JP3557098B2 - 耐癒着性と占積率に優れる一方向性珪素鋼板絶縁皮膜用塗布液および絶縁皮膜形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は仕上げ焼鈍済みの一方向性珪素鋼板上に張力付与性の絶縁皮膜を形成する方法に関する技術である。
【0002】
【従来の技術】
一方向性珪素鋼板は電圧変換用電気機器、主に変圧器の鉄心材料として用いられる。変圧器用鉄心製作法には大きく分けて2種類の方法がある。1つは所定の形状と寸法に調製した一方向性珪素鋼板を積層して鉄心を製作する積み鉄心法である。もう1つは所定の形状と寸法に調製した一方向性珪素鋼板を円筒状に巻き取り、鉄心とする巻き鉄心法である。
【0003】
このうち後者の巻き鉄心法は次に述べるような工程を経る。まず、一方向性珪素鋼板を所定の幅に剪断し、次にこれを円筒形に巻き取る。ついで、この円筒状に巻き取ったもの(以後、コアと呼ぶ)に曲げ加工を施し、所定の形態に成形する。この時、曲げ加工に伴い、鋼板に機械的歪みが導入される。導入された歪は鉄心特性を劣化させてしまうので、歪みを取り除くためにコアに対する焼鈍を施す。
【0004】
焼鈍したコアは一旦、展開される。展開された焼鈍済み鋼板を銅線等の間に挿入し、変圧器となる。このコアの展開と銅線への巻き込みの一連の作業はレーシング作業と呼ばれる。
レーシング作業は変圧器製造の生産性を左右する重要な工程である。この作業の際、コアの展開に時間を要すると生産性が低下してしまう。そのため、焼鈍されたコアは展開し易いことが望まれている。ところが、時として焼鈍済みコアにおいて鋼板同士が一種の癒着現象を起こすことがある。鋼板同士が癒着を起こすとコア展開に多大の労力と時間が必要となり、生産性を低下させてしまう。そこで、このような癒着現象を誘起させない技術として以下に示す技術が開示されている。
【0005】
例えば、塗布液中に粉末を添加する技術として次のようなものがある。
まず、特開昭52−25296号公報において、コロイド状シリカ、第1リン酸塩、クロム酸を主体とする水分散液に一次粒子径70〜500Å(7〜50nm)、見掛け比重100g/リットル以下のSiO2 、Al2 O3 、TiO2 粒子の1種または2種以上を添加する技術が提案された。
【0006】
次に、特開昭53−6338号公報において、リチウムシリケート水溶液中にアルミナ、シリカ、チタニア、マイカの粉末の1種を添加する技術が提案された。
また、特開昭54−143737号公報において、コロイド状シリカ、リン酸アルミニウム、ホウ酸、硫酸塩を主体とする水分散液に一次粒子径1000Å(100nm)以下の超微粒のSiO2 、Al2 O3 、TiO2 粒子1種または2種以上を添加する技術が提案された。
【0007】
更には、特開平4−165082号公報において、リン酸塩、クロム酸、粒子径50nm以下のコロイド状シリカを主体とする塗布液に粒子径が5〜2000nmの非コロイド状の固形物を添加する技術が提案された。
上述の塗布液中への粉末添加技術とは別に、比較的小さな粒径と比較的大きな粒径をもつコロイド状シリカを使用する技術として特開平3−39484号公報において、リン酸塩、クロム酸を主体とする水分散液に粒子径20nm以下のコロイド状シリカと粒子径80〜2000mμm(80nm〜2000nm)のコロイド状シリカを添加する技術も提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
発明者はこれらの技術を適用し、検討を重ねたところ、前述の技術をそのまま適用しただけでは歪み取り焼鈍時に起こりうる癒着現象を完全には回避できないことがわかった。
