JP2003147543A - 電磁鋼板用クロムフリー表面処理剤及び表面処理電磁鋼板 - Google Patents

電磁鋼板用クロムフリー表面処理剤及び表面処理電磁鋼板

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JP2003147543A
JP2003147543A JP2001382334A JP2001382334A JP2003147543A JP 2003147543 A JP2003147543 A JP 2003147543A JP 2001382334 A JP2001382334 A JP 2001382334A JP 2001382334 A JP2001382334 A JP 2001382334A JP 2003147543 A JP2003147543 A JP 2003147543A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クロムフリー表面処理剤及び密着性、絶縁
性、耐食性、連続打ち抜き性、溶接性及び耐ステッキン
グ性に優れたクロムフリーの皮膜を有する表面処理電磁
鋼板を提供する。 【解決手段】 Alのリン酸化合物1.0モル部、ホウ
素化合物0.05〜0.5モル部にMn、Mg、Caの
化合物の1種或いは2種以上を0.005〜0.05モ
ル部配合した水性液の固形分100重量部に対し、造膜
性を有する水系有機樹脂エマルジョン或いは水溶性樹脂
を10〜450部配合したクロムフリーの表面処理剤で
ある。また、さらに特殊界面活性剤を配合し、粘性を高
めて厚膜塗布が可能である。本表面処理剤を電磁鋼板に
塗布することにより密着性、絶縁性、耐食性、連続打ち
抜き性、溶接性及び耐ステッキング性に優れた皮膜を有
する表面処理鋼板を製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁鋼板の表面に
塗布、乾燥して素材(電磁鋼板)との密着性、絶縁性、
耐食性、連続打ち抜き性、溶接性、耐リン溶出性、耐ス
テッキング性に優れた皮膜を形成するクロムフリー表面
処理剤並びにクロムフリー表面処理皮膜を有する表面処
理電磁鋼板に関するものである。また、クロムフリー表
面処理剤の厚膜形成方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】電磁鋼板は表面に1〜10μの絶縁皮膜
を形成することが一般に行われている。こうした電磁鋼
板はその後特定の形状に打ち抜かれ、数枚〜数十枚積層
し、側面部を溶接し、歪取り焼鈍して主にモーターのコ
アなどに使用される。電磁鋼板の表面に絶縁性に優れた
皮膜が無いと強力な磁場が発生しない。また、コアを打
ち抜く際、電磁鋼板に歪が残る。歪があると磁場に乱れ
が生じるため強力な磁場が発生しない。そこで歪を除く
ため無酸化雰囲気で700〜850℃で歪取り焼鈍をす
る。電磁鋼板に皮膜を形成する最大の目的は電磁鋼板を
積層した際、鋼板と鋼板の間に薄い絶縁層を存在せしめ
る点にあるが、皮膜には同時に次ぎのような特性が付与
されていなければならない。
【0003】歪取焼鈍前では、素材(電磁鋼板)と優れ
た密着性を有すること、皮膜自身が強靭であること、優
れた絶縁性、耐食性、連続打ち抜き性及び溶接性を有さ
なければならない。また、使用中、結露したりした際に
皮膜成分が極力溶出してはならない。歪取焼鈍後では、
素材と優れた密着性を有すると共に皮膜自身が強靭であ
ること、優れた絶縁性、耐食性及び耐ステッキング性
(皮膜同士の融着防止)を有さなければならない。ま
た、皮膜成分が極力溶出してはならない。
【0004】絶縁皮膜を形成するための表面処理剤は一
般に無機化合物のみの表面処理剤、無機化合物と有機樹
脂を混合した表面処理剤及び有機樹脂のみの表面処理剤
に分けることができる。ここで、最近では無機化合物の
みの表面処理剤はあまり使用されていない。1〜2μの
薄膜領域では無機化合物と有機樹脂の混合系が主に使用
され、3〜10μの厚膜領域は有機樹脂のみの表面処理
剤が使用されている。
【0005】無機化合物のみの表面処理剤の主成分はク
ロム酸とリン酸である。また、無機物化合物と有機樹脂
との混合系による表面処理剤はいずれも有機樹脂−クロ
ム酸−無機化合物系よりなり有機樹脂の多くはアクリル
系樹脂が、また、無機物の多くは酸化物が使用されてい
る。ここで、成分のうちクロム酸は必須で多量のクロム
酸を添加し、クロム酸によって表面処理皮膜の下地金属
との密着性を確保すると共に造膜性と耐食性を確保して
いる。また、同時に乾燥後クロム酸の多くは三価のクロ
ム(Cr・Cr(OH))となり絶縁性を確保
する皮膜成分の一つになっている。有機樹脂は一部表面
処理時の造膜成分として機能しているが、その主な機能
は鋼板からコアを打ち抜く際の連続打ち抜き時の打ち抜
き装置の歯型破壊防止(歯型の寿命延長)にある(連続
打ち抜き性)。これら無機化合物の混合系或いは有機樹
脂と無機化合物との混合系では使用時皮膜の一部から6
価のクロムイオンが溶出するなどの弊害が生じる。ま
