JPH10298774A - 歪取り焼鈍後の特性が優れた電磁鋼板用絶縁皮膜の形成方法 - Google Patents

歪取り焼鈍後の特性が優れた電磁鋼板用絶縁皮膜の形成方法

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JPH10298774A
JPH10298774A JP11645697A JP11645697A JPH10298774A JP H10298774 A JPH10298774 A JP H10298774A JP 11645697 A JP11645697 A JP 11645697A JP 11645697 A JP11645697 A JP 11645697A JP H10298774 A JPH10298774 A JP H10298774A
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JP11645697A
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Yoshihiko Yasue
良彦 安江
Masaru Sagiyama
勝 鷺山
Keigo Yoshikawa
圭吾 吉川
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 処理液が長期間安定した品質を保つことがで
き、且つ打抜き性、歪取り焼鈍後の耐食性、滑り性、層
間絶縁性等にも優れた絶縁皮膜を得ること 【解決手段】 特定の主成分からなる無機系水溶液に、
特定割合の有機還元剤と、平均粒子径0.01〜2μmの無機
コロイドと有機樹脂とを結合させた平均粒子径0.05〜3
μmの無機有機複合樹脂エマルジョンであって、無機系
水溶液のCrO3換算量100重量部に対して無機コロイド成
分の割合が5〜50重量部、有機樹脂成分の割合が3重量部
以上である無機有機複合樹脂エマルジョン(A)と、エポ
キシ基が残存していない平均粒子径0.3μm未満のエポキ
シアクリレート共重合樹脂ミクロゲルディスパージョン
(B)とを添加し、前記(A)中の有機樹脂成分と前記(B)の
合計の割合が、無機系水溶液のCrO3換算量100重量部に
対して5〜100重量部に調整された処理液を電磁鋼板の表
面に塗布し、次いで焼き付けることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は歪取り焼鈍後の特性
が優れた電磁鋼板用絶縁皮膜の形成方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】電磁鋼板は、モーターやトランス等の鉄
芯材料として広く使用されており、通常、その表面には
渦電流損失を低減する目的から絶縁皮膜がコーティング
される。鉄芯の多くは、電磁鋼板をまず所望の形状に打
ち抜き後、積層して、その積層体端面をTIG溶接する
ことによって組み立てられる。したがって、絶縁皮膜の
品質としては層間絶縁抵抗値が高いことに加え、打抜性
と溶接性に優れていることが要求される。また、鉄芯加
工時の作業性の点から絶縁皮膜の良好な密着性と加工性
が要求され、さらに積層工程等でのすりキズ防止を考慮
する必要もある。また、鉄芯加工時の歪取りのために7
00〜800℃程度で焼鈍(歪取り焼鈍)される場合に
は、焼鈍時に鋼板同士が密着(スティッキング)を起こ
さず、かつ焼鈍後の保存期間に発錆しないことが要求さ
れる。また最近では、冷蔵庫等に使用される場合にはフ
ロン等の冷媒や絶縁油等の油類に対する耐久性が要求さ
れる。
【0003】上記のような絶縁皮膜に要求される諸特性
を得るために、従来から次のような改善がなされてき
た。まず、打抜性に関しては、絶縁皮膜中に有機樹脂を
添加することによって表面に潤滑性を付与すると、連続
打ち抜き作業時のバリ発生による金型取り替え頻度が大
幅に減少することが明らかにされ、クロム酸系やリン酸
系化合物を主成分とする無機系水溶液と有機樹脂エマル
ジョンの混合溶液を塗布し、焼き付けた絶縁皮膜が、い
わゆる無機有機系(クロム酸塩−有機樹脂エマルジョ
ン)の絶縁皮膜として広く実用化されている。
【0004】上記無機有機系皮膜の歪取り焼鈍後の特性
に関して、特開平5−263262号公報では有機樹脂
エマルジョンにエポキシ樹脂を用いると、他の樹脂を用
いた場合に較べて歪取り焼鈍後も多くの樹脂成分が消失