一般に2相界面の癒着性はその接触面積に依存する。そのため、2相を接触させ、高温に保持した場合、接触面積を小さくすれば癒着を起こし難くなる。接触面積を低減させる方法の1つとして、表面に凹凸を付与する方法がある。但し、巻き鉄心の歪み取り焼鈍では、板間に大きな面圧がかかるため、表面に形成する凹凸は相当大きなものにしなければならない。そのためには粒径の大きな粒子を用いることが必要である。従来文献において提案されてきた粒子の粒径は、特開昭52−25296号公報では7〜50nm、特開昭54−143737号公報でも100nm以下で、主にサブミクロン領域の粒径を持つものであった。また、特開平4−165082号公報で開示された粒子の粒径は比較的大きいが、それでも最大2μmのものであった。この程度の粒径をもつ粒子では、絶縁皮膜の接触面積を制御することはできない。
【0009】
以上のような微小粒子で癒着が抑制できるのは、これらが凝集して粗大粒子になるからである。一般に水溶液中における粒子の凝集は様々の因子に影響を受けるが、その1つに粒子径がある。粒径の小さなものは表面エネルギーが大きいため、多数集合し、表面積を減らせるよう合体する。一旦合体が起こると、個々の粒子の数百倍から数千倍もの粒径をもつ粗大粒に成長してしまう。このようにして成長した粗大粒の粒径は数100μmに達する。数100μmもの粒径をもつ粗大粒が皮膜中に存在すると、板を積層した際、その凸部が原因で、占積率が著しく悪化する。
【0010】
占積率とは、一方向性珪素鋼板を積層し、鉄心を製作した際、鉄心厚さ全体に占める鉄の割合である。鋼板表面の絶縁皮膜が厚過ぎたり、皮膜あるいは鋼板自体の凹凸により隙間ができると、この割合が低下してしまう。占積率が低いと変圧器内部で鉄心が電磁誘導の法則に従い電圧変換ユニットとして作動する時、磁束が通りにくくなり、熱エネルギー損失が増大してしまう。
【0011】
本発明は占積率の低下をもたらすことなく鋼板同士の癒着を抑制できる一方向性電磁鋼板の張力付与性絶縁皮膜を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下の要件よりなる。
(1)一次粒子の平均粒径4.3μm以上20μm以下の無機鉱物質粒子を固形分比率で0.02重量%以上20重量%以下含有することを特徴とする耐癒着性と占積率に優れる一方向性珪素鋼板の張力付与性絶縁皮膜用塗布液。
【0013】
(2)仕上げ焼鈍済みの一方向性珪素鋼板に塗布液を塗布、乾燥し、焼き付けることによって前記鋼板上に張力付与性の絶縁皮膜を形成する方法において、前記塗布液中に一次粒子の平均粒径4.3μm以上20μm以下の無機鉱物質粒子を上記塗布液中固形分比率で0.02重量%以上20重量%以下含有させることを特徴とする耐癒着性と占積率に優れる一方向性珪素鋼板絶縁皮膜形成方法。
【0014】
(3)前記塗布液の主体がリン酸塩、クロム酸およびコロイド状シリカであることを特徴とする(2)記載の占積率と歪み取り焼鈍癒着性に優れる一方向性珪素鋼板絶縁皮膜形成方法。
【0015】
【発明の実施の形態】
発明者らは先述した癒着現象を抑制する手段として、比較的大きな粒径をもつ粒子を塗布液中に添加し、鋼板上に形成される皮膜表面に凹凸をつけることに思い到り、そして、発明者らは従来技術からは想到できない粒径の大きな粒子について検討した。
【0016】
発明者らは以上のような考え方のもと、粒径が主にμm領域の粒子を塗布液中に添加し、絶縁皮膜付き試料を作製し、これらの試料について歪み取り焼鈍時の癒着性と占積率を以下のような方法で調べた。試料調製と評価は次のような方法で行った。仕上げ焼鈍を施し、二次再結晶済みの一次皮膜(フォルステライト主体の無機鉱物質で構成された皮膜)付きの鋼板を多数用意した。この鋼板に濃度50重量%のクロム酸入りリン酸アルミニウム水溶液50ml、濃度20重量%のコロイド状シリカ水分散液100mlと平均粒子径が0.6μmから23.9μmまでの9種類のアルミナ粒子をそれぞれ0.25gずつ配合したものを塗布し乾燥させた。次に、これらを835℃で30秒間、窒素雰囲気中で焼鈍し、鋼板表面に絶縁皮膜を形成した。このようにして調製した試料について以下のような方法で癒着性と占積率を評価した。
