JP3109203B2 - 耐すり疵性に優れた絶縁被膜を有する電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

耐すり疵性に優れた絶縁被膜を有する電磁鋼板およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、その表面上に、耐す
り疵性に優れた絶縁被膜が形成された電磁鋼板およびそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電磁鋼板は、モーターやトランス等の鉄
芯材料として広く使用されている。電磁鋼板の表面上に
は、通常、渦電流損失を低減するために、絶縁被膜が形
成されている。モーターやトランス等の鉄芯は、一般
に、先ず、電磁鋼板を所定形状に打ち抜き、次いで、所
定形状に打ち抜かれた複数枚の電磁鋼板を積層し、積層
された複数枚の電磁鋼板の端面をTIG溶接して一体的
に組み立てることにより製造される。
【0003】上述したことから、電磁鋼板の表面上に形
成されている絶縁被膜には、層間絶縁抵抗を初め、打ち
抜き性および溶接性に優れていること、鉄芯に加工する
際の作業性の点から、被膜密着性および耐食性に優れて
いること、更に、その使用条件によっては、フロン等の
冷媒や絶縁油等の油類に対する耐久性が優れていること
が要求されており、且つ、鉄芯に加工する際の歪み取り
のための、700 〜800℃の温度による焼鈍時に、複数枚
の電磁鋼板が互いに密着(スティッキング)せず、且
つ、被膜特性の劣化が少ない耐熱性が要求されている。
【0004】打ち抜き性に関しては、絶縁被膜中に有機
樹脂を添加することによって潤滑性を付与し、その潤滑
効果により、連続打ち抜き作業時のバリ発生による金型
取り替え頻度が大幅に短縮されて打ち抜き性の向上する
ことが見出されている。従って、クロム酸系またはリン
酸系の化合物を主成分とする無機系水溶液に、有機樹脂
エマルジョンが混合された処理液を、電磁鋼板の表面上
に塗布し次いで焼き付けることによって、いわゆる無機
有機系の絶縁被膜を形成することが広く実用化されてい
る。
【0005】しかしながら、上記無機有機系の絶縁皮膜
には、耐すり疵性の劣るものが多く、従って、電磁鋼板
を、スリットラインで所定の幅にスリットする際に、ス
タビライザーによって絶縁被膜の表面上にすり疵が発生
しやすい。絶縁被膜の表面上にすり疵が発生すると、剥
離した被膜粉がテンションロール等に付着しそして堆積
する結果、スリットラインの操業停止等のトラブルが生
じ、更に、鉄芯の組立て作業中に、すり疵を起点として
錆びが発生する結果、商品価値が低下する問題があっ
た。
【0006】上述したことから、耐すり疵性を向上させ
る方法に関する研究が行われており、特開平1−100280
号公報には、有機樹脂として3〜30wt.%のアクリル系樹
脂を含有するプロピオン酸ビニルの樹脂エマルジョン
を、Cr03100 重量部に対し、固形分として5 〜120 重量
部含有する処理液を使用し、この処理液を、電磁鋼板の
表面上に塗布し、次いで、これを焼き付けることによっ
て、前記電磁鋼板の表面上に絶縁被膜を形成することか
らなる方法(以下、先行技術という)が開示されてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者等の検討によれば、上述した先行技術には、次のよう
な問題のあることが判明した。 (1) プロピオン酸ビニル等の飽和カルボン酸ビニル化合
物をモノマーとして共重合した有機樹脂によっては、十
分な耐すり疵性が得られない。 (2) クロム酸系化合物を主成分とする無機系水溶液に上
記有機樹脂が添加、混合された処理液を、ロールコータ
を使用して電磁鋼板の表面上に塗布する際に、樹脂エマ
ルジョンの機械的安定性が劣るため、ロールコータのロ
ール間およびロールと鋼板との間のシェアによって、樹
脂粒子同士が凝集してその付着量が変動する。従って、
耐すり疵性に優れた絶縁被膜を有する電磁鋼板を、安定
して連続的に製造することができない。 (3) 樹脂粒子同士の凝集物が、電磁鋼板の表面上に転写
されると、絶縁被膜の耐食性および密着性が低下する結
果、耐すり疵性に優れた絶縁被膜を有する、安定した品
