JP6222518B2 - R−t−b系焼結磁石の製造方法 - Google Patents

R−t−b系焼結磁石の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6222518B2
JP6222518B2 JP2013203819A JP2013203819A JP6222518B2 JP 6222518 B2 JP6222518 B2 JP 6222518B2 JP 2013203819 A JP2013203819 A JP 2013203819A JP 2013203819 A JP2013203819 A JP 2013203819A JP 6222518 B2 JP6222518 B2 JP 6222518B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molded body
spraying
rtb
less
sintered magnet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013203819A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015070141A (ja
Inventor
亮二 小野
亮二 小野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Metals Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Metals Ltd filed Critical Hitachi Metals Ltd
Priority to JP2013203819A priority Critical patent/JP6222518B2/ja
Publication of JP2015070141A publication Critical patent/JP2015070141A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6222518B2 publication Critical patent/JP6222518B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Hard Magnetic Materials (AREA)
  • Manufacturing Cores, Coils, And Magnets (AREA)

Description

本発明は、R−T−B系焼結磁石の製造方法に関する。
R−T−B系焼結磁石(Rは希土類元素(イットリウム(Y)を含む)の少なくとも1種でネオジム(Nd)を必ず含み、Tは鉄(Fe)または鉄とコバルト(Co)、Bはホウ素を意味する)は、主にR14Bの正方晶化合物からなる主相、Nd等からなるRリッチ相から構成されている。R−T−B系焼結磁石は、主相であるR14Bの正方晶化合物の存在比率を増加させれば、その磁気特性が向上する。
Rリッチ相は液相焼結させるために最低量必要であるが、Rは雰囲気中の酸素と反応し、例えばRなどの酸化物を生成するため、Rの一部は焼結に役立たない部分に消費されてしまう。このため、酸化によって消費される分だけ余分のRが必要であった。酸化物の生成は、雰囲気中の酸素濃度が大きいほど顕著になる。そのため、これまでもR−T−B系焼結磁石用合金粉末(以下、「R−T−B系合金粉末」と記載する場合がある)製造時における雰囲気中の酸素量を低減することで酸化物の生成を抑制させることが検討されてきた。酸化物の生成を抑制することで、酸化によって消費されるRの量を抑制することができる。これにより、主相の存在比率を増加させ、磁気特性を向上させることができる。
しかし、R−T−B系合金粉末の酸素量を例えば4000質量ppm以下に低減させると、R−T−B系合金粉末が大気中の酸素と激しく反応し、常温でも数分で発火する恐れがある。従って、磁気特性を向上させるためにはR−T−B系合金粉末の酸素量を低減することが望ましいことが理解されていても、実際に製造現場で取り扱うことは極めて困難であるという問題があった。
