JP3006052B2 - 電磁鋼板用絶縁皮膜の形成方法 - Google Patents
電磁鋼板用絶縁皮膜の形成方法Info
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- JP3006052B2 JP3006052B2 JP2208492A JP20849290A JP3006052B2 JP 3006052 B2 JP3006052 B2 JP 3006052B2 JP 2208492 A JP2208492 A JP 2208492A JP 20849290 A JP20849290 A JP 20849290A JP 3006052 B2 JP3006052 B2 JP 3006052B2
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、打抜性および可溶性に優れた絶縁皮膜を
電磁鋼板の表面に形成することができる、電磁鋼板用絶
縁皮膜の形成方法に関するものである。
電磁鋼板の表面に形成することができる、電磁鋼板用絶
縁皮膜の形成方法に関するものである。
電磁鋼板は、モーターやトランス等の鉄芯材料として
広く使用されており、通常、その表面には渦電流損失を
低減する目的から絶縁皮膜がコーティングされている。
鉄芯の多くは、電磁鋼板をまず所望の形状に打ち抜き、
積層して、その端面をTIG溶接することによって組み立
てられる。したがって、絶縁皮膜の品質としては、層間
絶縁抵抗値に加え、優れた打抜性および溶接性が要求さ
れる。また、鉄芯加工時の作業性の点から良好な、皮膜
の密着性および耐食性が必要であり、さらに、使用条件
によってはフロン等の冷媒や絶縁油等の油類に対する耐
久性が要求される。また、鉄芯加工時の歪取りのため70
0〜800℃程度で焼鈍される場合、焼鈍時に鋼板同士が密
着(スティッキング)を起こさず、かつ品質劣化の少な
い充分な耐熱性が要求される。なかでも打抜性および溶
接性が重要であり、従来その改善方法として、つぎのよ
うな方法が試みられてきた。
広く使用されており、通常、その表面には渦電流損失を
低減する目的から絶縁皮膜がコーティングされている。
鉄芯の多くは、電磁鋼板をまず所望の形状に打ち抜き、
積層して、その端面をTIG溶接することによって組み立
てられる。したがって、絶縁皮膜の品質としては、層間
絶縁抵抗値に加え、優れた打抜性および溶接性が要求さ
れる。また、鉄芯加工時の作業性の点から良好な、皮膜
の密着性および耐食性が必要であり、さらに、使用条件
によってはフロン等の冷媒や絶縁油等の油類に対する耐
久性が要求される。また、鉄芯加工時の歪取りのため70
0〜800℃程度で焼鈍される場合、焼鈍時に鋼板同士が密
着(スティッキング)を起こさず、かつ品質劣化の少な
い充分な耐熱性が要求される。なかでも打抜性および溶
接性が重要であり、従来その改善方法として、つぎのよ
うな方法が試みられてきた。
まず、打抜性に関しては、皮膜中に有機樹脂を添加す
ることによりその潤滑効果から、連続打抜き作業時のバ
リ発生による金型取り換え頻度が大幅に縮小されること
が知見され、クロム酸系、リン酸系化合物を主成分とす
る無機系水溶液と有機樹脂エマルジョンの混合溶液を塗
布し、焼き付けて、いわゆる無機有機系皮膜として、広
く実用化されている。しかしながら、溶接性が劣る欠点
を有し、TIG溶接時に、皮膜中の有機樹脂が熱分解して
ガスを発生し、溶接ビード部にブローホールを形成する
ことから、高速度溶接は困難であった。
ることによりその潤滑効果から、連続打抜き作業時のバ
リ発生による金型取り換え頻度が大幅に縮小されること
が知見され、クロム酸系、リン酸系化合物を主成分とす
る無機系水溶液と有機樹脂エマルジョンの混合溶液を塗
布し、焼き付けて、いわゆる無機有機系皮膜として、広
く実用化されている。しかしながら、溶接性が劣る欠点
を有し、TIG溶接時に、皮膜中の有機樹脂が熱分解して
ガスを発生し、溶接ビード部にブローホールを形成する
ことから、高速度溶接は困難であった。
これら相反する関係にある打抜性と溶接性の両立につ
いて、種々研究が重ねられ、特公昭49−19078号公報に
は、皮膜表面に適度な粗さを付与し、積層間に溶接時の
発生ガスの逸散隙間を形成する技術思想が開示されてい
る。
いて、種々研究が重ねられ、特公昭49−19078号公報に
は、皮膜表面に適度な粗さを付与し、積層間に溶接時の
発生ガスの逸散隙間を形成する技術思想が開示されてい
る。
さらに、その方法として特公昭55−21111号公報に
は、粒子径が5〜100μmの有機樹脂粒子をあらかじめ
エマルジョン樹脂溶液に添加し、均一に分散させた後、
この溶液を無機系水溶液と混合し、これを塗布し、焼き
付ける方法が開示されている。
は、粒子径が5〜100μmの有機樹脂粒子をあらかじめ
エマルジョン樹脂溶液に添加し、均一に分散させた後、
この溶液を無機系水溶液と混合し、これを塗布し、焼き
付ける方法が開示されている。
しかしながら、この方法においては、有機樹脂粒子の
処理液中での分散状態が完全ではなく、有機樹脂粒子が
処理液中で一部凝集を起こす現象が見られ、その結果、
長時間連続して塗布作業を行った場合、皮膜の表面粗さ
にバラツキが生じやすいこと、処理液を調合ごとに表面
