JPH0694563B2 - 粉末治金用鉄基粉末混合物とその製造方法 - Google Patents

粉末治金用鉄基粉末混合物とその製造方法

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JPH0694563B2
JPH0694563B2 JP63197580A JP19758088A JPH0694563B2 JP H0694563 B2 JPH0694563 B2 JP H0694563B2 JP 63197580 A JP63197580 A JP 63197580A JP 19758088 A JP19758088 A JP 19758088A JP H0694563 B2 JPH0694563 B2 JP H0694563B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、偏析および発塵が少なく、かつ流動性に優れ
た粉末冶金用鉄基粉末混合物およびその製造方法に関
し、特に粉末粒子間に比較的比重差の大きい1つまたは
複数の合金用粉末を含む粉末混合物の偏析と発塵を防止
た混合物およびその製造方法に関する。
〔従来の技術〕
従来、粉末冶金用鉄基粉末混合物は、鉄粉に銅粉、黒鉛
粉および/またはフェロリン粉などの合金原料粉および
ステアリン酸亜鉛などの潤滑剤を混合する混合法によっ
て製造されたものが一般的である。
しかし、混合法によって製造された粉末混合物は以下の
ような欠点を持っている。先ず、混合法によって製造さ
れた粉末混合物の大きな欠点は粉末混合物の偏析と発塵
である。
偏析について述べると、粉末混合物は、大きさ、形状お
よび密度の異なる粉末を含んでいるため、混合後の輸
送、ホッパへの装入、払い出し、または成形処理の際
に、容易に偏析が生じてしまう。例えば、鉄系粉末と黒
鉛粉との混合物は、トラック輸送中の振動によって、輸
送容器内において偏析が起こり、黒鉛粉が浮かび上がる
ことは良く知られている。また、ホッパより排出する
際、排出の初期、中期、終期でそれぞれ黒鉛粉の濃度が
異なることも知られている。
これらの偏析は粉末冶金製品の組成のバラツキを起こ
し、寸法変化および強度のばらつきが大きくなって、不
良品発生の原因となる。
さらに黒鉛粉は発塵も激しく、労働衛生上も問題があ
る。
また、黒鉛粉などはいずれも微粉末であるため、混合物
の比表面積を増大させ、その結果流動性が低下する。こ
のような流動性の低下は、成形用金型への充填速度を低
下させるため、圧粉体の生産速度を低下させてしまうと
いう欠点もある。
上記の偏析や発塵の問題は、鉄系粉末と合金用粉末を何
らかの方法により付着させることによって原理的には解
決することができる。
従来においては適切な結合剤の選択による方法(例えば
特公昭58−28321号公報または特開昭56−136901号公
報、特表昭60−502158号公報)あるいは混合方法の改善
(特公昭53−16796号公報)などが提案されている。
これらの方法は、粉末混合物の流動性、見掛け密度、圧
縮性、圧粉体強度を考慮して結合剤の添加量が制限され
ており、鉄系粉末と合金用粉末の結合効果が十分大きく
なるまでに結合剤の添加量を増加させると、粉末混合物
の流動性は通常の混粉法における粉末混合物よりも低下
する。
このため、鉄系粉末と合金用粉末の結合効果が十分大き
く、かつ流動性に優れた粉末混合物は得難い。加えて鉄
系粉末と合金用粉末の結合は0.3重量%以下の結合剤の
みによるため、結合する合金用粉末の添加量および粒子
寸法が制約されるという問題がある。
これらの技術は流動性低下の問題についても十分な解決
策がなく、結合剤の選択の際に多少なりとも流動性が向
上するものを選択するという消極的な対策しかないのが
現状である。
また、後者においては、粉末の各粒子を細分割あるいは
破砕させるため、圧粉体の成形性を損なうという問題点
を残している。
一方、本発明者等は特開昭63−206401号公報において偏
析を防止しかつ流動性に優れる粉末冶金用鉄基粉末混合
粉を提案している。この技術は偏析防止と流動性向上に
著しい効果があったが、偏析防止の度合が高まると圧粉
密度が低下し、成形圧力の上昇による金型寿命の大幅な
低下をもたらす点で改善の余地があった。
以上のように、従来、粉体特性、圧粉体特性を損なわず
に偏析が少なく、かつ流動性に優れ、発塵抑制を図った
粉末冶金用鉄基粉末混合物はなかったのが実情である。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明は、従来の混粉法におけると同様な圧粉体特性を
維持しながら、偏析と発塵が少なく、かつ流動性を積極
