JPH06336660A - 磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板 - Google Patents

磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板

Info

Publication number
JPH06336660A
JPH06336660A JP5127047A JP12704793A JPH06336660A JP H06336660 A JPH06336660 A JP H06336660A JP 5127047 A JP5127047 A JP 5127047A JP 12704793 A JP12704793 A JP 12704793A JP H06336660 A JPH06336660 A JP H06336660A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel sheet
point
load curve
max
magnetic properties
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5127047A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Yano
浩史 矢埜
Atsuto Honda
厚人 本田
Takashi Obara
隆史 小原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kawasaki Steel Corp filed Critical Kawasaki Steel Corp
Priority to JP5127047A priority Critical patent/JPH06336660A/ja
Publication of JPH06336660A publication Critical patent/JPH06336660A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Soft Magnetic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 格別な設備を必要としたり、生産性を損なう
ことなしに、内部応力や残留歪に起因した磁気特性の劣
化を防止する。 【構成】 無方向性電磁鋼板の表面凹凸を、3次元表面
粗さが、中心面平均粗さSRa で 0.5μm 以下、最大高さ
SRmax が 0.1〜2.0 μm でかつ、各凹部につき、負荷曲
線で深さ方向落差が最も大きい点(切断断面積率が0%
又は 100%の点を除く負荷曲線の微分係数が最小である
点)を中心として切断面面積率がそれぞれ±10%異なる
2点間における高さ方向の差がSRmax の50%以上を満足
し、しかも{(凹部平坦部面積/単位面積)×100 }で
表される凹部平坦部の割合が30〜70%を満足する、表面
性状に調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、表面に精確な凹凸パ
ターンを有する無方向性電磁鋼板に関し、特にその磁気
特性の改善を図ったものである。
【0002】
【従来の技術】無方向性電磁鋼板は、モーターやトラン
ス等の鉄心材料として広範囲にわたって使用されてい
る。ところで近年、省エネルギーの観点から、電気機器
の効率向上が叫ばれており、それに伴い、鉄心材料につ
いても、より一層の鉄損低減が望まれている。しかしな
がら、これまでの長年にわたる開発研究の結果、その鉄
損値は、現在の添加Si量ではほぼ極限に達している。
【0003】より一層の鉄損低減手段としては、鉄損劣
化の原因となる製造工程中に導入される外的劣化因子の
除去が有効であると考えられ、とくに焼鈍工程における
炉内張力及び冷却時の熱応力に起因した内部応力又は残
留歪を少なくする方法が提案されている。例えば特開昭
52-96919号公報では、焼鈍均熱温度から 300℃までの冷
却速度を250 ℃/min以下に規制することによって鉄損を
低減する方法が提案されている。しかしながら、この方
法に従い、冷却速度を250 ℃/min以下とするためには、
冷却帯を延長するか又は通板速度を低下しなければなら
ず、長大な設備の新設又は生産性の低下という問題が生
じる。また特開平4−128318号公報では、焼鈍工程の冷
却時におけるコイル幅方向の温度分布を小さくし、冷却
時における熱応力を低減することによる鉄損の低減が試
みられている。しかしながら、この方法では、依然とし
