JP2005120405A - 積層型鉄心用の方向性電磁鋼板 - Google Patents

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Abstract

【課題】 変圧器に組み上げても、実機特性の劣化がない、積層型鉄心用の方向性電磁鋼板を提供する。
【解決手段】 方向性電磁鋼板の表面に被覆する張力被膜について、圧延直角方向における被膜断面積を、鋼板圧延方向にわたって反復して変化させることにより、該被膜により鋼板に付加される圧延直角方向の引張応力を、圧延方向のそれよりも大きくする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、変圧器や発電器の鉄心等に利用される方向性電磁鋼板、中でも積層型鉄心用としての用途に供して好適な実機特性に優れた方向性電磁鋼板に関するものである。
Siを含有し、かつ結晶方位が{110}<001>方位に配向した方向性電磁鋼板は、優れた軟磁気特性を有することから、商用周波数領域での各種鉄心材料として広く用いられている。かかる用途において、電磁鋼板に要求される特性としては、一般に50Hzの周波数で1.7 Tに磁化させた時の損失であるW17/50 (W/kg)で表される鉄損が低いことが特に重要である。
また、結晶方位の優劣を示す磁束密度が高いことが、変圧器の励磁電流を少なくするために必要とされ、この磁束密度は一般に 800 A/mの磁化力における磁束密度B8(T) で表される。そして、磁束密度の高い方向性電磁鋼板は、ヒステリシス損失が低い場合が多く、鉄損特性上も優れていることが多い。
しかしながら、磁束密度の高い優れた方向性電磁鋼板を用いて、積層鉄心型の変圧器を製造しても、素材である方向性電磁鋼板の良好な材料特性が反映されず、変圧器の実機特性に活かせない場合が多い。
変圧器の鉄損値を同一条件で測定した材料の鉄損値で除した値は、BF(Building Factor)値と呼ばれ、変圧器の実機特性はこのBF値で評価される。巻鉄心型の変圧器では、このBF値は約1.0 であり、材料特性をほぼ反映できるのに対し、積層型の変圧器ではBF値は約1.2 程度と悪い。
積層型の変圧器でBF値が大きくなるのは、鋼板同士を付き合わせるコーナー部や、3脚や5脚を有する変圧器のT接合部等における磁束の流れに原因があると言われている。一般に、直角接合部は、鋼板同士を45°で接合すると効率が良くなることが知られているが、この45°接合部では、磁束の流れが長手方向(圧延方向)とは平行にならず、幅方向成分を持つようになることから、変圧器の実機特性(BF値)を劣化させるものと考えられる。
T接合部の場合も、接合部の特性向上のために、先端をV型に剪断して磁束が両側に向くように45°接合部を持たせている。このT接合部での磁束の流れについても、同様に、直角に磁束が曲げられる場合には幅方向成分の発生が問題となる。加えてT接合部の場合には、脚部に磁束が流れ込まずにヨーク部にのみ磁束が流れる励磁条件下で特性の劣化が助長される。すなわち、脚部には、磁束の流れと直角方向に方向性電磁鋼板が配置されるため、T接合部では、ヨーク部での磁束の流れが一部脚側に流れ込んでしまうのが原因である。
方向性電磁鋼板の磁束密度が向上すればするほど、脚部への磁束の流れ込み量は多くなり、変圧器の実機特性の向上には不利となる。
また、幅方向の磁束の流れや脚部への磁束の流れ込みは、還流磁区を発生させ、磁歪を増加させることから、騒音の増大も引き起こす。
上記の問題を解決する方法として、積層鉄心型変圧器の脚部のみを磁束密度の低い材料に変えて組み込む方法が提案されているが、この方法では、材料管理が煩雑となるだけでなく、材料特性そのものが低くなるため、BF値は低下するものの、変圧器の特性自体は大きく劣化するという問題があった。
また、特許文献1には、鋼板へ点状歪を離散させて導入することにより、BF値を低減する技術が開示されている。しかしながら、この方法では、得られる効果が小さく、変圧器全体の鉄損値低減については満足な結果が得られていない。
さらに、特許文献2や特許文献3には、鋼板表面に線状あるいは2次元的な歪領域を導入する技術が開示されているが、この技術では、磁束の流れに対して平行でない線状歪は部分的な板厚減少を伴うため、歪導入部で局所的な磁束密度の上昇が起こる。そのため、歪導入の効果を上げようとすると、かえって実機特性の劣化や騒音の増大を招くという問題があった。