た、有機樹脂のみの表面処理剤は厚膜を確保するため粘
性の高い溶剤系の有機樹脂が使用されている。
【0006】これに対し、最近の傾向として環境及び公
害問題から、クロムに関する規制が大幅に強化されよう
としている。また、同じく有機溶剤に対する規制もかな
り厳しくなっている。それに応じてクロムを用いないク
ロムフリーの絶縁皮膜用表面処理剤が開発され一部市販
されている。例えば特開平03−316655:クロム
フリー電磁鋼板表面処理用組成物及び表面処理電磁鋼
板、特開2001−279458:耐食性に優れるクロ
ムフリー絶縁皮膜を有する電磁鋼板、特開2000−3
45360:歪取り焼鈍後の特性に優れたクロムフリー
絶縁皮膜付き電磁鋼板等がある。
【0007】特開平03−316655は歪取り焼鈍前
では極めて優れた皮膜密着性、耐食性、連続打ち抜き性
及び溶接性を示すが、歪取り焼鈍後では皮膜密着性、耐
食性がやや低下する傾向を示す。特開2001−279
458は歪取り焼鈍前では皮膜密着性、耐食性及び絶縁
性を確保出来るが、歪取り焼鈍後では必ずしも十分とは
言えない。特開2000−345360は歪取り焼鈍後
では耐食性及び耐ステッキング性が確保されているが、
皮膜密着性が必ずしも十分とは言えない。また、歪取り
焼鈍前では皮膜密着性及び耐食性は必ずしも十分とは言
えない。また、ヨーロッパの一部で市販されているクロ
ムフリー表面処理剤はリン酸化合物とリン酸を主成分と
し、一部に有機樹脂を混合している場合もある。これら
市販品は形成された皮膜は下地(電磁鋼板)との密着性
が悪いため剥離し易い。また、造膜しにくいため脆く、
連続打ち抜き時皮膜は破壊され粉塵を発生し易い。ま
た、造膜しにくいことから錆を発生し易く耐食性は得ら
れ難い。耐食性を確保するために厚く塗布すると溶接性
を阻害するとともに占績率(コアを積層した際の断面に
おける鋼板の占める面積)が低下する。また、使用時皮
膜が吸湿し、多量のリンが溶出することによりベトツキ
が生じ作業性を阻害する。また、歪取焼鈍時ステッキン
グ(融着)を起こし易く、作業性を著しく低下すると共
に、ステッキングを起こした鋼板を剥離すると皮膜まで
剥離する。また、歪取焼鈍後皮膜は造膜性が低下し、素
材から皮膜はさらに剥離し易くなり、組み立て工程など
で粉塵となり環境を阻害する。また、皮膜が造膜性を低
下していることから耐食性も低下する。一方、これまで
水系有機樹脂エマルジョン或いは水溶性樹脂と各種無機
物質を混合した場合、混合液の粘度が低いためフラット
ロールで3〜10μの厚膜塗布は困難とされてきた。厚
膜塗布を可能にするには混合液の粘度を上げると共に粘
性(糸引き性)を上げる必要がある。しかし、水系有機
樹脂エマルジョン或いは水溶性樹脂と各種無機物質の混
合液に粘度及び粘性を付与することは極めて困難とさ
れ、これまで可能にする技術は皆無であった。従って、
こうした有機樹脂及び無機化合物の混合の厚膜皮膜を形
成した電磁鋼板も皆無であった。以上示すように現在市
販のクロムフリーの絶縁皮膜用表面処理剤は多くの欠点
を有する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】これに対し、本発明は
上記従来の技術の欠点を解決し、電磁鋼板に歪取焼鈍前
において素材(電磁鋼板)との密着性、絶縁性、耐食
性、連続打ち抜き性、溶接性及び耐成分溶出性(主に耐
リン溶出性)に極めて優れ、また、歪取焼鈍後において
素材との密着性、絶縁性、耐食性、耐成分溶出性及び耐
ステッキング性に優れたクロムフリーの皮膜を形成する
表面処理剤を提供することを第一の目的とするものであ
る。第二の目的は水系有機樹脂エマルジョンあるいは水
溶性樹脂と無機化合物の混合液の粘度及び粘性を上げる
方法を提供するものであり、それによって電磁鋼板に3
〜10μの厚膜皮膜を容易に形成することが出来る。第
三の目的は電磁鋼板の上に上記表面処理剤によって、歪
取焼鈍前において素材との密着性、絶縁性、耐食性、連
続打ち抜き性、溶接性及び耐リン溶出性に優れ、歪取焼
鈍後において素材との密着性、絶縁性、耐食性、耐リン
溶出性及び耐ステッキング性に優れたクロムフリーの皮
膜を形成せしめた表面処理電磁鋼板を提供するものであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明はAl
のリン酸化合物、ホウ素化合物及びMg、Mn、Ca化
合物の1種或いは2種以上を特定の割合に配合した表面
処理剤であり、或いはこれら無機化合物に本有機樹脂を
特定の割合で配合した表面処理剤を提供するものであ
り、また、無機化合物及び本有機樹脂の混合液の粘度及
び粘性を上げる方法を提供するものである。また、これ
ら表面処理剤による皮膜を電磁鋼板上に形成し、歪取り
焼鈍前において電磁鋼板と極めて優れた密着性を有し、
かつ、絶縁性、耐食性、溶接性、連続打ち抜き性及び耐
リン溶出性に優れ、また、歪取焼鈍後において電磁鋼板
と優れた密着性を有し、絶縁性、耐食性、耐リン溶出性
及び耐ステッキング性に優れた表面処理皮膜を形成する
