JP2662148B2 - 被膜特性の優れる無方向性電磁鋼板及びその鋼板用表面処理剤 - Google Patents

被膜特性の優れる無方向性電磁鋼板及びその鋼板用表面処理剤

Info

Publication number
JP2662148B2
JP2662148B2 JP24979592A JP24979592A JP2662148B2 JP 2662148 B2 JP2662148 B2 JP 2662148B2 JP 24979592 A JP24979592 A JP 24979592A JP 24979592 A JP24979592 A JP 24979592A JP 2662148 B2 JP2662148 B2 JP 2662148B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel sheet
resin
coating
weight
parts
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP24979592A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06101057A (ja
Inventor
收 田中
知二 熊野
和年 竹田
喜久司 広瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP24979592A priority Critical patent/JP2662148B2/ja
Publication of JPH06101057A publication Critical patent/JPH06101057A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2662148B2 publication Critical patent/JP2662148B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、打ち抜き性、溶接性、
占績率等の焼鈍前の被膜特性が優れ、且つ、焼鈍後の被
膜の潤滑性、絶縁性、耐蝕性等の特性の優れる無方向性
電磁鋼板及び該鋼板用表面処理剤に関する。
【0002】
【従来の技術】電磁鋼板は、渦電流による鉄損を減少さ
せるために鋼板表面に絶縁被膜が処理され、焼付け処理
が施されて使用される。電磁鋼板が使用されるモーター
或いはトランスの鉄心は、電磁鋼板或いはストリップを
所定の幅にスリット後、連続的に鉄心形状に打ち抜く
か、切断後、積層し、この積層体のエッジ部を溶接或い
はカシメて固定するプロセスによって製作される。鉄心
はその後必要に応じて700〜800℃の温度域で歪取
り焼鈍を施された後、巻線がなされ、ケースに挿入され
て最終製品とされる。
【0003】したがって、電磁鋼板表面に形成される絶
縁被膜は、絶縁性に優れていることは勿論、打ち抜き
性、密着性、耐熱性、耐油性に優れると共に、電磁鋼板
の占積率を低下せしめないといった、特性を有すること
が要求される。また特殊なケースとして、トランス用鉄
心は、例えば、EIコアのように焼鈍後に再度積層工程
がある場合には、鋼板表面の滑り性が積層時の作業効率
を左右するため、製品の絶縁被膜は滑り性、耐キズ付き
性等が優れていることが併せて重要である。
【0004】絶縁被膜に要求されるこれらの特性を満足
させるべく、種々の絶縁被膜形成方法が提案されて来
た。一般には、1)燐酸塩又はクロム酸塩を主成分とす
る全無機成分系の塗布剤を用いるもの、2)クロム酸塩
をベースとし、有機樹脂を添加配合する半有機成分系の
塗布剤を用いるもの、3)全量有機物質からなる全有機
成分系の塗布剤を用いるもの、の3種類である。1)の
全無機成分系の塗布剤を用いる場合、耐熱性、溶接性に
優れた電磁鋼板を得ることはできるが、打ち抜き性、密
