JPH0565663A - 無方向性電磁鋼板用表面処理剤及びその処理被膜をもつ無方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

無方向性電磁鋼板用表面処理剤及びその処理被膜をもつ無方向性電磁鋼板の製造方法

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JPH0565663A
JPH0565663A JP22424391A JP22424391A JPH0565663A JP H0565663 A JPH0565663 A JP H0565663A JP 22424391 A JP22424391 A JP 22424391A JP 22424391 A JP22424391 A JP 22424391A JP H0565663 A JPH0565663 A JP H0565663A
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Osamu Tanaka
収 田中
Masahiro Yamamoto
政広 山本
Seiichiro Cho
誠一郎 長
Tomoji Kumano
知二 熊野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 無方向電磁鋼板の被膜特性として、溶接性及
び焼鈍後の耐焼き付き性、潤滑性、絶縁性等を改善す
る。 【構成】 クロム酸塩−有機樹脂エマルジョンからなる
半有機系被膜樹脂に於て、エマルジョン樹脂が、アクリ
ル酸エステル、スチレン、酢ビ及び/又はこれらの共重
合体の1種又は2種以上であって、更にエチレングリコ
ール、カルボン酸の1種又は2種を配合したベース液に
粒子径が0.1〜3.0μmのSiO2 ,Al2 3
TiO2 ,ZrO2 等の粗粒子無機コロイド状物質の1
種又は2種を配合した表面処理剤及びその処理方法。 【効果】 溶接性が優れ、歪取り焼鈍後の耐焼き付き
性、潤滑性、絶縁性、耐蝕性等の優れた被膜を形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に溶接性と歪取り焼
鈍時の耐熱性に優れ、焼鈍後の焼き付き性がなく、潤滑
性、絶縁性等の被膜特性が著しく優れた無方向性電磁鋼
板用表面処理剤組成とその被膜をもつ無方向性電磁鋼板
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電磁鋼板は渦電流による鉄損を減少させ
るために、鋼板表面に絶縁被膜を塗布し、焼き付け処理
が施されて使用される。電磁鋼板が用いられるモーター
或いはトランスの鉄心では、電磁鋼板或いはストリップ
を所定幅にスリット後、連続的に鉄心形状に打ち抜き加
工するか、切断した後積層し、この積層体のエッジ部を
溶接するか或いはカシメて固定するプロセスによって制
作される。
【0003】鉄心はその後必要に応じて700〜800
℃の温度域で歪取り焼鈍を施された後、巻線がなされ、
ケースに挿入されて最終製品とされる。従って、電磁鋼
板表面に形成される絶縁被膜は、絶縁性に優れているこ
とは勿論、密着性、打ち抜き性、耐熱性、耐油性、高占
積率に優れることが要求される。
【0004】また、特殊なケースとしてトランス用鉄心
或いはElコアのように焼鈍後に再度、積層工程がある
場合には、鋼板の潤滑性が積層作業の能率を左右するた
め、絶縁被膜は潤滑性(積層性)の優れていることが併
せて要求される。
【0005】絶縁被膜に要求されるこれらの特性を満足
すべく、種々の被膜形成方法が提案されてきている。一
般的には、(1)リン酸塩又はクロム酸塩を主成分とす
る無機系被膜剤を用いるもの、(2)クロム酸塩をベー
スとして有機樹脂を添加配合する無機−有機系の塗布剤
を用いるもの、(3)全量有機成分系の塗布剤を用いる
