JPH10297868A - 吊り治具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】吊り治具自体の左右の重量バランスを良好にし
てその姿勢を安定化させ、吊り上げた状態の荷物の姿勢
を容易に調整し得る吊り治具を提供する。 【解決手段】バッテリーによって作動するモータと、モ
ータの作動によって回転する回転ドラムと、回転ドラム
に少なくとも一回巻回された治具ワイヤーを有し、回転
ドラムの回転によって、治具ワイヤーの両端部に係止さ
れた荷物の姿勢を調整し得る吊り治具において、バッテ
リーとモータが回転ドラムの軸方向の両側に配置されて
いることを特徴とする。回転ドラムは、例えばその外周
面に凹部が形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えばクレーン、
ホイスト等の建設荷役機械に連結されて、重量物等の荷
物を吊り上げる際に使用される吊り治具に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、例えばクレーン、ホイスト等（以
下、単にクレーンという）においては、その内部に回転
ドラムを有しており、この回転ドラムの回転によって、
クレーンワイヤーの下端に連結されたフックの高さを調
整し得るように構成されている。そして、このクレーン
による荷物の吊り上げ作業は、荷物に玉掛けされた玉掛
けロープ（ワイヤーも含む）に、クレーンワイヤー下端
のフックを係止させ、回転ドラムを回転させて、フック
を上昇させることによって吊り上げている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この吊
り上げ作業にあっては、特に荷物が重量物の場合、荷役
作業の安全性の観点からも、吊り上げた荷物のバランス
や傾き等の姿勢を安定させる必要があるが、この荷物の
姿勢を安定させる作業が非常に面倒であるという問題点
があった。

【０００４】すなわち、玉掛けロープの正確な玉掛け位
置を一回の作業で決定することは現実的に難しく、その
ためクレーンを作動させて荷物を一旦僅かに吊り上げ、
荷物の姿勢を確認した後に荷物を再び降ろし、玉掛け位
置を調整するといった作業を繰り返す必要がある。ま
た、玉掛け位置の調整も玉掛け作業の資格を有する者で
ないと簡単かつ的確に調整することが困難であり、これ
らのことから、荷物を安定させる姿勢の調整作業が非常
に面倒となる。

【０００５】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、その目的は、吊り治具自体の左右の重量バラン
スを良好にしてその姿勢を安定化させ、吊り上げた状態
の荷物の姿勢を容易に調整し得る吊り治具を提供するこ
とにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成すべ
く、本発明のうち請求項１記載の発明は、バッテリーに
よって作動するモータと、モータの作動によって回転す
る回転ドラムと、回転ドラムに少なくとも一回巻回され
た治具ワイヤーを有し、回転ドラムの回転によって、治
具ワイヤーの両端部に係止された荷物の姿勢を調整し得
る吊り治具において、バッテリーとモータが回転ドラム
の軸方向の両側に配置されていることを特徴とする。

【０００７】このように構成することにより、吊り治具
は、その回転ドラムの軸方向の一方側にバッテリーが配
置され他方側にモータが配置されることにより、吊り治
具自体の軸方向両側の重量バランスが良好に保たれてそ
の姿勢が安定する。この吊り治具を、例えば建設荷役機
械のワイヤー下端に連結されたフックに係止させ、治具
ワイヤーの両端部を荷物の玉掛けロープに係止させる。

【０００８】そして、建設荷役機械を作動させそのワイ
ヤー下端のフックを上昇させることにより、荷物が吊り
治具を介して所定高さまで吊り上げられ、この状態で、
例えば荷物が吊り治具の治具ワイヤーの一方側に傾いて
いる場合は、モータを作動させて回転ドラムを所定方向
に回転させ、治具ワイヤーの両端部の長さを調整して荷
物の姿勢を修正する。荷物の姿勢調整は、吊り治具で吊
り上げられた状態のまま容易に行える。

【０００９】また、請求項２記載の発明は、回転ドラム
の外周面に凹部が形成されていることを特徴とする。こ
のように構成することにより、回転ドラムに少なくとも
一回巻回される治具ワイヤーの、回転ドラムの外周面で
の軸方向への移動がスムーズとなり、治具ワイヤーの絡
みが防止されて、吊り上げた荷物の姿勢調整がより容易
に行える。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて詳細に説明する。図１〜図５は、本発明に係
わる吊り治具の一実施例を示し、図１がその断面図、図
２が図１の左側面図、図３が図１の右側面図、図４が使
用状態の正面図、図５がその側面図である。