的に改善した粉末冶金用鉄基粉末混合物を供することを
目的とするものである。
また本発明は上記の優れた特性を有する粉末冶金用鉄基
粉末混合物を容易に製造する製造方法を提供することを
目的とする。
[問題点を解決するための手段] 本発明者らは、偏析と発塵が少なく、かつ流動性に優れ
た粉末冶金用鉄基粉末混合物について、鋭意研究を重ね
た結果、オイルと金属石鹸とを均一混合した後に、さら
に混合しながら加熱処理することによって、従来の欠点
を克服した粉末冶金用鉄基粉末混合物を提供することが
可能であるとの結論を得るに至った。
上記問題点を解決するための本発明の技術手段は次のと
おりである。
本発明は、オイル0.1〜0.3重量%、金属石鹸0.5〜1.2重
量%かつオイルと金属石鹸との合計量0.6重量%以上か
つ金属石鹸重量に対するオイル重量の比が0.1〜0.4であ
る共溶融物からなる結合剤によって固着した、鉄系粉末
と合金用粉末との混合物であって、該混合物中の各合金
用粉末全量に対する、該混合物中の100〜200メッシュの
中に存在する各合金用粉末量の比(各合金用粉末の固着
度)の少なくとも1つが65%以上であることを特徴とす
る粉末冶金用鉄基粉末混合物である。
この場合、前記合金用粉末に切削性改善用粉末を含むと
好ましい。
また、前記オイルがオイレン酸、前記金属石鹸がステア
リン酸亜鉛であると好適である。
なお、合金元素がCの場合、混合物中の100〜200メッシ
ュ留分中のC合金元素量と該混合物全体の中のC合金元
素量との比(合金元素粉末の固着度)は下記(1)、
(2)式のC固着度で定義する。
ただし、 [C] :混合物中の100〜200メッシュ留分中のC分析
値(重量%) [C′]:混合物中の全体のC値(重量%) [St]:混合物中に添加したステアリン酸亜鉛の重量% [O]:混合物中に添加したオレイン酸の重量% [Gr]:混合物中に添加した黒鉛粉の重量% 次に、前記粉末冶金用鉄基粉末混合物の、JIS Z2502−
1979による流動度が前記粉末冶金用鉄基粉末混合物のオ
イル無添加で加熱溶融前の単なる混合物の流動度に比べ
て5秒/50g以上小さいと適当である。
さらに、前記粉末冶金用鉄基粉末混合物の積算発塵量が
測定時間240秒以内で300カウント数以下である粉末冶金
用鉄基粉末混合物を提供する。
前記粉末冶金用鉄基粉末混合物の、5t/cm成形時での
圧粉体の密度が前記粉末冶金用鉄基粉末混合物のオイル
無添加で加熱溶融前の単なる混合物の密度に比べて0.04
g/cmを超える低下がないことを特徴とする。
以上のような粉末冶金用鉄基粉末混合物の製造方法は次
のとおりである。
鉄系粉末に合金用粉末及び/又は切削性改善用粉末を混
合し、次にオイル0.1〜0.3重量%、金属石鹸0.5〜1.2重
量%かつオイルと金属石鹸との合計0.6重量%以上、金
属石鹸重量に対するオイル重量の比が0.1〜0.4にして、
それらを混合しながら、または混合した該混合物を90〜
150℃まで加熱し、オイルと金属石鹸との共溶融物結合
剤により鉄系粉末粒子表面に合金用粉末及び/又は切削
性改善用粉末を固着する。
このようにして得られた混合物は偏析および発塵を生ず
ることがなく、かつ流動性に優れ、圧粉密度の低下がな
くしかも潤滑性を有している。
本発明において合金用粉末とは黒鉛粉、フェロリン粉
末、Ni粉末、Fe−Ni合金粉末、銅粉末、銅合金粉末など
をあげることができる。合金元素とはこれらに対応する
C,P,Ni,Cu,Snなどを言う。また、切削性改善用粉末とは
フォルステライト、タルクなど、合金化はしないが焼結
体の切削性を改善する粉末である。
本発明において、潤滑剤とは、ステアリン酸亜鉛などの
金属石鹸など、一般に用いられる粉末冶金用潤滑剤をい
い、さらに、オイルとは植物油、鉱物油、脂肪酸であっ
て、例えば、米糠油、スピンドル油、オレイン酸などが
ある。
〔作用〕
本発明では、粉体特性や圧粉体特性を損なわない従来一
般に用いられている金属石鹸とオイルとの共溶融物を鉄
系粉末と合金用粉末との結合剤としている。従って、熱
可塑性樹脂やトール油などの単体を結合剤として添加す
る従来の技術と比較して、結合剤の添加量が2倍以上に
なっても、混合物の粉体特性や圧粉体特性を損なわな
い。
また、鉄系粉末粒子表面への合金用粉末の固着は、前記
従来の方法では粒子間の接触面のごく一部が付着してい
るに過ぎず、不安定な付着である。これに対して本発明
の粉末混合物では、結合剤量が従来に比べて2倍以上と
して、合金用粉末の全体を結合剤が覆って鉄系粉末粒子
の表面に合金用粉末を安定的に固着させることにより、
偏析防止処理を行っている。
本発明は、黒鉛粉(C)、フェロリン粉(P)またはそ
の他の添加物、例えば焼結体の被削性を改善するフォル
