JPH09263802A - 粉末冶金用鉄基粉末混合物及びその製造方法 - Google Patents

粉末冶金用鉄基粉末混合物及びその製造方法

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JPH09263802A
JPH09263802A JP8077734A JP7773496A JPH09263802A JP H09263802 A JPH09263802 A JP H09263802A JP 8077734 A JP8077734 A JP 8077734A JP 7773496 A JP7773496 A JP 7773496A JP H09263802 A JPH09263802 A JP H09263802A
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powder
weight
acid amide
iron
stearic acid
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JP8077734A
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Satoshi Uenosono
聡 上ノ薗
Yukiko Ozaki
由紀子 尾崎
Kuniaki Ogura
邦明 小倉
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来の粉体特性及び圧粉体特性を十分に維持し
ながら、見掛け密度の安定性、偏析、ホッパからの流出
性、流動性、金型からの抜出力をバランスよく確保し、
かつ、焼成炉を痛める亜鉛の発生を極力押えた粉末冶金
用鉄基混合物の製造方法を提供する。 【解決手段】ステアリン酸等の結合材0.1重量%以上
1.0重量%以下と、合金用粉末及び/又は切削性改善
用粉末と、鉄基粉末とを混合後、結合材の融点プラス1
0〜100℃に加熱し、冷却した後、これに、ステアリ
ン酸等の粉末0.1重量%以上0.35重量%以下と、
ステアリン酸亜鉛の粉末0.01重量%以上0.15重
量%以下と、ステアリン酸リチウムの粉末0.05重量
%以上0.35重量%以下とを添加混合して粉末冶金用
鉄基粉末混合物を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、見掛密度が安定し、添
加物の偏析が少なく、成形時の金型からの抜出力が低
く、亜鉛の含有が少なく、とりわけホッパからの流出性
に優れた粉末冶金用鉄基粉末混合物及びその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】粉末冶金用鉄基粉末混合物は、鉄粉に、
銅粉、黒鉛粉、燐化鉄粉等の合金粉末とステアリン酸亜
鉛等の潤滑剤とを混合し、さらに必要に応じて切削性改
善用粉末を加えて製造するのが一般的である。しかし、
このような混合物は以下のような欠点を持っている。
【0003】先ず、その欠点はこのような混合物が偏析
を生ずることである。偏析について述べると、混合物は
大きさ、形状及び密度の異なる粉末を含んでいるため、
混合後の輸送、ホッパへの装入、払出し、又は成形処理
等の際に容易に偏析が生じてしまう。例えば、鉄系粉末
と黒鉛粉との混合物は、トラック輸送中の振動によって
輸送容器内に偏析が起こり、黒鉛粉が浮かび上がること
は良く知られている。また、ホッパに装入された黒鉛は
ホッパ内偏析のためホッパより排出する際、排出の初
期、中期、終期でそれぞれ黒鉛粉の濃度が異なることも
知られている。
【0004】これらの偏析によって製品は組成にばらつ
きを生じ、寸法変化及び強度のばらつきが大きくなって
不良品の原因となる。また、黒鉛粉などはいずれも微粉