ものの3種類である。
【0006】(1)の無機成分系の塗布剤を用いる場
合、耐熱性、溶接性、絶縁性等に優れた電磁鋼板を得る
ことができるが、打ち抜き性、密着性等が著しく劣る欠
点がある。(3)の有機成分系の塗布剤を用いる場合、
打ち抜き性、密着性は良好であるが、耐熱性、溶接性等
が著しく劣る欠点がある。前記、両者の欠点を解決すべ
く提案されているのが(2)の無機−有機成分系からな
る塗布剤を用いるものである。
【0007】さらに最近では、上記の絶縁被膜形成方法
の改善策が種々提案されている。例えば、特公昭49−
19078号公報には溶接性改善の手段として、鋼板表
面を粗くすることが提案されている。即ち、(1)有機
被膜を均一に塗布し、焼き付け中の未硬化被膜に粗面を
有するロールを接触させ、粗面を有する絶縁被膜とする
方法。(2)溝切り塗布ロールで鋼板表面に縦溝被膜を
形成し、ついで焼き付け中の未硬化被膜に溝を刻設した
鋼製ロールを接触させ、鋼板幅方向に延在する溝を入れ
る方法。(3)塗布剤中に約2μm以上の粒径を有する
有機物粒子を添加して鋼板に塗布し、焼き付ける方法で
ある。
【0008】また、特公昭55−21111号公報に
は、有機物粒子の分散性及び鋼板への付着性を向上させ
る手段として、鋼板表面にリン酸系乃至クロム酸系の1
種又は2種以上を有機樹脂と混合するに際し、塗布剤中
に有機樹脂粒子を混合することによって2〜10μm
(max)の表面粗さをもつ、打ち抜き性、溶接性に優
れた電気絶縁被膜を有する電磁鋼板を得る方法であっ
て、5μmの径を持つ有機系樹脂を予めエマルジョン樹
脂に添加して、均一に分散させた後、この溶液を上記無
機物粒子の溶液に混合して電磁鋼板表面に塗布し、つい
で400〜700℃の温度域で短時間の焼き付け処理を
施すことによって、上記樹脂を一部溶融してその付着力
を向上させる技術が開示されている。
【0009】耐焼鈍性を改善する手段として、リン酸、
クロム酸、硼酸、チオ結合を有する水溶性有機化合物及
び明礬を混合した処理液を電磁鋼板に塗布する方法が特
公昭55−1348号公報に開示されている。この先行
技術によるときは、焼鈍後の電磁鋼板の電気絶縁性はか
なり改善されるが、打ち抜き性は十分ではない。
【0010】このように、従来の有機被膜或いは半有機
被膜に関しては、有機物から発生するガスによる溶接性
の低下を抑えることに主眼がおかれ、そのために鋼板間
における通気性を良好ならしめるべく、被膜表面粗さを
大きくすることに努力が払われてきた。
【0011】しかしながら、従来の有機被膜は有機物の
耐熱性が高々400〜500℃ある。従って、電磁鋼板
の需要家における歪取り焼鈍のように700〜800℃
の温度域での高温熱処理を施すと、有機物は消失してし
まう。このため焼鈍後の被膜特性としての潤滑性、耐蝕
性、絶縁性等の被膜特性の劣化が生じることになる。前
記のように、従来の粗粒樹脂を用いる技術は、乾燥、焼
き付け処理時に樹脂粒子の一部溶融によって、被膜を半
溶融状態にして、焼き付け後にある程度の表面粗さを得
るようにしたもので、溶接性等の焼鈍以前の被膜特性の
改善を主目的としており、焼鈍後の被膜特性の改善は実
現するに至っていない。
【0012】かかる状況から、有機被膜或いは半有機被
膜に関しては、被膜の耐熱性を向上させて、焼鈍後の被
膜焼き付き性や焼鈍後の被膜特性を改善する技術の開発
が望まれている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術に
おける被膜特性を損なうことなく、溶接性が優れ、鉄心
歪取り焼鈍後の耐焼き付き性、被膜潤滑性、耐蝕性、電
気絶縁性に優れた絶縁被膜を得ることができる無方向性
電磁鋼板用被膜処理剤及びその処理方法を提供すること
