JPH06102832B2 - 溶接性と密着性に優れた電磁鋼板の電気絶縁皮膜処理方法 - Google Patents

溶接性と密着性に優れた電磁鋼板の電気絶縁皮膜処理方法

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JPH06102832B2
JPH06102832B2 JP8767290A JP8767290A JPH06102832B2 JP H06102832 B2 JPH06102832 B2 JP H06102832B2 JP 8767290 A JP8767290 A JP 8767290A JP 8767290 A JP8767290 A JP 8767290A JP H06102832 B2 JPH06102832 B2 JP H06102832B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、溶接性、密着性、打抜性、耐錆性に優れた電
磁鋼板の電気絶縁皮膜処理方法に関するものである。
(従来の技術) 周知の如く、無方向性電磁鋼板をモーター等の鉄芯に使
用する場合は、所定の形状に打抜いた後、所定枚数積み
重ねて溶接、かしめ、または接着等により固定して積鉄
芯とされるものである。
無方向性電磁鋼板の電気絶縁皮膜としては、無機系、有
機系、無機有機混合系の電気絶縁皮膜が知られており、
この中で無機有機混合系の電気絶縁皮膜が無機系、有機
系の両者の長所を兼ね備え、層間抵抗性、打抜性、密着
性、耐絶縁油性、耐フレオン性、耐熱性を有している。
上記の無機有機混合系の電気絶縁皮膜を有する無方向性
電磁鋼板には、一般に打抜特性に優れたものと、打抜特
性および溶接特性に優れたものがある。後者の打抜特性
および溶接特性に優れた成品は、前者の鋼板表面または
皮膜表面に所定粗さの粗度を付与したもので、この表面
粗度の作用によって積鉄心の溶接性が改善されるもので
あり、これに関しては、例えば特公昭49−19078号公
報、特公昭55−21111号公報、特公昭62−34832号公報等
に開示されている。
上記第1の特公昭49−19078号公報(特許請求の範囲3
参照)の特徴は、無方向性電磁鋼板の表面に、表面粗さ
が2μHmax以上の有機無機混合皮膜を形成したものであ
る。第2の特公昭55−21111号公報記載発明の特徴は、
上記特公昭49−19078号公報において、有機無機混合皮
膜表面に2〜10μHmaxの表面粗度を形成する場合に、粒
径が5〜100μmの有機樹脂粒子を配合して焼付ける方
法である。更に第3の特公昭62−34832号公報開示技術
の特徴は上記特公昭55−21111号公報において、有機樹
脂粒子を分散性向上剤で表面処理後、エマルジョン樹脂
溶液に添加することである。
(発明が解決しようとする課題) 上記、特公昭55−21111号公報において、絶縁皮膜に表
面粗さを付与する1方法として、粒径が5〜100μmの
有機物粒子を処理液に配合する方法が開示されている
が、処理液中での分散性ならびに鋼板への密着性に問題
があった。
この有機物粒子の処理液中での分散性に問題があると、
長時間安定して所定の表面粗さを有する絶縁皮膜が形成
されず、また有機物粒子が凝集した2次粒子状となって
有機物粒子の鋼板への密着性が悪くなり、絶縁皮膜を有
する電磁鋼板をスリットするさい、テンションパッド等
での締めつけによって有機物粒子が除去され、甚だしい
場合には皮膜そのものが剥離するといった問題を引き起
こすものである。
上記の如く無方向性電磁鋼板をモーター等の鉄芯に使用
する場合は、所定の形状に打抜いた後、所定枚数積み重
ねて溶接、かしめ、または接着等により固定して積鉄心
とされるものであるが、近年、この製造工程は自動化が
進み、有機物粒子の密着性、および表面粗さの緻密性が
ますます重要となり、より優れた密着性、より安定した
表面粗さを有することが重要である。
上記密着性、均一性が劣っていると製造工程中に皮膜が
剥離したり、打抜板の表面に疵がついたり、あるいは、
所定枚数の打抜板を鉄芯に積層時に自動で行う場合、表
面粗さが緻密でないとガイドに引掛かったりして、積層
が困難になったり、或いは腰折れを発生させるものであ
る。
そこでさらにかかる問題を解決するものとして、特公昭