ステライト粉末などの偏析を防止し発塵を抑えるため、
鉄系粉末にそれら合金用粉末とオイルと金属石鹸とを添
加した後、混合しながら加熱し、オイルと金属石鹸との
共溶融物結合剤を生成せしめ、それによって、Cなどの
合金用粉末を鉄系粉末粒子の表面に固着させた混合物を
提供する。このようにして得られた本発明の粉末冶金用
鉄基粉末混合物は、合金用粉末の偏析を起さない。
第1図に黒鉛粉を例とした合金用粉末の鉄系粉末への固
着状況を調査した結果を示す。第1図(a)は平均粒径
78μmのアトマイズ鉄粉(Fe)に平均粒径16μmで全量
が200メッシュ以下の黒鉛粉末(Gr)を1重量%とステ
アリン酸亜鉛(ZnSt)1重量%を添加し予備混合した
後、オイルとして市販のオレイン酸0.25重量%を添加、
均一混合後、110℃と130℃で15分間混合しながら加熱
し、その後、混合しながら85℃以下に冷却したものであ
る。第1図(a)には加熱段階の前の状態も示した。
なお、オレイン酸、ステアリン酸亜鉛および加熱のそれ
ぞれの効果を見るために、第1図(b)にオレイン酸を
添加しないで加熱混合した実験を示した。また第1図
(c)にはステアリン酸亜鉛を添加しないでオレイン酸
のみを添加し、加熱混合した実験を示した。
第1図中のC固着度は混合物中の100〜200メッシュ留分
中のC量の混合物全体の中のC量に対する比であり次式
で定義した。
ただし、 [C] :混合物中の100〜200メッシュ留分中のC分析
値(重量%) [C′]:混合物中の全体のC値(重量%) [St]:混合物中に添加したステアリン酸亜鉛の重量% [O] :混合物中に添加したオレイン酸の重量% [Gr]:混合物中に添加した黒鉛粉の重量% すなわち、鉄系粉末表面に付着しない黒鉛粉は200メッ
シュの網目を通り抜けることから、前記処理した粉末を
ロータップで100〜200メッシュに篩分け、その粉末中の
C分析値と全体のC分析値との比をC固着度とした。
なお、上記(1)式又は(2)式によるC固着度は合金
粉末偏析の簡便な方法として用いており、後述するよう
に発塵テストや2段ホッパ切出しによる偏析テストにお
いても、合金用粉末の偏析と相関関係のあることが確認
されている。
また、流動度はJISZ2502−1979「金属粉の流動度試験方
法」に準拠して測定した。
第1図から次のことが分る。オレイン酸とステアリン酸
亜鉛を添加して加熱をしない単なる混合のみでは、C固
着度はほとんど向上せず、流動性も改善されていない。
また、ステアリン酸亜鉛を添加せず、オレイン酸のみを
添加し加熱した場合は、C固着度と流動性は処理前と全
く変らない。一方、オレイン酸を添加せず、ステアリン
酸亜鉛のみを添加し、110℃またはステアリン酸亜鉛の
融点である120℃を越える130℃で加熱した場合のC固着
度は30%以下であり、偏析防止は不十分であるが、流動
性は著しく改善される。
本発明によるオレイン酸とステアリン酸亜鉛を添加して
混合加熱した場合はC固着度が80%を越え、流動性も著
しく改善することができる。
この結果から、C固着度を高め、発塵を防止し、かつ流
動性を改善するためには、オレイン酸などのオイルとス
テアリン酸亜鉛などの潤滑剤が共存し、かつ加熱をする
ことが必須条件であるとの新しい知見を得た。
第7図はこの実験で製造した混合物160gを密閉容器の中
で高さ50cmの位置から落下させ、その時の発塵量をデジ
タル粉塵測定装置(散乱光式、柴田化学器械工業(株)
製P−3型)で測定した時の値を示したものである。オ
レイン酸を添加混合しただけでは発塵を防止することは
できず、その後加熱することによって、初めて発塵を防
止することができ、先のC固着度と密接な相関関係があ
ることが実証された。
工業的に市販されているオレイン酸は牛脂、オリーブ
油、米糠油または動植物脂肪酸を分解した後、固体脂肪
酸を除いてから蒸留して得られ、中央に不飽和結合を持
つ淡黄色の液体で、精製度が上がるに従い透明に近づ
く。その化学式はCH(CHCH=CH(CHCOOH
である。
発明者らの実験によると、加熱することがC固着度を高
める必須条件である。オレイン酸は加熱によって2重結
合がとれ、その時に粘結力が増加し、C固着度が高まっ
たものと考えられる。
一方、融点120℃のステアリン酸亜鉛1重量%とオレイ
ン酸0.25重量%の割合で混合した粉末は、融点が104℃
まで低下することが判明した。オレイン酸を添加しない
でステアリン酸亜鉛のみで融点を越える130℃で加熱混
合した場合のC固着度は29.9%であり、オレイン酸とス
テアリン酸亜鉛を添加し、110℃に加熱した場合のC固
着度は80%以上であった。
この事実からオレイン酸の粘結力のみでは付着が不安定