この問題に対し、特許文献1、2に記載の希土類磁石の製造方法において、合金粉末(R−T−B系合金粉末に相当)を成形後、得られた成形体を槽内の有機溶剤(本発明の「油剤」に相当)中に投入することが提案されている。酸素量が低い(4000質量ppm以下)合金粉末であっても、得られた成形体を有機溶剤中に投入することにより、成形体が有機溶剤によって覆われるため成形体が大気中の酸素と直接接触することが抑制される。その結果、発火の危険を避けることができる。特許文献1、2の方法により安全に合金粉末の酸素含有量の増加を抑制することが出来た結果、酸化によって消費される余分なRの量を抑制し、R−T−B系焼結磁石の主相の存在比率を増加させて、R−T−B系焼結磁石の磁気特性を向上させることが可能となる。
特開2002−8935号公報 特開2002−170728号公報
しかし、特許文献1、2の方法は、槽内から取り出した成形体を次工程の焼結工程を行うために焼結板等の上に複数個載置したときに、前記焼結板等の上にある成形体が成形体表面に付着した有機溶剤により滑り、それによって成形体同士が衝突して欠けが発生する場合があった。これは、成形体を槽内に投入しているために成形体表面に多量の有機溶剤が付着し、有機溶剤で成形体表面が厚く覆われるからだと考えられる。さらに成形体を載置した焼結板等にも成形体表面から有機溶剤が滴り落ちるなどして多量に有機溶剤が付着することになり、焼結時に成形体や焼結板等に付着した多量の有機溶剤を除去するために長時間の処理を必要とする場合があった。
本発明は、上記特許文献1、2における問題点を解決するためになされたものであり、成形体の表面を油剤(有機溶剤)で覆った後、成形体が油剤で滑り成形体同士が衝突することにより成形体に欠けが発生することを防止し、また、焼結時の油剤を除去するための処理に長時間要さないようにすることができるR−T−B系焼結磁石の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の態様1は、酸素含有量4000質量ppm以下のR−T−B系焼結磁石用合金粉末(Rは希土類元素(イットリウム(Y)を含む)の少なくとも1種でネオジム(Nd)を必ず含み、Tは鉄(Fe)または鉄とコバルト(Co)、Bはホウ素を意味する)を圧縮成形し、それによって成形体を作製する成形工程と、前記成形体の表面全体に油剤を圧力0.2MPa以上0.4MPa以下、噴霧量1L/hr以上2L/hr以下、噴霧時間3秒以上6秒以下で噴霧する噴霧工程と、前記噴霧工程後の成形体を焼結する焼結工程と、を含むR−T−B系焼結磁石の製造方法である。
本発明の態様2は、酸素含有量4000質量ppm以下のR−T−B系焼結磁石用合金粉末(Rは希土類元素(イットリウム(Y)を含む)の少なくとも1種でネオジム(Nd)を必ず含み、Tは鉄(Fe)または鉄とコバルト(Co)、Bはホウ素を意味する)を圧縮成形し、それによって成形体を作製する成形工程と、前記成形体を前記油剤が含浸された板状部材に載置して、前記板状部材に接した面以外の成形体の表面に油剤を圧力0.2MPa以上0.4MPa以下、噴霧量1L/hr以上2L/hr以下、噴霧時間3秒以上6秒以下で噴霧する噴霧工程と、前記噴霧工程後の成形体を焼結する焼結工程と、を含むR−T−B系焼結磁石の製造方法である。
本発明の態様3は、態様1または2において、前記噴霧工程は、容器にて成形体を覆い、前記容器内にて噴霧を行うことを特徴とするR−T−B系焼結磁石の製造方法である。
本発明により、成形体の表面を油剤で覆った後、成形体が油剤で滑り成形体同士が衝突することによる成形体の欠けの発生を防止するR−T−B系焼結磁石の製造方法を提供することができる。また、焼結時の油剤を除去するための処理に長時間要さないようにすることができるR−T−B系焼結磁石の製造方法を提供することができる。
本発明における噴霧形態を示す説明図である。 本発明における噴霧形態を示す説明図である。 本発明における噴霧形態を示す説明図である。 本発明における噴霧形態を示す説明図である。 本発明における噴霧形態を示す説明図である。 本発明における噴霧形態を示す説明図である。