ところで、鋼板に張力を付加することが鉄損の低減に有効であることが知られている。かような鋼板への張力の付与方法として、工業的には、鋼板より熱膨張係数の小さい材質からなる被膜を設けることが現在行われている。
すなわち、最終的に結晶方位を揃える2次再結晶と鋼板の純化を兼ねる最終仕上焼鈍工程で、鋼板表面の酸化物(シリカを主体とする)と鋼板表面に塗布した焼鈍分離剤(マグネシアを主成分とする)とが反応してフォルステライト(Mg2SiO4) を主成分とする被膜が形成されるが、この被膜は鋼板に与える張力が大きく、鉄損の低減に効果がある。
さらに、張力効果を増すために、フォルステライト質被膜の上に、上塗り被膜として低熱膨張性のコーティング(張力付与型の絶縁コーティング)を被覆して、製品とすることが一般的である。
現在、フォルステライト被膜を有する方向性電磁鋼板に適用される張力付与型の絶縁コーティングとしては、Alやアルカリ土類金属のリン酸塩とコロイダルシリカおよび無水クロム酸またはクロム酸塩を主成分とした処理液を塗布し、焼付けすることによって形成されるものが多い。このコーティングによる張力付与の機構は、コロイダルシリカに代表される地鉄より熱膨張係数の小さい無機質を大量に含有する被膜を高温で焼付けることにより、地鉄と絶縁コーティングとの熱膨張差に起因して常温においては鋼板に張力が付与される現象を利用している。
この方法で形成される絶縁被膜は鋼板に対して張力付与効果が大きく、鉄損の低減に有効である。例えば、特許文献4や特許文献5等にその形成方法が示されている。
鋼板と被膜との熱膨張係数差を利用して鋼板に張力を付与する場合、その張力値(σ)は次式(1) で表されることが知られている。
σ=2Ec ・Ac (T−T0)(αm −αc )/Am --- (1)
ここで、Ec :被膜のヤング率
Ac ,Am :被膜、鋼板の断面積
T:被膜の被成温度(軟化温度)
0 :測定温度(室温)
αc 、αm :被膜、鋼板の熱膨張係数
式(1) に従えば、被膜のヤング率が高く、熱膨張係数が鋼板のそれと比較して低いほど、張力値は大きくなる。また、被膜の断面積を大きくしても張力効果を向上させることができる。
特公平6−63030号公報 特開平11−111516号公報 特開2000−294432号公報 特公昭53−28375号公報 特公昭56−52117号公報
本発明は、上述したような積層型変圧器が抱えている問題、すなわち鉄損特性の良好な磁束密度の高い方向性電磁鋼板を素材として変圧器を製造した場合に、実機において所望の良好な鉄損値が得られない、つまりBF値が増大するという問題、加えて騒音が大きいという問題を有利に解決することを目的としている。
さて、発明者らは、上記の問題を打破すべく鋭意研究を重ねた結果、圧延方向と直角な方向(圧延直角方向ともいう)の磁気特性を向上させるという着想を得た。すなわち、張力被膜自身に張力異方性を持たせ、圧延方向の張力付与効果を減じ、圧延直角方向の張力付与効果を増加させることで、磁気特性の幅方向成分の向上を試みた。
その結果、上記のように張力被膜自身に張力異方性を持たせ、圧延直角方向の付与張力を増大させることにより、積層型変圧器を組み上げた時の実機特性を効果的に改善できることの知見を得た。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成と次のとおりである。
1.方向性電磁鋼板の表面に被覆する張力被膜について、その鋼板圧延方向と直角な方向における被膜断面積を、鋼板圧延方向にわたって反復して変化させることにより、該被膜により鋼板に付加される圧延直角方向の引張応力を、圧延方向のそれよりも大きくしたことを特徴とする積層型鉄心用の方向性電磁鋼板。
2.前記張力被膜が、圧延方向に間隔をおいて、圧延直角方向に筋状に減厚もしくは除去されたフォルステライト被膜上に形成されたものである上記1記載の積層型鉄心用の方向性電磁鋼板。
本発明に従い、圧延方向に対し直角な方向の張力成分が圧延方向の張力成分よりも大きくなるように、張力付与型被膜の被膜断面積に異方性を持たせることにより、素材そのもの良好な磁気特性を活かして、実機特性に優れた積層型変圧器を得ることができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
