JP5967010B2 - 希土類焼結磁石の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、希土類焼結磁石の製造方法に関し、特に希土類磁石用合金粉末を磁場中にて成形する際に用いる金型を潤滑する方法に関するものである。
Nd磁石を代表とする希土類磁石は高い磁気特性を有していることから、近年、ハードディスク用やエアコン用、ハイブリッド車等に使用される各種モーターやセンサー等に広く使用されるようになっている。
希土類磁石は、通常、粉末冶金法により、次のような工程を経て製造される。まず、所定の組成となるよう原料を配合し、高周波溶解炉等を用いて溶解、鋳造することにより合金を作製し、その合金をジョークラッシャー、ブラウンミル、ピンミル及び水素化等で粗粉砕し、更にジェットミル等により微粉砕して、平均粒子径1〜10μmの微粉末を得る。次いで、磁気異方性を付与するため、その微粉末を磁場中にて所望の形状に成形することで成形体を作製し、焼結及び熱処理を施すことによって焼結磁石とする。
一般的な粉末冶金法による希土類磁石の製造における磁場中成形法としては、微粉末を金型及び下パンチから形成されるキャビティーに充填し、一軸加圧する金型成形が行われている。この金型成形においては、微粉末を金型内で圧縮成形するため、金型と微粉末あるいは摺動するパンチとの摩擦が非常に大きい。そのことが原因で、金型内面では疵が生じることがあり、生じた疵は成形体に転写され、その疵が起点となって成形体に微細なクラックやカケを発生させる場合がある。加えて、その摩擦が、金型からパンチを摺動させる際に生じる抜き圧の増大につながり、それが成形体のクラック、ワレ、カケ等を発生し易くするばかりか、最悪の場合、パンチ、金型の破損及び成形機の故障を招く場合がある。
金型の摩擦の軽減、ひいては疵を防止するため、金型内面を鏡面研磨したり、超硬合金などの硬い素材を金型材料として用いたり、1ショット或いは数ショット毎に金型内面に付着した微粉末を除去するなどの処置を施すが、これらだけでは充分な効果が得られない。
また、あらかじめ、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛及びビスアマイドのうち少なくとも1種を潤滑剤として微粉末に混合する方法(特許文献1:特開平4−214803号公報)により、成形性を改善して、微粉末と金型の摩擦を低減することによる成形体への疵等の発生を抑制できる。しかし、微粉末と金型との潤滑効果は認められるものの、金型とパンチの潤滑には寄与せず、更に潤滑効果を高めるために微粉末への潤滑剤の添加量を増加させると、潤滑剤中に存在する炭素が焼結磁石中に多く残存することによる保磁力の低下及び角形性の悪化などの磁気特性に問題を生じる。
金型の摩擦の軽減に対し、最も効果的な方法は、金型を潤滑剤にて潤滑することである。その金型潤滑剤としては、ステアリン酸、ベヘン酸などの脂肪酸又はそのエステルをエタノール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール単体もしくは混合物からなる溶剤に溶かした溶液や、カプロン酸メチル、カプリル酸メチル、飽和脂肪酸、炭化水素系溶剤からなる溶液(特許文献2:特開2000−109903号公報)などが用いられている。しかし、上記金型潤滑剤を多量に使用すると潤滑性は改善されるものの、上記金型潤滑剤が成形体に浸透して焼結後に炭素が大量に残存し、磁石特性を劣化させる場合がある。また、上記金型潤滑剤が必要量に満たなければ、焼結体への炭素の残存量が少なくはなるが、潤滑性は乏しく、成形体のクラック、ワレ、カケ等の成形不良が問題となる。上記金型潤滑剤の使用が最適量であった場合、潤滑性は良好となるが、焼結磁石中の残存炭素量を保磁力、角形に影響はない量にするため、溶剤に用いたアルコールや炭化水素系溶剤を所定温度で揮発させる脱炭素処理が必要となる。加えて、揮発した溶剤が、真空ポンプに蓄積し、真空能力の低下を招くことがあるため、通常真空ポンプとして用いられるロータリーポンプでなく、ドライポンプ等のより高価な設備を用いなければならないので、工程及びその設備的にも合理化が図りにくい。
