JP3555336B2 - 積層溶接時および溶接後に不快臭の少ない電磁鋼板用絶縁皮膜の形成方法 - Google Patents

積層溶接時および溶接後に不快臭の少ない電磁鋼板用絶縁皮膜の形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、打抜性、溶接性、および歪取り焼鈍後の耐食性に優れ、かつ積層溶接時および溶接後に不快臭の発生が少ない電磁鋼板用絶縁皮膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電磁鋼板は、モーターやトランス等の鉄芯材料として広く使用されており、通常、その表面には渦電流損失を低減する目的から絶縁皮膜がコーティングされている。鉄芯の多くは、電磁鋼板をまず所望の形状に打ち抜き、積層して、その端面をTIG溶接することによって組み立てられる。したがって、絶縁皮膜の品質としては層間絶縁抵抗値に加え、優れた打抜性と溶接性とが要求される。また、鉄芯加工時の作業性の点から良好な皮膜の密着性と加工性が必要であり、さらに鉄芯加工時の歪取りのために700〜800℃程度で焼鈍(歪取り焼鈍)が施される場合、焼鈍時に鋼板同士が密着(スティッキング)を起こさず、かつ焼鈍後の保存期間に発錆しないことが要求される。さらに最近では、電磁鋼板が冷蔵庫等に使用されるが、その場合にはフロン等の冷媒や絶縁油等の油類に対する耐久性が要求される。
【0003】
上記のような要求を満たすために、従来から以下に示すような改善がなされてきている。
まず、打抜性に関しては、皮膜中に有機樹脂を添加することによって表面に潤滑性を付与すると、連続打抜き作業時のバリ発生による金型取換え頻度が大幅に減少することが明らかにされ、クロム酸系やリン酸系化合物を主成分とする無機系水溶液と有機樹脂エマルジョンとの混合溶液を塗布し、焼き付けて、いわゆる無機有機系皮膜として広く実用化されている。
【0004】
ところで、近年、鉄芯製造現場においても、作業環境や環境問題に関する改善が進み、それに伴い作業者が不快感を覚えるような騒音や臭気等、精神衛生上の問題を含めた改善に対する要望も高まっている。
【0005】
このような状況において、無方向性電磁鋼板の絶縁皮膜の主流となっている無機有機系皮膜の場合、皮膜中に有機樹脂を含んでいるため、打抜性に優れるという特長を有している半面、最近、積層後のTIG溶接時に皮膜中の有機樹脂が熱分解し、作業者に不快感を与える臭気ガスを発生するため、これに対する改善要望が高まっている。また、アルミダイキャスト時にも有機成分の熱分解による不快臭発生の問題がクローズアップされている。
【0006】
このような積層溶接時の不快臭に対する改善については、従来から多くの試みがなされてきた。例えば、特公昭53−20259号公報には、アクリル樹脂やスチレン樹脂は熱分解や燃焼によって不快臭を発生するため、その一部を人間に不快感を与えないと言われている酢酸ビニルに置き換えることが開示されている。また、特公昭60−36476号公報には、酢酸ビニル/ベオバ共重合樹脂は、アクリル樹脂を含まないために、それ以前のものに比較して、さらに不快臭が少ないことが開示されている。
【0007】
しかし、本発明者らが、絶縁皮膜の積層溶接時および溶接後の臭気の評価等を行ったところ、酢酸ビニルの比率が高く、アクリル系樹脂を含まない場合には、人間に不快感を与えるガスの発生は少ないことが確認されたが、皮膜の耐化学薬品性や耐疵付き性が劣化し、十分な性能が得られないことが判明した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、耐疵付き性、打抜性、溶接性、および歪取り焼鈍後の耐食性を良好に維持したままで、積層溶接時、および溶接後のアルミダイキャスト時に不快臭の発生が少ない電磁鋼板用絶縁皮膜を形成する方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明者らは、種々の樹脂において、積層溶接時に発生するガス、加熱による熱分解によって発生するガス、および燃焼等によって発生するガスについて詳細に調査した結果、アクリル系樹脂のうちでも臭気の多いものと少ないものとが存在し、その臭気の強さは樹脂モノマーの臭いの種類や強さと相関関係があることを見出した。
【0010】