着性が著しく劣る。3)の全有機成分系の塗布剤を用い
る場合には、打ち抜き性、密着性の良好な電磁鋼板とす
ることはできるが、耐熱性、溶接性が悪いという問題が
ある。前記、両者の欠点を補完すべく提案されているの
が2)の半有機成分系の塗布剤を用いるものである。
【0005】さらに、最近では、上記種々の絶縁被膜形
成方法の改善策が提案されている。例えば、所定の形状
に打ち抜き、或いは切断加工された鋼板の表面形状をコ
ントロールする方法として、特開昭52−33846号
公報には、燐酸系、クロム酸系の1種又は2種以上と有
機樹脂の混合被膜を形成するに際し、処理液中に有機樹
脂粒子を添加して表面粗さを2〜10μmHmax の打ち
抜き性、溶接性の優れた電気絶縁被膜を形成する方法に
おいて、粒径が5〜10μmの有機樹脂粒子を用い、こ
れを予め、従来のエマルジョン樹脂に添加して、均一に
分散後、無機物質に混合し、鋼板表面に塗布焼付けする
方法が提案されている。これにより、表面粗度が粗くな
り、溶接時の通気性がよくなり、良好な溶接性が得られ
るものである。
【0006】また、特開昭61−183479号公報に
は、燐酸系、クロム酸系の1種又は2種以上よりなる無
機系溶液と、粒子径が2〜50μmの有機樹脂粒子粉体
が、予め添加分散されたエマルジョン樹脂溶液との混合
液を電磁鋼板表面に塗布し、焼付けて、電磁鋼板表面
に、表面粗さが0.5〜1.5μmの打ち抜き性、溶接
性ならびに絶縁性の優れた電気絶縁被膜を形成する方法
において、上記有機樹脂の粒子をエマルジョン樹脂溶液
に添加される前に、分散性向上剤で表面処理することを
特徴とする電磁鋼板の表面処理方法が提案されている。
これにより、打ち抜き性がよく、溶接性、耐熱性等に優
れた無方向性電磁鋼板が得られることが述べられてい
る。
【0007】さらに、特開平3−240970号公報に
は、歪取り焼鈍後の被膜特性の優れた無方向性電磁鋼板
の製造方法として、CrO3 100重量部、Al,M
g,Ca,Znから選ばれる酸化物の1種又は2種以上
を20〜40重量部、粒子径0.2〜0.5μmに調整
したアクリル、スチレン、酢ビ及び/又はこれらの共重
合体からなる樹脂の1種又は2種以上の微粒子エマルジ
ョン溶液10〜60重量部、粒子径を1〜50μmに調
整したメチルメタアクリレート、ポリアクリルニトリ
ル、ポリスチレン、セルローズ、シリコン、メラミン、
フェノール、ポバール樹脂及び/又はこれらの共重合
体、架橋体の1種又は2種以上を2〜30重量部からな
るものを塗布することを開示している。これにより、打
ち抜き性、溶接性等が良好で且つ、歪取り焼鈍後の特に
潤滑性が優れ、さらに、絶縁性、耐蝕性等が著しく優れ
るものである。
【0008】しかしながら、これらの従来の技術は、ベ
ース樹脂としては、粒子径0.3μm以下のような微粒
子エマルジョン樹脂を用い、表面粗さを得るために添加
する粗粒子の樹脂として、いずれも極端に粒子径の粗い
粉体樹脂を使用するものである。このため粗粒子樹脂の
添加による効果は得られているものの粗粒子の添加時の
樹脂粉末の凝集や、これによる被膜中での粒子の不均一
性やぬれ性の悪さのために、被膜特性が安定しない問題
がある。また、耐熱性、溶接性等の向上のために、かな
り大量の粗粒子樹脂添加の必要性がある。このため、占
積率の大幅な低下や被膜外観を劣化させる場合がある。
【0009】かかる状況から、有機−無機成分による半
有機系被膜に関しては、安定的に表面形状をコントロー
ルし、打ち抜き性、溶接性等が良好で、且つ、被膜の耐
熱性を向上させることにより、焼鈍後の潤滑性、耐蝕
性、絶縁性等に優れた製品が鉄心加工メーカーより強く
望まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、被膜成分の
均一性、密着性等に優れ、表面形状を粗粒エマルジョン
樹脂によりコントロールされた電磁鋼板に関わり、電磁