特開平4−214803号公報 特開2000−109903号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、従来の製造方法よりも、成形工程における成形性、金型の潤滑性に優れ、更に溶剤を除去するための脱炭素処理が不要で工程を効率化することができる希土類焼結磁石の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、融点が15℃以下、かつ20℃における蒸気圧が1kPa以下のアルコール90〜99.5質量%と炭素数10〜24で融点が30℃以上の脂肪酸0.5〜10質量%とからなる液状の金型潤滑剤を平均粒子径1〜50μmの粒子として金型に噴霧後、キャビティーに希土類磁石用合金粉末を充填し、磁場中成形することで、成形工程における成形性、金型の潤滑性に優れる製造方法となることを見出した。加えて、蒸気圧が高く揮発性を有する溶剤を用いず、磁気特性に影響を及ぼさない量で良好な金型潤滑性が得られるため、溶剤を除去するための脱炭素処理が不要であり、工程の効率化にも有効であることを知見し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、下記の希土類焼結磁石の製造方法を提供する。
〔1〕 希土類磁石用合金粉末を金型と下パンチで形成されるキャビティーに充填後、磁場中で一軸加圧により成形し、その後に熱処理して希土類焼結磁石を製造する方法において、磁場中で金型成形する際に、融点が15℃以下、かつ20℃における蒸気圧が1kPa以下のアルコール90〜99.5質量%と炭素数10〜24で融点が30℃以上の脂肪酸0.5〜10質量%とからなる液状の金型潤滑剤を平均粒子径1〜50μmの粒子として金型に噴霧した後、上記キャビティーに上記希土類磁石用合金粉末を充填し、磁場中成形することで成形体を得て、その後に熱処理することを特徴とする希土類焼結磁石の製造方法。
〔2〕 上記金型潤滑剤をキャビティー内に噴霧量1×10-4〜1×10-2kg/m2で噴霧することを特徴とする〔1〕に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
〔3〕 上記金型潤滑剤は、20℃における動粘度が2×10-6〜1×10-52/sであることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
本発明の希土類焼結磁石の製造方法によれば、成形性、金型潤滑性に優れているため、安定して高品質な希土類焼結磁石を提供することができ、更には脱炭素処理も不要なため、工程の効率化も図られ、工業的利用価値は極めて高い。
実施例1及び比較例1の成形ショット数と成形体密度との関係を示す図である。
以下に、本発明に係る希土類焼結磁石の製造方法について説明する。
本発明に係る希土類焼結磁石の製造方法は、希土類磁石用合金粉末を金型と下パンチで形成されるキャビティーに充填後、磁場中で一軸加圧により成形し、その後に熱処理して希土類焼結磁石を製造する方法において、磁場中で金型成形する際に、融点が15℃以下、かつ20℃における蒸気圧が1kPa以下のアルコール90〜99.5質量%と炭素数10〜24で融点が30℃以上の脂肪酸0.5〜10質量%とからなる液状の金型潤滑剤を平均粒子径1〜50μmの粒子として金型に噴霧した後、上記キャビティーに上記希土類磁石用合金粉末を充填し、磁場中成形することで成形体を得て、その後に熱処理することを特徴とする。
ここで、本発明が適用される希土類永久磁石は、特にNd系希土類焼結磁石が好ましく、その組成としてR(Rは、Nd、Pr、Dy、Tb及びHoから選択される1種又は2種以上の希土類元素)を20〜35質量%、Coを15質量%以下、Bを0.2〜8質量%、添加元素としてNi、Nb、Al、Ti、Zr、Cr、V、Mn、Mo、Si、Sn、Ga、Cu及びZnから選ばれる少なくとも1種の元素を8質量%以下であって、残部がFe及び不可避的不純物からなり、ジェットミル等で微粉砕された好ましくは平均粒子径1〜10μmの希土類磁石用合金微粉末を磁場中で金型を用いて成形したものである。
