JP2662336B2 - 打抜性及び高速溶接性に優れた積層鉄心用電磁鋼板 - Google Patents

打抜性及び高速溶接性に優れた積層鉄心用電磁鋼板

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JP2662336B2 JP4060489A JP6048992A JP2662336B2 JP 2662336 B2 JP2662336 B2 JP 2662336B2 JP 4060489 A JP4060489 A JP 4060489A JP 6048992 A JP6048992 A JP 6048992A JP 2662336 B2 JP2662336 B2 JP 2662336B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、積層鉄心用電磁鋼板
の製造方法に関し、とくにその打抜性の改善の他、高速
溶接を可能ならしめようとするものである。
【0002】
【従来の技術】モーター、トランス等に使用される電磁
鋼板は、磁気特性に優れるだけでなく、量産性の観点か
ら良好な打抜性も要求され、この要請を満たすために一
般に有機樹脂を含む絶縁被膜が被成される。しかしなが
ら、この被膜は、溶接時に有機樹脂から発生する多量の
ガスに起因してブローホールが発生するなど溶接性の点
に問題を残していた。この点を解消するものとして、鋼
板表面に20 Hr.m.s.μinch以上の表面粗さを付与したの
ち、有機質被膜を被成する方法(特公昭49−6744号公
報) や有機質被膜自体に粗さを与え、溶接時に発生する
ガスを逃散させることによりブローホールの発生を防止
する方法(特公昭49-19078号公報) 等が提案されてい
る。しかしながらこれらの方法では、必然的に占積率が
97〜98%まで低下するので好ましくない。
【0003】そこで特開昭54−134043号公報において、
表面粗さを中心線平均粗さRaで0.35〜0.6 μm とした鋼
板上に被膜厚み1〜2.5 g/m2の有機質被膜を被成する方
法が提案された。しかしながらこの方法でも、溶接箇所
によってはブローホールの発生が見られ、必ずしも良好
な溶接性が安定して得られるとは限らず、そのため打抜
性の向上を目指して被膜厚を厚くするといった処置を施
すことができないという問題があった。
【0004】その他、特開平1−289103号公報には、鋼
板の表面粗さを、Ra< 0.5μm でかつRmax<2μm と
し、その表面に有機樹脂を含む絶縁被膜を被成した電磁
鋼板が開示されている。しかしながら、この技術は、鋼
板表面の凹部だけに着目したもので、山高さに考慮が払
われてないため、たとえRmaxを2μm 未満にしたとして
も、十分満足がいくほどの溶接性の向上は期待できなか
った。またこのような電磁鋼板を得るには、工程上厳密
な管理を必要とするところにも問題を残していた。さら
に鋼板表面の凹部を少なくするためには、圧延方法を厳
密に制御してオイルピットの発生を極力低減する必要が
あることから、圧延スピードの低減を余儀なくされ、実
操業上また経済性の面からも不利が残る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、従来
は、打抜性、占積率、溶接性及び生産性などかかる鋼板
に要求される諸特性を全て兼ね備えた積層用電磁鋼板は
見当たらず、その開発が望まれていた。この発明は、上
記の要請に有利に応えるもので、生産性は勿論のこと占
積率の低下を招くことなしに、優れた打抜性及び高速溶
接性をそなえる積層用電磁鋼板を提案することを目的と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】さて発明者らは、上記の
目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、電磁鋼板の積
層端面溶接に際しては、鋼板表面の粗さもさることなが
ら、圧延模様や圧延疵などの表面の凸部そのものが強く
関与していることの知見を得た。さらに発明者らは、圧
延処理で表面粗度調整を行った場合、電磁鋼板の表面に
できた凸部は方向性を示す、すなわち圧延方向に比べて
圧延方向と直角方向には微細な凸部が数多く発生し、か
ような板面方位で異なる凸部形成の不均一性に起因し
て、切断面の方位如何で溶接性にばらつきが生じること
も併せて見出した。
【0007】この発明は、上記の知見に立脚するもの
で、鋼板表面における凸部の形態及び個数を制御するこ