鋼板使用時の歪取り焼鈍前後における打ち抜き性、溶接
性、スティッキング性、潤滑性、耐キズ付き性、耐蝕
性、絶縁性等の特性が優れた、無方向性電磁鋼板とその
無方向性電磁鋼板を得るために塗布する表面処理剤を提
供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは下記の通りである。すなわち、(1)電磁鋼板の表
面に、有機物質として、粒子径0.5〜3.0μmのエ
ポキシ、スチレン、フェノール、メラミン、ポリエステ
ル、酢ビ、アクリル、シリコン系樹脂の1種又は2種以
上とAl,Mg,Ca,Zn等のクロム酸塩の1種又は
2種以上を主成分とする処理剤が焼付けされ、表面粗さ
がRa値(中心線粗さ)で0.15〜0.6μmの絶縁
被膜が形成され、且つ、粗粒子エマルジョン樹脂により
表面に形成される球面状の突起物形状が、直径3μm以
下、高さ3μm以下であることを特徴とする無方向性電
磁鋼板、及び(2)有機物質として、粒子径0.5〜
3.0μmのエポキシ、スチレン、フェノール、メラミ
ン、ポリエステル、酢ビ、アクリル、シリコン系エマル
ジョン樹脂の1種又は2種以上100重量部に対し、A
l,Mg,Ca,Zn等の中から選ばれるクロム酸塩物
質をCrO3 として100〜800重量部と硼酸、硼酸
塩物質の1種又は2種以上を30〜250重量部からな
る無方向性電磁鋼板用表面処理剤にある。
【0012】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明
者等は、近年の無方向性電磁鋼板を使用して鉄心加工を
行う需要家のニーズとして、従来の有機−無機系被膜処
理剤を使用した場合の欠点である、溶接性及び焼鈍後の
被膜潤滑性、耐蝕性等の被膜性の向上に努めるべく、膨
大な実験と研究を行った。その結果、従来の改善技術を
もってしても、解決できなかった、有機−無機系被膜処
理剤の需要家での上記問題を一挙に解決し得る技術を開
発することに成功した。すなわち、本発明においては、
ベース樹脂として、従来技術で適用されてきた、粒子径
0.2μm程度の微粒子エマルジョン樹脂に替えて、そ
の粒子径を従来のエマルジョン樹脂の利用技術では考え
られなかった、0.5〜3.0μmの粒子径のエマルジ
ョンの適用技術を開発した。これにより、液組成の均一
性、鋼板への良好な塗布性を得た。これにより、焼付け
処理後の鋼板への被膜組成の均一性、密着性と共に、均
一な球面状の突起形状を安定して得られる技術の実現に
至った。この結果、従来技術では実現不可能とされてい
た、焼鈍前の打ち抜き性、溶接性等が優れ、焼鈍後の潤
滑性、耐蝕性、絶縁性等の全てを満足できる技術を膨大
な研究と実験の結果、開発することに成功したものであ
る。
【0013】本発明における第1の特徴は、有機樹脂−
無機成分において、有機樹脂として、粒子径0.5〜
3.0μに調整したエポキシ、スチレン、フェノール、
メラミン、ポリエステル、酢ビ、アクリル、シリコン系
エマルジョン樹脂を利用するところに特徴がある。第2
に無機物質として、Al,Mg,Ca,Zn等の中から
選ばれるクロム酸塩の1種又は2種以上を前記粗粒子エ
マルジョン100重量部に対し、100〜800重量部
の割合で添加配合する。第3の成分としては、硼酸、硼
酸塩の1種又は2種以上を粗粒子エマルジョン100重
量部に対し、30〜250重量部を添加配合する。これ
らの混合液においては、本発明の粗粒子エマルジョン樹
脂は他の成分との分散性が非常に良好で均一な溶液相を
作る。このため、耐熱性のエマルジョン粗粒樹脂の表面
は均一に、クロム酸塩、硼酸塩により、カバーされる。
そして、塗布、焼付け時期には粗粒エマルジョンの粒径
硬化によって、鋼板表面に均一に分散し、有機樹脂を無
機成分で包んだ微細な突起を形成する。
【0014】このような被膜組成と表面の形状効果によ