【００１１】図１〜図３において、吊り治具１は一対の
サイドプレート２、３を有し、このサイドフレーム２、
３は、その上部に吊り上げ孔２ａ、３ａが形成されると
共に、高さ方向の略中央部分の幅方向（図２の左右方
向）両側と下部の幅方向両側が、一対のロッド４、５に
よって所定の間隔を有して連結固定されている。また、
サイドプレート２、３間には回転ドラム６が回転可能に
配設されている。

【００１２】この回転ドラム６は、その軸孔６ａに回転
軸７がボルト８等によって固定され、この回転軸７が内
面にメタル９ａを有する軸受９を介して、サイドプレー
ト２、３の孔２ｂ、３ｂに支承されている。なお、回転
ドラム６の外周面６ｂには、軸方向の中央部分が低くな
る断面半円弧状の凹部１０が形成されている。

【００１３】また、回転軸７の軸孔７ａのサイドプレー
ト３側には駆動軸１１が嵌合され、この駆動軸１１は、
ギヤケース１２を介してモータ１３の回転軸に連結され
ている。モータ１３は直流モータで構成され、サイドプ
レート３の外側（右側）に、水平状態（回転軸が水平状
態）でボルト１４等によって取り付けられている。

【００１４】このモータ１３の上部の仕切板１５上に
は、モータ１３の作動を制御し得る各種リレー等を有す
るリレーボックス１６が配設され、このリレーボックス
１６上の右カバー１７の裏面には無線用の受信機１８が
配設されている。そして、この受信機１８の近傍の右カ
バー１７には、アンテナ１９が上方に所定長さ突出した
状態で取り付けられ、このアンテナ１９と受信機１８が
ケーブル２０によって接続されている。

【００１５】一方、サイドプレート２の外側（左側）の
左カバー２２内には、バッテリー２３が配設されてい
る。このバッテリー２３は、例えばＤＣ１２Ｖもしくは
ＤＣ２４Ｖの所定容量を有し、その電極端子（図示せ
ず）には電源ケーブル２４の一端が接続されている。こ
の電源ケーブル２４は、サイドプレート２、３の上部間
に設けられた配線用のダクト２５を通って、他端がリレ
ーボックス１６に接続されている。

【００１６】なお、バッテリー２３は、左カバー２２内
に設けられバッテリー２３の底面及び側面を支持するバ
ッテリー支持板２６によって、その移動が阻止された状
態で配設されている。そして、左カバー２２内のバッテ
リー２３と、右カバー１７内のモータ１３、ギヤケース
１２、リレーボックス１６及び受信機１８は、回転ドラ
ム６の軸方向両側に加わる荷重が、略同一となる位置に
それぞれ配置されている。

【００１７】また、回転ドラム６の外周面６ｂの凹部１
０内には、治具ワイヤー２７が例えば１〜５回程度（図
１では３回）巻回され、この治具ワイヤー２７の両端部
２７ａ、２７ｂは、一対のロッド５の外側を通って下方
に引き出され、その先端には、例えば後述するフック３
３が係止されている。

【００１８】次に、この吊り治具１の使用方法の一例
を、図４及び図５に基づいて説明する。先ず、図示ない
クレーンを作動させてクレーンワイヤー先端に、一対の
フック３１を有する吊り上げワイヤー３０を連結する。
そして、フック３１を吊り治具１のサイドプレート２、
３の吊り上げ孔２ａ、３ａにそれぞれ係止させ、クレー
ンを操作して吊り治具１を吊り上げワイヤー３０の下端
に宙吊り状態で取り付ける。

【００１９】この状態において、吊り治具１は、サイド
プレート２の外側にバッテリー２３が配置されると共
に、サイドプレート３の外側にモータ１３、ギヤケース
１２及びリレーボックス１６等が配置されて、回転ドラ
ム６の軸方向の両側の重量が略均等となっているため、
吊り治具１自体の重量バランスが良好となり、吊り上げ
ワイヤー３０の両端に略均等の荷重が作用し、吊り治具
１が安定した状態で吊り下げられる。

【００２０】吊り治具１が吊り上げワイヤー３０で吊り
上げられたら、図示しない無線式のリモコン装置の電源
釦を操作して、吊り治具１を動作可能な状態とする。そ
して、この状態で、荷物Ｗに予め玉掛けされている２本
の玉掛けロープ３２に、吊り治具１の治具ワイヤー２７
の両端部２７ａ、２７ｂ先端に係止したフック３３をそ
れぞれ引っ掛ける。その後、クレーンを再び作動させ
て、吊り治具１を介して荷物Ｗを所定高さまで吊り上げ
て、荷物Ｗのバランス、傾き、方向等の姿勢を、次のよ
うにして調整する。