【0017】
癒着性の評価は次のような方法で行った。
まず、絶縁皮膜を形成した一方向性珪素鋼板から短辺3cm、長辺4cmの試料を多数切り出した。次に、これらの試料の短辺と長辺とが互い違いになるように積層した。このように積層すると試料同士が丁度3cm角で接触することになる。したがって接触面積は9cm2 となる。この積層したものに60kg/cm2 の荷重をかけボルトで固定した。ついで、これに温度800℃、均熱時間2時間の焼鈍を施した。室温まで冷却した後、1枚ずつ引き剥がし、その時の剥離力を求めた。試料は15枚用意し、それらの剥離力の平均値を求めた。このような試験法で求めた剥離力は実際のコア展開における展開しやすさを反映しているものと考えられる。
【0018】
また、占積率の評価は次のような方法で行った。
まず、癒着性評価用試料と同じように絶縁皮膜を形成した一方向性珪素鋼板から短辺3cm、長辺15cmの試料を多数切り出した。これらの試料を積層し、一定の荷重を印加した後、その時にの厚さを測定する。次に、この厚さ分すべてが鉄で構成されていると仮定し、重量を算出する(算出重量)。一方でこの試料の実重量も測定しておく。この算出重量に対する実重量の比率を%で表したものが占積率である。このような試験法で求めた占積率は実際の鉄心における占積率を反映しているものと考えられる。以上のようにして評価した結果を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
表1から次のことがわかる。まず、歪み取り焼鈍時の癒着性を表している剥離力をみると、添加粒子の平均粒径が0.6μmから1.9μm(実験番号1)2)3))の条件では剥離力が173g以上と大きいのに対し、添加粒子の平均粒径が4.3μmから23.9μm(実験番号4)から実験番号9)の条件では剥離力が19g以下と非常に小さい。
【0021】
次に、占積率をみると、添加粒子の平均粒径が0.6μmから20.0μm(実験番号1)から実験番号8))の条件では占積率が97.6%から97.8%と非常に高いのに対し、添加粒子の平均粒径が23.9μm(実験番号9))の条件では占積率が95.9%と非常に小さい。以上の結果から、剥離力が小さい、即ち、歪み取り焼鈍時の癒着性に優れることと占積率が高いこととを両立できるのは添加粒子が4.3μm以上20μm以下の平均粒径を持つものであることがわかった。
【0022】
ついで、発明者らは添加量の影響を調べた。まず、粒径依存性を求めたのと同様に、二次再結晶済みの一次皮膜付きの鋼板を多数用意した。この鋼板に濃度50重量%のクロム酸入りリン酸アルミニウム水溶液、濃度20重量%コロイド状シリカ水分散液と平均粒子径が4.3μm、10.7μm、20.0μmの3種類のアルミナ粒子をそれぞれ塗布液中におけるアルミナ粒子の固形分率で0.01重量%から20重量%まで配合したものを塗布し乾燥させた。次に、これらを835℃で30秒間、窒素雰囲気中で焼鈍し、鋼板表面に絶縁皮膜を形成した。このようにして調製した試料について前述の法で癒着性と占積率を評価した。結果を表2に示す。
【0023】
【表2】
【0024】
表2から次のことがわかる。まず、歪み取り焼鈍時の癒着性を表している剥離力をみると、いずれの平均粒径をもつ粒子においても添加率が0.01重量%(実験番号1、7、13)の条件では剥離力が102g以上と大きいのに対し、添加率0.02重量%以上の条件では剥離力が18g以下と非常に小さい。