粗さに差を生じやすいこと、等の問題点があった。
処理液中での分散状態が完全ではなく、有機樹脂粒子が
処理液中で一部凝集を起こす現象が見られ、その結果、
長時間連続して塗布作業を行った場合、皮膜の表面粗さ
にバラツキが生じやすいこと、処理液を調合ごとに表面
粗さに差を生じやすいこと、等の問題点があった。
そこで、これをさらに改善した方法として、特公昭62
−34832号公報には、粒子径が2〜50μmの有機樹脂粒
子を、エマルジョン樹脂溶液に添加する前に、非イオン
界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性
剤、両性界面活性剤の中から選ばれた一種または二種以
上の分散性向上剤で表面処理することにより有機樹脂粒
子のエマルジョン樹脂溶液中での分散性向上を図る方法
が開示されている。
−34832号公報には、粒子径が2〜50μmの有機樹脂粒
子を、エマルジョン樹脂溶液に添加する前に、非イオン
界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性
剤、両性界面活性剤の中から選ばれた一種または二種以
上の分散性向上剤で表面処理することにより有機樹脂粒
子のエマルジョン樹脂溶液中での分散性向上を図る方法
が開示されている。
同様な方法として、特公昭62−25750号公報には、重
クロム酸塩水溶液と有機樹脂エマルジョン及び還元剤と
の混合液に、粒子径が5〜80μmのポリエチレン粉末樹
脂を界面活性剤を用いてあらかじめ水に分散させたのち
配合した懸濁液を処理液とする方法が開示されている。
クロム酸塩水溶液と有機樹脂エマルジョン及び還元剤と
の混合液に、粒子径が5〜80μmのポリエチレン粉末樹
脂を界面活性剤を用いてあらかじめ水に分散させたのち
配合した懸濁液を処理液とする方法が開示されている。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、これらの
界面活性剤を添加する方法においても、有機樹脂粒子の
分散性は不充分であり、有機樹脂粒子の浮上あるいは沈
降を防止するために、常時、撹拌が必要である。たとえ
ば、ポリエチレン粉末樹脂の場合、その真比重は約0.9
であり、添加される無機系水溶液と有機樹脂エマルジョ
ンの混合溶液の比重にくらべてはるかに小さいことか
ら、長時間連続して塗布作業を行った場合、コーターの
パン皿内で浮上してピックアップされ、これがロール間
で機械的に凝集し二次粒子として巨大化し、皮膜の表面
粗さにバラツキを生じるとともに、皮膜の密着性が徐々
に低下することが判明した。また、処理液の貯蔵および
輸送時に浮上して凝固し、配管ずまりを起こす問題があ
った。
界面活性剤を添加する方法においても、有機樹脂粒子の
分散性は不充分であり、有機樹脂粒子の浮上あるいは沈
降を防止するために、常時、撹拌が必要である。たとえ
ば、ポリエチレン粉末樹脂の場合、その真比重は約0.9
であり、添加される無機系水溶液と有機樹脂エマルジョ
ンの混合溶液の比重にくらべてはるかに小さいことか
ら、長時間連続して塗布作業を行った場合、コーターの
パン皿内で浮上してピックアップされ、これがロール間
で機械的に凝集し二次粒子として巨大化し、皮膜の表面
粗さにバラツキを生じるとともに、皮膜の密着性が徐々
に低下することが判明した。また、処理液の貯蔵および
輸送時に浮上して凝固し、配管ずまりを起こす問題があ
った。
さらに大きな問題は、界面活性剤を添加することによ
り泡立ちが激しくなる点であり、有機樹脂粒子の浮上あ
るいは沈降を防止するために撹拌すると発泡し、その泡
は有機樹脂粒子に吸着し容易に消えず、泡を含んだ状態
で塗布されることにより、泡による塗布ムラや未被覆部
分を生じ層間絶縁抵抗や耐食性が低下したり、また、有
機樹脂粒子の皮膜中および鋼板への密着力の低下により
スリット時あるいは打抜き時に剥離粉を生じるなど、多
大な弊害が生じることが判明した。
り泡立ちが激しくなる点であり、有機樹脂粒子の浮上あ
るいは沈降を防止するために撹拌すると発泡し、その泡
は有機樹脂粒子に吸着し容易に消えず、泡を含んだ状態
で塗布されることにより、泡による塗布ムラや未被覆部
分を生じ層間絶縁抵抗や耐食性が低下したり、また、有
機樹脂粒子の皮膜中および鋼板への密着力の低下により
スリット時あるいは打抜き時に剥離粉を生じるなど、多
大な弊害が生じることが判明した。
従って、この発明の目的は、適性な組成からなる処理
液に、発酵多糖類を、その組成に見合って適当量含有せ
しめることにより、有機樹脂粒子の分散性を大幅に改善
し、同時に、上記従来技術にあった泡立ち等の問題を解
決して、安定した塗布作業により安定した品質の打抜性
および溶接性に優れた絶縁皮膜を電磁鋼板の表面に形成
する方法を提供することにある。
液に、発酵多糖類を、その組成に見合って適当量含有せ
しめることにより、有機樹脂粒子の分散性を大幅に改善
し、同時に、上記従来技術にあった泡立ち等の問題を解
決して、安定した塗布作業により安定した品質の打抜性
および溶接性に優れた絶縁皮膜を電磁鋼板の表面に形成
する方法を提供することにある。
本願発明者等は、有機樹脂粒子の分散方法について鋭
意検討した結果、発酵多糖類を処理液組成に見合って適