(熱分解→ガス化)せずに残存するため、歪取り焼鈍後
も皮膜特性が良好で、特に密着性と滑り性に優れること
が報告されている。しかし、一般的なエポキシ樹脂は反
応性が高く、クロム酸塩−有機樹脂エマルジョン複合溶
液(水系)中でクロム酸成分との反応が進むため短時間
で凝集が起こり、このためポットライフが短く、実用性
に乏しい。また、耐熱性の高いエポキシ樹脂といえども
700〜800℃の熱処理によって劣化するため、歪取
り焼鈍後の耐食性も十分なものとは言えない。
【0005】一方、特開平5−65663号公報では、
無機有機系皮膜に粒子径が0.1〜0.3μmのSiO
2、Al23、TiO2、ZrO2等の無機コロイド粒子
を添加することにより、歪取り焼鈍時の耐焼き付き性や
歪取り焼鈍後の潤滑性(滑り性)、絶縁性等の特性が向
上することが開示されている。同公報では、この無機コ
ロイド添加による特性改善効果について次のように説明
されている。すなわち、耐熱性に優れた無機コロイド粒
子を添加すると、無機−有機のベース皮膜組成の中に均
一に分散したコロイド粒子によって、球面状の微細な突
起が焼き付け後の皮膜表面と皮膜中に形成される。この
結果、溶接時には皮膜成分による発生ガスの通気性が良
好になることで溶接性が向上する。また、歪取り焼鈍時
には、無機コロイドによる微細な突起物によって鋼板ど
うしの接触面が小さくなるため、有機樹脂の消失や変質
による鋼板面の焼き付きが防止され、さらに歪取り焼鈍
後の皮膜表面においても微細な突起がそのままの形状で
残留し、表面の形状効果によって皮膜の潤滑性(滑り
性)や絶縁性が改善される。さらに、無機コロイドが鋼
板表面を被覆するため、その保護効果によって歪取り焼
鈍後の耐食性も改善される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
無機有機系皮膜に添加される無機コロイド粒子は、クロ
ム酸塩−有機樹脂エマルジョン複合溶液(水系)中で比
重差によって沈降しやすく、また化学的にも不安定であ
り、クロム酸成分や樹脂エマルジョンと反応して沈降、
凝集するため、処理液中ではほとんど混和不能である
か、或いは仮に混和可能であってもポットライフが短い
ため実際の製造に使用することは難しい。また、仮に使
用しても長時間コーティングは困難であり、このため安
定した品質の皮膜を形成することができない。
【0007】さらに、無機コロイド粒子は乾燥皮膜中で
凝集して大粒子化し易く、このように凝集して粗大化し
た無機コロイド粒子は打抜き時に金型磨耗を引き起こ
し、有機樹脂による潤滑効果を打ち消してしまうため、
打抜き性も劣ったものとなる。したがって本発明の目的
は、このような従来技術の問題を解決し、絶縁皮膜形成
用の処理液が長期間安定した品質を保つことができると
ともに、打抜き性に優れ、しかも歪取り焼鈍後の耐食
性、滑り性および層間絶縁性等の諸特性にも優れた絶縁
皮膜を得ることができる電磁鋼板用有機系絶縁皮膜の形
成方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来技術
の課題であった処理液の貯蔵安定性および打抜き性を改
善するとともに、絶縁皮膜の歪取り焼鈍後の特性を従来
技術にも増まして向上させるため、無機コロイド粒子と
有機樹脂とを複合化した無機有機系複合エマルジョンに
着目して検討を進め、上記課題を解決し得る以下のよう
な電磁鋼板用絶縁皮膜の形成方法を開発することに成功
した。
【0009】すなわち、本発明が特徴とする電磁鋼板用
絶縁皮膜の形成方法は、無水クロム酸および重クロム酸
塩の中から選ばれる少なくとも1種と、2価または3価
の金属の酸化物、水酸化物および炭酸塩の中から選ばれ
る少なくとも1種を主成分として含む無機系水溶液に、
該水溶液のCrO3換算量100重量部に対して10〜
50重量部の有機還元剤と、平均粒子径0.01〜2μ
mの無機コロイドと有機樹脂とを結合させた平均粒子径
0.05〜3μmの無機有機複合樹脂エマルジョンであ
って、無機コロイド成分の割合が無機系水溶液のCrO
3換算量100重量部に対して5〜50重量部(固形分
換算)、有機樹脂成分の割合が無機系水溶液のCrO3
換算量100重量部に対して3重量部以上(固形分換
算)である無機有機複合樹脂エマルジョンと、エポキシ
基が残存していない平均粒子径0.3μm未満のエポキ
シアクリレート共重合樹脂ミクロゲルディスパージョン