質の電磁鋼板が得られない。
【0008】従って、この発明の目的は、上述した問題
を解決し、耐すり疵性に優れ、しかも、被膜密着性、溶
接性、打ち抜き性および耐食性に優れた絶縁被膜を有す
る、安定した品質の電磁鋼板、および、そのような電磁
鋼板を、安定して連続的に製造し得る方法を提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した
問題を解決すべく、鋭意研究を重ねた。その結果、有機
樹脂エマルジョンのガラス転移温度が、絶縁被膜の耐す
り疵性および被膜密着性に大きな影響を及ぼすことが判
明した。即ち、10〜100 ℃のガラス転移温度を有する有
機樹脂エマルジョンを使用し、このようなガラス転移温
度を有する所定量の有機樹脂エマルジョンと、所定量の
有機還元剤とが添加された無機系水溶液からなる処理液
によって、電磁鋼板の表面上に絶縁被膜を形成すれば、
耐すり疵性に優れ、しかも、被膜密着性、溶接性、打ち
抜き性および耐食性に優れた絶縁被膜を有する電磁鋼板
が得られることを知見した。
【0010】この発明は、上記知見に基づいてなされた
ものであって、この発明は、無水クロム酸および重クロ
ム酸塩の少なくとも1種と、2価または3価の金属の酸
化物、水酸化物または炭酸塩とが主成分として含有され
ている無機系水溶液に、前記水溶液中のCr03換算量100
重量部に対し固形分として10〜50重量部の有機還元剤
と、前記水溶液中のCr03換算量100 重量部に対し固形分
として5〜100 重量部の、ガラス転移温度が10〜100 ℃
である有機樹脂エマルジョンとが添加、混合された処理
液を調製し、前記処理液を、電磁鋼板の表面上に塗布
し、次いで、これを焼き付けることによって、前記電磁
鋼板の表面上に絶縁被膜を形成することに特徴を有する
ものである。
【0011】
【作用】本発明において、処理液中の無機系水溶液は、
無水クロム酸、および、カリウム、カルシウム、マグネ
シウム等の重クロム酸塩の少なくとも1種と、マグネシ
ウム、アルミニウム、カルシウム等の2価または3価の
金属の酸化物、水酸化物または炭酸塩を主成分として含
有するものであり、被膜に絶縁性を付与すると共に被膜
形成時に主にバインダーとして作用する。なお、被膜の
層間絶縁抵抗および耐熱性を向上させるために、上記無
機系水溶液中に、少量のシリカゾルやアルミナゾル等の
酸化物ゾル、または、リン酸塩やホウ酸等の無機質成分
を添加してもよい。
【0012】無機系水溶液中に添加、混合される有機樹
脂としては、クロム酸系水溶液との相溶性に優れている
ことが必要であり、このような有機樹脂として、アクリ
ル酸およびそのエステル、メタクリル酸およびそのエス
テル、マレイン酸、イタコン酸、スチレン、ビニルトル
エン、酢酸ビニル、アクリロニトリルおよびアクリルア
ミド等の重合性モノマーからなる群から選ばれた少なく
とも一種を、常法により乳化重合して得られる有機樹脂
エマルジョン、または、フェノール系樹脂、エポキシ系
樹脂およびポリエステル系樹脂のうちの少なくとも1種
が使用される。
【0013】有機樹脂エマルジョンのガラス転移温度
は、10〜100 重量部の範囲内であることが必要であり、
これは、本願発明における最も重要な点である。以下
に、ガラス転移温度を上記のように限定した理由につい
て述べる。
【0014】先ず、ガラス転移温度の異なる有機樹脂エ
マルジョンを得るために、重合性モノマーとして、アク
リル酸n−ブチルおよびアクリル酸を使用し、これらを
種々の配合率で混合し、そして、常法により乳化重合し
た。次いで、このようにして得られた種々の配合率の有
機樹脂エマルジョンにより樹脂フィルムを作成した。そ
して、樹脂フィルムの動的粘弾性を下記条件で測定し、
エネルギー損失角(tan δ) から得られる主分散のピー
ク温度を、ガラス転移温度として求めた。
【0015】ガラス転移温度測定条件: 使用した測定装置 :レオメトリック社製 SOLI
D ANALYZER RSA II 樹脂フィルムの寸法 :35mm× 7mm×0.1mm 樹脂フィルムの昇温スピード:3℃/1min 樹脂フィルムの振動周波数 :1Hz
【0016】次に、上記によって求められた、ガラス転