末であるため混合物の比表面積を増大させる。その結
果、混合物は流動性が低下する。このような流動性の低
下は成形用金型への充填速度を低下させるため、圧粉体
の生産速度を低下させてしまうという欠点もある。
【0005】このような混合物の偏析を防止する技術と
して、特開平1−219101号公報にステアリン酸亜
鉛を結合材にして鉄基粉末表面に黒鉛を付着させた粉末
が開示されている。また、本発明者らは、先に特開平3
−162502号において金属石鹸と脂肪酸とを結合材
として用いる方法を提案した。しかし、これらはいずれ
も結合材に亜鉛やその他の金属元素を含んでおり、焼結
時に結合材中の金属元素が酸化物として炉内を汚染した
り、焼結体組成を変化させるという問題点を有する。
【0006】このような問題点を解決する方法として特
公表昭60−502158号公報や特開平2−2174
03号公報に開示されるように、金属元素を含まない結
合材を用いたものがあるが、これらの結合材自体は潤滑
作用を持たないので、最終的にはステアリン酸亜鉛を潤
滑剤として添加して用いられており、上述の問題点を解
決していなかった。
【0007】これらの問題点を踏まえて本発明者らは特
開平5−148505号公報にその解決策を開示した。
すなわち、ステアリン酸、オレイン酸アミド、ステアリ
ン酸アミド、ステアリン酸アミドとエチレンビスステア
リン酸アミドとの溶融混合物、エチレンビスステアリン
酸アミドから選ばれた1種以上の結合材と合金用粉末等
と鉄基粉末とを加熱混合した後冷却し、溶融、固化した
結合材によって合金粉末等を鉄基粉末に固着させた上
で、これにさらに上記結合材と同種の粉末とステアリン
酸亜鉛等の粉末を潤滑剤として添加混合した粉末冶金用
鉄基混合物とその製造方法を提案した。また結合材とし
て高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、ワックス、ステアリ
ン酸亜鉛の加熱溶融物を使用する場合には潤滑剤として
ステアリン酸リチウムを使用すべきことをも提案した。
【0008】ここで潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を単
独で使用しないのは、金型からの抜出力を十分小さくす
るだけの量を添加した場合には煤の発生が多すぎるため
であり、ステアリン酸リチウムを単独で使用しないの
は、煤の発生は少ないものの、ホッパからの流出性が劣
るためである。この解決策として特開平5−14850
5号公報では高級脂肪酸やワックス等とステアリン酸亜
鉛又はステアリン酸リチウムとの混合物を潤滑剤として
利用したものである。
【0009】これらの方法により、見掛け密度の安定
性、偏析、ホッパからの流出性はかなり改善された。し
かしながら、焼成炉を痛める亜鉛の元となるステアリン
酸亜鉛を極力減らした上で、ホッパからの流出性を含む
流動性と金型からの抜出力をバランスよく確保するとい
う点でいまだ不十分であった。また、ステアリン酸亜鉛
を最大0.2重量%含有しており、焼結時に結合材中の
金属元素の酸化物、とくにZnOによる、炉内面汚染を
少なくするためには、なお一層の低減が必要である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点に
鑑み、従来の粉体特性及び圧粉体特性を十分に維持し、
見掛け密度の安定性、偏析、ホッパからの流出性、流動
性、金型からの抜出力をバランスよく確保しながら、見
掛け密度の安定性、偏析、ホッパからの流出性、流動
性、金型からの抜出力をバランスよく確保し、かつ、焼
成炉を痛める亜鉛の発生を極力押えた粉末冶金用鉄基混
合物及びその製造方法を提供するものである。すなわ
ち、ステアリン酸亜鉛の添加量を0.15重量%以下と