【００２１】すなわち、例えば荷物Ｗが、図５の二点鎖
線で示すように左下がりで傾いている場合は、リモコン
装置を操作して、回転ドラム６が図５の矢印イ方向に回
転し得る信号を出力する。この信号を受信機１８が受信
してリレーボックス１６に入力されると、リレーボック
ス１６からモータ１３に信号が出力され、モータ１３が
作動して回転ドラム６が矢印イ方向に回転する。この
時、回転ドラム６は、リモコン装置を操作している間回
転し、その回転はギヤケース１２内のギヤ等によってブ
レーキがかけられた状態で回転する。

【００２２】この回転ドラム６の回転によって、回転ド
ラム６に巻回されている治具ワイヤー２７の一方の端部
２７ａの長さＬ１が短くなり、他方の端部２７ｂの長さ
Ｌ２が長くなって、例えばその長さＬ１、Ｌ２が等しく
なる。これにより、荷物Ｗが水平状態となってその姿勢
が安定し、クレーン等によって所定高さまで吊り上げら
れて適宜位置に移動させられる。

【００２３】なお、吊り治具１で荷物Ｗを吊り上げその
姿勢を調整した場合、治具ワイヤー２７の両端部２７
ａ、２７ｂは同じ荷重で引っ張り合うが、この引っ張り
合いの力は相殺されて回転ドラム６には作用しないた
め、荷物Ｗの自重が回転ドラム６に直接的に加わること
がなく、回転ドラム６には姿勢を変更する力のみ作用す
ることになる。

【００２４】また、回転ドラム６の回転時には、回転ド
ラム６から引き出される治具ワイヤー２７の両端部２７
ａ、２７ｂが、回転ドラム６の回転につれて軸方向に移
動することになるが、この治具ワイヤー２７の移動は、
回転ドラム６の半円弧状の凹部１０に沿って凹部１０の
中心（最も深い位置）方向にスムーズに移動し、回転ド
ラム６の外周面６ｂ上で重なったりクロスする等の絡み
が防止される。

【００２５】一方、荷物Ｗが図５の三点鎖線で示すよう
に、右下がりに傾いている場合は、リモコン装置の操作
によって、モータ１３を作動させ回転ドラム６を、図５
の矢印ロ方向に回転させて上記と同様に、治具ワイヤー
２７の両端部２７ａ、２７ｂの長さＬ１、Ｌ２を変化さ
せて荷物Ｗの姿勢を調整する。なお、回転ドラム６の回
転操作は、上述したようにリモコン装置を操作している
間モータ１３が作動するため、作業者は回転ドラム６を
少しづつ回転させ荷物Ｗの状態を観察しながら、その姿
勢を調整することになる。

【００２６】また、荷物Ｗが所定方向に傾いて吊り上げ
られこの傾きを修正しようとする際に、例えばリモコン
装置を操作を誤って、回転ドラム６を修正方向とは逆方
向に回転させた場合、治具ワイヤー２７の一方の端部に
は引張力が作用し他方の端部２７ｂは弛むが、治具ワイ
ヤー２７は所定距離巻き取られた後にそれ以上巻き上が
ることがないため、吊り上げ作業が安全に行える。

【００２７】このように、上記実施例の吊り治具１によ
れば、回転ドラム６の回転によって、回転ドラム６に巻
回されている治具ワイヤー２７の両端部２７ａ、２７ｂ
の長さＬ１、Ｌ２を調整することができるため、吊り治
具１によって荷物Ｗを吊り上げた状態、すなわち吊り治
具１で荷物Ｗが吊り下げられた状態で、荷物Ｗの姿勢を
調整することができる。その結果、荷物Ｗをクレーンで
何回も上げ下げし玉掛けロープ３２の玉掛け位置を一々
調整する等の作業が不要になると共に、最初の玉掛け精
度も従来のように要求されず、荷物Ｗが重量物である場
合でも、荷役作業を簡単かつ効率良く行うことが可能に
なる。

【００２８】また、吊り治具１のサイドプレート２の外
側にバッテリー２３を配置し、サイドプレート３の外側
にモータ１３等を配置しているため、回転ドラム６の軸
方向両側の重量バランスを良好に保つことができ、吊り
上げワイヤー３０で吊り上げた際の吊り治具１自体の姿
勢を安定させることができて、以後の荷物Ｗの姿勢調整
をより一層容易に行うことが可能になる。

【００２９】さらに、回転ドラム６の外周面６ｂに凹部
１０が形成されているため、回転ドラム６の回転時の治
具ワイヤー２７の軸方向への移動をスムーズに行うこと
ができ、治具ワイヤー２７の回転ドラム６の外周面６ｂ
上での絡みが防止される。また、回転ドラム６に巻回さ
れる治具ワイヤー２７は、ロッド４によって上方への移
動が規制されるため、治具ワイヤー２７を緩めた際に、
回転ドラム６の巻回状態が大きく緩んで、次の使用時の
引っ張りによって治具ワイヤー２７が回転ドラム６の凹
部１０内で絡むこと等がなくなると共に、ロッド５によ
って治具ワイヤー２７の両端部２７ａ、２７ｂの極端な
接近が防止される等、治具ワイヤー２７の安定した巻回
状態を得ることができる。