移温度の異なる複数の有機樹脂エマルジョンの各々を、
無機系水溶液に添加して、下記に示す成分組成の処理液
を調製した。 CrO3 : 100重量部、 MgO : 30重量部、 H3 BO3 : 25重量部、 エチレングリコール : 25重量部、 水 :1070重量部、 有機樹脂エマルジョン(固形分20%): 150重量部。
【0017】上述した成分組成の、ガラス転移温度の異
なる複数の有機樹脂エマルジョンを含有する各種処理液
を、ロールコータにより、Siを0.4 wt.%含有する電磁鋼
板の表面上に塗布し、次いで、ラジアントチューブ方式
の焼き付け炉によって、400℃の温度で35秒間焼き付け
処理を施し、かくして、その表面上に1.3g/m2 の量の絶
縁被膜を有する電磁鋼板の供試材を調製した。
【0018】なお、上記処理液の塗布に際し、ガラス転
移温度が10℃未満の有機樹脂エマルジョンを含有する処
理液は、エマルジョンの機械的安定性が欠けていたため
に、塗布を開始してから数分後にロールコータ上に有機
樹脂被膜の凝集物が生じた。そこで、一時塗布作業を中
止し、ロールコータ上の凝集物を除去した後、作業を再
開した。
【0019】上記により得られた電磁鋼板の供試材に対
し、絶縁被膜の耐すり疵性および被膜密着性を、以下に
述べる性能試験によって調査した。 (1) 耐すり疵性試験:連続加重式引掻き強度試験機
(引掻針:0.2mm 径のサファイヤ)を使用し、絶縁被膜
にすり疵が発生し始めるときの荷重(g)によって、耐
すり疵性を評価した。 (2) 被膜密着性試験:供試材を180 °曲げて、絶縁被膜
が剥離しない最小の曲げ径(mm)によって、被膜密着性を
評価した。
【0020】図1に、上述した耐すり疵性および被膜密
着性の性能試験結果を示す。図1において、横軸は有機
樹脂のガラス転移温度を示し、縦軸は耐すり疵性および
被膜密着性を示す。図1から明らかなように、有機樹脂
のガラス転移温度が10℃未満の場合には、耐すり疵性が
劣化し、一方、ガラス転移温度が100 ℃を超えると、被
膜密着性が劣化する。従って、この発明においては、有
機樹脂エマルジョンのガラス転移温度を、10〜100 ℃の
範囲内に限定した。
【0021】有機樹脂エマルジョンの含有量は、無機系
水溶液中のCr03換算量100 重量部に対し、固形分として
5〜100 重量部の範囲内に限定すべきである。有機樹脂
エマルジョンの含有量が、無機系水溶液中のCr03換算量
100 重量部に対し、固形分として5重量部未満では、十
分な打ち抜き性が得られず、一方、100 重量部を超える
と、耐すり疵性および溶接性が低下する。
【0022】有機還元剤としては、グリセリン、ポリエ
チレングリコール、しょ糖等のポリアルコール類、また
は、コハク酸、アジピン酸等のカルボン酸類が使用され
る。このような有機還元剤には、処理液中の6価クロム
を還元して、絶縁被膜を不溶化する作用がある。
【0023】有機還元剤の含有量は、無機系水溶液中の
Cr03換算量100 重量部に対して10〜50重量部の範囲内に
限定すべきである。有機還元剤の含有量が、無機系水溶
液中のCr03換算量100 重量部に対し10重量部未満では、
処理液中の6価クロムの還元が不十分になり、絶縁被膜
の耐水性が劣化する。一方、50重量部を超えると、処理
液中で還元反応が進行しやすくなる結果、処理液が不安
定になり、且つ、処理液の焼き付け過程で還元剤がガス
化し、被膜中に気泡が残って多孔質化する結果、耐すり
疵性および耐食性が低下する傾向が生ずる。
【0024】上述した処理液を、電磁鋼板の表面上にロ
ールコータ等によって塗布し、次いで、ラジアントチュ
ーブ方式またはインダクション方式等の加熱炉によっ
て、400 ℃未満の温度で焼き付けることにより、電磁鋼
板の表面上に絶縁被膜が形成される。なお、上記焼き付
け温度が400 ℃以上になると、被膜中の有機樹脂が熱分
解する問題が生ずる。
【0025】このようにして、電磁鋼板の表面上に形成
された絶縁被膜の量は、鋼板の片面当り、0.5 〜5g/m2
の範囲内であることが好ましい。絶縁被膜の量が、鋼板
の片面当り0.5 g/m2未満では、打ち抜き性および耐食性
が不十分であり、一方、5g/m2を超えると、絶縁被膜の
溶接性および占積率が低下する。