って、打ち抜き性、溶接性の優れた被膜を形成すると共
に、さらに、無機成分によりカバーされた粗粒子エマル
ジョン樹脂は、歪取り焼鈍のような熱処理によっても分
解、消失することがなく、焼鈍前の形状を維持したまま
で、表面に無機−有機反応物による突起を維持する。こ
れにより、焼鈍後においても、潤滑性、絶縁性、耐蝕
性、密着性等に優れた被膜を形成する。このような効果
は、通常の微粒子エマルジョン樹脂を使用した場合には
全く見られず、本発明のような粗粒子の耐熱型の樹脂を
適用した場合の特徴であり、また従来技術に見られる微
粒子エマルジョン樹脂への粗粒子樹脂粉末を適用する技
術では、本発明のような被膜の均一性、塗布性、硬化の
安定性は得られない。
【0015】本発明に使用する処理液の種類、配合割合
及び処理条件を前記範囲内に限定するのが好適なのは以
下の理由による。本発明に適用される主成分の一つであ
る粗粒子エマルジョンはその粒子径が0.5〜3.0μ
mのように従来技術では予想すらしなかったような粗大
粒子である。またその成分としては、エポキシ、スチレ
ン、メラミン、ポリエステル、酢ビ、アクリル、シリコ
ン系樹脂の1種又は2種以上が用いられる。これらの樹
脂としては、共重合体、架橋体等の物を用いてもよい。
このようにエマルジョン樹脂の粒子径は本発明の上で最
も重要な要素であり、図2に示すように粒子径が0.5
μm以下では、本発明のような表面の均一な球状突起結
果と耐熱性改善結果、被膜の充填結果が得られ難い。一
方、3.0μmを超えると、焼付け後の鋼板表面粗度が
粗くなり過ぎて、従来技術で開示されている粗大粉体粒
子添加の場合と同様に占積率が劣化したり、後の鉄心加
工工程で被膜中の粒子が脱落するような問題があるので
好ましくない。また、エマルジョン状の粒子の沈降性や
ぬれ性の問題からも制限される。被膜特性、作業性等の
面で総合的に優れるのは、0.7〜1.2μmである。
樹脂成分としては、前記の組成の物が好適で、粒子の粗
大化技術を適用することにより、打ち抜き性、溶接性等
と共に、歪取り時の耐熱性向上効果が顕著に得られる。
これらの樹脂成分以外では本発明の粗粒エマルジョン樹
脂技術の適用をもってしても上記改善効果が得られな
い。
【0016】次に、無機成分として使用されるクロム酸
塩は、Al,Mg,Ca,Zn等の中から選ばれる1種
又は2種以上のクロム酸塩が前記樹脂成分100重量部
当たりCrO3 として100〜800重量部が配合され
る。クロム酸塩が100重量部以下では、有機樹脂の被
覆効果を得るための、クロム酸塩の厚みが不足して、本
発明の粗粒子エマルジョン技術においても十分な耐熱性
が得られなくなる。一方、800重量部より多くなる
と、耐熱性の向上は有るが、全被膜成分中の有機分が減
って、打ち抜き性等の加工性を劣化するので好ましくな
い。クロム化合物としては、液の安定性と溶解性等の問
題から、重クロム酸組成のものが最も良好で、必要に応
じて、フリーのCrO3 を添加してもよい。
【0017】硼酸、硼酸塩は樹脂エマルジョン100重
量部当たり30〜250重量部が添加される。これら
は、被膜のガラス化剤、充填材として働き、被膜の緻密
化、良好な外観等が得られる。添加量が30重量部以下
では、これらの被膜緻密化効果が得られず、一方、25
0重量部以上では、これら硼酸、硼酸化合物は溶解度が
低いため、溶解状態が不安定となって被膜外観に影響を
与えたり、溶液の管理が困難になる。本発明の被膜剤の
適用に当たっては、エマルジョン樹脂のぬれ性向上のた
めに、表面活性剤、ぬれ性改善剤、また、クロム化合物
の還元強化剤等を添加して処理してもよい。
【0018】次に本発明により、打ち抜き性がよく、溶
接特性が優れ、且つ、焼鈍後の被膜潤滑性、絶縁性、耐
蝕性等が優れる効果が得られる理由を説明する。本発明
においては、粗粒子エマルジョン樹脂とクロム化合物、
硼酸化合物等の無機成分によって鋼板表面に均一で、微