クロムフリーの安定な表面処理剤である。この極めて優
れた電磁鋼板との密着性は歪取焼鈍前ではAlのリン酸
化合物によって主に得られ、本有機樹脂が加わると密着
性はさらに改善される。歪取焼鈍後では本有機樹脂が熱
分解によってほとんどなくなるが、Alのリン酸化合物
とホウ素化合物の燒結反応との相乗効果によって優れた
密着性が得られる。また、極めて優れた絶縁性は歪取焼
鈍前ではAlのリン酸化合物とホウ素化合物と本有機樹
脂とを特定の比率にする事によって得られる。歪取焼鈍
後ではAlのリン酸化合物とホウ素化合物とが特定の比
率で存在する状態でホウ素化合物の燒結反応が起き、A
lのリン酸化合物とホウ素化合物とで緻密な皮膜が形成
され優れた絶縁性が得られる。優れた耐食性は歪取焼鈍
前では本有機樹脂とAlのリン酸化合物により緻密な皮
膜が形成されるることと、Mg、Mn、Caの化合物が
電磁鋼板の表面に吸着し、表面の自然電位を卑にするこ
とによって得られる。歪取焼鈍後ではAlのリン酸化合
物とホウ素化合物との燒結反応による緻密な皮膜の形成
とMg、Mn、Caの化合物が電磁鋼板の表面に吸着
し、表面の自然電位を卑にすることによって得られる。
優れた溶接性は形成された皮膜の粗度が比較的粗いこと
によりガス抜きが起き易いことによる。優れた連続打ち
抜き性は本有機樹脂の存在に主に負っているが、Alの
リン酸化合物によって連続打ち抜き性はさらに向上す
る。また、歪取り焼鈍後の耐ブロッキング性は一部残存
する本有機樹脂とホウ素化合物及びMg、Mn、Caの
化合物によって確保される。
【0010】本発明で言う本有機樹脂とは造膜性を有す
る水系有機樹脂エマルジョンあるいは水溶性樹脂であれ
ばいずれでも良い。中でも水酸基含有モノマーを有する
有機樹脂が良い。水酸基含有モノマー成分として(メ
タ)アクリル酸−ヒドロキシルエチル、(メタ)アクリ
ル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒド
ロキシブチル、アクリル酸2、2−ビス(ヒドロキシメ
チル)エチル、(メタ)アクリル酸2.3−ジヒドロキ
シプロピル、(メタ)アクリル酸−3−クロル−2−ヒ
ドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシエ
ステル類、アクリルアルコール類及びN−メチロールア
ミド等のアルコールアミド類の還元性水酸基を含有する
モノマー及び酸性液中で水酸基と同様な反応を期待でき
るグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジル
エーテル、β−メチルグリシジルエーテル、β−メチル
グリシジル(メタ)アクリレート、3.4−エポキシシ
クロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のグリシジ
ル基を有するモノマー、アクロレインアドのアルデヒド
基を有するモノマーが使用できるが、特に好ましくはア
クリル酸2−ヒドロキシエチル−メタアクリル酸2−ヒ
ドロキシエチルである。なお、(メタ)アクリル酸〜
は、メタアクリル酸2−ヒドロキシエチルである。な
お、(メタ)アクリル酸〜は、メタアクリル酸〜及び/
又はアクリル酸〜を表している。
【0011】また、水酸基含有モノマーにエチレン系不
飽和カルボン酸やその他のエチレン系不飽和化合物を共
重合した樹脂もよい。エチレン系不飽和カルボン酸成分
としては、例えばアクリル酸、メタアクリル酸、クロト
ン酸等のエチレン系不飽和モノカルボン酸、イタコン
酸、マレイン酸、フマール酸等のエチレン系不飽和ジカ
ルボン酸と、それらのカルボン酸アルカリ金属塩、アン
モニウム塩、有機アミンが使用できる。また、エチレン
系不飽和化合物としてはエチレン系不飽和カルボン酸成
分と水酸基含有モノマー成分の例示以外のエチレン系不
飽和化合物であって、(メタ)アクリル酸アルキルエス
テル及びその共重合体樹脂、及びその他のビニル化合物
であり、芳香族ビニル化合物などである。上記以外にポ
リアクリル酸エステル及びその共重合体樹脂、ポリメタ
アクリル酸エステル及びその共重合体樹脂、エポキシ及
びその共重合体樹脂、アクリル変性エポキシ及びその共
重合体樹脂、エステル変性エポキシ及びその共重合体樹
脂、ウレタン変性エポキシ及びその共重合体樹脂等も使
用することができる。これらから選ばれた1種または2
種以上を併用することができる。水酸基含有モノマーを
有さない有機樹脂でも乾燥によって造膜機能を有する有
機樹脂であればいずれも使用することが出来る。また、
本発明の目的を損なわない範囲で上述した化合物以外の
化合物等を含有させておくことも差し支えない。以下、
上記有機樹脂を本発明では本有機樹脂と言う。
【0012】Alのリン酸化合物としては第一リン酸ア
ルミニウム(Al(HPO)、リン酸アルミニ
ウム(AlPO、AlPO・2HO)などを用い
ることができるが第一リン酸アルミニウムがよりよい。
ホウ素化合物としてはホウ酸、無水ホウ酸などを用いる
ことができるが、ホウ酸がよりよい。Mn、Mg及びC
aの化合物は好ましくはこれら重金属のリン酸化合物を
