B2 - 粉末成形体の成形方法 - Google Patents

粉末成形体の成形方法

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JP3309970B2
JP3309970B2 JP2001545020A JP2001545020A JP3309970B2 JP 3309970 B2 JP3309970 B2 JP 3309970B2 JP 2001545020 A JP2001545020 A JP 2001545020A JP 2001545020 A JP2001545020 A JP 2001545020A JP 3309970 B2 JP3309970 B2 JP 3309970B2
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幹夫 近藤
洋司 粟野
政敏 澤村
博司 岡島
恵英 竹本
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Toyota Central R&D Labs Inc
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    • B22F3/14Both compacting and sintering simultaneously
    • B22F2003/145Both compacting and sintering simultaneously by warm compacting, below debindering temperature

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は粉末成形体の成形方
法に関する。特に高密度の粉末成形体を得ると同時に、
粉末成形体を金型から抜出する際の抜出圧力を低くする
ことができる粉末成形体の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】粉末冶金においては、粉末を加圧成形し
て粉末成形体(以下適宜「成形体」と略す)を成形し、
この成形体を焼結して焼結体を製造する。この粉末冶金
において、寸法精度が高く高密度の焼結体を得るために
高密度の成形体を得ておく必要がある。そしてそのため
には成形体を成形するための成形圧力を高くする必要が
ある。
【0003】高密度の焼結体を製造する方法として、従
来より2回成形して、2回焼結する方法や粉末鍛造法が
行われてきたが、これらの方法においても、やはり高密
度の焼結体を得るためには高密度の成形体を得る必要が
あり、そのため粉末を成形するための成形圧力を高くす
る必要があった。
【0004】しかし成形圧力を高くした場合には、加圧
成形された成形体を金型から抜き出すための抜出圧力が
必然的に高くなる。そして抜出圧力が高くなると成形体
にわれやひび等が発生したり、金型にかじりが生じたり
するという問題が生じた。そこで従来より抜出圧力が高
くならない技術が求められてきた。
【0005】例えば潤滑剤を用いて成形体を抜き出すと
きの成形体と金型との摩擦を軽減する手法がある。US
P−4955798には粉末と金型を150℃程度以下
に加熱する温間成形法が開示されている。そして、加圧
成形された成形体を金型から抜き出す際の抜出圧力を減
少させるために、粉末に混合する潤滑剤としてステアリ
ン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム等の金属ステアリン酸
塩の潤滑剤やワックス系潤滑剤等を用いて成形すること
が開示されている。また特開平05−271709号公
報、特開平11−140505号公報、特開平11−1
00602号公報等には温間成形用の潤滑剤を含む原料
粉末の製造方法や温間成形用の潤滑剤を含む原料粉末を
用いた成形方法が開示されている。更に特開平8−10
0203号公報には金型に潤滑剤を静電塗布する方法が
開示されている。
【0006】またステアリン酸リチウムを潤滑剤として
用いた場合成形温度が高くなると抜出圧力が高くなると
する研究論文(“INFLUENCE OF TEMP
ERATURE ON PROPERTIES OF
LITHIUM STEARATE LUBRICAN
T”,Powder Metallurgy & Pa
rticulate Materials,voll,
1997)も発表されている。
【0007】鉄系の焼結体については、高強度化、軽量
化のために高密度化が要求されると共に、高精度化と低
コスト化も要求されている。そのため一回の成形と焼結
だけで高密度の焼結体を得ようとすると粉末を加圧成形
する圧力を高くしなければならない。しかし従来の手法
では成形圧力の増加に伴い、抜出圧力が高くなり、成形
体の表面を劣化させかつ金型にかじりが生じて、成形を
続行することができないという問題も生じていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の目的
は、高い成形圧力で高密度の成形体を得ることができる
と同時に、金型からの抜出圧力を減少することができる
粉末成形体の成形方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は研究の結果、
金型の内面に高級脂肪酸系潤滑剤であるステアリン酸リ
チウムを塗布して、150℃に加熱した金型に同一の温
度に加熱した鉄粉末を充填して、この鉄粉末を加圧成形
する場合、成形圧力を686MPaで加圧成形した方が
588MPaで加圧成形するよりも却って抜出圧力が減
少することを発見した。これは従来の高圧力で粉末を成
形体に成形した場合には、この成形体を抜出する圧力に
は高い圧力を必要とする従来の考えを覆す発見であっ
た。そこで本研究者は更に研究を重ね、金型の内面にス
テアリン酸リチウムを塗布して、981MPaの成形圧
力で加圧成形した鉄粉末の成形体について、成形体の表
面にステアリン酸鉄が付着していることを発見した。
【0010】更に本発明者はステアリン酸カルシウムと
ステアリン酸亜鉛についても105℃に加熱した金型及
び鉄粉末を用いて鉄粉末を加圧成形したところ、一定の
圧力を越えると却って成形体の抜出圧力が減少するとい
う同様な現象が見られることを確認した。
【0011】これらの現象について本発明者は研究を重
ねた結果、次のように推測するに至った。つまりステア
リン酸リチウムのような高級脂肪酸系潤滑剤を加熱した
金型の内面表面に塗布すると、金型の内面表面に薄い潤
滑剤の被膜が存在することになる。この状態で加熱した
金属粉末を金型に充填して、ある一定の圧力以上で加圧
成形すると、詳細は明らかではないが、金属粉末と高級
脂肪酸系潤滑剤との間に所謂メカノケミカル反応が生
じ、このメカノケミカル反応によって金属粉末と高級脂
肪酸系潤滑剤とが化学的に結合して金属石鹸の被膜が形
成されると考えるに至った。そしてこの金属石鹸の被膜
は金属粉末との結合力が非常に強固であり、物理的に金
型の内面表面に吸着していた高級脂肪酸系潤滑剤以上の
潤滑性能が発揮されて、この被膜によって金型と成形体
の間の摩擦力が著しく減少されることになると考えた。
【0012】そこで本発明者は、加熱された金型の内面
に高級脂肪酸系潤滑剤を塗布する塗布工程と、前記金型
に金属粉末を充填し、前記高級脂肪酸系潤滑剤が該金属
粉末と化学的に結合して金属石鹸の被膜を生成する圧力
で該金属粉末を加圧成形する加圧成形工程とを含むこと
を特徴とする粉末成形体の成形方法を発明した。
【0013】即ち加熱され、内面にステアリン酸リチウ
ムのような高級脂肪酸系潤滑剤が塗布された金型を用い
て、この金型に加熱された金属粉末を充填して、この金
属粉末と高級脂肪酸系潤滑剤とが化学的に結合して金属
石鹸の被膜が生成される圧力でこの金属粉末を加圧成形
すると、金属石鹸の被膜が金型の内面表面に生じると推
測され、その結果金属粉末の成形体と金型との間の摩擦
力が減少し、成形体を抜出する圧力が少なくて済む。ま
た金型が加熱された状態で加圧成形されるのでそれだけ
高級脂肪酸系潤滑剤と金属粉末との化学的結合が促進さ
れていると推測され、金属石鹸の被膜が形成しやすくな
る。更に金属石鹸の被膜が生成される圧力で加圧成形す
るので、高密度の成形体を成形することができる。なお
ここで高級脂肪酸系潤滑剤とは高級脂肪酸からなる潤滑