であった鉄系粉末と黒鉛粉末の混合物が加熱によってオ
レイン酸とステアリン酸亜鉛の相乗効果による共溶融物
からなる結合剤でコーティングされ、冷却によって付着
がより強固になったものと推察される。
オレイン酸と潤滑剤の共溶融物のコーティング層は、鉄
系粉末と合金用粉末との付着をより強固なものとするば
かりでなく、混合物に流動性を付与する。
第2図(a)(写真)に本発明であるオレイン酸とステ
アリン酸亜鉛の共溶融物結合剤によって鉄粉末粒子表面
へ合金用粉末を固着した混合物のEPMA(X線マイクロア
ナザイラ)二次電子像を示す。第2図(b)はその模写
図である。第4図(a)(写真)に比較例として、加熱
を施さずにオレイン酸の結合力によってのみ、合金用粉
末を付着させた混合物の電子顕微鏡写真を示す。第4図
(b)はその模写図である。第4図の混合物は平均粒径
78μmのアトマイズ鉄粉に平均粒径28μmの電解銅粉2
重量%と平均粒径16μmの黒鉛粉末1重量%とステアリ
ン酸亜鉛1重量%を添加し予備混合した後、オレイン酸
0.19重量%を添加均一混合した後、サンプリングしたも
のである。これをさらに110℃で加熱混合して、オレイ
ン酸とステアリン酸亜鉛の共溶融物結合剤を生成せしめ
て第2図の本発明混合物を得た。
第3図は第2図の特性X線像であって、第3図(a)、
(b)、(c)、(d)にそれぞれ各成分Fe、C、Cu、
Znの賦存状態が示されている。第2図(a)および
(b)から明らかに本発明の混合物は、鉄系粉末1の粒
子の窪みに黒鉛粉3と銅粉末2が存在し、比較的サイズ
の小さい鱗片状の黒鉛粉3は完全にオレイン酸とステア
リン酸亜鉛の共溶融物結合剤4で覆われて固着してい
る。比較的サイズの大きい針状の銅粉末2は窪みに入っ
ている部分が結合剤4で固着されている。このようにオ
レイン酸とステアリン酸亜鉛の共溶融物結合剤4で、し
っかりと固着された黒鉛粉3と銅粉末2はプレス成形ま
でのハンドリングにおいて、偏析や発塵を生じない。
一方、第4図(写真)に示す比較例は、比重の大きい銅
粉末は鉄粉粒子表面に付着しておらず、黒鉛粉3とステ
アリン酸亜鉛粉末5が、オレイン酸の結合力のみによる
点接触で、不安定な状態で鉄粉粒子表面に付着してい
る。このように不安定な状態で付着している黒鉛粉はプ
レス成形までのハンドリングによる振動で偏析や発塵を
生じ易い。第5図は本発明の鉄系粉末1の粒子表面への
合金用粉末2、3の付着機構を模式的に示したものであ
る。本発明では第5図に示すように、鉄系粉末1の表面
に共溶融物結合剤4によって覆われた黒鉛粉3、銅粉末
2などに強固に結合されている。
第6図は比較例の付機構を模式的に示したもので、従来
の比較例では黒鉛粉3やステアリン酸亜鉛粉末5をオレ
イン酸の薄膜6を介して鉄系粉末粒子1の表面に付着し
ているに過ぎない。
本発明とこれまで公表されている特公昭58−28321号公
報、特開昭56−136901号公報、特表昭60−502185号公報
との相違は結合剤の種類と量のみに限らず、鉄粉末粒子
表面への合金用粉末の付着機構が異なるのである。すな
わち本発明では第5図のように合金用粉末が共溶融物結
合剤に埋没して確実に鉄系粉末粒子に固着しているのに
対して、これまで公表されている方法では、オレイン酸
などの粘結力のみによって合金粉末が鉄粉末粒子表面に
点接触で付着されているため、その結合力は弱く不安定
であり、得られた混合物の偏析と発塵防止の効果も小さ
い。
本発明の効果は結合剤としてオイルと金属石鹸との共溶
融物結合剤を用いて初めて達成することができる。かつ
得られた混合物の偏析度と流動性および圧粉密度は、共
溶融物結合剤を構成するオイルと金属石鹸との重量比お
よび共溶融物結合剤総量と密接に関わり合いがある。
以下、本発明の限定理由について説明する。
共溶融物結合剤を構成するオイルと金属石鹸粉末量の重
量比は添加した合金用粉末の偏析度と、混合物の流動性
に密接に影響する。第1表は平均粒径78μmのアトマイ
ズ鉄粉に平均粒径28μmで200メッシュ以下が93%以上
の電解銅粉2重量%と平均粒径16μmで全量200メッシ
ュ以下の黒鉛粉1重量%とを配合した組成を基本に、オ
レイン酸とステアリン酸亜鉛の重量比を変えて110℃で
加熱した、共溶融物結合剤による黒鉛粉末の鉄系粉末へ
の付着状況、流動度および圧粉密度を調査した結果を示
す。なお比較のためオレイン酸を添加しないでステアリ
ン酸亜鉛のみを溶融した例(比較例1)と結合剤として
オレイン酸添加混合のみで加熱をしない例(比較列6、
7)も示した。
第1表から次のことがわかる。オレイン酸を添加せずス
テアリン酸亜鉛のみから成る溶融結合剤では、C固着度
が31%で偏析防止効果は不十分である。また、オレイン