使用することが望ましい。また、Mn、Mg、Caの化
合物のうちでMgの化合物が特によい。これら重金属の
リン酸化合物の1種あるいは2種以上を添加する。
【0013】次ぎにAlのリン酸化合物1.0モル部に
対しホウ素化合物0.05〜0.5モル部、Mg、M
n、Ca化合物の1種或いは2種以上を0.005〜
0.05モル部配合する。三者を上記割合に配合すると
皮膜形成後、歪取焼鈍前において素材(電磁鋼板)との
密着性、絶縁性、耐食性、溶接性、連続打ち抜き性及び
耐リン溶出性等極めて優れた皮膜特性を示し、また、歪
取焼鈍後においても素材との密着性、絶縁性、耐食性、
耐リン溶出性及び耐ステッキング性に優れた皮膜特性を
示すことを発見した。これら優れた特性は上記三者を上
記特定の割合に配合した場合に始めて得られるものであ
る。
【0014】次ぎに上記三種類の無機化合物を特定の割
合に配合した混合液の固形分100重量部に対し、本有
機樹脂を10〜450重量部配合する。上記無機混合物
と本有機樹脂を上記特定の割合に配合することによっ
て、塗布性及び皮膜の造膜性が大幅に向上し、歪取焼鈍
前において素材との密着性、絶縁性、耐食性、連続打ち
抜き性及び耐リン溶出性共さらに格段に向上することが
わかった。以下に各成分によって皮膜特性がどのように
変化するかを示す。
【0015】
【発明の実施の形態】Alのリン酸化合物、ホウ素化合
物、Mg、Mn、Ca化合物および本有機樹脂の共存す
る浴を作成し、電磁鋼板に皮膜を形成し特性がどのよう
に変化するかを示す。第一リン酸アルミニウム1.0モ
ル部ーホウ酸0.25モル部ー第三リン酸マグネシウム
を種々の割合で混合した無機物質の固形分100重量部
に対し本有機樹脂を20重量部添加し、全固形分濃度が
20%となるように水を配合した。本有機樹脂としては
ヒドロキシルメチルアクリレートーメタアクリル酸メチ
ルーアクリル酸を共重合した樹脂を用いた。これら水性
液を電磁鋼板(JIS規格50A470)に全固形分が
2.0g/mとなるように塗布し、乾燥して形成した
皮膜について歪取焼鈍前において素材(電磁鋼板)との
密着性、絶縁性、耐食性、溶接性、連続打ち抜き性及び
耐リン溶出性について調査した。また、歪取焼鈍後にお
いて素材との密着性、絶縁性、耐食性、耐リン溶出性及
び耐ステッキング性を調査した。
【0016】ここで、素材と本発明による表面処理皮膜
との密着性はJEM規格に準じて実施した。試験部をセ
ロテープ(登録商標)で剥離し、テープを転写して黒化
度で評価した。密着性試験は焼鈍前後で行った。焼鈍条
件は高純度窒素雰囲気で750±20℃で2時間加熱
し、200℃まで炉冷して大気中に取り出した(JEM
規格に準じる)。 ○:剥離無し △:少し剥離 ×:やや多い
【0017】表面処理皮膜の絶縁性は層間抵抗を求めて
測定した。層間抵抗はJIS C2550第2法に準じ
て実施した。30点測定しその平均値を求めた。測定は
焼鈍前後で実施した。焼鈍条件は上記と同じである。 焼鈍前:○:100Ω−cm/枚超 △:50Ω−cm/枚以上〜100Ω−cm/枚以下 ×:50Ω−cm/枚未満 焼鈍後:○:10Ω−cm/枚超 △:2Ω−cm/枚以上〜10Ω−cm/枚以下 ×:2Ω−cm/枚未満
【0018】表面処理の耐食性はJIS Z2371に
準じて実施した。SST5時間行い、発錆状況を調べて
評価した。測定は焼鈍前後のサンプルについて実施し
た。 ◎:赤錆発生率 0% ○: 〃 0%超〜1%以下 △: 〃 1%超〜10%以下 ×: 〃 10%超〜50%以下 ××: 〃 50%超
【0019】表面処理皮膜の切断性は連続打ち抜き回数
で評価した。測定は焼鈍前のサンプルについてのみ実施
した。 ○:700,000回超 △:300,000回以上〜700,000回以下 ×:300,000回未満
【0020】表面処理皮膜の溶接性はJEM規格に準じ
る方法を採用した。サンプル締め圧:50kg/c
、Ar流量:5l/min、溶接電流:100A、
アーク長:1.5mm、電極材質:2%ThO−W、
電極径:2.4mm、開先:無し、サンプル積み厚:〜
30mmで実施した。評価方法はビード中に気泡が発生
しない最大溶接速度(cm/min)にて評価した。 ○:20cm/min超 △:10cm/min以上〜20cm/min以下 ×:10cm/min未満
【0021】皮膜の耐リン溶出性は試料を沸騰水に30
分浸漬し、前後のリンの減量を蛍光X線で測定して求め
た。 ○:リンの減量 30mg/m未満 △: 〃 30mg/m以上〜50mg/m以下 ×: 〃 50mg/m
【0022】皮膜の耐ステッキング性は締め圧60kg
/cmで歪取焼鈍し、焼鈍後剥離荷重を測定して求め
た。焼鈍条件は前出と同じである。 ○:剥離荷重 20g/m未満 △: 〃 20g/m以上〜30g/m以下 ×: 〃 30g/m
【0023】形成した皮膜の電磁鋼板との密着性は第三
リン酸Mgの添加量によって左右され、0.005モル
部〜0.05モル部では鋼板と優れた密着性が得られる
が、0.005モル部未満、或いは0.05モル部超で
