JP3335840B2 - 低温焼き付けで製造でき溶接性に優れる絶縁被膜付き電磁鋼板 - Google Patents

低温焼き付けで製造でき溶接性に優れる絶縁被膜付き電磁鋼板

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JP3335840B2 JP10707296A JP10707296A JP3335840B2 JP 3335840 B2 JP3335840 B2 JP 3335840B2 JP 10707296 A JP10707296 A JP 10707296A JP 10707296 A JP10707296 A JP 10707296A JP 3335840 B2 JP3335840 B2 JP 3335840B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は溶接性、打抜性の両
立を目指した半有機絶縁被膜に関し、打抜性および占積
率を損なうことなく特に優れた溶接性を確保し、かつ、
製造時の焼き付け温度が低温で製造できる電気絶縁被膜
付き電磁鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】電磁鋼板の絶縁被膜は、電気絶縁性に優
れていることはもちろんのこと、最終製品としての性能
および製品製造過程で要求される性能等、種々の性能が
要求される。例えば、打抜性、TIG溶接性、被膜密着
性、耐食性、耐熱性、スティキング性、耐テンションパ
ット性、歪取り焼鈍後耐食性等の性能が挙げられる。
【0003】これらの要求に応えるものとして、種々の
絶縁被膜の開発が行われている。特に、有機樹脂と無機
物を含有した半有機絶縁被膜は、1コート1ベークの製
造で無機系絶縁被膜に比較して打抜性を格段に向上させ
ることができるので広く利用されている。しかしなが
ら、溶接性は有機系絶縁被膜よりは優れるものの、無機
系絶縁被膜には及ばない問題がある。半有機系絶縁被膜
の溶接性を向上させる方法として、樹脂の耐熱性を上
げる方法、鋼板に粗度をもたせてガス抜けを促進する
方法、塗液中に粗粒物質を配合して粗度をもたせてガ
ス抜けを促進する方法等が考えられている。の例とし
ては例えば、特開平6−235070号公報にはクロム
酸塩系半有機コート中の樹脂の熱分解ピーク温度を40
0℃以上とする方法が開示されている。の例として
は、特公昭49−6744号公報には鋼板の表面粗度を
20Hrmsμinchとする方法が開示されている。の例と
しては、特公昭56−21111号公報にはリン酸系ま
たはクロム酸系半有機コート中に5〜100μmの有機
樹脂粒子を配合し、表面粗度を2〜10μHmaxとするこ
とにより溶接性を向上する方法が開示されている。
【0004】また、従来のクロム酸塩系半有機コートは
2価金属と有機還元剤を含むものが主流である。例え
ば、特開平6−235070号公報の場合も少なくとも
1種以上の2価金属を含んでおり、焼き付け温度の低温
化のため有機還元剤を含んでいる。しかしながら、有機
還元剤を添加しても2価金属を含むクロム酸塩系半有機
コートは水溶性の6価Crを3価Crに還元するために
比較的高温で焼き付ける必要があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記、のように表
面に粗度をもたせてガス抜けを促進することによりTI
G溶接性を改善する方法では、確かに打抜性を損なうこ
となく格段にTIG溶接性を向上させることが可能であ
る。しかしながら、前述のような半有機コートは、溶接
性と打抜性の両立を達成しているものの、鋼板表面の粗
度が粗くなっているため、占積率が劣る問題がある。ま
た、上記のように樹脂の耐熱性を上げる方法では、打
抜性、占積率の低下なく溶接性が向上し、従来の半有機
コートと比較して溶接性レベルがアップしているもの
の、樹脂を含まない無機コートと比較すると溶接性レベ
ルが劣っている問題がある。また、従来の2価金属を含
