JP2762147B2 - 歪取焼鈍後の皮膜特性の優れた無方向性電磁鋼板の製造方法およびその表面処理剤 - Google Patents

歪取焼鈍後の皮膜特性の優れた無方向性電磁鋼板の製造方法およびその表面処理剤

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JP2762147B2 JP3475390A JP3475390A JP2762147B2 JP 2762147 B2 JP2762147 B2 JP 2762147B2 JP 3475390 A JP3475390 A JP 3475390A JP 3475390 A JP3475390 A JP 3475390A JP 2762147 B2 JP2762147 B2 JP 2762147B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、歪取焼鈍時の耐焼付き性に優れ、歪取焼鈍
後に滑り性および絶縁性に著しく優れた無方向性電磁鋼
板の製造方法およびその製造方法に用いる電磁鋼板用表
面処理剤に関するものである。
(従来の技術) 電磁鋼板は、渦電流による鉄損を減少させるために、
鋼板表面に絶縁皮膜を塗布され、焼き付け処理が施され
て使用される。電磁鋼板が用いられるモーター或はトラ
ンスの鉄芯は、電磁鋼板或はストリップを所定の幅にス
リットした後、連続的に鉄芯形状に打ち抜くか切断した
後、積層し、この積層体をエッジ部を溶接によって或は
カシメて固定するプロセスによって製作される。鉄芯
は、その後必要に応じて700〜800℃の温度域で歪取焼鈍
を施された後、巻線がなされ、ケースに挿入されて最終
製品とされる。
従って、電磁鋼板表面に形成される絶縁皮膜は、絶縁
性に優れていることは勿論、密着性、打抜き性、耐熱
性、耐油性に優れるとともに電磁鋼板の占積率を低下せ
しめないといった特性を有することが要求される。ま
た、特殊なケースとして、トランス用鉄芯はEIコアのよ
うに、焼鈍後に再積層工程がある場合には、鋼板の滑り
性が積層作業の能率を左右するから、絶縁皮膜は、滑り
性に優れていることが併せ要求される。
絶縁皮膜に要求されるこれら特性を満足させるべく、
種々の絶縁皮膜形成方法が提案されてきている。一般的
には、1)燐酸塩またはクロム酸塩を主成分とする全無
機成分系の塗布剤を用いるもの、2)クロム酸塩をベー
スとし、有機樹脂を添加配合する半有機成分系の塗布剤
を用いるもの、3)全量有機物からなる全有機成分系の
塗布剤を用いるもの、の3種類である。
1)の全無機成分系の塗布剤を用いる場合、耐熱性、
溶接性に優れた電磁鋼板を得ることができるけれども、
打抜き性、密着性が著しく劣る。
3)の全有機成分系の塗布剤を用いる場合、打付き
性、密着性の良好な電磁鋼板とすることができるけれど
も、耐熱性、溶接性が悪いという問題がある。
前記両者の欠点を補完すべく提案されているのが、
2)の半有機成分系の塗布剤を用いるものである。さら
に最近では、上記種々の絶縁皮膜形成方法の改善策が種
々提案されている。
一方、所定の形状に打抜き或は切断加工された鋼板の
溶接性を改善する手段として、鋼板表面を粗くすること
が特公昭49−19078号公報に提案されている。即ち、 イ)有機皮膜を均一に塗布し、焼き付け中の未硬化皮膜
に、粗面を有するロールを接触させ、粗面を有する絶縁
皮膜とする方法、 ロ)溝切り塗布ロールで鋼板表面に縦溝皮膜を形成し、
次いで焼き付け中の未硬化皮膜に、溝を刻設した鋼製ロ
ールを接触させ、鋼板幅方向に延在する溝を入れる方
法、 ハ)塗布剤中に、約2μm以上の粒径を有する有機物粒
子を添加して鋼板に塗布し、焼付ける方法、 の3つの手段が提案されている。
また、特公昭55−21111号公報には、有機物粒子の分