当量添加することにより上記課題が解決され、塗布作業
性が大幅に改善され、皮膜品質が飛躍的に安定化するこ
とを見いだし、本発明を完成するに至った。
意検討した結果、発酵多糖類を処理液組成に見合って適
当量添加することにより上記課題が解決され、塗布作業
性が大幅に改善され、皮膜品質が飛躍的に安定化するこ
とを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、この発明は、無水クロム酸および重クロム
酸塩の少なくとも一種と、2価または3価の金属の酸化
物、水酸化物または炭酸塩とが主成分として含まれる無
機系水溶液に、あらかじめ、前記水溶液中のCrO3換算量
100重量部に対して、おのおの固形分として、10〜50重
量部の有機還元剤と、5〜100重量部の有機樹脂エマル
ジョンと、5〜50重量部の粒子径2〜40μmの有機樹脂
粒子と、さらに前記有機樹脂粒子の0.2〜10重量%に相
当する発酵多糖類とを混合したものからなる有機系懸濁
液を、添加混合して処理液を調整し、次いで、このよう
にして得られた前記処理液を電磁鋼板の表面に塗布し、
焼き付け、かくして、打抜性および溶接性に優れた絶縁
皮膜を電磁鋼板の表面に形成することに特徴を有するも
のである。
酸塩の少なくとも一種と、2価または3価の金属の酸化
物、水酸化物または炭酸塩とが主成分として含まれる無
機系水溶液に、あらかじめ、前記水溶液中のCrO3換算量
100重量部に対して、おのおの固形分として、10〜50重
量部の有機還元剤と、5〜100重量部の有機樹脂エマル
ジョンと、5〜50重量部の粒子径2〜40μmの有機樹脂
粒子と、さらに前記有機樹脂粒子の0.2〜10重量%に相
当する発酵多糖類とを混合したものからなる有機系懸濁
液を、添加混合して処理液を調整し、次いで、このよう
にして得られた前記処理液を電磁鋼板の表面に塗布し、
焼き付け、かくして、打抜性および溶接性に優れた絶縁
皮膜を電磁鋼板の表面に形成することに特徴を有するも
のである。
まず、この発明における無機系水溶液とは、無水クロ
ム酸およびカリウム・カルシウム・マグネシウムなどの
重クロム酸塩の少なくとも一種と、マグネシウム・アル
ミニウムなどの2価または3価の金属酸化物、水酸化物
または炭酸塩とが主成分として含まれるものであり、こ
れらクロム酸系化合物は、皮膜形成において主にバイン
ダーとして作用する。層間絶縁抵抗や耐熱性を向上する
目的から少量のシリカゾルやアルミナゾルなどの酸化物
ゾルあるいはリン酸塩やホウ酸などの無機質成分を添加
してもこの発明範囲を超えるものではない。
ム酸およびカリウム・カルシウム・マグネシウムなどの
重クロム酸塩の少なくとも一種と、マグネシウム・アル
ミニウムなどの2価または3価の金属酸化物、水酸化物
または炭酸塩とが主成分として含まれるものであり、こ
れらクロム酸系化合物は、皮膜形成において主にバイン
ダーとして作用する。層間絶縁抵抗や耐熱性を向上する
目的から少量のシリカゾルやアルミナゾルなどの酸化物
ゾルあるいはリン酸塩やホウ酸などの無機質成分を添加
してもこの発明範囲を超えるものではない。
これに添加混合される有機系懸濁液のベースとなる有
機樹脂エマルジョンとしては、基本的に上記無機系水溶
液と相溶性が良いものが適用され、(メタ)アクリル
酸、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン、ビニル
トルエン、酢酸ビニル、ベオバ、エチレン、ブタジエ
ン、マレイン酸等の重合性モノマーのうちの少なくとも
一種を、常法により乳化重合して得られるエマルジョン
樹脂、あるいはフェノール系樹脂やエポキシ系樹脂等か
ら選択される。有機樹脂エマルジョンは、主に打抜性の
向上を目的に添加するものであり、前記無機系水溶液中
のCrO3換算量100重量部に対して、固形分として、5〜1
00重量部の範囲に限定する。これは、5重量部未満では
充分な打抜性が得られず、一方、100重量部を超えると
耐熱性が低下し、歪取り焼鈍により皮膜剥離等を生じる
からである。
機樹脂エマルジョンとしては、基本的に上記無機系水溶
液と相溶性が良いものが適用され、(メタ)アクリル
酸、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン、ビニル
トルエン、酢酸ビニル、ベオバ、エチレン、ブタジエ
ン、マレイン酸等の重合性モノマーのうちの少なくとも
一種を、常法により乳化重合して得られるエマルジョン
樹脂、あるいはフェノール系樹脂やエポキシ系樹脂等か
ら選択される。有機樹脂エマルジョンは、主に打抜性の
向上を目的に添加するものであり、前記無機系水溶液中
のCrO3換算量100重量部に対して、固形分として、5〜1
00重量部の範囲に限定する。これは、5重量部未満では
充分な打抜性が得られず、一方、100重量部を超えると
耐熱性が低下し、歪取り焼鈍により皮膜剥離等を生じる
からである。
また、有機樹脂粒子は、上述のとおり主に皮膜表面に
適度な粗さを付与し、溶接性の向上に作用する。例え
ば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポ
リメタアクリル酸メチルのようなポリアクリル酸エステ