酸を加熱することなく0.15重量%および0.30重量%添加
したものはC固着度が60%以下で偏析防止効果に乏し
く、0.3重量%添加はC固着度が向上するが混合物は流
れず、圧粉密度の低下も大きいため、粉末冶金用混合物
として不適である。これに対して本発明では、C固着度
に対してオレイン酸とステアリン酸亜鉛の相乗効果が認
められる。オレイン酸0.1〜0.3重量%,ステアリン酸亜
鉛0.5〜1.2重量%であり、オレイン酸とステアリン酸亜
鉛の共溶融物結合剤の比は0.1以上0.4以下で、かつ共溶
融物結合剤量は0.60重量%以上においてC固着度が65%
以上となり偏析防止効果は大きい。
共溶融物結合剤を構成するオレイン酸とステアリン酸亜
鉛との比が0.4を超えると、流動性が損なわれ好ましく
ない。また、共溶融物結合剤量が1.5重量%を超えると
圧粉密度が低下し好ましくない。
Cは焼結体の強度を上げる最も安価で代表的合金用元素
であるが、3.5重量%を超えると過剰のCが析出して好
ましくない。
本発明は合金粉末を鉄系粉末粒子表面に固着させて、偏
析と発塵を防止するものであり、発明者らの実験による
と、プレス成形までのハンドリングにおいて、合金用粉
末が偏析を生じないC固着度は65%以上で、それ以下で
は偏析防止の効果に乏しい。
また、粉末混合物のハンドリングにおいて特に、黒鉛粉
量が多い場合は、発塵による黒鉛粉のロスと作業者の健
康管理上の両面で問題である。この問題を回避すること
ができる粉末冶金用粉末混合物の発塵量は、混合物160g
を密閉容器の中で高さ50cmの位置から落下させ、その時
の発塵量をデジタル粉塵測定装置で測定した時の値が30
0CPM以下であり、300CPMを超えると発塵防止の効果に乏
しい。
次に、本発明に使用する混合機は、加熱混合ができる公
知の粉末混合物の製造に用いられるダブルコーン型混合
機やV型混合機、あるいはナウターミキサなどを使用す
ることができる。また、加熱源としては低温加熱である
ため、水蒸気で十分である。
各種粉末の混合順序は、通常は鉄系粉末に合金用粉末を
添加し、混合後、次にステアリン酸亜鉛の粉末を添加混
合する。さらにオイルを混合しながらスプレー噴霧を行
って、さらに混合する。このようにして均一の混合物を
得る。均一の混合物を得る前の工程において、加熱温度
は85℃以下に制限することが大事である。均一混合前に
85℃以上に加熱すると混合物全体が粘性を帯びてきて不
均一さが固定され、得られた最終混合物は偏析が生じた
ものとなる。
本発明による粉末混合物の製造方法において、加熱温度
と冷却温度は大きな意味を持つ。以下、その制限理由に
ついて説明する。
加熱温度は90℃〜150℃である。本発明によると合金用
粉末が鉄系粉末表面に付着する温度は、オレイン酸とス
テアリン酸亜鉛の共融点104℃以前から始まっており、
その効果が認められる温度は90℃である。一方、加熱温
度が150℃を越えるとステアリン酸亜鉛の蒸気が発生す
ることから現実的には150℃が上限である。
ただし、合金粉末の固着度と得られた混合物の特性およ
び製造コストのバランスから加熱温度は110〜130℃が好
ましい。なお、混合時間によるC固着度の差はなく、共
溶融物結合剤が生成し、かつ均質化するのに必要な時間
は十分から数十分である。
次に混合冷却は85℃以下とする。90℃以上に加熱された
粉末混合物は粘性を有しており、そのため、静止状態で
冷却すると、粉末は軽い凝固状態となる。そこで凝固を
防止するため混合過程において冷却する必要があり、凝
固しない温度は85℃であることから冷却温度の上限を85
℃とした。
オイルは植物油、鉱物油または脂肪酸など合金用粉末の
偏析防止にいずれも効果があり、米糠油、スピンドル
油、オレイン酸などを使用することができる。オイルの
添加量については、混合物の特性を劣化させない範囲
で、後工程の脱ろう時に容易に除去できる範囲内で、添
加すればよい。
またオイルの添加は粉末粒子への結合剤の均一分散とい
う観点から、スプレーによる添加が望ましい。
潤滑剤としては、ステアリン酸亜鉛などの金属石鹸粉末
などの一般の粉末冶金用潤滑剤を使用することができ
る。添加量は通常の粉末冶金用混合物と同程度添加すれ
ばよいが、混合物のC固着度、圧粉密度などの特性か
ら、オイルと潤滑剤との共溶融物結合剤として0.6〜1.5
重量%添加する。必要に応じて本発明の混合物製造後に
適宜調整添加してもよい。
合金用粉末として、黒鉛粉、フェロリン粉末、フェロシ
リコン粉末、Ni粉末、Cu粉末、を用いることができる。
合金用粉末とは異なるが、切削性改善用粉末として、タ
ルク、フォルステライト粉末などの一般に混粉法で合金
元素添加に用いられる粉末を使用することができる。合