散性および鋼板への付着性を向上させる手段として、鋼
板表面に燐酸系乃至クロム酸系の一種または二種を有機
樹脂と混合するに際し、塗布剤中に有機樹脂粒子を混合
することによって、2〜10μm(Hmax)の表面粗さをも
つ、打抜き性、溶接性に優れた電気絶縁皮膜を有する電
磁鋼板を得る方法であって、5μmの径をもつ有機樹脂
粒子を予めエマルジョン樹脂溶液に添加して均一に分散
させた後、この溶液を上記無機物質溶液と混合して電磁
鋼板表面に塗布し、次いで400〜700℃の温度域で短時間
の焼き付け処理を施すことによって上記樹脂を一部溶融
してその付着力を向上させる技術が開示されている。
耐焼鈍性を改善する手段として、燐酸,クロム酸,硼
酸,チオ結合を有する水溶性有機化合物および明礬を混
合した処理液を電磁鋼板に塗布する方法が、特公昭55−
1348号公報に開示されている。この先行技術によるとき
は、焼鈍後の電磁鋼板の電気絶縁性はかなり改善される
けれども、打抜き性が十分ではない。
このように、従来の有機或は半有機系絶縁皮膜に関し
ては、有機物から発生するガスによる溶接性の低下を抑
えることに主眼が置かれ、そのために、鋼板間における
通気性を良好ならしめるべく、皮膜表面粗さを大きくす
ることに努力が払われてきた。
しかしながら、従来の有機或は半有機系絶縁皮膜は、
有機物の耐熱性が高々400〜500℃である。従って、電磁
鋼板の需要家における歪取焼鈍のように、700〜800℃の
温度域での高温熱処理を電磁鋼板に施すと、有機物は焼
失してしまう。
前記のように、従来の粗粒樹脂を用いる技術は、乾
燥、焼き付け処理時に樹脂粒子の一部溶融によって皮膜
を半溶融状態にして、焼き付け後にある程度の表面粗さ
を有せしめるようにしたものであり、従来、粗粒樹脂の
耐熱性や焼鈍後の効果に着目した研究はなされていな
い。
かかる状況から、有機或は半有機系絶縁皮膜に関して
は、皮膜の耐熱性を向上させて焼鈍時の皮膜耐焼付き性
を焼鈍後の皮膜特性を改良する技術の開発が強く望まれ
ていた。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、従来技術における皮膜特性を損なうことな
く、電磁鋼板(鉄芯)の歪取焼鈍時の耐スティッキング
性,焼鈍後の鋼板滑り性,耐食性,電気絶縁性に優れた
絶縁皮膜を得ることができる無方向性電磁鋼板の製造方
法およびその方法に用いる電磁鋼板用表面処理剤を提供
することを目的とするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明の要旨とするところは下記のとおりである。
(1) CrO3100重量部、Al,Mg,Ca,Znから選ばれる酸化
物の一種又は二種以上20〜40重量部、粒子径0.2〜0.5μ
mに調整したアクリル,スチレン,酢酸ビニル及び/又
はこれらの共重合体からなる樹脂の一種又は二種以上の
微粒子エマルジョン溶液10〜60重量部(固形分換算)、
粒子径を1〜50μmに調整したメチルメタアクリレー
ト,ポリアクリルニトリル,ポリスチレン,スルホン化
スチレン,セルローズ,シリコン,メラミン,フェノー
ル,ポバールの樹脂及び/又はこれらの共重合体、架橋
体の一種又は二種以上2〜30重量部からなる電磁鋼板用
表面処理剤。
(2) CrO3100重量部、Al,Mg,Ca,Znから選ばれる酸化
物の一種又は二種以上20〜40重量部、Al,Mg,Caから選ば
れる第一燐酸塩の一種又は二種以上5〜25重量部、粒子
径0.2〜0.5μmに調整したアクリル,スチレン,酢酸ビ
ニル及び/又はこれらの共重合体からなる樹脂の一種又
は二種以上の微粒子エマルジョン溶液10〜60重量部(固
形分換算)、粒子径1〜50μmに調整したメチルメタア
クリレート,ポリアクリルニトリル,ポリスチレン,ス
ルホン化スチレン,セルローズ,シリコン,メラミン,