細な球状の突起を分散形成する。この表面の均一、微細
な表面形状制御効果は、従来技術にあるような、粉体の
粗粒子樹脂の添加では得られないもので、打ち抜き性、
溶接性の良好な被膜が得られる。また、本発明の耐熱性
のある成分樹脂を0.5〜3.0μmの粗粒子エマルジ
ョンとした場合には、熱処理時の樹脂分の分解反応をサ
イズ効果によって抑制すると共に、単位粒子当たりのA
l,Mg,Ca,Zn等のクロム酸塩や硼酸塩等の無機
成分の被覆量が増大して、より、耐熱性が向上する効果
が得られる。図1(a)に、本発明の粗粒子エマルジョ
ンとして粒子径0.8μmのスチレン樹脂を使用した場
合の焼鈍前後の表面状態、及び同(b)に比較例として
粒子径0.2μmのアクリル−酢ビ系樹脂を使用した場
合の焼鈍前後の表面状態をSEMで観察した写真で示し
たが、両者を比較すれば明らかのように、本発明では焼
鈍前後で、鋼板表面の球状突起のサイズが変化すること
がなく表面の粗さも変化しない。これらの、無機−有機
化合物は焼鈍時期に適度な被膜の充填作用を生じて、微
粒子エマルジョン樹脂を用いた従来被膜に見られるよう
な亀裂発生を防止する。この結果、焼鈍後の被膜特性に
おいても、被膜の形状効果、固さ、緻密さ等によって、
被膜の潤滑性と、絶縁性、耐蝕性等の従来の有機−無機
系被膜で得られなかったような新たな効果が得られるも
のと考えられる。
【0019】
【実施例】
〔実施例1〕公知の方法で熱処理した板厚0.5mmの無
方向性電磁鋼板コイルに、表1に示す組成の粒子径を1
μmに調整した、エマルジョン樹脂を主成分とする処理
剤をゴムロール方式の塗布装置で塗布し、板温350℃
で焼付け処理を行った。この際の塗布量は、焼付け後の
重量で1.5g/m2 であった。このコイルからサンプ
ルを切り出し、打ち抜き性、溶接性及び750℃×2Hr
の歪取り焼鈍後の被膜の潤滑性、耐蝕性、絶縁性等の調
査を行った。結果を表2に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】この結果、本発明によるものは、打ち抜き
性、溶接性等の焼鈍前特性が良好で、焼鈍後の被膜特性
として、潤滑性、耐蝕性、絶縁性等いずれも比較例に比
し、良好な結果が得られた。特に、樹脂成分100重量
部に対し、重クロム酸塩を300重量部以上では、いず
れも著しい改善効果が見られた。
【0023】〔実施例2〕実施例1と同様にして、仕上
げ焼鈍後の板厚0.5mm(原板の表面粗度Ra値0.1
3)の無方向性電磁鋼板のコイルに、表3に示すように
エマルジョン樹脂の粒子径を変更した樹脂と重クロム酸
塩、硼酸からなる被膜剤を塗布し、板温350℃で焼付
け処理を行い製品とした。この鋼板からサンプルを切り
出し、実施例1の場合と同様にして被膜特性の調査を行
った。結果を表4に示す。
【0024】
【表3】
【0025】
【表4】
【0026】この結果、本発明のものは、ベースのエマ
ルジョン樹脂の粒子径に応じて表面粗度がコントロール
され、またいずれも焼鈍前の粗度と焼鈍後の粗度がほと
んど変化がなく、溶接性や焼鈍後の被膜の潤滑性、耐焼
付き性等において、いずれも良好な結果が得られた。一
方、比較例1の従来の微粒子エマルジョンを使用した場
合には、溶接性、焼鈍後の被膜特性とも本発明に比し、
著しく劣る結果となった。また、比較例2の原板の粗度
を粗くして従来の微粒子エマルジョン系の処理剤を塗布
したものも、溶接性については若干の効果は見られた
が、焼鈍後の潤滑性、耐焼付き性等はいずれも不良で、
本発明のように粗粒子のエマルジョンが作り出す微細な
球状突起が大きい効果を生み出していることを証明する
結果となった。
【0027】
【発明の効果】本発明の耐熱性粗粒子エマルジョンと無
機成分系を適用する処理剤と製品においては、従来の微
粒子エマルジョン樹脂や、耐熱性向上剤としての粗大粒
子の粉体樹脂を添加する技術では見られなかった、均一