剤及び高級脂肪酸の金属塩からなる潤滑剤の双方を含
む。
【0014】また本発明者は、100℃以上に加熱され
た金型の内面に高級脂肪酸の金属塩を塗布する塗布工程
と、前記金型に鉄粉末を充填し、600MPa以上で該
鉄粉末を加圧成形する加圧成形工程とを含むことを特徴
とする粉末成形体の成形方法を発明した。
【0015】即ち100℃以上に加熱され、内面に例え
ばステアリン酸リチウムのような高級脂肪酸の金属塩が
塗布された金型を用いて、鉄粉末を600MPa以上で
加圧すると金型が100℃以上に加熱されているので、
高級脂肪酸の金属塩が鉄粉末と化学的結合が促進される
と推測され、例えばステアリン酸鉄の単分子膜のような
高級脂肪酸の鉄塩の被膜が成形体の表面に生じ、その結
果鉄粉末の成形体と金型との間の摩擦力が減少し、成形
体を抜出する圧力が少なくて済む。また600MPa以
上という高圧力で加圧成形するので、高密度の成形体を
成形することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下詳細に本発明の粉末成形体の
成形方法(以下適宜「成形方法」と略す)の実施の形態
について説明する。
【0017】本発明の成形方法は、加熱された金型の内
面に高級脂肪酸系潤滑剤を塗布する塗布工程と、この金
型に金属粉末を充填し、高級脂肪酸系潤滑剤が金属粉末
と化学的に結合して金属石鹸の被膜を生成する圧力で金
属粉末を加圧成形する加圧成形工程とを含む。即ち本発
明の成形方法は塗布工程と加圧成形工程とを含む。塗布
工程は加熱された金型の内面に高級脂肪酸系潤滑剤を塗
布する工程である。
【0018】ここで用いられる高級脂肪酸系潤滑剤は上
述したように高級脂肪酸からなる潤滑剤と高級脂肪酸の
金属塩からなる潤滑剤の双方を含む。例えばステアリン
酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜
鉛、ステアリン酸バリウム、パルミチン酸リチウム、オ
レイン酸リチウム、パルミチン酸カルシウム、オレイン
酸カルシウム等を用いることができる。
【0019】なお高級脂肪酸系潤滑剤は高級脂肪酸の金
属塩であることが好ましい。高級脂肪酸の金属塩の潤滑
剤であれば、所定の温度及び所定の圧力の下で高級脂肪
酸の金属塩が金属粉末とそれだけ容易に化学的に結合
し、高級脂肪酸の金属塩の被膜を形成すると考えられ
る。更にこの高級脂肪酸の金属塩は高級脂肪酸のリチウ
ム塩、カルシウム塩又は亜鉛塩であるのがより好まし
い。金属粉末を加圧成形して、成形された成形体を抜き
出す抜出圧力が少なくて済む。即ちより容易に金属粉末
と化学的に結合して高級脂肪酸の金属塩の被膜を容易に
形成すると考えられる。例えば鉄粉末と化学的に結合し
てステアリン酸鉄の被膜を形成して、抜出圧力が少なく
て済む。
【0020】なお高級脂肪酸系潤滑剤は固体であること
が好ましい。液状であると潤滑剤が下方向に流れ落ち易
くなり、金型内面に潤滑剤を均一に塗布することが困難
であるという問題が生じる。また金属粉末が固まる等の
問題が生じる。更に高級脂肪酸系潤滑剤は水に分散され
ているのが好ましい。水に分散されている潤滑剤を10
0℃以上に加熱された金型に用いると水が瞬時に蒸発し
て、均一な潤滑剤の被膜を形成することができる。また
有機溶媒ではなく水に分散されているので環境上の問題
を避けることができる。また水に分散された高級脂肪酸
系潤滑剤の粒子は最大粒径が30μm未満であることが
好ましい。30μm以上の粒子があると潤滑剤の被膜が
不均一になり、また水に分散した場合に高級脂肪酸系潤
滑剤の粒子が容易に沈殿してしまい、均一な塗布が困難
になる。
【0021】なお最大粒径が30μm未満である水に分
散された高級脂肪酸系潤滑剤は次のように調整すること
ができる。まず高級脂肪酸系潤滑剤を加える水に界面活
性剤を添加しておく。
【0022】界面活性剤は例えばアルキルフェノール系
の界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエー
テル(EO)6、ポリオキシエチレンノニルフェニルエ
ーテル(EO)10、アニオン性非イオン型界面活性
剤、ホウ酸エステル系エマルボンドT−80等その他公
知の界面活性剤を用いることができる。これらのうち適
切なものを1種類、或いは2種以上を必要に応じて適切
な量添加すればよい。例えば高級脂肪酸系潤滑剤として
ステアリン酸リチウムを用いる場合、ポリオキシエチレ
ンノニルフェニルエーテル(EO)6、ポリオキシエチ
レンノニルフェニルエーテル(EO)10及びホウ酸エ
ステルエマルボンT−80の3種類の界面活性剤を同時
に添加することが好ましい。ホウ酸エステルエマルボン
T−80のみであるとステアリン酸リチウムは水に分散
しないからである。またポリオキシエチレンノニルフェ
ニルエーテル(EO)6或いは(EO)10のみではス
テアリン酸リチウムは水に分散するが、これを後述する
ように更に希釈したときにうまく分散しないからであ
る。そこでこのように3種類の界面活性剤を適切に複合
添加するのが好ましい。
【0023】添加する界面活性剤の全体量は水溶液の全
体の体積を100体積%として1.5〜15体積%が好
ましい。界面活性剤の添加量が多いほどステアリン酸リ
チウムを多量に分散させることができるが、添加量が多
くなればそれだけ水溶液の粘度が高くなり、後述する潤
滑剤の粉砕処理においてステアリン酸リチウムの粒子を
微細にすることが困難になる。
【0024】なおこのほかに少量の消泡剤、例えばシリ
コン系の消泡剤等を添加することができる。潤滑剤の粉
砕処理において泡立ちが激しいと潤滑剤を塗布した際に
均一な潤滑剤の被膜が形成されにくいからである。消泡
剤の添加量は概ね水溶液の体積を100体積%として
0.1〜1体積%であればよい。
【0025】次にこのように界面活性剤が添加された水
溶液に高級脂肪酸系潤滑剤の粉末を加えて分散させる。
例えばステアリン酸リチウムの粉末を水溶液に分散させ
る場合ステアリン酸リチウムの粉末は水溶液100cm
に対して10〜30g分散させればよい。そしてこの
高級脂肪酸系潤滑剤の粉末が分散された水溶液をテフロ
ン(登録商標)コートした鋼球を用いてボールミル式粉
砕処理を施せばよい。ボールの直径は5〜10mmであ
ればよい。ボールの直径が大きすぎても小さすぎても粉
砕効率が悪くなるからである。ボールの体積は処理する
液体の体積とほぼ同じ体積が好ましい。このようにする
と粉砕効率が最もよくなると考えられる。なおボールミ
ル式粉砕処理に用いる容器の容量は処理する液体の体積
とボールの体積の合計の1.5〜2倍が好ましい。同様
にこのようにすると粉砕効率が最もよくなると考えられ
る。
【0026】なお粉砕処理時間は概ね50〜100時間
が好ましい。例えばこれによりステアリン酸リチウムの
粉末が最大粒径が30μm未満に粉砕されて液体中に浮
遊分散した状態になる。
【0027】高級脂肪酸系潤滑剤は金型の内面に塗布さ
れる。高級脂肪酸系潤滑剤を金型の内面に塗布する場合
ボールミル式粉砕処理を施された水溶液を10〜20倍
に希釈したものを用いて塗布する。水溶液を希釈する場
合、希釈された水溶液全体の重量を100重量%とし
て、そこに含まれている高級脂肪酸系潤滑剤が0.1〜
5重量%となるように希釈するのが好ましい。更に好ま
しくは0.5〜2重量%に希釈するのがよい。このよう
に希釈することによって薄くて均一な潤滑膜を形成する
ことができる。
【0028】このように希釈された水溶液を例えば塗装
用のスプレーガンで吹き付けて、塗布することができ
る。塗布する水溶液の量はおよそ1cm/秒程度の塗
布量に調整したスプレーガンを用いて、金型の大きさに
合わせて適宜調整して行えばよい。例えば高級脂肪酸系
潤滑剤がステアリン酸リチウムの場合には成形体の重量
100部に対して0.05重量部のステアリン酸リチウ
ムが金型の内面に付着する程度が好ましい。スプレーし
た塗布量と抜出圧力の関係を調べた実験からこの程度の
量を塗布するのが妥当と推定される。
【0029】なお金型の内面に潤滑剤を均一にスプレー
塗布する場合、所定の位置に下パンチをセットして、そ
のままスプレー塗布するとパンチ付近に付着しない部分
が生じるという問題がある。この場合図1に示すように
予め下パンチ20を所定の位置より下げた位置にしてお
