JP5760511B2 - 方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

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本発明は、変圧器などの鉄心材料に用いる鉄損特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法に関するもので、特に、積み変圧器における鉄損を低く抑えることができる方向性電磁鋼板を得ようとするものである。
電磁鋼板は無方向性電磁鋼板と方向性電磁鋼板の2つに大別され、無方向性電磁鋼板は主として回転機等の鉄心材料に、方向性電磁鋼板は主として変圧器その他の電気機器の鉄心材料として使用され、いずれもエネルギーロスを少なくするため、低鉄損の材料が求められている。
Siを含有し、かつ結晶方位が(110)[001]方位や(100)[001]方位に配向した方向性電磁鋼板は優れた軟磁気特性を有することから、商用周波数域での各種鉄芯材料として広く用いられている。その際、電磁鋼板に要求される特性としては、一般に50Hzの周波数で1.7Tに磁化させた場合の損失であるW17/50(W/kg)で表わされるところの鉄損が低いことが重要である。
結晶方位を揃える技術も長年の技術の蓄積により、磁束密度Bにして1.93T以上の製品が安定して製造できるようになってきており、1.96Tや1.97Tの超高磁束密度方向性電磁鋼板の製造も可能になりつつある。
ここに、上記のような高磁束密度の方向性電磁鋼板を用いて変圧器を作製した場合には、素材鉄損の低減代に見合う変圧器鉄損の低減が得られずに、素材の磁気特性の向上代が実際の変圧器の鉄損特性向上に対して反映されてない。すなわち、この現象を評価する場合には、製品の鉄損値に対する変圧器の鉄損値の比、すなわちビルディングファクタ(変圧器鉄損を製品鉄損で除した値)という指標が用いられているが、このビルディングファクタが大きくなってしまうことが問題となっている。
特開平6−65754号公報 特開平6−65755号公報 特開平6−299366号公報
方向性電磁鋼板とは、圧延方向の磁気特性に特化して開発されてきた材料であり、圧延方向以外の方向の特性は、材料の先鋭化と共にむしろ悪くなる傾向にある。すなわち、変圧器の主構成要素である脚部など、直線的に磁化されて真直ぐ磁束が流れる箇所では、方向性電磁鋼板の圧延方向の優れた磁気特性が存分に発揮されるが、コーナー部分など磁束が圧延方向からずれて曲がる部位では、優れた方向性がむしろ逆効果となり局所的に鉄損が上昇してしまう。
上記のような局所的な鉄損上昇は、特に磁束密度Bが1.93T以上の方向性電磁鋼板を用いて変圧器を作製したときに顕著に現れる。
本発明は、上記した現状に鑑み開発されたもので、積み変圧器を作製した場合にあって、特に、磁束密度Bが1.93T以上の方向性電磁鋼板を用いて変圧器を作製したときに、そのコーナー部分など、磁束が圧延方向からずれて曲がる部位があっても、より効果的に鉄損劣化を抑えることができる方向性電磁鋼板を得ることを目的とする。
発明者らは、圧延方向に特化した磁気特性の先鋭化を維持しつつ、実変圧器で要求される圧延方向以外の磁気特性の両立、という本質的な開発課題すなわちゴス方位への集積度が高いBが1.93T以上の高磁束密度方向性電磁鋼板に対し、いかに磁化の回転を容易にするかを鋭意検討した結果、地鉄表面、すなわち、一次再結晶焼鈍前の地鉄表面の幾何学的な形状を改善することで解決できることを見いだした。
本発明は上記知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.含珪素鋼熱延板に、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、一回または中間焼鈍を含む二回以上の冷間もしくは温間圧延を施して最終板厚とし、ついで一次再結晶焼鈍を行った後、焼鈍分離剤を塗布してから二次再結晶焼鈍を行うことよりなる、B8で1.93T以上の高磁束密度を有する方向性電磁鋼板の製造方法において、