金用粉末または切削性改善用粉末は、いずれも200メッ
シュ以下が90%以上であるのが適切であり、さらに好ま
しくは全量が44μm以下であるときに一層効果的であ
る。
これら合金粉末のうち、鉄系粉末との比重差が大きく、
偏析を起こし易く、しかも偏析を起こすことにより、焼
結体の特性に大きく影響する粉末としては、黒鉛粉、フ
ェロリン粉末およびフォルステライト粉末などを挙げる
ことができる。
黒鉛粉は、粉末冶金法による機械部品の製造において、
最も一般的で広く使われている不可欠の合金用粉末であ
る。しかも鉄系粉末にCとして予合金化すると固溶硬化
が大きく、圧縮性の低下を招くことから、黒鉛粉として
混粉法により添加される。しかし黒鉛粉は偏析を起こし
易く、焼結機械部品の寸法変化のばらつきを大きくし、
製品歩留を低下させる。
一方、粉末冶金法においてフェロリン粉末を用いる例は
液相発生による緻密化を目的として黒鉛粉と併用される
のが一般的である。焼結機械部品の製品安定性から均一
な液相発生が望ましく、この観点からフェロリン粉末の
偏析は回避されねばならない。
タルクやフォルステライトは焼結体の切削性を改善する
粉末であるが、鉄系粉末との比重差が大きいことから、
偏析を起こし易い粉末である。安定した切削性を維持す
る上でもタルクやフォルステライトの偏析は回避しなけ
ればならない。
これら3つの種類の粉末について、本発明による実験を
実施した結果、いずれにおいても偏析を防止することが
でき、本発明の効果が大きいことが実証された。
もちろんこれらの粉末以外の比較的偏析を起こし難い粉
末、例えばCu粉末、Ni粉、フェロシリン粉末または青銅
粉末など、その他多くの粉末を対象に本発明を適用した
場合でも、上記の効果が認められる。
〔実施例〕 以下、実施例に従って本発明を詳細に説明する。
実施例−1 平均粒径78μmの粉末冶金用アトマイズ鉄粉に平均粒径
16μmで全量が200メッシュ以下の天然黒鉛粉1重量%
とステアリン酸亜鉛を1重量%添加混合後、オレイン酸
を0.30重量%均一混合後、水蒸気で110℃で混合加熱
し、さらに混合しながら85℃以下に冷却して鉄系粒子表
面に黒鉛粉をオイルとステアリン酸亜鉛の共溶融物結合
剤によって固着した粉末混合物を製造した(実施例
7)。
混合物についてC固着度および粉末の流動性の両方を検
討した。なお、比較例としてオイルを添加しない通常混
粉法も実施した(比較例8)。結果を第2表に示した。
この結果から鉄系粉末と合金用粉末との結合効果を示す
C固着度は、オイルとステアリン酸亜鉛との共溶融物結
合剤も、通常混粉法に比較して著しい向上を示してお
り、黒鉛粉の偏析防止の効果は大きい。この結果から、
C固着度と流動性の両方を満足する結合剤としてオレイ
ン酸とステアリン酸亜鉛の共溶融物結合剤が好ましいこ
とが判明した。
実施例−2 平均粒径78μmの粉末冶金用アトマイズ鉄粉に平均粒径
16μmの天然黒鉛粉を1重量%添加混合し、さらにステ
アリン酸亜鉛を1重量%添加混合後、オレイン酸を0.25
重量%スプレー噴霧し、十分均一混合後、各々80℃、90
℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃でそれ
ぞれ15分および30分間混合しながら、加熱した後、85℃
まで混合しながら冷却して、オレイン酸とステアリン酸
亜鉛の共溶融物結合剤で黒鉛粉を鉄粉粒子表面に固着さ
せた粉末混合物を製造した。混合物は鉄粉末と合金用粉
末とのC固着度および粉末の流動性の両方に関して分析
した。結果を第8図に示した。
この結果から鉄系粉末と合金化用粉末との結合効果が認
められる温度は90℃以上であるが、流動性および製造コ
ストをも十分を満足する加熱温度は110〜130℃が好まし
い。加熱時間は、加熱混合時に鉄系粉末と合金化用粉末
が十分均一混合できる時間でよい。通常は十数分から数
十分でよく、不必要に長くする必要はない。
実施例−3 市販されている工業用オレイン酸は、牛脂、オリーブ
油、米糠油または動植物脂肪酸を原料として製造してい
るため、必ず不純物が混入している。
そこでオレイン酸の純度とC固着度および流動性におよ
ぼす影響を調べた。
平均粒径78μmの粉末冶金用アトマイズ鉄粉に平均粒径
16μmの天然黒鉛粉を1重量%添加混合し、さらにステ
アリン酸亜鉛を1重量%添加混合後、純度の異なる3種
のオレイン酸をそれぞれ0.25重量%スプレー噴霧し、十
分均一混合し、混合しながら110℃に加熱混合した後、8
5℃まで混合しながら冷却して、純度の異なるオレイン
酸とステアリン酸亜鉛の共溶融物結合剤により黒鉛粉を
鉄粉粒子表面に固着させた粉末混合物を製造した。混合
物は鉄系粉末と合金用粉末とのC固着度および粉末の流
