JP3419024B2 - 搬送性及び高速溶接性に優れる無方向性電磁鋼板 - Google Patents

搬送性及び高速溶接性に優れる無方向性電磁鋼板

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JP3419024B2 JP12414493A JP12414493A JP3419024B2 JP 3419024 B2 JP3419024 B2 JP 3419024B2 JP 12414493 A JP12414493 A JP 12414493A JP 12414493 A JP12414493 A JP 12414493A JP 3419024 B2 JP3419024 B2 JP 3419024B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、表面に精緻な凹凸パ
ターンを有する無方向性電磁鋼板に関し、特にその搬送
性及び高速溶接性の改善を図ったものである。
【0002】
【従来の技術】モーター、トランス等に使用される電磁
鋼板は、磁気特性に優れるだけでなく、量産性の観点か
ら良好な打抜性も要求され、この要請を満たすために一
般に有機樹脂を含む絶縁被膜が被成される。しかしなが
ら、この被膜は、溶接時に有機樹脂から発生する多量の
ガスに起因してブローホールを発生するなど溶接性の点
に問題を残していた。この点を解消するものとして、鋼
板表面に20 Hr.m.s.μinch以上の表面粗さを付与したの
ち有機質又は半有機質被膜を被成する方法(特公昭49−
6744号公報)や、有機質又は半有機質被膜自体に粗さを
与え、溶接時に発生するガスを逸散させることによりブ
ローホールの発生を防止する方法(特公昭49-19078号公
報) 等が提案されている。
【0003】また特開昭54−134043号公報においては、
表面粗さを中心線平均粗さRaで0.35〜0.6 μm とした鋼
板上に被膜厚み1〜2.5 g/m2の有機質被膜を被成する方
法が提案された。しかしながらこの方法では、溶接箇所
によってはブローホールの発生が見られ、必ずしも良好
な溶接性が安定して得られるとは限らなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したとおり、これ
まではブローホールの発生を完全に防止することが難し
く、その改善が望まれていた。また、無方向性電磁鋼板
のユーザー、例えばモーターの製造工場においては、近
年自動化が進み、鋼板を真空パッドで吸着して搬送する
ことが多くなってきたが、その際、鋼板と真空パッドと
の間の密着性が悪いために、搬送の際、鋼板が落下する
という問題が生じた。特に端面溶接性の向上を目的とし
て、特公昭49−6744号公報や特公昭49-19078号公報に開
示のように表面粗さを粗くした鋼板においては、真空パ
ッドの吸着性が劣化することから、この搬送性が特に問
題となる。
【0005】この発明は、上記の問題を有利に解決する
もので、従来、相反する性質と考えられてきた搬送性と
溶接性とくに高速溶接性の両者を併せて改善した無方向
性電磁鋼板を提案することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】さて発明者らは、上記の
問題を解決すべく、各種の調査及び検討を行なった結
果、電磁鋼板の端面溶接性及び搬送性はいずれも、鋼板
表面の凹凸のパターンと強い相関があり、この凹凸パタ
ーンを適正に制御することによって、有利に改善される
ことの知見を得た。この発明は、上記の知見に立脚する
ものである。
【0007】すなわちこの発明は、圧延ロールによって
表面凹凸を調整した電磁鋼板であって、鋼板表面の3次
元表面粗さが、中心面平均粗さSRa で 0.5〜3.0 μm 、
最大高さSRmax が2〜30μm でかつ、各凹部につき、負
荷曲線で深さ方向落差が最も大きい点P(切断面積率
が0%又は 100%の点を除く負荷曲線の微分係数が最小
である点)より切断面面積率が5%小さい点Sにおける
凸部高さZS とSRmaxとの差(SRmax −ZS )が0.10μm
以下を満足し、さらに点Pにおける切断面面積率が65
〜85%を満足することを特徴とする搬送性及び高速溶接
性に優れる無方向性電磁鋼板である。
【0008】この発明において、鋼板表面に被覆する絶
縁被膜の目付量は 0.5〜6.0 g/m2とするのが好ましい。
【0009】ここに中心面平均粗さSRa とは、粗さ曲面
からその中心面上に面積SM を抜き取り、この抜き取り
部分の中心面上に直交座標軸、X軸、Y軸をおき、中心