を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、下記の通りである。 (1)CrO3 100重量部、Al,Mg,Ca,Zn
から選ばれる酸化物の1種又は2種以上20〜40重量
部、アクリル酸エステル樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニ
ル樹脂及び/又はこれらの共重合体からなる樹脂の1種
又は2種以上の粒子径0.2〜1.0μmの微粒子エマ
ルジョン溶液10〜60重量部(固形分換算)、エチレ
ングリコール、カルボン酸の1種又は2種0.5〜12
重量部に対し、粒子径0.2〜3.0μmのSiO2
Al2 3 ,TiO2 ,ZrO2 等の無機コロイド物質
の1種又は2種以上を3〜30重量部添加した、被膜特
性の優れる無方向性電磁鋼板用表面処理剤。
【0015】(2)前記(1)記載の絶縁被膜処理剤に
対し、グリセリン、アジピン酸、コハク酸等の還元剤物
質の1種又は2種以上を上記組成に対し、10〜25重
量部添加配合した被膜特性の優れる無方向性電磁鋼板用
表面処理剤。
【0016】(3)無方向性電磁鋼板を公知の方法で処
理し、最終焼鈍を行った鋼板上に、クロム酸及び/又は
クロム酸塩の1種又は2種以上と有機樹脂からなる無機
−有機系被膜の焼き付け処理を施す無方向性電磁鋼板の
製造工程に於て、前記(1),(2)の処理剤を塗布
し、焼き付け処理することを特徴とする被膜特性の優れ
る無方向性電磁鋼板の製造方法にある。
【0017】以下に本発明を詳細に説明する。本発明者
等は電気機器加工メーカーのニーズに応えるべく、無方
向性電磁鋼板を使用して、膨大な実験と研究を重ねた結
果、前記従来の改良技術をもってしても解決できなかっ
た、有機−無機成分系被膜に於ける溶接性及び焼鈍後の
被膜特性の問題、とりわけ、焼鈍時の耐焼き付き性、焼
鈍後の潤滑性、耐蝕性、絶縁性等の問題を一挙に解決し
得る技術を開発することに成功した。
【0018】即ち、本発明に於ては、有機−無機系被膜
成分中に700〜800℃の高温熱処理を施しても、粒
子形状の変化しない無機のコロイド状物質を一定の粒子
形態と添加量で配合するものである。
【0019】本発明に於ては、クロム酸塩−有機樹脂系
被膜に於て一定の粒度と粒度分布に調整した特定の耐熱
性無機コロイドを添加する。これにより、焼鈍前後の鋼
板表面の形状と粗度コントロールする。この無機コロイ
ドにより造り出される微細な表面突起形状効果により、
溶接性や焼鈍後の被膜性能を向上する。
【0020】本発明に於ける有機−無機系被膜への粗粒
子等の添加による被膜特性の改善メカニズムは次のよう
に考えられる。耐熱性のある粗粒無機コロイド状物質を
添加した場合、無機−有機のベース被膜組成の中に、均
一に分散した粗粒子によって球面状の微細な突起が、焼
き付け後の被膜表面と被膜中に形成される。
【0021】この結果、まず溶接時に於ては、被膜成分
による発生ガスの通気性を良くして溶接性を向上する。
次に焼鈍時に於ては、ベース組成の有機物の焼失や変質
による鋼板面の焼き付きを無機コロイドによる微細な突
起物によってセパレートするため防止する。
【0022】さらに、焼鈍後の被膜表面に於ても、微細
な突起物がそのままの形状で残留し、表面の形状効果に
よって、被膜潤滑性や絶縁性を改善する。さらに、もう
1つの効果としてコロイド物質を配合した場合、このコ
ロイドの鋼板面の被覆効果によって、鋼板の耐蝕性を向
上するものである。
【0023】本発明に使用する処理液の種類、配合割合
及び処理条件を前記範囲にするのが好適的であるのは以
下の理由による。本発明に使用する処理剤は、第一の構
成成分は、クロム酸とAl,Mg,Ca,Znから選ば
れる酸化物の1種又は2種以上の無機成分であり、第二
の構成成分としてはアクリル酸エステル樹脂、スチレン
樹脂、酢酸ビニル樹脂、及び/又はこれらの共重合体の
