JP3065810B2 - 被膜特性の優れる無方向性電磁鋼板及びその鋼板用表面処理剤 - Google Patents

被膜特性の優れる無方向性電磁鋼板及びその鋼板用表面処理剤

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、打ち抜き性、溶接性、
占績率等の焼鈍前の被膜特性が優れ、且つ、焼鈍後の被
膜の潤滑性、絶縁性、耐蝕性等の特性の優れる無方向性
電磁鋼板及び該鋼板用の表面処理剤に関する。
【0002】
【従来の技術】電磁鋼板は、渦電流による鉄損を減少さ
せるために鋼板表面に絶縁被膜が処理され、焼付け処理
が施されて使用される。電磁鋼板が使用されるモーター
或いはトランスの鉄心は、電磁鋼板或いはストリップを
所定の幅にスリット後、連続的に鉄心形状に打ち抜く
か、切断後、積層し、この積層体のエッジ部を溶接或い
はカシメて固定するプロセスによって製作される。鉄心
はその後必要に応じて700〜800℃の温度域で歪取
り焼鈍を施された後、巻線がなされ、ケースに挿入され
て最終製品とされる。
【0003】したがって、電磁鋼板表面に形成される絶
縁被膜は、絶縁性に優れていることは勿論、打ち抜き
性、密着性、耐熱性、耐油性に優れると共に、電磁鋼板
の占積率を低下せしめないといった特性を有することが
要求される。また特殊なケースとして、トランス用鉄心
は、例えば、EIコアのように焼鈍後に再度自積層工程
がある場合には、鋼板表面の滑り性が積層時の作業効率
を左右する。このため、製品の絶縁被膜は滑り性、耐キ
ズ付き性等が優れていることが併せて重要である。
【0004】絶縁被膜に要求されるこれらの特性を満足
させるべく、種々の絶縁被膜形成方法が提案されて来
た。一般には、1)燐酸塩又はクロム酸塩を主成分とす
る全無機成分系の塗布剤を用いるもの、2)クロム酸塩
をベースとし、有機樹脂を添加配合する半有機成分系の
塗布剤を用いるもの、3)全量有機物質からなる全有機
成分系の塗布剤を用いるもの、の3種類である。1)の
全無機成分系の塗布剤を用いる場合、耐熱性、溶接性に
優れた電磁鋼板を得ることはできるが、打ち抜き性、密
着性が著しく劣る。3)の全有機成分系の塗布剤を用い
る場合には、打ち抜き性、密着性の良好な電磁鋼板とす
ることはできるが、耐熱性、溶接性が悪いという問題が
ある。前記、両者の欠点を補完すべく提案されているの
が2)の半有機成分系の塗布剤を用いるものである。
【0005】さらに、最近では、上記種々の絶縁被膜形
成方法の改善策が提案されている。例えば、所定の形状
に打ち抜き、或いは切断加工された鋼板の表面形状をコ
ントロールする方法として、特開昭52−33846号
公報には燐酸系、クロム酸系の1種又は2種以上と有機
樹脂の混合被膜を形成するに際し、処理液中に有機樹脂
粒子を添加して表面粗さを2〜10μmHmax の打ち抜
き性、溶接性の優れた電気絶縁被膜を形成する方法にお
いて、粒径が5〜10μmの有機樹脂粒子を用い、これ
を予め、従来のエマルジョン樹脂に添加して、均一に分
散後、無機物質に混合し、鋼板表面に塗布焼付けする方
法が提案されている。これにより、表面粗度が粗くな
り、溶接時の通気性がよくなり、良好な溶接性が得られ
るものである。
【0006】また、特開昭61−183479号公報に
は、燐酸系、クロム酸系の1種又は2種以上よりなる無
機系溶液と粒子径が2〜50μmの有機樹脂粒子粉体
が、予め添加分散されたエマルジョン樹脂溶液との混合
液を電磁鋼板表面に塗布し、焼付けて、電磁鋼板表面
に、表面粗さが0.5〜1.5μmの打ち抜き性、溶接
性ならびに絶縁性の優れた電気絶縁被膜を形成する方法
において、上記有機樹脂の粒子をエマルジョン樹脂溶液
に添加される前に、分散性向上剤で表面処理することを
特徴とする電磁鋼板の表面処理方法が提案されている。
これにより、打ち抜き性がよく、溶接性、耐熱性等に優