とを添加し、無機有機複合樹脂エマルジョン中の有機樹
脂成分とエポキシアクリレート共重合樹脂ミクロゲルデ
ィスパージョンの合計の割合が、無機系水溶液のCrO
3換算量100重量部に対して5〜100重量部(固形
分換算)に調整された処理液を電磁鋼板の表面に塗布
し、次いで焼き付けることを特徴とする、歪取り焼鈍後
の特性が優れた電磁鋼板用絶縁皮膜の形成方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細と限定理由に
ついて具体的に説明する。本発明において使用する処理
液のベースとなる無機系水溶液は、無水クロム酸および
重クロム酸塩の中から選ばれる少なくとも1種と、2価
または3価の金属の酸化物、水酸化物および炭酸塩の中
から選ばれる少なくとも1種を主成分として含むもの
で、従来の無機有機系皮膜形成用の処理液のベースとし
て用いられている無機系水溶液を基本とするものであ
る。上記無機系水溶液には、有機還元剤と、無機有機複
合樹脂エマルジョンおよびエポキシ基が残存していない
エポキシアクリレート共重合樹脂ミクロゲルディスパー
ジョンをそれぞれ添加して混合する。
【0011】上記無機有機複合樹脂エマルジョンとは、
SiO2等の無機コロイド粒子と有機樹脂とを反応さ
せ、これらを化学的に結合させた複合エマルジョンであ
り、このような無機有機複合樹脂エマルジョンとしては
次のような2つのタイプが考えられる。すなわち、有機
樹脂エマルジョン粒子の表面に無機コロイド粒子を結合
させたタイプと、逆に無機コロイド粒子を核としてその
表面に有機樹脂モノマーを結合させ、無機コロイド粒子
を有機樹脂で完全に包むような形にしたタイプである。
このうち前者のタイプについては、例えば特開昭59−
71316号公報や特開平6−199917号公報に示
され、また後者のタイプとしては、例えば長井らの報告
(長井勝利“高分子学会予稿集,41,No.2”20
4(1992))に示されているが、本発明ではこれら
いずれのタイプのものも使用することができる。
【0012】このような無機有機複合樹脂エマルジョン
を合成する方法としては、上記の前者のタイプについて
は、例えば、シランカップリング剤で処理したコロイダ
ルシリカ共存下でアクリルモノマーをエマルジョン重合
し、アクリルエマルジョン表面にコロイダルシリカをグ
ラフト重合する方法(例えば、特開昭59−71316
号)等が挙げられる。また、上記の後者のタイプについ
ては、例えば、無定型シリカ微粒子をコアとしてカチオ
ン性界面活性剤を吸着させ、ミニエマルジョン重合的に
アクリルモノマーをエマルジョン重合させる方法(例え
ば、長井勝利“高分子学会予稿集,41,No.2”2
04(1992))等が挙げられる。
【0013】無機有機複合樹脂エマルジョンの核(コ
ア)或いはシェルとなる無機コロイド粒子としては、S
iO2、Al23、TiO2、ZrO2の中から選ばれる
1種以上を用いることができる。また、無機有機複合樹
脂エマルジョンの有機樹脂成分としては、アクリル樹
脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル樹
脂、フッ素樹脂等、一般に工業的に用いられている任意
の樹脂を用いることができる。従来技術のように無機コ
ロイド粒子を単にクロム酸塩水溶液のような無機系水溶
液に添加した場合、処理液は短時間でゲル化するが、本
発明のように無機コロイド粒子を無機有機複合樹脂エマ
ルジョンの形で添加した場合には、安定性の高い無機有
機複合処理液を得ることができる。
【0014】前記エポキシアクリレート共重合樹脂ミク
ロゲルディスパージョンは、樹脂中にエポキシ基が残存
していないミクロゲルディスパージョンである。従来一
般に使用されているエポキシエマルジョンは、エポキシ
樹脂を乳化剤の存在下で乳化して製造されるためエポキ
シ基が存在しており、このため上述したようなクロム酸
を含む無機系水溶液に配合した場合、クロム酸成分と反
応して凝集し、沈殿や処理液のゲル化を引き起こしてい
た。これに対して本発明で用いられるエポキシアクリレ
ート共重合樹脂ミクロゲルディスパージョンはエポキシ
基を完全に架橋させているためエポキシ基が残存してお
らず、クロム酸を含む無機系水溶液に配合しても安定で
ある。すなわち、このエポキシアクリレート共重合樹脂
ミクロゲルディスパージョンは、エポキシ基を完全に架