むクロム酸塩系またはリン酸塩系コートを、200℃程
度の低温焼き付けで製造した場合は、クロム溶出性、リ
ン溶出性が劣るだけでなく、還元反応が未進行のため酸
素や水が被膜中に多く残存し、溶接性が劣る問題が見ら
れ、低温焼き付けには適さないことがわかった。このよ
うに、2価金属を含むクロム酸塩系コートまたはリン酸
塩系コートは焼き付け温度を比較的高温に設定する必要
があり、燃料費が不経済であるとともに、炉の能力の限
界近くで操業している場合には、ラインスピードを上げ
ると所望の焼き付け温度を得ることができないなど大量
生産の作業性を著しく損なう問題があった。
【0006】本発明は上述した問題点を解決すべくなさ
れたもので、低温焼き付けで製造でき、TIG溶接性、
打抜性、占積率等の絶縁被膜性能に優れた絶縁被膜付き
電磁鋼板を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記問題点
を解決するべく検討を進めた結果、クロム酸塩系被膜の
還元温度を下げて低温焼き付けを可能にするためには2
価金属を規定量以下とし、アルミニウム塩にすることが
有効であり、かつ、TIG溶接性を格段に向上するため
には樹脂固形分に対するアルミニウム量を一定量以上に
すればよいことを新たに見いだし、低温焼き付けで製造
でき、溶接性、打抜性、占積率にも優れた絶縁被膜を完
成した。
【0008】すなわち、本発明は、クロム酸塩と水性樹
脂と還元剤とを混合した電磁鋼板用絶縁被膜に関し、
記電磁鋼板用絶縁被膜中のCrO 3 100重量部に対す
る2価金属含有量が1重量部以下であり、前記水性樹脂
中の樹脂固形分100重量部に対するアルミニウム化合
物量がアルミニウム換算で5〜1000重量部であり、
さらに、前記水性樹脂を一定の昇温速度で加熱する際の
質量変化量が極大を示すピーク温度が400℃以上であ
ことを特徴とする低温焼き付けで製造でき溶接性に優
れた絶縁被膜付き電磁鋼板を提供する。
【0009】
【0010】ここで、前記水性樹脂の樹脂固形分100
重量部のうち架橋構造を形成し得る熱硬化性樹脂を0.
1〜50重量部含むのが好ましく、前記絶縁被膜の付着
量が乾燥量で0.05〜6g/m2 であるのが好まし
い。
【0011】
【作用】以下に本発明をさらに詳細に説明する。本発明
の電磁鋼板は、例えば、珪素鋼板、低炭素鋼板等の金属
板に以下の処理液を塗布し低温焼付けして電磁鋼板用絶
縁被膜を形成して無方向性電磁鋼板や一方向性電磁鋼板
とするものである。
【0012】本発明で用いる処理液は、クロム酸塩水溶
液であり、無水クロム酸、クロム酸塩、(重)クロム酸
アルミニウム等の重クロム酸塩の少なくとも1種を主剤
に用いた水溶液である。無水クロム酸主剤の場合にはア
ルミニウム化合物を溶解させる。クロム酸塩水溶液(C
rO3 換算で5〜2000重量部)を後述する水性樹脂
を樹脂固形分100重量部添加する。5重量部未満であ
るとアルミ化合物が下限近くの場合無機総量が少なくな
るため歪取り焼鈍後の性能(スティキング性、耐食性
等)が劣り、2000重量部超であるとアルミ化合物が
上限近くの場合無機総量が多くなり、打抜性が低下する
ため樹脂100重量部に対するCrO3 はCrO3 換算
で5〜2000重量部とする。好ましくは50〜100
0重量部とする。樹脂量に対して一定量のアルミニウム
を含むことにより溶接性を格段に向上させることが可能
である。メカニズムについては明らかでないが、溶接時
の熱によりアルミニウム化合物が分解され、溶接性低下
原因となる酸素を固定する役割を果たしていると考えら
れる。溶解するアルミニウム化合物としては例えば酸化
物、水酸化物、炭酸塩、クロム酸塩等が使用できるが、
これらに限るものではない。樹脂固形分100重量部に
対するアルミニウム化合物量はアルミニウム換算で5重
量部未満であると特に膜厚が厚くなるほどTIG溶接性
が不足し、1000重量部超であると打抜性が不足する
ため、アルミニウム換算で5〜1000重量部とする。