て、焼鈍工程における炉内張力に起因した残留応力を小
さくすることはできない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したとおり、これ
までは内部応力や残留歪の発生を完全に防止することは
難しく、その改善が望まれていた。この発明は、上記の
要請に有利に応えるもので、格別な設備を必要とした
り、生産性を損なうことなしに、内部応力や残留歪の発
生を効果的に抑制して優れた磁気特性を発揮できる無方
向性電磁鋼板を提案することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】さて発明者らは、上記の
問題を解決すべく、各種の調査及び検討を行なった結
果、無方向性電磁鋼板の内部応力や残留歪に起因した磁
気特性の劣化を緩和するには、鋼板表面の凹凸のパター
ンを調整することが極めて有効であることの知見を得
た。この発明は、上記の知見に立脚するもので、鋼板表
面における凹凸パターンを適正に制御することによっ
て、内部応力や残留歪の発生を抑制し、もって無方向性
電磁鋼板の磁気特性の向上を達成したものである。また
この発明は、上記のようにして磁気特性の改善を図った
上で、さらに打抜性の向上を図ったものである。
【0006】すなわち、この発明は、鋼板表面の3次元
表面粗さが、中心面平均粗さSRa で0.5μm 以下、最大
高さSRmax が 0.1〜2.0 μm でかつ、各凹部につき、負
荷曲線で深さ方向落差が最も大きい点(切断断面積率が
0%又は 100%の点を除く負荷曲線の微分係数が最小で
ある点)を中心として切断面面積率がそれぞれ±10%異
なる2点間における高さ方向の差がSRmax の50%以上を
満足し、しかも{(凹部平坦部面積/単位面積)×100
}で表される凹部平坦部の割合が30〜70%であること
を特徴とする磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板(第1
発明)である。
【0007】また、この発明は、鋼板表面の3次元表面
粗さが、中心面平均粗さSRa で 0.5〜3.0 μm 、最大高
さSRmax が2〜30μm でかつ、各凹部につき、負荷曲線
で深さ方向落差が最も大きい点(切断断面積率が0%又
は 100%の点を除く負荷曲線の微分係数が最小である
点)を中心として切断面面積率がそれぞれ±10%異なる
2点間における高さ方向の差がSRmax の50%以上を満足
し、しかも{(凹部平坦部面積/単位面積)×100 }で
表される凹部平坦部の割合が30〜70%であることを特徴
とする磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板(第2発明)
である。
【0008】ここに 第1発明は、端面溶接性が損なわ
れない範囲で表面凹凸をできるだけ小さくし、とくに占
積率の向上を図る場合に好適な材料であり、一方、第2
発明は、占積率は幾分犠牲にしても、絶縁被膜の厚塗り
を可能にして、磁気特性さらには打抜性の向上を図る場
合に好適な材料である。
【0009】さて、中心面平均粗さSRa とは、粗さ曲面
からその中心面上に面積SM を抜き取り、この抜き取り
部分の中心面上に直交座標軸、X軸、Y軸をおき、中心
面に直交する軸をZ軸として粗さ曲面をZ=f(X,
Y)で表したとき、次の数式
【数1】 で与えられる値のことである(単位μm )。
【0010】また負荷曲線とは、図1に示されれるよう
な曲線を意味する。すなわち単位面積における最大高さ
SRmax を縦軸の最大点として、任意の切断高さz(μm
)を縦軸とする。一方、横軸は、単位面積に対する各
切断レベルにおける切り口面積の 100分率(切断面面積
率)とする。かかる座標において、切断高さzを、最大
高さSRmax から次第に低減したときの切断高さと切断面
面積率との関係を示したのが負荷曲線である。従って、
たとえば切断面面積率が10%のときの凸部の高さとは図
中にxで示される値である。なお、ここで言う凹部と
は、いわゆる穴であっても、溝であってもかまわず、ま
た凸部も、いわゆる山であっても、土手であってもかま
わない。
【0011】以下、この発明を具体的に説明する。さて
発明者らは、無方向性電磁鋼板の磁気特性の劣化要因に
ついて、まずその方向性について検討した。すなわち無
方向性電磁鋼板の磁気特性は、試料長手方向がそれぞれ
L方向及びC方向の試料を用いたエプスタイン測定によ
って評価される(L+C磁性)のであるが、試料長手方
向がL方向及びC方向の試料を方向別に調査したとこ