また、本発明者らは、臭気の少ない2エチルヘキシルアクリレート、および2エチルヘキシルメタアクリレートを他の樹脂モノマーと組み合わせることにより、または2エチルヘキシルアクリレートと酢酸ビニルとを共重合した樹脂エマルジョンを用いることにより、電磁鋼板の積層溶接時、および溶接後のアルミダイキャスト時に臭気の発生が少なく、かつその他の諸特性にも優れた絶縁皮膜が得られるという新しい事実を見出した。
【0011】
本発明は、以上のような知見に基づいて完成されたものであり、
(1)無水クロム酸、および重クロム酸塩の少なくとも1種と、2価または3価の金属の酸化物、水酸化物、または炭酸塩とが主成分として含まれる無機系水溶液に、前記水溶液中のCrO 換算量100重量部に対して10〜50重量部の有機還元剤と、2エチルヘキシルアクリレート、および2エチルヘキシルメタアクリレートのうち少なくとも1種とその他の種類の樹脂モノマー1種以上とを共重合してなり、前記水溶液中のCrO 換算量100重量部に対して5〜100重量部の樹脂エマルジョンとを添加混合した処理液を、電磁鋼板の表面に塗布し、次いで焼き付けることを特徴とする、積層溶接時および溶接後に不快臭の少ない電磁鋼板用絶縁皮膜の形成方法、および
(2)無水クロム酸、および重クロム酸塩の少なくとも1種と、2価または3価の金属の酸化物、水酸化物、または炭酸塩とが主成分として含まれる無機系水溶液に、前記水溶液中のCrO 換算量100重量部に対して10〜50重量部の有機還元剤と、2エチルヘキシルアクリレート(2EHA)および2エチルヘキシルメタアクリレート(2EHMA)のうち少なくとも1種と酢酸ビニル(VAC)とを0.3≦VAC/(2EHA+2EHMA+VAC)≦0.97の比率で共重合してなり、前記水溶液中のCrO 換算量100重量部に対して5〜100重量部の樹脂エマルジョンと、を添加混合した処理液を、電磁鋼板の表面に塗布し、次いで焼き付けることを特徴とする、積層溶接時および溶接後に不快臭の少ない電磁鋼板用絶縁皮膜の形成方法を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明に使用する無機系水溶液は、無水クロム酸、および重クロム酸塩の少なくとも1種と、2価または3価の金属の酸化物、水酸化物、または炭酸塩とが主成分として含まれるものである。これは従来の無機有機系皮膜に用いられている無機系水溶液を基本とするものである。
【0013】
本発明の第1の実施形態においては、上記無機水溶液に、有機樹脂として、2エチルヘキシルアクリレート、および2エチルヘキシルメタアクリレートのうち少なくとも1種を含み、かつ少なくともその他の種類の樹脂モノマー1種以上とを共重合した樹脂エマルジョンが配合される。
【0014】
この場合に、上記樹脂エマルジョンにおいて、2エチルヘキシルアクリレートと2エチルヘキシルメタアクリレートの配合比が、2エチルヘキシルアクリレート、2エチルヘキシルメタアクリレート、およびの他の種類の樹脂モノマーの合計に対する重量比で10%以上、70%以下であることが好ましい。
【0015】
すなわち、2エチルヘキシルアクリレートの含有量を2EHA、2エチルヘキシルメタアクリレートの含有量を2EHMA、その他の種類の樹脂モノマーの含有量をMと表わした場合に、これらの配合比が重量比として以下の式で示されることが好ましい。
0.1≦(2EHA+2EHMA)/(M+2EHA+2EHMA)≦0.7
これは、2エチルヘキシルアクリレートと2エチルヘキシルメタアクリレートを合わせた配合比が重量比で10%未満の共重合樹脂エマルジョンでは積層溶接時の不快臭が抑えられず、またその配合比が重量比で70%を超える場合には耐疵付き性が低下するからである。
【0016】
前記樹脂エマルジョンの無機系水溶液に対する添加量は、無機系水溶液中のCrO 換算量100重量部に対して5〜100重量部である。これは、5重量部より少ないと十分な打抜性が得られず、一方、100重量部を超えると耐熱性が著しく劣化するからである。
【0017】
本発明の第2の実施形態においては、上記無機水溶液に、有機樹脂として、2エチルヘキシルアクリレートおよび2エチルヘキシルメタアクリレートのうち少なくとも1種と酢酸ビニルとを共重合した樹脂エマルジョンを使用する。
【0018】
この場合に、上記樹脂エマルジョンにおいて、2エチルヘキシルアクリレート(2EHA)および2エチルヘキシルメタアクリレート(2EHMA)のうち少なくとも1種と酢酸ビニル(VAC)との比率を0.3≦VAC/(2EHA+2EHMA+VAC)≦0.97の範囲とする。