れた無方向性電磁鋼板が得られることが述べられてい
る。
【0007】さらに、特開平3−240970号公報に
は、歪取り焼鈍後の被膜特性の優れた無方向性電磁鋼板
の製造方法として、CrO3 100重量部、Al,M
g,Ca,Znから選ばれる酸化物の1種又は2種以上
を20〜40重量部、粒子径0.2〜0.5μmに調整
したアクリル、スチレン、酢ビ及び/又はこれらの共重
合体からなる樹脂の1種又は2種以上の微粒子エマルジ
ョン溶液10〜60重量部、粒子径を1〜50μmに調
整したメチルメタアクリレート、ポリアクリルニトリ
ル、ポリスチレン、セルローズ、シリコン、メラミン、
フェノール、ポバール樹脂及び/又はこれらの共重合
体、架橋体の1種又は2種以上を2〜30重量部からな
るものを塗布することを開示している。これにより、打
ち抜き性、溶接性等が良好で且つ、歪取り焼鈍後の特に
潤滑性が優れ、さらに、絶縁性、耐蝕性等が著しく優れ
るものである。
【0008】しかしながら、これらの従来の技術は、ベ
ース樹脂としては、粒子径0.3μm以下のような微粒
子エマルジョン樹脂を用い、表面粗さを得るために添加
する粗粒子の樹脂として、いずれも極端に粒子径の粗い
粉体樹脂を使用するものである。このため粗粒子樹脂の
添加による効果は得られているものの問題点として、粗
粒子の添加時の樹脂粉末の凝集や、これによる被膜中で
の粒子の不均一性及び鋼板へのぬれ性の悪さのために、
被膜特性が安定しない問題がある。また、さらに、耐熱
性、溶接性等の向上のために、かなり大量の粗粒子樹脂
添加の必要性がある。このため、占積率の大幅な低下や
被膜外観を劣化させる場合がある。
【0009】かかる状況から、有機−無機成分による半
有機系被膜に関しては、安定的に表面形状をコントロー
ルし、打ち抜き性、溶接性等が良好で、且つ、被膜の耐
熱性を向上させることにより、焼鈍後の潤滑性、耐蝕
性、絶縁性等に優れた製品が鉄心加工メーカーより強く
望まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、被膜成分の
均一性、密着性等に優れ、表面形状を粗粒エマルジョン
樹脂によりコントロールされた電磁鋼板に関わり、電磁
鋼板使用時の歪取り焼鈍前後における打ち抜き性、溶接
性、スティッキング性、潤滑性、耐キズ付き性、耐蝕
性、絶縁性等の特性が優れた、無方向性電磁鋼板とその
無方向性電磁鋼板を得るために塗布する表面処理剤を提
供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは下記の通りである。すなわち、(1)電磁鋼板の表
面に、有機物質として、粒子径0.5〜3.0μmの、
少なくともスチレン系及び/又はエポキシ系樹脂を50
%以上含有するスチレン、エポキシ、フェノール、メラ
ミン、ポリエステル、酢ビ、アクリル、シリコン系樹脂
の1種又は2種以上とAl,Mg,Ca,Zn等のクロ
ム酸塩の1種又は2種以上を主成分とする処理剤が焼付
けされ、表面粗さがRa値(中心線平均粗さ)で0.1
5〜0.6μmの絶縁被膜が形成され、且つ、粗粒子エ
マルジョン樹脂により表面に形成される球面状の突起物
形状が、直径3μm以下、高さ3μm以下であることを
特徴とする被膜特性の優れる無方向性電磁鋼板、及び
(2)有機物質として、粒子径0.5〜3.0μmの、
少なくともスチレン系及び/又はエポキシ系樹脂を50
%以上含有するスチレン、エポキシ、フェノール、メラ
ミン、ポリエステル、酢ビ、アクリル、シリコン系エマ
ルジョン樹脂の1種又は2種以上100重量部に対し、
Al,Mg,Ca,Zn等の中から選ばれるクロム酸塩
物質の1種又は2種以上をCrO3 として100〜80
0重量部と硼酸、硼酸塩物質の1種又は2種以上を30
〜250重量部からなる無方向性電磁鋼板用表面処理剤
である。