本発明は所定の条件で油剤を成形体の表面全体に噴霧する。これにより、特許文献1、2のような槽内に成形体を投入する場合のように、成形体に多量の油剤が付着しないため、成形体を焼結板等の上に置いても滑らず、成形体同士の衝突による欠けの発生を防止することができる。さらに、焼結板等にも油剤が多量に付着しないため、焼結時における油剤を除去するための処理時間を短縮させることができる。
[酸素含有量4000質量ppm以下のR−T−B系焼結磁石用合金粉末を圧縮成形し、それによって成形体を作製する成形工程]
まず、酸素含有量4000質量ppm以下のR−T−B系合金粉末を準備する。酸素含有量4000質量ppm以下のR−T−B系合金粉末(Rは希土類元素(イットリウム(Y)を含む)の少なくとも1種でネオジム(Nd)を必ず含み、Tは鉄(Fe)または鉄とコバルト(Co)、Bはホウ素を意味する)は、公知のR−T−B系合金粉末の組成、製造方法によって製造されたR−T−B系合金粉末を用いることができる。R−T−B系合金粉末は、所定の組成となるように一種類の合金粉末を用いる場合や、組成の異なる二種類の合金粉末(第一合金粉末と第二合金粉末)を準備してそれらを混合することで所定の組成にする場合などがある。例えば、一種類の合金粉末を用いる場合、R:10原子%〜30原子%、B0.5原子%〜28原子%、残部:Fe、および不可避的不純物を含有するR−T−B系合金の溶湯を作成する。このR−T−B系合金の溶湯をストリップキャスト法によって、10〜10℃/秒の冷却速度で厚さ0.03mm〜10mmの薄板状に急冷凝固を行い、さらに水素粉砕法によって粗粉砕して粒度が数百μm程度の粗粉砕粉末を作製する。そして前記粗粉砕粉末をジェットミルにより平均粒径が3〜7μm程度に微粉砕して、R−T−B系合金粉末を準備する。なお、「平均粒径」とは、体積中位径(メジアン径)を指す。酸素含有量が4000質量ppm以下のR−T−B系合金粉末を準備するためには、上述の微粉砕は、不活性ガス(例えばN、ArやHeなど)を用いたジェットミルによって行うことが好ましい。この不活性ガス中の酸素濃度は、2000質量ppm以下に管理することが好ましい。
得られたR−T−B系合金粉末に対して脂肪酸エステルなどを主成分とする液体潤滑剤を添加することが好ましい。液体潤滑剤を添加することでR−T−B系合金粉末の粉末粒子の酸化を防止するとともに、成形に際して成形体の密度を均一化し、配向の乱れを抑制することができる。
次に、得られたR−T−B系合金粉末を用いて磁界中成形を行い、成形体を得る。磁界中成形は、金型のキャビティー内に乾燥した合金粉末を挿入し、磁界を印加しながら成形する乾式成形法、金型のキャビティー内にスラリーを注入し、スラリーの分散媒を排出しながら成形する湿式成形法を含む既知の任意の磁界中成形方法を用いてよい。
[成形体の表面全体に油剤を圧力0.2MPa以上0.4MPa以下、噴霧量1L/hr以上2L/hr以下、噴霧時間3秒以上6秒以下で噴霧する噴霧工程]
得られた成形体に油剤を噴霧する。成形体への噴霧は、成形体の表面全体に油剤が噴霧されるように、成形体の形状、寸法や一回に噴霧する成形体の個数に応じて、噴霧器の設置場所、設置個数を任意で決めて噴霧を行う。なお、本発明において「成形体の表面全体」とは、成形体を構成する全ての面であり、例えばブロック形状では6面、円柱形状では外周面と2つの端面である。そのため、通常、噴霧を行う時は、成形体が載置されている面以外の成形体の表面(ブロック形状なら5面、円柱形状なら外周面と一つの端面)に噴霧を行った後、成形体を反転させるなどして成形体が載置されている面を噴霧することで、成形体の表面全体に油剤を噴霧する。さらに「噴霧する」とは、油剤を霧状にして吹付けることをいい、所定の圧力、噴霧量、噴霧時間で噴霧することができる公知の噴霧器を用いて行うことができる。
油剤は、イソパラフィンに代表される石油系溶剤やナフテン系溶剤、カプロン酸メチル、カプリル酸メチル、ラウリ酸メチルなどの脂肪酸エステル、高級アルコール、高級脂肪酸などの飽和炭化水素系溶剤を用いることができる。さらに、前記飽和炭化水素系溶剤に限らず、α―ピネン、シクロブテン、シクロヘキサン、ジエチルベンゼンなどから形成される不飽和炭化水素系溶剤を用いることもできる。ただし、不飽和炭化水素系溶剤は、粉砕工程を経て活性な表面が露出した状態の粉体と反応する可能性があるため、飽和炭化水素系溶剤を用いることが好ましい。