【0026】
【実施例】次ぎに、この発明を、実施例により比較例と
対比しながら説明する。各種の重合性モノマーおよび樹
脂を各種の比率で配合し、表1に示す、各種のガラス転
移温度を有する有機樹脂エマルジョン(a) 〜(g) を調製
した。
【0027】
【表1】
【0028】上記有機樹脂エマルジョン(a) 〜(g) を、
予め調製した各種の無機系水溶液と各種の有機還元剤と
の混合溶液中に添加、混合し、最終的に水を添加して固
形分15%となし、表2に示す、本発明の範囲内の処理液
(以下、本発明処理液という)No. 1〜4、および、表
3に示す、本発明の範囲外の処理液(以下、比較用処理
液という)No. 1〜6を調製した。
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】0.4 wt.%のSiを含有する電磁鋼板の表面上
に、上述した本発明処理液および比較用処理液の何れか
をロールコータによって塗布し、次いで、ラジアントチ
ューブ方式の焼き付け炉内において、400 ℃の温度で35
秒間焼き付けて電磁鋼板の表面上に絶縁被膜を形成し
た。かくして、本発明処理液No. 1〜4による絶縁被膜
が形成された本発明供試体No. 1〜4、および、比較用
処理液No. 1〜6による絶縁被膜が形成された比較用供
試体No. 1〜6を調製した。
【0032】上記絶縁被膜の形成に際し、比較用処理液
No. 1および5は、有機樹脂エマルジョンのガラス転移
温度が10℃未満であり、エマルジョンの機械的安定性が
欠けていたために、塗布を開始してから数分後にロール
コータ上に有機樹脂被膜の凝集物が生じた。そこで、一
時操業業を中止し、ロールコータ上の凝集物を除去した
後、操業を再開した。その他の処理液の場合は、安定し
て連続的な操業を行うことができた。
【0033】このようにて調製した本発明供試体No. 1
〜4および比較用供試体No. 1〜6の各々について、層
間抵抗、被膜密着性、打ち抜き性、溶接性、耐食性およ
び耐すり疵性を、以下に述べる性能試験によって調査し
た。その試験結果を、表4に示す。
【0034】(1) 層間抵抗:JIS C 2550 第2法によっ
て測定した。 (2) 被膜密着性試験:前述した通り。 (3) 打ち抜き性試験:直径10mmのブランクおよびSKD
−11の材質の金型を使用して供試体の打ち抜きを行
い、ブランクのかえり高さが50μm に達するまでの打ち
抜き回数によって打ち抜き性を評価した。
【0035】(4) 溶接性試験:供試体の各々を複数枚積
層し、その端面をTIG溶接(コア締付圧:60Kg/cm2
溶接電流:100A)したときの、ブローホールが発生しない
最大溶接速度によって溶接性を評価した。 (5) 耐食性試験:各供試体に対し、塩水噴霧試験を10時
間連続的に施した後、各供試体の発錆面積を調べ、その
発錆面積率によって耐食性を評価した。 (6) 耐すり疵性試験:前述した通り。
【0036】
【表4】
【0037】表4から明らかなように、比較用供試体N
o. 1および5は、処理液中の有機樹脂エマルジョンの
ガラス転移温度が本発明の範囲を外れて低いために、耐
すり疵性が劣っていた。比較用供試体No. 2は、有機樹
脂エマルジョンのガラス転移温度が本発明の範囲を外れ
て高いために、被膜密着性が劣っていた。比較用供試体
No. 3は、有機樹脂エマルジョンの含有量が本発明の範
囲を外れて少ないために、打ち抜き性が劣っていた。比
較用供試体No. 4は、有機樹脂エマルジョンの含有量が
本発明の範囲を外れて多いために、溶接性および耐すり
疵性が劣っていた。そして、比較用供試体No. 6は、有
機還元剤の含有量が本発明の範囲を外れて多いために、
耐すり疵性が劣っていた。
【0038】これに対し、本発明供試体No. 1〜4は、
何れも、層間抵抗、被膜密着性、溶接性、打ち抜き性、
耐食性および耐すり疵性のすべてに優れていた。
【0039】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
耐すり疵性に優れ、しかも、被膜密着性、溶接性、打ち
抜き性および耐食性に優れた絶縁被膜を有する、安定し
た品質の電磁鋼板が得られ、且つ、このような電磁鋼板