し、従来の粉体特性及び圧粉体特性を維持しながら、偏
析が少なく、ホッパからの流出性に優れる粉末冶金用鉄
基粉末混合物及びその製造方法を提供することを目的と
する。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、提案されたもので、次の各項目に示す技術
的手段を構成とするものである。 (a)ステアリン酸、オレイン酸アミド、ステアリン酸
アミド、ステアリン酸アミドとエチレンビスステアリン
酸アミドとの溶融混合物、エチレンビスステアリン酸ア
ミドからからなる群から選ばれた1種以上の加熱溶融物
0.1重量%以上1.0重量%以下を結合材と、合金用
粉末及び/又は切削性改善用粉末が表面に固着されてい
る鉄基粉末と、ステアリン酸、オレイン酸アミド、ステ
アリン酸アミド、ステアリン酸アミドとエチレンビスス
テアリン酸アミドとの溶融混合物、エチレンビスステア
リン酸アミドからからなる群から選ばれた1種以上の遊
離粉末0.1重量%以上0.35重量%以下と、ステア
リン酸亜鉛の遊離粉末0.01重量%以上0.15重量
%以下と、ステアリン酸リチウムの遊離粉末0.05重
量%以上0.35重量%以下との混合物であることを特
徴とする粉末冶金用鉄基粉末混合物。
【0012】(b)上記(a)の混合物にさらに、結合
材にオレイン酸、スピンドル油、タービン油からなる群
から選ばれた1種以上の有機質液体潤滑剤0.01重量
%以上0.3重量%以下を加えたことを特徴とする粉末
冶金用鉄基粉末混合物。 (c)ステアリン酸、オレイン酸アミド、ステアリン酸
アミド、ステアリン酸アミドとエチレンビスステアリン
酸アミドとの溶融混合物、エチレンビスステアリン酸ア
ミドからなる群から選ばれた1種以上の加熱溶融物であ
る結合材0.1重量%以上1.0重量%以下と、合金用
粉末及び/又は切削性改善用粉末と、鉄基粉末とを混合
後、該結合材が1種の場合はその融点プラス10〜10
0℃に、該結合材が2種以上の場合はそれらの融点のう
ち最低の融点プラス10℃以上、最高の融点以下に加熱
冷却し、さらに冷却した後、これに、ステアリン酸、オ
レイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ステアリン酸ア
ミドとエチレンビスステアリン酸アミドとの溶融混合
物、エチレンビスステアリン酸アミドからなる群から選
ばれた1種以上の粉末0.1重量%以上0.35重量%
以下と、ステアリン酸亜鉛の粉末0.01重量%以上
0.15重量%以下と、ステアリン酸リチウムの粉末
0.05重量%以上0.35重量%以下とを添加混合す
ることを特徴とする粉末冶金用鉄基粉末混合物の製造方
法。
【0013】(d)上記(c)の製造方法において、さ
らに、前記結合材にオレイン酸、スピンドル油、タービ
ン油からなる群から選ばれた1種以上の有機質液体潤滑
剤0.01重量%以上0.3重量%以下を加えて、合金
粉末及び/又は切削性改善用粉末と鉄基粉末とを混合す
ることを特徴とする粉末冶金用鉄基粉末混合物の製造方
法。
【0014】次に、本発明を完成するに至った知見につ
いて説明する。本発明者らは、ステアリン酸亜鉛0.1
5重量%以下の添加量で、従来の粉体特性及び圧粉体特
性を維持し、見掛密度が安定し、偏析が少なく、ホッパ
からの流出性に優れ、かつ亜鉛を含有しないか含有量が
少ない粉末冶金用鉄基粉末混合物について鋭意研究を重
ねた結果、以下に示す知見を得て本発明に至った。
【0015】本発明は、遊離粉末としてステアリン酸、
オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ステアリン酸
アミドとエチレンビスステアリン酸アミドとの溶融混合
物からなる群から選ばれた1種以上の粉末0.1〜0.