上記一次再結晶焼鈍に先立ち、鋼板の表面に電子線を照射することにより、該鋼板の表面を算術平均粗さRaで0.15μm以下の平滑面とすることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
2.前記鋼板の表面に対する電子線の照射距離を、該鋼板の表面で該電子線が最大照射エネルギー密度となる照射距離に対して、0〜15%短くまたは長くすることを特徴とする前記1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明によれば、集積度が高いBが1.93T以上の高磁束密度方向性電磁鋼板であっても、磁化の回転が容易であるため、変圧器、特に積み変圧器に用いた場合にあって優れた低鉄損特性を発現する方向性電磁鋼板を得ることができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
通常、方向性電磁鋼板の地鉄表面は、フォルステライト被膜と接しており、両者はアンカー効果で密着性を保っている。しかしながら、そのアンカーのサイズは極めて小さく、磁化回転を律する磁壁運動には直接関与しないと考えられている。従って、アンカーを除いて平均化した地鉄表面の平滑性が磁区の回転に対して重要であると考えられる。
この地鉄表面の平滑性に関しても、従来は、圧延方向の表面粗さ(Ra)などが着目されてきたが、本発明では、圧延直角方向の表面粗さが特に問題となる。というのは、圧延方向への結晶方位の先鋭化とそれに伴う鉄損値の低下には、圧延直角方向の表面粗さは関与しないが、上述したような磁化回転を考慮した場合には、圧延直角方向の表面粗さが磁化回転のし易さを左右すると考えられるからである。
そこで、発明者らは、圧延直角方向の鋼板表面の平滑化について検討した。その結果、上記平滑化を一次再結晶焼鈍前の鋼板表面に施すことで、従来にも増して、変圧器の優れた鉄損特性が得られることを見出した。
さらに、バフ研磨や電解研磨による平滑化処理と比較して、電子ビームで焦点距離と鋼板位置との関係を種々に変更して鋼板表面に照射し、表面の清浄化と平滑化を鋼板全面にわたって行ったところ、変圧器鉄損のさらなる低減効果が得られることが明らかとなった。
ここに、変圧器鉄損の低減効果が得られる主因は、明確に解明されているわけではないが、発明者らは、以下のように考えている。
電子線照射は、真空中でその処理を行うが、真空であるがゆえに、照射処理に際して表面酸化が起こらない。すなわち、真空中での電子線よる表面清浄化処理では鋼板表面の平滑化処理が行われるだけでなく、ほとんど酸化物を含まない表面を得ることができ、それが、その後の一次再結晶焼鈍時に形成されるSiO2を主体とする酸化物の形態等にも良い影響を与えていると推定される。これに対して、バフ研磨や電解研磨による平滑化処理では、同等の平滑表面が得られていても、わずかに酸化物等を巻き込んでしまっている可能性があり、この酸化物が悪影響を及ぼしていると考えられる。また、レーザー照射等で表面処理を行なうと、その照射熱で表面が酸化してしまうという問題がある。
本発明では、上記の電子線照射により、鋼板の表面の平均粗さが、算術平均粗さRaでは0.15μm以下とすれば良いことが分かった。
また、上記表面粗さを達成するための具体的な電子線の照射条件としては、基本的に、鋼板のごく表面のみが加熱、溶融される状態が得られれば良く、連続照射でもパルス状照射でも構わない。また、酸化物が除去される理由は明らかではないが、適正条件で電子ビーム照射を行なうと酸化物のない平滑な鋼板表面を得ることができる。
なお、電子線照射は二次元的に電子ビームを照射させて平面状に処理を行うので、圧延方向および圧延直角方向の平均粗さは基本的に同じとなる。
また、上記した電子線照射は、その照射距離を、鋼板の表面で電子線が最大照射エネルギー密度となる照射距離に対して、0〜15%短くまたは長くすることが、効果的に、鋼板表面を平滑化することができるため好ましい。より好ましくは、0〜5%短くまたは長くすることである。