【００３０】またさらに、吊り治具１自体にモータ１３
の動力源となるバッテリー２３を装備しているため、モ
ータ１３を作動させるための電源ケーブル等をクレーン
に付帯して設置する必要もなくなると共に、吊り治具１
自体に無線式の受信機１８を設けているため、リモコン
装置の使用によって吊り治具１への接続ケーブルが不要
になる等、クレーン自体や荷役作業現場が煩雑になるの
を防止することが可能になる。

【００３１】また、吊り治具１はサイドプレート２、３
の吊り上げ孔２ａ、３ａに、吊り上げワイヤー３０のフ
ック３１を係止させることにより着脱し得るため、例え
ば荷物Ｗが重量物の場合にのみ吊り治具１をクレーンに
取り付けて使用することができたり、吊り治具１を既存
のクレーンにも容易に取り付けることができる等、汎用
性の高い吊り治具１が得られる。

【００３２】なお、上記実施例においては、吊り治具１
を無線式のリモコン装置によって遠隔操作するように構
成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例
えば有線式のリモコン装置で操作するようにしても良
い。また、上記実施例における荷物Ｗとしては、例えば
鉄工所等での治具、金型及び機械部品、建設現場でのＰ
Ｃ板、階段等の構造部品等に適用し得るが、あらゆる形
態の荷物Ｗや物体等にも勿論適用することができる。

【００３３】さらに、建設荷役機械も屋内に設置される
天井クレーンに限定されるものでもなく、クレーン車等
のように屋外で使用される形態のクレーン等も含まれる
し、クレーンワイヤーとしてはチェーン形態のワイヤー
等も含まれる。また、上記実施例における、吊り治具１
の全体構成、モータ１３の形態、モータ１３、リレーボ
ックス１６及び受信機１８の配設位置、治具ワイヤー２
７の回転ドラム６への巻回数、フック３１、３３の形態
等も一例であって、各発明の要旨を逸脱しない範囲にお
いて、種々変更可能であることはいうまでもない。

【００３４】

【発明の効果】以上詳述したように、請求項１記載の発
明によれば、吊り治具自体の重量バランスを良好に保つ
ことができ、この吊り治具を介して荷物を吊り上げた状
態のままモータを作動させて回転ドラムを回転させるこ
とにより、荷物の姿勢調整作業を容易に行うことができ
る。

【００３５】また、請求項２記載の発明によれば、回転
ドラムの外周面に凹部を形成することにより、回転ドラ
ムの回転時の治具ワイヤーの軸方向への移動がスムーズ
となり、治具ワイヤーの絡みが確実に防止されて、荷物
の姿勢調整作業をより一層容易に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係わる吊り治具の断面図

【図２】同図１の左側面図

【図３】同図１の右側面図

【図４】同その使用状態の正面図

【図５】同その側面図

【符号の説明】

１・・・・・・・・・吊り治具 ２、３・・・・・・・サイドプレート ２ａ、３ａ・・・・・吊り上げ孔 ４、５・・・・・・・ロッド ６・・・・・・・・・回転ドラム ６ｂ・・・・・・・・外周面 ７・・・・・・・・・回転軸 １０・・・・・・・・凹部 １２・・・・・・・・ギヤケース １３・・・・・・・・モータ １６・・・・・・・・リレーボックス １７・・・・・・・・右カバー １８・・・・・・・・受信機 １９・・・・・・・・アンテナ ２２・・・・・・・・左カバー ２３・・・・・・・・バッテリー ２５・・・・・・・・ダクト ２７・・・・・・・・治具ワイヤー ２７ａ、２７ｂ・・・端部 ３０・・・・・・・・吊り上げワイヤー ３１、３３・・・・・フック ３２・・・・・・・・玉掛けロープ Ｗ・・・・・・・・・荷物

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】バッテリーによって作動するモータと、該
   モータの作動によって回転する回転ドラムと、該回転ド
   ラムに少なくとも一回巻回された治具ワイヤーを有し、
   前記回転ドラムの回転によって、前記治具ワイヤーの両
   端部に係止された荷物の姿勢を調整し得る吊り治具にお
   いて、前記バッテリーとモータが回転ドラムの軸方向の
   両側に配置されていることを特徴とする吊り治具。
2. 【請求項２】前記回転ドラムの外周面に凹部が形成され
   ていることを特徴とする請求項１記載の吊り治具。