面に直交する軸をZ軸として粗さ曲面をZ=f(X,
Y)で表したとき、次の数式
【数1】 で与えられる値のことである(単位μm )。
【0010】また負荷曲線とは、図1に示されれるよう
な曲線を意味する。すなわち単位面積における最大高さ
SRmax を縦軸の最大点として、任意の切断高さz(μm
)を縦軸とする。一方、横軸は、単位面積に対する各
切断レベルにおける切り口面積の 100分率(切断面面積
率)とする。かかる座標において、切断高さzを、最大
高さSRmax から次第に低減したときの切断高さと切断面
面積率との関係を示したのが負荷曲線である。従って、
たとえば切断面面積率が10%のときの凸部の高さとは図
中にxで示される値である。なお、ここで言う凹部と
は、いわゆる穴であっても、または溝であってもいずれ
でもかまわない。
【0011】以下、この発明を具体的に説明する。さて
発明者らは、以前に、各種の表面粗さを有する有機樹脂
含有絶縁被膜付き鋼板を用い、真空パッドによる搬送性
について調査した。その結果を図2に示す。同図より明
らかなように、中心線平均粗さRaが大きいほど真空パッ
ドによる搬送時の鋼板落下枚数は多くなる傾向にあり、
特に溶接性に必要とされるRa≧0.5μm では搬送性は著
しく劣化する。しかしながら、Ra≧0.5 μm においても
搬送性にはばらつきがあり、必ずしも2次元表面粗さで
は搬送性を正確に評価できないことが明らかとなった。
【0012】そこで、新たに3次元表面粗さによる評価
に想到し、改めて3次元粗さ測定器で中心面平均粗さSR
a を測定して再調査したところ、やはりSRa のみで一義
的に搬送性を評価することはできず、同一SRa であって
も、負荷曲線で深さ方向落差が最も大きい点P(切断
面積率が0%又は 100%の点を除く負荷曲線の微分係数
が最小である点)における切断面面積率の如何で搬送性
は大きく変動し、点Pにおける切断面面積率が大きくな
るほど搬送性は向上する傾向が認められた。
【0013】ここに、負荷曲線で深さ方向落差が最も大
きい点P、すなわち負荷曲線の微分係数が最も小さい点
Pとは、図3に記号Pで示すような点であり、この点か
ら切断面面積率がそれぞれ±10%異なる点Q及びRの点
の高さの差をΔHとすると、このΔHが大きい程凹部底
面と凹部の肩が接する角度が直角に近くなり、逆にΔH
が小さい程鈍角となり、なだらかであることを示してい
る。なお、微分係数が最小の点を求める際に、切断面面
積率が0%及び 100%の点を除いた理由は、これらの点
では、高い山あるいは深い谷が少しでもあるとその影響
を受け易く、微分係数は直ちに−∞となるからである。
【0014】そこで発明者らは、上記の事実に鑑み、鋼
板の表面粗さと搬送性との関係についてさらに詳細に調
査を行った結果、搬送性は、鋼板表面の凹凸形状に強い
影響を受けることが判明した。従来から、スキンパス圧
延用ロールの表面をダル仕上げする方法としては、ショ
ットブラスト法があるが、このショットブラスト法では
表面の凹凸形状までは制御できない。そこで後述するQ
スイッチ−YAGレーザー法によって、ロールの表面凹
凸を種々に変化させ、表面凹凸と搬送性との関係につい
て調査した。
【0015】得られた結果を整理して図4に示す。同図
において、横軸は、負荷曲線で深さ方向落差が最も大き
い点Pより切断面面積率が5%小さい点S(図4参照)
における凸部高さZS と最大高さSRmax との差(SRmax
−ZS )であり、この発明において凸部上面の平坦性に
関する指標として採用したものである。また縦軸は、点
Pにおける切断面面積率である。なおこの時のSRa は
1.5〜1.8 μm であった。同図より明らかなように、点
Pにおける切断面面積率が65%に満たなかったり、(SR
max −ZS )が0.10μm を超えると搬送性の劣化を生じ
た。
【0016】このように、搬送性は、鋼板表面の凹凸形
状に大きく左右され、図5に示すように、同一のSRa な
らば、凸部上面ができるだけ平坦でかつ広いほど真空パ
ッドと鋼板と吸着性は向上し、従って、たとえSRa が大
きくても、凸部上面が平坦でかつ広ければ、良好な搬送
性が得られることが判明した。
【0017】そこで、次に、かかる凹凸の具体的な好適
形状について検討した結果、3次元表面粗さが、中心面
平均粗さSRa で 0.5〜3.0 μm 、最大高さSRmax が2〜
30μm でかつ、負荷曲線で深さ方向落差が最も大きい点
Pより切断面面積率が5%小さい点Sにおける凸部高さ
S とSRmax との差(SRmax −ZS )が0.10μm 以下を
満足し、さらに点Pにおける切断面面積率が65〜85%を