【0012】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明
者等は、近年の無方向性電磁鋼板を使用して鉄心加工を
行う需要家のニーズとして、従来の有機−無機系被膜処
理剤を使用した場合の欠点である、溶接性及び焼鈍後の
被膜潤滑性、耐蝕性等の被膜性の向上に努めるべく、膨
大な実験と研究を行った。その結果、従来の改善技術を
もってしても、解決できなかった、有機−無機系被膜処
理剤の需要家での上記問題を一挙に解決し得る技術を開
発することに成功した。すなわち、本発明においては、
ベース樹脂として、従来技術で適用されてきた、粒子径
0.2μm程度の微粒子エマルジョン樹脂に替えて、そ
の粒子径を従来のエマルジョン樹脂の利用技術としては
常識を超えた粒子径0.5〜3.0μmの粗粒子のエマ
ルジョンの適用技術を開発した。これにより、液組成の
中での粗粒子樹脂の分散性と鋼板への良好な塗布性を得
た。またさらに樹脂成分として少なくともスチレン及び
/又はエポキシ系樹脂を50%以上含有する樹脂の適用
技術を開発した。これにより、焼付け処理後の鋼板への
被膜組成の均一性、密着性と共に、均一な球面状の突起
形状を安定して得られる技術の実現に至った。この結
果、従来技術では実現不可能とされていた、焼鈍前の打
ち抜き性、溶接性等が優れ、焼鈍後の潤滑性、耐蝕性、
絶縁性等の全てを満足できる技術を膨大な研究と実験の
結果、開発することに成功したものである。
【0013】本発明における第1の特徴は、有機樹脂−
無機成分において、有機樹脂として、粒子径0.5〜
3.0μmに調整した少なくともスチレン及び/又はエ
ポキシ系樹脂を50%以上含有するスチレン、エポキ
シ、フェノール、メラミン、ポリエステル、酢ビ、アク
リル、シリコン系エマルジョン樹脂を利用するところに
特徴がある。第2に無機物質として、Al,Mg,C
a,Zn等の中から選ばれるクロム酸塩の1種又は2種
以上を前記粗粒子エマルジョン100重量部に対し、1
00〜800重量部の割合で添加配合する。第3の成分
としては、硼酸、硼酸塩の1種又は2種以上を粗粒子エ
マルジョン100重量部に対し、30〜250重量部を
添加配合する。これらの混合液においては、本発明の粗
粒子エマルジョン樹脂は他の成分との分散性が非常に良
好で、均一な溶液相を作る。このため、スチレン及び/
又はエポキシ系樹脂を主体とする耐熱性のある樹脂によ
り構成される粗粒樹脂の表面は、均一にクロム酸塩、硼
酸、硼酸塩等により、カバーされる。そして、塗布、焼
付け時には、粗粒エマルジョンの粒径効果によって、鋼
板表面に均一に分散し、有機樹脂を無機成分で包んだ微
細な突起を形成する。
【0014】このような被膜組成と表面の形状効果によ
って、打ち抜き性、溶接性の優れた被膜を形成すると共
に、さらに、無機成分によりカバーされたスチレン及び
/又はエポキシ系樹脂主体の粗粒子エマルジョン粒子
は、粒径効果や樹脂成分による耐熱性によって歪取り焼
鈍のような熱処理によっても分解、消失することがな
く、焼鈍前の形状を維持したままで、表面に無機−有機
反応物による突起を維持する。これにより、焼鈍後にお
いても、潤滑性、絶縁性、耐蝕性、密着性等に飛躍的に
優れた被膜を形成する。このような効果は、通常の微粒
子エマルジョン樹脂を使用した場合には全く見られず、
本発明のような粗粒子の耐熱型のスチレン及び/又はエ
ポキシ系主体の樹脂を適用した場合の特徴である。また
従来技術に見られる、微粒子エマルジョン樹脂への粗粒
子樹脂粉末の添加技術では、本発明のような被膜の均一
性、塗布性の安定化効果は得られない。
【0015】本発明に使用する処理液の種類、配合割合
及び処理条件を前記範囲内に限定するのが好適なのは以
下の理由による。本発明に適用される主成分の一つであ
る粗粒子エマルジョンはその粒子径が0.5〜3.0μ