ろ、とくにC方向が長手方向となる試料の方が、磁気特
性の劣化傾向が大きいことが判明した。これは、集合組
織の違いによることの他、焼鈍工程における炉内張力及
び冷却時の熱応力に由来する内部応力及び残留歪に起因
したものと考えられる。そこで発明者らは、このC方向
における劣化原因について調査したところ、L方向より
もC方向の方が、焼鈍工程における炉内張力に起因した
内部応力の影響を受け易いことが判明した(なお、冷却
時の熱応力は、試料長手方向がL方向、C方向いづれの
場合にも同等に影響する)。
【0012】次に発明者らは、上記の問題を解決すべく
種々検討を重ねたところ、C方向の磁気特性は、鋼板の
表面に形成される凹部の形状に強く依存することの知見
を得た。すなわち、炉内張力に起因した内部応力や残留
歪は、鋼板のC方向に対して圧縮応力として作用し、劣
化因子となるが、かような圧縮応力は凹部形状を調整す
ることによって効果的に緩和されることが判明したので
ある。また、凹部形状の調整は、冷却時の熱応力に関し
ても同様の効果があることが判明した。
【0013】そこで次に、有効な凹部形状について検討
した結果、図2に示すような、凹部の底面が平坦部を有
しかつ該底面と凹部の肩とが接する角度が直角に近い凹
部を多数存在した場合に、磁気特性が格段に向上するこ
とが判明した。
【0014】そこでさらに、かような凹部の具体的な好
適形状について検討した結果、(1) 被成すべき絶縁被膜
厚の厚みをさほど大きくせず、したって表面粗さもあま
り粗くないいわゆるブライト材については、3次元表面
粗さが、中心面平均粗さSRa で 0.5μm 以下、最大高さ
SRmax が 0.1〜2.0 μm でかつ、負荷曲線で深さ方向落
差が最も大きい点(切断断面積率が0%又は100 %の点
を除く負荷曲線の微分係数が最小である点)を中心とし
て切断面面積率がそれぞれ±10%異なる2点間における
高さ方向の差がSRmax の50%以上で、しかも{(凹部平
坦部面積/単位面積)×100 }で表される凹部平坦部の
割合が30〜70%である場合に、(2) 一方、打抜性改善の
ために絶縁被膜厚の厚塗りを前提とし、従って表面粗さ
が比較的粗いいわゆるダル材については、鋼板表面の3
次元表面粗さが、中心面平均粗さSRa で 0.5〜3.0 μm
、最大高さSRmax が2〜30μm でかつ、各凹部につ
き、負荷曲線で深さ方向落差が最も大きい点(切断断面
積率が0%又は 100%の点を除く負荷曲線の微分係数が
最小である点)を中心として切断面面積率がそれぞれ±
10%異なる2点間における高さ方向の差がSRmax の50%
以上を満足し、しかも{(凹部平坦部面積/単位面積)
×100 }で表される凹部平坦部の割合が30〜70%である
場合に、それぞれ良好な磁気特性が得られることが判明
したのである。
【0015】ここに、負荷曲線で深さ方向落差が最も大
きい点、すなわち負荷曲線の微分係数が最も小さい点と
は、図3に点Pで示すような点であり、この点から切断
面面積率がそれぞれ±10%異なる点Q及びRの点の高さ
の差をΔHとすると、このΔHが大きい程凹部底面と凹
部の肩が接する角度が直角に近くなり、逆にΔHが小さ
い程鈍角となり、なだらかであることを示している。な
お、微分係数が最小の点を求める際に、切断面面積率が
0%及び 100%の点を除いた理由は、これらの点では、
高い山あるいは深い谷が少しでもあるとその影響を受け
易く、微分係数は直ちに−∞となるからである。
【0016】また図4に、最終焼鈍時における炉内張力
ならびに単位面性当たりの凹部平坦部面積が、C方向の
磁気特性に及ぼす影響について調べた結果を示す。試料
は、Si:3.2 %を含み、 SRa:0.1 〜3.0 μm 、S
Rmax : 0.1〜10μm でかつ、ΔH/SRmax (×100)≧5
0%の電磁鋼板を用いた。同図より明らかなように、凹
部平坦部面積が30〜70%でかつ、炉内張力が 0.5kg/mm2
以下の範囲で良好な磁気特性が得られている。
【0017】さてこの発明において、凹部形状を上記の
ように限定した理由について説明する。まず第1発明の
ブライト材について説明すると、 SRaが 0.5μm を超え
ると占積率の低下を招くので、 0.5μm 以下とした。ま
た、SRmax が 0.1μm に満たないと、残留応力が十分に
緩和されないだけでなく、絶縁被膜処理を施した時に凹
部が埋まり、ガスの抜け道が十分に確保されず、一方
2.0μm を超えると、やはり占積率の低下を招くので、
0.1〜2.0 μmの範囲に限定した。さらに、負荷曲線で深
さ方向落差が最も大きい点、すなわち負荷曲線の微分係