ル類、ポリアクリロニトリル、エチレン酢ビ樹脂、スチ
レン・ブタジエン合成ゴムのような合成ゴム粉末、フェ
ノール樹脂、メラミン樹脂等が用いられるが、分散性と
品質の安定性から、望ましくは、乳化重合法等で得られ
る球状の有機樹脂粒子、なかでも、乳化重合法で得られ
たポリアクリル酸メチル(以降、PMMAと記す)が有用で
ある。すなわち、PMMAの比重はポリエチレン等にくらべ
て大きく、無機系水溶液に近いため、分散に有利であ
る。また、粉砕法等による粒子は塊状で不均一な形状を
しているのにくらべ、乳化重合法により合成されたPMMA
の粒子形状は球状であり、ロールコーター等による塗布
作業において、凝集粒子の形成が抑制され機械的安定性
が良好である。また、製造上粒子径の制御が容易であ
り、比較的均一に粒子径をそろえることが可能なことか
ら、皮膜の表面粗さが均一かつ安定で品質が安定であ
る。粒子径は、2〜40μm範囲のものが使用される。2
μm未満では良好な溶接性が得られず、40μmを超えて
も実用域でそれ以上効果は変わらず、表面粗さが過剰に
粗くなることから占積率が低下する。有機樹脂粒子の添
加量としては、5〜50重量部が適当である。5重量部未
満では良好な溶接性が得られず、50重量部を超えてさら
に多く添加した場合、皮膜中で有機樹脂粒子が、いわば
積層した形になり、有機樹脂粒子がスリット時あるいは
打抜き加工時に皮膜中から剥離しやすくなる。
適度な粗さを付与し、溶接性の向上に作用する。例え
ば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポ
リメタアクリル酸メチルのようなポリアクリル酸エステ
ル類、ポリアクリロニトリル、エチレン酢ビ樹脂、スチ
レン・ブタジエン合成ゴムのような合成ゴム粉末、フェ
ノール樹脂、メラミン樹脂等が用いられるが、分散性と
品質の安定性から、望ましくは、乳化重合法等で得られ
る球状の有機樹脂粒子、なかでも、乳化重合法で得られ
たポリアクリル酸メチル(以降、PMMAと記す)が有用で
ある。すなわち、PMMAの比重はポリエチレン等にくらべ
て大きく、無機系水溶液に近いため、分散に有利であ
る。また、粉砕法等による粒子は塊状で不均一な形状を
しているのにくらべ、乳化重合法により合成されたPMMA
の粒子形状は球状であり、ロールコーター等による塗布
作業において、凝集粒子の形成が抑制され機械的安定性
が良好である。また、製造上粒子径の制御が容易であ
り、比較的均一に粒子径をそろえることが可能なことか
ら、皮膜の表面粗さが均一かつ安定で品質が安定であ
る。粒子径は、2〜40μm範囲のものが使用される。2
μm未満では良好な溶接性が得られず、40μmを超えて
も実用域でそれ以上効果は変わらず、表面粗さが過剰に
粗くなることから占積率が低下する。有機樹脂粒子の添
加量としては、5〜50重量部が適当である。5重量部未
満では良好な溶接性が得られず、50重量部を超えてさら
に多く添加した場合、皮膜中で有機樹脂粒子が、いわば
積層した形になり、有機樹脂粒子がスリット時あるいは
打抜き加工時に皮膜中から剥離しやすくなる。
有機還元剤は、処理液中の6価クロムを還元して皮膜
を不溶化するために添加され、ズリセリン・ポリエチレ
ングリコール・しょ糖糖のポリアルコール類、あるいは
コハク酸、アジピン酸糖のカルボン酸類を使用する。そ
の添加量は、前記無機系水溶液中のCrO3換算量100重量
部に対して、10〜50重量部が適当である。10重量部未満
では還元が不充分で皮膜の耐水性が劣り、一方、50重量
部を超えると処理液中で還元が進行しやすく貯蔵安定性
に欠ける。
を不溶化するために添加され、ズリセリン・ポリエチレ
ングリコール・しょ糖糖のポリアルコール類、あるいは
コハク酸、アジピン酸糖のカルボン酸類を使用する。そ
の添加量は、前記無機系水溶液中のCrO3換算量100重量
部に対して、10〜50重量部が適当である。10重量部未満
では還元が不充分で皮膜の耐水性が劣り、一方、50重量
部を超えると処理液中で還元が進行しやすく貯蔵安定性
に欠ける。
さらに、この発明の大きな特徴とするところは、上記
の無機系水溶液と有機樹脂粒子と有機樹脂エマルジョン
と有機還元剤とを混合するあたり、有機樹脂粒子の処理
液液中での分散性を高めるために、さらに発酵多糖類を
添加し、あらかじめ有機還元剤と有機樹脂粒子と有機樹
脂エマルジョンと発酵多糖類からなる有機懸濁液とし
て、これを無機系水溶液に添加混合する点にある。
の無機系水溶液と有機樹脂粒子と有機樹脂エマルジョン
と有機還元剤とを混合するあたり、有機樹脂粒子の処理
液液中での分散性を高めるために、さらに発酵多糖類を
添加し、あらかじめ有機還元剤と有機樹脂粒子と有機樹
脂エマルジョンと発酵多糖類からなる有機懸濁液とし
て、これを無機系水溶液に添加混合する点にある。
発酵多糖類の有用性については、本願発明者等の検討
から見いだされた新たな特性であり、処理液組成に見合
って適量を添加することにより、有機樹脂粒子がきわめ
て安定に分散される。特に優位な点は、界面活性剤を積
極的に添加して分散させる従来技術で見られた泡立ちと
それに起因する問題が回避された点であり、これにより
塗布作業性が大幅に改善され、皮膜品質が飛躍的に安定
化した。
から見いだされた新たな特性であり、処理液組成に見合