フェノール,ポバールの樹脂及び/又はこれらの共重合
体、架橋体の一種又は二種以上2〜30重量部からなる電
磁鋼板用表面処理剤。
(3) 無方向性電磁鋼板用素材を公知の方法で処理
し、最終焼鈍を行った鋼板上にクロム酸及び/又はクロ
ム酸塩の一種又は二種以上と有機樹脂からなる無機−有
機系皮膜の焼き付け処理を施す無方向性電磁鋼板の製造
方法において、CrO3100重量部、Al,Mg,Ca,Znから選ばれ
る酸化物の一種又は二種以上20〜40重量部、粒子径0.2
〜0.5μmに調整したアクリル,スチレン,酢酸ビニル
及び/又はこれらの共重合体からなる樹脂の一種又は二
種以上の微粒子エマルジョン溶液10〜60重量部(固形分
換算)、粒子径1〜50μmに調整したメチルメタアクリ
レート,ポリアクリルニトリル,ポリスチレン,スルホ
ン化スチレン,セルローズ,シリコン,メラミン,フェ
ノール,ポバールの樹脂及び/又はこれらの共重合体、
架橋体の一種又は二種以上2〜30重量部からなる表面処
理剤を塗布し、焼き付け処理することを特徴とする歪み
取り焼鈍時の耐焼付き性が優れ、焼鈍後の潤滑性及び絶
縁性の著しく優れる無方向性電磁鋼板の製造方法。
(4) 無方向性電磁鋼板用素材を公知の方法で処理
し、最終焼鈍を行った鋼板上にクロム酸及び/又はクロ
ム酸塩の一種又は二種以上と有機樹脂からなる無機−有
機系皮膜の焼き付け処理を施す無方向性電磁鋼板の製造
方法において、CrO3100重量部、Al,Mg,Ca,Znから選ばれ
る酸化物の一種又は二種以上20〜40重量部、Al,Mg,Caか
ら選ばれる第一燐酸塩の一種又は二種以上5〜25重量
部、粒子径0.2〜0.5μmに調整したアクリル,スチレ
ン,酢酸ビニル及び/又はこれらの共重合体からなる樹
脂の一種又は二種以上の微粒子エマルジョン溶液10〜60
重量部(固形分換算)、粒子径1〜50μmに調整したメ
チルメタアクリレート,ポリアクリルニトリル,ポリス
チレン,スルホン化スチレン,セルローズ,シリコン,
メラミン,フェノール,ポバールの樹脂及び/又はこれ
らの共重合体、架橋体の一種又は二種以上2〜30重量部
からなる表面処理剤を塗布し、焼き付け処理をすること
を特徴とする歪み取り焼鈍時の耐焼付き性が優れ、焼鈍
後の潤滑性及び絶縁性の著しく優れる無方向性電磁鋼板
の製造方法。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明者等は、電気機器加工メーカーのニーズに応え
るべく、無方向性電磁鋼板を使用する膨大な実験と研究
を重ねた結果、上記従来の改良技術を以てしても解決で
きなかった有機−無機成分系皮膜の焼鈍後の特性上の問
題、わけても焼鈍時における皮膜の耐焼付き性(耐ステ
ィッキング性)、焼鈍後の鋼板の滑り性,耐食性,電気
絶縁性の問題を一挙に解決し得る技術を開発することに
成功した。
即ち、本発明においては、有機−無機系皮膜の成分中
に、700〜800℃といった高温の熱処理を電磁鋼板(鉄
芯)に施すと、カーボンファイバーを形成したり、ベー
ス樹脂との反応物を形成するような高耐熱性タイプの粗
粒樹脂を、一定の粒子形態と添加量で配合することによ
って、従来技術における問題を解決し得ることを新に見
出した。
本発明においては、第一に、クロム酸塩−有機樹脂系
皮膜において、皮膜成分として特定の耐熱型の粗粒樹脂
を添加配合することにより、熱処理時にこの樹脂分或い
は共重合或いは架橋反応物をカーボンファイバー化して
残留させて表面の形状をコントロールする。この表面形
状効果により、焼鈍時の皮膜同士の焼付きを防止したり
焼鈍後の潤滑性や絶縁性を向上することができる。第二
に、無機成分として、燐酸Ca等の燐酸塩を併用して微量
添加することにより、焼鈍後の潤滑性や耐食性を向上さ
せるものである。