とにより、打抜性や占積率に優れるのはいうまでもな
く、切断端面の方位の如何にかかわらず高速溶接の実施
を可能ならしめたものである。
【0008】すなわちこの発明は、圧延により表面粗度
を調整した電磁鋼板であって、3次元表面粗さが、中心
面平均粗さSRa で0.50μm 以下、負荷曲線における切断
面面積率が10%のときの凸部の高さが 1.3μm 以上でか
つ、2次元表面粗さによる圧延方向及びそれと直角方向
の凸部の個数の比が次式
【数2】LPc/CPc≧0.45 ここでLPc:圧延方向の凸部の個数 CPc:圧延方向と直角方向の凸部の個数 の関係を満足し、その表面に有機樹脂系の絶縁被膜をそ
なえることを特徴とする打抜性及び高速溶接性に優れた
積層鉄心用電磁鋼板(第1発明)である。
【0009】またこの発明は、上記第1発明において、
中心面により切断された単位面積1mm2 当たりの凸部の
個数が50以上である打抜性及び高速溶接性に優れた積層
鉄心用電磁鋼板(第2発明)である。。
【0010】ここに中心面平均粗さSRa とは、粗さ曲面
からその中心面上に面積SM を抜き取り、この抜き取り
部分の中心面上に直交座標軸、X軸、Y軸をおき、中心
面に直交する軸をZ軸として粗さ曲面をZ=f(X,
Y)で表したとき、次の数式
【数3】 で与えられる値のことである(単位μm )。
【0011】また負荷曲線とは、図1に示されれるよう
な曲線を意味する。すなわち単位面積における最大高さ
SRmax を縦軸の最大点として、任意の切断高さz(μm
)を縦軸とする。一方、横軸は、単位面積に対する各
切断レベルにおける切り口面積の 100分率(切断面面積
率)とする。かかる座標において、切断高さzを、最大
高さSRmax から次第に低減したときの切断高さと切断面
面積率との関係を示したのが負荷曲線である。従って、
切断面面積率が10%のときの凸部の高さとは図中にxで
示される値である。
【0012】さらにLPc/CPcは、圧延鋼板の2次元表
面粗さを圧延方向及びそれと直角方向で測定し、粗さ曲
線が中心線で切断された突起形状の個数(LPc,CPc)
を求め、それらを比として表したものである。
【0013】以下、この発明の解明経緯について説明す
る。さて発明者らは、各種の表面粗さを有する鋼板の表
面に重クロム酸塩−有機樹脂系処理液を塗布・焼付けて
得た絶縁被膜付き鋼板を用い、それぞれ積層したのち、
断面を溶接し、その溶接性について調査した。その結
果、従来使用されてきた2次元表面粗さの評価では、同
一の表面粗さとされたものでも溶接性にばらつきが生
じ、必ずしも2次元表面粗さでは溶接性を正確に評価で
きないことが判明した。
【0014】そこで、新たに3次元表面粗さによる評価
に想到し、改めて3次元粗さを測定して再検討を行っ
た。しかしながら、3次元表面粗さの指標のうち中心面
平均粗さSRa や最大高さSRmax でも厳密な意味での正確
な評価はできなかった。
【0015】そこで次に、3次元表面粗さによる負荷曲
線を用い、溶接性の良好なものと不良なものについて評
価したところ、図2に示す結果が得られた。同図より明
らかなように、中心面平均粗さSRa や最大高さSRmax は
ほぼ同じ材料でも、負荷曲線は大きく異なり、とくに切
断面面積率が10%程度における性状が全く異なってい
る。
【0016】上記の結果から、発明者らは、切断面面積
率が10%付近で凸部に大きな差が有ることが、溶接性の
差異として表れたものと推察するに到った。すなわち3
次元表面粗さにおけるSRa やSRmax が同等でも、凸部に
差があると、この差により溶接時に発生したガスの逃げ
易さが異なるとの考えに想い到ったのである。
【0017】そこで、凸部性状の異なる種々の材料につ
いて、以下の要領で溶接試験を行った。すなわち種々の
表面性状になる鋼板の表面に、下表1に示す配合割合に
なる処理液1を塗布、焼付けて、付着量が 0.9 g/m
2 (片面当たり)の有機樹脂を含む被膜を被成した。得
られた被覆鋼板を、切断後、積層し、積層端面を TIG溶
接したときの、溶接状況について調べた結果を、図3に
示す。なおこの時、凸部の高さは、負荷曲線における切
断面面積率が10%のときにおける高さである。
【0018】
【表1】 〔処理液1〕 ・30%重クロム酸マグネシウム溶液 : 130重量部 CrO3分 :32.5重量部 ・アクリル樹脂エマルジョン (樹脂固形分:50%) : 20重量部 ・エチレングリコール : 10重量部 ・ほう酸 : 10重量部