なお、粉砕した希土類合金微粉末の平均粒子径(平均微粉粒径)は、例えば、レーザー光回折法による重量平均値(又はメジアン径)として求めることができる。
本発明では、上記微粉末を磁場中で金型を用いて成形する際に、融点が15℃以下、かつ20℃における蒸気圧が1kPa以下のアルコール90〜99.5質量%と炭素数10〜24で融点が30℃以上の脂肪酸0.5〜10質量%とからなる溶液(アルコールと脂肪酸の合計で100質量%となる)を金型潤滑剤として用いる。
即ち、本発明で用いるアルコールは、融点が15℃以下、かつ20℃における蒸気圧が1kPa以下であり、好ましくは融点が5℃以下、かつ20℃における蒸気圧が0.8kPa以下である。これは、作業環境である20〜25℃において金型潤滑剤を液状とするためであり、また金型に金型潤滑剤を噴霧する際にできるだけ揮発させずにその噴霧量を安定させるためである。なお、作業環境である20〜25℃において液体で安定して噴霧できるアルコールであれば、その融点や蒸気圧の下限に制限はない。また、融点が15℃以下、かつ20℃における蒸気圧が1kPa以下のアルコールであれば、単独或いはその混合物など特に限られるものではなく、例として、1−ペンタノール(融点−79℃、20℃における蒸気圧0.6kPa)、3−ペンタノール(融点−8℃、20℃における蒸気圧0.8kPa)、1−ヘキサノール(融点−44.6℃、20℃における蒸気圧0.12kPa)、4−メチル−2−ペンタノール(融点−90℃、20℃における蒸気圧0.7kPa)、1−オクタノール(融点−15.5℃、20℃における蒸気圧20Pa)、2−エチル−ヘキサノール(融点−76℃、20℃における蒸気圧48Pa)等のアルコールを挙げることができる。
本発明で用いる脂肪酸は、炭素数が10〜24、好ましくは14〜22で融点が30℃以上、好ましくは50℃以上であり、作業環境である20〜25℃において固体でなければならない。脂肪酸の炭素数が10未満では作業環境である20〜25℃において液体となり、24超では作業環境である20〜25℃において固体であるが入手しにくく、高価であることが問題となる。また、融点が30℃未満では本発明における充分な効果が得られない。なお、炭素数10〜24で作業環境である20〜25℃において固体の脂肪酸であれば、その融点の上限に制限はない。また、炭素数10〜24で融点が30℃以上の脂肪酸であれば、単独或いはその混合物など特に限られるものではなく、例としてステアリン酸(融点69.6℃)、ベヘン酸(融点81.5℃)などを挙げることができる。
本発明で用いる金型潤滑剤は、上記アルコール90〜99.5質量%と上記脂肪酸0.5〜10質量%とからなる溶液であり、液体のアルコールに対して固体の脂肪酸を溶解することにより調製された使用環境20〜25℃において液状のものである。上記アルコール90質量%未満、脂肪酸10質量%超の場合、脂肪酸のアルコールに対する溶解量を超えるため、溶け残りが生じる。これは、噴霧ノズルの詰まりを招くため、好ましくない。また、上記アルコール99.5質量%超、脂肪酸0.5質量%未満の場合、金型の潤滑性が低下する傾向にある。そのため、金型潤滑剤を上記アルコール90〜99.5質量%と脂肪酸0.5〜10質量%とからなるものとし、好ましくは上記アルコール93〜98質量%と脂肪酸2〜7質量%とからなるものとする。