特に、耐熱型の粗粒樹脂と微量の燐酸塩を併用した場
合には、微粒子の樹脂分の中に点在する耐熱性粗粒子樹
脂と微量燐酸塩の存在によって通常の半有機皮膜では熱
処理時に生じる皮膜の分解亀裂が抑制されるため、焼鈍
後の耐食性が著しく改善される。このような効果は、通
常の有機樹脂では全く得られず、本発明の範囲の特定の
樹脂とその形状で、微量燐酸塩を併用した時に効果が増
大するものである。
本発明に使用する処理液の種類及び配合割合及び処理
条件を前記範囲にするのが好適であるのは、以下の理由
による。
本発明に使用する処理剤は主成分として第一にクロム
酸と、Al,Mg,Ca,Znから選ばれる酸化物の一種又は二種
以上と、必要に応じてAl,Mg,Caから選ばれる第一燐酸塩
の一種または二種以上が添加された溶液が無機成分とし
て使用される。
第二に有機成分としては粒子径を0.2〜0.5μmに調整
したアクリル,スチレン,酢酸ビニル及びこれらの共重
合体の一種又は二種以上を添加配合させたものが主成分
である。
本発明では、第三の構成物として粒子径を1〜50μm
に調整したメチルメタアクリレート,ポリアクリルニト
リル,ポリスチレン,スルホン化スチレン,セルロー
ズ,シリコン,メラミン,フェノール,ポバールの樹脂
及び/又はこれらの共重合体、架橋体の一種又は二種以
上が添加剤として使用される。
即ち、従来の技術としてのクロム酸−クロム酸塩−微
粒子有機エマルジョン処理剤に対し、クロム酸及びAl,M
g,Ca,Znから選ばれる酸化物の一種又は二種以上−必要
に応じてAl,Mg,Caから選ばれる第一燐酸塩の一種または
二種以上−微粒子樹脂エマルジョン溶液−粗粒子耐熱性
樹脂によって構成されるところに特徴がある。
第一の無機成分としては、CrO3100重量部に対し、Al,
Mg,Ca,Znから選ばれる酸化物の一種又は二種以上20〜40
重量部と、必要に応じてAl,Mg,Caから選ばれる第一燐酸
塩の一種または二種以上5〜25重量部とが配合される。
この無機成分は皮膜中のCr+6の還元や皮膜の密着性、耐
熱性等をコントロールするために重要である。CrO3に対
する酸化物の量が20重量部未満ではフリーのCr+6が増加
し、必要以上の還元剤の添加を必要とするため好ましく
ない。逆に40重量部超では酸化物によってはCrO3と反応
しないフリーの酸化物が残留するため、皮膜外観で密着
性を損ねるため好ましくない。
無機成分として必要に応じて添加される前記第一燐酸
塩は5〜25重量部が配合される。5重量部未満では焼鈍
後の耐熱性や潤滑性、耐食性の改善効果が小さく、25重
量部超では、打抜き性、密着例に悪影響を与える。前記
第一燐酸塩は耐熱型の有機樹脂成分等との反応でつくり
だす表面の微細な凹凸形状の形成に効果的であり、特
に、第一燐酸カルシウムの添加よる皮膜の潤滑特性の向
上効果は顕著である。
次に第二の主成分である微粒子有機樹脂としてのアク
リル,スチレン,酢酸ビニル及び/又はこれらの共重合
体からなる樹脂の一種または二種以上の微粒子エマルジ
ョン溶液の配合割合はCrO3100重量部に対し10〜60重量
部(固形分換算)である。この限定条件は、打抜き性、
溶接性、等の特性に影響を与えるため重要で、10重量部
より少ないと打抜き性が極端に劣化する。逆に60重量部
超では溶接性と耐熱性が劣化するため好ましくない。し
かして、前記微粒子有機樹脂の粒子径は0.2〜0.5μmの
微粒子であることが重要である。この粒子径は、後述す
る第三の有機樹脂成分と第一の無機成分との乾燥或いは
熱処理時の反応によって焼き付け処理後に鋼板表面形状
が微妙に造り出され、焼鈍前後の潤滑性等の改善効果を
生じると共に、耐熱性の良い皮膜を形成するために重要
である。0.5μmより大きいと薄塗りした場合に外観の
良い皮膜が得られず、又、占積率を悪くする。他方、0.