満足する場合に、良好な搬送性と溶接性の両者が併せて
得られることが究明されたのである。
【0018】さてこの発明において、凹凸形状を上記の
ように限定した理由について説明する。まず SRaについ
ては、この値が 0.5μm より小さいと高速溶接性に劣
り、一方3.0 μm を超えると占積率が大幅に低下するの
で、SRa は 0.5〜3.0 μm の範囲に限定した。次に、SR
max が2μm に満たないと、絶縁被膜処理を施した時に
膜厚の条件付近で凹部が埋まり、ガスの抜け道が十分に
確保されないので高速溶接性が低下し、一方30μm を超
えると占積率の低下を招くので、SRmax は2〜30μm の
範囲に限定した。
【0019】さらに、負荷曲線で深さ方向落差が最も大
きい点すなわち負荷曲線の微分係数が最小である点Pよ
りも切断面面積率が5%小さい点Sにおける凸部高さと
SRma x との差(SRmax −ZS )を 0.1μm 以下に限定し
たのは、前掲図4に示したとおり、(SRmax −ZS )が
0.1μm を超えると凸部上面の平坦性が悪化することか
ら、真空パッド吸着時の密着性ひいては搬送性が劣化す
るからである。またさらに、点Pにおける切断面面積率
を65〜85%の範囲に限定したのは、前掲図4に示したと
おり、この面積率が65%に満たないと搬送性が劣化し、
一方85%を超えると絶縁被膜を被成した場合に凹部が埋
まって、高速溶接ができなくなるからである。
【0020】次に、この発明鋼板の製造方法について説
明する。鋼板表面に適正な凹凸パターンを形成するに
は、圧延ロールの表面に、所望の鋼板表面凹凸に見合う
凹凸パターンを形成し、その転写を利用するのが有利で
ある。
【0021】従来から、スキンパス圧延用ロールの表面
をダル仕上げするための方法としては、ショットブラス
トによる方法や放電加工による方法、さらには特開昭62
−224405号公報に開示のようなレーザー加工による方
法、特開平2-99208号公報に開示のようなスクリーン印
刷とエッチング又はスクリーン印刷とめっきとを組合せ
た方法などがある。しかしながら、ショットブラスト法
や放電加工法によってダル仕上げされた圧延用ロール
は、表面に形成された粗度パターンが不規則であるた
め、かかるロールを用いて圧延した場合には、鋼板表面
の粗度パターンも不規則となる。しかも任意の凹凸パタ
ーンを形成することは不可能である。
【0022】一方、レーザー加工による場合は、規則的
な粗度パターンは得ることができるけれども、図6 に示
すように、レーザー照射によりレーザー中心から離れた
部位が同心円状に盛り上がり、これにより微細なパター
ンを得ることができないし、凹部形状を任意に選択する
ことも難しい。またロールに直接レーザービームを用い
て穿孔するため、圧延ロールのように広い面積を持つ被
加工物を能率よく加工するためには、レーザー発振器は
しては1kW以上の高出力が要求され、必然的に炭酸ガス
レーザーとならざるを得ず、加工装置が大型化し、費用
・保守の面での負担が大きい。さらに、レーザービーム
によって金属が溶融されて形成された凹凸パターンは、
その凹凸部の組織がオーステナイトとなるので、このよ
うなロールは耐摩耗性に劣る。しかも、凹凸パターンの
凹部の直径は、集光レンズで収束したレーザービームの
直径により決まるが、この直径は炭酸ガスレーザー光の
波長が長い(10.6μm )ため、物理的に約100 μm 以下
にすることがでない不利もある。
【0023】他方、スクリーン印刷法を用いる方法は、
特開平2-99207号公報に見られるように、微細模様をス
クリーン印刷により圧延ロールの表面に印刷し、その
後、エッチング又はめっきを行って微細模様をロール表
面に形成し、該圧延ロールにより鋼板表面に微細模様を
転写することからなる方法であるが、この方法では、シ
ョットブラスト法のようにグリッド粒子を機械的にロー
ル表面に叩きつけてダル目付け加工を行った場合のよう
なうねりがロール表面に発生せず、また放電加工やレー
ザーによる加工法のように高エネルギーを加工部に集中
させることもないので、ロール表面の硬さが劣化せず均
一で、ロールから鋼板への微細模様の転写が可能であ
る。
【0024】また、特公昭62-11922号公報には、耐酸腐
食性物質で表面を覆い、これをレーザー光で局所的に破
壊し、覆われていない部分を化学的に腐食する方法が開
示されている。さらに、特開平2−175882号公報には、
この技術を能率よく精密に容易に実施できるように改善
した方法及び装置を用い、次の工程から成る、整列され
た又は任意配列の凹凸を有するロールを加工する方法が