って適量を添加することにより、有機樹脂粒子がきわめ
て安定に分散される。特に優位な点は、界面活性剤を積
極的に添加して分散させる従来技術で見られた泡立ちと
それに起因する問題が回避された点であり、これにより
塗布作業性が大幅に改善され、皮膜品質が飛躍的に安定
化した。
この発明に用いられる発酵多糖類は、グルコース等を
微生物により発酵させて得られたものであり、例えばDK
−ラムザン(第一工業製薬株式会社製ラムザンガム)、
DKシックナーR−3000(第一工業製薬株式会社製発酵多
糖類)、ゲランガム、ウェランガム等があるが、特にラ
ムザンガムが好ましい。ただし、その添加量は、固形分
として、分散させる有機樹脂粒子の0.2〜10重量%の範
囲に限定する必要がある。0.2重量%未満では充分な分
散効果が得られない。添加量を多くするにしたがい有機
樹脂粒子の分散性は向上するが、10重量%を超えてさら
に多く添加しても実用域ではそれ以上効果は変わらず、
逆に、皮膜の耐熱性と耐食性が低下する傾向が認められ
た。なお、これら発酵多糖類を、あらかじめ有機系懸濁
液に調整して保管するにあたり、防腐等のために、必要
に応じて防腐剤等を添加しても、有機樹脂粒子の分散安
定性ならびに皮膜品質に対して、なんら悪影響が無いこ
とを確認している。
微生物により発酵させて得られたものであり、例えばDK
−ラムザン(第一工業製薬株式会社製ラムザンガム)、
DKシックナーR−3000(第一工業製薬株式会社製発酵多
糖類)、ゲランガム、ウェランガム等があるが、特にラ
ムザンガムが好ましい。ただし、その添加量は、固形分
として、分散させる有機樹脂粒子の0.2〜10重量%の範
囲に限定する必要がある。0.2重量%未満では充分な分
散効果が得られない。添加量を多くするにしたがい有機
樹脂粒子の分散性は向上するが、10重量%を超えてさら
に多く添加しても実用域ではそれ以上効果は変わらず、
逆に、皮膜の耐熱性と耐食性が低下する傾向が認められ
た。なお、これら発酵多糖類を、あらかじめ有機系懸濁
液に調整して保管するにあたり、防腐等のために、必要
に応じて防腐剤等を添加しても、有機樹脂粒子の分散安
定性ならびに皮膜品質に対して、なんら悪影響が無いこ
とを確認している。
このようにして得られた処理液を、電磁鋼板の表面に
ロールコーター等で塗布し、ついで、ラジアントチュー
ブ方式やインダクション方式等による加熱炉によって板
温400℃未満で焼付けて電磁鋼板の表面に絶縁皮膜を形
成する。
ロールコーター等で塗布し、ついで、ラジアントチュー
ブ方式やインダクション方式等による加熱炉によって板
温400℃未満で焼付けて電磁鋼板の表面に絶縁皮膜を形
成する。
焼付け後の皮膜重量は、0.5〜5g/m2程度が望ましい。
これは、0.5g/m2未満では、打抜性および耐食性が不充
分であり、一方、5g/m2を超えると皮膜の密着性が低下
するからである。
これは、0.5g/m2未満では、打抜性および耐食性が不充
分であり、一方、5g/m2を超えると皮膜の密着性が低下
するからである。
以下、実施例により詳細を説明する。
実施例1 有機樹脂エマルジョンとしてアクリル樹脂エマルジョ
ンと、有機還元剤としてエチレングリコールと、有機樹
脂粒子として平均粒子径6μmの球状のPMMAと、発酵多
糖類としてDK−ラムザン(第一工業製薬株式会社製ラム
ザンガム),DKシックナーR−3000(第一工業製薬株式
会社製発酵多糖類)を、第1表に示す配合比率で強撹拌
のもとで混合して、固形分20%の有機系懸濁液(a),
(b)を調製した。さらに、これらの有機系懸濁液を、
あらかじめ第1表に示す成分および配合比率からなる無
機系水溶液に撹拌しながら徐々に添加混合して、固形分
20%の本発明処理液(1),(2)を調製した。なお、
この時、比較として、DK−ラムザンを過剰に添加したも
のを(c)、発酵多糖類を添加しないものを(d)、発
酵多糖類を添加せず従来技術によりノニオン系界面活性
剤を添加したものを(e)、また、有機樹脂粒子を含ま
ないアクリル樹脂エマルジョンとエチレングリコールだ
けからなるものを(f)として、有機系懸濁液を調製
し、同様に比較処理液(3)〜(6)を調製した。
ンと、有機還元剤としてエチレングリコールと、有機樹
脂粒子として平均粒子径6μmの球状のPMMAと、発酵多
糖類としてDK−ラムザン(第一工業製薬株式会社製ラム
ザンガム),DKシックナーR−3000(第一工業製薬株式
会社製発酵多糖類)を、第1表に示す配合比率で強撹拌
のもとで混合して、固形分20%の有機系懸濁液(a),
(b)を調製した。さらに、これらの有機系懸濁液を、
あらかじめ第1表に示す成分および配合比率からなる無
機系水溶液に撹拌しながら徐々に添加混合して、固形分
20%の本発明処理液(1),(2)を調製した。なお、
この時、比較として、DK−ラムザンを過剰に添加したも
のを(c)、発酵多糖類を添加しないものを(d)、発
酵多糖類を添加せず従来技術によりノニオン系界面活性
剤を添加したものを(e)、また、有機樹脂粒子を含ま
ないアクリル樹脂エマルジョンとエチレングリコールだ
けからなるものを(f)として、有機系懸濁液を調製
し、同様に比較処理液(3)〜(6)を調製した。
上記処理液(1)〜(6)の各々を、ロールコーター