数が最小である点を中心として切断面面積率がそれぞれ
±10%異なる2点間における高さ方向の差ΔHを、SR
max の50%以上としたのは、ΔHがSRmax の50%に満た
ないと、凹凸の形状がなだらかとなり、凹部の残留応力
を緩和する切欠き的効果が十分には発揮されないからで
ある。
【0018】またさらに、{(凹部平坦部面積/単位面
積)×100 }で表される凹部平坦部面積の割合を30〜70
%としたのは、前掲図4にも示したとおり、この割合が
上記の範囲を逸脱すると、凹部の残留応力を緩和する切
欠き効果が低下し、満足いく程良好な磁気特性の改善が
達成されないからである。
【0019】次に第2発明のダル材について説明する
と、 SRaが 0.5μm に満たないと、絶縁被膜を厚塗りし
たときに溶接性が劣化し、一方 3.0μm を超えると占積
率の大幅な低下を招くので、 0.5〜3.0 μm 以下とし
た。また、SRmax が2μm に満たないと、絶縁被膜処理
をしたときの膜厚上限付近で凹部が埋まって溶接性の劣
化を招き、一方30μm を超えるとやはり占積率の大幅な
低下を招くので、2〜30μm の範囲に限定した。なお、
ΔHをSRmax の50%以上とした理由及び凹部平坦部面積
の割合を30〜70%とした理由は、上述したところと同じ
理由による。
【0020】次に、この発明鋼板の製造方法について説
明する。鋼板表面に上述したような適正な凹凸パターン
を形成するには、圧延ロールの表面に、所望の鋼板表面
凹凸に見合う凹凸パターンを形成し、その転写を利用す
るのが有利である。
【0021】従来から、スキンパス圧延用ロールの表面
をダル仕上げするための方法としては、ショットブラス
トによる方法や放電加工による方法、さらには特開昭62
−224405号公報に開示のようなレーザー加工による方
法、特開平2-99208号公報に開示のようなスクリーン印
刷とエッチング又はスクリーン印刷とめっきとを組合せ
た方法などがある。しかしながら、ショットブラスト法
や放電加工法によってダル仕上げされた圧延用ロール
は、表面に形成された粗度パターンが不規則であるた
め、かかるロールを用いて圧延した場合には、鋼板表面
の粗度パターンも不規則となる。しかも任意の凹凸パタ
ーンを形成することは不可能である。
【0022】一方、レーザー加工による場合は、規則的
な粗度パターンは得ることができるけれども、図5に示
すように、レーザー照射によりレーザー中心から離れた
部位が同心円状に盛り上がり、これにより微細なパター
ンを得ることができないし、凹部形状を任意に選択する
ことも難しい。またロールに直接レーザービームを用い
て穿孔するため、圧延ロールのように広い面積を持つ被
加工物を能率よく加工するためには、レーザー発振器は
しては1kW以上の高出力が要求され、必然的に炭酸ガス
レーザーとならざるを得ず、加工装置が大型化し、費用
・保守の面での負担が大きい。さらに、レーザービーム
によって金属が溶融されて形成された凹凸パターンは、
その凹凸部の組織がオーステナイトとなるので、このよ
うなロールは耐摩耗性に劣る。しかも、凹凸パターンの
凹部の直径は、集光レンズで収束したレーザービームの
直径により決まるが、この直径は炭酸ガスレーザー光の
波長が長い(10.6μm )ため、物理的に約100 μm 以下
にすることがでない不利もある。
【0023】他方、スクリーン印刷法を用いる方法は、
特開平2-99207号公報に見られるように、微細模様をス
クリーン印刷により圧延ロールの表面に印刷し、その
後、エッチング又はめっきを行って微細模様をロール表
面に形成し、該圧延ロールにより鋼板表面に微細模様を
転写することからなる方法であるが、この方法では、シ
ョットブラスト法のようにグリッド粒子を機械的にロー
ル表面に叩きつけてダル目付け加工を行った場合のよう
なうねりがロール表面に発生せず、また放電加工やレー
ザーによる加工法のように高エネルギーを加工部に集中
させることもないので、ロール表面の硬さが劣化せず均
一で、ロールから鋼板への微細模様の転写が可能であ
る。
【0024】また、特公昭62-11922号公報には、耐酸腐
食性物質で表面を覆い、これをレーザー光で局所的に破
壊し、覆われていない部分を化学的に腐食する方法が開
示されている。さらに、特開平2−175882号公報には、
この技術を能率よく精密に容易に実施できるように改善
した方法及び装置を用い、次の工程から成る、整列され
た又は任意配列の凹凸を有するロールを加工する方法が
開示されている。すなわち、(1) 圧延ロール表面に光吸
収材を混入した耐酸腐食樹脂液を塗布して耐酸腐食性樹