本発明は、成形体の表面全体に油剤を圧力0.2MPa以上0.4MPa以下、噴霧量1L/hr以上2L/hr以下、噴霧時間3秒以上6秒以下で噴霧する。圧力、噴霧量、噴霧時間が上記範囲からはずれると、成形体にかかる油剤の量が少なすぎて成形体が発火したり、逆に、成形体にかかる油剤の量が多くなり噴霧であっても成形体表面に多量の油剤が付着して本発明の効果を得ることができない恐れがある。なお、圧力、噴霧量、噴霧時間の上記範囲は、一つの噴霧器の噴霧条件である。成形体の形状、寸法や一回に噴霧する成形体の個数により複数個の噴霧器を用いる場合は、ひとつひとつの噴霧器の圧力、噴霧量、噴霧時間を上記範囲内になるように設定する。また、油剤と混合する気体は、成形体が発火しないように酸素ではなく不活性ガス(NやAr)を用いる。
[成形体を油剤が含浸された板状部材に載置して、前記板状部材に接した面以外の成形体の表面に油剤を圧力0.2MPa以上0.4MPa以下、噴霧量1L/hr以上2L/hr以下、噴霧時間3秒以上6秒以下で噴霧する噴霧工程]
好ましくは、成形体を油剤が含浸された板状部材に載置して、前記板状部材に接した面以外の成形体の表面に油剤を噴霧する。
本発明における好ましい噴霧形態を図1に示す。図1に示すように、油剤が含浸された板状部材2に成形体1を載置して板状部材2に接した面以外の成形体1の表面に対し、噴霧器3を二か所配置して油剤4を噴霧する。これにより、一回の噴霧で成形体の表面を油剤で覆うことができる。板状部材2に油剤が含浸されていない場合、板状部材2に接している成形体1の面(以下、「接触面」と記載する場合がある)には油剤が付着しないため、上述したように、接触面以外の成形体の表面を噴霧した後、もう一回、成形体1を反転させるなどして接触面を噴霧する。よって、成形体1を反転させる工程が必要になるうえ、反転させる際に欠けの発生を招く恐れがある。そのため、噴霧工程の工数削減(2回から1回に)や成形体を反転させるときの欠けの発生を防止するには、板状部材2は油剤を含浸する部材で構成することが好ましく、例えばフェルトやスポンジ等により構成することで油剤を含浸させることができる。
さらに好ましい噴霧形態を図2に示す。図2に示す様に、油剤が含浸された板状部材2に成形体1を載置し、容器5にて成形体1を覆い、容器5内にて噴霧器3により噴霧を行う。容器5は、成形体を完全に密閉してもよいし、図2のように板状部材2との間に隙間が空いてもよい。容器5内で噴霧することにより、噴霧した霧状の油剤4が容器5に当たり、噴霧した方向以外の成形体表面にも霧状の油剤が回り込むため、容器5を用いない場合と比べて油剤を効率的に成形体の表面に覆うことができる。そのため、容器5の形状は、噴霧器から噴霧された霧状の油剤が、容器に当たるように、噴霧器の設置個数、設置場所に応じて作製する。さらに、図3、図4に例を示す。図3は、油剤が含浸された板状部材2に載置した成形体6を上面から見たものであり、噴霧器3の設置場所を○印で示す。図3に示すように、板状部材2に成形体6が4つ載置されている。そして、接触面以外の成形体の表面に油剤を噴霧するために、噴霧器3を4箇所設置している。これに対し、図3と同じ成形体6を図4に示すように噴霧器3から噴霧された霧状の油剤が容器に当たるように設定した容器5を用いて成形体6を覆う。図4の場合では容器5内で油剤を噴霧することにより、噴霧器3を2個設置して噴霧すれば成形体6の表面を油剤で覆うことができる。このように容器5を用いることにより、噴霧器の設置個数を減らすことができる。
[成形体を焼結させる工程]
成形体を焼結する工程は、公知のR−T−B系焼結磁石の製造方法と同様の方法を用いることができる。例えば、250℃で1.5時間の脱油工程を行い成形体から油剤を除去し、1040℃で6時間の処理を行う。本発明は、成形体の表面全体および焼結板等に多量の油剤がつかないため、脱油工程の処理時間を短縮させることができる。なお、焼結時の雰囲気による酸化を防止するために、雰囲気ガスは、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスにより置換しておくことが好ましい。
