JPH04235287A - 電磁鋼板の絶縁被膜形成方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、電磁鋼板の絶縁被膜
形成方法に関し、とくに絶縁被膜の被膜密着性および耐
食性の有利な改善を図ろうとするものである。

【０００２】

【従来の技術】電磁鋼板の絶縁被膜に要求される特性は
、電気絶縁性、密着性、追加コートとの密着性、打抜性
、溶接性、耐食性ならびに耐冷媒性など数多く挙げられ
る。これらの諸特性を満足させるべく、数多くの研究が
なされていて、絶縁被膜の形成方法はもとより、絶縁被
膜の組成に関して数多くの技術が提案されている。

【０００３】特に、クロム酸系と有機樹脂の積層被膜ま
たは複合被膜は、鋼板の打抜性を、従来のりん酸塩系や
クロム酸塩系無機被膜に比べて格段に向上させることが
できるので大いに利用されている。

【０００４】例えば、クロム酸系と有機樹脂の積層被膜
としては、特公昭４９−６７４３号公報に開示の技術が
ある。 これは、下地層として、クロム酸系、りん酸系またはク
ロム酸−りん酸系の第一層と、上層として、有機りん酸
エステル３〜４５モル％含有の高級カルボン酸を主体と
する常温で固形の組成物よりなる第二層を有する打抜性
の良好な電磁鋼板に関するもので、第一層に使用する処
理液をゴムロール、スプレー等で塗布したのち、　１５
０〜７００　℃で短時間焼付けることにより、クロム酸
系被膜等を形成し、ついでこの被膜上に第二層の後処理
用組成物を被成するものである。この方法では、クロム
酸塩系被膜等を塗布、焼付けたのち、上層に有機樹脂を
塗布する。

【０００５】また特公昭４９−６７４４号公報には、表
面に２０Ｈｒ．ｍ．ｓμ　ｉｎｃｈ　以上のあらさを有
する電磁鋼板の表面に、りん酸系、クロム酸系から選ば
れた１種又は２種の被膜を有し、その上に有機系被膜を
有する打抜性、溶接性の優れた積層鉄心用電磁鋼板が提
案されている。この方法も、下層のりん酸系、クロム酸
系から選ばれた１種又は２種の被膜を焼付けたのち、上
層を形成するものである。

【０００６】さらに特公昭４９−２８５７５号公報には
、クロム酸化合物を主剤とする処理液で電解処理を施す
技術が開示されている。

【０００７】またさらに特公昭４９−４６４６３号公報
には、ふっ素化合物含有液で酸洗後、クロム化合物を主
剤とする処理液で電解処理を施す技術が開示されている
。

【０００８】一方、クロム酸系と有機樹脂の複合被膜の
一例として下記のような技術が提案されている。たとえ
ば特公昭６０−３６４７６号公報には、少なくとも１種
の２価金属を含む重クロム酸塩系水溶液に、該水溶液中
のＣｒＯ３：１００　重量部に対し、有機樹脂として酢
酸ビニル／ベオバ比が９０／１０〜４０／６０の比率に
なる樹脂エマルジョンを樹脂固形分で５〜１２０　重量
部および有機還元剤を１０〜６０重量部の割合で配合し
た処理液を基地鉄板の表面に塗布し、常法により焼付け
工程を経て得た絶縁被膜が開示されている。

【０００９】現在では、上記のような被膜製造技術が主
流となっていて、実際の被膜処理に際しては、工業上生
産性向上のため、基地鉄板の焼鈍に引続いて行われるの
が一般的である。この場合には、絶縁被膜塗布前の基地
鉄板の板温が３０〜８０℃と室温より高いことが多く、
また絶縁被膜塗布液も循環使用するのが一般的であるこ
とから、塗布時に板の顕熱を吸収して塗布液温度が上昇
する傾向にある。

【００１０】ここに、基地鉄板の板温や塗布液温度が、
塗布液に配合されている有機樹脂の最低造膜温度以上で
あると造膜し易く、処理液と基地鉄板が接触すると基地
鉄板表面に樹脂が優先的に析出付着し、被膜形成後の密
着性や耐食性を劣化させるところに問題を残していた。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記の問
題を有利に解決するもので、被膜密着性および耐食性共
に優れた電磁鋼板用絶縁被膜の有利な形成方法を提案す
ることを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】すなわちこの発明は、電
磁鋼板の表面に電気絶縁性の被膜を形成するに当たり、
まず該鋼板を、クロム酸系水溶液又はりん酸系水溶液あ
るいはクロム酸系及びりん酸系混合水溶液に浸漬して、
プレコート被膜を形成したのち、該鋼板表面にクロム酸
系−有機樹脂処理液を塗布し、焼付けることからなる被
膜密着性および耐食性に優れた電磁鋼板の絶縁被膜形成
方法である。