62−34832号公報開示の方法が提案された。この提案
は、いかに効率良く、かついかに均一に有機物粒子を処
理液中に分散させるかについて述べられているが、有機
物粒子の形状、物性については何も言及されておらず、
しかも、自動化された製造工程に要求される電磁鋼板の
特性に対してはなお、有機物粒子の十分な分散性、密着
性が得られたとはいえないところに問題があった。
また、有機物粒子を皮膜中に添加することによって有機
物粒子が凝集し、これによって生じた2次粒子が原因で
第3図写真のようなクラッチを生じ、このクラックが耐
錆性低下の原因となる。
本発明は上記したような有機物粒子を含有する絶縁皮膜
の問題点を解消し、優れた密着性と耐蝕性を付与する処
理方法により打抜特性および溶接性のすぐれた電気絶縁
皮膜を有する無方向性電磁鋼板を提供することを目的と
する。
(課題を解決するための手段) 上記目的を達成するための本発明の要旨は、次の通りで
ある。
電磁鋼板の表面にクロム酸系の1種または2種と、クロ
ム酸金属塩(CrO3に換算して)1重量部に対して、水分
散性エマルジョン樹脂0.1〜5.0重量部、粒径が2μm〜
50μmの球状有機樹脂粒子0.1〜1.0重量部を主成分とす
る水溶液を薄く均一に塗布した後、焼付け、表面粗さが
Ra(中心線平均粗さ)=0.5μm〜1.5μmの皮膜を形成
することを特徴とする、溶接性、密着性に優れた電磁鋼
板の電気絶縁皮膜処理方法。
以下、本発明の内容を詳細に説明する。
(本発明で使用する無機化合物) 本発明でいうクロム酸系とはカルシウム、マグネシウ
ム、亜鉛の重クロム酸塩または無水クロム酸にカルシウ
ム、マグネシウム、亜鉛等の2価の酸化物、水酸化物、
炭酸塩を溶解したものの1種または2種以上の混合物で
ある。
(本発明で使用するエマルジョン樹脂) 本発明で使用するエマルジョン樹脂としてはアクリル酢
ビ、スチレン、ブタジエンの単独または2種以上の共重
合物で酸性側で安定して存在するものが使用される。
(本発明で使用する球状の有機樹脂粒子) 本発明で使用する有機樹脂粒子とは2μm〜50μmの球
状の微粉末であり、角ばった表面を持たない、なめらか
な表面を持つ比較的整った形状のものを指し、特に真球
状のものが望ましい。そしてこの主の真球状の有機樹脂
粒子は、例えば特開昭60−212430号に示される方法によ
って得られる。
従来電磁鋼板に使われていた有機樹脂粒子は第1図写真
のように角ばった不規則な形をしているのに対し、本発
明で使用する最適な真球形の有機樹脂粒子は、第2図写
真に示す通り、なめらかな表面を持ち非常に整った形状
をしている。
このような球状の有機樹脂粒子としてはポリエチレン、
ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアクリル、
ポリスチレン、ポリアミド、ベンゾグアナミン、メラミ
ン、ベークライト、ポリアクリロニトリル等の1種また
は2種以上の共重合物または混合物が用いられる。
また、球状有機樹脂の粒径を2μm〜50μmに限定した
理由は2μm以下では有効な粗度が得られず、従って充
分な溶接性が得られないためであり、50μm以上では密
着性が劣るからである。
(配合比) クロム酸金属塩(CrO3に換算して)1重量部に対して、
水分散性エマルジョン樹脂量を0.1〜5.0重量部に限定し
た理由であるが、0.1以下では充分な打抜性、皮膜自体
の密着性が得られず、5.0以下では歪取り焼鈍時に皮膜
の剥離を起こして充分な耐熱性が得られない。
また、クロム酸金属塩(CrO3に換算して)1重量部に対
して、球状有機樹脂量を0.1〜1.0重量部に限定した理由
は、0.1以下では十分な溶接性を発揮するに有効な表面
粗度を得るのが難しく、1.0以上では鋼板表面における
分散性が劣るためである。
尚、本発明に於ける処理液としては以上述べた3成分を
含むことが必須であるが、この他にグリセリン等の還元
剤、コロイド状シリカ等のガラス形成剤、非イオン界面
活性剤等の分散性向上剤を添加してもよい。
(処理法) 処理液の配合、塗布、焼付方法であるが、特公昭62−34
832号公報、特公昭62−25750号公報に示されている方
法、或いはこれら以外の方法、例えば、全成分を同時に
混合し、塗布し、焼付けるなどといった、いずれの方法