mのように、従来のエマルジョン樹脂適用技術では予想
すらしなかった粗大粒子である。またその成分として
は、少なくともスチレン及び/又はエポキシ系樹脂を5
0%以上含有するエポキシ、スチレン、メラミン、ポリ
エステル、酢ビ、アクリル、シリコン系樹脂の1種又は
2種以上が用いられる。これらの樹脂としては、上記樹
脂群による共重合体、架橋体等の物を用いてもよい。エ
マルジョン樹脂の粒子径は本発明の上で最も重要な要素
であり、粒子径が図3に示すように0.5μm以下で
は、本発明のような表面の均一な球状突起結果、耐熱性
改善結果、被膜の充填結果が得られ難い。一方、3.0
μm以上では、焼付け後の鋼板表面粗度が粗くなり過ぎ
て、従来技術で開示されている粗大粉体粒子添加の場合
と同様に占積率が劣化したり、後の鉄心加工工程で被膜
中の粒子が脱落するような問題があるので好ましくな
い。また、エマルジョン状の粒子の沈降性やぬれ性、或
いは製造コストの問題からも制限される。被膜特性、作
業性等の面で総合的に優れるのは、0.7〜1.2μm
である。樹脂成分としては、少なくともスチレン及び/
又はエポキシ系樹脂を50%以上含有する前記の組成樹
脂であることが重要である。前記の粒子の粗大化技術を
適用することにより、打ち抜き性、溶接性等と共に、歪
取り時の耐熱性向上効果が顕著に得られる。スチレン及
び/又はエポキシ系樹脂がこれらの樹脂成分中で50%
未満では特に耐熱性が十分良好であるとは言えず焼鈍後
の潤滑性、絶縁性、耐蝕性等の改善効果が得られ難い。
50%以上ではこれらの顕著な改善効果が得られる。こ
れらの樹脂成分以外では本発明の粗粒エマルジョン樹脂
技術の適用をもってしても上記改善効果が得られない。
【0016】次に、無機成分として使用されるクロム酸
塩は、Al,Mg,Ca,Zn等の中から選ばれる1種
又は2種以上のクロム酸塩が前記樹脂成分100重量部
当たりCrO3 として100〜800重量部が配合され
る。クロム酸塩が100重量部以下では、有機樹脂の表
面被覆効果を得るためのクロム化合物が不足して、本発
明の粗粒子エマルジョン技術においても十分な耐熱性が
得られなくなる。一方、800重量部より多くなると耐
熱性の向上効果は増大するが、全被膜成分中の有機成分
の割合が減って打ち抜き性等の加工性を劣化するので好
ましくない。クロム化合物としては、液の安定性と溶解
性等の問題から、重クロム酸組成のものが最も良好で、
必要に応じて、フリーのCrO3 を添加してもよい。
【0017】硼酸、硼酸塩は樹脂エマルジョン100重
量部当たり30〜250重量部が添加される。これら
は、被膜のガラス化剤、充填材として働き、被膜の緻密
化、良好な外観等が得られる。添加量が30重量部以下
では、これらの被膜緻密化効果が得られず、一方250
重量部以上では、これら硼酸、硼酸化合物は溶解度が低
いため、溶解状態が不安定となって被膜外観に影響を与
えたり、溶液の管理が困難になる。
【0018】本発明の被膜剤の適用に当たっては、エマ
ルジョン樹脂のぬれ性向上のために、表面活性剤、ぬれ
性改善剤、また、クロム化合物の還元強化剤等を添加し
て処理してもよい。
【0019】次に本発明により、打ち抜き性がよく、溶
接特性が優れ、且つ、焼鈍後の被膜潤滑性、絶縁性、耐
蝕性等が優れる効果が得られる理由を説明する。本発明
においては、成分としてスチレン及び/又はエポキシ樹
脂を50%以上含有する粗粒子エマルジョン樹脂とクロ
ム化合物、硼酸化合物等の無機成分によって鋼板表面に
均一で、微細な球状の突起を分散形成する。この表面の
均一、微細な表面形状制御効果は、従来技術にあるよう
な、粉体の粗粒子樹脂の添加では得られないもので、打
ち抜き性、溶接性の良好な被膜が得られる。また、本発
明の耐熱性のある主成分として、スチレン及び/又はエ
ポキシ系の成分樹脂を0.5〜3.0μmの粗粒子エマ