【００１３】

【作用】この発明の特徴は、電磁鋼板の表面にクロム化
合物及び／又はりん酸化合物をプレコートするところに
ある。ここで言うクロム化合物をプレコートする処理液
とは、Ｚｎ，　Ｃａ，　Ｍｇ，　Ｎａ，　Ｋ，　Ａｌな
どの元素を１種または２種以上を含む、クロム酸塩、重
クロム酸塩あるいはこれに無水クロム酸を加えたクロム
酸系水溶液である。またりん酸化合物をプレコートする
処理液とは、Ｚｎ，　Ｃａ，　Ｍｇ，　Ｎａ，　Ｋ，　
Ａｌなどの元素を１種または２種以上含むりん酸塩など
のりん酸系水溶液である。なおクロム化合物及び又はり
ん酸化合物は上掲したものに限るわけではなく、効果が
あれば上記以外のものでも良いのは言うまでもない。

【００１４】上記のクロム化合物やりん酸化合物の塗布
量は、特に限定されるものではないが、　０．１〜０．
４ｇ／ｍ２　程度とするのが好ましい。またクロム化合
物やりん酸化合物のプレコート方法は、ロールコーター
方式や浸漬方式など公知の方法で良く、特に塗布方法が
限定されることはない。

【００１５】ついでプレコート被膜の上に、クロム酸系
−有機樹脂処理液を塗布する。ここにクロム酸系−有機
樹脂処理液とは、Ｚｎ，　Ｃａ，　Ｍｇ，　Ａｌ，　Ｎ
ａ，　Ｋなどの元素を１種又は２種以上含有するクロム
酸塩、重クロム酸塩あるいはこれに無水クロム酸を加え
た水溶液に、有機樹脂をエマルジョンとして配合したも
のである。有機樹脂の種類としては、アクリル、スチレ
ン、酢酸ビニル、ベオバ、エチレン、エポキシ、その他
の単独または２種類以上の共重合物及び／又は混合物で
あって、上記クロム化合物水溶液に安定して相溶するも
のであれば特に限定するものではない。また上記処理液
中に占める有機樹脂の割合は、上記クロム化合物１００
　重量部に対して樹脂固型分として５〜１２０　重量部
程度とするのが望ましい。

【００１６】さらに助剤として、６価クロムの還元剤を
加えるが、エチレングリコール、グリセリン、ショ糖お
よびブドウ糖などの多価アルコール類が有利に適合する
。またアミン、カルボン酸などを用いても良い。以上の
成分の他、被膜の耐熱性や絶縁性を向上させるため、ほ
う酸、りん酸塩、けい酸塩あるいは　Ａｌ２Ｏ３，　Ｓ
ｉＯ２およびＴｉＯ２などの酸化物微粉末を添加しても
よい。

【００１７】上述した配合割合になる処理液を、電磁鋼
板の表面に均一に塗布するわけであるが、塗布方法は、
浸漬法やロールコータ法など従来公知の方法で良い。処
理液を均一に塗布された鋼板は、引き続き焼付け処理が
施されて、被膜形成を完了する。ここに得られた被膜の
付着量が、０．３　ｇ／ｍ２よりも少ないと良好な打抜
性が得難く、一方６ｇ／ｍ２よりも多いと被膜の密着性
が劣化するので、　０．３〜６ｇ／ｍ２程度とするのが
望ましい。

【００１８】

【実施例】実施例 板厚　０．５ｍｍの電磁鋼板に、表１に示すプレコート
液を用いてプレコートした後、引続き処理液Ｂを塗布し
たのち、熱風乾燥炉中にて雰囲気温度　４５０℃で７０
秒間焼付けて、目付け量：約　０．８〜３．０　ｇ／ｍ
２の絶縁被膜を形成させた。なおプレコート液の塗布量
はウェット厚で　０．１〜０．４　ｇ／ｍ２であった。

【００１９】比較例 板厚　０．５ｍｍの電磁鋼板の表面に、同じく表１に示
す処理液を塗布した後、４５０℃の熱風炉にて７０秒間
焼付けて、該鋼板表面に絶縁被膜を形成した。

【００２０】かくして得られた各被膜の密着性、耐食性
および層間抵抗について調べた結果を表１に併記する。

【００２１】

【表１】

【００２２】表１から明らかなように、この発明に従い
得られた絶縁被膜は、均一で、密着性は１０〜１５ｍｍ
φ屈曲でも被膜の剥離がなく、また耐食性もＳＳＴ　７
Ｈｒ　後の発生率が５％以下と極めて良好であった。

【００２３】これに対し、従来法に従い得られた絶縁被
膜は、被膜付着量は０．８１〜２．５６ｇ／ｍ２であり
、均一な被膜が得られたが、密着性および耐食性はこの
発明に従い得られた絶縁被膜と比較すると格段に劣って
いた。

【００２４】

【発明の効果】かくしてこの発明によれば、従来に比べ
、密着性および耐食性とも格段に優れた絶縁被膜を得る
ことができる。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　電磁鋼板の表面に電気絶縁性の被膜を
   形成するに当たり、まず該鋼板を、クロム酸系水溶液又
   はりん酸系水溶液あるいはクロム酸系及びりん酸系混合
   水溶液に浸漬して、プレコート被膜を形成したのち、該
   鋼板表面にクロム酸系−有機樹脂処理液を塗布し、焼付
   けることを特徴とする被膜密着性および耐食性に優れた
   電磁鋼板の絶縁被膜形成方法。