本発明では上記金型潤滑剤を平均粒子径1〜50μm、好ましくは5〜30μmの粒子として金型に噴霧する。金型潤滑剤の粒子が平均粒子径1μm未満の場合、金型潤滑剤粒子の比表面積が大きくなるため、蒸気圧が1kPa以下のアルコールであっても揮発量を無視することができなくなり、更に個々の粒子がより軽量になるので噴霧した際、舞い上がってしまうことから、キャビティー内に付着させる金型潤滑剤の噴霧量の調整が難しい。また、平均粒子径50μm超の場合は、噴霧量の微調整が困難となり、目標噴霧量よりも少なくなって金型の潤滑性が低下して成形不良となったり、目標噴霧量よりも多くなって焼結後に炭素が磁石中に大量に残存して磁石特性を劣化させてしまう。
なお、金属潤滑剤の粒子の平均粒子径は、例えば、レーザー光回折法による重量平均値(又はメジアン径)として求めることができる。
また、金型潤滑剤の噴霧方法としては、金型潤滑剤の液圧及び窒素圧を低圧精密レギュレータにより制御し、それを噴霧ノズルからキャビティー内に噴霧する方法が好ましい。
このとき、金型潤滑剤をキャビティー内に噴霧する量としては、キャビティー深さ、金型の形状によらず、金型及び下パンチで構成されるキャビティー内面積の単位面積あたりの噴霧量1×10-4〜1×10-2kg/m2となるようにすることが好ましい。噴霧量1×10-4kg/m2未満の場合、金型の潤滑性が低下するため、抜き圧が上昇し、成形体のクラック、ワレ、カケ等の成形不良が発生し易くなる。また、噴霧量1×10-2kg/m2超の場合、成形性、潤滑性は良好であるが、潤滑剤中の炭素成分が焼結磁石中に多く残存することによって、保磁力の低下及び角形性の悪化など磁気特性に問題を生じるおそれがある。
また、金型潤滑剤の20℃における動粘度が2×10-6〜1×10-52/sであることが好ましく、4×10-6〜1×10-52/sであることがより好ましい。20℃での動粘度が2×10-62/s未満の場合、キャビティー内に付着した金型潤滑剤が流動してその付着状態が維持されないため、潤滑性の低下を招くことがあり、1×10-52/s超の場合、動粘度が高すぎるため、流動性が悪く安定した噴霧ができないおそれがある。
なお、動粘度は20℃においてオストワルド粘度計を用いて測定した値である。
上記条件にて金型への金型潤滑剤の噴霧を行った後、キャビティー内に希土類磁石用合金粉末を充填し、1.0〜2.5Tの磁場を印加しながら、20〜200MPaの圧力を加え、磁場中成形することで成形体を得る。
上記条件にて得られた成形体を、熱処理炉により高真空中又はアルゴンなどの非酸化性雰囲気ガス中、1,000〜1,200℃で1〜10時間の焼結を行い、続いて、真空中又はアルゴンなどの非酸化性雰囲気ガス中で、焼結温度よりも低い温度で、好ましくは400〜700℃の温度で熱処理を施して希土類磁石を得る。
以上の希土類焼結磁石の製造方法によれば、成形性、金型潤滑性に優れているため、安定して高品質な希土類焼結磁石を提供することができ、更には脱炭素処理も不要なため、工程の効率化も図られ、工業的利用価値は極めて高い。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記例で、動粘度は20℃においてオストワルド粘度計を用いて測定した値である。また、粉砕した合金粉末の平均微粉粒径は、レーザー光回折法による重量平均値として求め、噴霧した金型潤滑剤の平均粒子径は、レーザー光回折法によるメジアン径として求めた。
[実施例1、比較例1]
Nd:29.0質量%、Dy:2.0質量%、Co:1.0質量%、B:1.0質量%、Al:0.2質量%、Cu:0.2質量%、Fe:残部の組成であるNd系磁石合金を、水素化による粗粉砕、ジェットミルによる微粉砕を行い、平均微粉粒径3.0μmの微粉末を作製し、磁場中成形にて成形体を得た。詳しくは、この金型の形状が20×40mm、キャビティー深さ50mmであり、表1に示す条件で金型潤滑剤を金型に噴霧した後に、上記希土類合金の微粉末を充填し、成形圧力100MPaで磁場中成形にて成形体を得た。
なお、実施例1で使用したヘキサノールは、1−ヘキサノール(融点−44.6℃、20℃における蒸気圧0.12kPa)である。ここで、この金属潤滑剤噴霧から磁場中成形までの工程を300回繰り返して行い(成形ショット数300)、成形ショット数と得られた成形体の密度の関係を調査した。その結果を図1に示す。