は焼鈍前後いずれにおいても密着性はやや低下する。皮
膜の絶縁性は焼鈍前後いずれにおいても第三リン酸Mg
の添加量によって大きく左右されない。耐食性は第三リ
ン酸Mgの添加量によって大きく左右され、0.005
モル部以上、0.05モル部以下で優れた耐食性が得ら
れるが、0.005モル部未満および0.05モル部超
で耐食性はやや低下する。この傾向は焼鈍前後で同様で
ある。溶接性は第三リン酸Mgの添加量によって大きく
は左右されない。連続打ち抜き性も第三リン酸Mgの添
加量によって大きくは左右されない。以上の結果から、
Alのリン酸化合物1.0モル部に対し、第三リン酸M
gの添加量は0.005モル部〜0.05モル部とす
る。これら結果は、第三リン酸Mgのかわりにリン酸M
gなどMg化合物、第一リン酸MnなどのMn化合物、
また、第一リン酸CaなどのCa化合物でも同様の結果
が得られた。
【0024】次ぎに第一リン酸アルミニウム1.0モル
部ー第三リン酸マグネシウム0.01モル部にホウ酸を
種々の割合で混合した無機物質の固形分100重量部に
対し本有機樹脂を20重量部添加し、全固形分濃度が2
5%となるように水を配合した。本有機樹脂としてヒド
ロキシアクリレート−メタアクリル酸メチル−アクリル
酸を共重合した樹脂を用いた。これら水性液を電磁鋼板
(JIS規格50A470)に全固形分が2.1g/m
となるように塗布し、乾燥して形成した皮膜について
歪取焼鈍前において素材との密着性、絶縁性、耐食性、
溶接性、連続打ち抜き性及び耐リン溶出性について調査
した。また、歪取焼鈍後において素材との密着性、絶縁
性、耐食性、耐リン溶出性及び耐ステッキング性につい
て評価した。形成した皮膜の電磁鋼板との密着性はホウ
酸の添加量によって大きく左右され0.05モル部以上
〜0.50モル部以下で焼鈍前後共極めて優れた密着性
が得られ、特に焼鈍後においてその効果は極めて大なる
ものである。0.05モル部未満および0.50モル部
超で密着性は低下する。皮膜の絶縁性はホウ酸の添加量
によって特に大きくは左右されない。耐食性はホウ酸の
添加量によって左右され、0.05モル部未満および
0.50モル部超で焼鈍前後の耐食性共やや低下する。
溶接性はホウ酸の影響を一部受け、添加量が多くなるに
つれ溶接性はやや良くなる傾向を示す。連続打ち抜き性
はホウ酸の添加量によって大きく左右されない。以上の
結果から第一リン酸Al1.0モル部に対し、ホウ酸の
添加量は0.05モル部〜0.50モル部とする。ま
た、ホウ酸の替わりに無水ホウ酸を用いてもほぼ同様の
結果が得られた。
【0025】次ぎに第一リン酸Al1.0モル部−ホウ
酸0.20モル部−第三リン酸Mg0.01モル部の無
機混合物の固形分100重量部に対し、ヒドロキシエチ
ルアクリレート−メタアクリル酸メチル−アクリル酸を
共重合した樹脂を種々の割合で添加し、さらに水を全固
形分濃度が25%となるように加えて水性液を作成し
た。これら水性液よりなる表面処理浴を、電磁鋼板(J
IS規格50A470)に全固形分が1.2g/m
なるように塗布し、乾燥して形成した皮膜の歪取焼鈍前
後について特性調査した。形成した皮膜の電磁鋼板との
密着性は本有機樹脂の添加量によって影響を受け、歪取
焼鈍前では10重量部以上で密着性はさらに向上する。
歪取焼鈍後では本有機樹脂の添加量が増えるにつれやや
低下する傾向にあり、450重量部超で著しく低下す
る。皮膜の絶縁性も本有機樹脂の添加量によって影響を
受け、歪取焼鈍前では10重量部以上で絶縁性はさらに
向上する。歪取焼鈍後では添加量によって大きく左右さ
れない。耐食性は歪取焼鈍前では本有機樹脂の添加量に
よって左右され、10重量部以上、450重量部以下で
優れた耐食性が得られるが、10重量部未満及び450
重量部超になると耐食性はやや低下する。歪取焼鈍後で
は添加量によって大きく左右されない。歪取焼鈍前の溶
接性は本有機樹脂の添加量によって大きく左右され、添
加量が増えるにつれ溶接性は低下する傾向にあるが、特
に450重量部を超えると著しく低下する。歪取焼鈍前
の連続打ち抜き性は本有機樹脂の添加量によって大きく
左右され、10重量部以上添加することにより連続打ち
抜き性は大幅に向上する。耐リン溶出性は歪取焼鈍前で
は本有機樹脂の添加量によって大きく左右され、10重
量部以上添加することにより耐リン溶出性は大幅に向上
する。歪取焼鈍後では本有機樹脂の添加量によって大き
く左右されない。歪取焼鈍後の耐ステッキング性は本有
機樹脂の添加量が増えるとやや向上する傾向を示すが添
加量によって大きく左右されない。以上の結果から、第
一リン酸Al1.0モル部−ホウ酸0.10モル部−第
三リン酸Mg0.01モル部の無機混合物100重量部
に対し、本有機樹脂10重量部〜450重量部とする。
【0026】これまでAlのリン酸化合物として第一リ
ン酸Alを用いて説明してきた。Alのリン酸化合物と
して第一リン酸Alの代わりにリン酸Alを用いてもほ
ぼ同様の結果がえられた。
【0027】以上の結果から、本発明はAlのリン酸化
合物1.0モル部に対し、ホウ素化合物0.05〜0.