【0025】
次に、占積率をみると、いずれの平均粒径をもつ粒子においても添加量が0.01重量%以上20.0重量%以下の条件では占積率が97.6%以上と高いのに対し、添加率が30.0重量%の条件では95.7重量%以下と非常に低い。したがって、剥離力が小さい、即ち、歪み取り焼鈍時の癒着性に優れることと占積率が高いこととを両立できるのは添加率は0.02重量%以上20.0重量%以下であることがわかった。
【0026】
これら2つの実験から占積率と歪み取り焼鈍時の耐癒着性が良好な条件は塗布液中に一次粒子の平均粒径4.3μm以上20μm以下の無機鉱物質粒子を上記塗布液中固形分比率で0.02重量%以上20重量%以下含有させることであることがわかった。以下に本発明について詳細に説明する。本発明で用いる一方向性珪素鋼板は常法により製造される。すなわちSi:2〜4%とインヒビター成分を持つ鋳片を熱延し、熱延板焼鈍を行い、もしくは行わず、1回もしくは中間焼鈍を挟む2回以上の冷延を行い、脱炭焼鈍、仕上げ焼鈍を行い、その後絶縁皮膜を塗布される。
【0027】
絶縁皮膜には幾つかの種類があるが、代表的なものとしてはリン酸塩、クロム酸およびコロイド状シリカを主成分とし、これらを水に溶解させて塗布し、乾燥焼付させる、いわゆる張力付与型絶縁皮膜がある。
本発明はこの塗布液に、比較的粗大な粒径をもつ無機鉱物粒子を添加することを特徴とするものである。本発明を適用できる絶縁皮膜は特に限定されるものではなく、上記の張力付与型絶縁皮膜をはじめ、ゾルゲル法による無機鉱物皮膜や、有機樹脂皮膜などに適用できる。
【0028】
粒子の種類もまた特に限定しないが、電荷を持たないものの方が凝集しにくいため好ましい。主なものとしてアルミナ、ジルコニア、チタニア、窒化チタンなどがある。
粒子の平均粒径および添加量は先述の試験結果をもとに規定した。平均粒径が2μm以下では耐癒着性は小さく、一方20μm超では占積率が低下する。
【0029】
また添加量が固形分比率で0.02重量%未満では耐癒着効果は得られず、一方20%重量以上では占積率が低下し、さらには皮膜張力や付着性の低下など、皮膜自体の特性を損なう場合がある。
一方、本発明と従来技術とを対比すると、まず特開昭52−252906号公報に提案された技術は、その特許請求の範囲に記載されているように、一次粒子径が70Åから500Å(7nmから50nm)である微細な一次粒径をもち、かつ見掛け比重が100g/リットルである粒子を塗布液中に添加することを特徴としている。このような特徴をもつ粒子を使うことによって、同公報明細書本文第5頁右上欄19行から同左下欄5行に述べられているように、形成された皮膜表面の「平滑さ」を損なわないようにしている。特に、上記明細書実施例6における、凝集程度の進んだ粉末では占積率が96.0%と他の実施例(97.8%)と比べて悪く、この原因として、上記明細書第5図の実施例6の走査電子顕微鏡写真を引用し、「1μ程度の凝集物が凹凸となって表面に多数観察される」(上記明細書本文第7頁右上欄第1行から同第8行)ことを挙げている。
【0030】
即ち、上記公報に開示された技術においては、皮膜表面の凹凸形成は忌避されているのである。しかしながら、これでは鋼板同士の癒着を効果的に抑制することは困難である。
また、特開平4−165082号公報に開示された技術の特徴は、塗布液中に粒子径が5〜2000nmの非コロイド状の固形物を添加することにある。その目的は、同公報明細書本文第5頁左上欄第2行から第5行において「上記固形物は皮膜表面に微細な凹凸状を形成させ、すべり性を高めるためのもの」と述べられているように、固形物にはすべり性を改善を指向したものと考えられる。