さらに、焼結後のR−T−B系焼結磁石に対し、磁気特性を向上させることを目的とした熱処理を行うことが好ましい。熱処理温度、熱処理時間などの熱処理条件は、公知の条件(例えば、500℃で3時間)を用いることができる。なお、最終的な磁石寸法の調整を研削などの機械加工等により行ってもよい。この場合、熱処理の前に行っても、後に行ってもよい。
(実施例1)
Nd22.3%、Pr6.2%、Dy4.0%、B1.0%、Co0.9%、Cu0.1%、Al0.2%、Ga0.1%残部Fe(単位は質量%)の組成を有する合金の溶湯を高周波溶解炉によって溶解し、ストリップキャスト法によって厚さ0.2mm〜0.4mmのフレーク状の原料合金を得た。得られたフレーク状の原料合金を水素加圧雰囲気で水素脆化させた後、550℃まで真空中で加熱、冷却する脱水素処理を施し、粗粉砕粉を得た。得られた前記粗粉砕粉末を粉砕室内の酸素濃度が50ppm以下となるように管理されたジェットミルによって微粉砕粉を行い、平均粒径が4.0μmの粉末を作製した。得られた微粉砕粉の含有酸素濃度は約1000ppmであった。なお、「平均粒径」とは、体積中位径(メジアン径)を指す。
次に、ロッキングミキサーを用い、前記微粉砕粉に対して0.4質量%の液体潤滑剤を添加した後、磁界中で成形し、長さ30mm×幅10mm×厚さ10mmの成形体を得た。成形体密度は、4.3〜4.4g/cmであった。
次に得られた成形体に対して図5のようにして油剤を噴霧した。図5は、板状部材12に載置した成形体10(長さ30mm×幅10mm×厚さ10mm)を上面から見たものであり、噴霧器13の設置場所を○印で示す。板状部材12は、フッ素樹脂製の板の上に油剤を含浸させたフェルトを置くことで構成している。図5に示すように、板状部材12に成形体10が6つ載置されている。そして、接触面以外の成形体10の表面に油剤を噴霧するために噴霧器13を4箇所設置している。なお、噴霧器13は4箇所以下(3箇所、2箇所、1箇所)の設置では、全ての成形体10(6個)の表面(接触面以外)に油剤を噴霧することができなかった。油剤は、イソパラフィンを用いた。油剤を噴霧した圧力、噴霧量、噴霧時間を表1の「圧力(MPa)」、「噴霧量(L/hr)」、「噴霧時間(秒)」に示す。なお、表1の圧力、噴霧量、噴霧時間は、ひとつの噴霧器における圧力、噴霧量、噴霧時間であり、4箇所とも同等である。また、表1の試料No.15は、成形体に対して噴霧を行わず、油剤(イソパラフィン)の入った槽内へ成形体を投入し、3秒間槽内で成形体を保持した後取り出した。また、表1の試料No.16は、板状部材12をフッ素樹脂製の板のみ(油剤を含浸させたフェルトはなし)で構成し、噴霧器13により接触面以外の成形体10の表面を噴霧した後、さらに、成形体を反転させて、接触面を噴霧器13により噴霧した。
Figure 0006222518
次に油剤で覆われた成形体を室内の大気中に放置し、成形体温度を測定した。成形体の温度は、成形体の表面を温度計により測定した。成形体温度の上昇は、成形体中の希土類元素が酸化することで発熱が生じ温度が上昇する。噴霧後の成形体温度の上昇は、いずれの試料も噴霧後約2000秒経過後に停止した。なお、発熱が90℃以上になると発火が起こる恐れがあり危険なため成形体が90℃に達した時点で、安全のため成形体を破棄する必要がある。そのため、成形体の温度は、90℃未満にする必要がある。成形体温度の測定結果を表1の「温度(℃)」に示す。表1の温度(℃)は、噴霧後2000秒間における成形体温度の最高値を記載している。
さらに、試料No.1〜16の噴霧条件(試料No.15は噴霧せず油剤槽内へ投入)で各120個成形体を油剤で噴霧した後、成形体を12個ずつ焼結板上に載置した。なお、焼結板上への成形体の載置はロボットアームを用いて成形体をつかむ圧力および成形体から焼結板上へ放す速さは全て一定にして行った。ロボットアームから成形体を離して焼結板上に載置した時に、成形体が焼結板上で滑り、成形体同士が衝突して発生する欠けの数をカウントした。カウント数を表1の「欠け数(個)」に示す。
次に油剤で表面が覆われた成形体に対して、250℃で脱油工程を行い、油剤を除去し、さらに1040℃で6時間の焼結処理を行った。油剤を除去するための脱油工程にかかった処理時間を表1の「油剤処理(時間)」に示す。なお、表1における油剤処理の時間は、焼結工程の終了後にC量を測定し、所定(例えば1000質量ppm未満)のC量となるための最短の処理時間を記載している。