き、スプレーガン10で潤滑剤をスプレー塗布し、その
後所定の位置に下パンチ20を押し上げてもよい。ある
いは図2に示すようにスプレー塗布する前に下パンチ2
0を金型(ダイス)40の外へ引き出し、ついでスプレ
ーガン10を金型(ダイス)40の下方へ移動させて、
下から上に向けて潤滑剤をスプレー塗布してもよい。こ
のように下から上に向けて潤滑剤をスプレー塗布した場
合には金型(ダイス)40に付着しなかった潤滑剤が上
方へ飛散するのを防ぐ目的で、余剰の潤滑剤を回収する
構造にすればよい。金型(ダイス)40をこのような構
造にすることで、金型(ダイス)40の内面には常に均
一な潤滑剤の被膜30が形成でき、潤滑剤の塗布不良に
よる焼き付きを防ぐことができる。さらに作業環境を悪
化させることもなくなる。
【0030】なお高級脂肪酸系潤滑剤を金型の内面に塗
布する方法としてはスプレーガンでスプレー塗布する方
法の他に、例えば静電ガン等の静電塗布装置を用いて塗
布してもよい。
【0031】本塗布工程に用いられる金型は粉末冶金に
おいて成形体を成形するために通常用いられる金型を用
いることができる。なお高い圧力で加圧成形するので強
度に優れた金型が望ましい。また金型の内面はTiNコ
ート処理等が施され、表面の粗さが低いのが好ましい。
それだけで摩擦が少なくなり、また成形体の表面も滑ら
かに仕上がる。
【0032】本塗布工程で用いられる金型は加熱されて
いる。金型が加熱されることによって、金型に塗布され
た高級脂肪酸系潤滑剤とその近傍の金属粉末とが共に加
熱されて、高級脂肪酸系潤滑剤と金属粉末とが一定の圧
力の下で化学的に結合し易くなり、金属石鹸の被膜を形
成し易くなる。従って抜出圧力が少なくて済む。また金
型が100℃以上に加熱されているので、高級脂肪酸系
潤滑剤が分散されている水が瞬時に蒸発して、金型の内
面に均一な潤滑剤の被膜を形成することができる。金型
を加熱するには通常の方法で行えばよい。例えば電熱ヒ
ーターを用いて加熱することができる。
【0033】なおこの場合金型の温度は100℃以上に
加熱されているのが好ましい。即ち金属粉末と高級脂肪
酸系潤滑剤とが一定の圧力下で化学的に結合し易くな
り、金属石鹸の被膜を形成し易くなると推測される。更
に金型の温度は高級脂肪酸系潤滑剤の融点未満であるこ
とが好ましい。金型の温度が融点以上であると高級脂肪
酸系潤滑剤が溶融して、金型内面を下方向に流れ落ち易
くなり、金型の内面に均一な潤滑剤の被膜を形成するこ
とができなくなる。また金属粉末が固まる等の問題が生
じる。例えば高級脂肪酸系潤滑剤としてステアリン酸リ
チウムを用いた場合には金型の加熱温度はステアリン酸
リチウムの融点である220℃未満が好ましい。
【0034】加圧成形工程は、加熱した金型に金属粉末
を充填し、高級脂肪酸系潤滑剤が金属粉末と化学的に結
合して金属石鹸の被膜を生成する圧力で金属粉末を加圧
成形する工程である。
【0035】塗布工程において高級脂肪酸系潤滑剤が塗
布された金型に金属粉末を充填する。ここで用いられる
金属粉末は鉄粉末等の金属粉末の他、金属間化合物粉
末、金属非金属間化合物粉末でもよく、異なった種類の
金属粉末が混合された混合粉末でもよい。更に金属粉末
と非金属粉末との混合粉末でもよい。なおここで鉄粉末
とは所謂純鉄の粉末の他、鉄を主成分とする鉄合金の粉
末をも含むものとする。従ってここで用いられる金属粉
末は例えば鋼粉末と黒鉛粉末との混合粉末でもよい。
【0036】金属粉末は適切な金属粉末を用いることが
でき、造粒粉を用いてもよいし、粗粒粉を用いてもよ
い。従って粒径が200μm以下で、平均粒径が100
μm前後である一般的な粉末冶金用の金属粉末を用いる
ことができる。また添加用の粉末(Gr(黒鉛)、C
u)として粒径が40μm以下の一般的な粉末を用いる
ことができる。なお金属粉末は通常用いられている混合
機を用いて混合することができる。
【0037】なお金属粉末は加熱されているのが好まし
い。成形体を抜き出す抜出圧力が減少することができ
る。即ち金属粉末も加熱されていることにより、高級脂
肪酸系潤滑剤と化学的に結合し易くなり、金属石鹸の被
膜を形成しやすくなると考えられる。
【0038】また金属粉末は鉄粉末を含む金属粉末であ
ることが好ましい。高級脂肪酸系潤滑剤と化学的に結合
して高級脂肪酸の鉄塩の被膜を形成すると考えられる。
この鉄塩の被膜は鉄粉末との結びつきが強固であり、も
との物理的に吸着していた潤滑剤以上の潤滑性能を発揮
して、金型と成形体との間の摩擦力を著しく減少させ
て、成形体を抜き出す抜出圧力を減少させることができ
る。
【0039】なお金属粉末には黒鉛粉末が添加されてい
るのが好ましい。それだけ抜出圧力が減少することがで
きる。黒鉛粉末自体に潤滑作用があり、黒鉛粉末を添加
することによって鉄粉末と金型との接触面積が減少し
て、抜出圧力が減少する。
【0040】更にここで用いられる金属粉末には高級脂
肪酸系潤滑剤が添加されているのが好ましい。例えばス
テアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステア
リン酸亜鉛等を金属粉末に添加してもよい。高級脂肪酸
系潤滑剤の添加の割合は金属粉末全体を100重量%と
して、0.1重量%以上で0.6重量%未満が好まし
い。潤滑剤の添加量が、0.1重量%以上で0.6重量
%未満であると、金属粉末の流動性が著しく向上して金
型への充填密度を高くすることができ、高密度の成形体
を成形するのに有利である。但し潤滑剤の添加量が多く
なるほど高圧力で成形したときの成形体の到達密度が低
くなる。
【0041】金属粉末を金型で加圧成形するときの成形
圧力は高級脂肪酸系潤滑剤が金属粉末と化学的に結合し
て金属石鹸の被膜を生成する圧力で行う。このように金
属石鹸の被膜を生成する圧力で行うことにより、少なく
とも成形体の金型と当接している表面に金属石鹸の被膜
が形成されると考えられる。この被膜は金属粉末との結
合力が非常に強固であり、もとの物理的に吸着していた
潤滑剤の被膜以上の潤滑性能を発揮し、金型と成形体と
の間の摩擦力を著しく減少することができる。また温間
で高い成形圧力で成形されるので成形体の密度を室温成
形に比べて大幅に高くすることができる。
【0042】金型に塗布される高級脂肪酸系潤滑剤の種
類によって金属石鹸の被膜が生成し形成する圧力が異な
るので、用いられる高級脂肪酸系潤滑剤の種類に応じて
成形圧力を定めて成形すればよい。
【0043】例えば金型の内面に塗布する高級脂肪酸系
潤滑剤としてステアリン酸リチウム等の高級脂肪酸の金
属塩を用いて鉄粉末を加圧成形する場合には金型の温度
は100℃以上に加熱して、600MPa以上の圧力で
加圧成形することができる。即ち600MPa以上の圧
力で加圧成形すると、鉄粉末と高級脂肪酸の金属塩とが
化学的に結合して高級脂肪酸の鉄塩の被膜が成形体と金
型との間に形成され、抜出圧力が減少する。また600
MPa以上の高圧力で成形しているので、高密度の成形
体を得ることができる。
【0044】なおこの場合785MPa以上の加圧成形
するのが更に好ましい。またこの場合金型の温度は12
0〜180℃程度の設定しておくのが更に好ましい。こ
の温度であれば高級脂肪酸の金属塩と鉄粉末とが化学的
に結合して、高級脂肪酸の鉄塩の被膜を形成し易くな
り、成形体の抜出圧力が著しく減少するからである。更
にこの場合高級脂肪酸の金属塩は高級脂肪酸のリチウム
塩、カルシウム塩又は亜鉛塩であることが更に好まし
い。成形体を抜き出す抜出圧力が減少するからである。
【0045】なおこのように成形された成形体は通常の
方法で抜き出せばよい。金属石鹸の被膜が金型と成形体
の間に形成されているので、従来と比較して減少した抜
出圧力で成形体を抜き出すことができる。また高い成形
圧力で成形されているので、高密度の成形体を得ること
ができる。抜出圧力は加圧成形圧力の3%以下の圧力で
抜き出すことができる。
【0046】本発明の成形方法を経時的に列挙すると次
のようになる。 金型を100℃以上の所定金型温度に加熱しておく。 金型温度より高い融点をもつ高級脂肪酸の金属塩が微
細に分散した分散液を金型表面に塗布し、金型表面に高
級脂肪酸の金属塩の皮膜を形成する。 金型に鉄粉末を充填し、600MPa以上の成形圧力
で加圧成形する。これにより金型と当接している表面に