なお、実施例1で使用した金型潤滑剤の20℃における動粘度は5×10-62/sであった。
Figure 0005967010
図1から明らかなように、実施例1は成形数300ショットを通じて、ほぼ一定の成形体密度が得られているのに対し、比較例1は約150ショットから成形体密度の低下傾向がみられる。更に230ショットを超えたあたりから急激な低下を生じたため、270ショットで成形を中止した。このことは、比較例1において、金型との摩擦の増大による成形圧力不足、つまり潤滑性が不足していることを示している。一方、実施例1は良好な潤滑性を保っていることが分かる。
[実施例2、3、比較例2、3]
Nd:29.0質量%、Dy:2.0質量%、Co:1.0質量%、B:1.0質量%、Al:0.2質量%、Cu:0.2質量%、Fe:残部の組成であるNd系磁石合金を、水素化により粗粉砕、ジェットミルにより微粉砕を行い、平均微粉粒径3.0μmの微粉末を作製し、磁場中成形にて成形体を得た。詳しくは、この金型の形状が20×20mm、キャビティー深さ40mmであり、表2に示す条件で金型潤滑剤を金型に噴霧した後に、上記希土類合金の微粉末を充填し、成形圧力100MPaの磁場中成形及び表2に示す抜き圧にて成形体を得た。なお、使用したペンタノールは、1−ペンタノール(融点−79℃、20℃における蒸気圧0.6kPa)である。
得られた成形体は、熱処理炉にて真空中、1,070℃、3時間で焼結した後、真空中で500℃、3時間の低温熱処理を行い、焼結磁石を作製した。表3に作製した焼結磁石の磁気特性を示す。
なお、本実施例で使用した金型潤滑剤の20℃における動粘度は4×10-62/sであった。
Figure 0005967010
Figure 0005967010
表2は、実施例2、3及び比較例3において成形体の外観、抜き圧に差がないことに対して、比較例2は、抜き圧が他に比べ約30%高く、成形体にカケを生じたことから潤滑性、成形性に劣ることを示している。
表3における焼結体炭素量1は、焼結体側面から約1mm内部までの領域の炭素量を、炭素量2は焼結体中央部分の炭素量を示している。表3に示すように実施例2、3及び比較例2は磁気特性に差がなく良好であるが、比較例3は保磁力、角形が劣っている。これは、比較例3の焼結体の炭素量が全体的に多く、特に炭素量1が多いことから、金型潤滑剤起因で焼結体中に残存した炭素量の影響と考えられる。
以上のように、表2、3から、実施例2、3は成形性、磁気特性ともに良好であるが、比較例2においては、金型潤滑不足による成形の不具合が生じ、比較例3においては金型潤滑剤過多による磁気特性の劣化が生じていることが分かる。

Claims (3)

  1. 希土類磁石用合金粉末を金型と下パンチで形成されるキャビティーに充填後、磁場中で一軸加圧により成形し、その後に熱処理して希土類焼結磁石を製造する方法において、磁場中で金型成形する際に、融点が15℃以下、かつ20℃における蒸気圧が1kPa以下のアルコール90〜99.5質量%と炭素数10〜24で融点が30℃以上の脂肪酸0.5〜10質量%とからなる液状の金型潤滑剤を平均粒子径1〜50μmの粒子として金型に噴霧した後、上記キャビティーに上記希土類磁石用合金粉末を充填し、磁場中成形することで成形体を得て、その後に熱処理することを特徴とする希土類焼結磁石の製造方法。
  2. 上記金型潤滑剤をキャビティー内に噴霧量1×10-4〜1×10-2kg/m2で噴霧することを特徴とする請求項1に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  3. 上記金型潤滑剤は、20℃における動粘度が2×10-6〜1×10-52/sであることを特徴とする請求項1又は2に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
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