焼結後のR−T−B系焼結磁石に対して、500℃で3時間の熱処理を行い、磁気特性を評価した。磁気特性は以下の様にして求めた。まず、試料No.1〜9、11、12、15、16のR−T−B系焼結磁石を各3個ずつ10mm×10mm×10mmに機械加工し、BHトレーサーで測定(室温20℃)を行い得られた3個の磁気特性の平均値により求めた。磁気特性は、試料No.1〜9、11、12、15、16共に、Br=1.35〜1.36T、HcJ=1730〜1780kA/mであった。なお、試料No.10、13、14は、成形体の温度が90℃になり発火の恐れがあるため成形体を破棄した。そのため、R−T−B系焼結磁石を作製することができず、磁気特性を測定することができなかった。
表1に示すように、本発明である試料No.1〜8および16は、成形体の欠けが発生しなかった。これに対し、油剤を噴霧する圧力、噴霧量、噴霧時間のいずれかがが本発明の上限を超えている試料No.9、11、12および、槽内へ成形体を投入した試料No.15は、欠けが発生した。また、油剤を噴霧する圧力、噴霧量、噴霧時間のいずれかが本発明の下限未満である試料No.10、13、14は、上述したように噴霧後の成形体温度が90℃へ発熱したため、発火の危険があり成形体を廃棄した。さらに、本発明は、比較例に比べて油剤処理にかかった処理時間を短縮することができた。
(実施例2)
図6に示すように成形体10が覆われた容器14内にて、噴霧器13を4個から2個に変更して噴霧を行ったこと以外は、実施例1の試料No.8と同様の条件でR−T−B系焼結磁石を作製した。なお、磁気特性も同様に測定し、B=1.35T、HcJ=1750kA/mであり、実施例1の試料No.8と同等であった。そして、実施例1と同じ条件で、成形体の温度、120個成形体を作製し焼結板上に載置したときに発生する欠けの数、油剤を除去するための脱油工程にかかった処理時間をそれぞれ測定した。結果を表2に示す。
Figure 0006222518
表2に示すように、成形体が覆われた容器内で油剤を噴霧することより4個の噴霧器から2個の噴霧器へ変更しても試料No.8と同様の効果を得ることができる。
(実施例3)
表3に示す第一合金粉末と第二合金粉末の組成になるように各原料を配合し、それぞれを溶解し、ストリップキャスト法によって厚さ0.2mm〜0.4mmのフレーク状の原料合金を得た。得られたフレーク状の原料合金に水素加圧雰囲気で水素脆化させた後、550℃まで真空中で加熱、冷却する脱水素処理を施し、粗粉砕粉を得た。得られた第一合金粉末の粗粉砕粉末と第二合金粉末の粗粉砕粉末を表3の試料No.18〜21は、9:1、表3の試料No.22は、8:2の質量比でV型混合機に投入して混合し、混合粉末を得た。前記混合粉末を粉砕室内の酸素濃度が1000質量ppm以下となるようにしてジェットミルによって微粉砕粉を行い、平均粒径が3.0μmの粉末を作製した。得られた微粉砕粉の含有酸素濃度は約3000質量ppmであった。なお、「平均粒径」とは、質量中位径(メジアン径)を指すものする。
Figure 0006222518
次に、ロッキングミキサを用い、前記微粉砕粉に対して0.4質量%の液体潤滑剤を添加した後、磁界中で成形し、長さ60mm×幅25mm×厚さ5mmの成形体を得た。成形体密度は、4.3〜4.5g/cmであった。
次に、得られた成形体に対して、実施例1の試料No.1と同じ条件で成形体に対して油剤を噴霧した。噴霧後の成形体に対して250℃で脱油工程を行い、油剤を除去し、さらに1050℃で2時間の焼結処理を行った。焼結後のR−T−B系焼結磁石に対して、480℃で3時間の熱処理を行い、磁気特性を測定した。得られたR−T−B系焼結磁石の組成および磁気特性(B(T)、HcJ(kA/m))の結果を表3に示す。なお、磁気特性の測定方法は、実施例1と同様である。
さらに、実施例1と同じ条件で、成形体温度、120個成形体を作製し焼結板上に載置したときに発生する欠けの数、油剤を除去するための脱油工程にかかった処理時間をそれぞれ測定した。結果を表4に示す。
Figure 0006222518
表4に示す通り、試料No.18〜22いずれの実施例も試料No.1と同等の成形体温度、油剤処理時間であり、欠けも発生しなかった。