開示されている。すなわち、(1) 圧延ロール表面に光吸
収材を混入した耐酸腐食樹脂液を塗布して耐酸腐食性樹
脂膜を形成したのち、(2) この樹脂膜を連続的に平均で
5〜10Wの出力を有するQスイッチ・YAGレーザーを
用いてマーキング加工し、所要の模様に該ロール表面を
露出させ、(3) しかる後、エッチング処理を施してロー
ル表面に所望の模様を付与する方法である。
【0025】上掲した各種凹凸パターン形成方法のう
ち、スクリーン印刷法あるいは耐酸腐食性樹脂膜とQス
イッチ・YAGレーザーとを組み合わせた方法は、上述
したとおり、規則的に微細な凹凸模様を形成することが
できるので、これらの方法を用いることによって、この
発明の要件を満足する任意の凹部形状を得ることができ
る。
【0026】
【作用】この発明を適用して好適な電磁鋼板の成分組成
は次のとおりである。 C:0.01wt%(以下単に%で示す)以下 Cは、磁気特性の面からは有害な元素であり、極力低減
することが望ましいので、0.01%以下程度とするのが好
ましい。 Si:3.5 %以下 Siは、固有抵抗を高めることによって鉄損を低減する有
用元素であるが、 3.5%を超えると冷延性が阻害される
ので、 3.5%以下程度が好ましい。 Mn:0.1 〜1.5 % Mnは、熱間脆性を抑制するために添加されるものである
が、 0.1%未満ではその添加効果に乏しく、一方 1.5%
を超えると磁気特性の劣化を招くので、 0.1〜1.5 %程
度が好ましい。 Al:2.0 %以下 Alは、鉄損と磁束密度を同時に改善するのに有効な元素
であるが、 2.0%を超えると冷延性の劣化を招くので、
2.0 %以下程度とするのが好ましい。なお、PやSは、
必要に応じて以下の範囲に制限することが望ましい。 P:0.005 〜0.2 % Pは、打抜性の改善に有効であるが、 0.005%に満たな
いとその効果に乏しく、一方 0.2%を超えると冷延性が
低下するので、 0.005〜0.2 %程度とするのが好まし
い。 S:0.01%以下 Sは、鉄損特性の面からは少ないほど好ましいので、0.
01%以下に抑制することが望ましい。その他、Sb, Sn,
Cu及びNiなどを添加することもできる。
【0027】次に、この発明において使用する絶縁被膜
としては、有機樹脂被膜、クロム酸塩系及び/又はりん
酸塩系と有機樹脂との混合被膜あるいはクロム酸塩系及
び/又はりん酸塩系被膜上に有機樹脂被膜を被成した2
層被膜などを用いることができる。
【0028】ここに被膜が、有機樹脂被膜単独であれ
ば、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、
エポキシ樹脂、エチレン樹脂、メラミン樹脂、シリコー
ン樹脂及びアミノ樹脂、あるいはそれらの変性物のうち
から選んだ1種又は2種以上が有利に適合する。
【0029】また、クロム酸塩系及びりん酸塩系の1種
又は2種と有機樹脂との混合被膜を用いることもでき
る。ここでクロム酸塩系とは、カルシウム、マグネシウ
ム及び亜鉛の重クロム酸塩又は無水クロム酸にカルシウ
ム、マグネシウム及び亜鉛などの2価の酸化物、水酸化
物、炭酸塩を溶解したものの1種又は2種以上の混合
物、あるいはそれらにさらに酸化チタン、コロイド状シ
リカ、コロイド状アルミナ、ほう酸及び有機還元剤等の
1種又は2種以上を添加したものである。また、りん酸
塩系としては、カルシウム、マグネシウム、アルミニウ
ム及び亜鉛のりん酸塩又はりん酸にカルシウム、マグネ
シウム、アルミニウム及び亜鉛等の2価又は3価の酸化
物、水酸化物、炭酸塩を溶解したものの1種又は2種以
上の混合物、あるいはそれらにさらに酸化チタン、コロ
イド状シリカ、コロイド状アルミナ及びほう酸等を1種
又は2種以上添加したものである。
【0030】さらに混合する有機樹脂としては、水溶性
又はエマルジョンタイプのアクリル樹脂及びその共重合
物、酢酸ビニル樹脂及びその共重合物、ベオバ樹脂スチ
レン樹脂共重合物、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、フェ
ノール樹脂、無水マレイン酸共重合物、エポキシ樹脂又
はその変性物等の1種又は2種以上が有利に適合する。
さらに絶縁被膜は、2層構造とすることもできる。この
場合は上記したクロム酸塩系及びりん酸塩系の1種又は
2種の被膜を被成したのち、その上に重ねて有機樹脂被
膜を被成すれば良い。
【0031】ここに、かかる絶縁被膜の付着量は 0.5〜
6.0 g/m2とすることが好ましい。というのは、付着量が
0.5 g/m2 に満たないと十分な絶縁性が得られず、一方
6.0 g/m2を超えると溶接性が劣化するからである。