金属石鹸の皮膜をもつ成形体を得る。 その後、金属石鹸の皮膜の潤滑特性により加圧成形時
の加圧力の3%以下の抜出力で成形体を金型より引き抜
き成形体を取り出す。 なお、上記鉄粉末には、純鉄や合金綱などの鉄を主体と
する粉末、および純鉄や合金綱に銅や黒鉛粉などを混合
した粉末も含まれる。
【0047】
【実施例】実施例として高級脂肪酸系潤滑剤を調整し、
粉末成形体を成形した。また比較のため比較例として粉
末成形体を成形した。
【0048】(高級脂肪酸系潤滑剤の調整) 高級脂肪酸系潤滑剤として融点が約225℃であるス
テアリン酸リチウム(LiSt)の粉末を用意し、この
ステアリン酸リチウムの粉末を水に分散させた。表1は
水にステアリン酸リチウムの粉末を分散させる条件を示
し、水に分散されたステアリン酸リチウムの最大粒径が
30μm未満のものをNo.1〜4とし、最大粒径が3
0μm以上のものをNo.5とした。なおここで最大粒
径には個々の粒子が凝集したものも含む。
【0049】
【表1】
【0050】ステアリン酸リチウムを分散させるのに
際して、まず水に界面活性剤と消泡剤を添加して、界面
活性剤と消泡剤が添加されている水溶液を作製した。界
面活性剤としてはポリオキシエチレンノニルフェニルエ
ーテル(EO)6、(EO)10及びホウ酸エステルエ
マルボンT−80を用いた。表1の界面活性剤添加量の
欄に、水溶液の体積を100体積%としてNo.1〜5
におけるこれら3種類の界面活性剤全体の添加量を示
す。(EO)6、(EO)10及びホウ酸エステルエマ
ルボンT−80の体積比は(EO)6:(EO)10:
ホウ酸エステルエマルボンT−80=1:1:1であっ
た。消泡剤はシリコン系の消泡剤を用い、水溶液の体積
を100体積%として0.3体積%添加した。
【0051】界面活性剤を添加した水溶液にステアリ
ン酸リチウムの粉末を加えて分散した。水溶液100c
に対して分散させるステアリン酸リチウムの粉末の
量は表1に示した通りである。次にこのステアリン酸リ
チウムの粉末を分散した水溶液をテフロンコートした鋼
球を用いてボールミル式粉砕処理を施した。鋼球の直径
は10mmであった。用いられたボールの体積は処理さ
れた水溶液の体積とほぼ同一の体積であった。ボールミ
ル式粉砕処理を施すために用いた容器の容量は水溶液と
ボールの体積に対して約2倍であった。粉砕処理に要し
た時間は表1に示した。この粉砕処理によってステアリ
ン酸リチウムの粉末が水溶液中に浮遊分散した状態とな
った。更にこのステアリン酸リチウムの粉末が浮遊分散
した水溶液を水で希釈した。希釈倍率は表1に示した。
【0052】1cm/秒程度の塗布量に調整した塗
装用スプレーガンを用いて、この希釈した水溶液を15
0℃に加熱した金型の内面にスプレー塗布を行った。
【0053】図3はNo.1、No.4及びNo.5
におけるステアリン酸リチウムが150℃に加熱された
金型に塗布された時の付着した状態を示す写真である。
No.1は細かな粒子が均一に付着していた。No.4
ではわずかに粗い粒子が見られたが、粒径が30μm以
上のものは見られなかった。No.5では粒径が30μ
m以上の粗い粒子が認められた。なおNo.5ではスプ
レー塗布によるステアリン酸リチウムの被膜が不均一で
あるばかりでなく、ステアリン酸リチウムの粒子が水溶
液中に沈殿してしまい、常時ステアリン酸リチウムの粉
末を分散した水溶液を攪拌していなければスプレーガン
によるスプレー塗布自体がうまくいかなかった。
【0054】(粉末成形体の成形) 実施例1〜4 実施例1から4として上述の(高級脂肪酸系潤滑剤の調
整)で作製したNo.1から4の潤滑剤を用いて粉末成
形体を成形した。上述したNo.1〜4の潤滑剤を15
0℃に加熱した金型の内面にスプレー塗布した。金型は
内面にTiNコート処理を施して表面粗さを十点平均粗
さ(JIS B0601)で0.4Zに仕上げたφ17
mmの超硬金型を用いた。次に150℃に加熱した金属
粉末を上記金型に充填し、圧力785MPaで加圧成形
して成形体を作製した。金属粉末は実施例1から4まで
同一の金属粉末を用いた。川崎製鉄(株)製KIP10
3V合金鋼粉(以下適宜「103V」と略す)に黒鉛粉
と内部潤滑剤としてステアリン酸リチウムの粉末とを添
加して、1時間回転混合した金属粉末である。黒鉛粉及
びステアリン酸リチウムの粉末の添加の量は、金属粉末
全体の重量を100重量%として、黒鉛粉は0.5重量
%であり、ステアリン酸リチウムの粉末は0.3重量%
であった。なお川崎製鉄(株)製KIP103V合金鋼
粉の組成は、Fe−1重量%Cr−0.3重量%Mo−
0.3重量%Vであった。
【0055】比較例1 金型に塗布した潤滑剤の比較のために、日本バルカー工
業社製のスプレータイプ潤滑剤乾性フッ素樹脂U−NO
NS(以下適宜「U−NONS]と略す)を金型の内面
に塗布した。後は実施例と同様の条件で粉末成形体を成
形した。これを比較例1とする。
【0056】比較例2 金属粉末に添加した内部潤滑剤の比較のために、内部潤
滑剤として添加された0.3重量%のステアリン酸リチ
ウムの粉末の代わりに、0.8重量%のステアリン酸リ
チウムの粉末を添加した金属粉末を用いた。なお金型の
内面には潤滑剤を塗布しなかった。金型及び金属粉末を
加熱せずに室温で金属粉末を成形して粉末成形体を作製
した。なお金型は実施例と同一のものを用い、成形圧力
も同一とした。これを比較例2とする。
【0057】比較例3 同様に金属粉末に添加した内部潤滑剤の比較のため、内
部潤滑剤として添加された0.3重量%のステアリン酸
リチウムの粉末の代わりに、0.8重量%のステアリン
酸亜鉛(ZnSt)の粉末を添加した金属粉末を用い
た。なお金型の内面には潤滑剤を塗布しなかった。金型
及び金属粉末を加熱せずに室温で金属粉末を成形して粉
末成形体を作製した。金型は実施例と同一のものを用
い、成形圧力も同一とした。これを比較例3とする。実
施例1〜4及び比較例1〜3の抜出圧力及び成形体密度
を表2に示す。
【0058】
【表2】 表2から明らかなように室温で成形した比較例2と比較
例3に比較して、実施例1から4まですべて抜出圧力が
著しく低く、また成形体密度が高かった。また市販の潤
滑剤(U−NONS)を金型の内面に塗布して成形した
比較例1と比較しても、実施例1から4は抜出圧力が著
しく低かった。また実施例1から4は成形体の表面状態
が極めて良好であった。これに対して比較例1では成形
体の表面が黒っぽくなった。また比較例3ではかじりが
成形体の一部に発生し、また表面状態も悪かった。
【0059】[評価試験] 成形圧力と抜出圧力との関係、成形圧力と成形体密度の
関係を調べるため以下の評価試験を行った。
【0060】(評価試験1) 成形圧力と抜出圧力の関係及び成形圧力と成形体密度と
の関係を評価するための評価試験を行った。393MP
a、490MPa、588MPa、686MPa、78
5MPa、883MPa、981MPa等の圧力で金属
粉末を成形し、それぞれの成形圧力毎の抜出圧力、成形
体密度を測定した。金型は上述の[実施例]の(粉末成
形体の成形)で用いたのと同一の金型を用いた。なお以
下の評価試験において用いた金型はすべて上述の[実施
例]の(粉末成形体の成形)で用いた金型と同一であ
る。即ち内面にTiNコート処理を施して表面粗さを十
点平均粗さ(JIS B0601)で0.4Zに仕上げ
たφ17mmの超硬金型である。
【0061】金型の内面に塗布する潤滑剤として上述の
[実施例]の(高級脂肪酸系潤滑剤の調整)で作製した
No、2のステアリン酸リチウム(LiSt)を用い
た。なお以下の評価試験において金型の内面に塗布する
ステアリン酸リチウムはこのNo.2のステアリン酸リ
チウムを用いた。なお金型の内面への潤滑剤の塗布は成
形温度に加熱された金型にスプレー塗布することによっ
て行った。なお以下の評価試験においても同様である。
【0062】150℃に加熱した金型に150℃に加熱
した金属粉末を充填した。なお以下の記載において金型
の温度及び充填される金属粉末の温度を成形温度とい
う。金属粉末は上述の[実施例]の(粉末成形体の成
形)の実施例で用いた金属粉末と同一の金属粉末を用い
た。即ち川崎製鉄(株)製のKIP103V合金鋼粉に
黒鉛粉末と内部潤滑剤としてステアリン酸リチウムの粉
末とを添加して、1時間回転混合した金属粉末である。
黒鉛粉末及びステアリン酸リチウムの粉末の添加の量