【0019】同図から明らかなように、凸部の高さが
1.3μm を超えた場合に良好な溶接性が得られている。
しかしながらこの凸部は、高ければ高いほど良いという
わけではない。というのは凸部が高くなれば占積率が低
下するからである。しかしこの点については、図4に示
すとおり、中心面平均粗さSRa が0.50μm以下であれば
占積率は99%以上であり、問題はないことが判明した。
そこでこの発明では、中心面平均粗さSRa が0.50μm 以
下でかつ、負荷曲線における切断面面積率が10%のとき
の凸部の高さが 1.3μm 以上の範囲に限定したのであ
る。
【0020】しかしながら上記の条件を満足しても、溶
接速度が高速になると良好な溶接ビードが得られない場
合が見受けられた。図5に、中心面平均粗さ SRaが0.36
μm 、負荷曲線における切断面面積率が10%のときの凸
部の高さが 1.8μm の圧延電磁鋼板の表面に、下表2に
示す配合割合になる処理液2を塗布、焼付けて、付着量
が 1.2 g/m2 (片面当たり)の有機樹脂を含む被膜を被
成して得た被覆鋼板を、圧延方向からの角度を種々に変
えて切断し、積層したのち、各端面をそれぞれ TIG溶接
したときの、溶接状況について調べた結果を示す。
【0021】
【表2】 〔処理液2〕 ・30%重クロム酸マグネシウム溶液 : 130重量部 CrO3分 :32.5重量部 ・酢酸ビニル−ベオバ樹脂エマルジョン (樹脂固形分:50%) : 20重量部 ・エチレングリコール : 10重量部 ・ほう酸 : 10重量部
【0022】同図から明らかなように、切断方向が圧延
方向からずれるに従い、溶接速度を遅くしないと良好な
溶接ビードが得られなくなった。一般に、電磁鋼板を打
ち抜き後、積層端面を溶接する場合、積層端面は必ずし
も圧延方向とは限らないので、かような傾向は溶接性の
ばらつきを招くことになり、好ましくない。
【0023】そこで発明者らは、この点に関し、鋭意検
討を重ねた結果、表面粗度パターンの調整すなわち2次
元表面粗さで表した圧延方向及びそれと直角方向の凸部
の個数(LPc,CPc)の比を所定の範囲に制限すること
が、所期した目的の達成に関し、極めて有効であること
を突き止めたのである。
【0024】図6に、中心面平均粗さ SRaが0.50μm 、
負荷曲線における切断面面積率が10%のときの凸部の高
さが 1.3μm の圧延電磁鋼板の表面に、下表3に示す配
合割合になる処理液3を塗布、焼付けて、付着量が 1.2
g/m2 (片面当たり)の有機樹脂を含む被膜を被成して
得た被覆鋼板を、切断・積層し、圧延方向からの角度が
90°のC断面を TIG溶接したときの、溶接状況について
調べた結果を、2次元表面粗さで表した圧延方向及びそ
れと直角方向の凸部の個数の比(LPc/CPc)と溶接速
度との関係で示す。
【0025】
【表3】 〔処理液3〕 ・30%重クロム酸マグネシウム溶液 : 130重量部 CrO3分 :32.5重量部 ・アクリル−酢酸ビニル樹脂エマルジョン (樹脂固形分:50%) : 20重量部 ・エチレングリコール : 10重量部 ・ほう酸 : 10重量部
【0026】同図から明らかなように、溶接状況は溶接
速度の上昇に伴って劣化する。しかしながらLPc/CPc
が0.45以上であれば、最も厳しい溶接性が要求されるC
断面であっても良好な溶接ビードが得られることが判明
した。そこでこの発明では、前述した中心面平均粗さSR
a ≦0.50μm 、負荷曲線における切断面面積率が10%の
ときの凸部の高さ≧ 1.3μm の要件に加え、2次元表面
粗さで表した圧延方向及びそれと直角方向の凸部の個数
の比(LPc/CPc)につき、LPc/CPc≧0.45を必須要
件として加味したのである。
【0027】次に、図7に、中心面平均粗さSRa が0.35
μm 、負荷曲線における切断面面積率が10%のときの凸
部の高さが 2.6μm でかつ、2次元表面粗さによる凸部
の個数において、LPc/CPcが0.65である電磁鋼板の表
面に、前記の処理液2を種々の被膜目付け量となるよう
に塗布、焼付けて、有機樹脂を含む絶縁被膜を被成し
た。得られた被覆鋼板を、切断後、積層し、積層端面を
TIG溶接したときの、打抜性及び溶接性について調べた
結果を示す。なお打抜性については、ダイス径15mmφス
チールダイスにより打抜いたときのかえり高さが50μm
に達するまでの打抜き回数で評価した。
【0028】同図より明らかなように、絶縁被膜の目付
け量(厚み)が増加するにつれて、打抜性は向上するけ