5モル部、Mn、Mg、Ca化合物の1種或いは2種以
上を0.005〜0.05モル部配合することを特徴と
する金属表面処理剤とする。また、上記記載の表面処理
剤の固形分100重量部に対し、造膜性を有する水系有
機樹脂エマルジョンあるいは水溶性樹脂を10〜450
重量部配合することを特徴とする金属表面処理剤とす
る。
【0028】次ぎに、一般に水系有機樹脂エマルジョン
あるいは水溶性樹脂と無機化合物の混合液をフラットロ
ールで厚膜塗布することは困難と言われている。それは
こうした有機と無機の混合液は粘度が低く、かつ、粘性
(糸引き性)が小さいことによる。一方、水系有機樹脂
エマルジョンあるいは水溶性樹脂と無機化合物の混合液
に粘性を付与することは極めて困難と言われている。一
般にこうした液に増粘剤を併用することが考えられる
が、粘度は増加するが、粘性を変えることは難しい。ま
た、時間がたつにつれ樹脂は無機化合物と分離し、凝固
する。
【0029】これに対し、請求項1記載の金属表面処理
剤の固形分100重量部に対し、本有機樹脂50〜15
0重量部配合し、さらにポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル硫酸ナトリウム系界面活性剤1.0〜10重量部
を配合し、60℃前後で数時間熱処理すると上記無機お
よび有機樹脂の混合液は容易に粘度が上がると共に粘性
が付与されることを発見した。しかも、ポリオキシエチ
レンアルキルエーテル硫酸ナトリウム系界面活性剤の添
加量と熱処理時間によって粘性を自由に制御できること
を発見した。このようにして得られた粘性の高い水性
液、例えばFORD CUPで60秒前後に粘性が高め
られた水性液はフラットロールで電磁鋼板に容易に3〜
7μ(固形分)塗布することが可能である。また、10
0秒前後に粘性を上げれば10μ(固形分)容易に皮膜
を形成することができる。ここで、ポリオキシエチレン
アルキルエーテル硫酸ナトリウム系界面活性剤が1.0
重量部未満あるいは10重量部超では粘性を高める効果
が著しく低下する。
【0030】また、請求項1記載の金属表面処理剤の固
形分に対する本有機樹脂の割合も大きく影響し、無機化
合物100重量部に対し、本有機樹脂50〜150重量
部で著しく粘性が増加し、50重量部未満で粘性は著し
く低下し、150重量部超ではやや低下する。また、加
熱条件(熱処理条件)は比較的マイルドであり、極端に
変化しない。60℃前後が適当であり、加熱時間によっ
てある程度粘性を調整できる。以上の結果から、Alの
リン酸化合物1.0モル部、ホウ素化合物0.05〜
0.5モル部及びMn、Mg、Caの化合物の1種或い
は2種以上を0.005〜0.05モル部配合した金属
表面処理剤の固形分100重量部に対し、本有機樹脂5
0〜150重量部配合し、さらにポリオキシエチレンア
ルキルエーテル硫酸ナトリウム系界面活性剤1.0〜1
0重量部配合した金属表面処理剤とする。本発明によっ
て無機化合物と有機樹脂の混合系の厚膜塗布(3〜10
μ)が可能である。これまで厚膜塗布は一般に有機溶剤
系有機樹脂が使用されてきたが、最近の傾向として環境
・公害問題の観点から、有機溶剤に対する規制がかなり
厳しくなりつつある。これに対し、本発明に替えること
によって有機溶剤を一掃出来、有機溶剤に関する環境・
公害問題を解決できる。
【0031】ここで、電磁鋼板に適用する場合の皮膜の
付着量は0.1〜10.0μが望ましい。0.1μ未満
では皮膜の絶縁性及び耐食性が不充分となり、10μ超
では溶接性及び占績率が低下するからである。
【0032】また、本発明における表面処理剤を電磁鋼
板に塗布するには、ロールコート、スプレー塗装、刷毛
塗り、浸漬塗装、カーテンフロー等いずれの塗布方法を
用いても良い。
【0033】本発明はこれまで、電磁鋼板に処理した場
合を主に述べてきた。しかし、本発明は電磁鋼板以外
に、冷延鋼板(電磁鋼板を除く冷延鋼板)、電気亜鉛め
っき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板及びZn−Ni系、Zn
−Ni−Co系、Zn−Ni−Cr系、Zn−Fe系、
Zn−Co系、Zn−Cr系、Zn−Mn系、Zn−A
l系、Zn−Mg系などの電気あるいは溶融亜鉛系合金
めっき鋼板に使用することが出来る。また、Ni、C
u、Sn、Al、Ti、等の金属板、あるいはこれら金
属あるいはこれら金属の合金によるめっき鋼板等にも使
用することが出来、これらめっき鋼板に塗布することに
より、高耐食性鋼板を製造することが出来る。以上示す
ように本発明による表面処理剤はクロムを使用しないク