【0019】
これは、VAC/(2EHA+2EHMA+VAC)の値が0.97を超えると耐食性が劣化し、逆に0.3未満では耐疵付き性が劣るためである。
本実施形態の場合にも、第1の実施形態と同様の理由で、樹脂エマルジョンの無機系水溶液に対する添加量を、無機系水溶液中のCrO 換算量100重量部に対して5〜100重量部とする。
【0020】
第1および第2の実施形態のいずれの場合にも、無機系水溶液には、その中に含まれるクロムを還元して皮膜を不溶化するために、さらに有機還元剤が添加される。このような有機還元剤としては、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、ショ糖等の多価アルコールを好適に用いることができる。有機還元剤の添加量は、無機系水溶液中のCrO 換算量100重量部に対して10〜50重量部とする。これは、10重量部より少ないと未還元のクロムが残存するために皮膜の耐水性が悪くなり、一方、50重量部を超えると処理液中で還元反応が進行して処理液がゲル化するからである。
【0021】
上記添加剤の他、皮膜の耐食性、および耐熱性を向上させるために、ホウ酸を添加することも可能である。また、歪取り焼鈍後の層間絶縁性を向上させるために、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム等のリン酸塩を添加することも可能である。
【0022】
さらに、歪取り焼鈍後の耐食性を向上させるために歪取り焼鈍後の残炭率の高いエポキシ樹脂エマルジョンや水溶性のフェノール樹脂を添加してもよい。
以上のように配合し、混合した処理液を、ロールコーター等で電磁鋼板コイルの表面に塗布し、乾燥炉で焼き付けることによって、本発明に係る電磁鋼板の絶縁皮膜を形成することができる。この際の皮膜の厚さは、用途毎に最適な値とする。
【0023】
以上のようにして得られた電磁鋼板の絶縁皮膜は、積層溶接時および溶接後のアルミダイキャスト時に不快臭が発生しないばかりでなく、その他電磁鋼板の絶縁皮膜に必要とされる諸特性、例えば、層間絶縁性、耐熱性、密着性、耐食性、および耐疵付き性等の面で十分な性能を有するものである。
なお、本発明に使用される下地鋼板としては、けい素鋼板等、電磁材料として通常用いられているものであればいずれにも適用することができる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。
(実施例1)
板厚0.5mmの電磁鋼板コイルの表面に、表1に示すように、無機系水溶液に、樹脂モノマーの配合比を種々変えた共重合樹脂エマルジョンと有機還元剤とを配合し混合した処理液をロールコーターで連続的に塗布した後、乾燥炉(500℃)で焼き付けて、0.8μm厚の絶縁皮膜を形成した。
【0025】
次に、得られた電磁鋼板を所定の形状に打抜いた後、積層し、端面をTIG溶接して実機を組み立てた。
これらについて、以下の項目を評価した。
【0026】
[評価項目・方法]
(1)積層溶接時の臭気評価:
TIG溶接時に発生する溶接ガスを臭い袋に捕集し、臭いセンサー(株式会社カルモア製)で臭い強度を評価した。
【0027】
(2)アルミダイキャスト時の臭気評価:
上述のような電磁鋼板を450℃で3分間加熱し、その間に発生するガスを臭い袋に捕集し、臭いセンサー(株式会社カルモア製)で臭い強度を評価した。
【0028】
(3)層間絶縁抵抗:
JIS第2法による。
(4)密着性:
10mmφ曲げテープ剥離テストによる剥離性を5段階で評価した(5:剥離なし、1:全面剥離)。
【0029】
(5)耐食性:
・歪取り焼鈍前……SST(JISZ2371)15時間後の発錆率で評価した。
【0030】
・歪取り焼鈍後……恒温恒湿(温度50℃湿度80%)120時間後の発錆率で評価した。
(6)打抜き性:
金型材質SKD−1の角形ダイスでかえり高さ50μmに達するまでの打抜き数で評価した。
【0031】
(7)耐疵付き性:
新東科学(株)製連続荷重式引掻試験機を用い、以下の条件で連続的に荷重を変化させながら、サンプル表面を引掻き、疵が発生し始める荷重を測定し、耐疵付き性を評価した。
Figure 0003555336
これらの評価結果も表1に併記する。
【0032】
【表1】