3mass%Siを含有する最終板厚:0.23mmの方向性電磁鋼板の最終仕上焼鈍板のフォルステライト被膜に、圧延方向と直角な方向にレーザー照射により溝幅:5μm 、溝深さ:1μm の線状溝を、溝間隔:15μm で形成した。その後、コロイダルシリカとリン酸マグネシウムを主成分とする張力付与型の絶縁コーティングを、片面当たり:10.0 g/m2 で被成した。また、比較のため、上記のような線状溝の形成を行わずにそのまま絶縁コーティングを被成した標準材も作製した。
表1に、各素材の鉄損W17/50 値を比較して示す。
また、表1には、それぞれの素材を使用して3相ステップラップ型積層鉄心を作製し、この変圧器鉄損についても測定した。この変圧器は、素材鋼板を 144枚積層し、約 100kg、外径寸法は一辺:750 mmの正方形のモデル積鉄心変圧器で、ヨーク部は2分割Vノッチ、6段ステップラップとした。
Figure 2005120405
同表より明らかなように、圧延方向と直角に線状溝を設けた試料(No.1)は、かような線状溝のない標準材(No.2)と比較して、素材鉄損値は若干増加したものの、トランスに組み込んだ後の実機鉄損値はむしろ改善されていた。また、BF値も向上した。
なお、圧延方向と直角に線状溝を設けた場合に、素材特性が若干劣化したのは、圧延方向に張力を発生させるためのコーティングの有効断面積が溝の形成により幾分減少したため、RD方向(圧延方向)の磁気特性で評価されるW17/50 値が増加したためと考えられる。
一方、トランスの実機特性については、素材磁気特性のうちC方向(板幅方向)成分の向上が、コーナー部での磁束の流れを改善すると共に、T接合部での脚部への磁束の流れ込みを抑制することから、RD成分で代表される素材特性はやや劣化しても、トランス全体としての磁気特性は向上したものと考えられる。また、若干ではあるが、騒音特性も改善する傾向にあることが確認された。
上記したとおり、圧延方向と直角な方向に被膜に線状溝を形成した場合、素材磁気特性の改善に有効な圧延方向の付与張力は、その有効断面積の減少に伴い減少してしまう。
一方、圧延方向と直角な方向の素材磁気特性は評価できていないが、積層型トランスを組み上げ、実機特性が改善されたことから、圧延方向と直角な方向の被膜張力の増加による素材の磁気特性のC方向成分の改善が間接的に示されたと言える。
すなわち本発明の原理は、前掲式(1) において、被膜の断面積Ac を圧延方向と圧延直角方向とで変化させることにより、圧延直角方向の引張応力を圧延方向のそれよりも高めるところにあり、その手段として、それぞれの方向の被膜の有効断面積を変化させるものである。
ここで、被膜の有効断面積について詳しく述べる。
図1に、通常の被膜および本発明の被膜の断面を模式的に示す。図1(a) のように、厚みの一様な標準的な被膜では、その断面積はどの方向でも同じで平均的な厚みによって決定される。
これに対し、図1(b) に示すように、被膜の断面積に異方性がある被膜の場合、例えば圧延直角方向の被膜応力は、圧延直角方向の断面積が連続的にSCDであるから、式(1) でAc =SCDとして算出される値となる。他方、圧延方向の被膜応力については、圧延方向の厚みは大きく変動し厚い部分と薄い部分が混在しているが、応力に寄与する断面積は応力方向に投影したときの最小面積SRDであり、それより厚い箇所はいわば被膜応力には寄与しない無駄な部分と見なすことができる。
従って、実際の被膜有効断面積は、図2に示すように、その有効厚みを測定してやればよい。
圧延直角方向に線状溝を設けた被膜の場合、圧延直角方向張力の被膜有効厚みtCDは、コーティングの塗布量と密度から算出したり、断面SEM 観察などで直接計測することが可能である。
他方、圧延方向張力の被膜有効厚みtRDは、tCD−1/2 Ryで表せる。ここで、Ryは、表面粗さを表すJIS の最大高さRyのことであり、疵と見なされるような並外れて高い山および低い谷がない部分から基準長さだけ抜き取って測定した値である。張力付与型被膜の最表面に凹凸を設けて張力異方性を発生させた場合にはその表面を、また下地のフォルステライト被膜に線状溝等を設けてその形状を転写する形で異方性を持たせた場合には、張力付与型被膜のみを除去した後にレプリカであるフォルステライト被膜の形状を、それぞれ粗度計等で計測してやればよい。