動性の両方に関して分析した(第3表参照)。
この結果、いずれの純度のオレイン酸でも鉄系粉末と黒
鉛粉末との結合効果は十分で、かつ流動性も十分満足す
ることから、工業的にはコスト面で安価な低純度のオレ
イン酸で十分である。
実施例−4 平均粒径78μmの粉末冶金用アトマイズ鉄粉に、平均粒
径28μmで200メッシュ以下が93%の電解銅粉2重量%
と、平均粒径16μmで全量が200メッシュ以下の天然黒
鉛粉1重量%を混合し、オレイン酸とステアリン酸亜鉛
の重量比を変えた共溶融物結合剤によりC固着度43%
(比較例9)、68%(実施例11)および87%(実施例1
0)の粉末混合物を作成した。また比較のため同一組成
の通常混合粉(C固着度22%)(比較例10)を用意し
た。混合物は粉体特性と成形圧力5t/cm2による圧粉体を
調査した。調査結果を第4表に示した。
また、鉄系粉末と合金用粉末との結合状態および偏析度
を調査するために落差80cmの2段ホッパから落下させ、
一定間隙でサンプリングした混合物を、成形圧力5t/cm
で、厚さ10mm、幅10mm、長さ55mmの試験片に成形し、
1130℃、20分RXガス中で焼結した後、C分析と寸法変化
を測定した。測定結果のばらつき状況を第9図に示し、
その標準偏差を第10図に示す。
また発塵状態を定量的に測定するために、サンプル160g
を密閉容器内で50cmの位置から落下させて、デジタル粉
塵測定装置で測定した。(第11図参照)。
第9図において比較例10(通常混粉、C固着度22%)は
ホッパからの切出し後期で黒鉛粉が濃化し、焼結体のC
量が高くなると同時に寸法変化のばらつきも大きくな
る。比較例9(C固着度43%)でばらつきは小さくなる
が、まだ最終切出し時の黒鉛粉増加が認められ、C量も
増加傾向にある。
実施例10(C固着度87%)と実施例11(C固着度68%)
では、この傾向が完全に消え、粋寸法変化も極めて安定
している。
第10図に示すように、比較例9および10に比較して実施
例10、11の標準偏差は極めて低い値を示し、黒鉛粉の偏
析防止が部品の寸法精度の向上につながることが実証さ
れている。
第11図の発塵テストにおいても実施例10、11は発塵が殆
どなかったのに対し、比較例9および10とも発塵量が21
0秒経過後、1000カウントを超え、本発明法は労働環境
の改善にも極めて有効であることが分った。
また第4表に見られるように、実施例10、11は比較例10
に比較して見掛密度が0.15g/cm以上高くなり、かつ流
動度が飛躍的に向上する。しかも従来の通常混粉に比較
して、圧粉体特性を損なわない。
実施例−5 平均粒径78〜86μmの粉末冶金用アトマイズ鉄粉に平均
粒径28μmで200メッシュ以下が93%の電解銅粉2重量
%と、平均粒径16μmで全量が200メッシュ以下の天然
黒鉛粉1重量%、ステアリン酸亜鉛1重量%を混合した
粉末混合物(比較例11、12、13)および同一原料にオレ
イン酸0.19重量%を加え、110℃に加熱混合、冷却した
本発明の粉末混合物(実施例12、13、14)の流動度、C
固着度、見掛密度を第5表に示す。
本発明の粉末混合物の流動度は単なる粉末混合物の流動
度に比べて5秒/50g以上小となり、流動性が改善され
る。
実施例−6 平均粒径78μmの粉末冶金用アトマイズ鉄粉粒子表面
に、各々、平均粒径16μmの天然黒鉛粉を1重量%と44
μm以下のタルク粉末0.75重量%をステアリン酸亜鉛1
重量%とオレイン酸0.19重量%の共溶融物結合体で固着
させた粉末混合物(実施例15)および平均粒径16μm以
下の天然黒鉛粉2.5重量%とP含有量が20重量%で44μ
m以下のフェロリン粉末を1.5重量%をステアリン酸亜
鉛1重量%とオレイン酸0.19重量%の共溶融物結合体で
固着させた粉末混合物(実施例16)を製造した。
なお、比較のためそれぞれ実施例15、16同一組成で通常
混粉法による粉末混合物(比較例14、15)も製造した。
これらの混合物はタルクを添加した混合物はSiを、フェ
ロリン粉末を添加した混合物はPを、C固着度と同様の
方法で分析して各タルク固着度およびP固着度とした。
また、2段ホッパ切出しテストにより一定時間毎にサン
プルを採取して分析し、タルクとフェロリン粉末の偏析
度も調査した。
第6表および第12図、第13図から明らかなように、本発
明の実施例15、16ではタルクおよびフェロリンとも、通
常混粉法によって製造された混合粉末(比較例14、15)
に比較してタルク固着度またはP固着度が格段に高く、
かつ偏析度テストにおいても、標準偏差が通常混粉法に
よる粉末混合物の標準偏差の半分以下であった。
本発明は鉄系粉末と比重差の大きい合金用粉末、あるい