も採用でき、特別な処理法は必要とせず、処理液をロー
ルコーター等で所定量塗布し、250℃〜700℃の焼付温度
で短時間焼付けるだけでよい。
(塗布量) 次の電磁鋼板の表面に形成する絶縁皮膜量は特に限定し
ないが、0.5g/m2〜5g/m2の範囲が適当で0.5g/m2未満で
は十分な打抜性が得られず、一方5g/m2を越えると、歪
取り焼鈍時に絶縁皮膜の剥離の危険性がある。
特に好ましい範囲は1.0〜2.5g/m2である。
(皮膜の表面粗さ) 皮膜の表面粗さはRa(中心線平均粗さ)で0.5〜1.5μm
に限定する(μHmaxで表示すると約2〜6μHmaxとな
る。)。これは特公昭55−21111号にも示されている如
く、0.5μm以下では溶接性が十分ではなく、1.5μm以
上では占積率に問題があるためである。
(皮膜の表面状体) 球状有機樹脂粒子を含む溶液を電磁鋼の板表面に均一に
塗布し、焼付けると鋼板の表面に従来の樹脂と比べて格
段に優れた均一分散性と優れた粒子の密着性を示す。即
ち、球状有機樹脂粒子はその形状のために溶液中の凝集
が非常に起こりにくく、極めて優れた分散液が得られ
る。その結果、球状有機樹脂粒子は一般的ないずれの塗
布方法によっても均一に鋼板に塗布される。
また、第1図写真(粒子形態を示す電顕1000倍拡大写
真)に示したような、従来電磁鋼板に用いられてきた有
機物粒子を含む処理液を鋼板に焼付けると、第3図写真
(電顕300倍拡大)に表面組織を示すように有機物粒子
の周囲にひび割れを生じこのために有機物粒子の密着性
が低下するのに対し、第2図写真(粒子形態を示す電顕
1000倍拡大写真)に示すような真球状有機樹脂粒子の場
合には、第4図写真(電顕300倍拡大)に表面組織を示
すようにかようなひび割れを生じないために極めて優れ
た密着性と耐錆性を示す。なお、第3図、第4図の写真
は450℃×60sec.で焼付けを行った後の表面状況を示し
ている。
すでに述べた如く、本発明に使用される球状有機樹脂粒
子の粒径は2μm〜50μmの範囲であり、その添加量は
クロム酸金属塩(CrO3に換算して)1重量部に対して、
0.1〜1.0重量部に限定される。この条件において、溶接
性、密着性、打抜性、耐錆性に優れた粗さが0.5μm〜
1.5μmの微細な凹凸を有する表面状態が得られる。
(実施例) 次に本発明の実施例および比較例を説明する。電磁鋼板
(2.0%Si含有、板厚0.5mm、表面粗さRa0.22μm)の表
面に、次記する処理液AからEを塗布しゴムロールで絞
り、450℃に設定した焼鈍炉で60秒間焼付けた。この試
料とその後、dry窒素雰囲気で、750℃×2時間歪取り焼
鈍を行った試料について試験を行った。
以上の実施例と比較例の結果を第2表に示す。第2表か
らも明らかな如く、本実施例によれば、優れた溶接性、
密着性、打抜性、耐錆性を持つ電磁鋼板の皮膜が得られ
た。
(発明の効果) 以上詳述した如く、本発明方法によれば、優れた溶接
性、密着性、打抜性および耐錆性を持つ電気絶縁皮膜を
有する電磁鋼板が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図写真は従来の無方向性電磁鋼板の表面処理に使わ
れていた有機樹脂の粒子構造を示す電子顕微鏡写真、第
2図写真は本発明に使用される有機樹脂の粒子構造を示
す電子顕微鏡写真、第3図写真、第4図写真はそれぞれ
第1図写真および第2図写真に示される有機樹脂粒子を
使用して焼付けた後の皮膜の粒子構造を示す電子顕微鏡
表面組織写真である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電磁鋼板の表面にクロム酸系の1種または
    2種と、クロム酸金属塩(CrO3に換算して)1重量部に
    対して、水分散性エマルジョン樹脂0.1〜5.0重量部、粒
    系が2μm〜50μmの球状有機樹脂粒子0.1〜1.0重量部
    を主成分とする水溶液を薄く均一に塗布した後、焼付
    け、表面粗さがRa(中心線平均粗さ)=0.5μm〜1.5μ
    mの皮膜を形成することを特徴とする、溶接性、密着性
    に優れた電磁鋼板の電気絶縁皮膜処理方法。
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