脂膜を形成したのち、(2) この樹脂膜を連続的に平均で
5〜10Wの出力を有するQスイッチ・YAGレーザーを
用いてマーキング加工し、所要の模様に該ロール表面を
露出させ、(3) しかる後、エッチング処理を施してロー
ル表面に所望の模様を付与する方法である。
【0025】上掲した各種凹凸パターン形成方法のう
ち、スクリーン印刷法又は耐酸腐食性樹脂膜とQスイッ
チ・YAGレーザーとを組み合わせた方法は、上述した
とおり、規則的に微細な凹凸模様を形成することができ
るので、これらの方法を用いることによってこの発明の
要件を満足する任意の凹部形状を得ることができる。
【0026】
【作用】この発明を適用して好適な電磁鋼板の成分組成
は次のとおりである。 C:0.01wt%(以下単に%で示す)以下 Cは、磁気特性の面からは有害な元素であり、極力低減
することが望ましいので、0.01%以下程度とするのが好
ましい。 Si:3.5 %以下 Siは、固有抵抗を高めることによって鉄損を低減する有
用元素であるが、 3.5%を超えると冷延性が阻害される
ので、 3.5%以下程度が好ましい。 Mn:0.1 〜1.5 % Mnは、熱間脆性を抑制するために添加されるものである
が、 0.1%未満ではその添加効果に乏しく、一方 1.5%
を超えると磁気特性の劣化を招くので、 0.1〜1.5 %程
度が好ましい。 Al:2.0 %以下 Alは、鉄損と磁束密度を同時に改善するのに有効な元素
であるが、 2.0%を超えると冷延性の劣化を招くので、
2.0 %以下程度とするのが好ましい。なお、PやSは、
必要に応じて以下の範囲に制限することが望ましい。 P:0.005 〜0.15% Pは、打抜性の改善に有効であるが、 0.005%に満たな
いとその効果に乏しく、一方0.15%を超えると冷延性が
低下するので、 0.005〜0.15%程度とするのが好まし
い。 S:0.01%以下 Sは、鉄損特性の面からは少ないほど好ましいので、0.
01%以下に抑制することが望ましい。その他、Sb, Sn,
Cu及びNiなどを添加することもできる。
【0027】次に、この発明において使用する絶縁被膜
としては、有機樹脂被膜、クロム酸塩系及び/又はりん
酸塩系と有機樹脂との混合被膜あるいはクロム酸塩系及
び/又はりん酸塩系被膜上に有機樹脂被膜を被成した2
層被膜などを用いることができる。
【0028】ここに被膜が、有機樹脂被膜単独であれ
ば、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、
エポキシ樹脂、エチレン樹脂、メラミン樹脂、シリコー
ン樹脂及びアミノ樹脂、あるいはそれらの変性物のうち
から選んだ1種又は2種以上が有利に適合する。
【0029】また、クロム酸塩系及びりん酸塩系の1種
又は2種と有機樹脂との混合被膜を用いることもでき
る。ここでクロム酸塩系とは、カルシウム、マグネシウ
ム及び亜鉛の重クロム酸塩又は無水クロム酸にカルシウ
ム、マグネシウム及び亜鉛などの2価の酸化物、水酸化
物、炭酸塩を溶解したものの1種又は2種以上の混合
物、あるいはそれらにさらに酸化チタン、コロイド状シ
リカ、コロイド状アルミナ、ほう酸及び有機還元剤等の
1種又は2種以上を添加したものである。また、りん酸
塩系としては、カルシウム、マグネシウム、アルミニウ
ム及び亜鉛のりん酸塩又はりん酸にカルシウム、マグネ
シウム、アルミニウム及び亜鉛等の2価又は3価の酸化
物、水酸化物、炭酸塩を溶解したものの1種又は2種以
上の混合物、あるいはそれらにさらに酸化チタン、コロ
イド状シリカ、コロイド状アルミナ及びほう酸等を1種
又は2種以上添加したものである。
【0030】さらに混合する有機樹脂としては、水溶性
又はエマルジョンタイプのアクリル樹脂及びその共重合
物、酢酸ビニル樹脂及びその共重合物、ベオバ樹脂スチ
レン樹脂共重合物、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、フェ
ノール樹脂、無水マレイン酸共重合物、エポキシ樹脂又
はその変性物等の1種又は2種以上が有利に適合する。
さらに絶縁被膜は、2層構造とすることもできる。この
場合は上記したクロム酸塩系及びりん酸塩系の1種又は
2種の被膜を被成したのち、その上に重ねて有機樹脂被
膜を被成すれば良い。
【0031】ここに、かかる絶縁被膜の付着量は、ブラ
イト材については 0.2〜2.5 g/m2とすることが好まし
い。というのは、付着量が 0.2 g/m2 に満たないと十分
な打抜性が得られず、一方 2.5 g/m2 を超えると溶接性
が劣化するからである。またダル材については 0.5〜6.