は偏析によって焼結体特性に大きく影響する添加粉末に
ついても結合効果が大きく、偏析を防止し、流動性を改
善することが証明された。
本発明の共溶融結合剤を構成するオレイン酸は焼結時の
脱ろう過程において完全に分解、揮散し、焼結中に何ら
問題が生じることがない。
〔発明の効果〕 本発明はによれば鉄系粉末と合金用粉末、切削性改善用
粉末とが効果的に付着した偏析のない流動性に優れた粉
末冶金用鉄基粉末混合物が得られる。
本発明法による粉末冶金用鉄基粉末混合物は、合金用粉
末の偏析をなくすることにより、焼結機械部品の不良品
の発生を大きく低減できるばかりか、流動性に優れてい
ることから、成形速度を速くすることが可能であり、こ
のことは生産性の向上にもつながる。
さらに本発明の粉末冶金用鉄基粉末混合物とその製造方
法は発塵防止に顕著な効果があり、環境衛生の改善に大
きく寄与する。
【図面の簡単な説明】
第1図は各種条件で混合粉を製造したときの合金用粉末
の鉄粉への付着状況を示す工程図、第2図(a)は本発
明の鉄粉末粒子表面へ合金用粉末の固着した混合物のEP
MA分析結果を示す写真、第2図(b)はその模写図、第
3図は第2図の二次電子像写真、第4図(a)は従来の
混合物の電子顕微鏡写真、第4図(b)はその模写図、
第5図、第6図は合金用粉末の付着の模式図、第7図は
粉塵カウント数のグラフ、第8図は加熱温度とC固着度
および流動度のグラフ、第9図は実施例および比較例の
寸法変化とC量のグラフ、第10図はC固着度と標準偏差
との関係図、第11図は粉塵カウント数のグラフ、第12図
は実施例の切出量とPの関係を示すグラフ、第13図は実
施例の切出量とSiとの関係を示すグラフである。 1……鉄系粉末、2……銅粉末 3……黒鉛粉、4……共溶融物結合剤 5……ステアリン酸亜鉛粉末 6……オレイン酸の薄膜

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】オイル0.1〜0.3重量%、金属石鹸0.5〜1.2
    重量%かつオイルと金属石鹸との合計量0.6重量%以上
    かつ金属石鹸重量に対するオイル重量の比が0.1〜0.4で
    ある共溶融物からなる結合剤によって固着した、鉄系粉
    末と合金用粉末との混合物であって、該混合物中の各合
    金用粉末全量に対する、該混合物中の100〜200メッシュ
    の中に存在する各合金用粉末量の比(各合金用粉末の固
    着度)の少なくとも1つが65%以上であることを特徴と
    する粉末冶金用鉄基粉末混合物。
  2. 【請求項2】前記合金用粉末に切削性改善用粉末を含む
    ことを特徴とする請求項1の粉末冶金用鉄基粉末混合
    物。
  3. 【請求項3】前記オイルがオレイン酸、前記金属石鹸が
    ステアリン酸亜鉛であることを特徴とする請求項1また
    は2記載の粉末冶金用鉄基粉末混合物。
  4. 【請求項4】前記粉末冶金用鉄基粉末混合物の、JIS Z
    2502−1979による流動度が前記粉末冶金用鉄基粉末混合
    物のオイル無添加で加熱溶融前の単なる混合物の流動度
    に比べて5秒/50g以上小さいことを特徴とする請求項1
    〜3のいずれかに記載の粉末冶金用鉄基粉末混合物。
  5. 【請求項5】前記粉末冶金用鉄基粉末混合物の積算発塵
    量が測定時間240秒以内で300カウント数以下であること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の粉末冶金
    用鉄基粉末混合物。
  6. 【請求項6】前記粉末冶金用鉄基粉末混合物の、5t/cm
    成形時での圧粉体の密度が前記粉末冶金用鉄基粉末混
    合物のオイル無添加で加熱溶融前の単なる混合物の密度
    に比べて0.04g/cmを超える低下がないことを特徴とす
    る請求項1〜5のいずれかに記載の粉末冶金用鉄基粉末
    混合物。
  7. 【請求項7】鉄系粉末に合金用粉末及び/又は切削性改
    善用粉末を混合し、次にオイル0.1〜0.3重量%、金属石
    鹸0.5〜1.2重量%かつオイルと金属石鹸との合計0.6重
    量%以上、金属石鹸重量に対するオイル重量の比が0.1
    〜0.4にして、それらを混合しながら、または混合した
    該混合物を90〜150℃まで加熱し、オイルと金属石鹸と
    の共溶融物結合剤により鉄系粉末粒子表面に合金用粉末
    及び/又は切削性改善用粉末を固着することを特徴とす
    る粉末冶金用鉄基粉末混合物の製造方法。
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