により、Siを0.4重量%含有する電磁鋼板の表面に連続
して塗布し、ついで、ラジアントチューブ方式による焼
付け炉で炉内雰囲気温度500℃のもとで40秒間焼付け処
理を施して、電磁鋼板の表面に、焼付け後の皮膜重量で
1.5g/m2の絶縁皮膜を形成した。
により、Siを0.4重量%含有する電磁鋼板の表面に連続
して塗布し、ついで、ラジアントチューブ方式による焼
付け炉で炉内雰囲気温度500℃のもとで40秒間焼付け処
理を施して、電磁鋼板の表面に、焼付け後の皮膜重量で
1.5g/m2の絶縁皮膜を形成した。
以上の一連の作業において、まず、処理液の混合調製
時に、発酵多糖類を添加していない有機系懸濁液(d)
は、PMMAを添加混合後、撹拌をしないで静置しておく
と、直ちにPMMAが沈降した。再度強撹拌して有機系水溶
液に添加し、ロールコーターで塗布作業を行ったが、コ
ーターのロール回転による撹拌にもかかわらず、パン皿
内にPMMAが沈降し、同時に配管が目ずまりを生じたた
め、直ちに塗布作業を中止した。また、ノニオン系界面
活性剤を添加した有機系懸濁液(e)においては、PMMA
の分散は比較的良好であったが、添加混合時に激しく発
泡し、長時間放置しても泡の量は減らず、無機系水溶液
と混合後も、泡の量に変化は認められなかった。さら
に、ロールコーターによる塗布作業において、次第に泡
の量が増加し、塗布面に泡が巻き込まれ、塗布ムラや、
未被覆部分が形成されるに至った。一方、本発明処理液
(1),(2)および発酵多糖類を過剰に多く添加した
比較処理液(3)の調製に際しては、上記のような発泡
は認められず、有機系懸濁液ならびに処理液の状態で、
長時間放置してもPMMAの沈降は認められず、きわめて良
好な分散状態が維持された。
時に、発酵多糖類を添加していない有機系懸濁液(d)
は、PMMAを添加混合後、撹拌をしないで静置しておく
と、直ちにPMMAが沈降した。再度強撹拌して有機系水溶
液に添加し、ロールコーターで塗布作業を行ったが、コ
ーターのロール回転による撹拌にもかかわらず、パン皿
内にPMMAが沈降し、同時に配管が目ずまりを生じたた
め、直ちに塗布作業を中止した。また、ノニオン系界面
活性剤を添加した有機系懸濁液(e)においては、PMMA
の分散は比較的良好であったが、添加混合時に激しく発
泡し、長時間放置しても泡の量は減らず、無機系水溶液
と混合後も、泡の量に変化は認められなかった。さら
に、ロールコーターによる塗布作業において、次第に泡
の量が増加し、塗布面に泡が巻き込まれ、塗布ムラや、
未被覆部分が形成されるに至った。一方、本発明処理液
(1),(2)および発酵多糖類を過剰に多く添加した
比較処理液(3)の調製に際しては、上記のような発泡
は認められず、有機系懸濁液ならびに処理液の状態で、
長時間放置してもPMMAの沈降は認められず、きわめて良
好な分散状態が維持された。
上記処理液((4),(5)を除く)により絶縁皮膜
を形成した、本発明電磁鋼板(1),(2)および比較
電磁鋼板(3),(6)の品質性能を第2表に示す。
を形成した、本発明電磁鋼板(1),(2)および比較
電磁鋼板(3),(6)の品質性能を第2表に示す。
有機樹脂粒子PMMAを含まない処理液(6)による比較
電磁鋼板(6)と比較して明らかなように、本発明電磁
鋼板(1),(2)は、ともに優れた打抜性と溶接性を
有し、絶縁皮膜に要求される層間絶縁抵抗値や、皮膜の
密着性、耐食性、等の特性を充分に満足している。一
方、処理液(3)による比較電磁鋼板(3)は、過剰に
添加された発酵多糖類により、耐熱性が低下し、歪取り
焼鈍後の耐食性が劣っている。
電磁鋼板(6)と比較して明らかなように、本発明電磁
鋼板(1),(2)は、ともに優れた打抜性と溶接性を
有し、絶縁皮膜に要求される層間絶縁抵抗値や、皮膜の
密着性、耐食性、等の特性を充分に満足している。一
方、処理液(3)による比較電磁鋼板(3)は、過剰に
添加された発酵多糖類により、耐熱性が低下し、歪取り
焼鈍後の耐食性が劣っている。
実施例2 アクリル−フェノール樹脂エマルジョンに、有機還元
剤としてポリエチレングリコールとコハク酸、および有
機樹脂粒子として乳化重合法で製造された平均粒子径36
μmの球状のポリエチレン−酢ビ樹脂(g)、同じく乳
化重合法で製造された平均粒子径8μmの球状のPMMA
(h)、粉砕法により製造された粒子径12〜28μmの塊
状のポリエチレン粉末(i)と、さらに発酵多糖類とし
てDK−ラムザン(第一工業製薬株式会社製ラムザンガ
ム)を、第3表に示す配合比率で強撹拌のもとで混合し
て、固形分20%の有機系懸濁液(g)〜(i)を調製し
た。さらに、これらの有機系懸濁液を、あらかじめ第1
表に示す成分および配合比率からなる無機系水溶液に、
撹拌しながら徐々に添加混合して、固形分20%の本発明
処理液(7)〜(9)を調製した。なお、この時、比較
として、粉砕法による粒子径12〜28μmの塊状のポリエ
チレン粉末をノニオン系界面活性剤の添加のもとに分散
したものを(j)として有機系懸濁液を調製し、同様に
処理液(10)を調製した。
剤としてポリエチレングリコールとコハク酸、および有
機樹脂粒子として乳化重合法で製造された平均粒子径36
μmの球状のポリエチレン−酢ビ樹脂(g)、同じく乳