Figure 0003555336
【0033】
表1に示すように、本発明に従って2エチルヘキシルアクリレート、および2エチルヘキシルメタアクリレートのうち少なくとも1種を含む樹脂エマルジョンを用いたNo.1〜15は、これらを用いないNo.16よりも、積層溶接時の臭気が少ないことが確認された。アルミダイキャスト時の臭気についても同様であった。また、樹脂エマルジョンに少なくともその他の種類の樹脂モノマー1種以上が含まれていないNo.15は臭気が少ないものの、他の特性が劣っていることが確認された。
【0034】
また、共重合樹脂エマルジョンの樹脂モノマーの配合比が重量比で0.1≦(2EHA+2EHMA)/(M+2EHA+2EHMA)≦0.7を満たしているNo.1〜10,12は、積層溶接時およびアルミダイキャスト時のいずれにおいても不快臭の発生はほとんどなく、臭いセンサーによる評価でも低い値となり、かつ耐疵付き性等のその他の特性も良好であることが確認された。
【0035】
これに対して、2エチルヘキシルアクリレート、および2エチルヘキシルメタアクリレートのうち少なくとも1種を含んでいるものの、これらを合わせた配合比が重量比で10%未満のNo.11は、積層溶接時およびアルミダイキャスト時の不快臭が若干残った。
【0036】
一方、2エチルヘキシルアクリレート、および2エチルヘキシルメタアクリレートのうち少なくとも1種を含んでいるものの、これらを合わせた配合比が重量比で70%を超えるNo.13,14は、耐疵付き性が若干低下することが確認された。
【0037】
(実施例2)
板厚0.5mmの電磁鋼板コイルの表面に、表2に示すように、無機系水溶液に、配合比が本発明の範囲内にある共重合樹脂エマルジョン(2EHA/MMA=60/40、ただしMMAはメチルメタアクリレート)と有機還元剤とを配合し混合した処理液をロールコーターで連続的に塗布した後、乾燥炉(500℃)で焼き付けて、0.8μm厚の絶縁皮膜を形成した。
【0038】
次に、得られた電磁鋼板を所定の形状に打抜いた後、積層し、端面をTIG溶接して実機を組み立てた。
これらについて実施例1と同様に特性を評価した。これらの評価結果も表2に併記する。
【0039】
【表2】
Figure 0003555336
【0040】
表2に示すように、いずれの皮膜も積層溶接時およびアルミダイキャスト時のいずれにおいても不快臭の発生はほとんど無く、臭いセンサーによる評価でも低い臭い値が得られた。
【0041】
しかし、共重合樹脂エマルジョンの配合比が水溶液中のCrO 換算量100重量部に対して5重量部未満のNo.20は、打抜性が十分でなく、50万回程度でかえり高さ50μmを超えた。一方、共重合樹脂エマルジョンの配合比が水溶液中のCrO 換算量100重量部に対して100重量部を超えたNo.21は、打抜性は十分であるが、耐熱性が劣化するため、歪取り焼鈍後の耐食性が劣化した。
【0042】
本発明の範囲内であるNo.17〜19は、評価した全ての項目について十分な性能を有していることが確認された。
(実施例3)
板厚0.5mmの電磁鋼板コイルの表面に、表3に示すように、無機系水溶液に、2エチルヘキシルアクリレートと酢酸ビニルとの比率を種々変えた共重合樹脂エマルジョンおよび有機還元剤を配合し混合した処理液をロールコーターで連続的に塗布した後、乾燥炉(500℃)で焼き付けて、0.8μm厚の絶縁皮膜を形成した。
【0043】
次に、得られた電磁鋼板を所定の形状に打抜いた後、積層し、端面をTIG溶接して実機を組み立てた。
これらについて実施例1と同様に特性を評価した。これらの評価結果も表3に併記する。
【0044】
【表3】
Figure 0003555336
【0045】
表3に示すように、2エチルヘキシルアクリレート(2EHA)および2エチルヘキシルメタアクリレート(2EHMA)のうち少なくとも1種と酢酸ビニル(VAC)と酢酸ビニルの比率が本発明の範囲内であるNo.22〜25の皮膜の場合には、不快臭の発生はほとんどなく、臭いセンサーによる評価でも低い臭い値が得られた。また、耐疵付き性および耐食性も良好であった。
【0046】
これに対して、酢酸ビニルの含有率が30%未満の比較例No.28,29は、耐疵付きつき積層溶接時に不快臭が発生した。また、アクリル系樹脂である2エチルヘキシルアクリレートの含有率が3%未満の比較例No.26,27は、積層溶接時に不快臭の発生はないが、耐食性が劣ることが確認された。