は、金属粉末全体の重量を100重量%として、黒鉛粉
末は0.5重量%であり、ステアリン酸リチウムの粉末
は0.3重量%であった。
【0063】比較のために金型の内面に塗布する潤滑剤
として上述の(粉末成形体の成形)の比較例1で用いた
U−NONSを用いた。金属粉末については、同様に
(粉末成形体の成形)の実施例で用いた金属粉末と同一
の金属粉末を用いた。
【0064】更に比較のため金属粉末として、金属粉末
全体の重量を100重量%としてAstaloy85M
oに0.8重量%の黒鉛(C)と0.6重量%の潤滑剤
とが添加されたヘガネス社製の温間成形用粉末であるD
ensmixを用いた。この金属粉末には潤滑剤が含ま
れているため、金型の内面には潤滑剤を塗布しなかっ
た。
【0065】図4に金型の内面にステアリン酸リチウム
を塗布し、上述したKIP103V合金鋼粉に黒鉛粉末
とステアリン酸リチウムの粉末を添加した金属粉末を用
いた場合(LiSt金型潤滑)、金型の内面にU−NO
NSを塗布し、同様にKIP103V合金鋼粉に黒鉛粉
末とステアリン酸リチウムの粉末を添加した金属粉末を
用いた場合(U−NONS金型潤滑)、金型の内面には
潤滑剤を塗布せずに金属粉末としてDensmixを用
いた場合(Densmix粉末)の成形圧力と抜出圧力
との関係を示す。金型の内面にステアリン酸リチウムを
塗布した場合は上記圧力で成形した場合の抜出圧力を示
すが、U−NONSを塗布した場合は392MPa、5
88MPa、785MPa、981MPaで成形した場
合の抜出圧力を示し、金属粉末としてDensmixを
用いた場合は392MPa、588MPa、686MP
a、785MPa、981MPaで成形した場合の抜出
圧力を示す。
【0066】金属粉末としてDensmixを用いた場
合には抜出圧力は成形圧力の増加と共に高くなった。金
型の内面にU−NONSを塗布した場合もDensmi
xを用いた場合と比較するとその値は小さくなるが、成
形圧力の増加と共に抜出圧力は高くなった。これに対し
て金型の内面にステアリン酸リチウムを塗布した場合に
は、成形圧力が588MPaまでは抜出圧力は増加した
が、686MPa以上の成形圧力になると逆に抜出圧力
が低下し、U−NONSを塗布した場合及び金属粉末と
してDensmixを用いた場合よりも抜出圧力が著し
く低下している。これは本発明の粉末成形体の成形方法
の最大の特徴である。
【0067】なおデータには示していないが、金型の内
面にステアリン酸リチウムを塗布した場合には成形体の
表面状態は極めて良好であった。これに対して金属粉末
としてDensmixを用いた場合、金型の内面にU−
NONSを塗布した場合には成形体の表面にかじり等が
発生して、良好な表面の成形体を得ることができなかっ
た。
【0068】図5に金型の内面にステアリン酸リチウム
を塗布し、上述したKIP103V合金鋼粉に黒鉛粉末
とステアリン酸リチウムの粉末を添加した金属粉末を用
いた場合(LiSt金型潤滑)、金型の内面にU−NO
NSを塗布し、同様にKIP103V合金鋼粉に黒鉛粉
末とステアリン酸リチウムの粉末を添加した金属粉末を
用いた場合(U−NONS金型潤滑)、金型の内面には
潤滑剤を塗布せずに金属粉末としてDensmixを用
いた場合(Densmix粉末)の成形圧力と成形体密
度との関係を示す。ステアリン酸リチウムを塗布した場
合については上記圧力で成形した場合の成形体密度を示
すが、U−NONSを塗布した場合については392M
Pa、588MPa、785MPa、の圧力で成形した
場合の成形体密度を示し、金属粉末としてDensmi
xを用いた場合については392MPa、490MP
a、588MPa、686MPa、785MPa、98
1MPaの圧力で成形した場合の成形体密度を示す。
【0069】成形体密度は成形圧力が高いほど高い値が
得られる。ステアリン酸リチウム又はU−NONSを金
型の内面に塗布した場合は概ね同じ値が得られ、7.4
g/cm以上の高い値となった。但し金属粉末として
Densmixを用いた場合には7.3g/cm以上
にはならなかった。
【0070】(評価試験2) 成形温度を105℃、125℃、150℃と設定し、金
型の内面に潤滑剤としてステアリン酸リチウムを塗布し
た場合の成形圧力と抜出圧力の関係及び成形圧力と成形
体密度の関係を調べるために評価試験を行った。金属粉
末としては、ヘガネス社製の純鉄粉末ASC100−2
9を用いた。また内部潤滑剤は添加しなかった。即ち金
属粉末として純鉄粉末のみを用いた場合の評価試験であ
った。393MPa、490MPa、588MPa、6
86MPa、785MPa、981MPaの成形圧力で
金属粉末を成形し、それそれの成形圧力毎の抜出圧力と
成形体密度を測定した。但し150℃については117
6MPaの圧力でも成形し、抜出圧力と成形体密度を測
定した。
【0071】図6にそれぞれの温度における成形圧力と
抜出圧力の関係を示す。105℃、125℃及び150
℃のいずれの温度においても586MPaで成形した場
合に抜出圧力が最大であった。686MPa以上の成形
圧力ではむしろ抜出圧力が減少した。
【0072】図7にそれぞれの温度における成形圧力と
成形体密度の関係を示す。105℃、125℃及び15
0℃のいずれの温度においても成形圧力が増大すると成
形体密度が増大した。
【0073】図6と図7からステアリン酸リチウムを金
型に塗布する潤滑剤として用いて、成形体を成形した場
合には、686MPa以上の圧力で成形すると抜出圧力
が減少すると共に高密度の成形体を得ることができるこ
とが分かる。
【0074】(評価試験3) 成形温度を105℃に設定し、金型の内面に潤滑剤とし
てステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム又は
ステアリン酸亜鉛を塗布した場合の成形圧力と抜出圧力
との関係及び成形圧力と成形体密度との関係を調べるた
めに評価試験を行った。ステアリン酸カルシウムとステ
アリン酸亜鉛は上述の[実施例]の(高級脂肪酸系潤滑
剤の調整)のNo.2と同様の方法で作製したものを用
いた。なお以下の評価試験において金型の内面に塗布さ
れるステアリン酸カルシウムとステアリン酸亜鉛につい
ても同様である。金属粉末としては、ヘガネス社製の純
鉄粉末ASC100−29を用いた。また内部潤滑剤は
添加しなかった。即ち金属粉末として純鉄粉末のみを用
いた評価試験であった。393MPa、490MPa、
588MPa、686MPa、785MPa、981M
Pa等の成形圧力で成形した場合の成形圧力毎の抜出圧
力及び成形密度を測定した。
【0075】図8にステアリン酸リチウム(LiS
t)、ステアリン酸カルシウム(CaSt)又はステア
リン酸亜鉛(ZnSt)を用いた場合におけるそれぞれ
の成形圧力と抜出圧力の関係を示す。ステアリン酸リチ
ウムとステアリン酸亜鉛については588MPaで成形
したときに抜出圧力が最大であった。686MPa以上
については減少した。ステアリン酸カルシウムについて
は490MPaで成形したときに抜出圧力が最大であっ
た。588MPa以上では抜出圧力は減少した。図9に
ステアリン酸リチウム(LiSt)、ステアリン酸カル
シウム(CaSt)又はステアリン酸亜鉛(ZnSt)
を用いた場合におけるそれぞれの成形圧力と成形体密度
の関係を示す。いずれを用いても概ね同一であり、成形
圧力が増大すると成形体密度が増大した。
【0076】(評価試験4) 成形温度を125℃に設定し、金型の内面に潤滑剤とし
てステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム等を
塗布した場合の成形圧力と抜出圧力との関係及び成形圧
力と成形体密度との関係を調べるための評価試験を行っ
た。ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウムに
ついては評価試験3と同一のものを用いた。また金属粉
末は、評価試験3と同様に、ヘガネス社製の純鉄粉末A
SC100−29を用いた。また内部潤滑剤は添加しな
かった。即ち金属粉末として純鉄粉末のみを用いた評価
試験であった。393MPa、490MPa、588M
Pa、686MPa、785MPa、981MPa等の
成形圧力で成形した場合の成形圧力毎の抜出圧力及び成
形密度を測定した。