な被膜組成を持ち均一に且つ微細に分散した球状の突起
を有する被膜が得られる。この被膜成分と形状効果がマ
ッチして焼鈍前後の特性を両立する。特に焼鈍後の被膜
の潤滑性、耐キズ付き性、耐蝕性等の優れた製品が得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】歪取り焼鈍前後の鋼板表面の被膜の状態をSE
Mにて観察した粒子構造を示す写真であって、(a)は
本発明の粗粒子エマルジョンとして粒子径0.8μmの
スチレン樹脂を使用した場合の焼鈍前後の表面状態、
(b)は比較例の粒子径0.2μmのアクリル−酢ビ系
樹脂を使用した場合の焼鈍前後の表面状態を示す。
【図2】本発明の耐熱性のエマルジョン樹脂の粒子径と
焼鈍後の鋼板表面の耐キズ付き性を示す。
【図3】図2で焼鈍後の被膜の潤滑性を測定する場合の
装置の略図である。
【図4】歪取り焼鈍時焼付き性を測定する方法であって
(a)は積層鋼板を締付けた後に焼鈍した状態、(b)
はバネ秤で鋼板の剥離加重を測定する状態を示す図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 広瀬 喜久司 兵庫県姫路市広畑区富士町1番地 新日 本製鐵株式会社 広畑製鐵所内 (56)参考文献 特開 平3−232977(JP,A) 特開 平6−101058(JP,A) 特開 平4−2779(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電磁鋼板の表面に、有機物質として、粒
    子径0.5〜3.0μmのエポキシ、スチレン、フェノ
    ール、メラミン、ポリエステル、酢ビ、アクリル、シリ
    コン系エマルジョン樹脂の1種又は2種以上とAl,M
    g,Ca,Znのクロム酸塩の1種又は2種以上を主成
    分とする処理剤が塗布焼付けされ、表面粗さが、Ra値
    (中心線平均粗さ)で0.15〜0.6μmの絶縁被膜
    が形成され、且つ、エマルジョン樹脂により表面に形成
    される球面状の突起物形状が直径3μm以下、高さ3μ
    m以下であることを特徴とする被膜特性の優れる無方向
    性電磁鋼板。
  2. 【請求項2】 有機物質として、粒子径0.5〜3.0
    μmのエポキシ、スチレン、フェノール、メラミン、ポ
    リエステル、酢ビ、アクリル、シリコン系エマルジョン
    樹脂の1種又は2種以上100重量部に対し、Al,M
    g,Ca,Znの中から選ばれるクロム酸塩物質をCr
    3 として、100〜800重量部、硼酸、硼酸塩物質
    の1種又は2種以上を30〜250重量部からなる被膜
    特性の優れる無方向性電磁鋼板用表面処理剤。
JP24979592A 1992-09-18 1992-09-18 被膜特性の優れる無方向性電磁鋼板及びその鋼板用表面処理剤 Expired - Lifetime JP2662148B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24979592A JP2662148B2 (ja) 1992-09-18 1992-09-18 被膜特性の優れる無方向性電磁鋼板及びその鋼板用表面処理剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24979592A JP2662148B2 (ja) 1992-09-18 1992-09-18 被膜特性の優れる無方向性電磁鋼板及びその鋼板用表面処理剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06101057A JPH06101057A (ja) 1994-04-12
JP2662148B2 true JP2662148B2 (ja) 1997-10-08