れども、溶接性(ブローホールが発生することなく溶接
できる最大速度)は低下する。通常使用される溶接速度
60〜80 cm/min において良好な溶接性と打抜性が得られ
る目付け量は 0.3〜1.3 g/m2の範囲である、またこの範
囲における層間抵抗値は2〜30Ω-cm2/枚であり、電磁
鋼板として十分満足のいく値である。
【0029】ところで発明者らの研究によれば、より安
定した高速溶接性を達成するには、上記の調整に加えさ
らに、中心面により切断された単位面積1mm2 当たりの
凸部の個数を50以上に制御することが有効であることが
判明した。この理由は、前掲図4からも判るように、凸
部が少ないとSRa が小さくなるため、溶接時に発生した
ガスの逃散がしにくくなり、高速溶接性がばらつき易く
なるけれども、凸部の個数が多ければかようなおそれは
小さくなることによるものと考えられる。ここに凸部の
個数とは、単位面積SM における中心面で切断されたパ
ーティクルの数(突起形状個数)Nであり、データ採取
面積をDOTとしたとき、 N=S′/DOT として求めたものである。
【0030】
【作用】この発明で対象とする積層鉄心用電磁鋼板にお
いて、その成分組成はとくに限定されることはなく、従
来公知の無方向性電磁鋼板いずれもが適合する。
【0031】次に、この発明で鋼板表面に被成する絶縁
被膜としては、打抜性を良好にする目的から、有機樹脂
系のものを用いる。ここに絶縁被膜として有機樹脂被膜
を単独で用いる場合には、アクリル樹脂、アルキッド樹
脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シ
リコン樹脂及びアミノ樹脂あるいはそれらの変性物のう
ちから選んだ1種又は2種以上が有利に適合する。
【0032】また絶縁被膜としては、クロム酸塩系及び
りん酸塩系の1種又は2種と有機樹脂との混合被膜を用
いることもできる。ここでクロム酸塩系とは、カルシウ
ム、マグネシウム及び亜鉛の重クロム酸塩又は無水クロ
ム酸に、カルシウム、マグネシウム及び亜鉛等の2価の
酸化物、水酸化物、炭酸塩を溶解したものの1種又は2
種以上の混合物、あるいはそれらにさらにシリカ、アル
ミナ及びチタニアなどの金属酸化物微粉末や、コロイド
状シリカ、コロイド状アルミナ、ほう酸など及び有機還
元剤等の1種又は2種以上を添加したものである。また
りん酸塩系とは、カルシウム、マグネシウム、アルミニ
ウム及び亜鉛のりん酸塩又はりん酸に、カルシウム、マ
グネシウム、アルミニウム及び亜鉛等の2価又は3価の
酸化物、水酸化物、炭酸塩を溶解したものの1種又は2
種以上の混合物、あるいはそれらにさらにシリカ、アル
ミナ及びチタニアなどの金属酸化物微粉末や、コロイド
状シリカ、コロイド状アルミナなど及びほう酸等を1種
又は2種以上添加したものである。さらに混合する有機
樹脂としては、水溶性又はエマルジョンタイプのアクリ
ル樹脂及びその共重合物、酢酸ビニル樹脂及びその共重
合物、ベオバ樹脂、スチレン樹脂共重合物、アミノ樹
脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、無水マレイン酸
共重合物、エポキシ樹脂又はその変性物等の1種又は2
種以上が有利に適合する。
【0033】さらに絶縁被膜は、2層被膜とすることも
できる。この場合は上記したクロム酸塩系及びりん酸塩
系の1種又は2種の被膜を被成したのち、その上に重ね
て有機樹脂被膜を被成することが好ましい。またこの発
明に従う表面粗さを得る手法は、とくに限定されること
はないが、ロール表面に予め圧延後の表面粗さがこの発
明範囲となるような表面加工を施しておく方法はその一
つである。さらに、圧延速度の変更又は圧延時に使用す
る圧延油の変更により、所定の表面粗さとなるように処
理することもできる。
【0034】
【実施例】実施例1 C:0.003 %及びSi:0.09%を含有し、残部は実質的に
Feの組成になる電磁鋼板で、3次元表面粗さが、中心面
平均粗さSRa :0.32μm 、負荷曲線における切断面面積
率が10%のときの凸部の高さが 1.5μm 、中心面により
切断された単位面積1mm2 当りの凸部の個数が42個でか
つ、2次元表面粗さによる凸部の個数において、LPc/
CPcが0.52の電磁鋼板の表面に、前記処理液2を、被膜
目付量が0.6 g/m2(片面当たり)となるように塗布した
後、 400℃で70秒間焼付けた。
【0035】かくして得られた絶縁被膜付き電磁鋼板の