Claims (3)

  1. 酸素含有量4000質量ppm以下のR−T−B系焼結磁石用合金粉末(Rは希土類元素(イットリウム(Y)を含む)の少なくとも1種でネオジム(Nd)を必ず含み、Tは鉄(Fe)または鉄とコバルト(Co)、Bはホウ素を意味する)を圧縮成形し、それによって成形体を作製する成形工程と、
    前記成形体の表面全体に油剤を圧力0.2MPa以上0.4MPa以下、噴霧量1L/hr以上2L/hr以下、噴霧時間3秒以上6秒以下で噴霧する噴霧工程と、
    前記噴霧工程後の成形体を焼結する焼結工程と、
    を含むR−T−B系焼結磁石の製造方法。
  2. 酸素含有量4000質量ppm以下のR−T−B系焼結磁石用合金粉末(Rは希土類元素(イットリウム(Y)を含む)の少なくとも1種でネオジム(Nd)を必ず含み、Tは鉄(Fe)または鉄とコバルト(Co)、Bはホウ素を意味する)を圧縮成形し、それによって成形体を作製する成形工程と、
    前記成形体を油剤が含浸された板状部材に載置して、前記板状部材に接した面以外の成形体の表面に油剤を圧力0.2MPa以上0.4MPa以下、噴霧量1L/hr以上2L/hr以下、噴霧時間3秒以上6秒以下で噴霧する噴霧工程と、
    前記噴霧工程後の成形体を焼結する焼結工程と、
    を含むR−T−B系焼結磁石の製造方法。
  3. 前記噴霧工程は、容器にて成形体を覆い、前記容器内にて噴霧を行うことを特徴とする、請求項1または2に記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
JP2013203819A 2013-09-30 2013-09-30 R−t−b系焼結磁石の製造方法 Active JP6222518B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013203819A JP6222518B2 (ja) 2013-09-30 2013-09-30 R−t−b系焼結磁石の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013203819A JP6222518B2 (ja) 2013-09-30 2013-09-30 R−t−b系焼結磁石の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015070141A JP2015070141A (ja) 2015-04-13
JP6222518B2 true JP6222518B2 (ja) 2017-11-01