【0047】
また、アルミダイキャスト時の臭気についても評価を行ったが、溶接時と同様、酢酸ビニル/2エチルヘキシルアクリレートが本発明の範囲内のNo.22〜25の皮膜の場合には、不快臭の発生は認められなかった。その他の諸特性についても、本発明の範囲内であるNo.22〜25は十分な性能を有していることが確認された。
【0048】
(実施例4)
板厚0.5mmの電磁鋼板コイルの表面に、表4に示すように、無機系水溶液と酢酸ビニル/2エチルヘキシルアクリレートの比が60/40の共重合樹脂エマルジョンとを種々の配合比とし、さらに有機還元剤を配合し混合した処理液をロールコーターで連続的に塗布した後、乾燥炉(500℃)で焼き付けて、0.8μm厚の絶縁皮膜を形成した。
【0049】
次に、得られた電磁鋼板を所定の形状に打抜いた後、積層し、端面をTIG溶接して実機を組み立てた。
これらについて実施例1と同様に特性を評価した。これらの評価結果も表4に併記する。
【0050】
【表4】
Figure 0003555336
【0051】
表4に示すように、いずれの皮膜も積層溶接時およびアルミダイキャスト時のいずれにおいても不快臭の発生はほとんど無く、臭いセンサーによる評価でも低い臭い値が得られた。
【0052】
しかし、酢酸ビニルと2エチルヘキシルアクリレートの共重合樹脂エマルジョンの配合比が水溶液中のCrO 換算量100重量部に対して5重量部未満のNo.34は、打抜性が十分でなく、50万回程度でかえり高さ50μmを超えた。一方、共重合樹脂エマルジョンの配合比が水溶液中のCrO 換算量100重量部に対して100重量部を超えたNo.35は、打抜性は十分であるが、耐熱性が劣化するため、歪取り焼鈍後の耐食性が劣化した。
本発明の範囲内であるNo.30〜33は、評価した全ての項目について十分な性能を有していることが確認された。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、耐疵付き性、打抜性、溶接性、および歪取り焼鈍後の耐食性を良好に維持したままで、積層溶接時および溶接後のアルミダイキャスト時に不快臭の発生が少ない電磁鋼板用絶縁皮膜を形成することができる。

Claims (3)

  1. 無水クロム酸、および重クロム酸塩の少なくとも1種と、2価または3価の金属の酸化物、水酸化物、または炭酸塩とが主成分として含まれる無機系水溶液に、前記水溶液中のCrO 換算量100重量部に対して10〜50重量部の有機還元剤と、2エチルヘキシルアクリレート、および2エチルヘキシルメタアクリレートのうち少なくとも1種とその他の種類の樹脂モノマー1種以上とを共重合してなり、前記水溶液中のCrO 換算量100重量部に対して5〜100重量部の樹脂エマルジョンとを添加混合した処理液を、電磁鋼板の表面に塗布し、次いで焼き付けることを特徴とする、積層溶接時および溶接後に不快臭の少ない電磁鋼板用絶縁皮膜の形成方法。
  2. 前記樹脂モノマーのうち、2エチルヘキシルアクリレートの含有量を2EHA、2エチルヘキシルメタアクリレートの含有量を2EHMA、その他の種類の樹脂モノマーの含有量をMと表わした場合に、これらの配合比が重量比として以下の式で示されることを特徴とする、請求項1に記載の積層溶接時および溶接後に不快臭の少ない電磁鋼板用絶縁皮膜の形成方法。
    0.1≦(2EHA+2EHMA)/(M+2EHA+2EHMA)≦0.7
  3. 無水クロム酸、および重クロム酸塩の少なくとも1種と、2価または3価の金属の酸化物、水酸化物、または炭酸塩とが主成分として含まれる無機系水溶液に、前記水溶液中のCrO 換算量100重量部に対して10〜50重量部の有機還元剤と、2エチルヘキシルアクリレート(2EHA)および2エチルヘキシルメタアクリレート(2EHMA)のうち少なくとも1種と酢酸ビニル(VAC)とを0.3≦VAC/(2EHA+2EHMA+VAC)≦0.97の比率で共重合してなり、前記水溶液中のCrO 換算量100重量部に対して5〜100重量部の樹脂エマルジョンと、を添加混合した処理液を、電磁鋼板の表面に塗布し、次いで焼き付けることを特徴とする、積層溶接時および溶接後に不快臭の少ない電磁鋼板用絶縁皮膜の形成方法。
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