ルジョンとした場合には、樹脂成分自体の耐熱性の向上
と共に熱処理時の樹脂分の分解反応をサイズ効果によっ
て抑制すると共に、単位粒子当たりのAl,Mg,C
a,Zn等のクロム酸塩や硼酸塩等の無機成分の被覆量
が増大して、より、耐熱性が向上する効果が得られる。
このため、図1(a),(b)に示す如く、焼鈍前後
で、鋼板表面の球状突起のサイズが変化することがなく
表面の粗さも変化しない。これらの無機−有機化合物は
焼鈍時期に適度な被膜の充填作用を生じて、微粒子エマ
ルジョン樹脂を用いた従来被膜(図2(a),(b)に
示している)に見られるような亀裂発生を防止する。こ
の結果、焼鈍後の被膜特性においても、被膜の形状効
果、固さ、緻密さ等によって、図3に示す如く被膜の潤
滑性と、絶縁性、耐蝕性等の従来の有機−無機系被膜で
得られなかったような新たな効果が得られるものと考え
られる。
【0020】
【実施例】
〔実施例1〕公知の方法で熱処理した板厚0.5mmの無
方向性電磁鋼板コイルに、表1に示す組成の粒子径を1
μmに調整したエマルジョン樹脂を主成分とする処理剤
をゴムロール方式の塗布装置で塗布し、板温350℃で
焼付け処理を行った。この際の塗布量は、焼付け後の重
量で1.2g/m2 であった。このコイルからサンプル
を切り出し、打ち抜き性、溶接性及び750℃×2Hrの
歪取り焼鈍後の被膜の潤滑性、耐蝕性、絶縁性等の調査
を行った。結果を表2に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】この結果、本発明によるものは、打ち抜き
性、溶接性等の焼鈍前特性が良好で、焼鈍後の被膜特性
として、潤滑性、耐蝕性、絶縁性等いずれも比較例に比
し、良好な結果が得られた。特に、樹脂成分100重量
部に対し、重クロム酸塩を300重量部以上では、いず
れも著しい改善効果が見られた。
【0024】〔実施例2〕実施例1と同様にして、仕上
げ焼鈍後の板厚0.5mm(原板の表面粗度Ra値0.1
3)の無方向性電磁鋼板のコイルに、表3に示すように
エマルジョン樹脂の粒子径を変更した樹脂と重クロム酸
塩、硼酸からなる被膜剤を塗布し、板温350℃で焼付
け処理を行い製品とした。この鋼板からサンプルを切り
出し、実施例1の場合と同様にして被膜特性の調査を行
った。結果を表4に示す。
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】この結果、本発明のものは、ベースのエマ
ルジョン樹脂の粒子径に応じて表面粗度がコントロール
され、またいずれも焼鈍前の粗度と焼鈍後の粗度がほと
んど変化がなく、溶接性や焼鈍後の被膜の潤滑性、耐焼
付き性等において、いずれも良好な結果が得られた。
【0028】一方、比較例1の従来の微粒子エマルジョ
ンを使用した場合には、溶接性、焼鈍後の被膜特性とも
本発明に比し、著しく劣る結果となった。また、比較例
2の原板の粗度を粗くして従来の微粒子エマルジョン系
の処理剤を塗布したものも、溶接性については若干の効
果は見られたが、焼鈍後の潤滑性、耐焼付き性等はいず
れも不良で、本発明のように粗粒子のエマルジョンが作
り出す微細な球状突起が大きい効果を生み出しているこ
とを証明する結果となった。
【0029】
【発明の効果】本発明の耐熱性粗粒子エマルジョンと無
機成分系を適用する処理剤と製品においては、従来の微
粒子エマルジョン樹脂や、耐熱性向上剤としての粗大粒
子の粉体樹脂を添加する技術では到底実現できなかった
均一な被膜組成を持ち、均一に且つ微細に分散した球状
の突起を有する被膜が得られる。この被膜成分と形状効
果がマッチして焼鈍前後の特性を両立する。特に焼鈍後
の被膜の潤滑性、耐キズ付き性、耐蝕性等の優れた製品
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粗粒子エマルジョンとして粒子径0.