【0077】図10にステアリン酸リチウム(LiS
t)又はステアリン酸カルシウム(CaSt)を用いた
場合におけるそれぞれの成形圧力と抜出圧力の関係を示
す。ステアリン酸リチウムは588MPaで成形したと
きに抜出圧力が最大であった。686MPa以上につい
ては抜出圧力は減少した。ステアリン酸カルシウムは4
90MPaで成形したときに抜出圧力が最大であった。
588MPa以上については抜出圧力は減少した。
【0078】図11にステアリン酸リチウム又はステア
リン酸カルシウムを用いた場合におけるそれぞれの成形
圧力と成形体密度との関係を示す。いずれを用いても概
ね同一であり、成形圧力が増大すると成形体密度が増大
した。評価試験3、評価試験4から、ステアリン酸リチ
ウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛のい
ずれを金型の内面に塗布する潤滑剤として用いても、一
定の成形温度で一定の圧力以上で成形すると抜出圧力が
減少し、また成形体密度の高い成形体が得られることが
分かる。
【0079】(評価試験5) 成形温度を150℃に設定し、金型の内面に潤滑剤とし
てステアリン酸リチウムを塗布し、鉄粉末に黒鉛を添加
した場合の成形圧力と抜出圧力との関係及び成形圧力と
成形体の密度との関係を調べるために評価試験を行っ
た。この評価試験に用いた金属粉末は鉄粉末としてヘガ
ネス社製ASC100−29を用い、この鉄粉末のみの
金属粉末、金属粉末全体の重量を100重量%としてこ
の鉄粉末に0.5重量%の黒鉛(C)を添加した金属粉
末、この鉄粉末に1重量%の黒鉛(C)を添加した金属
粉末の三種類を用いた。588MPa、785MPa、
981MPa等の成形圧力で成形した場合の成形圧力毎
の抜出圧力及び成形密度を測定した。
【0080】図12に金属粉末が鉄粉末のみ(Fe)、
0.5重量%の黒鉛を添加した鉄粉末(Fe−0.5%
C)及び1重量%の黒鉛を添加した鉄粉末(Fe−1%
C)の場合の成形圧力と抜出圧力の関係を示す。いずれ
の場合も成形圧力が増大しても抜出圧力は減少した。鉄
粉末のみの場合の方が黒鉛が添加されている場合と比較
して抜出圧力が高かった。黒鉛が添加されている場合は
1重量%添加されている方が0.5重量%添加されてい
る場合よりも抜出圧力は減少した。
【0081】図13に金属粉末が鉄粉末のみ(Fe)、
0.5重量%の黒鉛を添加した鉄粉末(Fe−0.5%
C)、1重量%の黒鉛を添加した鉄粉末(Fe−1%
C)の場合の成形圧力と成形体密度の関係を示す。いず
れの場合も成形圧力が増大すると成形体密度も増大し
た。鉄粉末のみの場合の方が黒鉛が添加されている場合
と比較して成形体密度が高かった。黒鉛が添加されてい
る場合は0.5重量%添加されている方が1重量%添加
されている場合によりも成形体密度が高かった。以上の
ことから鉄粉末に黒鉛を多く添加すると抜出圧力は多く
減少するが、成形体密度は低下することが分かる。また
黒鉛の添加によって、見かけ上の真密度が低下するた
め、密度比で表すとほぼ同じ値となる。
【0082】(評価試験6) 成形温度を室温に設定し、金型の内面には潤滑剤を塗布
しないで、金属粉末に内部潤滑剤を添加した場合の成形
圧力と抜出圧力との関係及び成形圧力と成形体の密度と
の関係を調べるために評価試験を行った。金属粉末は鉄
粉末として川崎製鉄(株)製のKIP103V合金鋼粉
末を用い、金属粉末全体の重量を100重量%としてこ
の鉄粉末に0.5重量%の黒鉛(C)及び0.8重量%
の内部潤滑剤を添加した金属粉末(103V−0.5%
C+0.8%Lub.)を用いた。内部潤滑剤は、ステ
アリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛又はステアリン酸
カルシウムを用いた。これら3種類の内部潤滑剤を用い
た場合について、それぞれ393MPa、490MP
a、588MPa、686MPa、785MPa、98
1MPa等の成形圧力で成形した場合の成形圧力毎の抜
出圧力及び成形密度を測定した。
【0083】図14に内部潤滑剤としてステアリン酸リ
チウム(LiSt)、ステアリン酸亜鉛(ZnSt)又
はステアリン酸カルシウム(CaSt)を用いた場合の
成形圧力と抜出圧力の関係を示す。ステアリン酸亜鉛の
場合は成形圧力が増大すると抜出圧力も増大した。ステ
アリン酸リチウムの場合は成形圧力が686MPaのと
きに抜出圧力が最大であり、785MPaのときに抜出
圧力は減少したが、981MPaでは再び増大した。加
熱した金型の内面に潤滑剤を塗布した評価試験2、評価
試験3、評価試験4等のような抜出圧力の著しい減少は
見られなかった。ステアリン酸カルシウムについても7
85MPaでやや減少したが、981MPaでは再び増
大した。やはり加熱した金型の内面に潤滑剤を塗布した
評価試験2、評価試験3、評価試験4等のような抜出圧
力の著しい減少は見られなかった。
【0084】図15に内部潤滑剤としてステアリン酸リ
チウム(LiSt)、ステアリン酸亜鉛(ZnSt)又
はステアリン酸カルシウム(CaSt)を用いた場合の
成形圧力と成形体密度の関係を示す。いずれの場合も成
形圧力の増大すると成形体密度も増大した。但し評価試
験2、評価試験3、評価試験4の場合と比較すると成形
体密度は低かった。成形体密度を高めようとするには内
部潤滑剤の添加量を減らして加熱した方がよいと推測さ
れる。
【0085】(評価試験7) 成形温度を150℃に設定し、金型の内面に潤滑剤を塗
布しない場合と金型の内面にステアリン酸リチウムを塗
布した場合とで、金属粉末を成形した場合の成形圧力と
抜出圧力との関係を調べるために評価試験を行った。金
型の内面に潤滑剤を塗布しない場合はAstaloy8
5Moに金属粉末全体の重量を100重量%として0.
8重量%の黒鉛と0.6重量%の潤滑剤とが添加された
ヘガネス社製の温間成形用粉末であるDensmixを
用いた。金型にステアリン酸リチウムが塗布された場合
は、金属粉末全体の重量を100重量%としてAsta
loy85Moに0.8重量%の黒鉛と0.2重量%の
潤滑剤が添加されたヘガネス社製の温間成形用粉末であ
るDensmixを用いた。490MPa、588MP
a、686MPa、785MPa、981MPa等の成
形圧力で成形した場合の成形圧力毎の抜出圧力を測定し
た。
【0086】図16に金型の内面に潤滑剤としてステア
リン酸リチウムを塗布した場合(Densmix(0.
2%Lub.)+LiSt金型潤滑)と潤滑剤を塗布し
なかった場合(Densmix(0.6%Lub.))
の成形圧力と抜出圧力の関係を示す。
【0087】金型の内面にステアリン酸リチウムを塗布
した場合は785MPaの圧力で成形した場合に著しく
抜出圧力が減少し、981MPaではほぼ同じであっ
た。金型の内面に潤滑剤を塗布しなかった場合は塗布し
た上述の場合よりも抜出圧力は高く、かつ成形圧力の増
加と共に抜出圧力も増加し、981MPaでやや減少し
たにすぎない。
【0088】(評価試験8) 成形温度を150℃に設定し、金型の内面に潤滑剤とし
てステアリン酸リチウムを塗布し、金属粉末として高強
度焼結材料として実用性の高い各種低合金鋼粉末を用い
た場合の成形圧力と抜出圧力の関係、成形圧力と成形体
密度の関係を調べるための評価試験を行った。金属粉末
は4種類用意した。いずれも低合金鋼粉末に黒鉛の粉末
と内部潤滑剤としてステアリン酸リチウムの粉末を添加
した。低合金鋼粉末はいずれも川崎製鉄(株)製のアト
マイズ粉末であって、KIP103V、5MoS、30
CRVであった。KIP103Vの組成はFe−1重量
%Cr−0.3重量%Mo−0.3重量%Vであった。
5MoSの組成はFe−0.6重量%Mo−0.2重量
%Mnであった。30CRVの組成はFe−3重量%C
r−0.3重量%Mo−0.3重量%Vであった。この
KIP103Vに、金属粉末全体の重量を100%とし
て、0.3重量%の黒鉛の粉末と0.3重量%のステア
リン酸リチウムの粉末を添加した金属粉末(103V−
0.3%C+0.3%LiSt)を調整した。同じくこ
のKIP103Vに、金属粉末全体の重量を100%と
して、0.5重量%の黒鉛の粉末と0.3重量%のステ
アリン酸リチウムの粉末を添加した金属粉末(103V
−0.5%C+0.3%LiSt)を調整した。また5
MoSに、金属粉末全体の重量を100%として、0.