好ましくは、10〜1000重量部、より好ましくは2
0〜1000重量部とする。
【0013】さらに、本発明で用いる処理液は、処理液
pHの調整等の目的で他の金属を添加してもよいがM
g、Ca、Zn等の2価金属の重クロム酸塩は還元温度
が高く低温焼き付けを阻害するため極力少ない方がよ
く、CrO3 100重量部に対する2価金属含有量は少
なくとも1重量部以下とするが、含有しないことがより
好ましい。
【0014】処理液には、重クロム酸塩のCr6+をCr
3+に還元する温度をさらに低下させるために還元剤を添
加する。種々の還元剤が使用可能であるが、有機還元剤
が好適に適用できる。有機還元剤であれば、CrO3
100重量部に対して5〜100、好ましくは30〜1
00重量部の量を用いる。有機還元剤は5重量部未満で
あると、200℃以下の低温焼付けの場合に還元が不十
分で被膜がベトついたりクロム溶出して環境を破壊す
る。一方、100重量部超であるとそれ以上の還元温度
低下は期待できず、また、低温焼き付け時に被膜中に残
存するエチレングリコール量が増加しTIG溶接性を低
下させる。還元剤の種類は特に限定するものではない
が、エチレングリコール、ショ糖、グリセリン等の多価
有機アルコール類、ぎ酸、酢酸等のカルボン酸等は好適
に適用できる。しかしながら、前述のように有機還元剤
に限ることはなく、無機還元剤でも同様の還元反応促進
が期待できるものであれば適用可能である。
【0015】処理液中に配合する水性樹脂は、樹脂固形
分を微分熱重量測定の試料として一定の昇温速度で加熱
する際の重量変化量が極大を示すピーク温度が400℃
さらには、410℃以上であることが好ましい。400
℃未満であっても通常の2価金属を含むクロム酸塩系半
有機コートよりは優れた溶接性を示すものの、400℃
以上では格段に優れた溶接性を示すためである。
【0016】ここで微分熱重量測定(DTG)における
重量変化量の極大ピーク温度は、試料を不活性雰囲気中
で一定の昇温速度、例えば毎分20℃の割合で加熱し、
温度に対する試料の重量減少量を測定し、重量変化量d
G/dt(ただしGは試料の重量、tは時間)が極大を
示す温度を極大ピーク温度という。この極大ピーク温度
の測定は、市販の示差熱熱重量同時測定装置、例えば
(株)第二精工舎製モデルSSC/560GHを使用
し、試料約10mgをとり、30℃より毎分20℃の昇
温速度で550℃まで昇温させ、得られるDTGのグラ
フから極大ピーク温度を決定することができる。
【0017】樹脂の熱分解温度を上げるためには樹脂内
に架橋反応を形成させればよい。従って、熱硬化性樹脂
を用いるのがよいが、通常は架橋構造を形成し得る熱硬
化性樹脂は、未架橋の状態では分子中に水酸基、エポキ
シ基等の官能基を多く含み耐クロム酸性が劣り、クロム
酸によりゲル化しやすいので、クロム酸と接する面に耐
クロム酸性を有する樹脂層が存在するのが好ましい。す
なわち、コアシェル型樹脂でコアにあたる内層に熱硬化
性樹脂を含みシェルにあたる外層は耐クロム酸性の優れ
る樹脂であることが好ましい。内層を形成する熱硬化性
樹脂としてフェノール樹脂エポキシ樹脂、ウレタン樹
脂、アミノ樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられるが、こ
れだけでなく架橋構造を形成し得る各種の樹脂が利用で
きる。
【0018】さらに、樹脂粒子の外層の耐クロム酸性を
有する樹脂は、内層の熱硬化性樹脂と一体化してエマル
ジョン粒子になることが必要である。この条件を満たす
ものとして1種以上のエチレン性不飽和カルボン酸とこ
れに共重合可能な1種以上の単量体から形成される樹脂
が該当する。エチレン性不飽和カルボン酸としては、ア
クリル酸、メタクリル酸、クロトン酸のようなエチレン
性不飽和一塩基カルボン酸、イタコン酸、マレイン酸、
フマール酸のようなエチレン性不飽和二塩基カルボン酸