8μmのスチレン樹脂を使用した場合の鋼板表面の被膜
をSEMにて観察した粒子構造を示す写真であって、
(a)は歪取り焼鈍前、(b)は焼鈍後の状態を示す。
【図2】比較例として粒子径0.2μmのアクリル−酢
ビ系樹脂を使用した場合の鋼板表面の被膜をSEMにて
観察した粒子構造を示す写真であって、(a)は歪取り
焼鈍前、(b)は焼鈍後の状態を示す。
【図3】本発明の耐熱性のエマルジョン樹脂の粒子径と
焼鈍後の鋼板表面の耐キズ付き性を示す。
【図4】図3で焼鈍後の被膜の潤滑性を測定する場合の
装置の略図である。
【図5】歪取り焼鈍時焼付き性を測定する方法であって
(a)に示すように鋼板を積層し、締付け圧力40kg/
cm2 で締付け後、750℃×2Hrの焼鈍を行い、(b)
に示すようにバネ秤で鋼板の剥離加重を測定した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 広瀬 喜久司 兵庫県姫路市広畑区富士町1番地 新日 本製鐵株式会社 広畑製鐵所内 (72)発明者 竹田 和年 兵庫県姫路市広畑区富士町1番地 新日 本製鐵株式会社 広畑製鐵所内 (56)参考文献 特開 昭49−56200(JP,A) 特開 平3−74418(JP,A) 特開 昭63−33578(JP,A) 特開 昭61−183479(JP,A) 特開 平4−218677(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 22/00 - 22/86

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電磁鋼板の表面に、有機物質として、粒
    子径0.5〜3.0μmのスチレン系及びエポキシ系樹
    脂の何れか又は両方を少なくとも50%以上含有するス
    チレン、エポキシ、フェノール、メラミン、ポリエステ
    ル、酢ビ、アクリル、シリコン系エマルジョン樹脂の1
    種又は2種以上とAl,Mg,Ca,Znのクロム酸塩
    の1種又は2種以上を主成分とする処理剤が塗布焼付け
    され、表面粗さが、Ra値(中心線平均粗さ)で0.1
    5〜0.6μmの絶縁被膜が形成され、且つ、粗粒エマ
    ルジョン樹脂により表面に形成される球面状の突起物形
    状が直径3μm以下、高さ3μm以下であることを特徴
    とする被膜特性の優れる無方向性電磁鋼板。
  2. 【請求項2】 有機物質として、粒子径0.5〜3.0
    μmのスチレン系及びエポキシ系樹脂の何れか又は両方
    を少なくとも50%以上含有するスチレン、エポキシ、
    フェノール、メラミン、ポリエステル、酢ビ、アクリ
    ル、シリコン系エマルジョン樹脂の1種又は2種以上1
    00重量部に対し、Al,Mg,Ca,Znの中から選
    ばれるクロム酸、クロム酸塩物質の1種又は2種以上を
    CrO3として、100〜800重量部、硼酸、硼酸塩
    物質の1種又は2種以上を30〜250重量部からな
    る、被膜特性の優れる無方向性電磁鋼板用表面処理剤。
JP4249796A 1992-09-18 1992-09-18 被膜特性の優れる無方向性電磁鋼板及びその鋼板用表面処理剤 Expired - Lifetime JP3065810B2 (ja)

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