35重量%と、ステアリン酸亜鉛の遊離粉末0.01重
量%以上0.15重量%以下と、ステアリン酸リチウム
の遊離粉末0.05重量%以上0.35重量%の混合物
であることが大きなポイントである。このように、ステ
アリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸、
オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ステアリン酸
アミドとエチレンビスステアリン酸アミドとの溶融混合
物からなる群から選ばれた1種以上の粉末の特定の遊離
粉末の配合組成において、従来の粉体特性及び圧粉体特
性を維持しながら、見掛け重量が安定し、偏析が少な
く、ホッパからの排出性に優れ、かつステアリン酸亜鉛
の含有量が0.15重量%以下の粉末冶金用鉄基粉末が
得られ、とくに流動性に関しては特開平5−14850
5号公報で提案された鉄基粉末混合物よりも一層優れた
粉末が得られる。
【0016】本発明においては、合金用粉末及び/又は
切削性改善用粉末が、鉄基粉末表面に結合材によって固
着されているので偏析を防止することができる。鉄基粉
末としては、粉砕又はアトマイズ等による純鉄粉及び/
又は合金鉄粉が用いられ、合金用粉末としては黒鉛粉
末、合金粉末等が、焼結体の被切削性を改善する切削性
改善用粉末としては、タルク、金属硫化物等が、製品に
要求される特性を考慮して選定され必要量用いられる。
【0017】本発明では、ステアリン酸、オレイン酸ア
ミド、ステアリン酸アミド、ステアリン酸アミドとエチ
レンビスステアリン酸アミドとの溶融混合物、エチレン
ビスステアリン酸アミドからなる群から選ばれた1種以
上の加熱溶融物である結合材0.1重量%以上1.0重
量%以下と、合金用粉末及び/又は切削性改善用粉末
と、鉄基粉末とを混合後、結合材が1種の場合はその融
点プラス10〜100℃に、結合材が2種以上からなる
場合はそれらの融点のうち最低の融点プラス10℃以
上、最高の融点以下に加熱し、これを冷却することによ
り、鉄基粉末表面に合金粉末及び/又は切削性改善用粉
末を強固に付着することができる。
【0018】その後、常温で、ステアリン酸、オレイン
酸アミド、ステアリン酸アミド、ステアリン酸アミドと
エチレンビスステアリン酸アミドとの溶融混合物、エチ
レンビスステアリン酸アミドからなる群から選ばれた1
種以上の粉末0.1重量%以上0.35重量%以下と、
ステアリン酸亜鉛の粉末0.01重量%以上0.15重
量%以下と、ステアリン酸リチウムの粉末0.05重量
%以上0.35重量%以下とを添加し混合する。
【0019】ステアリン酸(融点69℃)、オレイン酸
アミド(融点76℃)、ステアリン酸アミド(融点10
3℃)、ステアリン酸アミドとエチレンビスステアリン
酸アミドとの溶融混合物(融点125℃)、エチレンビ
スステアリン酸アミド(融点147℃)を用いるのは、
ステアリン酸亜鉛(融点120℃)と同様に、この鉄基
粉末混合物を金型中で加圧成形する際、摩擦熱で溶融な
いし軟化させて潤滑剤の働きをさせるためである。加熱
溶融混合により合金用粉末及び/又は切削性改善用粉末
の付着度が向上し、常温粉末混合により金型からの抜出
力を低減する効果を同時にあげることができる。
【0020】加熱溶融させる結合材の量が0.1重量%
未満では合金用粉末等の付着性が低下すると共に、金型
からの抜出力が劣化するためである。結合材の量が1.
0重量%を越えて多すぎると、潤滑剤としてステアリン
酸亜鉛を過度の添加してもホッパからの流出性を向上さ
せることができない。常温で、ステアリン酸、オレイン
酸アミド、ステアリン酸アミド、ステアリン酸アミドと
エチレンビスステアリン酸アミドとの溶融混合物、エチ
レンビスステアリン酸アミドから選ばれた1種以上の粉
末0.1重量%以上0.35重量%以下を添加するの
は、前述の用に金型中で加圧成形する際、摩擦熱で溶融
ないし軟化して潤滑剤の働きをさせるためである。添加
量が0.1重量%未満では成形後の金型からの抜出力急