1種又は2種以上と、エレチングリコール、カルボン酸
の1種又は2種以上の有機成分である。第三の構成成分
としては、耐熱性と表面形状コントロール用として、S
iO2 ,Al2 3 ,TiO2 ,ZrO2 等の粗粒子コ
ロイド状溶液の1種又は2種以上が使用される。また、
本発明に於ては必要に応じてグリセリン、アジピン酸、
コハク酸等の還元剤物質が添加配合される。
【0024】第一の構成成分はCrO3 100重量部に
対し、Al,Mg,Ca,Znから選ばれる酸化物の1
種又は2種以上20〜40重量部である。これらの化合
物は配合された後はクロム酸塩とフリーのクロム酸とし
て溶液中に存在する。この無機成分は被膜の耐熱性、密
着性、緻密性、絶縁性等の他に溶接性を向上する。
【0025】Al等の酸化物量が20重量部以下では、
フリーの6価のクロム量が増加して、多量の還元剤を必
要とし、また、焼き付け処理条件の変更が必要であり、
好ましくなく、逆に40重量部超ではフリーの酸化物が
残留して、被膜外観や密着性を損ねる。
【0026】第二の構成成分の微粒子有機エマルジョン
樹脂は、粒子径0.2〜1.0μmに調整したアクリル
酸エステル、スチレン、酢酸ビニル及び/又はこれらの
共重合体からなる樹脂の1種又は2種以上が配合され
る。配合割合はCrO3 100重量部に対し、10〜6
0重量部(固形分換算)である。この配合割合は打ち抜
き性、溶接性、焼鈍後の被膜特性に影響を与えるため重
要である。
【0027】配合量が10重量部より少ないと打ち抜き
性が極端に劣化する。逆に60重量部超では、溶接性の
若干の劣化が生じるため好ましくない。又、エマルジョ
ン樹脂の粒子径は0.2〜1.0μmが重要である。
0.2μm未満の微粒子の樹脂は安定して、安価に工業
的に得るのは困難である。一方1.0μm超では焼き付
け時に十分に樹脂のガラス化が生ぜず、光沢のない被膜
を形成するため好ましくない。更にエマルジョン樹脂自
体の沈降性等の問題があり、作業性が悪くなる。エチレ
ングリコールとカルボン酸は、処理剤塗布焼き付け時の
溶液の鋼板へのぬれ性と被膜の密着性の向上のため重要
である。添加量はベース有機エマルジョン樹脂10〜6
0重量部に対し、0.5〜12重量部である。0.5重
量部より少ないとぬれ性、密着性の改善効果が小さく、
一方、12重量部より多いと耐熱性が低下したり、焼鈍
時に被膜の色調が黒変化する問題が生じる。
【0028】第三の構成成分であるSi,Al,Ti,
Zr等の酸化物の無機コロイド状溶液の1種又は2種以
上はCrO3 100重量部当たり3〜30重量部の割合
で配合される。これらの粗粒子無機コロイド状化合物
は、その粒子径と添加量によって、焼鈍前後の鋼板表面
の突起形状がコントロールされ、被膜特性の改善効果を
もたらす。
【0029】粒子径は平均粒子径で0.1〜3.0μm
の範囲が良い。0.1μmより小さいと目標の表面粗さ
が得られないため、溶接性、焼鈍後の被膜特性の改善効
果が十分でない。一方、3μmより大きいと、表面粗さ
が増すため、被膜特性は向上するが占積率の低下が生じ
る。また、コロイドの沈降性の問題があるため、溶液の
保存、塗布作業時の作業性の低下の問題を生じる。ま
た、製造コストの上でもコストアップとなるので実用上
好ましくない。
【0030】本発明に於ては、必要に応じて還元剤とし
てグリセリン、アジピン酸、コハク酸等の1種又は2種
以上がCrO3 100重量部当たり10〜25重量部の
割合で添加される。これらの還元剤は、被膜焼き付け処
理過程に於て、短時間で6価クロムを還元して、吸湿に
よるベタツキ等を生じさせない安定な化合物に変える効
果的な働きをする。10重量部未満では、6価クロムの
還元作用が十分でないため、短時間の焼き付け処理がで
きず、吸湿性による問題が生じる。逆に25重量部超で
は、塗布剤全体の安定性に影響し、液の寿命を短くする