ロムフリー表面処理剤として従来使用している塗布クロ
メート、電解クロメート、反応クロメート及び樹脂クロ
メートなどいわゆるクロメートの代替として使用するこ
とが出来、クロムを使用しない無公害の表面処理剤であ
ることから、用途は大きく広がるものと思われる。
【0034】
【実施例】以下、実施例について詳しく述べる。
【実施例1】電磁鋼板(JIS規格50A470)に第
一リン酸Al1.0モル部−ホウ酸0.125モル部−
リン酸Mg0.0125モル部の割合で配合された無機
液の固形分100重量部に対し、アクリル酸−ヒドロキ
シブチルーメタアクリル酸メチルーアクリル酸ブチルー
スチレンーメタアクリル酸−アクリル酸の共重合体樹脂
を25重量部配合した水性液をロールで塗布し、280
℃で乾燥して全付着量(固形分)が1.3μとなるよう
に皮膜を形成した。
【0035】
【実施例2】電磁鋼板(JIS規格50A470)に第
一リン酸Al1.0モル部−無水ホウ酸0.08モル部
−リン酸Mg0.02モル部の割合で配合された無機液
の固形分100重量部に対し、アクリル酸−ヒドロキシ
ブチルーメタアクリル酸メチルーアクリル酸ブチルース
チレンーメタアクリル酸−アクリル酸の共重合体樹脂を
15重量部配合した水性液をロールで塗布し、300℃
で乾燥して全付着量(固形分)が2.0μとなるように
皮膜を形成した。
【0036】
【実施例3】電磁鋼板(JIS規格50A470)にリ
ン酸Al1.0モル部−ホウ酸0.2モル部−第三リン
酸Mg0.01モル部の割合で配合された無機液の固形
分100重量部に対し、メタアクリル酸メチル−ヒドロ
キシプロピルーアクリル酸ブチルーグリシジルメタアク
リレートーメタアクリル酸−アクリル酸の共重合体樹脂
を20重量部配合した水性液をロールで塗布し、300
℃で乾燥して全付着量(固形分)が1.0μとなるよう
に皮膜を形成した。
【0037】
【実施例4】電磁鋼板(JIS規格50A470)に第
一リン酸Al1.0モル部−ホウ酸0.1モル部−第三
リン酸Mg0.05モル部の割合で配合された無機液の
固形分100重量部に対し、メタアクリル酸2、3−グ
リシジルメタアクリレートーメタアクリル酸−アクリル
酸の共重合体樹脂を50重量部配合した水性液をロール
で塗布し、320℃で乾燥して全付着量(固形分)が
3.0μとなるように皮膜を形成した。
【0038】
【実施例5】電磁鋼板(JIS規格50A470)に第
一リン酸Al1.0モル部−ホウ酸0.125モル部−
第三リン酸Mg0.02モル部の割合で配合された無機
液の固形分100重量部に対し、メタアクリル酸2、3
−グリシジルメタアクリレートーメタアクリル酸−アク
リル酸の共重合体樹脂を100重量部配合し、さらにポ
リオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム系界
面活性剤5.0重量部配合した水性液を60℃で2時間
加熱した。FORD CUPで粘度を測定した結果60
秒であった。粘性の上がった水性液をロールで塗布し、
260℃で乾燥して全付着量(固形分)が7.5μとな
るように皮膜を形成した。
【0039】
【実施例6】電気亜鉛めっき鋼板(目付け量:20g/
)に第一リン酸Al1.0モル部−ホウ酸0.12
5モル部−第三リン酸Mg0.02モル部の割合で配合
された無機液の固形分100重量部に対し、メタアクリ
ル酸2、3−グリシジルメタアクリレートーメタアクリ
ル酸−アクリル酸の共重合体樹脂を350重量部配合し
た水性液をロールで塗布し、120℃で乾燥して全付着
量(固形分)が1.2μとなるように皮膜を形成した。
【0040】
【実施例7】溶融亜鉛めっき鋼板(目付け量:90g/
)に第一リン酸Al1.0モル部−ホウ酸0.2モ
ル部−第三リン酸Mg0.05モル部の割合で配合され
た無機液の固形分100重量部に対し、メタアクリル酸
メチル−アクリル酸ブチルーグリシジルメタアクリレー
トーメタアクリル酸−アクリル酸の共重合体樹脂を20
0重量部配合した水性液をロールで塗布し、120℃で
乾燥して全付着量(固形分)が1.5μとなるように皮
膜を形成した。
【0041】
【比較例1】電磁鋼板(JIS規格50A470)に市
販のクロメート液(クロム酸90g/l、リン酸20g
/l)の水性液をロールで塗布し、320℃で乾燥して
全付着量(固形分)が0.5μとなるように皮膜を形成
した。
【0042】
【比較例2】電磁鋼板(JIS規格50A470)に市
販のクロム酸含有表面処理剤(アクリル系樹脂50g/
l、クロム酸90g/l、酸化マグネシウム30g/
l)の水性液をロールで塗布し、300℃で乾燥して全
付着量(固形分)が2.0μとなるように皮膜を形成し