【0031】
また、同公報明細書本文第4頁左下欄6行から第10行において「5から100nmの範囲では絶縁皮膜溶液中で適度に凝集させる」と述べられている。
即ち、上記明細書に開示された技術においては、塗布液中で積極的に粒子を粗大化させることを推奨しているのである。しかしながらこの方法では二次粒子径を制御できずに巨大化し、占積率の低下を抑制することは困難である。
【0034】
<実施例1>仕上げ焼鈍を施し、二次再結晶済みの一次皮膜付きの板厚0.30mmの鋼板に、濃度50重量%のクロム酸入りリン酸アルミニウム水溶液50ml、濃度20重量%のコロイド状シリカ水分散液100mlを塗布し乾燥させた。この時、塗布液中に平均粒子径10.2μmシリカ粒子を固形分重量比率で0.1重量%添加したものと、シリカ粒子を添加しないものとを用意した。次に、これらの試料を835℃で30秒間、窒素雰囲気中で焼鈍し、鋼板表面に絶縁皮膜を形成した。このようにして調製した試料を前述の方法で癒着性と占積率を評価した。結果を表3に示す。
【0035】
【表3】
【0036】
表3から占積率においては実施例1)、比較例2)いずれも97.6%と高く、良好である。ところが、剥離力を比較すると、シリカ粒子を添加しなかった比較例2)では541gと非常に大きな値であるのに対し、シリカ粒子を添加した実施例1)では15gと小さな値となり優れている。
<実施例2>仕上げ焼鈍を施し、二次再結晶済みの一次皮膜付きの板厚0.23mmの鋼板に、濃度50重量%のクロム酸入りリン酸アルミニウム・マグネシウム水溶液50ml、濃度20重量%のコロイド状シリカ水分散液100mlを塗布し乾燥させた。この時、塗布液中に平均粒子径5.2μmホウ酸アルミニウム粒子を固形分重量比率で0.3重量%添加したものと、ホウ酸アルミニウム粒子を添加しないものとを用意した。次に、これらの試料を835℃で30秒間、窒素雰囲気中で焼鈍し、鋼板表面に絶縁皮膜を形成した。このようにして調製した試料を前述の方法で癒着性と占積率を評価した。結果を表4に示す。
【0037】
【表4】
【0038】
表4から占積率においては実施例1)、比較例2)いずれも97.7%と高く、良好である。ところが、剥離力を比較すると、ホウ酸アルミニウム粒子を添加しなかった比較例2)では635gと非常に大きな値であるのに対し、ホウ酸アルミニウム粒子を添加した実施例1)では16gと小さな値となり優れている。
【0039】
【発明の効果】
絶縁皮膜形成用の塗布液中に一次粒子の平均粒径4.3μm以上20μm以下の無機鉱物質粒子を上記塗布液中固形分比率で0.02重量%以上20重量%以下含有させ、絶縁皮膜表面に適度な凹凸を形成することによって高い占積率を維持したまま、歪み取り焼鈍時の耐癒着性を大幅に改善できる。
Claims (3)
- 一次粒子の平均粒径4.3μm以上20μm以下の無機鉱物質粒子を固形分比率で0.02重量%以上20重量%以下含有することを特徴とする耐癒着性と占積率に優れる一方向性珪素鋼板の張力付与性絶縁皮膜用塗布液。
- 仕上げ焼鈍済みの一方向性珪素鋼板に塗布液を塗布、乾燥し、焼き付けることによって前記鋼板上に張力付与性の絶縁皮膜を形成する方法において、前記塗布液中に一次粒子の平均粒径4.3μm以上20μm以下の無機鉱物質粒子を上記塗布液中固形分比率で0.02重量%以上20重量%以下含有させることを特徴とする耐癒着性と占積率に優れる一方向性珪素鋼板絶縁皮膜形成方法。
- 前記塗布液の主体がリン酸塩、クロム酸およびコロイド状シリカであることを特徴とする請求項2記載の耐癒着性と占積率に優れる一方向性珪素鋼板絶縁皮膜形成方法。
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