【0032】なお、表面粗さを得る手法についは、上述
したように、Qスイッチ−YAGレーザーを用いてロー
ル表面に予め、圧延後の表面パターンがこの発明の範囲
となるような表面加工を施しておく方法や、スクリーン
印刷法を利用する方法が好適であるが、これらの方法に
特に限定されることはなく、以下のような方法も使用可
能である。すなわち、鋼板表面を研磨やエッチングによ
り、所定の表面パターンになるように処理する方法、あ
るいは圧延速度の変更又は圧延時に使用する圧延油の変
更により、所定の表面パターンになるよう処理する方法
等である。
【0033】
【実施例】
実施例1 C:0.0030%, Si:0.12%, Mn:0.25%, P:0.08%及
びAl:0.25%を含有し、残部実質的にFeの組成になる熱
延鋼板を、板厚:0.5 mmまで冷間圧延した後、800 ℃で
20秒間焼鈍した。ついで、表1に示す種々のロール加工
法によって表面粗さを調整した圧延ロールを用い、鋼板
表面に表1に示す形状になる表面凹凸を形成した。その
後、得られた電磁鋼板の表面に、表2に示す処理液1〜
4を所定量塗布したのち、 300℃で2分間焼付けた。か
くして得られた、絶縁被膜付き電磁鋼板の溶接性及び搬
送性について調べた結果を、表1に併記する。
【0034】なお溶接性は、電極:Th−w,加圧力:10
0 kg/cm2,電極−材料間距離:1.5mm,Arガス量:6 l/
min,電流:120 Aの条件下に、150 cm/minの速度で高
速溶接した時の、ビード途切れの有無で評価した。また
搬送性は、3cm×28cmに打ち抜いた鋼板:10000 枚を真
空パッドで搬送した時、途中で落下した鋼板の枚数で評
価した。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】表1より明らかなように、この発明に従い
得られた鋼板はいずれも、優れ溶接性だけでなく、良好
な搬送性も併せて具備していた。
【0038】
【発明の効果】かくしてこの発明によれば、従来、両立
が困難とされた搬送性と溶接性それも高速溶接性とを兼
ね備える無方向性電磁鋼板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】負荷曲線の説明図である。
【図2】Raと搬送性との関係を示したグラフである。
【図3】表面凹凸を切断面面積率と凸部高さとの関係で
示したグラフである。
【図4】(SRmax −ZS )及び点Pにおける切断面面積
率が搬送性に及ぼす影響を示したグラフである。
【図5】この発明に従う凹部の好適断面形状を、比較例
と共に示した図である。
【図6】従来法に従う凹部を示す模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−346673(JP,A) 特開 平1−309304(JP,A) 特開 平1−230209(JP,A) 特開 平2−217446(JP,A) 特開 平2−217447(JP,A) 特開 昭54−83618(JP,A) 特開 昭54−134043(JP,A) 特公 昭49−19078(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 303 H01F 1/16 H01F 1/18 C21D 8/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧延ロールによって表面凹凸を調整した
    電磁鋼板であって、鋼板表面の3次元表面粗さが、中心
    面平均粗さSRa で 0.5〜3.0 μm 、最大高さSRmax が2
    〜30μm でかつ、各凹部につき、負荷曲線で深さ方向落
    差が最も大きい点P(切断面積率が0%又は 100%の
    点を除く負荷曲線の微分係数が最小である点)より切断
    面面積率が5%小さい点Sにおける凸部高さZS とSR
    max との差(SRmax −ZS )が0.10μm 以下を満足し、
    さらに点Pにおける切断面面積率が65〜85%を満足する
    ことを特徴とする搬送性及び高速溶接性に優れる無方向
    性電磁鋼板。
  2. 【請求項2】 請求項1において、鋼板表面に、付着量
    が 0.5〜6.0 g/m2の絶縁被膜をそなえてなる搬送性及び
    高速溶接性に優れる電磁鋼板。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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