橋させているため樹脂中にエポキシ基が残存しておら
ず、デスパージョン粒子内で3次元架橋しているミクロ
ゲルディスパージョンであるという特徴を有するもの
で、以下に示すように一般的なエマルジョンとは異なる
製造法によって製造される。
【0015】すなわち、この製造法ではまず、アクリル
酸およびメタクリル酸の中から選ばれる少なくとも1種
のモノマーと、スチレン、アクリル酸エステルおよびメ
タクリル酸エステル等のモノマーの中から選ばれる少な
くとも1種のモノマーとをアルコール性媒体中で共重合
させてCOOH基含有ポリマーを得る。次いで、芳香族
エポキシ樹脂を仕込み、エポキシの一部とCOOH基を
エステル化反応させて非ゲル状の樹脂反応物を得る。次
いで、過剰のCOOH基の一部を塩基性化合物で中和さ
せ、水中に微分散させる。この微分散液中に含まれる樹
脂分散体に残存するエポキシ基とCOOH基とを分散液
中で反応させて、樹脂分散体をミクロゲル化する。次い
で、アルコール性媒体を減圧脱溶媒することにより、エ
ポキシ基を含まないエポキシアクリレート共重合樹脂ミ
クロゲルディスパージョンを得る。このようにして得ら
れたエポキシアクリレート共重合樹脂ミクロゲルディス
パージョンは、エポキシ基が残存していないため、上記
のクロム酸を含む無機系水溶液に配合した時に良好な塗
料安定性を示す。
【0016】本発明で用いるエポキシアクリレート共重
合樹脂ミクロゲルディスパージョンとしては、例えば、
ビスフェノールA(またはF)およびエピクロルヒドリ
ンから得られるエポキシ樹脂と、アクリル酸およびメタ
クリル酸の中から選ばれる少なくとも1種(以下、これ
を(メタ)アクリル酸という)とアクリル酸エステルお
よびメタクリル酸エステルの中から選ばれる少なくとも
1種(以下、これを(メタ)アクリル酸エステルとい
う)を共重合させて得られたポリマーとを反応させ、得
られるものが特に好しい。また、エポキシ樹脂と反応さ
せる上記ポリマーとしては、(メタ)アクリル酸エステ
ルおよび(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の共重合
性モノマー、例えば、スチレン、酢酸ビニル等を(メ
タ)アクリル酸エステルおよび(メタ)アクリル酸と共
重合させたものでもよい。
【0017】エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸エステ
ル及び(メタ)アクリル酸(さらに、必要に応じて他の
モノマー)を共重合させて得られたポリマーとを反応さ
せ、目的とするエポキシアクリレート共重合樹脂ミクロ
ゲルディスパージョンを得る際に、その樹脂粒子を完全
に三次元架橋(ゲル化)させるためには、エポキシ樹脂
中のエポキシ基と上記ポリマー中のカルボキシル基の
[エポキシ基]/[カルボキシル基]の当量比を0.1
0以上とする必要があり、一方、エポキシ基を全て反応
させ、反応後にエポキシ基を残存さないためには[エポ
キシ基]/[カルボキシル基]の当量比を1.0未満に
する必要がある。
【0018】上述したように、無機有機複合樹脂エマル
ジョンとエポキシアクリレート共重合樹脂ミクロゲルデ
ィスパージョンはともに処理液中での沈殿やゲル化を生
じにくく、したがって、このような成分を配合した安定
性の高い処理液を使用すれば、ロールコーター等による
塗装設備において処理液を長時間安定して塗布すること
が可能となる。また、上記のような無機有機複合樹脂エ
マルジョンとエポキシアクリレート共重合樹脂ミクロゲ
ルディスパージョンを用いることにより絶縁皮膜の品質
面では次のような作用効果が得られる。
【0019】すなわち、エポキシアクリレート共重合樹
脂ミクロゲルディスパージョンと無機有機複合樹脂エマ
ルジョン中の有機樹脂成分は、打抜き加工時に潤滑剤の
役割を担い、打抜き金型の磨耗を防ぐことにより優れた
打抜き性が得られる。一方、エポキシアクリレート共重
合樹脂ミクロゲルディスパージョンは耐熱性に優れてい
るため歪取り焼鈍後の残炭率が高く、また無機有機複合
樹脂エマルジョン中の無機コロイド粒子も耐熱性が高
く、歪取り焼鈍後にも分解されずに残存するため、これ
らが歪取り焼鈍後の滑り性と耐食性を向上させる。さら
に、歪取り焼鈍後に無機有機複合樹脂エマルジョン中の
無機コロイド粒子が皮膜表面に適度な大きさの突起を形
成し、積層される鋼板間の接触が点接触となるために層