た。
【0043】
【比較例3】電気亜鉛めっき鋼板(目付量:20g/m
)に市販の塗布型クロメート液をロールで塗布し、1
50℃で乾燥し、全付着量がCr換算で55mg/m
となるように皮膜を形成した。
【0044】
【比較例4】溶融亜鉛めっき鋼板(目付量:90g/m
)に市販の塗布型クロメート液をロールで塗布し、1
50℃で乾燥し、全付着量がCr換算で51mg/m
となるように皮膜を形成した。
【0045】表1における実施例1〜5及び比較例1〜
2は電磁鋼板に処理した場合の例であり、実施例6〜7
及び比較例3〜4はめっき鋼板に処理した場合の例であ
る。実施例1〜4に対する比較例が比較例1〜2であ
る。実施例5に対応する比較例は現時点で存在しない。
評価項目は前出の通りであり、また、評価方法も前出の
通りである。表1から明らかなように、クロムフリーの
本発明による皮膜は従来のクロム酸含有の表面処理皮膜
と比べ、歪取焼鈍前の下地金属との密着性、裸耐食性、
絶縁性、溶接性、連続打ち抜き性及び耐リン溶出性等い
ずれの評価項目においても同等以上であり、また、歪取
焼鈍後の下地金属との密着性、耐食性、絶縁性、耐リン
溶出性及び耐ステッキング性等いずれの評価項目におい
てもクロムフリーでありながらクロム酸含有表面処理皮
膜を凌ぐ極めて優れた皮膜であることが明らかである。
【0046】実施例6に対する比較例が比較例3であ
り、実施例7に対する比較例が比較例4である。評価項
目は皮膜の密着性(焼鈍前)と耐食性のみを評価した。
皮膜の密着性の評価方法は前出の通りである。耐食性は
SST500時間後の発錆状態で評価した。評価基準は
前出の通りである。本例においても本発明によるクロム
フリー表面処理剤では従来の塗布型クロメートを大幅に
上回る耐食性が得られることが明らかである。
【0047】
【発明の効果】本発明による表面処理剤はクロムを使用
しない、所謂クロムフリー表面処理剤であり、電磁鋼板
に適用することにより歪取り焼鈍前において極めて優れ
た密着性、絶縁性、耐食性、連続打ち抜き性、溶接性及
び耐リン溶出性を有し、歪取り焼鈍後において極めて優
れた密着性、絶縁性、耐食性、耐リン溶出性及び耐ステ
ッキング性を有する皮膜を形成することが出来る。形成
された皮膜はクロムフリーでありながら従来のクロム含
有表面処理皮膜と同等以上である。本発明によって電磁
鋼板のクロムに関連する環境・公害問題を一気に解決出
来る。また、本発明は粘性を付与出来ることから厚膜塗
布が可能であり、従来の有機溶剤系有機樹脂の代替剤と
して使用することができる。これにより最近環境及び公
害上大きな問題となっている有機溶剤を電磁鋼板の世界
から一掃できる。
【0048】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Alのリン酸化合物1.0モル部に対
    し、ホウ素化合物0.05〜0.5モル部、Mg、M
    n、Ca化合物の1種或いは2種以上を0.005〜
    0.05モル部配合することを特徴とする金属表面処理
    剤。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の表面処理剤に造膜性を
    有する水系有機樹脂エマルジョンあるいは水溶性樹脂を
    配合することを特徴とする金属表面処理剤。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の表面処理剤100重量
    部に対し、請求項2に記載の有機樹脂を10〜450重
    量部配合することを特徴とする金属表面処理剤。
  4. 【請求項4】 請求項3において請求項1に記載の表面
    処理剤100重量部に対し請求項2に記載の有機樹脂5
    0〜150重量部配合し、さらにポリオキシエチレンア
    ルキルエーテル硫酸ナトリウム系界面活性剤1.0〜1
    0重量部配合することを特徴とする金属表面処理剤。
  5. 【請求項5】 電磁鋼板の上に、請求項1、請求項2、
    請求項3及び請求項4の何れかの金属表面処理剤を塗布
    し形成された皮膜の付着量が0.1〜10.0μ有する
    ことを特徴とする表面処理電磁鋼板。
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CN105566970A (zh) * 2015-12-25 2016-05-11 国网智能电网研究院 一种无毒环保取向电工钢绝缘涂层及其制备方法

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