等が挙げられる。エチレン性不飽和単量体としては(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の
アクリル酸またメタクリル酸のアルキルエステルや、こ
れと共重合し得るエチレン性不飽和縮合を有する他の単
量体、例えばスチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニ
ル、アクリルアミド等が挙げられる。
【0019】水性樹脂固形分100重量部のうち架橋構
造を形成し得る熱硬化性樹脂は0.1〜50重量部であ
ることが好ましい。0.1重量部未満であると架橋効果
が低く耐溶剤性が劣り耐熱温度を400℃以上にするの
が難しく、50重量部超であると、耐クロム酸性のある
樹脂で覆いきれずにクロム酸と接触しやすくなり、液の
安定性が低下する。
【0020】上記のように樹脂表面を耐クロム酸性の優
れる樹脂で覆い、耐クロム酸性の劣る熱硬化性樹脂が直
接クロム酸塩に触れることをなくすことにより、液の静
置安定性は向上するものの、熱硬化性樹脂を配合した場
合には塗装時にかかる機械的な剪断力によって液安定性
が低下する場合が発生する場合がある。特にラインスピ
ードを上げて塗布する場合にはこのような対策が必要と
なり、界面活性剤を配合することが有効である。樹脂固
形分100重量部に対する全界面活性剤量は2〜15重
量部が好ましい。2重量部未満であると液安定性が不足
し、15重量部超であると溶接性が低下する。界面活性
剤は樹脂と比較して低分子量であり熱分解ピーク温度が
低いため溶接時にガスが発生しやすくなる。これら界面
活性剤は特に規定するものではない。また、発明者らが
先に発明した特開平7−286284号公報に記載の機
械的安定性と泡切れ性両方の性能を満たす方法は好適に
適用できる。しかしながら、ラインスピードを極端に上
げない場合にはこのような対策はなくとも十分である。
【0021】以上の薬剤を調合して電磁鋼板上に塗布し
て焼き付けることにより被膜を形成させる。絶縁被膜形
成方法は工業的に一般に用いられる方法が適用でき、ロ
ールコーター法、エアーナイフ法、バーコーター法等の
種々の方法が用いられる。焼き付け方法については、低
温短時間焼き付けが可能であり、到達板温が120〜2
50℃で十分クロムの還元反応は進行する。もちろん、
樹脂の熱分解が始まる400℃よりも低温であれば25
0℃以上の焼き付けも可能であるが、250℃以上で性
能の向上は見られないため、250℃未満、120〜2
50℃の焼き付けで十分である。
【0022】絶縁被膜の付着量は溶接性と打抜性の両立
の観点から0.05〜6g/m2 であることが好まし
い。0.05g/m2 未満であるとスティキング性、打
抜性、耐食性等が劣化し、6g/m2 超であると被膜密
着性が劣化する。なお、被膜の耐熱性を一層向上させる
ために、ほう酸(塩)、リン酸(塩)等を配合したり、
歪取り焼鈍後の層間抵抗を向上させるために、コロイダ
ルシリカ、コロイダルアルミナ等のコロイド状物質を配
合してもよい。
【0023】
【実施例】以下、本発明の効果を実施例に基づいて具体
的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定さ
れるものではない。
【0024】(実施例)板厚0.5mmの電磁鋼板の表
面に表1の種々の成分、界面活性剤および参考例で得ら
れた樹脂エマルジョンをそれぞれ表に示す量で混合した
処理液を塗布した後、熱風炉にて在炉時間10秒間焼付
けて所望の到達板温になるよう炉温、風量調整を行い焼
き付けて鋼板表面に絶縁被膜を形成した。
【0025】評価基準は以下に従った。液安定性 ◎:8時間後 目視で凝集なし、凝集量10mg/20
0ml未満 ○:8時間後 凝集量10〜50mg/200ml △:8時間後 目視で凝集少量あり ×:8時間後 目視で凝集大量にあり ゲル化:液を混合した時点でゲル化
【0026】耐食性(製品板) 塩水噴霧(5%NaCl溶液)試験で赤錆面積率が20