間絶縁性が向上し、渦電流損を低減させる効果を生む。
【0020】このような品質面での効果は、無機コロイ
ド粒子を無機有機複合樹脂エマルジョンの形で添加する
ことによってはじめて得られるものであり、無機コロイ
ド粒子と有機樹脂エマルジョンを単に無機系水溶液に添
加しただけでは得られない。すなわち、無機系水溶液に
無機コロイド粒子と有機樹脂エマルジョンを単純に添加
しただけの処理液は、塗料安定性が著しく工業的な利用
が難しいことは既に述べた通りであるが、得られる乾燥
皮膜の品質も皮膜中で無機コロイド粒子が凝集してしま
うため、打抜き性が劣ったものとなる。
【0021】無機有機複合樹脂エマルジョン中の無機コ
ロイド粒子の平均粒子径は0.01μm〜2μmとす
る。無機コロイド粒子の平均粒子径が0.01μm未満
では、コロイド粒子によって歪取り焼鈍後の皮膜表面に
微細な突起を形成する効果が十分に得られないため層間
絶縁性が劣る。一方、無機コロイド粒子の平均粒子径が
2μmを超えると表面粗さは大きくなるが、打抜き性や
占積率が低下する。また、皮膜厚が不均一になるため耐
食性も劣化する。また、無機有機複合樹脂エマルジョン
の平均粒子径は0.05μm〜3μmとする。無機有機
複合樹脂エマルジョンの平均粒子径が0.05μm未満
では、皮膜表面に微細な突起を形成する効果が十分に得
られないため層間絶縁性が劣る。一方、無機有機複合樹
脂エマルジョンの平均粒子径が3μmを超えると表面粗
さが大きくなるため溶接性は向上するが、占積率が低下
する。また、皮膜厚が不均一になるため耐食性も劣化す
る。
【0022】無機有機複合樹脂エマルジョン中の無機コ
ロイド成分の割合は、無機系水溶液のCrO3換算量1
00重量部に対して5〜50重量部(固形分換算)とす
る。無機コロイド成分の割合が5重量部未満では上述し
た無機コロイド粒子による作用を十分に得ることができ
ず、歪取り焼鈍後の諸特性が劣る。一方、無機コロイド
成分の割合が50重量部を超えると打抜き性の劣化を招
くとともに、歪取り焼鈍時に鋼板との熱膨張差によって
皮膜の亀裂発生が著しくなるため耐食性も劣化する。ま
た、無機有機複合樹脂エマルジョン中の有機樹脂成分の
割合は、無機系水溶液のCrO3換算量100重量部に
対して3重量部以上(固形分換算)とする。この有機樹
脂成分の割合が3重量部未満では十分な打抜き性が得ら
れない。
【0023】さらに、処理液中の有機樹脂成分の割合、
すなわち、無機有機複合樹脂エマルジョン中の有機樹脂
成分とエポキシアクリレート共重合樹脂ミクロゲルディ
スパージョンの合計の割合は、無機系水溶液のCrO3
換算量100重量部に対して5〜100重量部(固形分
換算)とする。この有機樹脂成分の割合が5重量部未満
では十分な打抜性が得られず、また歪取り焼鈍時に有機
樹脂成分による熱応力緩和効果が十分に得られないた
め、歪取り焼鈍後の皮膜密着性、耐食性が劣る。一方、
無機有機複合樹脂エマルジョン中の有機樹脂成分とエポ
キシアクリレート共重合樹脂ミクロゲルディスパージョ
ンの合計の割合が100重量部を超えると耐熱性が著し
く劣化し、歪取り焼鈍後の諸特性が著しく劣化する。ま
た、エポキシアクリレート共重合樹脂ミクロディスパー
ジョンの添加による効果を確実に得るには、エポキシア
クリレート共重合樹脂ミクロディスパージョンの割合を
無機系水溶液のCrO3換算量100重量部に対して2
重量部以上(固形分換算)とすることが好ましい。
【0024】また、エポキシアクリレート共重合樹脂ミ
クロゲルディスパージョンの平均粒子径が0.3μm以
上になると、処理液の貯蔵時に短時間のうちに有機樹脂
の沈降を生じるため十分なポットライフが得られず、処
理液の循環系(循環ポンプ、配管等)において目詰まり
等のトラブルを起し易い。また、これによって樹脂の凝
集等が生じて均一な皮膜が得にくくなるため、皮膜品質
も劣化する。したがって、エポキシアクリレート共重合
樹脂ミクロゲルディスパージョンの平均粒子径は0.3
μm未満とする必要がある。
【0025】前記有機還元剤は無機水溶液中に含まれる
クロムを還元して皮膜を不溶化するために添加されるも
ので、この有機還元剤としては、例えばポリエチレング
リコール、エチレングリコール、ショ糖等の多価アルコ
ールを用いることができる。この有機還元剤の配合量
は、無機系水溶液のCrO3換算量100重量部に対し