0 g/m2とすることが好ましい。というのは、付着量が
0.5 g/m2 未満では所期したほど十分な打抜性が得られ
ず、一方 6.0g/m2を超えるとやはり溶接性の劣化を招く
からである。
【0032】なお、表面粗さを得る手法についは、上述
したように、Qスイッチ−YAGレーザーを用いてロー
ル表面に予め、圧延後の表面パターンがこの発明の範囲
となるような表面加工を施しておく方法や、スクリーン
印刷法を利用する方法が好適である。そして、鋼板表面
に所望の表面凹凸を形成するには、圧延ロールの表面凹
凸を次のように調整すれば良い。すなわち、ブライト材
については、3次元表面粗さが、中心面平均粗さSRa で
1.0 μm 以下、最大高さSRmax が 0.1〜3.0 μm でか
つ、各凸部につき、負荷曲線で深さ方向落差が最も大き
い点(切断断面積率が0%又は 100%の点を除く負荷曲
線の微分係数が最小である点)を中心として切断面面積
率がそれぞれ±10%異なる2点間における高さ方向の差
がSRmax の50%以上を満足し、しかも{(凸部平坦部面
積/単位面積)×100 }で表される凸部平坦部の割合が
30〜70%を満足する表面凹凸である。またダル材につい
ては、3次元表面粗さが、中心面平均粗さSRa で 0.5〜
5.0μm 、最大高さSRmax が2〜40μm でかつ、各凸部
につき、負荷曲線で深さ方向落差が最も大きい点(切断
断面積率が0%又は 100%の点を除く負荷曲線の微分係
数が最小である点)を中心として切断面面積率がそれぞ
れ±10%異なる2点間における高さ方向の差がSRmax
50%以上を満足し、しかも{(凸部平坦部面積/単位面
積)×100 }で表される凸部平坦部の割合が30〜70%を
満足する表面凹凸である。
【0033】なお、製造工程中、最終焼鈍時の炉内板張
力は、 0.1〜0.5 kg/mm2の範囲に制御するのが好まし
い。というのは、炉内板張力が0.5 kg/mm2を超えると、
凹部形成によっても残留応力を十分には緩和できず、一
方0.1 kg/mm2に満たないと生産の安定性の点で問題を生
じるからであり、特に望ましい範囲は 0.1〜0.3 kg/mm2
である。
【0034】
【実施例】
実施例1 C:0.012 %, Si:3.1 %, Mn:0.2 %及びAl:0.47%
を含有し、残部実質的にFeの組成になる鋼スラブを、11
70℃に加熱後、熱間圧延により板厚:2.0 mmの熱延板と
した。ついで、熱延板の冷間圧延工程において、その最
終パスを、表1に示すロール加工法によって表面粗さを
調整した圧延ロールを用い行い、鋼板表面に表1に示す
凹部形状になる凹凸を形成しつつ、板厚:0.5 mmの冷延
板とした。その後、温度:880 ℃、炉内張力:0.1 〜0.