上記、適正条件を実現する照射条件としては、電子線が最大照射エネルギー密度となる照射距離、いわゆるジャストフォーカスで行っても良いが、照射距離をジャストフォーカスよりも±15%短くまたは長くすることで効率的に表面を平滑化することができる。すなわち、ビームプロファイルを台形状として、広い範囲を一度に均一に処理することができる。
ただし、ジャストフォーカスから外す場合、ビーム電流等の入射エネルギーを増加させることとなるが、これにより単位時間当たりの入射エネルギー量が増加するため、鋼板温度が上昇し、鋼板の変形等の問題が生じる。そのため、ジャストフォーカスからのずれは±15%以内が好ましく、より好ましくは±5%以内がよい。
次に、この発明の電磁鋼板について、望ましい成分組成について説明する。なお、鋼板成分に関する「%」表示は特に断らない限り質量%を意味するものとする。
Si:1.5〜7.0%
この発明で使用される鋼板の成分としては、Siを、1.5〜7.0%の範囲で含有させることが望ましい。
Siは、製品の電気抵抗を高め、鉄損を低減するのに有効な成分であるが、7.0%を超えると、鋼板の硬度が高くなり、製造や加工が困難になる。一方、1.5%に満たないと、最終仕上げ焼鈍中に組織変態を生じ、安定した2次再結晶組織が得られない。従って、Siは1.5〜7.0%の範囲が望ましい。
また、インヒビタを用いる電磁鋼板の場合は、インヒビタ元素としてAlを初期鋼中に0.006%以上含有することにより、鋼板の結晶配向性をより一層向上することができる。一方、上限は0.06%で、これを越えると再び結晶配向の劣化が生じてしまう。
Nは、ふくれ欠陥の発生の観点から100ppm程度以下とし、一方、下限は特に規定しないが、工業的に20ppm以下とするのは経済的に困難であることから、20ppm程度とすることが望ましい。
また、本発明では、1次再結晶焼鈍後に増窒素処理を行う工程も採用することができる。増窒化処理を行わない場合には、初期鋼中に、[%Se]+[%S]([%X]は元素Xの含有量を意味する)の値で、0.01〜0.06%程度のSeおよびSを含有することが有効であり、加えて、Mn化合物として、SeおよびSを析出させるためには、0.02〜0.2%程度のMnを含有させることが有効である。
さらに、本発明は、鋼中に、上記の元素の他、公知の方向性電磁鋼板の製造に適するインヒビタ成分として、B、Bi、Sb、Mo、Te、Sn、P、Ge、As、Nb、Cr、Ti、Cu、Pb、ZnおよびInなどが知られていて、これらの元素を単独、または複合して添加することができる。
インヒビタを用いない電磁鋼板の場合、sol.Alは100ppm以下、Nは50ppm以下であって好ましくは30ppm以下まで低減しておくことが、良好に二次再結晶を発現させるために有効である。従来のインヒビタ元素であるS、Seについても50ppm以下、好ましくは30ppm以下に低減することが有利である。
本発明に供して好適な方向性電磁鋼板用スラブの、Siを除いた基本成分について具体的に述べると次のとおりである。
C:0.08%以下
Cは、最終的には、磁気時効劣化を防ぐために、脱炭処理後の到達値で30ppm以下にする必要がある。また、良好な二次再結晶方位を得るため、圧延前後あるいは一次再結晶焼鈍前後の組織制御などの観点から、それぞれのプロセスに適した添加量は存在するが、製造工程全体を通しての脱炭負荷を考慮すると、溶製時には、0.08%程度までに抑えるのが望ましい。
Mn:0.005〜1.0%
Mnは、熱間加工性を良好にする上で必要な元素であるが、含有量が0.005%未満ではその添加効果に乏しく、一方1.0%を超えると製品板の磁束密度が低下する。従って、Mn量は0.005〜1.0%の範囲とすることが好ましい。
本発明は、上記の基本成分以外に、磁気特性改善成分など、従来公知の方向性電磁鋼板に対して添加される元素を適宜含有させることができる。