て10〜50重量部とする。この配合量が10重量部未
満では未還元のクロムが残存するために皮膜の耐水性が
劣り、一方、50重量部を超えると処理液中で還元反応
が過剰に進行し、処理液がゲル化してしまう。
【0026】処理液中には上記の添加剤の他に、皮膜の
耐食性や耐熱性を向上させるためにホウ酸を添加するこ
ともできる。また、歪取り焼鈍後の層間絶縁性をさらに
向上させるために、マグネシウム、アルミニウム、カル
シウム等のリン酸塩を添加することもできる。以上のよ
うに各成分を配合して混合した処理液をロールコーター
で電磁鋼板の表面に塗布し、乾燥炉で焼き付けることに
よって、目的とする絶縁皮膜を形成することができる。
なお、絶縁皮膜の乾燥膜厚は用途に応じて最適な膜厚を
選択すればよいが、一般には0.1〜5μm程度が好ま
しい。皮膜厚が0.1μm未満では皮膜により鋼板面を
均一に被覆することが難しく、絶縁皮膜としての十分な
性能が得られないおそれがある。一方、皮膜厚が5μm
を超えると皮膜密着性が劣化し、特に歪取り焼鈍後の皮
膜剥離が著しいため好ましくない。
【0027】以上のようにして得られた電磁鋼板の無機
有機系絶縁皮膜は、優れた打抜き性が得られるととも
に、鋼板を積層した際に高い占積率が得られ、しかも歪
取り焼鈍後の耐食性、滑り性および絶縁性に優れてお
り、さらに電磁鋼板用絶縁皮膜に必要な他の特性、例え
ば層間絶縁性、皮膜密着性、耐食性、耐疵付き性等につ
いても優れた性能を有している。また、積層溶接時やア
ルミダイキャスト時の不快臭の発生も少ない。本発明に
使用される下地鋼板は、けい素鋼板等、電磁材料として
通常用いられているものであればその種類は問わない。
【0028】
【実施例】
[実施例1]板厚0.5mmの電磁鋼板コイル(Ra
0.2μmのブライト仕上げ)の表面に、表1に示すよ
うな有機樹脂コアタイプの無機有機複合樹脂エマルジョ
ン(無機コロイドの平均粒子径:0.05μm,無機有
機複合樹脂エマルジョンの平均粒子径:1.0μm)と
エポキシアクリレート共重合樹脂ミクロゲルディスパー
ジョン(平均粒子径:0.14μm)を無機水溶液に混
合した処理液(但し、No.11は無機コロイドおよび
有機樹脂エマルジョンと無機水溶液を混合した処理液、
No.12〜No.14は有機樹脂エマルジョンと無機
水溶液を混合した処理液)をロールコーターで連続的に
塗布した後、乾燥炉(500℃)で焼き付け、約0.8
μm厚の絶縁皮膜を形成した。使用した処理液及び作製
された供試材について後述する特性評価を行った結果
を、処理液の成分組成等とともに表1及び表2に示す。
なお、本実施例で使用したエポキシアクリレート共重合
樹脂ミクロゲルディスパージョンは、後述する合成法か
ら判るようにエポキシ基が重合反応によって完全に消費
されるため、その樹脂はエポキシ基を全く含んでいな
い。
【0029】表1および表2によれば、本発明例である
No.1〜No.5は歪取り焼鈍後の特性を含めたいず
れの特性にも優れている。これに対して、比較例である
No.6は無機有機複合樹脂エマルジョン中の無機コロ
イドの割合が少ないため歪取り焼鈍後の諸特性が不十分
であり、一方、No.7、No.8は無機有機複合樹脂
エマルジョン中の無機コロイドの割合が過剰であるため
に打抜き性と歪取り焼鈍後の耐食性が劣っている。ま
た、No.9、No.10は処理液中の有機樹脂成分
(無機有機複合樹脂エマルジョン中の有機樹脂成分とエ
ポキシアクリレート共重合樹脂ミクロゲルディスパージ
ョンの合計量)の割合が過剰であるため歪取り焼鈍時に
皮膜の熱劣化が著しく、このため歪取り焼鈍後の諸特性
が著しく劣っている。
【0030】また、No.11は無機有機複合樹脂エマ
ルジョンを添加せず、これに代えて無機コロイドと有機
樹脂エマルジョンを添加した比較例であり、処理液の塗
布開始後、短時間で処理液中に沈殿を生じ、このため正
常な皮膜を得ることができなかった。また、No.1
2、No.13は無機有機複合樹脂エマルジョンやエポ
キシアクリレート共重合樹脂ミクロゲルディスパージョ
ンを添加せず、有機樹脂エマルジョン(アクリル樹脂エ
マルジョン、酢酸ビニル樹脂エマルジョン)のみを添加
した比較例であり、これらは歪取り焼鈍後の層間絶縁
性、耐食性および滑り性が劣っている。また、No.1
4もエポキシ樹脂エマルジョンのみを添加した比較例で
あり、この場合は処理液中での沈殿物の発生が著しく、