2重量%の黒鉛の粉末と0.3重量%のステアリン酸リ
チウムの粉末を添加した金属粉末(5MoS−0.2重
量%C+0.3重量%LiSt)を調整した。更に30
CRVに、金属粉末全体の重量を100%として、1重
量%の黒鉛の粉末と0.3重量%のステアリン酸リチウ
ムの粉末を添加した金属粉末(30CRV−1%C+
0.3%LiSt)を調整した。これら4種類の金属粉
末をそれぞれ588MPa、686MPa、785MP
a、981MPa等の成形圧力で成形した場合の成形圧
力毎の抜出圧力及び成形密度を測定した。
【0089】図17にこれら4種類の金属粉末を用いた
場合の成形圧力と抜出圧力の関係を示し、図18にこれ
ら4種類の金属粉末を用いた場合の成形圧力と成形体密
度の関係を示す。
【0090】これらの図から理解できるように、いずれ
の組成の金属粉末においても概ね同じ傾向を示した。即
ちいずれの金属粉末においても588MPaの成形圧力
で成形した場合に最も抜出圧力が高くなり、成形圧力が
高くなるほど、抜出圧力が減少した。また得られる成形
体密度については、成形圧力が高いほど高密度となっ
た。これらの結果から、本発明の粉末成形体の成形方法
で成形することによって、実用的な低合金鋼粉末を高密
度にしかも低い抜出圧力で成形できることが明らかにな
った。
【0091】(評価試験9) 成形温度を150℃に設定し、金型の内面に潤滑剤とし
てステアリン酸リチウムを塗布し、2種類の金属粉末を
それぞれ成形した場合の成形圧力と抜出圧力の関係の関
係を調べるための評価試験を行った。また成形体の表面
にステアリン酸鉄の被膜が生成しているかを調べた。金
属粉末は川崎製鉄(株)製のKIP103Vとヘガネス
社製のASC100−29を用いた。上述したようにK
IP103Vは、全体を100重量%として鉄粉末にC
r粉末が1重量%、Mo粉末が0.3重量%、V粉末が
0.3重量%添加された合金綱(Fe−1重量%Cr−
0.3重量%Mo−0.3重量%V)であった。これに
対してASC100−29は純鉄(Fe)であった。K
IP103Vを用いた場合の成形圧力は588MPa、
686MPa、785MPa、883MPa、981M
Paで行い、それぞれの場合の抜出圧力を測定した。A
SC100−29を用いた場合の成形圧力は393MP
a、490MPa、588MPa、686MPa、78
5MPa、883MPa、981MPaで行い、それぞ
れの場合の抜出圧力を測定した。
【0092】図19にこれら2種類の金属粉末を用いた
場合の成形圧力と抜出圧力の関係を示す。この図から理
解できるようにKIP103Vを用いた方が、ASC1
00−29を用いた場合よりも抜出圧力が高かった。即
ち純鉄であるASC100−29の方が鉄にCr、M
o、V等が添加されているKIP103Vよりも抜出圧
力が少なくて済んだことが分かる。ここから金属粉末に
含まれている鉄の割合が多い方が金型の内面に接触する
鉄の量が多くなり、それだけステアリン酸鉄を生成しや
すいと推定される。
【0093】そこでKIP103V及びASC100−
29の両者について588MPaで成形した場合また9
81MPaで成形した場合に成形体の表面にステアリン
酸鉄の被膜が生成しているかを調べた。ステアリン酸鉄
の被膜の検出は後述する[抜出圧力低下減少の解析]と
同様にTOF−SIMSで分析することによって行っ
た。
【0094】KIP103Vを成形した場合には588
MPaの成形圧力では成形体の表面からステアリン酸鉄
の被膜は検出されなかったが、981MPaの成形圧力
においてはステアリン酸鉄の被膜が検出された。即ち9
81MPaの成形圧力においてステアリン酸鉄の被膜が
生成していたことが確認された。一方ASC100−2
9を成形した場合には588MPa及び981MPaの
成形圧力において共にステアリン酸鉄の被膜が成形体の
表面から検出された。即ち成形体の表面にステアリン酸
鉄の被膜が生成したことが分かる。588MPaの成形
圧力では純鉄であるASC100−29ではステアリン
酸鉄が生成されたが、鉄合金であるKIP103Vでは
ステアリン酸鉄が生成されなかった結果とASC100
−29の方がKIP103Vよりも抜出圧力が少なく済
むということを考慮すると、ステアリン酸鉄の被膜の存
在が抜出圧力を減少させていると考えられる。
【0095】なお同じ条件で、金型の表面にステアリン
酸リチウムの代わりにステアリン酸亜鉛を塗布してKI
P103V、ASC100−29をそれぞれ成形したと
ころ、981MPaにおいて共にステアリン酸鉄が検出
された。またステアリン酸カルシウムを塗布した場合に
も同様に981MPaにおいてKIP103V、ASC
100−29の両者ともステアリン酸鉄が検出された。
このことからステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜
鉛等を金型の内面に塗布しても抜出圧力を減少させる効
果があると考えられる。
【0096】[抜出圧力低下現象の解析] 更に潤滑剤としてステアリン酸リチウムを金型の内面に
塗布して成形体を成形した場合に成形圧力が高くなると
却って成形体の抜出圧力が低下する現象を解析するため
に以下の解析試験を行った。金型としては、上述の[実
施例]の(粉末成形体の成形)で用いたのと同一の金型
を用い、この金型を150℃まで加熱した。そして上述
の(高級脂肪酸の調整)で作製したNo.2のステアリ
ン酸リチウムをこの金型の内面にスプレー塗布した。金
属粉末として川崎製鉄(株)製KIP103V合金鋼粉
末を用いた。この合金鋼粉末を150℃にまで加熱し
て、金型に充填し、588MPaと981MPaの2種
類で加圧成形して成形体を成形した。2種類の成形圧力
で成形された成形体の表面をTOF−SIMSで分析し
た。分析結果を図20に示す。
【0097】図20から分かるように588MPaの成
形圧力で成形された成形体の表面からはステアリン酸リ
チウムが検出されたが、ステアリン酸鉄はほとんど検出
されなかった。一方981MPaの成形圧力で成形され
た成形体の表面からはステアリン酸鉄が検出された。
【0098】このことは588MPaで成形された成形
体では鉄粉の表面に潤滑剤であるステアリン酸リチウム
が物理的に吸着しているだけであるが、981MPaで
成形された成形体では鉄粉の表面にステアリン酸鉄が化
学吸着していることを示している。このステアリン酸鉄
は金属石鹸であって、ステアリン酸リチウムが鉄との化
学結合により生じたものである。
【0099】このように化学吸着した被膜は物理吸着し
た潤滑剤の被膜よりも強い潤滑作用があり、本発明のよ
うに高圧力の成形においては、極めて優れた潤滑性能を
示すと考えられる。
【0100】
【発明の効果】本発明の成形方法は、一回の成形と焼結
だけで高密度の焼結体を製造することができる。
【0101】本発明の成形方法は成形体を金型から抜き
出すときの抜出圧力を減少することができる。その結果
として成形体の表面の状態が極めて良好となり、成形体
の寸法精度も安定して確保できる。また高圧力で金属粉
末を成形するので高密度の粉末成形体を得ることができ
る。
【0102】本発明の成形方法は金型の低い抜出圧力で
成形体を抜き出すことができるので、金型の摩耗を著し
く減少することができ、また金型の寿命が大幅に向上し
て金型に対するコストを減少することができる。
【0103】本発明の成形方法において、水に分散され
た高級脂肪酸系潤滑剤を用いる場合には、潤滑剤をその
融点以下の温度に加熱された金型の内面に均一に塗布で
きる。また有機溶媒を使用しないので環境汚染の心配も
ない。
【0104】本発明の成形方法において、金型の温度が
高級脂肪酸系潤滑剤の融点未満の場合には、高級脂肪酸
系潤滑剤が液状となることによる金属粉末の固化等の問
題が生じない。
【0105】本発明の成形方法において、金属粉末が加
熱されている場合には、高密度の成形体を成形すること
ができる。また粉末成形体の抜出圧力を減少することが
できる。
【0106】本発明の成形方法において、金属粉末に高
級脂肪酸系潤滑剤が0.1重量%以上で0.6重量%未
満添加されている場合には金属粉末の流動性が向上し、
金属粉末の充填密度を高くすることができる。
【0107】100℃以上に加熱された金型の内面に高
級脂肪酸の金属塩を塗布する塗布工程と、金型に鉄粉末
を充填し、600MPa以上で該鉄粉末を加圧成形する
加圧成形工程とを含む粉末成形体の成形方法の場合に