激に高くなり、一方、0.35重量%を越えて添加する
とホッパから流出させることができない。
【0021】ステアリン酸亜鉛の粉末は0.01重量%
以上添加しないとホッパからの流出性が得られない。一
方、0.15重量%を越えて添加すると焼結時に発生す
る亜鉛により緒焼成炉を痛める。従って、0.01重量
%以上0.15重量%以下に限定する。ステアリン酸リ
チウムの粉末は、ステアリン酸亜鉛の一部代替として用
いるが、単なる置き換えではなく、ステアリン酸、オレ
イン酸アミド、ステアリン酸アミド、ステアリン酸アミ
ドとエチレンビスステアリン酸アミドとの溶融混合物、
エチレンビスステアリン酸アミドから選ばれた1種以上
とステアリン酸リチウムとステアリン酸亜鉛とを複合添
加することによって、焼成時に煤や亜鉛を発生すること
なく、金型からの抜出力が小さく、ホッパからの流出性
が良好であるばかりでなく、さらに流動性を格段に向上
させることができる。ステアリン酸リチウムの粉末の添
加量は、0.05重量%未満でも、0.35重量%を越
えても流動性及びホッパ排出性が低下するので、0.0
5重量%以上0.35重量%以下とする。
【0022】なお、オレイン酸、スピンドル油、タービ
ン油から選ばれた1種以上の有機質液体潤滑剤0.01
重量%以上0.3重量%以下を結合材と共に混合するこ
とでさらに付着は強固となると共に、見掛け密度を安定
させる効果を有する。液体潤滑剤の添加量が0.01重
量%未満では見掛け密度を安定する効果がなく、0.3
重量%を越えるとホッパからの流出性が低下する。液体
潤滑剤の添加時期は鉄基粉末と他の添加物を混合する前
が好ましい。液体潤滑剤は撹拌混合時に鉄基粉末表面を
速やかに覆い、撹拌による鉄基粉末同士の表面摩擦、衝
突による変形を抑制し、変形による流出性の低下を押え
ると共に、鉄基粉末表面への添加物の均一付着を容易に
する作用を有するためである。
【0023】特開平5−148505号公報に記載の発
明では、脂肪酸もしくは脂肪酸アミドをステアリン酸亜
鉛の代わりに用いると、汚れは生じず、金型からの抜出
力も低く成形体の表面に傷は生じなかったが、その混合
物はホッパからの流出性が著しく劣るので、特定の脂肪
酸もしくは脂肪酸アミドを結合材として合金用粉末及び
/又は切削性改善用粉末を鉄基粉末表面に加熱溶融によ
り固着させ、さらに、上記の脂肪酸及び/又は脂肪酸ア
ミドに加えて少量のステアリン酸亜鉛粉末を常温で混合
し、鉄基粉末表面に溶融固着させず、遊離粉末状態で加
えることにより、従来の欠点を克服した粉末冶金用鉄基
粉末混合物を提供することが可能であるとの結論であっ
た。
【0024】本発明では、ステアリン酸亜鉛に代えて一
部ステアリン酸リチウムとすることにより、汚れは生ぜ
ず、金型からの抜出力はほとんど変化せず、ホッパから
の排出性も良好で、さらに格段に流動性が向上すること
が分かり、特定の脂肪酸又は脂肪酸アミドを結合材とし
て、合金用粉末又は切削性用改善粉末を鉄基粉末表面に
加熱溶融にて固着させ、さらに遊離粉末として上記の脂
肪酸及び/又は脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステ
アリン酸リチウムを特定割合で添加することにより、特
開平5−148505号公報に記載の発明よりさらに流
動性の向上した粉末冶金用鉄基混合粉末を提供すること
が可能となった。
【0025】ステアリン酸リチウムの配合量は、0.0
5〜0.35重量%とした。この理由は、流動度、ホッ
パ排出性を向上させるために添加し、0.05重量%未
満では、流動度が不十分であり、0.35重量%を越え
ると流動度、ホッパ排出性が低下するためである。ステ
アリン酸リチウムはステアリン酸亜鉛より高価であるた
め、添加材コストを勘案してより好ましくは配合量は
0.1〜0.3重量%である。なおステアリン酸リチウ
ムと脂肪酸、脂肪酸アミドの1種以上の組み合わせ、ス
テアリン酸亜鉛と脂肪酸、脂肪酸アミドの1種以上の組