ため好ましくない。
【0031】焼き付け温度は270〜400℃である。
270℃未満では、CrO3 のベース樹脂成分或いは還
元剤による還元反応が不十分で、外観が悪く、ベタツキ
も生じやすい。一方、400℃超では、樹脂分の一部の
炭化反応が生じて、打ち抜き性を劣化したり、外観を損
ねる。また、本発明の適用に当たっては、硼酸、硼酸塩
等を被膜のガラス化促進剤として添加しても良い。
【0032】ベース組成:CrO3 100g+MgO
25g+H3 BO3 30g+樹脂エマルジョン40g、
エマルジョン樹脂成分:アクリル50%+スチレン45
%+EG5%の溶接試験結果を図1に示す。
【0033】又ベース組成:CrO3 100g+MgO
20g+CaO 5g+H3 BO3 30g+グリセリ
ン10g+エマルジョン樹脂(アクリル酸エステル45
%+スチレン50%+エチレングリコール5%)30g
の潤滑性、表面粗度を図2に示す。
【0034】
【実施例】実施例1 公知の方法で処理した板厚0.5mm無方向性電磁鋼板の
仕上げ焼鈍済みの表面に表1に示すような無機−有機系
被膜成分中に、粗粒子の無機コロイド状化合物を添加量
を変えて配合した処理剤溶液をゴムロールにて塗布し、
板温350℃で15秒間の焼き付け処理を行った。この
際の塗布量は焼き付け後の重量で1.5g/m2 であっ
た。この焼き付け後の鋼板からサンプルを切りだし、溶
接性(*1)、歪取り焼鈍後の焼き付き性 *2)、被膜潤
滑性(*3)、絶縁性(*4)、耐蝕性(*5)、密着性
(*6)等について調査を行った。この結果を表2に示
す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】この結果、本発明によるものは、溶接性、
焼鈍後の焼き付き性、潤滑性、絶縁性等の被膜特性が著
しく改善されることが判明した。また、これらの効果は
添加する無機コロイド状SiO2 の粒子径及び添加量に
よるが、本発明の領域では、いずれも優れた改善効果が
得られた。
【0038】一方、比較例の無機粗粒子コロイドを添加
しないものは、樹脂成分により、若干の違いはあるもの
の、溶接性、焼鈍後の被膜特性とも著しく悪い結果とな
った。また、同じく比較例の特開昭61−183479
号公報に記載のものは、樹脂自体の耐熱性がないため、
更に悪い結果となった。
【0039】実施例2 実施例1と同様にして、表3に示すような無機−有機エ
マルジョン樹脂系のベース液組成に対し、Al2 3
TiO2 ,ZrO等の無機コロイド状物質を添加した処
理剤を、コーティングロールで塗布し、板温で320℃
×15秒間の焼き付け処理を行った。この際の塗布量は
焼き付け後の重量で2.0g/m2 であった。この鋼板
からサンプルを切りだし、実施例1と同様にして750
℃×2Hrの歪取り焼鈍を行った後、被膜特性の調査を行
った。この結果を表4に示す。
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】(*1)溶接性:TIG溶接(電流120
A,電極Th−W(2.4mmФ)、アルゴン流量6l/
min., 締圧50kg/cm2 )で溶接スピードを変更してテ
ストした。
【0043】(*2)歪取り焼鈍後の焼き付き性:図3
(a)に示すように鋼板を積層し、締付け圧力40kg/
cm2 で締付けし、750℃×2Hrの焼鈍後、同図(b)
に示すようにバネ秤で剥離加重を測定した。
【0044】(*3)被膜潤滑性:図4に示すように、
10mmФの鋼球を一定加重で鋼板表面を往復運動させ、
鋼球が鋼板面から受ける抵抗を測定した。
【0045】(*4)絶縁性:JIS第2法により表面
抵抗を測定した。
【0046】(*5)耐蝕性:温度50℃、湿度98%
の恒温恒湿度槽にサンプルを吊し、24Hr保持した後の
鋼板面の錆の発生状況を調査した。