化重合法で製造された平均粒子径8μmの球状のPMMA
(h)、粉砕法により製造された粒子径12〜28μmの塊
状のポリエチレン粉末(i)と、さらに発酵多糖類とし
てDK−ラムザン(第一工業製薬株式会社製ラムザンガ
ム)を、第3表に示す配合比率で強撹拌のもとで混合し
て、固形分20%の有機系懸濁液(g)〜(i)を調製し
た。さらに、これらの有機系懸濁液を、あらかじめ第1
表に示す成分および配合比率からなる無機系水溶液に、
撹拌しながら徐々に添加混合して、固形分20%の本発明
処理液(7)〜(9)を調製した。なお、この時、比較
として、粉砕法による粒子径12〜28μmの塊状のポリエ
チレン粉末をノニオン系界面活性剤の添加のもとに分散
したものを(j)として有機系懸濁液を調製し、同様に
処理液(10)を調製した。
上記処理液(7)〜(10)の各々を、ロールコーター
により、Siを0.4重量%含有する電磁鋼板の表面に連続
して塗布し、ついで、インダクション方式による焼付け
炉で到達板温280℃の設定で焼付け処理を施し、電磁鋼
板の表面に焼付け後の皮膜重量で1.5g/m2の絶縁皮膜を
形成した。
により、Siを0.4重量%含有する電磁鋼板の表面に連続
して塗布し、ついで、インダクション方式による焼付け
炉で到達板温280℃の設定で焼付け処理を施し、電磁鋼
板の表面に焼付け後の皮膜重量で1.5g/m2の絶縁皮膜を
形成した。
以上の一連の作業において、まず、塊状のポリエチレ
ン粉末を界面活性剤の添加のもとに分散させた有機系懸
濁液(j)は、実施例1の処理液(5)と同様に、有機
系懸濁液の調製過程で激しく発泡し、長時間放置しても
泡は消えず、その間に、ポリエチレン粒子が浮上して泡
を含んだ凝固物を形成した。そこで、再度強撹拌して凝
固物を再分散させた後、無機系水溶液に添加し、処理液
(10)を調製した。一方、DK−ラムザン(第一工業製薬
株式会社製ラムザンガム)を添加した有機系懸濁液
(g)〜(i)ならびに本発明処理液(7)〜(9)
は、有機樹脂粒子の種類を問わず、上記のような発泡は
無く、長時間放置しても安定して良好な分散状態にあっ
た。ひきつずき、長時間連続してロールコーターで塗布
作業を行った。まず、比較処理液(10)は、時間ととも
に次第に泡の量が増え、それにともない、塗布ムラや未
被覆部分が散発した。また、パン皿内でポリエチレン粒
子が浮上し、さらにこれがロール間で機械的に凝集する
ことにより粘着物として、塗布面やタンク壁面に付着す
ることが観察された。本発明処理液(7)〜(9)で
は、このような問題はなく、長時間にわたって、きわめ
て良好な塗布面が得られた。
ン粉末を界面活性剤の添加のもとに分散させた有機系懸
濁液(j)は、実施例1の処理液(5)と同様に、有機
系懸濁液の調製過程で激しく発泡し、長時間放置しても
泡は消えず、その間に、ポリエチレン粒子が浮上して泡
を含んだ凝固物を形成した。そこで、再度強撹拌して凝
固物を再分散させた後、無機系水溶液に添加し、処理液
(10)を調製した。一方、DK−ラムザン(第一工業製薬
株式会社製ラムザンガム)を添加した有機系懸濁液
(g)〜(i)ならびに本発明処理液(7)〜(9)
は、有機樹脂粒子の種類を問わず、上記のような発泡は
無く、長時間放置しても安定して良好な分散状態にあっ
た。ひきつずき、長時間連続してロールコーターで塗布
作業を行った。まず、比較処理液(10)は、時間ととも
に次第に泡の量が増え、それにともない、塗布ムラや未
被覆部分が散発した。また、パン皿内でポリエチレン粒
子が浮上し、さらにこれがロール間で機械的に凝集する
ことにより粘着物として、塗布面やタンク壁面に付着す
ることが観察された。本発明処理液(7)〜(9)で
は、このような問題はなく、長時間にわたって、きわめ
て良好な塗布面が得られた。
上記処理液により絶縁皮膜を形成した、本発明電磁鋼
板(7),(8),(9)および比較電磁鋼板(10)の
品質性能を第2表に示す。
板(7),(8),(9)および比較電磁鋼板(10)の
品質性能を第2表に示す。
比較処理液(10)においては、未被覆部分の影響によ
り、特に、耐食性が劣り、また、塗布ムラや一部有機樹
脂粒子の凝固物の付着により、品質性能におおきなバラ
ツキが見られた。一方、本発明電磁鋼板(7)〜(9)
は、いずれも長時間の連続塗布作業において、きわめて
安定した品質性能が確保され、優れた打抜性と溶接性
と、さらに絶縁皮膜に要求される諸特性を充分に満足す
るものであった。
り、特に、耐食性が劣り、また、塗布ムラや一部有機樹
脂粒子の凝固物の付着により、品質性能におおきなバラ
ツキが見られた。一方、本発明電磁鋼板(7)〜(9)
は、いずれも長時間の連続塗布作業において、きわめて
安定した品質性能が確保され、優れた打抜性と溶接性
と、さらに絶縁皮膜に要求される諸特性を充分に満足す
るものであった。
なお、実施例1および2において、各種試験は、下記
の方法により行った。
の方法により行った。
(1)密着性: 試験片を180゜曲げて、皮膜が剥離し
ない最小曲げ径。
ない最小曲げ径。
(2)打抜性: 下記の条件下で、打抜油を使用して連
続打ち抜きしたときの、ブランクのかえり高さが50μm
に達するまでの打ち抜き回数。
続打ち抜きしたときの、ブランクのかえり高さが50μm