み合わせでは、流動度の向上が認められない。
【0026】本発明において使用される液体潤滑剤はオ
レイン酸、スピンドル油、タービン油からなる群から選
ばれる1種以上である。液体潤滑剤の添加量は0.01
重量%以上0.3重量%以下である。0.01重量%未
満では見掛密度を安定させる作用がなく、0.3重量%
を超えると流出性が低下するからである。液体潤滑剤の
添加時期は鉄粉と他の添加物とを混合する前である。混
合中では見掛密度の安定化作用が小さく流出性も低下
し、さらに混合後では見掛密度安定作用、流出性ともに
低下するからである。すなわち液体潤滑剤は鉄粉と他の
添加物との撹拌混合時にすみやかに鉄粉表面を覆い、撹
拌による鉄粉粒子の表面摩擦、衝突による変形を抑制
し、変形による流出性の低下を抑制するものである。ま
た鉄粉表面への添加物の均一付着を容易にする作用も副
次的に有する。
【0027】液体潤滑剤以外の他の結合材すなわち、加
熱溶融混合によって結合材として用いる前記有機化合物
の添加量は、液体潤滑剤を用いない場合の前述の添加量
と同等でよい。またステアリン酸亜鉛の選択添加量も前
述と同様でよい。加熱温度は用いられる結合材構成物
(液体潤滑剤及び有機化合物)が1種の場合はその融点
プラス10℃以上100℃以下に、2種以上の場合は、
最低融点の構成物の融点プラス10℃以上、最高融点の
構成物の融点以下とする。結合材構成物が1種の場合は
融点プラス10℃以上の加熱で結合機能を発揮させ、融
点プラス100℃以下とすることにより結合材の熱分解
による結合機能の低下を防止する。結合材構成物が2種
以上の場合はそのうちの最低融点の構成物の融点プラス
10℃以上で結合機能を発揮させ、最高融点の構成物の
融点以下とすることにより熱分解による機能低下を防止
するとともに、流出性能を向上させる。
【0028】
【実施例】平均粒径78μmの粉末冶金用鉄粉に、平均
粒径23μmの黒鉛粉末1重量%、平均粒径25μmの
電解銅粉を2重量%と、表1に示した結合材を十分混合
後、110℃で混合加熱し(1次混合)、さらに混合し
ながら85℃以下に冷却した。冷却後、遊離粉末として
表2に示す潤滑剤の混合物を均一に混合後、加熱混合機
から排出した。
【0029】表2にはこれらの混合粉末の直径25m
m、高さ20mmのタブレットを5t/cm2 で成形し
たのち金型から抜出すときの押圧力(抜出力)と、流動
度の結果を併せて示した。粉末の流出性は、内径100
mm、高さ200mmの容器の底部中央に設けた直径
3.0mmのオリフィスから混合物を排出させ、容器に
振動を加えることなく、流出したものを可(〇印)、容
器に振動を加えて、流出したか、またはそれでも流出し
なかったものを否(×印)とした。また混合粉末を5t
/cm2 で成形したのち、RX雰囲気中で1130℃2
0分焼結後、焼結体表面に煤があるか否か目視で判断し
た結果を表2に示した。
【0030】試料No.2〜4、7〜9、12〜14、
16〜22に示すように、本願発明の配合で鉄基混合粉
末を製造すれば、流動性に格段優れ、ホッパ排出性が良
好で、抜出力が低く、焼結体に煤の発生が見られない粉
末冶金用鉄基混合粉末を容易に製造することができる。
試料No.6は特開平−148505号公報に開示され
た発明に相当するものであり、ステアリン酸亜鉛とステ
アリン酸リチウムを潤滑剤として同時に含まないため、
本発明例に比較して流動度が2秒近く大きく流動性に劣
る。比較例(試料No.1、5)では、ステアリン酸亜
鉛が少ない場合流動性が低下し、多い場合、焼結体に煤
が発生した。試料No.10(比較例)では、ステアリ
ン酸リチウムが多い場合、流動度が低下している。試料
No.11、15(比較例)では脂肪酸、粗紡酸アミ
ド、又はステアリン酸アミドとエチレン酸ステアリン酸
アミドとの溶融化合物の1種以上が本発明の範囲より少
ない場合、抜出力が高く、大きい場合ホッパ排出性が低
下した。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【発明の効果】本発明により、従来の混合物に比して、