%以上になる時間で評価した。 ◎:15時間以上 ○:7〜15時間 △:4〜7時間 ×:0〜4時間
【0027】耐食性(焼鈍板) 750℃×2hr N2 中で歪取り焼鈍した後、恒温恒
湿試験(相対湿度80%、50℃)14日後の赤錆発生
面積率 ◎:0〜5% ○:5〜20% △:20〜40% ×:40〜100%
【0028】密着性 20mmφでの180°曲げ戻し試験後の被膜剥離率で
評価した。 ◎:剥離なし ○:〜剥離20% △:剥離20%〜剥離40% ×:剥離40%〜全面剥離
【0029】クロム溶出量 沸騰水浸漬10分後のCr溶出量を調査した。 ◎:0.2mg/m2 未満 ○:0.2〜0.5mg/m2 △:0.5〜1.0mg/m2 ×:1.0mg/m2
【0030】TIG溶接性 下記条件で溶接し、ブローホールの生じない最大溶接速
度で評価した。 電極:Th−W 2.6mmφ 加圧力:100kg/cm2 電流:120A シールドガス:Ar 61/min ◎:800mm/分超 ○:600〜800mm/分 △:400〜600mm/分 ×:400mm/分未満
【0031】スティキング性 50mm×50mmを10枚、荷重(200g/c
2 )焼鈍し、分銅500gを落下させ10枚が5分割
する時の落下高さで評価した。 ◎:0〜20cm未満 ○:20〜40cm未満 △:40〜60cm ×:60cm超
【0032】占積率 JIS C 2550に沿って占積率を測定した。 ◎:99%以上 ○:98〜99% △:97〜98% ×:97%未満
【0033】打ち抜き性 15mmφスチールダイスにおいて、かえり高さが50
μmに達するまでの打ち抜き数で評価。 ◎:150万回超 ○:100万〜150万回 △:70万〜100万回 ×:70万回未満
【0034】耐溶剤性 沸騰キシレン中6時間浸漬後の被膜減量 ◎:0.05g/m2 未満 ○:0.05〜0.1g/m2 超 △:0.1〜0.2g/m2 超 ×:0.2g/m2
【0035】(参考例1)本発明に用いる樹脂エマルジ
ョン(E1)を下記の原料と製造方法で製造した。攪拌
機、還流コンデンサー、滴下ロートおよび温度計を取り
つけた1.5Lの反応容器に下記の原料を仕込み溶解し
た。 脱イオン水 3240部 エマルゲン931(花王(株)ノニオン乳化剤) 10.0部 ネオゲンR(第一工業製薬(株)アニオン乳化剤) 4.0部 次いで、第1段目の乳化重合として下記の混合物を滴下
ロートに入れた。 ビスフェノール型エポキシ樹脂 100部 アクリル酸ブチル 200部 メタクリル酸メチル 100部 アクリル酸 8.0部 窒素ガスを流入しつつ、攪拌下に、反応装置内の温度を
60℃に昇温し、脱イオン水に溶解した2%濃度の過硫
酸カリウム水溶液を40部添加し、次いで滴下ロートに
入れたエポキシ樹脂とアクリル酸ブチル、メタクリル酸
メチルおよびアクリル酸の単量体の混合物の20%を加
えた。重合熱による温度上昇をウォーターバスにより制
御し、内温を30℃に保ちつつ、続いてエポキシ樹脂・
単量体混合物の残りと2%過硫酸カリウム水溶液80部
を2時間かけて滴下し、重合した。さらに80℃で2時
間保持した後、室温まで冷却して200メッシュ濾布で
濾過し、取り出して種粒子となる乳化重合体を得た。こ
のものは不揮発分濃度50.3wt%、pH2.8であ
った。同様な1.5Lの反応装置に上記で得た乳化重合
体452部および水125部を仕込んだ。次に第2段目
の乳化重合として、下記のエチレン性不飽和単量体を調
整し滴下ロートに入れた。 アクリル酸エチル 60部 メタクリル酸メチル 30部 ジメチルアミノエチルメタクリレート 2.0部 アクリル酸 1.0部 窒素ガスを流入しつつ、攪拌しながら反応装置内温を7
0℃に昇温し、別の滴下ロートに準備した2%過硫酸カ
リウム水溶液60部および上記単量体混合液を滴下して
重合した。これらの滴下は内温を70℃に保ちつつ2時
間で行なった。さらに、同温度で2時間保持後、室温ま
で冷却して200メッシュ濾布で濾過し、本発明に用い