No.11と同様、正常な皮膜を得ることができなかっ
た。
【0031】[実施例2]板厚0.5mmの電磁鋼板コ
イル(Ra0.2μmのブライト仕上げ)の表面に、表
3に示すような平均粒子径の異なる無機コロイド粒子を
コアタイプの無機有機複合樹脂エマルジョン(無機有機
複合樹脂エマルジョンの平均粒子径:0.3〜5.0μ
m)とエポキシアクリレート共重合樹脂ミクロゲルディ
スパージョン(平均粒子径:0.1μm)を無機系水溶
液に混合した処理液をロールコーターで連続的に塗布し
た後、乾燥炉(500℃)で焼き付け、約0.8μm厚
の絶縁皮膜を形成した。使用した処理液及び作製された
供試材について後述する特性評価を行った結果を、処理
液の成分組成等とともに表3及び表4に示す。
【0032】表3及び表4によれば、本発明例であるN
o.15〜No.19は歪取り焼鈍後の特性を含めたい
ずれの特性にも優れている。これに対して、比較例であ
るNo.20は無機有機複合樹脂エマルジョン中の無機
コロイド粒子の平均粒子径が小さ過ぎるため、無機コロ
イド粒子により歪取り焼鈍後の皮膜表面に微細な突起を
形成する効果が十分に得られず、このため歪取り焼鈍後
の滑り性や層間絶縁性が劣っている。一方、No.21
は無機有機複合樹脂エマルジョン中の無機コロイド粒子
の平均粒子径が大き過ぎるため打抜き性が劣っている。
【0033】以下、本実施例で用いた無機有機複合樹脂
エマルジョンとエポキシアクリレート共重合樹脂ミクロ
ゲルディスパージョンの合成法、処理液および供試材の
評価項目と試験方法を示す。 (1)有機樹脂コアタイプの無機有機複合樹脂エマルジ
ョンの合成方法 2−エチルヘキシルアクリレート 40部 メチルメタクリレート 59部 アクリル酸 1部 γ−メタクリルオキシプロピル トリメトキシシラン 0.5部 ラウリルスルホン酸ナトリウム 3部 コロイダルシリカ 15部 イオン交換水 150部 過硝酸アンモニウム 0.5部 重亜硫酸ナトリウム 0.2部 4ツ口フラスコに界面活性剤、コロイダルシリカ(「ス
ノーテックス30」,固形分:30%)およびイオン交
換水を仕込んで窒素ガス気流下に60℃まで加熱し、そ
こに重合開始剤を添加し、さらに各単量体を3時間に亘
って滴下した。この際の反応温度は60〜70℃に保持
したが、滴下終了後も同温度範囲に2時間保持してから
冷却し、約14%のアンモニア水でpHを8〜9で且つ
固形分を40%に調節し、安定な分散体を得た。
【0034】(2)無機コロイド粒子コアタイプの無機
有機複合樹脂エマルジョンの合成方法 スチレンモノマー 60部 シリカ粒子 * 100部 水 20部 *ヒドロキシプロピルセルロース吸着処理済 ヒドロキシプロピルセルロース吸着処理を終えたシリカ
粒子(コロイド平均粒子径0.19μm)を含む懸濁液
を重合ビンに入れ、重合触媒とスチレンモノマーを加え
た後、撹拌しながら(重合ビンを回転翼に取付けて30
rpmで回転)、温度45℃で24時間重合させた。
【0035】(3)エポキシアクリレート共重合樹脂ミ
クロゲルディスパージョンの合成方法 (3.1) カルボキシル基含有アクリルポリマー溶液の調製 スチレン 525部 アクリル酸エチル 450部 メタクリル酸 525部 n−ブタノール 2250部 過酸化ベンゾイル 30部 上記各成分の混合物の1/4を窒素ガス置換した4口フ
ラスコに仕込み、90℃に加熱し、その温度に保ちつつ
残りの3/4を2時間かけて徐々に滴下し、滴下終了
後、さらに同温度で2時間撹拌した。反応終了後、反応
液を冷却し、酸価230(固形分換算、以下同様)、固
形分39.5重量%、平均分子量36000のカルボキ
シル基含有アクリルポリマー溶液を得た。
【0036】(3.2) エポキシ樹脂溶液の調製 エピコート 163部 エチレングリコールモノブチルエーテル 137部 窒素ガス置換した4口フラスコに上記各成分の全量を仕
込み、徐々に加熱して還流温度まで上げ、1時間撹拌し
て完全に溶解した後、80℃まで冷却し、固形分54重
量%のエポキシ樹脂溶液を得た。
【0037】(3.3) エポキシアクリレート共重合樹脂ミ
クロゲルディスパージョンの調製 下記第1工程〜第4工程によりエポキシアクリレート共
重合樹脂ミクロゲルディスパージョンを調製した。な
お、この調整例では、エポキシ樹脂中のエポキシ基とカ
ルボキシル基含有アクリルポリマー中のカルボキシル基
の[エポキシ基]/[カルボキシル基]の当量比を0.