占積率、打抜性及び溶接性について調べた結果は、次表
4のとおりであった。
【表4】占積率: 99.7 % 打抜性:110 万回 溶接性:L断面:80 cm/min 、C断面:60 cm/min で共
に良好
【0036】実施例2 C:0.023 %及びSi:0.11%を含有し、残部は実質的に
Feの組成になる電磁鋼板で、3次元表面粗さが、中心面
平均粗さSRa :0.48μm 、負荷曲線における切断面面積
率が10%のときの凸部の高さが 2.1μm 、中心面により
切断された単位面積1mm2 当りの凸部の個数が68個でか
つ、2次元表面粗さによる凸部の個数において、LPc/
CPcが0.81の電磁鋼板の表面に、前記処理液2を、被膜
目付量が1.2 g/m2(片面当たり)となるように塗布した
後、 400℃で70秒間焼付けた。
【0037】かくして得られた絶縁被膜付き電磁鋼板の
占積率、打抜性及び溶接性について調べた結果は、次表
5のとおりであった。
【表5】占積率: 99.6 % 打抜性:110 万回 溶接性:100 cm/minで、L断面、C断面とも良好
【0038】比較例1 C:0.023 %及びSi:0.11%を含有し、残部は実質的に
Feの組成になる電磁鋼板で、3次元表面粗さが、中心面
平均粗さSRa :0.38μm 、負荷曲線における切断面面積
率が10%のときの凸部の高さが 1.7μm でかつ、2次元
表面粗さによる凸部の個数において、LPc/CPcが0.41
の電磁鋼板の表面に、前記処理液2を、被膜目付量が0.
8 g/m2(片面当たり)となるように塗布した後、 400℃
で70秒間焼付けた。
【0039】かくして得られた絶縁被膜付き電磁鋼板の
占積率、打抜性及び溶接性について調べた結果は、次表
6のとおりであった。
【表6】占積率: 99.7 % 打抜性:110 万回 溶接性:100 cm/minでL断面は良好であったが、30 cm/
min でC断面は不良
【0040】
【発明の効果】かくしてこの発明によれば、打抜性に優
れ、しかも従来、両立が困難とされた溶接性と占積率の
両者を兼ね備えるだけでなく、いずれの方位の積層端部
溶接に際しても高速溶接が可能な積層鉄心用電磁鋼板を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】負荷曲線の説明図である。
【図2】負荷曲線の違いによる溶接性の違いを示したグ
ラフである。
【図3】溶接性に及ぼす負荷曲線における凸部高さの影
響を、溶接速度との関係で示したグラフである。
【図4】占積率に及ぼす中心面平均粗さSRa の影響を示
したグラフである。
【図5】溶接性に及ぼす圧延方向からの切断角度の影響
を示したグラフである。
【図6】C断面の TIG溶接時における溶接状況を、LPc
/CPcと溶接速度との関係で示したグラフである。
【図7】被膜目付け量と溶接性及び打抜性との関係を示
したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高島 稔 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株 式会社 技術研究本部内 (72)発明者 腰塚 典明 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株 式会社 技術研究本部内 (56)参考文献 特開 平2−217446(JP,A) 特開 平3−267319(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧延により表面粗度を調整した電磁鋼板
    であって、3次元表面粗さが、中心面平均粗さSRa で0.
    50μm 以下、負荷曲線における切断面面積率が10%のと
    きの凸部の高さが 1.3μm 以上でかつ、2次元表面粗さ
    による圧延方向及びそれと直角方向の凸部の個数の比が
    次式 【数1】LPc/CPc≧0.45 ここでLPc:圧延方向の凸部の個数 CPc:圧延方向と直角方向の凸部の個数 の関係を満足し、その表面に有機樹脂系の絶縁被膜をそ
    なえることを特徴とする打抜性及び高速溶接性に優れた
    積層鉄心用電磁鋼板。
  2. 【請求項2】 請求項1において、中心面により切断さ
    れた単位面積1mm2当たりの凸部の個数が50以上である
    打抜性及び高速溶接性に優れた積層鉄心用電磁鋼板。
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