る重合体エマルジョンを得た。得られた重合体エマルジ
ョンの樹脂固型分は48wt%であった。
【0036】(参考例2)本発明に用いる樹脂エマルジ
ョン(E2)を下記の原料と製造方法にて製造した。第
1段目に下記の混合物を使用した。 ビスフェノール型エポキシ樹脂 120部 アクリル酸エチル 300部 メタクリル酸メチル 120部 メタクリル酸 8.0部 第2段目に下記の混合物を使用した。 アクリル酸エチル 50部 メタクリル酸メチル 30部 メタクリル酸 2.0部 アクリル酸ブチル 2.0部 得られたエマルジョンの樹脂固型分は、52wt%であ
った。
【0037】(参考例3)本発明に用いる樹脂エマルジ
ョン(E3)を下記の原料と製造方法にて製造した。第
1段目に下記の混合物を使用した。第2段目は参考例1
と同様とした。 レゾール型フェノールホルムアルデヒド樹脂 100部 アクリル酸エチル 200部 メタクリル酸メチル 100部 メタクリル酸 8.0部
【0038】(参考例4)本発明に用いる樹脂エマルジ
ョン(E4)を下記の原料と製造方法にて製造した。第
1段目は参考例1と同様とした。第2段目に下記の混合
物を使用した。得られたエマルジョンの樹脂固型分は、
46wt%であった。 アクリル酸エチル 200部 メタクリル酸メチル 30部 ビニルピリジン 1.0部 アクリル酸 1.0部
【0039】(参考例5)本発明に用いる樹脂エマルジ
ョンE5,E6も他の参考例と同様にして製造した。
【0040】なお、比較例に使用した樹脂は、下記のも
のである。 R1 ビスフェノール型エポキシ樹脂脂水性エマルジョ
ン(固型樹脂量40wt%) R2 酢酸ビニル樹脂水性エマルジョン(固型樹脂量4
5wt%) R3 レゾール型フェノール樹脂水性エマルジョン(固
型樹脂量53wt%) R4 ポリエステル樹脂水性エマルジョン(固型樹脂量
55wt%) R5 アクリル樹脂水性エマルジョン(固型樹脂量47
wt%) メチルアクリレート50重量部とブチルアクリレート3
0重量部の共重合物
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
【発明の効果】本発明は以上説明したように構成されて
いるので、低温焼き付けで製造でき、溶接性、打抜性、
占積率等の絶縁被膜性能が優れており、モーター、トラ
ンス等の用途をはじめ広く利用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−235070(JP,A) 特開 平7−62551(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 22/00 - 22/86

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】クロム酸塩と水性樹脂と還元剤とを混合し
    た電磁鋼板用絶縁被膜に関し、前記電磁鋼板用絶縁被膜中のCrO 3 100重量部に対
    する2価金属含有量が1重量部以下であり、 前記水性樹脂中の樹脂固形分100重量部に対するアル
    ミニウム化合物量がアルミニウム換算で5〜1000重
    量部であり、さらに、前記水性樹脂を一定の昇温速度で加熱する際の
    重量変化量が極大を示すピーク温度が400℃以上であ
    る、 ことを特徴とする低温焼き付けで製造でき溶接性に優れ
    た絶縁被膜付き電磁鋼板。
  2. 【請求項2】 前記水性樹脂の樹脂固形分100重量部の
    うち架橋構造を形成し得る熱硬化性樹脂を0.1〜50
    重量部含む請求項1に記載の低温焼き付けで製造でき溶
    接性に優れた絶縁被膜付き電磁鋼板。
  3. 【請求項3】 前記絶縁被膜の付着量が乾燥量で0.05
    〜6g/m2 である請求項1または2に記載の低温焼き
    付けで製造でき溶接性に優れた絶縁被膜付き電磁鋼板。
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