圧延直角方向の被膜応力を決定する有効断面積SCDが、圧延方向の被膜応力を決定する有効断面積SRDよりも大きければ、式(1) に基づいて圧延直角方向の引張応力が圧延方向のそれよりも大きな張力付与型被膜を得ることができる。従って、例えば、図1中で標準材と発明材に等量の張力付与型コートを塗布、被成した場合、両者のSCDは同一であり、SRDだけが発明材で小さくなる。
上記の例は、最終仕上焼鈍時に形成されるフォルステライト被膜を筋状に減厚もしくは除去して線状溝を設け、その上に張力付与型のコーティングを被成することで間接的にコーティングの被膜断面積に異方性を持たせた場合であるが、直接コーティング自身に線状溝を設けたり、コーティングを線状に塗布したりして、その断面積に異方性を持たせることも可能である。
被膜の有効断面積に異方性を持たせる手段としては、溝を形成させるのが最も簡便であるが、その手法は特に限定されるものではない。また、圧延直角方向と平行に溝等を形成するのが最も有効と考えられるが、磁気特性等を考慮して圧延直角方向に対して25°以内程度の角度をもたせて斜めに線状あるいは点線状に溝やピットを形成しても構わない。張力付与型コーティングの圧延直角方向の引張応力値が、圧延方向のそれを上まわるような被膜断面が得られるパターンであればよい。また、溝等を形成する手段としては、レーザー照射だけでなく、エメリー研磨紙を鋼板表面に押し付けて研削するヘアライン処理のような手法も有効であるし、フォルステライト被膜生成の一次原料となる一次再結晶焼鈍時に形成されるシリカを主体とする酸化物膜を線状に除去するなどして、フォルステライト被膜の断面積に異方性を持たせることも有効な手段である。
以上のことから、鋼板に対する付与張力に異方性を有する被膜とすることにより、効果的に磁区を細分化し鉄損の低減が達成されたものと考えられる。
次に、本発明で対象とする電磁鋼板の好適成分組成について説明する。
本発明で対象とする電磁鋼板については、その成分組成が特に限定されることはないが、Siを 1.5〜7.0 mass%、Mnを0.03〜2.5 mass%程度含有させることが望ましい。
ここに、SiやMnは、製品の電気抵抗を高め、鉄損を低減するのに有効な成分であるが、Siは 7.0mass%を超えると硬度が高くなって製造や加工が困難となり、一方Mnは 2.5mass%を超えると熱処理時にγ変態を誘起して磁気特性を劣化させる可能性がある。
また、鋼中には、上記の元素の他に、方向性電磁鋼板の製造に適するインヒビター成分として知られている、Al, B, Bi, Sb, Mo, Te, Sn, P, Ge, As, Nb, Cr, Ti, Cu, Pb,ZnおよびInなどの公知元素を単独または複合して含有させることができる。
なお、C、S、Nなどの不純物はいずれも、磁気特性上有害な作用があり、特に鉄損を劣化させるので、それぞれC:0.003 mass%以下、S:0.002 mass%以下、N:0.002 mass%以下程度に抑制することが望ましい。
張力付与型の絶縁コーティングの種類としては、従来からフォルステライト被膜を有する方向性電磁鋼板に用いられているリン酸塩−コロイダルシリカ−クロム酸系のコーティング等が、その効果およびコスト、均一処理性などの点から好適である。
コーティングの厚みについては、張力付与効果や占積率、被膜密着性等の点から 0.3〜10μm 程度とするのが好ましい。
また、張力コーティングとしては、これ以外にも特開平6−65754 号公報、特開平6−65755 号公報および特開平6−299366号公報などで提案されているホウ酸−アルミナ等の酸化物系被膜を適用することも可能である。
さらに、圧延直角方向に初めからより大きな張力付与効果をもたらすような、被膜自身が張力異方性を有するものであればなお都合がよい。圧延直角方向により大きな張力付与効果をもたらす被膜としては、前掲式(1) より明らかなように、ヤング率や熱膨張係数に異方性を持つものでも良く、圧延直角方向のヤング率が圧延方向のそれよりも大きかったり、逆に熱膨張係数が低いものであっても構わない。すなわち、圧延直角方向のヤング率を熱膨張係数で除した値が圧延方向のそれよりも大きければ良い。
また、被膜のマトリックスは等方的な性質を有するものであっても、繊維状の組織を含み、例えばそれらが圧延方向と直角になっていて、異方性を発揮するような被膜も有効である。