に達するまでの打ち抜き回数。
打抜き形状:10mmφ丸型。
金型材質:SKD11 (3)溶接性: 下記の条件下で、積層した電磁鋼板を
TIG溶接したときの、溶接ビード部にブローホールが発
生しない最大溶接速度。
TIG溶接したときの、溶接ビード部にブローホールが発
生しない最大溶接速度。
コア締付圧:60kg/cm2 溶接電流:100A (4)層間絶縁抵抗:JIS C 2550第2法。
(5)耐食性: 温度50℃、相対湿度80%のこう温こう
湿試験槽内に試験片を20日間放置した後の発錆面積。
湿試験槽内に試験片を20日間放置した後の発錆面積。
(6)歪取り焼鈍: N2雰囲気中で、750℃、2時間焼
鈍。
鈍。
〔発明の効果〕 以上説明したように、この発明によれば、発酵多糖類
を処理液組成に見合って適当量添加することにより有機
樹脂粒子の分散性が大幅に改善され、従来技術にあった
泡立ち等の問題を解消して、安定した塗布作業により安
定した品質の打抜性および溶接性に優れた絶縁皮膜が電
磁鋼板の表面に形成されるものである。とりわけ、前記
有機樹脂粒子が球状の有機樹脂粒子で、かつ、前記発酵
多糖類がラムザンガムである場合がきわめて有用な効果
がもたらされる。
を処理液組成に見合って適当量添加することにより有機
樹脂粒子の分散性が大幅に改善され、従来技術にあった
泡立ち等の問題を解消して、安定した塗布作業により安
定した品質の打抜性および溶接性に優れた絶縁皮膜が電
磁鋼板の表面に形成されるものである。とりわけ、前記
有機樹脂粒子が球状の有機樹脂粒子で、かつ、前記発酵
多糖類がラムザンガムである場合がきわめて有用な効果
がもたらされる。
フロントページの続き (72)発明者 小野 隆俊 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−10280(JP,A) 特開 昭62−1882(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 22/00 - 22/10
Claims (2)
- 【請求項1】無水クロム酸および重クロム酸塩の少なく
とも一種と、2価または3価の金属の酸化物、水酸化物
または炭酸塩とが主成分として含まれる無機系水溶液
に、あらかじめ、前記水溶液中のCrO3換算量100重量部
に対して、おのおの固形分として、10〜50重量部の有機
還元剤と、5〜100重量部の有機樹脂エマルジョンと、
5〜50重量部の粒子径2〜40μmの有機樹脂粒子と、さ
らに前記有機樹脂粒子の0.2〜10重量%に相当する発酵
多糖類とを混合したものからなる有機系懸濁液を、添加
混合して処理液を調整し、次いで、このようにして得ら
れた前記処理液を電磁鋼板の表面に塗布し、焼き付ける
ことを特徴とする電磁鋼板用絶縁皮膜の形成方法。 - 【請求項2】前記有機樹脂粒子が球状の有機樹脂粒子
で、かつ、前記発酵多糖類がラムザンガムであることを
特徴とする請求項(1)記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2208492A JP3006052B2 (ja) | 1990-08-06 | 1990-08-06 | 電磁鋼板用絶縁皮膜の形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2208492A JP3006052B2 (ja) | 1990-08-06 | 1990-08-06 | 電磁鋼板用絶縁皮膜の形成方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0499181A JPH0499181A (ja) | 1992-03-31 |
JP3006052B2 true JP3006052B2 (ja) | 2000-02-07 |
Family
ID=16557058
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2208492A Expired - Lifetime JP3006052B2 (ja) | 1990-08-06 | 1990-08-06 | 電磁鋼板用絶縁皮膜の形成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3006052B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
RU2458150C2 (ru) * | 2007-08-07 | 2012-08-10 | Дау Корнинг Корпорейшн | Способ производства металлов и сплавов путем карботермального восстановления оксидов металлов |
-
1990
- 1990-08-06 JP JP2208492A patent/JP3006052B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0499181A (ja) | 1992-03-31 |
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