Family

ID=17198336

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP24979592A Expired - Lifetime JP2662148B2 (ja) 1992-09-18 1992-09-18 被膜特性の優れる無方向性電磁鋼板及びその鋼板用表面処理剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2662148B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06184764A (ja) * 1992-12-22 1994-07-05 Nippon Steel Corp 電磁鋼板の電気絶縁皮膜処理方法
KR0129687B1 (ko) * 1993-05-21 1998-04-16 다나까 미노루 피막특성이 극히 우수한 절연 피막 처리제 및 이 처리제를 이용한 무방향성 전기강판의 제조방법
KR100345726B1 (ko) * 1997-10-09 2002-09-18 주식회사 포스코 무방향성전기강판의절연피막형성용코팅액
KR20020052864A (ko) * 2000-12-26 2002-07-04 이구택 유기 무기 복합 코팅제가 코팅된 무방향성 전기강판
JP4112866B2 (ja) * 2002-01-16 2008-07-02 新日本製鐵株式会社 被膜性能の優れる無方向性電磁鋼板
CN110283480B (zh) * 2019-06-27 2021-03-05 武汉钢铁有限公司 用于焊接的半有机-半无机硅钢片涂液及制备方法与应用

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06101057A (ja) 1994-04-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2944849B2 (ja) 被膜特性の極めて良好な無方向性電磁鋼板の製造方法
JP3117846B2 (ja) 皮膜特性の優れる無方向性電磁鋼板及びその鋼板用表面処理剤
CA2145975C (en) Electromagnetic steel sheet having a highly corrosion-resistant insulating film and a core for use in motors or transformers made of the electromagnetic steel sheet
CN110168137B (zh) 电磁钢板
JP3408410B2 (ja) 無方向性電磁鋼板用表面処理剤とそれを用いた皮膜形成方法
JP2662148B2 (ja) 被膜特性の優れる無方向性電磁鋼板及びその鋼板用表面処理剤
JP2001220683A (ja) 絶縁被膜付き電磁鋼板
JP3065810B2 (ja) 被膜特性の優れる無方向性電磁鋼板及びその鋼板用表面処理剤
JP4725094B2 (ja) 絶縁被膜付き電磁鋼板
JP2968427B2 (ja) 被膜特性の極めて優れた無方向性電磁鋼板の製造方法及び該鋼板用表面処理剤
JP2762147B2 (ja) 歪取焼鈍後の皮膜特性の優れた無方向性電磁鋼板の製造方法およびその表面処理剤
JPH06235070A (ja) 溶接性に優れた電気絶縁被膜を有する電磁鋼板
JP2003193252A (ja) 被膜外観に優れた絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法
JPH06145999A (ja) 被膜特性の極めて優れる無方向性電磁鋼板及びその製造方法
JP2004322079A (ja) 被膜性能の優れる無方向性電磁鋼板と絶縁被膜処理剤および絶縁被膜処理方法
JP3572938B2 (ja) 耐スティッキング性及び耐食性に優れた電磁鋼板
JP2006169567A (ja) 絶縁被膜付き電磁鋼板
JPH0565663A (ja) 無方向性電磁鋼板用表面処理剤及びその処理被膜をもつ無方向性電磁鋼板の製造方法
JP2003213443A (ja) 被膜性能の優れる無方向性電磁鋼板および絶縁被膜処理剤及び処理方法
JP3408748B2 (ja) 窒化防止性、密着性および耐食性に優れた絶縁被膜付き電磁鋼板とその製造方法
JP6477742B2 (ja) 絶縁被膜付き電磁鋼板
JP2000034574A (ja) 耐臭気性、耐スティッキング性及び耐食性に優れた電磁鋼板
JP2968903B2 (ja) 有機皮膜処理鋼板の製造方法
JP2002164207A (ja) モールドコアに適し磁気特性に優れた電磁鋼板
JPS618903A (ja) 非晶質合金薄帯の特性および打抜性改善方法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19970506

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080613

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090613

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090613

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100613

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100613

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110613

Year of fee payment: 14

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110613

Year of fee payment: 14

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120613

Year of fee payment: 15

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130613

Year of fee payment: 16

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130613

Year of fee payment: 16