2μm未満では安定して十分な分散性のあるエマルジョ
ン樹脂溶液を工業的に得るのが困難である。
第三の構成成分である粗粒耐熱性の樹脂としては、粒
子径が1〜50μmのメチルメタアクリレート,ポリアク
リルニトリル,ポリスチレン,スルホン化スチレン,セ
ルローズ,シリコン,メラミン,フェノール,ポバール
の樹脂及び/又はこれらの共重合体、架橋体樹脂の一種
又は二種以上が使用される。
これらの樹脂は、焼鈍によって樹脂分のカーボンファ
イバー化が生じ、ベース樹脂や燐酸塩との反応物によっ
て、鋼板表面に緻密なカーボンファイバー主成分の突起
を残留させて焼鈍後の表面形状のコントロールを可能に
する。
粗粒樹脂の効果は前記樹脂のいずれでもそれなりの効
果は得られるが、前記樹脂の共重合体もしくは架橋体を
使用するか、これらを組合せて使用した場合が最も効果
的である。
粗粒樹脂の粒子径は1〜50μmとする。1μmより小
さいと焼鈍後のファイバー状突起による目的の粗さが得
られず、またベース皮膜成分の焼鈍による亀裂発生の防
止効果が得られない。このため、潤滑性、絶縁性等の向
上効果が得られない。50μmより大きいと、カーボンフ
ァイバー主成分の突起が大きくなり過ぎて占積率を劣化
させるため好ましくない。
粗粒樹脂の配合割合はCrO3100重量部に対して2〜30
重量部である。2重量部より少ないと焼鈍後に目的の表
面の微細な凹凸形状は得られず、潤滑性、耐スティッキ
ング性の改善や皮膜の緻密化が生じない。30重量部より
多いと表面粗さが粗くなり過ぎて占積率が劣化するため
問題である。
第1図に粗粒樹脂の種類と添加量の歪取焼鈍後の鋼板
の表面粗さRaとの関係を示す。この結果でも粗粒樹脂の
単体物よりも、共重合体を使用した場合の方が焼鈍後の
Ra値が大きく、耐熱性の良い結果が得られている。
第2図には、CrO3100g+MgO 20g+微粒子アクリル−
スチレン樹脂エマルジョンからなるベース液に、耐熱性
粗粒樹脂として粒子径25μmのメチルメタアクリレート
の添加量を変えて添加した場合の焼鈍後の潤滑性を測定
した結果を示す。
第2図(a)は比較例としてベース液のみの場合、同
図(b)〜(d)はメチルメタアクリレートの添加量が
5g,10g,20gの場合の本発明例を示す。
潤滑特性は粗粒樹脂の添加量を増した場合が著しく良
好で、焼鈍後の表面突起が大きな影響を与えていること
を示している。
以上、本発明における構成要件の限定理由、効果等に
ついて述べてきたが本発明の処理液としては、前記の三
つの主成分の他に、グリセリン等の還元剤や、硼酸、硼
酸塩等のガラス形成剤を加えても良い。
実施例1 夫自体公知の方法で処理した板厚0.5mmの無方向性電
磁鋼板に表1に示す組成の耐熱性粗粒樹脂として粒子径
20μmの粗粒子樹脂の添加量を変えた処理剤をゴムロー
ルで塗布し、450℃で30秒間の焼き付け処理を行った。
この際の塗布量は乾燥、焼き付け後の重量で1.5g/m2
あった。
この鋼板からサンプルを切出し、750℃×2Hrの歪取焼
鈍を行い、焼鈍時の鋼板のスティッキング状況,焼鈍後
の鋼板の表面粗さ,皮膜潤滑性,絶縁性、耐食性等につ
いて調査を行った。
(1) スティッキング性試験方法 3cm×4cmに切断した鋼板を積層し、締付け圧力40kg/c
m2で締付けた状態で750℃×2HrN2中で焼鈍を行った後の
鋼板の剥離荷重を測定した。