【0047】(*6)密着性:試験片にセロテープを貼
り、一定加重で押し付け後、セロテープを剥がし、剥離
状況を調査した。
【0048】
【発明の効果】本発明の方法に於ては、クロム酸塩−有
機樹脂系の絶縁被膜処理液に於て、特定の粒子径を持っ
た無機コロイド状物質を添加配合することにより、従来
被膜の無機−有機被膜の欠点であった、溶接性及び焼鈍
後の被膜特性を改善できる。特に、歪取り焼鈍での焼き
付き性がなく、良好な磁気特性が得られると共に、潤滑
性、耐蝕性、絶縁性等の優れた絶縁被膜を形成すること
が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】耐熱性無機粗粒子コロイドの添加量と溶接性の
関係を示す図表である。
【図2】耐熱性無機粗粒子コロイドを添加した場合の焼
鈍後の潤滑性と鋼板の表面粗度を示す図表である。
【図3】(a)は歪取り焼鈍時における鋼板の焼き付き
状態を調査するに際し、焼鈍でのサンプルの積層状態を
示す模式図、(b)は歪取り焼鈍後の鋼板の層間の焼き
付き状態の測定図である。
【図4】歪取り焼鈍後の鋼板の潤滑性を測定する時の状
態を示す説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 熊野 知二 北九州市八幡東区枝光1−1−1 新日本 製鐵株式会社技術開発本部内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CrO3 100重量部、Al,Mg,C
    a,Znから選ばれる酸化物の1種又は2種以上20〜
    40重量部、アクリル酸エステル樹脂、スチレン樹脂、
    酢酸ビニル樹脂、及び/又はこれらの共重合体からなる
    樹脂の1種又は2種以上の粒子径0.2〜1.0μmの
    微粒子エマルジョン溶液10〜60重量部(固形分換
    算)、エチレングリコール、カルボン酸の1種又は2種
    0.5〜12重量部に対し、粒子径0.1〜3.0μm
    のSiO2 ,Al2 3 ,TiO2 ,ZrO2 等の無機
    コロイド状物質の1種又は2種以上を3〜30重量部添
    加した被膜特性の優れる無方向性電磁鋼板用表面処理
    剤。
  2. 【請求項2】 請求項(1)記載の絶縁被膜処理剤に対
    し、グリセリン、アジピン酸、コハク酸等の還元剤物質
    の1種又は2種以上を上記組成に対し、10〜25重量
    部添加配合した被膜特性の優れる無方向性電磁鋼板用表
    面処理剤。
  3. 【請求項3】 最終焼鈍を行った無方向性電磁鋼板上
    に、クロム酸及び/又はクロム酸塩の1種又は2種以上
    と有機樹脂からなる無機−有機系被膜の焼き付け処理を
    施す無方向性電磁鋼板の製造工程に於て、請求項(1)
    又は(2)記載の処理剤を塗布し、焼き付け処理するこ
    とを特徴とする被膜特性の優れる無方向性電磁鋼板の製
    造方法。
JP22424391A 1991-09-04 1991-09-04 無方向性電磁鋼板用表面処理剤及びその処理被膜をもつ無方向性電磁鋼板の製造方法 Withdrawn JPH0565663A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100321031B1 (ko) * 1997-09-26 2002-03-08 이구택 절연피막 형성용 피복조성물 및 이를 이용한 무방향성 전기강판의 절연피막 형성방법
KR101540373B1 (ko) * 2013-12-24 2015-07-29 주식회사 포스코 무방향성 전기강판 접착 코팅 조성물, 무방향성 전기강판 제품, 및 이의 제조 방법
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