2とした。 (a)上記(3.1)のカルボキシル基含有アクリルポリマー溶液 150部 (b)上記(3.2)のエポキシ樹脂溶液 260部 (c)2−ジメチルアミノエタノール 10部 (d)28%アンモニア水 1部 (e)イオン交換水 448部
【0038】・第1工程 窒素ガス置換した4口フラスコに上記(a)および(b)
を仕込み、60℃まで加熱し、その後上記(c)を加え
て2時間保持した。この時点でエポキシ基は40%反応
し、非ゲル状の樹脂反応物の酸価は61であった。 ・第2工程 上記反応物に上記(d)および(e)を10分かけて滴下
し、固形分23重量%、pH7.3の乳白色のミクロデ
ィスパージョンを得た。 ・第3工程 上記ミクロディスパージョンを70℃に保ち、撹拌を続
けた。6時間後にテトラヒドロフラスコに不溶性のミク
ロゲル体が生成し、水性媒体が濁った状態での酸価を測
定すると54であった。その後もミクロゲル体は増加
し、逆に酸価は低下して10時間以降の酸価は50で一
定となった。 ・第4工程 上記ミクロゲルディスパージョンを50〜70℃に保ち
ながら、減圧して脱n−ブタノールを行い、冷却し、溶
剤を含まないミクロゲルディスパージョンを得た。
【0039】(3.4) 生成反応物の評価方法(第1工程の
エポキシ基の反応率の測定) 上記第1工程における反応生成物をテトラヒドロフラン
に溶解させ、その酸価を測定することによりエポキシ基
の反応率を推定した。
【0040】(4)評価項目及び試験方法 ・ポットライフ 調整された処理液を40℃で12日間放置して沈殿物の
有無、ゲル化の有無を調べ、下記により評価した。 ○:変化なし △:少量の沈殿物発生 ×:多量の沈殿物発生または処理液全体がゲル化 ・皮膜密着性 供試材に10mmφの曲げ加工を施した後、曲げ部にテ
ープ剥離試験を実施し、テープへの剥離皮膜の付着の有
無を目視により判定し、皮膜剥離の全くないものを
“5”(良好)、皮膜が全面剥離したものを“1”(劣
る)として5段階評価した。
【0041】・層間絶縁抵抗 層間絶縁抵抗を下記条件でJIS第2法(JIS C 2
550)により測定した。 試験温度:常温(23±5℃) 試験圧力:2N/mm2(20.4kgf/cm2) 測定方法:供試材の表・裏について各3回測定し、平均
値を算出した。 ・耐食性 歪取り焼鈍前後の耐食性を以下のように評価した。ま
ず、歪取り焼鈍前の耐食性については、塩水噴霧試験
(SST)を実施し、15時間後の赤錆発生面積率
(%)を調べた。また、歪取り焼鈍後の耐食性について
は、750℃(2時間、100%窒素中)で歪取り焼鈍
した供試材の恒温恒湿試験(温度50℃、湿度80%)
を実施し、120時間後の赤錆発生面積率(%)を調べ
た。
【0042】・滑り性 市販の表面性測定機において10mmφの超硬合金製の
摩擦球を使用し、垂直荷重200g、走査速度100m
m/minの条件で100mmの距離を10回往復摩擦
した後、皮膜表面のキズ発生、剥離状況を目視で観察
し、下記により評価した。 ○:変化なし △:微小な疵発生 ×:疵及び剥離発生 ・打抜き性 金型材質SKD−1の角形ダイスを用い、クリアランス
6%、軽油系の打抜油使用の条件で連続打抜試験を行
い、かえり高さが50μmに達するまでの打抜数を調べ
た。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
【発明の効果】以上述べた本発明によれば、絶縁皮膜形
成用の処理液が沈殿を生じたり、ゲル化したりすること
なく長期間安定した品質を保つことができるとともに、
良好な打抜き性を有し、しかも歪取り焼鈍後の耐食性、
滑り性、層間絶縁性等の諸特性にも優れた電磁鋼板用有
機系絶縁皮膜を形成することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉川 圭吾 千葉県千葉市中央区旭町29−6 エクセル アサヒ302号

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無水クロム酸および重クロム酸塩の中か
    ら選ばれる少なくとも1種と、2価または3価の金属の
    酸化物、水酸化物および炭酸塩の中から選ばれる少なく
    とも1種を主成分として含む無機系水溶液に、該水溶液
    のCrO3換算量100重量部に対して10〜50重量
    部の有機還元剤と、平均粒子径0.01〜2μmの無機
    コロイドと有機樹脂とを結合させた平均粒子径0.05
    〜3μmの無機有機複合樹脂エマルジョンであって、無
    機コロイド成分の割合が無機系水溶液のCrO3換算量
    100重量部に対して5〜50重量部(固形分換算)、
    有機樹脂成分の割合が無機系水溶液のCrO3換算量1
    00重量部に対して3重量部以上(固形分換算)である
    無機有機複合樹脂エマルジョンと、エポキシ基が残存し
    ていない平均粒子径0.3μm未満のエポキシアクリレ
    ート共重合樹脂ミクロゲルディスパージョンとを添加
    し、無機有機複合樹脂エマルジョン中の有機樹脂成分と
    エポキシアクリレート共重合樹脂ミクロゲルディスパー
    ジョンの合計の割合が、無機系水溶液のCrO3換算量
    100重量部に対して5〜100重量部(固形分換算)
    に調整された処理液を電磁鋼板の表面に塗布し、次いで
    焼き付けることを特徴とする、歪取り焼鈍後の特性が優
    れた電磁鋼板用絶縁皮膜の形成方法。
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