5 kg/mm2で連続焼鈍を施した。その後、鋼板の表面に表
2に示す処理液を、被膜目付け量が表1のNo.1, 5, 6の
ときには 2.0 g/m2 となるように、またNo.2, 3, 4のと
きには 5.0 g/m2 となるように塗布し、ついで 380℃で
1分間焼付けた。かくして得られた電磁鋼板の磁気特性
について調べた結果を、表3に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】 〔処理液〕 ・30%重クロム酸マグネシウム溶液 : 130 重量部 (CrO3分) : 32.5 重量部 ・アクリル樹脂エマルジョン (樹脂固形分:40%) : 25 重量部 ・エチレングリコール : 10 重量部 ・ほう酸 : 10 重量部
【0037】
【表3】
【0038】同表より明らかなように、この発明に従い
得られた鋼板はいずれも、優れた磁気特性を有してい
た。
【0039】実施例2 実施例1と同様にして得られた熱延板を、Qスイッチ・
YAGレーザーで表面加工した圧延ロールを用い、鋼板
表面に、SRa :0.3 μm 、SRmax :1.5 μm 、ΔH/SR
max (×100)≧50%で、かつ凹部平坦部面積の割合がそ
れぞれ10, 30,40, 60, 70, 90%となる溝状凹部をそな
える厚み:0.5 mmの冷延板とした。その後、温度:900
℃、炉内張力:0.3 kg/mm2で最終焼鈍を施した。
【0040】かくして得られた、電磁鋼板の磁気特性に
ついて調べた結果を、単位面積当たりの凹部平坦部面積
との関係で図6に示す。同図より明らかなように、凹部
平坦部面積の割合が30〜70%の場合には、C方向の磁性
劣化は小さく、従ってC方向磁性及び(L+C)方向磁
性とも優れた磁気特性が得られている。
【0041】
【発明の効果】かくしてこの発明によれば、磁気特性に
優れた無方向性電磁鋼板を安定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】負荷曲線の説明図である。
【図2】この発明に従う好適凹部を示す模式図である。
【図3】表面凹凸を切断面面積率と凸部高さとの関係で
示したグラフである。
【図4】炉内張力及び単位面性当たりの凹部平坦部面積
が、C方向の磁気特性に及ぼす影響を示したグラフであ
る。
【図5】従来法に従う凹部を示す模式図である。
【図6】単位面積当たりの凹部平坦部面積と磁気特性と
の関係を示したグラフである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板表面の3次元表面粗さが、中心面平
    均粗さSRa で 0.5μm 以下、最大高さSRmax が 0.1〜2.
    0 μm でかつ、各凹部につき、負荷曲線で深さ方向落差
    が最も大きい点(切断断面積率が0%又は 100%の点を
    除く負荷曲線の微分係数が最小である点)を中心として
    切断面面積率がそれぞれ±10%異なる2点間における高
    さ方向の差がSRmax の50%以上を満足し、しかも{(凹
    部平坦部面積/単位面積)×100 }で表される凹部平坦
    部の割合が30〜70%であることを特徴とする磁気特性に
    優れた無方向性電磁鋼板。
  2. 【請求項2】 請求項1において、鋼板表面に、付着量
    が 0.2〜2.5 g/m2の絶縁被膜をそなえてなる磁気特性に
    優れた電磁鋼板。
  3. 【請求項3】 鋼板表面の3次元表面粗さが、中心面平
    均粗さSRa で 0.5〜3.0 μm 、最大高さSRmax が2〜30
    μm でかつ、各凹部につき、負荷曲線で深さ方向落差が
    最も大きい点(切断断面積率が0%又は 100%の点を除
    く負荷曲線の微分係数が最小である点)を中心として切
    断面面積率がそれぞれ±10%異なる2点間における高さ
    方向の差がSRmax の50%以上を満足し、しかも{(凹部
    平坦部面積/単位面積)×100 }で表される凹部平坦部
    の割合が30〜70%であることを特徴とする磁気特性に優
    れた無方向性電磁鋼板。
  4. 【請求項4】 請求項3において、鋼板表面に、付着量
    が 0.5〜6.0 g/m2の絶縁被膜をそなえてなる磁気特性に
    優れた電磁鋼板。
JP5127047A 1993-05-28 1993-05-28 磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板 Pending JPH06336660A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5127047A JPH06336660A (ja) 1993-05-28 1993-05-28 磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5127047A JPH06336660A (ja) 1993-05-28 1993-05-28 磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06336660A true JPH06336660A (ja) 1994-12-06