(2) 密着性試験方法 焼鈍後の鋼板表面にセロハンテープを貼付け、セロハ
ンテープを剥がした時の皮膜を剥離状況を調査した。
(3) 潤滑性試験方法 焼鈍後の鋼板表面に直径10mmの鋼球を荷重100gの条件
で当て、往復運動させたときの滑り性(表面抵抗)を測
定した。
(4) 耐食性試験方法 焼鈍後の鋼板を5×10cmに切断後、恒温湿気層中で50
℃×24Hr(湿度98%)の処理を行った後の錆発生状況を
調査した。
(5) 層間抵抗試験方法 JIS第二法によって測定した。
この試験の結果、本発明によるものは焼鈍後の皮膜特
性として、耐スティッキング性、潤滑性、耐食性、絶縁
性等がいずれも比較例に比し、著しく改善された結果が
得られた。
また、この実験における比較例の特開昭61−183479号
公報記載のものは、粗粒樹脂を添加することでは本発明
と類似点はあるが、粗粒樹脂に耐熱性がないため、本発
明の様な焼鈍後の効果は全く生じなかった。
実施例2 実施例1と同様にして、表3の如く無機−有機微粒子
エマルジョン樹脂のベース組成液に対し、耐熱型粗粒子
樹脂を添加した処理剤をコーティングロールで塗布し、
400℃で60秒間の焼き付け処理を行った。この際の塗布
量は焼き付け後の重量で1.5g/m2であった。
この鋼板からサンプルを切出し、750℃×2HrのN2中歪
取焼鈍を行った後、実施例1と同様にして皮膜特性の調
査を行った。
この試験の結果、本発明の処理剤を使用したものは、
実施例1と同様に、焼鈍後の皮膜特性が著しく改善され
た結果が得られた。
また、以上の実施例1,2では打抜き性、溶接性等の通
常の皮膜特性においても比較例と同様の結果を示し、問
題がなかった。
(発明の効果) 本発明の処理方法においては、クロム酸塩−有機樹脂
系の処理液において、特定の耐熱型粗粒樹脂を添加配合
することにより、従来の皮膜特性を損なうことなく、従
来の有機−無機系皮膜の欠点であった焼鈍後の皮膜特性
を改善できる。
特に、歪取焼鈍での皮膜の焼付きがなく、良好な磁気
特性が得られると共に、潤滑性,耐食性,絶縁性等の優
れた絶縁皮膜を形成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は耐熱型粗粒子樹脂の種類及び添加量と歪取焼鈍
後の表面粗さの関係を示す図、第2図は耐熱型粗粒子樹
脂の添加量と焼鈍後の皮膜潤滑性を示す図である。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】CrO3100重量部、Al,Mg,Ca,Znから選ばれる
    酸化物の一種又は二種以上20〜40重量部、粒子径0.2〜
    0.5μmに調整したアクリル,スチレン,酢酸ビニル及
    び/又はこれらの共重合体からなる樹脂の一種又は二種
    以上の微粒子エマルジョン溶液10〜60重量部(固形分換
    算)、粒子径を1〜50μmに調整したメチルメタアクリ
    レート,ポリアクリルニトリル,ポリスチレン,スルホ
    ン化スチレン,セルローズ,シリコン,メラミン,フェ
    ノール,ポバールの樹脂及び/又はこれらの共重合体、
    架橋体の一種又は二種以上2〜30重量部からなる電磁鋼
    板用表面処理剤。
  2. 【請求項2】CrO3100重量部、Al,Mg,Ca,Znから選ばれる
    酸化物の一種又は二種以上20〜40重量部、Al,Mg,Caから