Si:3mass%を含有する最終板厚:0.20mmに圧延された冷延板に、線状の磁区細分化溝を形成し、脱炭・一次再結晶焼鈍後、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布してから、二次再結晶過程と純化過程を含む最終仕上焼鈍を施して、フォルステライト被膜を有する方向性電磁鋼板を製造した。
このフォルステライト被膜に、粗さ♯800 のエメリー紙を用いて、研磨時の荷重:1.23MPa の一定条件で、圧延方向または圧延直角方向に線状溝を形成した。ついで、張力付与型コーティングとして、リン酸マグネシウム、コロイダルシリカおよびクロム酸マグネシウムを主成分とする水性処理液を塗布し、800 ℃で焼き付けて約8.0 g/m2の厚さの被膜を形成させた。
それぞれの素材を使用して、144 枚を積層したステップラップ型3相積層鉄心を作製したた。この際、一次および二次コイルをそれぞれの脚に60ターン巻きとしたコイル枠を用いた。
張力付与型コーティング被成後の断面SEM 観察から圧延方向および圧延直角方向のコーティングの有効断面積を厚みとして計測した。
また、素材鉄損値およびトランス鉄損値を測定すると共に、BF値を算出した。
得られた結果を表2に示す。
Figure 2005120405
同表から明らかなように、圧延方向と平行にエメリー研磨を行い、圧延直角方向のコーティング有効被膜厚みを減少させた試料(No.2)は、研磨処理を行わなかった試料(No.3)と比較して、素材鉄損値の改善は見られたものの、変圧器としての実機特性の改善代は小さく、BF値は増加した。
これに対し、本発明に従い、圧延方向と直角にエメリー研磨を行い、圧延方向のコーティング有効被膜厚みを減少させた試料(No.1)は、素材鉄損値はわずかに増加したが、変圧器としての実機特性は向上した。
Si:3mass%を含有する最終板厚:0.27mmに圧延された冷延板に、脱炭・一次再結晶焼鈍を施したのち、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布してから、二次再結晶過程と純化過程を含む最終仕上焼鈍を施して、フォルステライト被膜を有する方向性電磁鋼板を製造した。
このフォルステライト被膜に、圧延方向または圧延直角方向にレーザーを線状に照射して連続的な溝を形成した。レーザー照射条件は、ビーム径:約3μm 、照射強度:30kWとした。その後、張力付与型コーティングとしてリン酸アルミニウム、コロイダルシリカを主成分とする水性処理液を塗布し、850 ℃で焼き付けて 5.0g/m2の厚さの被膜を形成させた。
それぞれの素材を使用し、実施例1と同様に、108 枚を積層したステップラップ型3相積層鉄心を作製した。
張力付与型コーティング被成後の断面SEM 観察から圧延方向および圧延直角方向のコーティングの有効断面積を厚みとして計測し、その比を求めた。
また、素材鉄損値およびトランス鉄損値を測定すると共に、BF値を算出した。
得られた結果を表3に示す。
Figure 2005120405
同表から明らかなように、圧延方向と直角にレーザー照射を行い、圧延方向のコーティング有効被膜厚みを減少させ、圧延方向に対する有効被膜厚み比を1よりも大きくした試料(No.1)は、レーザー照射処理を行わなかった試料(No.3)と比較して、変圧器鉄損値が改善され、BF値も向上した。
逆に、圧延方向にレーザー照射を行って溝を形成し、圧延方向に対するコーティングの有効被膜厚み比が1よりも小さくなった試料(No.2)では、変圧器鉄損値が増加した。
本発明の被膜断面を標準材と比較して示した図である。 圧延直角方向張力の被膜有効厚みtCDと圧延方向張力の被膜有効厚みtRDの説明図である。

Claims (2)

  1. 方向性電磁鋼板の表面に被覆する張力被膜について、その鋼板圧延方向と直角な方向における被膜断面積を、鋼板圧延方向にわたって反復して変化させることにより、該被膜により鋼板に付加される圧延直角方向の引張応力を、圧延方向のそれよりも大きくしたことを特徴とする積層型鉄心用の方向性電磁鋼板。
  2. 前記張力被膜が、圧延方向に間隔をおいて、圧延直角方向に筋状に減厚もしくは除去されたフォルステライト被膜上に形成されたものである請求項1記載の積層型鉄心用の方向性電磁鋼板。
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