を、安定して連続的に製造することができる、工業上有
用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機樹脂のガラス転移温度と、耐すり疵性およ
び被膜密着性との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 豊文 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−74418(JP,A) 特開 平3−166384(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 22/00 - 22/86 C23C 38/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機系水溶液と有機還元剤と有機樹脂エ
    マルジョンとからなる処理液を塗布しそして焼き付ける
    ことによって、その表面上に絶縁被膜が形成された電磁
    鋼板であって、前記無機系水溶液は、無水クロム酸およ
    び重クロム酸塩の少なくとも1種と、2価または3価の
    金属の酸化物、水酸化物または炭酸塩とを主成分として
    おり、前記処理液中の前記有機還元剤の含有量は、前記
    無機系水溶液中のCr03換算量100 重量部に対し固形分と
    して10〜50重量部であり、前記処理液中の前記有機樹脂
    エマルジョンの含有量は、前記水溶液中のCr03換算量10
    0 重量部に対し固形分として5〜100 重量部であり、そ
    して、前記有機樹脂エマルジョンのガラス転移温度は10
    〜100 ℃であることを特徴とする、耐すり疵性に優れた
    絶縁被膜を有する電磁鋼板。
  2. 【請求項2】 前記絶縁被膜の量が、前記電磁鋼板の片
    面当り0.5 〜5g/m2の範囲内である請求項1記載の電磁
    鋼板。
  3. 【請求項3】 無水クロム酸および重クロム酸塩の少な
    くとも1種と、2価または3価の金属の酸化物、水酸化
    物または炭酸塩とが主成分として含有されている無機系
    水溶液に、前記無機系水溶液中のCr03換算量100 重量部
    に対し固形分として10〜50重量部の有機還元剤と、そし
    て、前記無機系水溶液中のCr03換算量100 重量部に対し
    固形分として5〜100 重量部の、ガラス転移温度が10〜
    100 ℃である有機樹脂エマルジョンとを添加、混合して
    処理液を調製し、 前記処理液を、電磁鋼板の表面上に塗布し、次いで、こ
    れを焼き付けることによって、前記電磁鋼板の表面上に
    絶縁被膜を形成することを特徴とする、耐すり疵性に優
    れた絶縁被膜を有する電磁鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記無機系水溶液中には、更に、シリカ
    ゾル、アルミナゾル等の酸化物ゾル、または、リン酸
    塩、ホウ酸等の無機質成分が含有されている、請求項3
    記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記有機樹脂エマルジョンは、アクリル
    酸およびそのエステル、メタクリル酸およびそのエステ
    ル、マレイン酸、イタコン酸、スチレン、ビニルトルエ
    ン、酢酸ビニル、アクリロニトリルおよびアクリルアミ
    ド等の重合性モノマーからなる群から選ばれた少なくと
    も一種の乳化重合物、または、フェノール系樹脂、エポ
    キシ系樹脂およびポリエステル系樹脂の少なくとも1種
    からなっている、請求項3記載の方法。
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WO2011016570A1 (ja) * 2009-08-04 2011-02-10 新日本製鐵株式会社 プレコート金属板用下地処理剤、それを塗布した塗装下地処理金属板、及びそれを使用した塗膜の加工密着性に優れるプレコート金属板

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