なお、上記成分以外の残部は、製造工程において混入する不可避的不純物およびFeである。
次に、本発明の電磁鋼板の製造方法について、その条件を説明する。
所定の成分に調整された鋼片は、通常のスラブ加熱に供された後、熱間圧延により熱延コイルとされるが、このスラブの加熱温度については1300℃以上の高温度とする場合と1250℃以下の低温度とする場合のいずれでも良い。また近年、スラブ加熱を行わず連続鋳造後、直接熱間圧延を行う方法が開発されているが、この方法で熱間圧延しても良い。
熱間圧延後の鋼板は、必要に応じて熱延板焼鈍を施し、1回の冷延もしくは中間焼鈍を挟む複数回の圧延によって最終冷間圧延板とする。これらの圧延については動的時効を狙ったいわゆる温間圧延や、静的時効を狙ったパス間時効を施したものであっても良い。
最終冷延板はその後、脱炭処理を兼ねた一次再結晶焼鈍とフォルステライト被膜形成を兼ねた二次再結晶焼鈍を施されるが、一次再結晶焼鈍に先立ち、真空槽中において電子線照射による表面清浄化処理を行うことに、本発明の特徴がある。すなわち、前記した条件で、電子線照射を行うことにより、鋼板表面を算術平均粗さRaで、0.15μm以下の平滑面とする。
表面に微細な酸化物を形成させることなく表面を平滑化し、さらに平滑化後の鋼板表面の算術平均粗さRaは0.15μm以下である必要がある。というのは、0.15μmより大きい場合、変圧器を組んだ時の素材鉄損に対する変圧器鉄損の増加量が大きくなり、前述したいわゆるビルディングファクタが増大するからである。
なお、本発明における算術平均粗さRaは、JIS B 0601(1994)に準拠している。
電子線照射後の表面に残留する微細酸化物を定量化できているわけではないが、鋼板の表面の平均粗さRaを0.15μm以下とすれば、酸化物の影響がほぼなくなるものと発明者らは推定している。
ここに、大気中で行うレーザ照射等でも、鋼板の表面の平滑化処理は可能であるが、表面酸化が避けられず、表面酸化が起きると、その後に行う一次再結晶焼鈍時のSiO2主体の酸化物形成に大きな影響を及ぼすため、本発明ほどの鉄損低減効果がないものと推定される。
最終冷延後の鋼板は、前述したように、脱炭処理を兼ねた一次再結晶焼鈍を施し、その後最終仕上げ焼鈍により二次再結晶処理を施して、(110)[001]方位に集積させる。最終仕上げ焼鈍を行う場合には、通常1次再結晶焼鈍後に焼鈍分離剤を塗布し、これにより酸化物被膜を形成させるが、この焼鈍分離剤の組成を調整して、鋼板表面上の酸化物被膜の生成を抑制することもできる。
特に、表面にフォルステライト被膜を意図的に形成させず、鏡面状態に仕上げて超低鉄損の方向性電磁鋼板を製造する過程において、二次再結晶焼鈍後に追加で表面平滑化処理を行わない場合、表面の平滑化の程度は最終冷延板の表面の程度を反映するため、本発明を適用すれば、極めて簡単に鏡面状態を達成することができる。
方向性電磁鋼板は、変圧器を作製する場合、積層して使用されるので、層間絶縁のための絶縁層が必要となる。その際、追加で施される絶縁コートとしては、方向性電磁鋼板に使用される無機質コートが好ましい。
特に、張力付与効果を有するコーティングは、低鉄損化のために表面を平滑化した方向性電磁鋼板との組合せで、鉄損低減に極めて有効に作用する。張力付与効果を有するコーティングの種類としては、熱膨張係数を低下させるシリカを含むコーティングが有効で、従来からフォルステライト被膜を有する方向性電磁鋼板に用いられているリン酸塩-コロイダルシリカ-クロム酸系のコーティング等が、その効果およびコスト、均一処理性などの点から好適である。
なお、上記のコーティングの厚みとしては、張力付与効果や占積率、被膜密着性等の点から0.3μm以上10μm以下程度の範囲が好ましい。
また、張力コーティングとしてこれ以外にも特許文献1、特許文献2および特許文献3などで提案されているホウ酸-アルミナ等の酸化物系被膜を適用することも可能である。