    選ばれる第一燐酸塩の一種又は二種以上5〜25重量部、
    粒子径0.2〜0.5μmに調整したアクリル,スチレン,酢
    酸ビニル及び/又はこれらの共重合体からなる樹脂の一
    種又は二種以上の微粒子エマルジョン溶液10〜60重量部
    (固形分換算)、粒子径1〜50μmに調整したメチルメ
    タアクリレート,ポリアクリルニトリル,ポリスチレ
    ン,スルホン化スチレン,セルローズ,シリコン,メラ
    ミン,フェノール,ポバールの樹脂及び/又はこれらの
    共重合体、架橋体の一種又は二種以上2〜30重量部から
    なる電磁鋼板用表面処理剤。
  3. 【請求項3】無方向性電磁鋼板用素材を公知の方法で処
    理し、最終焼鈍を行った鋼板上にクロム酸及び/又はク
    ロム酸塩の一種又は二種以上と有機樹脂からなる無機−
    有機系皮膜の焼き付け処理を施す無方向性電磁鋼板の製
    造方法において、CrO3100重量部、Al,Mg,Ca,Znから選ば
    れる酸化物の一種又は二種以上20〜40重量部、粒子径0.
    2〜0.5μmに調整したアクリル,スチレン,酢酸ビニル
    及び/又はこれらの共重合体からなる樹脂の一種又は二
    種以上の微粒子エマルジョン溶液10〜60重量部(固形分
    換算)、粒子径1〜50μmに調整したメチルメタアクリ
    レート,ポリアクリルニトリル,ポリスチレン,スルホ
    ン化スチレン,セルローズ,シリコン,メラミン,フェ
    ノール,ポバールの樹脂及び/又はこれらの共重合体、
    架橋体の一種又は二種以上2〜30重量部からなる表面処
    理剤を塗布し、焼き付け処理することを特徴とする歪み
    取り焼鈍時の耐焼付き性が優れ、焼鈍後の潤滑性及び絶
    縁性の著しく優れる無方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】無方向性電磁鋼板用素材を公知の方法で処
    理し、最終焼鈍を行った鋼板上にクロム酸及び/又はク
    ロム酸塩の一種又は二種以上と有機樹脂からなる無機−
    有機系皮膜の焼き付け処理を施す無方向性電磁鋼板の製
    造方法において、CrO3100重量部、Al,Mg,Ca,Znから選ば
    れる酸化物の一種又は二種以上20〜40重量部、Al,Mg,Ca
    から選ばれる第一燐酸塩の一種又は二種以上5〜25重量
    部、粒子径0.2〜0.5μmに調整したアクリル,スチレ
    ン,酢酸ビニル及び/又はこれらの共重合体からなる樹
    脂の一種又は二種以上の微粒子エマルジョン溶液10〜60
    重量部(固形分換算)、粒子径1〜50μmに調整したメ
    チルメタアクリレート,ポリアクリルニトリル,ポリス
    チレン,スルホン化スチレン,セルローズ,シリコン,
    メラミン,フェノール,ポバールの樹脂及び/又はこれ
    らの共重合体、架橋体の一種又は二種以上2〜30重量部
    からなる表面処理剤を塗布し、焼き付け処理をすること
    を特徴とする歪み取り焼鈍時の耐焼付き性が優れ、焼鈍
    後の潤滑性及び絶縁性の著しく優れる無方向性電磁鋼板
    の製造方法。
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