Family

ID=52836541

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013203819A Active JP6222518B2 (ja) 2013-09-30 2013-09-30 R−t−b系焼結磁石の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6222518B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111940748A (zh) 2020-09-03 2020-11-17 烟台首钢磁性材料股份有限公司 钕铁硼磁粉混料添加剂的雾化添加装置及添加方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06325962A (ja) * 1993-05-13 1994-11-25 Hitachi Metals Ltd 希土類磁石の湿式成形装置
JP2000012317A (ja) * 1998-06-23 2000-01-14 Sankyo Seiki Mfg Co Ltd 磁石及びその製造方法
JP2006156789A (ja) * 2004-11-30 2006-06-15 Tdk Corp 小型リング磁石の製造方法
WO2006098238A1 (ja) * 2005-03-14 2006-09-21 Neomax Co., Ltd. 希土類磁石の製造方法および含浸装置
JP2006281063A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Tdk Corp 表面処理用治具及び表面処理方法
WO2012105399A1 (ja) * 2011-01-31 2012-08-09 日立金属株式会社 R-t-b系焼結磁石の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015070141A (ja) 2015-04-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102045399B1 (ko) 희토류 영구자석의 제조방법
JP6521391B2 (ja) R−t−b系焼結磁石の製造方法
JP5874951B2 (ja) R−t−b系焼結磁石の製造方法
JP6409867B2 (ja) 希土類永久磁石
KR102101309B1 (ko) 희토류 영구자석의 제조 방법
JP2007266038A (ja) 希土類永久磁石の製造方法
JP6733398B2 (ja) R−t−b系焼結磁石の製造方法
KR20150052153A (ko) 희토류 영구자석의 제조 방법
JP2012079726A (ja) R−t−b−m系焼結磁石用合金の製造方法およびr−t−b−m系焼結磁石の製造方法
JP6939339B2 (ja) R−t−b系焼結磁石の製造方法
JP6946905B2 (ja) 拡散源
JP7396148B2 (ja) R-t-b系焼結磁石の製造方法
JP6222518B2 (ja) R−t−b系焼結磁石の製造方法
JP5967010B2 (ja) 希土類焼結磁石の製造方法
JP2011082365A (ja) R−t−b系焼結磁石
JP6623998B2 (ja) R−t−b系焼結磁石の製造方法
JP2006283100A (ja) 希土類合金粉成形体の切断方法
JP2005197299A (ja) 希土類焼結磁石及びその製造方法
CN114496438A (zh) 制造稀土烧结磁体的方法
JP3456958B2 (ja) R−Fe−B系焼結磁石の製造方法、およびR−Fe−B系焼結磁石用合金粉末材料の調製方法並びに保存方法
JP2007266037A (ja) 希土類永久磁石の製造方法
JP4753044B2 (ja) 粉末成形用潤滑剤、成形用組成物及びr−t−b系焼結磁石の製造方法
KR102057870B1 (ko) 희토류 영구자석의 제조방법
JP2006281356A (ja) 希土類磁石粉末成形体の製造方法
JP2009295638A (ja) R−t−b系磁石の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160719

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170623

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170630

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170825

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170907

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170920

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6222518

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350