なお、本発明において、上述した工程や製造条件以外については、従来公知の方向性電磁鋼板の製造方法を適用することができる。
Si:3.2%、Mn:0.06%、Se:0.001%、C:0.05%、Al:0.02%、N:80ppm、Sn:0.10%、およびCu:0.10%を含み、残部はFeおよび不可避的不純物からなるスラブを1400℃に加熱したのち熱間圧延を施して板厚:2.0mmの熱延板とし、温間圧延を含む冷間圧延により板厚:0.23mmに仕上げた。かくして得られた最終圧延材を、長さ:600mm、幅:100mmの鋼板に剪断、鋼板表面の性状を変化させるために真空槽にて電子線照射処理を行った。処理槽の真空度は2.0Pa、電子の加速電圧は60kV、ビーム電流は1〜5mAの範囲で、電子ビームを二次元的にスキャンさせながら100mm×100mm四方ずつ両面について表面清浄化処理を行った。
電子線照射の最大照射エネルギー密度となる照射距離が540mmであるのに対し、試験No.6は照射距離を550mm、試験No.7は照射距離を540mmとする条件で照射した。
比較として、電子線照射処理を行わない素材や塩酸酸洗処理で表面酸化物を除去した素材を作製した。それぞれの素材について、圧延方向および圧延直角方向の算術平均粗さRaを測定した。
その後、脱炭を兼ねた1次再結晶焼鈍を施し、MgO:100重量部に対してTiO2:4重量部添加した焼鈍分離剤を水スラリーで10g/m2塗布して乾燥した後、800℃までをN2雰囲気中、平均50℃/hで昇温し、800℃から900℃を窒素25vol%;水素75vol%の混合雰囲気中で平均5℃/hで昇温し、900℃から1150℃を水素雰囲気で平均20℃/hで昇温した。ついで、水素中で1150℃、10時間の純化焼鈍を兼ねた二次再結晶焼鈍を行ったのち、放冷してフォルステライト被膜を有する方向性電磁鋼板を得た。さらに、リン酸Mgとコロイダルシリカからなる絶縁コーティングを施した。加えてシングルモードファイバレーザにて圧延方向と直角方向に5mm間隔で線状照射を行い磁区細分化処理を施した。
かようにして得られた製品の圧延方向の磁束密度(B)および鉄損(W17/50)を測定した。
また、素材を斜角剪断し、70枚積層500mm角の三相モデルトランスをVノッチ、ステップラップ積み(5層)で作成し、変圧器の鉄損(W17/50)を評価し、その結果を表1にそれぞれ記載する。
Figure 0005760511
同表に示したとおり、試験No.6、7は、電子線照射により、鋼板の表面の算術平均粗さRaが0.15μm以下の素材となっている。これらの鋼板では、変圧器鉄損W17/50が0.8W/kg以下であり、かつビルディングファクタが1.2未満、と良好な変圧器特性を示した。これに対して、鋼板の表面の算術粗さが0.15μmを超える表面性状の場合、変圧器鉄損値は増大し、ビルディングファクタは大きくなっていることが分かる。

Claims (2)

  1. 含珪素鋼熱延板に、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、一回または中間焼鈍を含む二回以上の冷間もしくは温間圧延を施して最終板厚とし、ついで一次再結晶焼鈍を行った後、焼鈍分離剤を塗布してから二次再結晶焼鈍を行うことよりなる、B8で1.93T以上の高磁束密度を有する方向性電磁鋼板の製造方法において、
    上記一次再結晶焼鈍に先立ち、鋼板の表面に電子線を照射することにより、該鋼板の表面を算術平均粗さRaで0.15μm以下の平滑面とすることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 前記鋼板の表面に対する電子線の照射距離を、該鋼板の表面で該電子線が最大照射エネルギー密度となる照射距離に対して、0〜15%短くまたは長くすることを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
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