Family

ID=14950298

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5127047A Pending JPH06336660A (ja) 1993-05-28 1993-05-28 磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06336660A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011233731A (ja) * 2010-04-28 2011-11-17 Nissan Motor Co Ltd 無方向性電磁鋼板、無方向性電磁鋼板の積層体、及びこの積層体からなる電動モータのステータコア
CN108022744A (zh) * 2016-10-28 2018-05-11 宝山钢铁股份有限公司 一种变压器铁心工艺系数的控制模型
CN111902555A (zh) * 2018-03-22 2020-11-06 日本制铁株式会社 方向性电磁钢板及方向性电磁钢板的制造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011233731A (ja) * 2010-04-28 2011-11-17 Nissan Motor Co Ltd 無方向性電磁鋼板、無方向性電磁鋼板の積層体、及びこの積層体からなる電動モータのステータコア
CN108022744A (zh) * 2016-10-28 2018-05-11 宝山钢铁股份有限公司 一种变压器铁心工艺系数的控制模型
CN108022744B (zh) * 2016-10-28 2019-11-22 宝山钢铁股份有限公司 一种变压器铁心工艺系数的控制模型
CN111902555A (zh) * 2018-03-22 2020-11-06 日本制铁株式会社 方向性电磁钢板及方向性电磁钢板的制造方法
EP3770290A4 (en) * 2018-03-22 2021-09-01 Nippon Steel Corporation GRAIN ORIENTED ELECTRIC STEEL SHEET AND METHOD FOR MANUFACTURING GRAIN ORIENTED ELECTRIC STEEL SHEET

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102010166B1 (ko) 방향성 전자기 강판
EP0837148B1 (en) Grain-oriented electromagnetic steel sheet
EP3396022B1 (en) Grain-oriented electrical steel sheet and method for manufacturing grain-oriented electrical steel sheet
WO2018177007A1 (zh) 一种耐消除应力退火的激光刻痕取向硅钢及其制造方法。
US11326219B2 (en) Grain-oriented electromagnetic steel sheet and method for producing grain-oriented electromagnetic steel sheet
KR20000075590A (ko) 초저철손 일방향성 규소강판 및 그의 제조방법
JP7052864B2 (ja) 方向性電磁鋼板及び方向性電磁鋼板の製造方法
JPWO2020203928A1 (ja) 方向性電磁鋼板およびその製造方法
JP2018154881A (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法
JPH06336660A (ja) 磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板
JP3280279B2 (ja) 超低鉄損方向性電磁鋼板
JP3419024B2 (ja) 搬送性及び高速溶接性に優れる無方向性電磁鋼板
CN113166875B (zh) 电工钢板及其制造方法
JP3419025B2 (ja) 端面溶接性及び打抜性に優れる積層鉄心用電磁鋼板
JPH0770717A (ja) 端面溶接性及び低磁場特性に優れる積層鉄心用電磁鋼板
JPH06330231A (ja) 接着型積層鉄心用電磁鋼板
JP3419016B2 (ja) 端面溶接性に優れる積層鉄心用電磁鋼板
JP3419026B2 (ja) 搬送性及び端面溶接性に優れる無方向性電磁鋼板
JPH06330258A (ja) 端面溶接性及び打抜性に優れる積層鉄心用電磁鋼板
JP3068329B2 (ja) 打抜性及び溶接性の優れた積層鉄心用電磁鋼板の製造方法
WO2024111642A1 (ja) 方向性電磁鋼板及びその製造方法
WO2024111641A1 (ja) 方向性電磁鋼板及びその製造方法
JP2510243B2 (ja) 磁気特性および溶接性に優れた無方向性電磁鋼板の製造方法
JPH09125146A (ja) 打抜性および溶接性に優れた積層鉄心用電磁鋼板の製造方法
JPH02107784A (ja) 打抜き性が極めて優れた金属光沢を有する方向性電磁鋼板の製造方法