合金用粉末や切削性改善用粉末の偏析が少ないので粉末
冶金製品の品質が安定し切削性が改善され、ホッパから
の流出性に優れるので見掛密度が安定し、金型からの抜
出力が小さいので成形体の損傷がなく、さらに、結合材
・潤滑剤の金属成分が少ないので焼結体組成の変化や焼
結炉の汚染を生ずることが少ない、粉末冶金用鉄基粉末
混合物及びその製造方法を得ることができた。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステアリン酸、オレイン酸アミド、ステ
    アリン酸アミド、ステアリン酸アミドとエチレンビスス
    テアリン酸アミドとの溶融混合物、エチレンビスステア
    リン酸アミドからなる群から選ばれた1種以上の加熱溶
    融物0.1重量%以上1.0重量%以下を結合材と、合
    金用粉末及び/又は切削性改善用粉末が表面に固着され
    ている鉄基粉末と、ステアリン酸、オレイン酸アミド、
    ステアリン酸アミド、ステアリン酸アミドとエチレンビ
    スステアリン酸アミドとの溶融混合物、エチレンビスス
    テアリン酸アミドからなる群から選ばれた1種以上の遊
    離粉末0.1重量%以上0.35重量%以下と、ステア
    リン酸亜鉛の遊離粉末0.01重量%以上0.15重量
    %以下と、ステアリン酸リチウムの遊離粉末0.05重
    量%以上0.35重量%以下との混合物であることを特
    徴とする粉末冶金用鉄基粉末混合物。
  2. 【請求項2】 結合材にオレイン酸、スピンドル油、タ
    ービン油からなる群から選ばれた1種以上の有機質液体
    潤滑剤0.01重量%以上0.3重量%以下を加えたこ
    とを特徴とする請求項1記載の粉末冶金用鉄基粉末混合
    物。
  3. 【請求項3】 ステアリン酸、オレイン酸アミド、ステ
    アリン酸アミド、ステアリン酸アミドとエチレンビスス
    テアリン酸アミドとの溶融混合物、エチレンビスステア
    リン酸アミドからなる群から選ばれた1種以上の加熱溶
    融物である結合材0.1重量%以上1.0重量%以下
    と、合金用粉末及び/又は切削性改善用粉末と、鉄基粉
    末とを混合後、該結合材が1種の場合はその融点プラス
    10〜100℃に、該結合材が2種以上からなる場合は
    それらの融点のうち最低の融点プラス10℃以上最高の
    融点以下に加熱し、さらに冷却した後、これに、ステア
    リン酸、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ステ
    アリン酸アミドとエチレンビスステアリン酸アミドとの
    溶融混合物、エチレンビスステアリン酸アミドからなる
    群から選ばれた1種以上の粉末0.1重量%以上0.3
    5重量%以下と、ステアリン酸亜鉛の粉末0.01重量
    %以上0.15重量%以下と、ステアリン酸リチウムの
    粉末0.05重量%以上0.35重量%以下とを添加混
    合することを特徴とする粉末冶金用鉄基粉末混合物の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 前記結合材にオレイン酸、スピンドル
    油、タービン油からなる群から選ばれた1種以上の有機
    質液体潤滑剤0.01重量%以上0.3重量%以下を加
    えて、合金粉末及び/又は切削性改善用粉末と鉄基粉末
    とを混合することを特徴とする請求項3記載の粉末冶金
    用鉄基粉末混合物の製造方法。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024053141A1 (ja) * 2022-09-05 2024-03-14 Jfeスチール株式会社 粉末冶金用混合粉

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