は、抜出圧力を減少することができ、また成形体密度を
高くすることができる。また高級脂肪酸の金属塩が高級
脂肪酸のリチウム塩、カルシウム塩又は亜鉛塩である場
合も同様である。 [図面の簡単な説明]
【図1】スプレーガンで金型の内面に高級脂肪酸系潤滑
剤を塗布する様子を概略的に示した図である。
【図2】スプレーガンで金型の内面に高級脂肪酸系潤滑
剤を塗布する様子を概略的に示した図である。
【図3】3種類の粒径の異なるステアリン酸リチウムが
150℃に加熱された金型に塗布された時の付着した状
態を示す写真である。
【図4】評価試験1における成形体の成形圧力と抜出圧
力の関係を示した図である。
【図5】評価試験1における成形体の成形圧力と成形体
密度の関係を示した図である。
【図6】評価試験2における成形体の成形圧力と抜出圧
力の関係を示した図である。
【図7】評価試験2における成形体の成形圧力と成形体
密度の関係を示した図である。
【図8】評価試験3における成形体の成形圧力と抜出圧
力の関係を示した図である。
【図9】評価試験3における成形体の成形圧力と成形体
密度の関係を示した図である。
【図10】評価試験4における成形体の成形圧力と抜出
圧力の関係を示した図である。
【図11】評価試験4における成形体の成形圧力と成形
体密度の関係を示した図である。
【図12】評価試験5における成形体の成形圧力と抜出
圧力の関係を示した図である。
【図13】評価試験5における成形体の成形圧力と成形
体密度の関係を示した図である。
【図14】評価試験6における成形体の成形圧力と抜出
圧力の関係を示した図である。
【図15】評価試験6における成形体の成形圧力と成形
体密度の関係を示した図である。
【図16】評価試験7における成形体の成形圧力と成形
体密度の関係を示した図である。
【図17】評価試験8における成形体の成形圧力と抜出
圧力の関係を示した図である。
【図18】評価試験8における成形体の成形圧力と成形
体密度の関係を示した図である。
【図19】評価試験9における成形体の成形圧力と抜出
圧力の関係を示した図である。
【図20】TOF−SIMSの結果を示す図である。
【符号の説明】
10:スプレーガン 20:下パンチ 30:潤滑
剤の被膜 40:金型(ダイス)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 粟野 洋司 日本国愛知県愛知郡長久手町大字長湫字 横道41番地の1 株式会社豊田中央研究 所内 (72)発明者 澤村 政敏 日本国愛知県愛知郡長久手町大字長湫字 横道41番地の1 株式会社豊田中央研究 所内 (72)発明者 岡島 博司 日本国愛知県豊田市トヨタ町1番地 ト ヨタ自動車株式会社内 (72)発明者 竹本 恵英 日本国愛知県豊田市トヨタ町1番地 ト ヨタ自動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平11−140505(JP,A) 特開 平8−100203(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22F 3/02 - 3/035

Claims (22)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱された金型の内面に高級脂肪酸系潤
    滑剤を塗布する塗布工程と、 前記金型に金属粉末を充填し、前記高級脂肪酸系潤滑剤
    が該金属粉末と化学的に結合して金属石鹸の被膜を生成
    する圧力で該金属粉末を加圧成形する加圧成形工程と を含むことを特徴とする粉末成形体の成形方法。
  2. 【請求項2】 前記高級脂肪酸系潤滑剤は高級脂肪酸の
    金属塩である請求項1記載の粉末成形体の成形方法。
  3. 【請求項3】 前記高級脂肪酸の金属塩は高級脂肪酸の
    リチウム塩、カルシウム塩又は亜鉛塩である請求項2記
    載の粉末成形体の成形方法。
  4. 【請求項4】 前記高級脂肪酸系潤滑剤は水に分散され
    ている請求項1記載の粉末成形体の成形方法。
  5. 【請求項5】 前記高級脂肪酸系潤滑剤は界面活性剤を
    含む水に分散されている請求項4記載の粉末成形体の成
    形方法。
  6. 【請求項6】 前記高級脂肪酸系潤滑剤は最大粒径が3
    0μm未満である請求項5記載の粉末成形体の成形方
    法。
  7. 【請求項7】 加熱された前記金型の温度は100℃以
    上である請求項1記載の粉末成形体の成形方法。
  8. 【請求項8】 加熱された前記金型の温度は前記高級脂
    肪酸系潤滑剤の融点未満である請求項7記載の粉末成形
    体の成形方法。
  9. 【請求項9】 前記金属粉末は加熱されている請求項1
    記載の粉末成形体の成形方法。
  10. 【請求項10】 前記金属粉末は鉄粉末を含む金属粉末
    である請求項1記載の粉末成形体の成形方法。
  11. 【請求項11】 前記金属粉末は前記高級脂肪酸系潤滑
    剤が添加されている請求項1又は請求項10記載の粉末
    成形体の成形方法。
  12. 【請求項12】 前記金属粉末は前記高級脂肪酸系潤滑
    剤が0.1重量%以上添加されている請求項11記載の
    粉末成形体の成形方法。
  13. 【請求項13】 100℃以上に加熱された金型の内面
    に高級脂肪酸の金属塩を塗布する塗布工程と、 前記金型に鉄粉末を充填し、600MPa以上で該鉄粉
    末を加圧成形する加圧成形工程と を含むことを特徴とする粉末成形体の成形方法。
  14. 【請求項14】 前記高級脂肪酸の金属塩は高級脂肪酸
    のリチウム塩、カルシウム塩又は亜鉛塩である請求項1
    3記載の粉末成形体の成形方法。
  15. 【請求項15】 785MPa以上で前記鉄粉末を加圧
    成形する請求項13記載の粉末成形体の成形方法。
  16. 【請求項16】 100℃以上の所定金型温度に加熱さ
    れた金型の内面に該金型温度より高い融点をもつ高級脂
    肪酸の金属塩が微細に分散した分散液を塗布し該高級脂
    肪酸の金属塩の被膜を形成する塗布工程と、 前記金型に鉄粉末を充填し、600MPa以上の成形圧
    力で該鉄粉末を加圧成形して成形体を得ると同時に少な
    くとも該成形体の該金型と当接している表面に金属石鹸
    の被膜を形成させる加圧成形工程と、 該金属石鹸の被膜をもつ該成形体を該金型より引き抜
    き、該金属石鹸の作用により容易に該成形体を取り出す
    抜出工程と、 を含むことを特徴とする粉末成形体の成形方法。
  17. 【請求項17】 100℃以上の所定金型温度に加熱さ
    れた金型の内面に該金型温度より高い融点を持つ高級脂
    肪酸の金属塩が微細に分散した分散液を塗布し該高級脂
    肪酸の金属塩の被膜を形成する塗布過程と、 前記金型に鉄粉末を充填し、600MPa以上の成形圧
    力で該鉄粉末を加圧成形して成形体を得ると同時に少な
    くとも該成形体の該金型と当接している表面に金属石鹸
    の被膜を形成させる加圧成形工程と、 該金属石鹸の被膜の潤滑特性により金型と成形体との間
    の摩擦力を減少させて該加圧成形の加圧力の3%以下の
    抜出圧力で該成形体を該金型より引抜き該成形体を取り
    出す抜出工程と、 を含むことを特徴とする粉末成形体の成形方法。
  18. 【請求項18】 前記成形圧力は686MPa以上であ
    り前記抜出圧力は8MPa以下である請求項16記載の
    粉末成形体の成形方法。
  19. 【請求項19】 前記成形圧力は700MPa以上であ
    り前記抜出圧力は15MPa以下である請求項16記載
    の粉末成形体の成形方法。
  20. 【請求項20】 前記成形圧力は700MPa以上であ
    り前記抜出圧力は13MPa以下である請求項16記載
    の粉末成形体の成形方法。
  21. 【請求項21】 前記成形圧力は700MPa以上であ
    り前記抜出圧力は10MPa以下である請求項16記載
    の粉末成形体の成形方法。
  22. 【請求項22】 前記分散液に分散している前記金属塩
    の最大粒径は30μm以下である請求項16記載の粉末
    成形体の成形方法。
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